JP3834517B2 - 表面処理装置用バレル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、小型若しくは微小部品の表面にメッキその他の加工処理を施す樽状の外形に作られた表面処理装置用バレルに関し、特に、メッキ対象品を出し入れするための投入口の蓋の閉じ方を改善した表面処理装置用バレルに関する。
【0002】
【従来の技術】
図33には、従来の表面処理装置用バレルを備えたバレルメッキ装置500の外観が示されている。このバレルメッキ装置500は、外形が樽状に作られた本体502と、蓋503とから主に構成されている。本体502全体は、6角形の柱が横倒しにされた外観を有しており、柱の上面と底面に相当する部分それぞれが、円形平板504と円形平板505とで閉じられている。そして、この円形平板504、505の円中心を軸として、バレルメッキ装置500全体が回転される。
【0003】
また、本体502の6角形をした外周側面の一辺が、メッキ品である被対象物を出し入れする投入口506とされており、この投入口506に蓋503が被せられている(図35参照)。また、この蓋503の外部上面には、固定具507、508、509が装備されており、蓋503を投入口506に密着及び固定させるために使用される。
【0004】
図34には、バレルメッキ装置500の投入口506部分を上観した様子が示されている。図35には、図34に描かれているバレルメッキ装置500の垂直断面で、しかもIII−III’方向に観た、投入口506部分の断面図が示されている。この投入口506に、板状の蓋503が嵌合されることで、投入口506が閉じられる。この蓋503のセンターラインには、3個の固定板510が設けられている。この固定板510は、中心部分にボルト511が螺合されており、さらに、このボルト511の頭部が蓋503に回転自在に貫通されている。
【0005】
また、ボルト511の先端には、取手512が固定されており、この取手512によってボルト511が回転される。ボルト511が回転されると、ボルト511に螺合されている固定板510が上下動される。また、固定板510の先端513は、バレルメッキ装置500の投入口506脇に立設されている辺縁リブ514の穴515にはめ込まれる。
【0006】
この穴515に固定板510の先端513が填め込まれた後、取手512によってボルト511が回転されると、固定板510が蓋503から離れる方向に持ち上げられる。他方、固定板510の先端513が穴515に嵌合しているので、固定板510が撓まされる。この撓んだ固定板510の反発力により、蓋503が投入口506に密着され、投入口506が完全に閉じられることになる。
【0007】
この様な構造のバレルメッキ装置500内に、メッキなどの処理が施される品物、つまり、被処理物が、投入口506から投入される。その後、蓋503が投入口506に被せられ、固定板510によって固定される。そして、バレルメッキ装置500全体が、約50度前後の温度に加温されたメッキ液等の処理液中に浸された後、バレルメッキ装置500の長手方向を中心軸として回転される。これにより、バレルメッキ装置500内に投入された被処理物がメッキ液に満遍なく浸される。
【0008】
ところで、メッキ処理などでは、pH値の異なる複数の液にバレルメッキ装置500が順次に浸される。例えば、酸性の液体、洗浄水などの中性の液体、アルカリ性の液体などである。これらの液体は、それぞれの液体で異なる温度に保持されている。特に、メッキ液は、その処理進行速度を速めるべく、常温よりやや高い温度に加温されている。このように、温度の異なる液中にバレルメッキ装置500は連続的に浸される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
近年、電気製品全体の小型化に伴い、その電気製品に使用される各部品も小さくかつ薄くなっている。このため、メッキや表面加工処理を施すべき品物も微小化若しくは薄片化されたものが増えつつある。ところで、バレルメッキ装置500は、一般的には、PP(ポリプロピレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)などの耐薬品性に優れるプラスチックで製造されている。その理由は、メッキ液その他の処理液によってバレルメッキ装置500が腐食されるのを防止したり、メッキ処理中におけるメッキ対象品の破損を防止したりするのが主な理由である。
【0010】
しかし、バレルメッキ装置500がプラスチックで作られることで様々な問題が発生している。それは、蓋503全体が反り返り、蓋503と本体502との間に隙間が発生することである。蓋503は、上述されたように、3つの固定板510でのみ、本体502に固定されている。このため、メッキ作業中にバレルメッキ装置500が回転されて、蓋503が下側になったとき、本体502内に収納されているメッキ対象品の大多数が蓋503上に落下すると共に、蓋503上にのし掛かることとなる。つまり、蓋503のみで、被処理物全体の重みが支えられることとなる。
【0011】
この結果、蓋503において、固定板510で固定されていない部分(以下、辺縁部分516と呼称、図34参照)は、メッキ対象品の荷重によって、蓋503を開ける方向に強い力を受けることとなる。他方、バレルメッキ装置500が回転され、蓋503が上側に来たときは、メッキ対象品がバレルメッキ装置500の底に落ちるので、蓋503に何らの荷重もかからない。つまり、バレルメッキ装置500が回転され続けると、蓋503への荷重の印加と、その印加される荷重の解放とが交互に繰り返されることとなる。
【0012】
また、上述されたように、メッキ処理中、バレルメッキ装置500は、異なる温度の液体に連続的に浸される。このため、蓋503は、加温と冷却が交互に施されることとなり、歪みが発生しやすい状況下にある。しかも、酸性の液体中にも浸されるので、その酸性液体による化学的な影響も考えられる。これら、温度環境の変化、pH値の異なる液による化学的な影響、被処理物による加重の印加及び停止の繰り返しなどの様々な外因が複合的に影響しあうことで、蓋503が徐々に歪んで反り返ることとなる。
【0013】
蓋503に歪みが生ずると、蓋503と本体502との間に隙間が発生し、メッキ対象品がその隙間から漏れ出たり、その隙間に挟まったりする場合がある。このような品物は、メッキなどの表面処理が十分に施されず、不良品となる。つまり、メッキ処理の歩留まりが悪化することとなり、生産性の低下といった問題が生じている。
【0014】
加えて、その隙間から漏れ出る被処理物は、バレルメッキ装置500が浸される処理液の入った桶中に落下することとなり、作業終了後に、それら落下した被処理物を回収するといった、煩わしい作業が生じている。また、蓋503の反り返りにより、蓋503を投入口506に固定する際、固定板510の先端513が辺縁リブ514の穴515に良好に填らないので、ハンマーなどによって叩いて填め込むといった煩わしい作業が必要となっている。
【0015】
そこで、本発明は、このような蓋503の反り返りなどの経年変化によって発生する隙間を防止し、生産性の向上を高めることを目的としてなされたもので、蓋の密着性をより強固にしたバレルメッキ装置を提供する。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、バレルメッキ装置の本体と接する蓋の周囲に細長いパッキンを2重に張り巡らす。そして、その2重にされたパッキンの間の間隙を真空にすることで、蓋と本体との密着性をより強固な物とした。
【0017】
【発明の実施の形態】
(1)本発明のバレルメッキ装置。
図1には、本発明のバレルメッキ装置1の外観が示されている。なお、この図1には、蓋3が閉じられたバレルメッキ装置1の様子が示されている。図2には、蓋3が外されたバレル本体2のみの外観が示されている。図3には、図1に示されたバレルメッキ装置1をI−I’方向に観た垂直断面の様子が示されている。図4には、本発明のバレルメッキ装置1で使用される蓋3の表側が示されている。
【0018】
図5には、その蓋3の裏側が示されている。バレルメッキ装置1のバレル本体2は、径方向の断面がほぼ六角形でしかも中が空洞の角柱が、横に寝かされた形状に作られている(図1、3参照)。しかもその横に寝かされた六角柱の両端(柱の上部と下部の開口部分に相当)には、平歯車4、5が溶接されて、バレル本体2の両端が塞がれている。
【0019】
なお、ここでの溶接とは、バレル本体2の素材である合成樹脂と同等の素材からなる溶接部材を溶融させ、その溶融部材によってフィレットを形成させつつ、二つの部品を接合させることを意味する。上記平歯車4、5は、円形の板の周りにギァーの歯29が設けられている。この平歯車4、5は、回転動力、例えば、親となる回転装置のモーター(図示しない)などに連接されて、バレルメッキ装置1の回転に利用される。
【0020】
また、平歯車4、5の何れか一方のみか又は双方共が、平歯車でなく、単純な円形の板とされてもよい。つまり、回転動力が、バレルメッキ装置1の左右の端一方からのみ伝達されてもよいし、他の機構によりバレル本体2が回転されもよい。なお、平歯車4、5の円中心には、バレル本体2が回転される際の支持軸(図示せず)が挿入される円形の穴6が開けられている。なお、この穴6に貫通される支持軸は、メッキ処理などの際には、メッキ電極の一方に活用される。
【0021】
バレル本体2の周囲を取り巻く六箇所の平面(6角柱周囲の各面)には、微小穴7が多数、規則的に配列されて開けられている。この微小穴7は、処理液がバレル本体2内部に効率よく流入させるためのものである。なお、この微小穴7の穴径は、1ミリから数ミリ程度とされるが、具体的には、バレル本体2内に投入されるメッキ対象品(被処理物)の大きさによって定められるのが好ましい。
【0022】
つまり、バレル本体2内に入れられた被処理品が確実に、抜け落ちない穴の大きさとされると共に、処理液の流出入が最も効率良く行われる大きさに定められる。その他、バレル本体2の外周面には、この外周面を補強するため、円周方向に取り巻く、フランジ9が三カ所、等間隔に設けられている。なお、このフランジ9は、省略されてもよいし、バレル本体2内部にこのフランジ9が設けられても良い。
【0023】
次に、被処理品を投入するための、バレル本体2の投入口10について説明する。投入口10は、バレル本体2である6角柱の1つの側面を切り取る形で形成されている(図2、図3参照)。つまり、横に寝かされた6角柱の6面のうち、1つの面が投入口10として開口されている。そして、この投入口10の開口部分の周りを取り囲むように、やや幅の狭い板材が四角形に象られた枠板11が、その開口部分に溶接されている。この枠板11は、厚みが均一で、しかもその表面が平坦かつ滑らかに作られている。
【0024】
この滑らかに作られた枠板11の上面15に蓋3が載置される(図1、図2参照)。また、枠板11の側面12には、この側面12に垂直方向に、二つのバキューム孔13、14が開けられている。なお、このバキューム孔13、14は、枠板11の途中まで刳り抜かれた孔であり、枠板11を完全には貫通されてはいない。
【0025】
このバキューム孔13、14の内部には、枠板11の上面15(蓋3が載置される面)へと穿たれた微小穴16がそれぞれの孔に4つ設けられている。これら連接されたバキューム孔13、14と、それぞれの微小穴16とにより、枠板11の側面12から上面15へと繋がる空気の流出入路が形成される。
【0026】
次に、蓋3の構造について説明する(図3、4、5参照)。蓋3は、約15.5ミリ厚の板材で、かつ長方形に作られている。しかも、蓋3の四隅にある4つのコーナー17は、面取りされている。つまり、長方形の4つの角が直線的に切り取られて蓋3は作られている。蓋3の表面18全体には、バレル本体2側面に設けられている微小穴7と同じ穴径の、微小穴19が多数開けられている。
【0027】
なお、この微小穴19は、その穴と穴との間が等間隔で、しかも規則的に配列して設けられている。さらに、各微小穴19は、蓋3全体の強度不足を回避すべく、表面18が長方形をした4つの区画20、21、22、23に分けられ、それら各区画内にのみ設けられている。
【0028】
各区画20、21、22、23は、同一面積(広さ)で、かつ長方形の形とされている。これらの区画20、21、22、23それぞれの間に、リブ24、25が形成されている。また、各区画20、21、22、23は、表面18より多少窪んだ形状に作られている(図1、図3参照)。つまり、各区画20、21、22、23は、蓋3の表面18に長方形の均一な凹みとなるように形成されている。
【0029】
そして、この各区画20、21、22、23内に、多数の微小穴19が規則的に配列して穿設されている。また、蓋3における裏面26の縁周りの面上、つまり、裏面26における最も外側の面には、この蓋3全体を取り巻く外周パッキン27と内周パッキン28とが埋め込まれている。
【0030】
図6には、蓋3及び枠板11のパッキン27、28近傍(図3の中括弧32で示された範囲)の垂直断面の様子が拡大して示されている。このパッキン27、28の素材は、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(=ニトリルゴム、NBR)とされている。
【0031】
その他には、天然ゴムや、スチレン・ブタジエンゴム(=SBR)、合成ゴムが用いられても良い。なお、以下に記述されるOリングその他のパッキンやゴムリングも、これらNBR、SBR、天然ゴム、合成ゴムの何れかで作られている。これらパッキン27、28それぞれが、埋め込まれる外周溝30、内周溝31が、蓋3の裏面26の外周りに掘られて形成されている。
【0032】
この溝30、31は、垂直断面形状が台形でしかも、溝の開口部の幅が、溝の底辺より広げられた、所謂、「アリ溝」で形成されている。このアリ溝の働きにより、パッキン27、28が各溝30、31から容易に離脱しない。なお、パッキン27、28は、各溝30、31より多少突出する大きさに作られている。つまり、パッキン27、28が、蓋3の裏面26より多少突出する大きさに作られている。
【0033】
枠板11の上面15上に載置される蓋3の裏面26部分は、底の浅い凹み47に加工されている。この凹み47が形成されることにより、裏面26の外縁部分には、四角形のガイド突起48が垂下するように形成される。つまり、ガイド突起48が蓋3の裏面26から下方に向けて突出した構造に作られている。また、ガイド突起48は、蓋3の裏面26において、2つの長辺部分にのみ形成されている(図3、5参照)。このガイド突起48と凹み47とにより、枠板11上に載置される蓋3の位置が容易に確定される。蓋3の凹み47内に上記された溝30、31が設けられている。なお、凹み47の面は滑らかな面に形成されている。
【0034】
また、蓋3における凹み47の内縁部分には、傾斜面49が形成されている(図6参照)。この傾斜面49は、蓋3がバレル本体2の枠板11上に載置された際、枠板11の内側に位置する内面50と、蓋3の裏面26との間にV字型の空間を設ける働きがある。傾斜面49と内面50との間で形成されるこのV字型の空間により、バレル本体2内に収納された被処理品が、蓋3と枠板11との間に填り込むことが防止される。
【0035】
つまり、傾斜面49がないと、蓋3の裏面26に形成された凹み47と枠板11の内面50との間にほぼ同じ幅を持った隙間ができるので、その隙間に被処理品が填り込む虞がある。そこで、蓋3と枠板11の内面50との間に被処理品が填り込むことを防止すべく、傾斜面49が形成されている。
【0036】
凹み47における溝30、31の間は薄く(浅く)削られて、間隙33が設けられている。つまり、蓋3が、バレル本体2の枠板11上に載置されたとき、間隙33ができるように、溝30、31の間にある凹み47の面が削られている。ただし、凹み47のその他の面は、枠板11の上面15に密着するように滑らかに形成されている。
【0037】
この間隙33のほぼ中央に、上記された枠板11の各微小穴16(図2、6参照)が開口されている。なお、各微小穴16は、バキューム孔13、14それぞれに繋がっているので、蓋3が枠板11上に載置されたとき、間隙33と外界34との間を、微小穴16及びバキューム孔13、14を介して、空気の流出入が可能となっている。
【0038】
次に、バキューム孔14の構造について説明する(図6参照)。このバキューム孔14が設けられている枠板11には、上述されたように、バキューム孔13も作られている。バキューム孔14は、空気の吸い出し(流出)に用いられ、バキューム孔13は空気の流入(リーク)に用いられる。つまり、バキューム孔14には、真空引き用ホース35が挿入されて、間隙33部分の空気が吸い出される。
【0039】
他方、バキューム孔13には、リークピン38(図2参照)が挿入されて、バキューム孔13を介して間隙33へ空気が流れ込むことが抑止される。バキューム孔13、14は、ほぼ同様な構造に作られており、内径の小さな深部36と、その深部36より内径がやや大きなホース挿入部37とから主に作られている(図6参照)。
【0040】
深部36の更なる奥には、雌ねじが内壁面に切られたネジ穴39が設けられている。このネジ穴39には、先端部分に雄ねじが形成されたピンバルブ40がねじ込まれている。このピンバルブ40の根本には、傘型シール41が取り付けられている。この傘型シール41は、上述されたNBRなどの弾性部材で作られており、しかも、ピンバルブ40の外周面を取り巻く傘に似た構造のシール材である。しかも、傘型シール41は、その弾性力により、周りから加わる力に対して傘を開く方向に復元力が発揮される。
【0041】
また、ピンバルブ40がバキューム孔14の深部36にねじ込まれると、傘型シール41の傘状に広がる裾部分で、深部36が密閉される。したがって、ピンバルブ40がバキューム孔14に取り付けられると、微小穴16からバキューム孔14を経て外界34方向(図6参照)への空気の流出は滑らかに行われるが、外界34からバキューム孔14を経て微小穴16への空気の流入が傘型シール41によって阻止される。
【0042】
さらに、バキューム孔14のホース挿入部37の内壁面には、この内壁面を周回方向に取り巻く溝42が掘られている。この溝42に、Oリング43が填め込まれている。なお、この溝42も、上記された溝30、31と同様なアリ溝に形成されてもよいし、単なる四角形の溝でもよい。ホース挿入部37には、真空引き用ホース35が挿入されるが、その真空引き用ホース35の周りにOリング43が完全に密着される。
【0043】
これにより、真空引き用ホース35が挿入された時、バキューム孔14内部の気密性がこのOリング43で保持される。また、真空引き用ホース35は、真空ポンプ(図示せず)に繋げられており、バキューム孔14内部の空気が、真空引き用ホース35を介して吸引される。この結果、蓋3の間隙33の空気が、微小穴16、バキューム孔14及び傘型シール41を経て吸い出されることになる。
【0044】
もう一つのバキューム孔13は、上記バキューム孔14とほぼ同様の構造であり、ネジ穴39を備える深部36がバキューム孔13内に設けられている(図示せず)。このバキューム孔13に挿入されるリークピン38は、球形若しくは板状の取手44と、その取手44から水平に延びる棒状のロッド45とから主に構成されている(図2参照)。
【0045】
また、ロッド45の根本部分には、上記のNBRなどから作られたOリング46が巻装されていると共に、ロッド45の先端部分(Oリング46が装着された部分より先の部分)が雄ねじ等に加工されている。そして、この様な構造のリークピン38が、バキューム孔13にねじ込まれることで、バキューム孔13の気密性が保持されている。
【0046】
(2)本発明のバレルメッキ装置1の使用方法の説明。
バレルメッキ装置1は、図示しない回転装置の支持軸に装着される。支持軸が、上述されたように、平歯車4、5の中央に設けられた穴6(図1、2参照)に挿入されることで、この支持軸に回動自在にバレルメッキ装置1が保持される。このようなバレルメッキ装置1の蓋3が外され、バレル本体2の投入口10から、メッキなどの処理が施される被処理品がバレル本体2内に投入される。
【0047】
この後、蓋3がバレル本体2の枠板11上に載置される。蓋3が枠板11上に載置される際、蓋3の裏面26に設けられた二本のガイド突起48(図5参照)により、枠板11の短手方向(図2の矢印52方向)の位置が容易に定められる。また、枠板11の長手方向(図2の矢印51方向)の位置は、枠板11の両脇にある平歯車4、5により、容易に確定される。
【0048】
バレル本体2の枠板11上に蓋3が載置された後、バキューム孔13にリークピン38が装着され(図2参照)、バキューム孔14に真空引き用ホース35が挿入される(図6参照)。なお、バキューム孔14の深部36には、傘型シール41を具備するピンバルブ40が予め挿入固定されている。バキューム孔14に真空引き用ホース35が挿入された状態で、真空ポンプによりバキューム孔14から空気が吸い出される。この真空引き圧力は、最大で約0.1メガパスカル前後であるが、0.06〜0.08メガパスカル程度に吸引されれば十分である。
【0049】
バキューム孔14から空気が吸い出されると、バキューム孔14奥に装着されたピンバルブ40の傘型シール41、バキューム孔14の深部36及び、枠板11の微小穴16を経て、蓋3と枠板11との間に形成された間隙33の空気が吸い出される。なお、ピンバルブ40の傘型シール41は、弾性部材で作られているので、バキューム孔14の深部36から外界34へと流れる空気の流速により、傘を閉じる形となり、その空気の流れを妨げることはない。
【0050】
こうしてバキューム孔14から空気が吸引されると、間隙33内の空気圧が下がるので、相対的に気圧の高い外気圧により蓋3が枠板11の上面15に押しつけられる。つまり、蓋3が枠板11の上面15に吸着させられることになる。上記されたように、バキューム孔14の真空引き圧力が0.08メガパスカル程度とされると、間隙33が設けられた蓋3の外周部分全体には、およそ120キロの力が印加されることになる。これにより、蓋3は、バレル本体2の枠板11と完全に密着するので、バレル本体2の投入口10が閉じられたこととなる。
【0051】
バキューム孔14から上記した所定圧力で真空引きされると、バキューム孔14に挿入された真空引き用ホース35が引き抜かれる。真空引き用ホース35が引き抜かれても、傘型シール41の働きにより、外界34から間隙33へと空気が進入することがない。なぜなら、傘型シール41は、NBRなどの弾性部材で作られていると共に、気圧の高い外界34からバキューム孔14内へ空気が流れ込もうとするので、傘型シール41の裾部分が押され、傘を開く形となる。このため、傘型シール41の裾部分がバキューム孔14の内壁面に密着するので、バキューム孔14に繋がる間隙33内の気密性が保持されることとなる。
【0052】
この後、バレルメッキ装置1全体が処理槽内の処理液中に浸され、その液内でバレルメッキ装置1が回転される。例えば、処理液がメッキ液であると、バレルメッキ装置1の中心に通された支持軸がマイナス極、外側の処理槽がプラス極として電圧が印加されて、メッキ処理が施される。メッキ液は、バレル本体2の各微小穴7と、蓋3の微小穴19を経てバレル本体2内に進入するので、バレル本体2内の被処理品が良好にメッキ液に晒される。
【0053】
こうして処理槽内でバレルメッキ装置1が所定時間回転されて処理が完了されると、バレルメッキ装置1が処理槽から取り出される。そして、バレル本体2内から被処理品を取り出す場合は、バキューム孔13に装着されたリークピン38が外されることで、蓋3にある間隙33の真空状態が解除される。この結果、枠板11に蓋3が吸着していた力が解放されるので、蓋3が枠板11より簡単に外すことができる。
【0054】
その後、バレル本体2の投入口10から被処理品が取り出されることで、処理が完了される。このように、本発明による蓋3は、真空吸着によりバレル本体2の枠板11に密着されるので、その脱着が極めて容易なことと、蓋3全体がバレル本体2に吸着されているので、蓋3が歪むことと、蓋3とバレル本体2との間に被処理物が入込むような隙間が発生しない。
【0055】
(3)第2実施例。
図7には、本発明の第2実施例の蓋3の部分拡大図が示されている。図7に示されている部分拡大の場所は、図6に示された第1実施例の蓋3と同じように、枠板11上に載置された蓋3のパッキン27、28が設けられている場所であり、それは、図3の中括弧32で示される部分に相当する。したがって、この第2実施例におけるパッキン27、28近傍以外の各部材の構造は、上記第1実施例と同じとされている。
【0056】
なお、説明に使用される符号は、同一構造の部材には、上記第1実施例と同じ符号が用いられている。なお、図7において、図6で示されたバキューム孔14、微小穴16等については、説明の便宜のため、その描画が省略されているが、バキューム孔14、微小穴16の構造は図6に示されたものと同じである。
【0057】
この第2実施例(図7)の特徴は、パッキン27、28が、枠板11側に設けられている点にある。すなわち、枠板11の上面15に「アリ溝」の外周溝55及び内周溝56が、所定の間隔を開けて設けられている。この外周溝55内に外周パッキン27が嵌合されており、内周溝56内に内周パッキン28が嵌合されている。そして、溝55、56の間にある枠板11の上面15部分が薄く削られて、間隙57が設けられている。
【0058】
なお、蓋3の裏面26には、間隙、アリ溝等は何ら設けられておらず、裏面26が滑らかな平面に仕上げられている。また、蓋3の外縁部分の裏面26には、第1実施例と同じように、ガイド突起48が設けられており、蓋3が枠板11上に載置される際、案内部材として、このガイド突起48が用いられる。
【0059】
枠板11に作られた間隙57に、第1実施例で説明された微小穴16(図2、6参照)と同じ微小穴が複数、穿設されている。微小穴16は、バキューム孔14(図7では図示せず、図6参照)へと繋がっており、バキューム孔14に挿入された真空引き用ホース35(第1実施例と同一構造)を介して間隙57の空気が吸引されることで、蓋3が枠板11の上面15に吸着される。
【0060】
蓋3を枠板11から外すのは、第1実施例と同様に、バキューム孔13に挿入されているリークピン38が引き抜かれることで、行われる。なお、この第2実施例のバレルメッキ装置1による使用方法等は、上記第1実施例と同じであるので、その説明は省略する。
【0061】
(4)第3実施例。
図8には、本発明の第3実施例の蓋3及び枠板11の部分拡大図が示されている。図8に示されている部分拡大の場所は、図6に示された第1実施例の蓋3と同じように、枠板11上に載置された蓋3のパッキン27、28が設けられている場所であり、それは、図3の中括弧32で示される部分に相当する。したがって、この第3実施例におけるパッキン27、28近傍以外の部材の構造は、上記第1実施例と同じとされている。
【0062】
なお、説明に使用される符号は、同一構造の部材には、上記第1実施例と同じ符号が用いられている。なお、図8において、図6で示されたバキューム孔14、微小穴16等については、説明の便宜のため、その描画が省略されているが、バキューム孔14、微小穴16の構造は図6の第1実施例と同じである。
【0063】
この第3実施例(図8)の特徴は、枠板11の上面15に、上方に突出され、かつ四角形の凸ブロック58が設けられている点にある。また、蓋3の裏面26における凹み47部分に、この凸ブロック58と完全に嵌合する凹部59が設けられている。さらに、凸ブロック58の上面に、「アリ溝」の外周溝60及び内周溝61が、所定の間隔を開けて設けられている。
【0064】
そして、外周溝60内に外周パッキン27が嵌合されており、内周溝61内に内周パッキン28が嵌合されている。そして、溝60、61の間にある凸ブロック58の上面部分が薄く削られて、間隙57が設けられている。なお、蓋3の凹部59には、間隙、アリ溝等は何ら設けられておらず、凹部59の表面が滑らかな平面に仕上げられている。また、蓋3の外縁部分の裏面26には、第1実施例と同じように、ガイド突起48が設けられており、蓋3が枠板11上に載置される際、案内部材として、このガイド突起48が用いられる。
【0065】
そして、凸ブロック58上に作られた間隙57に、第1実施例で説明された微小穴16(図2、6参照)と同じ微小穴が複数、開けられている。微小穴16は、バキューム孔14(図8では図示せず、図6参照)へと繋がっており、バキューム孔14に挿入された真空引き用ホース35(第1実施例と同一構造)を介して間隙57の空気が吸引されることで、蓋3の凹部59が、枠板11の凸ブロック58に吸着される。
【0066】
蓋3を枠板11から外すのは、第1実施例と同様に、バキューム孔13に挿入されているリークピン38が引き抜かれることで、行われる。なお、この第3実施例のバレルメッキ装置1による使用方法等は、上記第1実施例と同じであるので、その説明は省略する。
【0067】
(5)第4実施例。
図9には、本発明の第4実施例の蓋3の部分拡大図が示されている。図9に示されている部分拡大の場所は、図6に示された第1実施例の蓋3と同じように、枠板11上に載置された蓋3のパッキン27、28が設けられている場所であり、それは、図3の中括弧32で示される部分に相当する。したがって、この第4実施例におけるパッキン27、28近傍以外の部材の構造は、上記第1実施例と全て同じとされている。
【0068】
なお、説明に使用される符号は、同一構造の部材には、上記第1〜3実施例と同じ符号が用いられている。なお、図9において、図6で示されたバキューム孔14、微小穴16等については、説明の便宜のため、その描画が省略されているが、バキューム孔14、微小穴16の構造は図6の第1実施例と同じである。
【0069】
この第4実施例(図9)の特徴は、枠板11の上面15に、上方に突出され、かつ四角形の凸ブロック58が設けられている点にある。また、蓋3の裏面26における凹み47部分に、この凸ブロック58と完全に嵌合する凹部59が設けられている。さらに、本第4実施例では、上記第3実施例と異なり、パッキン27、28が填め込まれるアリ溝が、凹部59側に設けられている。つまり、凸ブロック58の上面に接触する凹部59の表面に、「アリ溝」の外周溝62及び内周溝63が、所定の間隔を開けて設けられている。そして、外周溝62内に外周パッキン27が嵌合されており、内周溝63内に内周パッキン28が嵌合されている。
【0070】
そして、溝62、63の間にある凹部59の表面部分が薄く削られて、間隙64が設けられている。なお、枠板11の凸ブロック58には、間隙、アリ溝等は何ら設けられておらず、凸ブロック58の表面が滑らかな平面に仕上げられている。また、蓋3の外縁部分の裏面26には、第1実施例と同じように、ガイド突起48が設けられており、蓋3が枠板11上に載置される際、案内部材として、このガイド突起48が用いられる。
【0071】
そして、凸ブロック58の上面に、第1実施例で説明された微小穴16(図2、6参照)と同じ微小穴が複数、開けられている。凸ブロック58に穿設された微小穴16は、間隙64に向けて開口されており、間隙64内の空気が、この微小穴16で吸い出される。すなわち、微小穴16は、第1実施例と同様に、バキューム孔14(図9では図示せず、図6参照)へと繋がっており、バキューム孔14に挿入された真空引き用ホース35(第1実施例と同一構造)を介して間隙64の空気が吸引されることで、蓋3の凹部59が、枠板11の凸ブロック58に吸着される。
【0072】
蓋3を枠板11から外すのは、第1実施例と同様に、バキューム孔13に挿入されているリークピン38が引き抜かれることで、行われる。なお、この第4実施例のバレルメッキ装置1による使用方法等は、上記第1実施例と同じであるので、その説明は省略する。
【0073】
(6)第5実施例。
図10には、本発明の第5実施例の蓋3の部分拡大図が示されている。図10に示されている部分拡大の場所は、図6に示された第1実施例の蓋3と同じように、枠板11上に載置された蓋3のパッキン27、28が設けられている場所であり、それは、図3の中括弧32で示される部分に相当する。したがって、この第5実施例におけるパッキン27、28近傍以外の部材の構造は、上記第1実施例と全て同じとされている。
【0074】
なお、説明に使用される符号は、同一構造の部材には、上記第1〜4実施例と同じ符号が用いられている。なお、図10において、図6で示されたバキューム孔14、微小穴16等については、説明の便宜のため、その描画が省略されているが、バキューム孔14、微小穴16の構造は図6の第1実施例と同じである。
【0075】
この第5実施例(図10)の特徴は、上記第4実施例と同じように、蓋3に凹部59が、枠板11に凸ブロック58がそれぞれ設けられている。ただし、パッキン27、28の設置位置が上記第4実施例と異なる。すなわち、内周パッキン28が填め込まれる「アリ溝」構造の内周溝66が、凸ブロック58の上面に設けられている。しかし、外周パッキン27が填め込まれる外周溝65は、凸ブロック58の外側に位置する側面67に設けられている。
【0076】
つまり、外周溝65、内周溝66の配置位置が、枠板11の凸ブロック58上において、側面と上面とにそれぞれ分離されている。そして、外周溝65から内周溝66へと繋がる凸ブロック58の表面部分が薄く削られて、逆L字型の間隙68が設けられている。
【0077】
また、蓋3の凹部59の内壁面及び裏面26と、枠板11の上面15とは滑らかな平面に仕上げられおり、蓋3と枠板11の上面15との密着性が確保されている。しかも、凹部59が枠板11の凸ブロック58に嵌合されると、外周パッキン27は、凹部59の内壁面に密着されると共に、内周パッキン28が凹部59の内壁面に密着される。
【0078】
これにより、間隙68の気密性が保たれる。なお、蓋3の外縁部分の裏面26には、上記第1〜4実施例と同じように、ガイド突起48が設けられており、蓋3が枠板11上に載置される際、案内部材として、このガイド突起48が用いられる。
【0079】
凸ブロック58上に形成された間隙68には、第1実施例で説明された微小穴16(図2、6参照)と同じ微小穴が複数、開けられている。間隙68上に開口するように設けられたこの微小穴16は、第1実施例と同様に、バキューム孔14(図10では図示せず、図6参照)へと繋がっており、バキューム孔14に挿入された真空引き用ホース35(第1実施例と同一構造)を介して間隙68の空気が吸引される。
【0080】
これにより、蓋3の凹部59が、枠板11の凸ブロック58に吸着される。蓋3を枠板11から外すのは、第1実施例と同様に、バキューム孔13に挿入されているリークピン38が引き抜かれることで、行われる。なお、この第5実施例のバレルメッキ装置1による使用方法等は、上記第1実施例と同じであるので、その説明は省略する。
【0081】
(7)第6実施例。
図11には、本発明の第6実施例の蓋3の部分拡大図が示されている。図11に示されている部分拡大の場所は、図6に示された第1実施例の蓋3と同じように、枠板11上に載置される蓋3のパッキン27、28が設けられている場所であり、それは、図3の中括弧32で示される部分に相当する。したがって、この第6実施例におけるパッキン27、28近傍以外の部材の構造は、上記第1実施例等と全て同じに作られている。
【0082】
なお、説明に使用される符号は、同一構造の部材には、上記第1〜5実施例と同じ符号が用いられている。なお、図11において、図6で示されたバキューム孔14、微小穴16等については、説明の便宜のため、その描画が省略されているが、バキューム孔14、微小穴16の構造は図6の第1実施例と同じである。
【0083】
この第6実施例(図11)の特徴は、上記第4、5実施例と同じように、蓋3に凹部59が、枠板11に凸ブロック58がそれぞれ設けられている。ただし、パッキン27、28の設置位置が上記第5実施例と異なる。すなわち、内周パッキン28が填め込まれる「アリ溝」構造の内周溝69が、凹部59の天井面(内壁面)に設けられている。外周パッキン27が填め込まれる外周溝70は、凹部59の外側の内壁面71部分に設けられている。
【0084】
つまり、外周溝70、内周溝69の配置位置が、蓋3の凹部59の内壁面における、側面と上面とにそれぞれ分離されて設けられている。そして、外周溝70から内周溝69へと繋がる凹部59の内壁面部分が薄く削られて、逆L字型の間隙72が設けられている。
【0085】
また、枠板11の上面15及び凸ブロック58の各表面と、これらの各面に接する蓋3の裏面26及び凹部59の内壁面とは、滑らかな平面に仕上げられおり、蓋3と枠板11の上面15との密着性が確保されている。しかも、凹部59が枠板11の凸ブロック58に嵌合されると、外周パッキン27は、凸ブロック58の側面に密着されると共に、内周パッキン28が凸ブロック58の上面に密着される。
【0086】
これにより、間隙72の気密性が保たれる。なお、蓋3の外縁部分の裏面26には、上記第1〜5実施例と同じように、ガイド突起48が設けられており、蓋3が枠板11上に載置される際、案内部材として、このガイド突起48が用いられる。
【0087】
間隙72に対面する凸ブロック58の上面に、第1実施例で説明された微小穴16(図2、6参照)と同じ微小穴が複数、開けられている。間隙72に向けて開口するこの微小穴16は、第1実施例と同様に、バキューム孔14(図11では図示せず、図6参照)へと繋がっており、バキューム孔14に挿入された真空引き用ホース35(第1実施例と同一構造)を介して間隙72の空気が吸引される。これにより、蓋3の凹部59が、枠板11の凸ブロック58に吸着される。
【0088】
蓋3を枠板11から外すのは、第1実施例と同様に、バキューム孔13に挿入されているリークピン38が引き抜かれることで、行われる。なお、この第6実施例のバレルメッキ装置1による使用方法等は、上記第1実施例と同じであるので、その説明は省略する。
【0089】
(8)第7実施例。
図12には、本発明の第7実施例の蓋3の部分拡大図が示されている。図12に示されている部分拡大の場所は、図6に示された第1実施例の蓋3と同じように、枠板11上に載置される蓋3のパッキン27、28が設けられている場所であり、それは、図3の中括弧32で示される部分に相当する。したがって、この第7実施例におけるパッキン27、28近傍以外の各部材の構造は、上記第1実施例等と全て同じに作られている。
【0090】
なお、説明に使用される符号は、同一構造の部材には、上記第1〜6実施例と同じ符号が用いられている。なお、図12において、図6で示されたバキューム孔14、微小穴16等については、説明の便宜のため、その描画が省略されているが、バキューム孔14、微小穴16の構造は図6の第1実施例と同じである。
【0091】
この第7実施例(図12)の特徴は、上記6実施例と異なり、蓋3側に四角形の凸ブロック73が設けられており、枠板11側に、この凸ブロック73と完全に嵌合する凹み74が設けられている点である。さらに、凸ブロック73の外側に向いた面に「アリ溝」構造の外周溝75が設けられており、凸ブロック73の下面に「アリ溝」構造の内周溝76が設けられている。そして、外周溝75に外周パッキン27が、内周溝76に内周パッキン28が各々填め込まれている。また、外周溝75と内周溝76とを繋ぐ、凸ブロック73の表面部分が薄く削られて、L字型の間隙77が設けられている。
【0092】
また、枠板11の上面15及び凹み74の各内面と、これらの各面に接する蓋3の裏面26及び凸ブロック73の表面とは、滑らかな平面に仕上げられおり、蓋3と枠板11の上面15との密着性が確保されている。しかも、凸ブロック73が枠板11の凹み74に嵌合されると、外周パッキン27は、凹み74の側面に密着されると共に、内周パッキン28が凹み74の底面に密着される。
【0093】
これにより、間隙77の気密性が保たれる。なお、蓋3の外縁部分の裏面26には、上記第1〜6実施例と同じように、ガイド突起48が設けられており、蓋3が枠板11上に載置される際、案内部材として、このガイド突起48が用いられる。
【0094】
間隙77に対面する凹み74の底面部分には、第1実施例で説明された微小穴16(図2、6参照)と同じ微小穴が複数、開けられている。間隙77に向けて開口するこの微小穴16は、第1実施例と同様に、バキューム孔14(図12では図示せず、図6参照)へと繋がっており、バキューム孔14に挿入された真空引き用ホース35(第1実施例と同一構造)を介して間隙77の空気が吸引される。
【0095】
これにより、蓋3の凸ブロック73が、枠板11の凹み74に吸着される。蓋3を枠板11から外すのは、第1実施例と同様に、バキューム孔13に挿入されているリークピン38が引き抜かれることで、行われる。なお、この第7実施例のバレルメッキ装置1による使用方法等は、上記第1実施例と同じであるので、その説明は省略する。
【0096】
(9)第8実施例。
図13には、本発明の第8実施例の蓋3の部分拡大図が示されている。図13に示されている部分拡大の場所は、図6に示された第1実施例の蓋3と同じように、枠板11上に載置される蓋3のパッキン27、28が設けられている場所であり、それは、図3の中括弧32で示される部分に相当する。したがって、この第8実施例におけるパッキン27、28近傍以外の各部材の構造は、上記第1実施例等と全て同じに作られている。
【0097】
なお、説明に使用される符号は、同一構造の部材には、上記第1〜7実施例と同じ符号が用いられている。なお、図13において、図6で示されたバキューム孔14、微小穴16等については、説明の便宜のため、その描画が省略されているが、バキューム孔14、微小穴16の構造は図6の第1実施例と同じである。
【0098】
この第8実施例(図13)の特徴は、上記7実施例と同様に、蓋3側に四角形の凸ブロック73が設けられており、この凸ブロック73と完全に嵌合する凹み74が枠板11側に設けられているところにある。しかし、パッキン27、28が填め込まれるアリ溝が、蓋3、枠板11それぞれに分かれて設けられている点が上記7実施例と相違する。
【0099】
具体的には、凸ブロック73の外側に向いた面に「アリ溝」構造の外周溝78が設けられいる。しかし、内周パッキン28が填め込まれる内周溝79は、枠板11の凹み74の内側の面88に設けられている。また、凹み74の底の一部が薄く削りとられると共に、外周溝78と内周溝79とを繋ぐ、「コ」の字型の間隙80が設けられている。
【0100】
なお、枠板11の上面15と、蓋3の裏面26及び凸ブロック73の表面とは、滑らかな平面に仕上げられおり、蓋3と枠板11の上面15との密着性が確保されている。しかも、凸ブロック73が枠板11の凹み74に嵌合されると、外周パッキン27は、凹み74の側面に密着されると共に、内周パッキン28が凸ブロック73の側面に密着される。
【0101】
これにより、間隙80の気密性が保たれる。なお、蓋3の外縁部分の裏面26には、上記第1〜7実施例と同じように、ガイド突起48が設けられており、蓋3が枠板11上に載置される際の、案内部材として、このガイド突起48が用いられる。
【0102】
間隙80には、第1実施例で説明された微小穴16(図2、6参照)と同じ微小穴が複数、開けられている。間隙80に向けて開口するこの微小穴16は、第1実施例と同様に、バキューム孔14(図13では図示せず、図6参照)へと繋がっており、バキューム孔14に挿入された真空引き用ホース35(第1実施例と同一構造)を介して間隙80の空気が吸引される。
【0103】
これにより、蓋3の凸ブロック73が、枠板11の凹み74に吸着される。また、蓋3を枠板11から外すのは、第1実施例と同様に、バキューム孔13に挿入されているリークピン38が引き抜かれることで、行われる。なお、この第8実施例のバレルメッキ装置1による使用方法等は、上記第1実施例と同じであるので、その説明は省略する。
【0104】
(10)第9実施例。
図14には、本発明の第9実施例の蓋3の部分拡大図が示されている。図14に示されている部分拡大の場所は、図6に示された第1実施例の蓋3と同じように、枠板11上に載置される蓋3のパッキン27、28が設けられている場所であり、それは、図3の中括弧32で示される部分に相当する。したがって、この第9実施例におけるパッキン27、28近傍以外の各部材の構造は、上記第1実施例等と全て同じに作られている。
【0105】
なお、説明に使用される符号は、同一構造の部材には、上記第1〜8実施例と同じ符号が用いられている。なお、図14において、図6で示されたバキューム孔14、微小穴16等については、説明の便宜のため、その描画が省略されているが、バキューム孔14、微小穴16の構造は図6の第1実施例と同じである。
【0106】
この第9実施例(図14)の特徴は、上記8実施例と異なり、枠板11側に四角形の凸ブロック89が設けられており、この凸ブロック89と完全に嵌合する凹み90が蓋3側に設けられているところにある。さらに、凸ブロック89の外側に向いた面に「アリ溝」構造の外周溝91が設けられいる。内周パッキン28が填め込まれる内周溝92は、蓋3の凹み90の内側の面93に設けられている。また、凹み90の内壁面(天井部分)の一部が薄く削りとられると共に、外周溝91と内周溝92とを繋ぐ、「コ」の字型の間隙94が設けられている。
【0107】
なお、枠板11の上面15と、蓋3の裏面26及び凸ブロック89の表面とは、滑らかな平面に仕上げられおり、蓋3と枠板11の上面15との密着性が確保されている。しかも、凸ブロック89が蓋3の凹み90に嵌合されると、外周パッキン27は、凹み90の側面に密着されると共に、内周パッキン28が凸ブロック89の側面に密着される。
【0108】
これにより、間隙94の気密性が保たれる。なお、蓋3の外縁部分の裏面26には、上記第1〜8実施例と同じように、ガイド突起48が設けられており、蓋3が枠板11上に載置される際の、案内部材として、このガイド突起48が用いられる。
【0109】
間隙94に向けて、凸ブロック89の上面に、第1実施例で説明された微小穴16(図2、6参照)と同じ微小穴が複数、開けられている。この微小穴16は、第1実施例と同様に、バキューム孔14(図14では図示せず、図6参照)へと繋がっており、バキューム孔14に挿入された真空引き用ホース35(第1実施例と同一構造)を介して間隙94の空気が吸引される。
【0110】
これにより、蓋3の凹み90が、枠板11の凸ブロック89に吸着される。なお、蓋3を枠板11から外すのは、第1実施例と同様に、バキューム孔13に挿入されているリークピン38が引き抜かれることで、行われる。なお、この第9実施例のバレルメッキ装置1による使用方法等は、上記第1実施例と同じであるので、その説明は省略する。
【0111】
(11)第10実施例。
図15には、本発明の第10実施例の蓋3の部分拡大図が示されている。図16には、本第10実施例の蓋3と枠板11とが示されている。図15に示されている部分拡大の場所は、図6に示された第1実施例の蓋3と同じように、枠板11上に載置される蓋3のパッキン27、28が設けられている場所であり、それは、図3の中括弧32で示される部分に相当する。
【0112】
したがって、この第10実施例におけるパッキン27、28近傍以外の各部材の構造は、上記第1実施例等と全て同じに作られている。なお、説明に使用される符号は、同一構造の部材には、上記第1〜9実施例と同じ符号が用いられている。
【0113】
この第10実施例(図15)の特徴は、上記1〜9実施例と比較した場合、蓋3の辺縁部分及び枠板11の構造自体が多少異なる。すなわち、枠板11の端が、蓋3の側面を囲うと共に蓋3の表面18と同一の高さまで延びる側壁面ブロック95に加工されている。つまり、枠板11の最も外側に位置する辺96、97(図16参照)部分が上方に折り曲げられて、長尺なへり(=側壁面ブロック95)が枠板11全体を取り囲む様に作られており、その取り囲まれた側壁面ブロック95の内側に蓋3が填め込まれる(図16の矢印98方向)。
【0114】
側壁面ブロック95における、蓋3と接する面は、テーパー形状の斜面103に形成されており、蓋3の填め込みが容易とされている(図15参照)。そして、側壁面ブロック95と接する蓋3の側面99内に、「アリ溝」構造の外周溝100と内周溝101とが所定間隔を開けて形成されている。外周溝100には、外周パッキン27が填め込まれており、内周溝101には、内周パッキン28が填め込まれている。
【0115】
また、外周溝100と内周溝101の間の側面99の表面部分が薄く削られて間隙102が形成されている。なお、蓋3と枠板11とが接する各面は滑らかな平面に形成されており、蓋3と枠板11との密着性が確保されている。加えて、蓋3の側面99部分の外形寸法は、枠板11の辺96、97部分に作られた各側壁面ブロック95間より若干短く作られても良い。
【0116】
具体的には、蓋3が枠板11に填め込まれた際、蓋3の裏面26と、枠板11の上面15とが完全に密着するよう、蓋3の外形寸法が調整されて作られているのが好ましい。つまり、枠板11上に蓋3が填め込まれた際、蓋3の裏面26と枠板11の上面15との間に隙間が生じない大きさに蓋3が作られている必要がある。
【0117】
しかも、蓋3が枠板11上に載置された際、外周パッキン27、内周パッキン28が側壁面ブロック95の斜面103に密着されるだけの、大きさを蓋3が備える必要はある。このように作られた蓋3が、枠板11上に載置されると、パッキン27、28が側壁面ブロック95の斜面103に密着するので、間隙102の気密性が確保される。
【0118】
また、側壁面ブロック95には、間隙102に向けて開口する傾斜微小穴104が掘られている。この傾斜微小穴104は、バキューム孔14に繋がっており、間隙102の空気が、傾斜微小穴104を経てバキューム孔14へと導かれる。そして、バキューム孔14に挿入された真空引き用ホース35(第1実施例と同一構造)を介して間隙102の空気が吸引される。
【0119】
これにより、蓋3の側面99と、枠板11の斜面103とが吸着されるので、蓋3が枠板11に密着される。なお、蓋3を枠板11から外すのは、第1実施例と同様に、バキューム孔13(図2参照)に挿入されているリークピン38が引き抜かれることで、行われる。なお、この第10実施例のバレルメッキ装置1による使用方法等は、上記第1実施例と同じであるので、その説明は省略する。
【0120】
(12)第11実施例。
図17には、本発明の第11実施例の蓋3の部分拡大図が示されている。図17に示されている部分拡大の場所は、図6に示された第1実施例の蓋3と同じように、枠板11上に載置される蓋3のパッキン27、28が設けられている場所であり、それは、図3の中括弧32で示される部分に相当する。したがって、この第11実施例におけるパッキン27、28近傍以外の各部材の構造は、上記第1実施例等と全て同じに作られている。なお、説明に使用される符号は、同一構造の部材には、上記第1〜10実施例と同じ符号が用いられている。
【0121】
この第11実施例(図17)の特徴は、枠板11の端部分に上方に突出された凸ブロック105が作られている。また、蓋3の辺縁部分が、この凸ブロック105に嵌合するL字型の凹み106に加工されている。凹み106の天井部分に相当する内壁面に「アリ溝」構造の外周溝107が作られており、凹み106の側部にある内壁面に内周溝108が作られている。
【0122】
そして、外周溝107から内周溝108へと繋がる凹み106の内壁面部分が薄く削られて間隙109が作られている。外周溝107に、外周パッキン27が填め込まれ、内周溝108に、内周パッキン28が填め込まれている。なお、蓋3と枠板11とが接する各面(上面15、裏面26等)は滑らかな平面に形成されており、蓋3と枠板11との密着性が確保されている。
【0123】
枠板11の凸ブロック105内には、間隙109に向けて開口された複数の微小穴16が垂直方向に穿設されている。この微小穴16(図17では図示せず、図2、6参照)は、上記第1実施例と同じように、枠板11内に設けられたバキューム孔14と繋げられている。蓋3が枠板11上に載置されると、外周パッキン27が凸ブロック105の上面に密着されると共に、内周パッキン28が凸ブロック105の側面に密着される。これにより、間隙109の気密性が確保される。
【0124】
そして、バキューム孔14に挿入された真空引き用ホース35(第1実施例と同一構造)でバキューム孔14内が真空引きされると、間隙109の空気が吸引される。これにより、蓋3と、枠板11とが密着される。なお、蓋3を枠板11から外すのは、第1実施例と同様に、バキューム孔13(図2参照)に挿入されているリークピン38が引き抜かれることで、行われる。なお、この第11実施例のバレルメッキ装置1による使用方法等は、上記第1実施例と同じであるので、その説明は省略する。
【0125】
(13)第12実施例。
図18には、本発明の第12実施例の蓋3の部分拡大図が示されている。図18に示されている部分拡大の場所は、図6に示された第1実施例の蓋3と同じように、枠板11上に載置される蓋3のパッキン27、28が設けられている場所であり、それは、図3の中括弧32で示される部分に相当する。したがって、この第12実施例におけるパッキン27、28近傍以外の各部材の構造は、上記第1実施例等と全て同じに作られている。なお、説明に使用される符号は、同一構造の部材には、上記第1〜11実施例と同じ符号が用いられている。
【0126】
この第12実施例(図18)の特徴は、枠板11の端部分に上方に突出された台形ブロック110が作られている。つまり、枠板11の内側に向けて傾斜した斜面111と、その斜面111に連なる平坦な上面112とを備える台形に台形ブロック110が形成されている。また、蓋3が、枠板11上に載置された際、蓋3の辺縁部分が、この台形ブロック110に嵌合する凹面部113に加工されている。そして、台形ブロック110の上面112に接する凹面部113に「アリ溝」構造の外周溝114が作られており、台形ブロック110の斜面111に接する凹面部113に「アリ溝」構造の内周溝115が作られている。
【0127】
外周溝114に外周パッキン27が填め込まれており、内周溝115に内周パッキン28が填め込まれている。さらに、外周溝114から内周溝115に連なる凹面部113の表面部分が薄く削られて、折れ曲がった間隙116が形成されている。なお、蓋3と枠板11とが接する各面(上面15、裏面26等)は滑らかな平面に形成されており、蓋3と枠板11との密着性が確保されている。
【0128】
台形ブロック110の内部でしかも上面112内部に、間隙116へ向けて開口された複数の微小穴16が垂直方向に穿設されている。この微小穴16(図18では図示せず、図2、6参照)は、上記第1実施例と同じように、枠板11内に設けられたバキューム孔14と繋げられている。蓋3が枠板11上に載置されると、外周パッキン27が台形ブロック110の上面112に密着されると共に、内周パッキン28が台形ブロック110の斜面111に密着される。これにより、間隙116の気密性が確保される。
【0129】
そして、バキューム孔14に挿入された真空引き用ホース35(第1実施例と同一構造)でバキューム孔14内が真空引きされると、間隙116の空気が吸引される。これにより、蓋3の凹面部113と、枠板11の台形ブロック110とが密着される。なお、蓋3を枠板11から外すのは、第1実施例と同様に、バキューム孔13(図2参照)に挿入されているリークピン38が引き抜かれることで、行われる。なお、この第12実施例のバレルメッキ装置1による使用方法等は、上記第1実施例と同じであるので、その説明は省略する。
【0130】
(14)第13実施例。
図19には、本発明の第13実施例の蓋3の部分拡大図が示されている。図20には、本第13実施例による蓋3、枠板11及び、本第13実施例の特徴である囲い板117の外観が示されている。本第13実施例では、蓋3の周囲が囲い板117によって完全に囲まれる。つまり、囲い板117は、枠板11と同じように、PEEK(ポリエーテル・エーテル・ケトン)などの素材で作られた細木がほぼ四角形の形に囲まれた形状に作られており、しかも囲い板117の内周面120が、蓋3の外周面118と同一サイズに形成されている(図20参照)。よって、囲い板117の内周面120内に、蓋3が完全に嵌合される。
【0131】
また、図19に示されている部分拡大の場所は、図6に示された第1実施例の蓋3と同じように、枠板11上に載置される蓋3と囲い板117の部分である。なお、この第13実施例における蓋3、囲い板117以外の各部材の構造は、上記第1実施例等と全て同じに作られている。なお、説明に使用される符号は、同一構造の部材には、上記第1〜12実施例と同じ符号が用いられている。枠板11上に囲い板117と蓋3が載置されるが(図19参照)、囲い板117の下面に「アリ溝」構造の外周溝121が作られている。
【0132】
また、蓋3の外周面118に「アリ溝」構造の第1内周溝122が形成されており、蓋3の裏面26に同じ構造の第2内周溝123が形成されている。これ故、枠板11上に蓋3と囲い板117が載置された場合、外周溝121、第1内周溝122、第2内周溝123それぞれの相対的な位置が三角形の頂点となるように配置されている(図19参照)。外周溝121には、外周パッキン124が、第1内周溝122には第1内周パッキン125が、第2内周溝123には第2内周パッキン126がそれぞれ填め込まれている。
【0133】
さらに、囲い板117の下面において、溝121から溝123方向にあるその下面部分が薄く削られると共に、蓋3の裏面26における溝123から溝121方向にある裏面26部分も薄く削られて水平間隙127が形成されている。さらに、蓋3において、第1内周溝122より下に位置する外周面118部分も薄く削られて、垂直間隙128が作られている。これら水平間隙127と垂直間隙128により逆T字型の間隙が、枠板11、蓋3、117の間に形成される。蓋3、囲い板117及び枠板11とがそれぞれに接する各面(上面15、裏面26、外周面118等)は滑らかな平面に形成されており、蓋3と囲い板117と枠板11との密着性が確保されている。
【0134】
また、枠板11の上面15には、水平間隙127へ向けて開口された複数の微小穴16が垂直方向に穿設されている。この微小穴16(図19では図示せず、図2、6参照)は、上記第1実施例と同じように、枠板11内に設けられたバキューム孔14と繋げられている。蓋3が囲い板117と共に枠板11上に載置されると、外周パッキン124及び第2内周パッキン126が枠板11の上面15に密着されると共に、第1内周パッキン125が囲い板117の内周面120に密着される。これにより、水平間隙127及び垂直間隙128の気密性が確保される。
【0135】
そして、バキューム孔14に挿入された真空引き用ホース35(第1実施例と同一構造)でバキューム孔14内が真空引きされると、水平間隙127及び垂直間隙128の空気が吸引される。これにより、蓋3が囲い板117と吸着しつつ枠板11の上面15に吸着される。なお、蓋3及び囲い板117を枠板11から外すのは、第1実施例と同様に、バキューム孔13(図2参照)に挿入されているリークピン38が引き抜かれることで、行われる。なお、この第13実施例のバレルメッキ装置1による使用方法等は、上記第1実施例と同じであるので、その説明は省略する。
【0136】
(15)第1補助具。
図21には、枠板11上に載置された蓋3を、更に上方より押さえる第1補助具である補助具130の装着状態が示されている。図22には、図21のバレルメッキ装置1のII−II’方向に観る垂直断面の様子が示されている。図23には、補助具130が使用される際に用いられる蓋3の外観が示されている。図24には、補助具130の装着時を示す図が示されている。補助具130は、丸くかつ細長い心棒軸131を中心に、その心棒軸131の軸端132、軸端133部分の軸中心に、長尺かつ薄い板で作られた押し板134、押し板135がそれぞれ填め込まれて作られている。
【0137】
つまり、補助具130は、全体がH型の外観を有した補助具である。なお、心棒軸131の長さは、蓋3の長辺方向の長さにほぼ等しく作られている。他方、この補助具130が装着される平歯車5の内側の面136には、円柱状の小さなロッド137、138が水平に溶接されている。同様に、平歯車4の内側の面にも円柱状の小さなロッド139、140が水平に溶接されている。これらロッド137、138とロッド139、140の下に補助具130の心棒軸131が填め込まれる。つまり、平歯車4の内面に二つの並列配置されたロッド137、138の間に、心棒軸131の丸い外周が填め込まれて固定される(図22参照)。
【0138】
また、蓋3の表面18の四隅には、押し板134、135の両端を下から押し上げるためのピン141、142、143、144が立設されている(図23参照)。これらピン141、142、143、144は、頭頂部分が丸く、しかも小さな突起状の物で、その高さは、心棒軸131の半径長より若干大きく作られている。上記押し板134、135の板の長さは、ピン141と平歯車5に取り付けられたロッド138との間の長さ(図22の中括弧147)より大きくされている。
【0139】
上記補助具130は、蓋3の固定補助に用いられる。つまり、枠板11上に蓋3が載置され、その蓋3が、真空引きで枠板11に固定されるが、その後、蓋3の上方より蓋3をさらに押さえて固定の補助に用いられる。以下、補助具130の装着方法について説明する。心棒軸131を、蓋3の長手方向(図21の矢印51方向)と平行に保持しつつ、ロッド137、138、ロッド139、140の下へと滑り込まされる(図22の矢印145方向)。図24には、補助具130の押し板134がロッド137、138の下に挿入された状態が示されている。この状態で、押し板134の端146がピン141の上に乗せられる。
【0140】
この状態では、ロッド137、138が補助具130の水平スライドの動きを妨げることはない。つまり、押し板134、135は、何らの外力を受けていない。そして、心棒軸131がロッド137、138、139、140の下に強く押し込まれる。すると、ロッド137、138で心棒軸131の軸端132部分が、ロッド139、140で心棒軸131の軸端133部分がそれぞれ挟持される(図21、22参照)。ピン141、142、143、144の高さは、心棒軸131の半径の長さより大きく作られているので、ピン141、142、143、144で押し板134、135の両端が押し上げられることとなる。
【0141】
この結果、押し板134、135が心棒軸131を中心にUの字状に撓まされることになる(図22参照)。逆に、押し板134、135の反発力により、蓋3のピン141、142、143、144部分が枠板11に強く押しつけられることとなる。これにより、枠板11への蓋3の固定が補助される。このように、補助具130は、蓋3のバレル本体2への固定を補助するために用いられる。
なお、補助具130の素材は、バレルメッキ装置1と同様な、PEEKその他の強化プラスチックが用いられる。
【0142】
(16)第2補助具。
図25には、本発明で使用される第2の補助具148の外観が示されている。図26には、蓋3における補助具148の取り付け位置の様子が示されている。図27には、補助具148が取り付けられたバレルメッキ装置1の側方から観る垂直断面の様子が示されている。この補助具148は、螺子を指で直接回すことが出来るよう、螺子の頭部に、つまり149が設けられた、所謂、ちょう螺子である。しかも、螺子部分には、上下方向に所定間隔を開けて2つのOリング150、151が巻装されている。
【0143】
この補助具148により、蓋3の固定を補助するべく、蓋3の六ヶ所(図26に示された、蓋3の各補助具148の位置)に雌ねじ152が螺設されている。この雌ねじ152は、蓋3の表面18から裏面26までを完全に貫通されている。また、蓋3の六ヶ所に設けられた雌ねじ152に対応する、枠板11の六ヶ所にも、雌ねじ153が設けられている(図27参照)。このような蓋3の雌ねじ152と、枠板11の雌ねじ153は、外周パッキン27と内周パッキン28との間に設けられている。
【0144】
そして、蓋3が枠板11上に真空引きで吸着される際、雌ねじ152と雌ねじ153とを貫通させるように補助具148がねじ込まれることで、蓋3の固定が補助される。なお、補助具148のOリング150が蓋3内部に位置し、Oリング151が枠板11内部に位置するので、パッキン27、28で仕切られる間隙33の気密性が保持される。
【0145】
また、雌ねじ152、153の穿設位置は、パッキン27、28の間である必要は必ずしもなく、パッキン27、28の間から外れた位置に設けられても良い。その場合には、Oリング150、151が不要となる。さらに、補助具148で蓋3を固定する箇所は、蓋3の四隅のみであってもよい。
【0146】
(17)第3補助具。
図28には、本発明で使用される第3の補助具であるレバー式クランパー154の平面図が示されている。図29には、このレバー式クランパー154を用いて蓋3が枠板11に固定された様子が示されている。このレバー式クランパー154は、回転支持ピン155を中心に回動される平板状のレバー156と、このレバー156のほぼ中央に装着された楕円形のリング157と、このリング157が掛け止めされるフック板158とから構成されている。そして、レバー156が引き起こされた状態(図28では、手前側)で、リング157の先端部分が、フック板158のフック159に掛け止めされる。
【0147】
その後、レバー156が倒されることで、フック板158とレバー156との間に牽引力が生成される。これは、レバー156の回動支点が回転支持ピン155であり、リング157の取り付け位置がレバー156の側面のほぼ中央という位置関係のズレによる。つまり、梃子の原理が利用されたものである。
【0148】
レバー式クランパー154の回転支持ピン155(レバー156)は、枠板11の側面12に装着されており、フック板158は、蓋3の側面にビスなどで装着されている。そして、レバー式クランパー154のリング157が、フック板158のフック159に掛けられた状態で、レバー156が倒されると、上記されたように、フック板158とレバー156との間で、牽引力が生成されるので、枠板11への蓋3の固定が補助される。なお、レバー式クランパー154は、蓋3の一方の側面に、等間隔で3カ所か、若しくは2カ所ずつ装備される。
【0149】
よって、蓋3全体では、6カ所(図26に示された、補助具148が取り付けられた位置の蓋3の側面)か又は4カ所がレバー式クランパー154で固定される。このレバー式クランパー154の素材は、ステンレスその他の腐食に強い金属が好ましいが、場合によっては、PEEKその他の硬質プラスチックで作られても良い。
【0150】
(18)第4補助具。
図30には、本発明で用いられる第4の補助具160の外観が示されている。この補助具160は、蓋3の上に載置された角棒163から引き出されたゴムリング164が、枠板11の側面12に設けられたフックピン165に、引かれつつ掛けられる。これにより、蓋3の枠板11上への固定が補助される。ゴムリング164は、弾力性のあるゴム、NBRその他の素材が輪状に作られている。このゴムリング164が、角棒163の端部を上下方向から貫通されたピン161に巻装されて、角棒163の端から引き出されている。
【0151】
なお、角棒163の両端それぞれから、ゴムリング164が引き出されており、その両端のゴムリング164で蓋3の対向する二つ辺を、短手方向に上方から挟みつつ、枠板11の側面12に設けられたフックピン165に掛けられる。蓋3上には、3本(若しくは2本)の角棒163が短手方向に並べて設置されるが、その間隔は、ほぼ等間隔とされている(図31参照)。
【0152】
(19)第5補助具。
図32には、本発明で用いられる第5の補助具166の外観が示されている。この補助具166は、PEEKその他のプラスチック材料を用いたコの字型の外観を持つ部品であり、上下所定間隔を開けつつ平行に配置された上方プレート167と下方プレート168とを、1つの板で上下に繋いだ形状に作られている。そして、枠板11上に真空引きで吸着された蓋3の上面に、上方プレート167が填め込まれ、枠板11の下面に下方プレート168が填め込まれる。これにより、蓋3と枠板11とが上下方向からクリップされるので、蓋3の固定が補助される。
【0153】
補助具166が装着される蓋3の位置は、第3補助具(レバー式クランパー154)と同様、蓋3の側部に少なくとも2カ所(3箇所以上でも良い)設置される。なお、上方プレート167、下方プレート168の内側に小さな鉤爪を設けて、蓋3及び枠板11から容易に離脱させないようにしてもよい。
【0154】
上記された各補助具は、枠板11への蓋3の固定をサポートするものであり、本発明では、必ずしも必要とされない。特に、蓋3の裏面26の周囲に張り巡らされた二本のパッキン27、28の間にできる間隙が略真空にされることで、強い吸引力で蓋3が、バレル本体2の投入口10の枠板11に固定される。特に、本発明のように、パッキン27、28の間に形成される間隙33の圧力が0.07メガパスカル前後に真空引きされると、蓋3は1キロ/1平方センチメートルの力で固定されることとなる。
【0155】
これにより、内部に被処理物が投入されて、バレルメッキ装置1が回転されても、蓋3が外れることはない。しかも、蓋3の周囲全体が枠板11に密着されているので、蓋3と、バレル本体2の枠板11との間に隙間が発生することはない。
【0156】
(20)応用例。
本発明は上記実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、微小穴7、19の開けられた部分を1つのブロック部品とし、そのブロック部品を交換することで、穴の径を変えることができるバレルメッキ装置1とされてもよい。例えば、蓋3に設けられた区画20、21、22、23それぞれが、単体の1枚板の部品とし、それらの区画20、21、22、23部分の板を交換できるようにする。各区画20、21、22、23内には、微小穴19が開けられているので、各区画20、21、22、23の板を交換することで、微小穴19の径を変更させることができる。
【0157】
本発明のバレルメッキ装置1であるバレル本体2、枠板11、ピンバルブ40、リークピン38、平歯車4、5、蓋3、囲い板117、補助具130、補助具148、角棒163及び補助具166等は、PEEK、耐熱塩化ビニール、PP=ポリプロピレン、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、ステンレスの何れかで作られても良いし、ガラス、炭素繊維、陶器、磁器、セラミックスなどで製造されてもよい。また、蓋3がステンレスなどの金属で作られ、バレル本体2がPEEK、PVDFなどのプラスチックで作られても良いし、バレル本体2が金属で作られ、蓋3がプラスチックで作られても良い。つまり、各部品それぞれが異なる素材で作られても良い。
【0158】
また、蓋3と枠板11との間に形成される間隙を作るための溝(外周溝30その他)の数についても、3個以上でもよく、本発明では、その数を限定するものではない。特に、第13実施例のように、蓋3と枠板11以外の囲い板117を1個以上用いて、溝の数を増加させ、間隙の形状をより複雑にしてもよい。間隙33の形状についても、直線的なものや、Tの字型や、Lの字型、Vの字型以外の様々な形に作られても良い。
【0159】
さらにまた、パッキン(外周パッキン27その他)が填め込まれる溝も、蓋3の裏側のみならず、枠板11の上面など如何なる位置に設けられても良く、本発明では特にその位置を限定するものではない。
【0160】
また、枠板11への蓋3の固定をサポートする補助具(補助具130その他)の形状及び使用法についても、上記各例に本発明は限定するものではない。例えば、枠板11脇の平歯車4、5の内側に溝を掘り、その溝に蓋3がスライドされて填め込まれた後、真空引きで蓋3が枠板11に固定される方法でもよい。補助具166(図32)のプレート167、168が蓋3と枠板11それぞれの側面に突き刺すことで蓋3と枠板11との固定が補助される器具でもよい。ゴムリング164を両端に具備する角棒163が、丸棒で作られていても良い。蓋3上に載置され、蓋3の固定補助に用いられる角棒163が3本以上であってもよい。
【0161】
さらに、上記各実施例では、枠板11上に蓋3が載置された後、真空引きで蓋3が枠板11に吸着されたが、枠板11の内側(バレル本体2内)から蓋3が装着されて、吸着されてもよい。例えば、枠板11の開口部分からバレル本体2内へ、蓋3が挿入された後、枠板11の裏側に蓋3が持ち上げられて付着され、真空引きで固定されてもよい。つまり、蓋3が落とし蓋のような構造でもよい。
【0162】
さらにまた、蓋3全体の外形についても、上記各実施例のような長方形のみならず、正方形、円形、楕円形、三角形、菱形等如何なる外形であってもよい。
【0163】
パッキン27、28が填め込まれる溝30、31その他の溝の断面形状についても、上記各実施例のような「アリ溝」以外の形状でもよい。例えば、四角形、円形、楕円形、三角形等如何なる形でもよい。しかも、パッキン27、28その他のパッキンの断面形状についても、円形、楕円形、正方形その他の多角形等如何なる形状でもよい。
【0164】
また、枠板11の側面に設けられるバキューム孔13、14についても、1つのバキューム孔で、吸引と空気のリークが行われてもよい。つまり、バキューム孔14内に装着される傘型シール41を備えたピンバルブ40を抜き差しする手段を設けることで、バキューム孔13とリークピン38が省かれても良い。加えて、バキューム孔13及びバキューム孔14が蓋3の側面に設けられても良い。
【0165】
蓋3の外周部分を全体に取り巻くように設けられたパッキン27、28についても、小さな円形のパッキンが蓋3の周囲に分散して配置されると共に、その円形のパッキン内に円形の間隙が設けられても良い。つまり、蓋3の裏面26(図5参照)において、上記第1実施例で埋めこまれたパッキン27、28の部分に小さな円形のパッキンを間欠的に配置する。そして、その円形のパッキン内を間隙として、真空引きさせるようにしてもよい。なお、その複数の間隙から空気を吸い出すべく、枠板11上に微小穴16が多数設けられる必要はある。
【0166】
パッキン27、28、外周パッキン124、第1内周パッキン125、第2内周パッキン126、Oリング150、151及びゴムリング164の素材についても、NBR、天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム(=SBR)、合成ゴムなど如何なるものが用いられても良い。しかし、好ましくは、メッキ処理液などの薬剤に対する耐性の強い素材が用いられるのが好ましい。
【0167】
上記微小穴19の形状は、丸穴、角穴、長穴、十字形、星形、直線状スリット、曲線状スリット、スプライン状、ジグザグ状など、どのような形状でもよい。間隙33、57、64、80…は、蓋3側、枠板11側、いずれ側に形成されてもよい。間隙33、57、64、80…は、1つの蓋3または1つの枠板11に、複数箇所設けられてもよい。間隙33、57、64、80…は、上述のように1つの蓋3または1つの枠板11の周面に全て形成されてもよいし、周面の一部だけに設けられてもよい。
【0168】
上述した外周パッキン27、内周パッキン28、外周パッキン124、第1内周パッキン125、第2内周パッキン126は、間隙33、57、64、80…の周縁のほか、間隙33、57、64、80…の周縁のやや内側、間隙33、57、64、80…の外側に設けられてもよい。このパッキン27、28、124、125、126は、間隙33、57、64、80…の形成されていない蓋3または枠板11に設けられ、間隙33、57、64、80…に対向する位置に設けられてもよい。
【0169】
上述したように間隙33、57、64、80…は、蓋3と枠板11とが接する面にいくらかの空気のある隙間を形成する凹んだものである。上述した外周パッキン27、内周パッキン28、外周パッキン124、第1内周パッキン125、第2内周パッキン126は、細長い環状のものであり、間隙33、57、64、80…の周囲に埋め込まれ、この間隙33、57、64、80…を塞いで、当該間隙33、57、64、80…の周囲からの気密性を保持するものである。上記微小穴16とバキューム孔14は、上記間隙33、57、64、80…に繋がり、当該間隙33、57、64、80…の内部の空気を吸引するためのものである。この空気の吸引によって上記間隙33、57、64、80…の気圧を下げ、これにより上記蓋3を上記枠板11に密着させることができる。
【0170】
(21)請求項の解説。
[1]本発明の表面処理装置用バレル/バレルメッキ装置は、表面に微小穴(微小穴19)を多数備える板で作られた蓋(蓋3)と、 この蓋によって閉じられる本体(バレル本体2)の投入口(投入口10)の周囲に形成された枠板(枠板11)と、 この蓋と枠板とが接する面に隙間を形成する間隙(間隙33、57、64、80他)であって、蓋または枠板に形成された間隙と、 上記蓋及び枠板の何れか一方にのみか(第1実施例〜第7実施例、第10実施例等)、又はそれぞれに埋め込まれた(第8、9実施例)細長い環状のパッキン(外周パッキン27、内周パッキン28、外周パッキン124、第1内周パッキン125、第2内周パッキン126)であって、上記間隙の周囲に埋め込まれ、この間隙を塞いで、当該間隙の周囲からの気密性を保持するためのパッキンと、 上記間隙に繋がり、当該間隙の内部の空気を吸引するため、上記蓋か又は上記枠板に穿たれた吸引孔(微小穴16とバキューム孔14)とを備え、 この空気の吸引によって上記間隙の気圧を下げ、これにより上記蓋を上記枠板に密着させることを特徴とする。(これにより、簡便な操作で蓋3を枠板11に吸着させて固定させることができる。)
【0171】
[2]上記特徴に加え、上記枠板と接する上記蓋の面に凹部又は凸部(凹部59)を設けると共に、この蓋に設けられた凹部又は凸部に密着して嵌合する、凸部又は凹部(凸ブロック58)を上記枠板の上記蓋と接する面に設けたことを特徴とする。(これにより、枠板11上で蓋3がずれることを確実に防止できる。)
【0172】
[3]上記特徴に加え、上記蓋に設けられた凹部又は凸部と、上記枠板に設けられた凸部又は凹部との間の一部か又は全体に上記間隙(間隙57、間隙72、間隙77、水平間隙127、垂直間隙128他)が形成されることを特徴とする。(これにより、蓋3と枠板11との吸着部分を拡大させることができる。)
【0173】
[4]上記特徴に加え、上記蓋に設けられた凹部又は凸部にのみ、上記パッキンが埋め込まれて(第6実施例、第7実施例)、上記間隙の両端の気密性を保持させるか、又は、上記枠板に設けられた凸部又は凹部にのみ、上記パッキンが埋め込まれて(第3実施例、第5実施例)、上記間隙の両端の気密性を保持させるか、又は、上記蓋に設けられた凸部又は凹部に一方のパッキンが埋め込まれ、上記枠板に設けられた凸部又は凹部に他方のパッキンが埋め込まれて(第8実施例、第9実施例)、上記間隙の両端の気密性を保持させることを特徴とする。(これにより、間隙の気密性を高めることができる。)
【0174】
[5]上記特徴の他、上記蓋の全周囲を密着しつつ囲う囲い板(囲い板117)と、この囲い板と、上記蓋及び枠板とが接する面に上記間隙(水平間隙127、垂直間隙128)が形成されると共に、これら蓋、枠板及び囲い板それぞれにリング状のパッキン(外周パッキン124、第1内周パッキン125、第2内周パッキン126)が埋め込まれて、上記間隙の気密性が確保されることを特徴とする。(これにより、蓋3のズレを防止しつつ、蓋3と枠板11との吸着性を高められる。)
【0175】
[6]上記特徴に加え、上記蓋が上記枠板に固定される際、上記蓋の外部に取り付けられて、上記枠板へ上記蓋を押さえつける補助具(補助具130、補助具148他)を備えることを特徴とする。(これにより、枠板11への蓋3の固定をより確実に行える。)
【0176】
[7]上記[6]において、上記補助具が、上記蓋の四隅を上方より押さえるH型の板材(補助具130)か、又は、上記蓋と枠板とを貫通して螺子止めする螺子手段(補助具148)か、又は、上記蓋及び枠板の側面に装着されるクランパー(レバー式クランパー154)か、又は、上記蓋及び枠板の側面に装着される弾性部材による牽引手段(角棒163とゴムリング164とフックピン165からなる補助具160)か、又は、上記蓋及び枠板の側面に装着される挟持手段(補助具166)であることを特徴とする。(これにより、枠板11への蓋3の固定をより確実に行える。)
【0177】
[8]上記特徴に加え、上記蓋、枠板、本体、補助具それぞれがPEEK、耐熱塩化ビニール、ポリプロピレン、PVDF、ステンレス、ガラス、炭素繊維、陶器、磁器、セラミックスの何れかで作られていることと、
上記パッキンがアクリロニトリル・ブタジエンゴム、天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、合成ゴムの何れかで作られていることを特徴とする。(これにより、処理液に対する耐腐食性が高まる。)
【0178】
[9]上記特徴に加え、上記パッキンが埋め込まれる溝の断面形状が多角形(アリ溝、四角形、円形、楕円形、正方形等)に形成されていることと、上記吸入孔(バキューム孔14)に空気の逆流防止弁(傘型シール41)が封入されていることと、上記蓋又は枠板に、ピン(リークピン38)の着脱で、上記間隙(間隙33等)への空気流入をさせるリーク孔(バキューム孔13)が設けてあるこを特徴とする。(これにより、簡便な方法で、枠板11に吸着している蓋3を外すことができる。)
【0179】
[10]本発明のバレルメッキ装置は、表面に微小穴(微小穴19)を多数備える板で作られた蓋(蓋3)と、この蓋によって閉じられる本体(バレル本体2)の投入口(投入口10)の周囲に形成された枠板(枠板11)と、この蓋と枠板とが接する面(上面15と裏面26)に形成される間隙(間隙33、57、64、80他)と、この間隙の端を塞いで気密性を保持するべく、上記蓋及び枠板の何れか一方にのみか(第1実施例〜第7実施例、第10実施例等)、又はそれぞれに埋め込まれた(第8、9実施例)リング状のパッキン(外周パッキン27、内周パッキン28、外周パッキン124、第1内周パッキン125、第2内周パッキン126)と、上記間隙内部の空気を吸引するため、上記蓋か又は上記枠板に穿たれた吸引孔(微小穴16とバキューム孔14)とを備えることを特徴とする。(これにより、簡便な操作で蓋3を枠板11に吸着させて固定させることができる。)
【0180】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明では、蓋の裏面の辺縁部分に、二つ以上の溝を設けて、それらの溝に、蓋の周囲全体を取り巻くパッキンを填め込む。そして、その二つ以上の溝の間に間隙を設け、その間隙を減圧することで、蓋をバレル本体の投入口部分に作られた枠板に、強力に吸着させる。これにより、蓋がバレル本体の投入口に確実かつ強固に固定される。この結果、被処理品が内部に投入されて、処理液中でバレル本体が回転されても、被処理物の重み、酸性(アルカリ性その他の)処理液の影響及び、温度変化などによって蓋が歪むことをより確実に防止できる。しかも、蓋が固定されるバレル本体部分に隙間が極めて出来にくいので、バレル本体と蓋との間に被処理品が填り込むことや、バレル本体から被処理品が落下するといったことを確実に防止できる。これにより、処理対象品に不良品が発生することを極力防止でき、生産性をより高めることができる。しかも、蓋の経年変化が小さいので、バレルメッキ装置自体のランニングコストの低減に寄与できる。
【0181】
また、バレル本体への蓋の固定が、真空引き用ホースによる吸引のみで実施できると共に、バレル本体からの蓋の開放も、簡単な構造のピンを引き抜くだけで行えるので、ハンマーによる取手の叩き(若しくは取手の回転)といった従来の煩わしい作業を必要とせず、蓋閉めと蓋開放作業が極めて簡便となる。さらに、蓋には、従来のようなカシメ固定具がないので、蓋全体に微小孔を設けることが可能である。このため、微小孔の全数と各孔の径の総和で定まる、蓋全体の開口率が、従来装置に比べて改善されるので、処理液のバレル本体内への流出入がより迅速かつ滑らかになる。結果、メッキ、洗浄、還元、中和その他の処理に必要な時間の短縮に寄与できる。すなわち、被処理品への処理時間の短縮による製造コストの低減に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のバレルメッキ装置1の外観を示す。
【図2】 蓋3が外されたバレルメッキ装置1の外観を示す。
【図3】 バレルメッキ装置1の垂直断面を示す。
【図4】 蓋3の表面18を示す。
【図5】 蓋3の裏面26を示す。
【図6】 第1実施例の蓋3及び枠板11の垂直断面の様子を示す。
【図7】 第2実施例の蓋3及び枠板11の垂直断面の様子を示す。
【図8】 第3実施例の蓋3及び枠板11の垂直断面の様子を示す。
【図9】 第4実施例の蓋3及び枠板11の垂直断面の様子を示す。
【図10】 第5実施例の蓋3及び枠板11の垂直断面の様子を示す。
【図11】 第6実施例の蓋3及び枠板11の垂直断面の様子を示す。
【図12】 第7実施例の蓋3及び枠板11の垂直断面の様子を示す。
【図13】 第8実施例の蓋3及び枠板11の垂直断面の様子を示す。
【図14】 第9実施例の蓋3及び枠板11の垂直断面の様子を示す。
【図15】 第10実施例の蓋3及び枠板11の垂直断面の様子を示す。
【図16】 第10実施例の蓋3及び枠板11の外観を示す。
【図17】 第11実施例の蓋3及び枠板11の垂直断面の様子を示す。
【図18】 第12実施例の蓋3及び枠板11の垂直断面の様子を示す。
【図19】 第13実施例の蓋3及び枠板11の垂直断面の様子を示す。
【図20】 第13実施例の蓋3、囲い板117、枠板11の外観を示す。
【図21】 補助具130の外観とバレルメッキ装置1の外観を示す。
【図22】 補助具130及びバレルメッキ装置1の垂直断面の様子を示す。
【図23】 補助具130が使用される蓋3の外観を示す。
【図24】 補助具130の使用方法説明の様子を示す。
【図25】 補助具148の外観を示す。
【図26】 蓋3への補助具148の装着位置を示す。
【図27】 補助具148が装着されたバレルメッキ装置1の垂直断面の様子を示す。
【図28】 レバー式クランパー154の外観を示す。
【図29】 蓋3及び枠板11にレバー式クランパー154が装備された様子を示す。
【図30】 補助具160の外観を示す。
【図31】 補助具160が付けられた角棒163の装着の様子を示す。
【図32】 補助具166の様子を示す。
【図33】 従来のバレルメッキ装置500の外観を示す。
【図34】 従来のバレルメッキ装置500の上観の様子を示す。
【図35】 従来のバレルメッキ装置500の投入口506の垂直断面の様子を示す。
【符号の説明】
1…バレルメッキ装置、2…バレル本体、3…蓋、4…平歯車、5…平歯車、6…穴、7…微小穴、9…フランジ、10…投入口、11…枠板、12…側面、13…バキューム孔、14…バキューム孔、15…上面、16…微小穴、17…コーナー、18…表面、19…微小穴、20、21、22、23…区画、24、25…リブ、26…裏面、27…外周パッキン、28…内周パッキン、29…歯、30…外周溝、31…内周溝、32…中括弧、33…間隙、34…外界、35…真空引き用ホース、36…深部、37…ホース挿入部、38…リークピン、39…ネジ穴、40…ピンバルブ、41…傘型シール、42…溝、43…Oリング、44…取手、45…ロッド、46…Oリング、47…凹み、48…ガイド突起、49…傾斜面、50…内面、51…矢印、52…矢印、55…外周溝、56…内周溝、57…間隙、58…凸ブロック、59…凹部、60…外周溝、61…内周溝、62…外周溝、63…内周溝、64…間隙、65…外周溝、66…内周溝、67…側面、68…間隙、69…内周溝、70…外周溝、71…内壁面、72…間隙、73…凸ブロック、74…凹み、75…外周溝、76…内周溝、77…間隙、78…外周溝、79…内周溝、80…間隙、88…面、89…凸ブロック、90…凹み、91…外周溝、92…内周溝、93…面、94…間隙、95…側壁面ブロック、96、97…辺、98…矢印、99…側面、100…外周溝、101…内周溝、102…間隙、103…斜面、104…傾斜微小穴、105…凸ブロック、106…凹み、107…外周溝、108…内周溝、109…間隙、110…台形ブロック、111…斜面、112…上面、113…凹面部、114…外周溝、115…内周溝、116…間隙、117…囲い板、118…外周面、120…内周面、121…外周溝、122…第1内周溝、123…第2内周溝、124…外周パッキン、125…第1内周パッキン、126…第2内周パッキン、127…水平間隙、128…垂直間隙、130…補助具、131…心棒軸、132…軸端、133…軸端、134…押し板、135…押し板、136…面、137…ロッド、138…ロッド、139…ロッド、140…ロッド、141…ピン、141、142、143、144…ピン、145…矢印、146…端、147…中括弧、148…補助具、149…つまり、150…Oリング、151…Oリング、152…雌ねじ、153…雌ねじ、154…レバー式クランパー、155…回転支持ピン、156…レバー、157…リング、158…フック板、159…フック、160…補助具、161…ピン、163…角棒、164…ゴムリング、165…フックピン、166…補助具、167…上方プレート、168…下方プレート、500…バレルメッキ装置、502…本体、503…蓋、504…円形平板、505…円形平板、506…投入口、507…固定具、508、509…固定具、510…固定板、511…ボルト、512…ボルト、513…先端、514…辺縁リブ、515…穴、516…辺縁部分。

Claims (5)

  1. 表面中央に微小穴を多数備える板で作られ、酸性とアルカリ性及び加温と冷却のメッキ処理液それぞれに浸されることによって歪みが生じる合成樹脂の素材でできた蓋と、
    この蓋によって閉じられる本体の投入口の周囲に形成された、酸性とアルカリ性及び加温と冷却のメッキ処理液それぞれに浸されることによって歪みが生じる合成樹脂の素材でできた枠板と、
    この蓋の上記微小穴を備えていない周縁部分と枠板とが密着する面の中に隙間を形成する間隙であって、枠板及び蓋の当該周縁に沿って連続して形成された間隙と、
    この間隙内の周囲において二重に環状に連続して埋め込まれ、この間隙を上記周囲の密着面から塞いで、当該間隙の気密性を当該周囲の密着面から保持する、上記蓋の周縁又は上記枠板のアリ溝内から若干突出する状態で当該アリ溝内に埋め込まれた細長いパッキンと、
    上記間隙に繋がり、当該間隙の内部の空気を吸引するとともに空気の逆流を防止する、上記蓋か又は上記枠板に穿たれた吸引孔とを備え、
    この空気の吸引によって上記間隙の気圧を下げ、これにより上記蓋の全周囲を上記枠板に密着させ、さらに当該空気の逆流を許容することで上記蓋を上記枠板から取り外し可能とさせることを特徴とする上記酸性とアルカリ性及び加温と冷却のメッキ処理液それぞれに全体が浸され、被処理物が収納される表面処理装置用バレル。
  2. 上記間隙は蓋に設けられた凹部、又は上記枠板に設けられた凹部であることを特徴とする請求項記載の表面処理装置用バレル。
  3. 上記間隙の周囲において二重に環状に連続して埋め込まれた上記パッキンは、
    この二重の一方が上記蓋に埋め込まれ、他方が上記枠板に埋め込まれるか、
    若しくは当該二重の両方とも上記蓋に埋め込まれるか、
    または当該二重の両方とも上記枠板に埋め込まれることを特徴とする請求項1又は2記載の表面処理装置用バレル。
  4. 上記蓋の全周囲を密着しつつ囲う囲い板と、
    この囲い板と上記蓋、当該囲い板と上記枠板、上記蓋と上記枠板とがそれぞれ密着する面に上記間隙が形成されると共に、
    これら蓋、枠板及び囲い板それぞれに上記環状のパッキンが埋め込まれて、上記間隙の気密性が確保されることを特徴とする請求項1又は3記載の表面処理装置用バレル。
  5. 上記蓋が上記枠板に固定される際、上記蓋の外部に取り付けられて、上記枠板へ上記蓋を押さえつける補助具を備えることを特徴とする請求項1、2、3又は記載の表面処理装置用バレル。
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