JP3834178B2 - 双方向光通信器および双方向光通信装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、双方向に光信号を送受信することのできる双方向通信器に関し、より詳しくはプラスチック光ファイバ等のマルチモード光ファイバを伝送媒体として、家庭内通信や電子機器間通信、LAN(Local Area Network)等に使用することのできる双方向光通信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
情報化社会の進展に伴い、光ファイバによるネットワーク技術が注目されている。特に近年のプラスチック光ファイバ(以下POF)の低損失化・広帯域化に伴い、家庭内通信や電子機器間通信への応用が進んでいる。従来、光ファイバを伝送媒体として信号光の送受信を行う光通信装置においては、二本の光ファイバを用いた全二重方式のものが主流であった。しかし、二本の光ファイバを用いた場合、光通信器の小型化が困難であることや、伝送距離が長くなるに伴い光ファイバのコストが高くなるという問題があった。このため、一本の光ファイバを用いて、全二重方式の光通信を行う、双方向光通信器が提案されている。
【0003】
このような光通信器では、送信・受信を同一の光ファイバで行うことから、送信光と受信光の混信を防止することが重要となる。受信光に送信光が混信する原因としては、▲1▼送信光が光ファイバに入射する時に光ファイバ端面で反射する場合(以下、近端反射と表記)、▲2▼光ファイバを伝播した送信光が光ファイバより出射する時に光ファイバ端面で反射する場合(以下、遠端反射と表記)、▲3▼通信相手の双方向通信器からの反射する場合(以下、相手モジュール反射と表記)がある。
【0004】
従来より提案されている代表的な方式としては、特開平10−153720号公報に開示されているように、偏光分離素子を用いて送受信光を分離する方法がある。この例を図5を基に説明する。
【0005】
図5において、レーザダイオード104より発せられる送信光113は、S偏光状態でプリズム108の斜面部上の偏光反射膜110に入射される。この送信光113は、偏光反射膜110で、その大部分を反射されて、レンズ106により集光されて、光ファイバ102に結合する。一方、光ファイバ102から放射される受信光115は、レンズ8で集光され、偏光反射膜110に入射する。マルチモードの光ファイバ102から出射した受信光115は、略半分が偏光反射膜110で反射され、残りの半分が透過し、受光素子105に結合する。光ファイバ2で反射された送信光113はS偏光であるため、偏光反射膜110で略全てが反射され、受光素子105には結合せずに、近端反射による混信を防止することができる。
【0006】
また、特開平11−237535号公報に開示されているように、送信光の反射光を、受光面に入射しないように、送信光角度を調整した方式がある。この例を図6を基に説明する。
【0007】
図6において、発光素子204より発せられる送信光213は、レンズ206により集光されると共に、立上げミラー208により光路変換されて、光ファイバ202に入射する。光ファイバから出射される受信光215は光ファイバ202に対向して配置された受光素子205の受光面217に結合される。送信光213は受信光215が光ファイバ202から出射する方向とは異なる方向にそって光ファイバ202に入射される。このため、光ファイバ202で反射された反射光214は受光素子205の受光面217以外の部分に照射され、近端反射による混信を防止することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
特開平10−153720号公報に開示されている方式では、受信光の約半分が偏光反射膜110により反射されるため、約3dBの受信損失が生じてしまい、効率的な光の利用が行なえないという問題があった。また、近端反射の防止は可能であるが、遠端反射、および、相手モジュール反射は偏光がそろっていないため、受信光との分離が困難であるという問題があった。更にまた、偏光を利用していることから、発光素子として、安価な発光ダイオード(LED)を用いることができず、更に、高価な偏光分離膜が必要であるため、コストが高くなるという問題があった。
【0009】
また、特開平11−237535号公報に開示されている方式では、送信光213を受信光215と異なる方向にそって入射させているため、送信光213の光ファイバ202への入射NAが大きくなり、光ファイバ202との結合効率が悪くなるという問題があった。
【0010】
ところで、開口部を形成した光ファイバカプラが実開昭63−26810号公報に開示されている。この例を図7を基に説明する。
【0011】
図7において、光ファイバ302aを伝搬してきた光は、ロッドレンズ306aによってコリメートされて平行光となり、一部は光分岐結合素子308の開口部309を通過し、ロッドレンズ306bにより集光されて、光ファイバ302bに結合する。また、光分岐結合素子308の開口部309以外の部分に照射された光は、反射されて、ロッドレンズ306cで集光され、光ファイバ302cに結合する。平行光の径と光分岐結合素子308の開口部309の径を変化させることにより、分岐効率を変化させることができる。
【0012】
この光ファイバカプラの、光ファイバ302b、302cの替わりに、それぞれ、送信素子、受信素子を配置すれば、送受信光の分岐が可能となり、双方向光通信器として用いることができるが、この場合、送信光と受信光との混信防止対策が考慮されていないため、半二重方式での通信しか行なうことができなかった。すなわち、光ファイバ202aのチルトやわずかな組立て誤差が生じるだけで、、光ファイバ202aからの反射光は開口部209以外の光分岐結合素子208に戻り、受光素子と結合してしまう。また、ロッドレンズ206aの端面からの反射も混信の原因となる。更にまた、この構造では、遠端反射や相手モジュール反射を抑制することが困難であった。
【0013】
本発明は、これらの課題を鑑みてなされたものであり、すなわち、一本の光ファイバにより全二重方式の双方向通信が可能であり、送信および受信共に光の損失が少なく、受信光への送信光の混信を防止することが可能であり、また、特にPOFのように大口径の光ファイバとも高効率で結合させることができ、安価で小型の双方向光通信器、および、双方向光通信装置を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
第1の発明の双方向光通信器は、端面の少なくとも一部に光軸に対して傾斜した傾斜領域を有する一本のプラスチック光ファイバを用いて、送受信を行う双方向光通信器において、送信光を発し、前記光ファイバにおける前記傾斜領域に送信光を照射する送信手段と、前記光ファイバからの受信光をほぼ全反射する反射部と、前記受信光が反射される領域の一部に前記送信光を透過する開口部と、を有する光分離手段と、前記光分離手段よりも前記傾斜領域にて反射された前記送信光側に配置されると共に前記反射部によりほぼ全反射された受信光を受光する受光手段と、を備える。
【0015】
さらに、前記受光手段が設けられ、かつ、前記光分離手段に固定されると共に、前記受信光の光路外に配され、前記傾斜領域にて反射された前記送信光が直接入射して前記受光手段に結合しないようにする遮光手段と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
第2の発明の双方向光通信器は、第1の発明の双方向光通信器において、前記送信手段は、前記送信光を収束して前記光ファイバに入射させる収束手段を備えており、前記送信光の前記光ファイバにおける入射位置は、前記光ファイバの中心から、前記光ファイバの端面において前記送信光が反射される方向側にずれていることを特徴とする。
【0019】
第3の発明の双方向光通信器は、第1乃至第2の発明のいずれかの双方向光通信器において、前記光ファイバの光軸に垂線と前記傾斜領域とのなす角α、前記光ファイバの開口数NAf、コア屈折率n1、送信光の光軸と光ファイバの光軸のなす角β、送信光の開口数NAbとが、
arksin[NAf−n1×sin(α)]+α
<2×[α+β−arksin(NAb)]
を満たすことを特徴とする。
【0020】
第4の発明の双方向光通信装置は、第1乃至第3の発明のいずれかの双方向光通信器と、該双方向光通信器に対して光を送受信する前記光ファイバと、を備えたことを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
(第1実施の形態)
本発明に係る第1実施の形態について、図1、図2に基づいて説明する。
【0022】
図1は、双方向光通信装置の構成を示す概略図である。双方向光通信装置3は、伝送するデータ信号に基づく、伝送に適した変調光を双方向に伝送するための光ファイバ2と、光ファイバ2の両端に光学的に結合するように、それぞれ接続された各双方向通信器1とを備えている。
【0023】
図2は、本発明の第1実施の形態における双方向通信器を説明する概略断面図である。双方向通信器1は、データ信号に基づく変調光を生成する発光素子4と、光ファイバ2からの変調光を受光してデータ信号を生成するための受光素子(受光手段)5と、発光素子(送信手段)4からの送信光をNA変換する送信レンズ6と、その一部に光学的な開口部9を形成した光分離素子(光分離手段)8とを有している。
【0024】
まず、図2における主要な構成要素について具体的に説明する。
【0025】
光ファイバ2は、例えばPOF等のマルチモード光ファイバを用いることが好ましい。POFはコアがPMMA(PolymethylMethaAcrylate)やポリカーボネート等の光透過性に優れたプラスチックからなり、クラッドは上記のコアより屈折率の低いプラスチックで構成されている。このような光ファイバ2では、石英光ファイバに比べそのコアの径を約200μmから約1mmと大きくすることが容易であることから、双方向光通信器1との結合調整が容易であり、安価な双方向光通信装置3を得ることができる。
【0026】
また、コアが石英ガラスよりなり、クラッドがポリマーで構成されたPCFを用いても良い。PCFはPOFに比べると価格が高いが、伝送損失が小さく、伝送帯域が広いという特徴がある。このため、PCFを伝送媒体とすることにより長距離での通信やより高速での通信を行うことができる双方向光通信装置3を得ることができる。
【0027】
発光素子4は、半導体レーザや、発光ダイオード(LED)等からなる。発光素子4の波長としては、使用する光ファイバ2の伝送損失が少ない波長で、かつ安価であることが好ましい。例えば、光ファイバ2としてPOFを用いる場合、DVD等で量産効果のある、波長650nmの半導体レーザ等を用いることができる。また、発光素子4の後部には、モニター用フォトダイオード12が配置されており、発光素子4の光量を一定に保つようにしている。
【0028】
受光素子5としては、受光した変調光の強弱を電気信号に変換し、発光素子4の波長域で感度の高いフォトダイオードを使用し、例えば、シリコンを材料とするPINフォトダイオードや、アバランシェフォトダイオード等を用いる。受光素子5の受光面17は例えば、窒化シリコンを0.1μm程度形成することで受信光15の反射を防止し、受光効率を向上させている。また、受光面17以外の部分にも、例えば、黒色の着色レジスト等、使用する波長領域での光吸収率が高く、反射率の低い材料により、反射防止膜16が形成されている。受信光15は全てが受光面17に入射するわけではなく、その一部が受光面17以外に入射して、反射し、相手モジュール反射の原因となる。このため、受光素子5の受光面17以外の部分にも、反射防止膜16を形成することにより、より確実に相手モジュール反射を抑制することが可能となる。
【0029】
光分離素子8はPMMAあるいはポリカーボネート等のプラスチックを材料とし射出成形等により作製した基板11(ガラス等のプラスチック材料以外で構成しても良い)に、アルミニウムや金等といった反射率の高い金属材料で反射面(反射部)10を形成したものを用いる。光分離素子8は反射面10側が曲面となっており、開口部9を有している。なお、ここで言う開口部9とは上述の反射面10を延長した面における開口を指している。
【0030】
基板11における開口部9の直下の部分は中空部となっており、その中空部の送信素子4側には、送信レンズ6であるボールレンズが取りつけられている。このように中空部に送信レンズ6を取りつけることにより、送信光13の光軸の位置合わせを容易にすることができる。
【0031】
また、光分離素子8には、遮光部材(遮光手段)18が固定されており、その遮光部材18に受光素子5が設けられている。
【0032】
次に、本構成の双方向光通信器の動作について説明する。
【0033】
発光素子4により生成された送信光13は、発光素子4の放射角にしたがって放射状に発散する。その後、送信レンズ6で任意の開口数NAbに変換されて集光され、光分離素子8の開口部9を通過し、光ファイバ2に結合する。
【0034】
一方、光ファイバ2を伝播してきた受信光15は光ファイバ2の開口数NAfにしたがって、放射状に発散する。そして、光分離素子8の曲面形状の反射面10でほぼ全反射し、且つ、集光されて受光素子5に結合する。このように、光分離素子8を曲面とすることにより、受信レンズが不要となり、低コストで、かつ、組み立ての容易な双方向光通信器1を得ることができる。この、光分離素子8の曲面は、受光素子5と光ファイバ2端面の近傍に焦点を持つ回転楕円体とすることにより、光ファイバ2から出射した受信光15を効率良く受光素子7に結合させることが可能となる。
【0035】
また、光ファイバ2端面で反射される送信光(反射送信光)14は、光分離素子8の反射面10の外方に反射されて、受光素子5には結合しない。具体的には、反射送信光14は遮光部材18の端面に入射して反射面10とは反対側に反射される。ここで、反射送信光14が入射する遮光部材18は受信光15の光路外に配置されているため、この遮光部材18により受光量が減少することがなく、効率的である。
【0036】
光ファイバ2の端面は傾斜角10°(図中α)程度に加工されている。すなわち、図2中において、右側(A方向側)では端面が双方向通信器の手前にまで延びており、左側(B方向側)では端面が双方向通信器の奥側にとどまっている。このような光ファイバ2は、例えばPOFを用いる場合には、端面を傾斜させてホットプレートに押し付けて溶融させることにより、容易に加工製造が行える。光ファイバ2の端面を傾斜させることにより、光ファイバ2端面で反射した反射送信光14は図2中のB方向に反射し、受信光15は逆方向(A方向)に屈折して出射するため、反射送信光14を容易に受信光15より外側に反射できる。したがって、受光素子5への反射送信光14の結合を抑制して、近端反射による混信を防止できる。
【0037】
また、光ファイバ2端面を傾斜させておけば、遠端面での反射光を低減させることが可能となり、遠端反射が原因となる混信を低減させることが可能となる。光ファイバ2が傾斜していると、送信光13は光ファイバ2への入射時に屈折する。このため、屈折後に光ファイバ2の光軸と平行になるように、送信光13を光ファイバ2の光軸に対して傾斜させて入射させることにより、結合効率を向上させることができる。
【0038】
また、送信光13は光ファイバ2の中心より送信光13が反射される方向側、つまりB方向側(端面が奥にある側)に入射させる方が良い。こうすることで、B方向側に反射される反射送信光14を受信光15の光路から分離することが容易になる。
【0039】
次に、光ファイバ2で反射された反射送信光14が受光素子5に結合しないための条件について図3を基に説明する。
【0040】
受信光15に反射光14が混信しないためには、光ファイバ2から出射する受信光15の広がり角(図中θ1)を、反射送信光14の広がり角(図中θ2)より小さくする必要がある。受信光15の広がり角θ1は、光ファイバ2の開口数NAf、傾斜角α、コア屈折率n1により決定される。図3中のB方向(左方向)の広がり角θ1は、
θ1=arksin{NAf−n1×sin(α)}+α
となる。
【0041】
一方、反射送信光14の広がり角θ2は、送信光13の開口数NAb、送信光13と光ファイバ2の光軸のなす角βと、光ファイバ2の傾斜角αによって決定される。送信光13は、その反射送信光14が光ファイバ2の鈍角方向(図の左側)に反射するように入射される。光ファイバ2の鈍角方向での反射送信光14の広がり角はθ2は最小で、
θ2=2{α+β−arksin(NAb)}
となる。
【0042】
従って、θ1<θ2となるように、各パラメータを決定することにより、反射光14を受信光15から分離することが可能となる。なお、上記数式は、光ファイバ2外部の屈折率を1として計算している。
【0043】
また、送信光13は、光ファイバ2へ入射時に、傾斜角αにより屈折して入射するため、送信光13と光ファイバ2の光軸のなす角βを、
β=arksin(NAf)−θ1
とすることにより、光ファイバ2に入射後、光ファイバ2の光軸と平行となり、送信光13の光ファイバ2への結合効率を良くすることができる。
【0044】
次に、光分離素子8による、送信・受信分離による損失について説明する。
【0045】
受信光15は光ファイバ2を出射後、光ファイバ2の開口数NAfに従って広がる。光ファイバ2の半径をRfとすると、光ファイバ2から距離L離れた光分離素子8の位置では、受信光15は、およそ直径2×(Rf+L×NAf)に広がっている。そして、その内の光分離素子8の開口部9の面積分が反射されないため、受光素子5に結合せずに損失となる。すなわち、距離Lを長く、開口部9の面積を小さくすることにより損失を低減することができる。例えば、光ファイバ2の径を1mm、開口数NAf=0.3、光ファイバ2と光分離素子8の間隔Lを1.5mm、開口部9をφ0.3mmとすると、損失は約0.1dBとなる。
【0046】
一方、送信光は開口部9を通過するため、分離損失は生じない。従って、偏光反射膜を用いた方式での受信分離損失3dBに比べ大幅に分離損失を低減することが可能となる。また、開口部9は、受信光15が入射する位置、すなわち光ファイバ2の開口数NAf内にあるため、送信光13を光ファイバ2の開口数NAf以下の開口数NAbで入射させることが可能であり、送信光13の光ファイバ2への結合効率を良くすることができる。
【0047】
以上のように、第1実施の形態で示した双方向通信器1を用いることにより、近端反射、遠端反射、および、相手モジュール反射が少なく、一本の光ファイバ2により全二重方式の双方向光通信が可能となる。また、受信光15と反射光14とを小径の開口部9により分離しているため、低損失での分離が可能となる。
【0048】
(参考例)
続いて、参考例について図4に基づいて説明すれば以下の通りである。ただし、この参考例では、第1実施の形態にて説明した部分と同様の機能を有する部材については、第1の実施の形態と同一の部材番号を付与して、その説明を省いた。
【0049】
本構成では、光ファイバ2は、端面が円錐形状となっている。また受信光が通過する開口を有するコの字型の遮光部材18に受光素子5が設けられており、上記遮光部材に囲まれた領域内に受信レンズ7が設けられている。
【0050】
送信光13は送信用レンズ6で開口数NAbに変換されて、光分離素子8の開口部9を通過して、光ファイバ2の端面の中心部に、光軸に平行に入射して、光ファイバ2に結合する。一方、光ファイバ2を伝播してきた受信光15は、光分離素子8により反射され、受信レンズ7により集光されて、受信光が通過する開口を有するコの字型の遮光部材18の中にある受光素子5に結合する。また、光ファイバ2端面での送信光13の反射送信光14は、光分離素子8の反射面10の外方に反射されて、受光素子5には結合しない。具体的には受信光15の光路外において遮光部材18の外壁に入射し、遮光部材18内には入射しないようになっている。このように受信光15の光路外において遮光部材18に反射送信光14が入射するようになっているため、遮光部材18により受信光15が遮られることがなく、効率的である。
【0051】
光ファイバ2の端面は傾斜角10°(図中α)程度で円錐形状に加工されている。光ファイバ2の端面を円錐形状にすることにより、光ファイバ2の遠端面での反射光を低減させることが可能となり、遠端反射が原因となる混信を低減させることが可能となる。また、円錐形状では、光ファイバ2の光軸に対して対称であるため、双方向光通信器1との接続方向を気にする必要がなくなる。
【0052】
送信光13は、開口部9において焦点となるように、送信レンズ6により集光されることが好ましい。開口部9位置を焦点とすることにより、開口部9面積を小さくすることができ、受信損失を低減することができる。
【0053】
また、第1実施の形態で示したように、
となるように、各パラメータを決定することにより、より確実に近端反射を防止することができる。また、受信レンズ7、および、受光素子5を遮光部材18で覆うことにより、迷光による混信を防止することができる。
【0054】
以上のように、参考例で示した双方向通信器1を用いることにより、遠端反射、近端反射、相手モジュール反射を抑制することができ、結合効率のよい、双方向光通信装置3を得ることができる。
【0055】
なお、以上の実施の形態では、光ファイバとして端面全体が傾斜したもの及び端面が円錐状のものを用いる例について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、光ファイバ端面の少なくとも1部が傾斜しているものであっても良い。この場合、送信光はその傾斜部分に入射させることが望ましい。
【0056】
また、上記実施の形態において送信光、受信光、反射送信光等の光束についてはそれぞれの光束の光軸に垂直な面において、最大強度の1/e2以上の強度を有する部分を言うものとする。
【0057】
なお、本実施の形態で示した構成は、一例であり、もちろんその一部を変更した構成によっても同様の効果を得ることが可能である。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、光ファイバで反射した送信光を、受信光と分離して光分離素子の反射面外に導くことにより、近端反射による混信を防止することができるとともに、送信光の分離損失がなく、受信光の分離損失も低減できる。また、遠端反射による混信も防止することができる。
【0059】
また、光ファイバ端面が円錐形状であるものとすれば、送信光を光ファイバの中心に入射させても、反射光は外周部に反射するため、光ファイバの軸ずれによる送信効率の変動が少なくなる。
【0060】
さらに、光ファイバの光軸の垂線と光ファイバ端面の傾斜あるいは円錐形状のなす角αと、光ファイバの開口数NAf、コア屈折率n1、送信光の光軸と光ファイバの光軸のなす角β、送信光の開口数NAbとが、
の関係を満足すれば、反射光が受信光より広がるため、確実に近端反射を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の双方向通信装置の構成を説明する概略図である。
【図2】 第1実施形態の双方向通信器を説明する概略図である。
【図3】 本発明の近端反射防止方法を説明する概略図である。
【図4】 参考例の双方向通信器の構成を説明する概略図である。
【図5】 従来の光通信器の構成を示す説明図である。
【図6】 従来の光通信器の構成を示す説明図である。
【図7】 従来の光通信器の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1 双方向光通信器
2 光ファイバ
3 双方向光通信装置
4 送信素子
5 受信素子
6 送信レンズ
7 受光レンズ
8 光分離素子
9 送信領域
10 反射面
11 基板
12 モニターフォトダイオード
13 送信光
14 反射光
15 受信光
16 反射防止膜
17 受光面
18 遮光部材
Claims (4)
- 端面の少なくとも一部に光軸に対して傾斜した傾斜領域を有する一本のプラスチック光ファイバを用いて、送受信を行う双方向光通信器において、
送信光を発し、前記光ファイバにおける前記傾斜領域に送信光を照射する送信手段と、
前記光ファイバからの受信光をほぼ全反射する反射部と、前記受信光が反射される領域の一部に前記送信光を透過する開口部と、を有する光分離手段と、
前記光分離手段よりも前記傾斜領域にて反射された前記送信光側に配置されると共に前記反射部によりほぼ全反射された受信光を受光する受光手段と、
前記受光手段が設けられ、かつ、前記光分離手段に固定されると共に、前記受信光の光路外に配され、前記傾斜領域にて反射された前記送信光が直接入射して前記受光手段に結合しないようにする遮光手段と、を備えたことを特徴とする双方向光通信器。 - 請求項1に記載の双方向光通信器において、
前記送信手段は、前記送信光を収束して前記光ファイバに入射させる収束手段を備えており、
前記送信光の前記光ファイバにおける入射位置は、前記光ファイバの中心から、前記光ファイバの端面において前記送信光が反射される方向側にずれていることを特徴とする双方向光通信器。 - 請求項1または2に記載の双方向光通信器において、
前記光ファイバの光軸に垂線と前記傾斜領域とのなす角α、前記光ファイバの開口数NAf、コア屈折率n1、送信光の光軸と光ファイバの光軸のなす角β、送信光の開口数NAbとが、
arksin[NAf−n1×sin(α)]+α
<2×[α+β−arksin(NAb)]
を満たすことを特徴とする双方向光通信器。 - 請求項1乃至3のいずれか1つに記載の双方向光通信器と、該双方向光通信器に対して光を送受信する前記光ファイバと、を備えたことを特徴とする双方向光通信装置。
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