JP3834081B2 - 炭素原子数4〜6のアルカンジオールの(メト)アクリル酸モノエステルを分離もしくは製造する方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、C4〜C6−アルカンジオールの(メト)アクリル酸モノエステルおよびC4〜C6−アルカンジオールを含有する水溶液から有機溶剤を用いての抽出によってC4〜C6−アルカンジオールの(メト)アクリル酸モノエステルを分離する方法に関する。
【0002】
“(メト)アクリル酸”は、短く略記されて使用されており、かつアクリル酸またはメタクリル酸を表わす。
【0003】
【従来の技術】
C4〜C6−アルカンジオールの(メト)アクリル酸モノエステルは、公知である(例えば、Ullmann's Encyclopaedie der technischen Chemie, Polyacryl-Verbindungen bis Quecksilber, 第19巻、第4版、Chemie社刊(1980)、第10頁)。この化合物は、二官能性(ヒドロキシル基およびモノエチレン性不飽和基)のために重要な出発化合物である。例えば、この化合物は、ビニル系不飽和コモノマーとして例えば結合剤として適した、ラジカル重合によって製造される重合体の場合に好適である。しかし、前記化合物は、アルコール性化合物として重合体類縁物の反応にも好適である(例えば、縮合反応または付加反応)。
【0004】
C4〜C6−アルカンジオールの(メト)アクリル酸モノエステルを、適当な共留剤を用いての共沸蒸留によって生じる水の除去下に酸エステル化触媒の存在下で相応するアルカンジオールを用いての(メト)アクリル酸の直接のエステル化によって製造することは、一般に知られている(例えば、ドイツ連邦共和国特許第1518572号明細書および欧州特許出願公開第465853号明細書)。アルコールは、酸エステル化触媒の影響下に一般に、例えばエーテル形成のような副反応を生じる傾向があるので、エステル化は、僅かに過剰量のアルカンジオールを用いて行なわれるにすぎない。このような条件下で通常、著量で相応するジエステルが形成され、したがって生成物混合物として一般に、本質的に
−共留剤、
−アルカンジオール、
−モノエステルおよび
−ジエステル
からなるようなものが得られ、このものから望ましいモノエステルが分離されなければならない。
【0005】
要求される分離のための課題の欠点は、
− アルカンジオール、モノエステルおよびジエステルの沸点が減少された圧力下であっても高められた温度であり;
− アルカンジオール、モノエステルおよびジエステルの沸点が極めて接近しており;
− ビニル系不飽和モノエステルおよびジエステルが殊に縮合された段階で高められた温度で高められた重合傾向を示すことにある。
【0006】
出発酸としてのアクリル酸およびアルカンジオールとしての1,4−ブタンジオールの場合には、重要な沸点は、常圧(1atm)下で例えば次のとおりである:
− 1,4−ブタンジオール:230℃(Roempp Chemie Lexikon, 第9版, Thieme Verlag, Stuttgart, 1989);
− 1,4−ブタンジオールモノアクリレート:約230℃(Technische Information TI/ED 1331 d 1987, BASF AG);
− 1,4−ブタンジオールジアクリレート:約225℃(Ullmanns Encyklopaedie der techniechen Chemie, 第19巻, Verlag Chemie, Weinheim, 1980, 第9頁)。
【0007】
この前提条件下では、精溜による分離は経済的視点から実際に問題にならない(ドイツ連邦共和国特許出願公開第4228397号明細書、第1頁参照)。ドイツ連邦共和国特許第1518572号明細書には、生成物混合物を分離するために、この生成物混合物に水を添加し、かつ水相中でジエステルを抽出剤で抽出することが推奨されている。特に、抽出剤としては、ジエステルを含有する有機抽出液相を直接にエステル化に返送することができるようにするために、同時に共留剤としてエステル化に適当であるものが使用される。さもなければ、抽出剤の使用前に共留剤は、反応混合物と場合によっては蒸留により分離すべきあろう。同時に共留剤として機能しうる抽出剤は、例えば65〜120℃の沸点(1atmで)を有する脂肪族炭化水素および脂環式炭化水素、例えばヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンまたはメチルシクロヘキサンであり、この場合シクロヘキサンは、特に有利である。前記の抽出の場合には、水相として、本質的に水、アルカンジオールおよび望ましい価値のある生成物としてのアルカンジオールの(メト)アクリル酸モノエステルからなる水溶液が生じる。
【0008】
この水溶液から出発して、この成分の記載された沸点を考慮しながらモノエステルおよびアルカンジオールへの精溜による分離は本質的に排除される。実際には、水の蒸留による分離を考えることができるが、しかし、この場合には、多数の使用目的には殆ど使用することができない、アルカンジオールで汚染されたモノエステルが得られるであろう(例えば、アルカンジオールは、ラジカル重合の際に規則的な作用を有するために望ましい分子量を損ないうるかまたはジイソシアネートとの反応の際に望ましくない架橋を導きうる)。
【0009】
ドイツ連邦共和国特許第1518572号明細書には、問題の解決として、モノエステルを水溶液から適当な有機溶剤を用いての抽出によって分離しかつ引続きこの抽出剤を蒸留により除去することが提案されている。このように適当で、課された課題を満足に解決する抽出剤として、専ら塩化メチレンが明示されている。しかし、塩化メチレンの使用についての欠点は、記載されていない毒性が懸念されることである。
【0010】
欧州特許出願公開第465853号明細書には、前記方法で生成物混合物中の反応されていないアルカンジオールの含量を最少にするために、著量の添加され前形成されたジエステルの存在下にエステル化を実施することが推奨されている。更に、欧州特許出願公開第465853号明細書には、生成物混合物から触媒作用を有する酸を洗浄除去し、その後に水の不在下でジエステル化合物をドイツ連邦共和国特許第1518572号明細書にも推奨されているように相応する抽出剤を用いて直接に抽出し、この抽出の際に抽出剤中に移るモノエステルをさらに同じ抽出剤から水で洗浄除去し、その際に生じる水相をモノエステルに富んだ抽出相と合わせ、かつジエステルをエステル化に返送することが推奨されている。モノエステルおよび微少量のアルカンジオールを含有する水相に関連して、低沸点成分を蒸留により分離することが専ら推奨されている。
【0011】
こうして、専らアルカンジオールで汚染されたモノエステルが得られることは、欠点である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、C4〜C6−アルカンジオールの(メト)アクリル酸モノエステルおよびC4〜C6−アルカンジオールを含有する水溶液から塩化メチレンとは異なる有機溶剤を用いての抽出によってC4〜C6−アルカンジオールの(メト)アクリル酸モノエステルを分離する方法を提供することであり、この場合この有機溶剤は、抽出による効果の点で塩化メチレンと本質的に等しいが、しかし、危険性は減少される。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この課題の解決のため、イソブチルアセテート、メチル−第三ブチルエーテル、ならびに記載された有機溶剤の混合物を包含する群からの有機溶剤を抽出剤として使用することを特徴とする、C4〜C6−アルカンジオールの(メト)アクリル酸モノエステルおよびC4〜C6−アルカンジオールを含有する水溶液から有機溶剤との抽出によってC4〜C6−アルカンジオールの(メト)アクリル酸モノエステルを分離する方法が見い出された。
【0014】
【発明の実施の形態】
好ましい本発明による抽出剤は、酢酸およびC 4−アルカノールからなるエステル、殊にイソブチルアセテートである。更に、メタノールおよび第三ブタノールからのエーテルが適当である。その上、前記の有機溶剤の混合物は、本発明による抽出剤として適当である。
【0015】
本発明により使用すべき抽出剤は、常圧での沸点(一般に<150℃)が抽出により吸収すべき(メト)アクリル酸モノエステルの場合と十分に異なることを示し、このことは、有機抽出剤の次の1回の蒸留による分離を保証する。
【0016】
更に、抽出作用は、吸収すべき(メト)アクリル酸モノエステルとは異なり本質的に塩化メチレンの場合に相応する。即ち、同一容量の抽出剤を使用することを前提条件下にこの抽出剤は、C4〜C6−アルカンジオールの(メト)アクリル酸モノエステルを含有する水溶液との接触の際にこの水溶液から25℃で本質的に同一の平衡量のモノエステル、例えば塩化メチレンを吸収することを可能にする。
【0017】
本発明による方法の他の有利な性質は、本発明により使用すべき抽出剤を塩化メチレンと比較可能な程度にC4〜C6−アルカンジオールとこのC4〜C6−アルカンジオールの(メト)アクリル酸モノエステルとの間で選択することができることにある。
【0018】
また、水中での本発明により使用すべき抽出剤の溶解度は、塩化メチレンの相応する溶解度と比較可能な方法の場合には、僅かであり、このことは、水を含有する溶液中への抽出剤の移行を最少にする。
【0019】
本発明により使用すべき抽出剤もしくは塩化メチレン中での水の溶解度を考慮した場合には、同一の相対的割合が当てはまる。
【0020】
換言すれば、本発明により使用すべき抽出剤は、意外なことに本質的に同じ効果をもって公知技術の側で同じ目的にとって望ましい塩化メチレンに代わることができる。
【0021】
C4〜C6−アルカンジオールの(メト)アクリル酸モノエステルを製造するためにドイツ連邦共和国特許第1518572号明細書に記載の方法を使用する場合には、
− C4〜C6−アルカンジオール >0〜15重量%、
− C4〜C6−アルカンジオールの(メト)アクリル酸モノエステル >0〜15重量%、
− 他の化合物(例えば、(メト)アクリル酸、触媒の酸、ジエステル、重合抑制剤等)3重量%までおよび
− 残量としての水
を含有する水溶液がしばしば生じる。
【0022】
本発明による方法は、殊にこのような前記溶液からC4〜C6−アルカンジオールの(メト)アクリル酸モノエステルを抽出により分離するために適当である。
【0023】
このことは、殊に1,4−ブタンジオールおよび/または1,6−ヘキサンジオールの相応するエステル化の範囲内で水溶液が生成されている場合に当てはまる。この1,6−ヘキサンジオールは、殊に所属する酸がアクリル酸である場合に関連する。
【0024】
しかし、勿論、本発明による方法は、C4〜C6−アルカンジオールの(メト)アクリル酸モノエステルを前記のモノエステルを経て欧州特許出願公開第465853号明細書に記載のC4〜C6−アルカンジオールの(メト)アクリル酸モノエステルの製造法の範囲内で生じるなお水およびC4〜C6−アルカンジオールを含有する溶液から抽出により分離するためにも適当である。
【0025】
一般に、本発明による方法は、10〜60℃、特に20〜40℃、特に有利に20〜30℃の温度で実施される。温度が増大するにつれて、副反応の確率は高まる。本発明によれば抽出の間の熱の経過は、重要ではない。通常、本発明によれば、抽出は常圧(1atm)で使用される。しかし、抽出は、高められた圧力(作業圧15atmまで)で使用することもできる。
【0026】
本発明によれば、抽出は、意外なことに、本発明による抽出剤が例えば加水分解または類似の副反応に対して敏感であるとしても、本発明による抽出剤の云うに値する損失を生じることなく、酸性の出発水溶液の場合にも、中性の出発水溶液の場合にも、また塩基性の出発水溶液の場合にも使用することができる。
【0027】
一般に、出発水溶液は、エステル化の範囲内で使用される触媒の酸を含有する。また、この出発水溶液の一部は、有機抽出相中に移り、かつこの有機抽出相中で抽出剤の蒸留による分離の際に残留する。望ましい(メト)アクリル酸モノエステル中でこのような酸不純物が支障がある場合には、この酸不純物は、例えば水または水相で洗浄除去することができる。
【0028】
それ自体常用の抽出装置、殊に充填塔は、本発明による抽出の実施のために適当である。この充填塔中で、抽出剤および水溶液は、特に対向流で案内され、この場合有利には、特に重い相は塔の塔頂部から供給される。勿論、本発明による処理過程は、全ての残りの処理過程と同様に常用量の常用の重合抑制剤中のC4〜C6−アルカンジオールの(メト)アクリル酸モノエステルへの途中で実施される。このことは、次の実施例中にも記載されている。このように使用すべき重合抑制剤としては、殊にフェノチアジン、ヒドロキノンおよびヒドロキノンモノメチルエーテルがこれに該当する。
【0029】
次の例につき発明を詳説する。
【0030】
【実施例】
例
(全ての処理過程は、常用量の重合抑制剤中で実施される。)
− 1,4−ブタンジオール6重量%、
− 1,4−ブタンジオールモノアクリレート8重量%、
− 他の化合物<3重量%および
− 残量としての水
を含有し、かつドイツ連邦共和国特許第1518572号明細書に記載の処理形式による1,4−ブタンジオールモノアクリレートの製造の範囲内で生じる酸水溶液100mlを25℃および1atmでそれぞれ種々の抽出剤100mlと内部接触させた。相分離を行なった後、抽出平衡でつぎのものを測定した:
a)水相中の抽出剤の溶解度(LE、水相に対する重量%での記載);
b)有機相中の水の溶解度(LW、有機相に対する重量%での記載);
c)塩化メチレンの1,4−ブタンジオールモノアクリレートに対する抽出による効果、この場合この抽出による効果(塩化メチレン中に溶解された量の1,4−ブタンジオールモノアクリレート)は、任意に100の値に対応させた(EW);
d)抽出剤の選択度(S);Sの測定のために、抽出平衡で存在する有機相をガスクロマトグラフィー分析し、かつ簡単な方法で1,4−ブタンジオールモノアクリレート(分子)と1,4−ブタンジオール(分母)の重量比に対応した面積のピークをSに対する基準として記載した。
【0031】
使用された抽出剤を含めて得られた結果は、次の表に示されている。この表は、付加的に1atmでの沸点(Sdp、℃)を包含している。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】
使用された抽出剤の副反応は、本質的に確認することができなかった。
【0034】
Claims (2)
- C4〜C6−アルカンジオールの(メト)アクリル酸モノエステルおよびC4〜C6−アルカンジオールを含有する水溶液から有機溶剤を用いての抽出によってC4〜C6−アルカンジオールの(メト)アクリル酸モノエステルを分離する方法において、イソブチルアセテート、メチル−第三ブチルエーテル、ならびにこのような有機溶剤からなる混合物を包含する群からの有機溶剤を抽出剤として使用することを特徴とする、C4〜C6−アルカンジオールの(メト)アクリル酸モノエステルの分離方法。
- (メト)アクリル酸をアルカンジオールを用いて酸エステル化触媒の存在下に共留剤を用いての共沸蒸留によって生成される水の除去下にエステル化し、生成物混合物を副生成物として生じるジエステルを含有する有機溶液ならびに使用されるアルカンジオールおよび(メト)アクリル酸モノエステルを含有する水溶液中に抽出により分離し、引続き(メト)アクリル酸モノエステルを使用されるアルカンジオールおよび(メト)アクリル酸モノエステルを含有する水溶液から抽出剤を用いて抽出により分離し、かつ次いで抽出剤および(メト)アクリル酸モノエステルを分離することにより、C4〜C6−アルカンジオールの(メト)アクリル酸モノエステルを製造する方法において、イソブチルアセテート、メチル−第三ブチルエーテル、ならびにこのような有機溶剤からなる混合物を包含する群からの有機溶剤を、水相からの(メト)アクリル酸モノエステルの抽出のための抽出剤として使用することを特徴とする、C4〜C6−アルカンジオールの(メト)アクリル酸モノエステルの製造方法。
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