JP3833927B2 - ワイヤ放電加工機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワイヤ電極または被加工物を目的の形状に沿って移動しながら放電加工を行うワイヤ放電加工機に関するものである。更に詳しくは、外周面に凹凸部分が形成されている被加工物における凹凸部分の一部のみにワイヤカット放電加工を施すことのできるワイヤ放電加工機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ワイヤ放電加工機は、公知のように、加工液が蓄えられて加工槽内に上下方向にワイヤ電極を張り、このワイヤ電極あるいは加工槽内に設置した被加工物を目的とする形状に沿って移動させながら放電加工を行うものである。近年においては水平方向に張られたワイヤ電極を用いて被加工物の放電加工を行う形式のものも知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のワイヤ放電加工機は、外形形状によっては加工できない被加工物があり、対象となる被加工物形状に制約がある。例えば、図2に示すように、円筒状の胴部31に小径の括れ部分32が形成され、この括れ部分32の上端に胴部31よりも小径の円盤状フランジ33が形成されている被加工物10の場合には、ワイヤ放電加工機を用いて、その円盤状フランジ33の外周部分に部分的に切り欠き33aを付けることができない。すなわち、図において想像線で示すようにワイヤ電極4Aは直線状に張られているので、被加工物10を斜めに寝かせるなどの対策を施さないと、胴部31が邪魔になってしまうので、当該円盤状フランジ33の外周部分を部分的に切り取ることができない。
【0004】
本発明の課題は、この点に鑑みてなされたものであり、外周部分に凹凸のある被加工物の凹凸部分の一部を放電加工により切断することのできるワイヤ放電加工機を提案することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、ワイヤ電極または被加工物を目的の形状に沿って移動しながら放電加工を行うワイヤカット放電加工機において、加工位置を通って直線状に張られているワイヤ電極の一部を折り曲げた状態に支持し、このワイヤ電極の折り曲げ部分により、被加工物に放電加工を施すことを特徴としている。
【0006】
すなわち、本発明は、ワイヤ電極または被加工物を目的の形状に沿って移動しながら放電加工を行うワイヤ放電加工機において、ワイヤ電極を加工位置に向けて送り出すワイヤ繰り出し部と、ワイヤ電極を加工位置から回収するワイヤ回収部と、これらワイヤ繰り出し部およびワイヤ回収部の間に張られたワイヤ電極部分を支持しているワイヤ電極支持部とを有し、このワイヤ電極支持部は、前記ワイヤ繰り出し部のワイヤ繰り出し口および前記ワイヤ回収部のワイヤ回収口を結ぶ直線の方向とは異なる方向に、前記ワイヤ電極部分の一部を折り曲げられた状態に支持しており、前記ワイヤ電極支持部は、前記ワイヤ電極部分が折り曲げられた状態で架け渡されている複数のガイドローラと、これらのガイドローラを支持しているローラ支持腕とを備え、このローラ支持腕の位置が、前記ワイヤ繰り出し口および前記ワイヤ回収口を結ぶ直線の方向に調整可能となっており、当該ローラ支持腕の位置を調整することにより、被加工物に放電加工を施すための前記ワイヤ電極部分の前記折れ曲がり部分の位置が変更されることを特徴としている。
【0008】
また、前記ワイヤ電極支持部は、前記ワイヤ電極部分がほぼコの字状に折り曲げられた状態で架け渡されている第1〜第4のガイドローラを備え、これらのうち、第2および第3のガイドローラの間に架け渡されているワイヤ電極部分により放電加工を行うように構成したものを用いることができる。
【0009】
この場合、前記第2および第3のガイドローラの間隔を調整可能とすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したワイヤ放電加工機の実施例を説明する。
【0011】
図1は、本例のワイヤ放電加工機の概略構成を示す構成図である。ワイヤ放電加工機1の基本的な構成は一般的に知られているものと同様であり、加工槽2に溜めた加工液の中に配置された加工テーブル3と、この加工テーブル3の側方位置において上下方向に張られたワイヤ電極4を有している。ワイヤ電極4は、加工槽2の上方に位置するワイヤ繰り出し部5のワイヤ繰り出し口6から繰り出されて、加工槽2の底部に配置されているワイヤ回収部7のワイヤ回収口8から回収される。
【0012】
本例では、加工テーブル3の側が送り機構9によって水平方向に移動する。すなわち、加工テーブル3に設置した被加工物10がワイヤ電極4に対して水平方向に接近および離れる方向に移動する。また、ワイヤ電極4には加工電源11からパルス電流が供給される。
【0013】
ここで、本例のワイヤ放電加工機1はワイヤ電極支持部12を備えており、このワイヤ電極支持部12によって、加工位置を通って直線状に張られているワイヤ電極4の一部がコの字状に折り曲げた状態に支持されており、このワイヤ電極の折れ曲がり部分13により、被加工物10に放電加工を施すように構成されている。
【0014】
図2はワイヤ電極支持部12の部分を取り出して示す部分拡大図である。この図も参照して説明すると、ワイヤ電極支持部12は、第1〜第4のガイドローラ21〜24と、これらのローラを支持しているローラ支持腕25と、このローラ支持腕25を垂直ガイドレール26に沿って昇降させる昇降機構27を備えている。
【0015】
第1〜第4のガイドローラ21〜24によって、ワイヤ繰り出し口6からワイヤ回収口8に向けて直線状に進む電極ワイヤ4は、当該方向とは異なる方向に折り曲げられている。本例ではコの字状に折り曲げられている。すなわち、上方に位置しているワイヤ繰り出し口6から垂直に下方に繰り出されてワイヤ回収口8に向かう電極ワイヤ4は、第1のガイドローラ21によって加工テーブル3の側に直角に折り曲げられ、第2のガイドローラ22に向けて水平に進む。第2のガイドローラによって電極ワイヤ4は第3のガイドローラ23の側に直角に折り曲げられて下向きに垂直に進む。また、第3のガイドローラ23によって電極ワイヤ4は第4のガイドローラ24の側に直角に折り曲げられて水平に進む。さらに、第4のガイドローラ24によってワイヤ電極4はワイヤ回収口8に向けて直角に折り曲げられて下向きに垂直に進む。
【0016】
ワイヤ電極4におけるコの字状に折り曲げられている折れ曲がり部分13における第2および第3のガイドローラ22、23の間に架け渡されている垂直に延びるワイヤ電極部分13aにより被加工物10に対して放電加工が施されるようになっている。
【0017】
また、本例では昇降機構27によってワイヤ電極支持部12を昇降させることができるので、当該ワイヤ電極部分13aを所定の高さ位置となるように調整することができる。勿論、昇降機構27を省略して、ワイヤ電極支持部12を締結具によって多段階の高さ位置に取り付け固定できるようにしてもよい。
【0018】
なお、ワイヤ電極部分13aの長さを調整するためには、第2および第3のガイドローラ22、23の間隔を調整可能としておけばよい。例えば、上側の第2のガイドローラ22を固定配置し、下側の第3のガイドローラ23の位置を上下方向に調整可能とすればよい。この場合、第3のガイドローラ23を昇降機構を介してローラ支持腕25に取り付ければ、ローラ22、23の間隔調整が簡単になる。
【0019】
このように構成した本例のワイヤ放電加工機1においては、図に示すような外周に凹凸部のある被加工物10における従来では不可能であった部位を放電加工により切断することができる。
【0020】
被加工物10は、円筒状の胴部31に小径の括れ部32分が形成され、この括れ部分32の上端に胴部よりも小径の円盤状フランジ33が形成された構成となっている。従来のワイヤ放電加工機を用いて、その円盤状フランジ33の外周部分に部分的に切り欠き33aを付けようとすると、ワイヤ電極が直線状に張られているので、被加工物10を斜めに寝かせるなどの対策を施さないと、胴部31が邪魔になってしまうので、当該円盤状フランジ33の外周部分を部分的に切り取ることができない。
【0021】
本例のワイヤ放電加工機1では、ワイヤ電極支持部12によってワイヤ電極4がコの字状に折り曲げられており、その一部のワイヤ電極部分13aが横方に突出した位置で垂直方向に延びている。従って、図2に示すように、当該ワイヤ電極部分13aにより、胴部31よりも小径の円盤状フランジ33の外周部分に切り欠き33aを付けることができる。
【0022】
また、本例ではワイヤ電極支持部12を昇降可能としてあるので、被加工物10における加工位置に応じてコの字状に折り曲げたワイヤ電極部分13の高さ位置を調整できるので、各種形状の被加工物に対して放電加工を施すことができる。
【0023】
さらに、ワイヤ電極部分13aの長さを調整可能にすれば、加工可能な被加工物の範囲を広げることができる。
【0024】
なお、本例では直線状のワイヤ電極4の一部をコの字状に折り曲げてあるが、この代わりに、例えば、図3に示すように3個のガイドローラ41〜43を利用して横方向に突出した山形に折り曲げてもよい。また、本例では垂直にワイヤ電極4を配置した構成であるが、水平方向あるいは斜めにワイヤ電極を配置した場合においても、その一部をコの字状などに折り曲げることにより、各種形状の被加工物に対して放電加工を行うことが可能になる。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、ワイヤ電極または被加工物を目的の形状に沿って移動しながら放電加工を行うワイヤ放電加工機において、加工位置を通って直線状に張られているワイヤ電極の一部を折り曲げた状態に支持し、このワイヤ電極の折れ曲がり部分により、被加工物に放電加工を施すようにしている。
【0026】
従って、本発明によれば、直線状のワイヤ電極では加工できなかった形状の被加工物に対して放電加工を施すことが可能になる。
【0027】
また、本発明では、ワイヤ電極の折れ曲がり部分の位置を調整可能としてある。さらに、折れ曲がり部分におけるワイヤ電極部分の長さを調整可能としある。従って、各種形状の被加工物に対して放電加工を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したワイヤ放電加工機の概略構成図である。
【図2】図1のワイヤ放電加工機におけるワイヤ電極支持部の部位を示す部分拡大図である。
【図3】ワイヤ電極の折れ曲がり部分の別の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ワイヤ放電加工機
2 加工槽
3 加工テーブル
4 ワイヤ電極
5 ワイヤ繰り出し部
6 ワイヤ繰り出し口
7 ワイヤ回収部
8 ワイヤ回収口
9 送り機構
10 被加工物
31 胴部
32 括れ部
33 円盤状フランジ
11 加工電源
12 ワイヤ電極支持部
13 折れ曲がり部分
13a ワイヤ電極部分
21〜24 ガイドローラ
25 ローラ支持腕
26 ガイドレール
27 昇降機構

Claims (3)

  1. ワイヤ電極または被加工物を目的の形状に沿って移動しながら放電加工を行うワイヤ放電加工機において、
    ワイヤ電極を加工位置に向けて送り出すワイヤ繰り出し部と、
    ワイヤ電極を加工位置から回収するワイヤ回収部と、
    前記ワイヤ繰り出し部のワイヤ繰り出し口および前記ワイヤ回収部のワイヤ回収口の間において直線状に張られているワイヤ電極部分を支持しているワイヤ電極支持部とを有し、
    このワイヤ電極支持部は、前記ワイヤ繰り出し部のワイヤ繰り出し口および前記ワイヤ回収部のワイヤ回収口を結ぶ直線の方向とは異なる方向に、直線状に張られている前記ワイヤ電極部分の一部を折り曲げた状態に支持しており、
    前記ワイヤ電極支持部は、前記ワイヤ電極部分が折り曲げられた状態で架け渡されている複数のガイドローラと、これらのガイドローラを支持しているローラ支持腕とを備え、
    このローラ支持腕の位置が、前記ワイヤ繰り出し口および前記ワイヤ回収口を結ぶ直線の方向に調整可能となっており、
    当該ローラ支持腕の位置を調整することにより、被加工物に放電加工を施すための前記ワイヤ電極部分の前記折れ曲がり部分の位置が変更されることを特徴とするワイヤ放電加工機。
  2. 請求項1において、
    前記ワイヤ電極支持部は、前記ワイヤ電極部分がコの字状に折り曲げられた状態で架け渡されている第1〜第4のガイドローラを備えており、
    これらのうち、第2および第3のガイドローラの間の架け渡されているワイヤ電極部分により放電加工が行われることを特徴とするワイヤ放電加工機。
  3. 請求項2において、
    前記第2および第3のガイドローラの間隔が調整可能であることを特徴とするワイヤ放電加工機。
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