JP3833186B2 - 球欠深さ測定器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、測長器を用いてレンズ凹球面の球欠深さを測定する球欠深さ測定器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、測長器を用いてレンズ凹球面の球欠深さを測定するものとして、株式会社ニコンインステック製の「デジマイクロ」が知られている(例えば、非特許文献1参照)。このデジマイクロについて説明する。図10において、デジマイクロ100は、ベース103と、ベース103に立設された支柱104と、支柱104に保持され上下移動可能なヘッド105と、ヘッド105から垂設され、ベース103上に載置された被測定物Wに接触する測定子101と、測定子101の先端の上下動する位置を表示する表示部102とから構成されている。
【0003】
デジマイクロ100を用いて、小径光学素子(平凹レンズ)である被測定物Wの球欠深さを測定する方法は、以下の手順で行われる。
▲1▼ 図11に示すように、ベース103の上面103aに載置された被測定物Wのレンズ平面部130に測定子101を接触させ、表示器102(図10参照)を0リセットする。
▲2▼ 測定子101を一旦被測定物Wのレンズ平面部130から離し、球欠部131に測定子101を当接させ、被測定物Wをベース103の上面103aで水平方向に動かし、0点との差が表示部102の値で最大値になるところを求め、その最大値を被測定物Wの球欠深さとする。
【0004】
【非特許文献1】
ニコン「測定機総合」、株式会社ニコンインステック測定機事業部、
1997年6月、p.18
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、上記従来技術には、つぎのような問題点があった。すなわち、図11に示すように、測長器の0点リセットを行う位置は、レンズ平面部130で行うことになる。しかし、レンズ平面部130は表面が粗かったり、斜めに傾いている場合がある。このようなレンズ平面部130に測定子101を当てる場合、レンズ平面部130の表面粗さや平面形状により0点リセット位置高さのバラツキが生じ、測定再現性の低下を引き起こすという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、請求項1または2に係る発明の課題は、光学素子の球欠深さを高精度に測定することができる球欠深さ測定器を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、被検レンズの球欠部に触針子を接触させ、値が最大となる位置で球欠深さを測定する球欠深さ測定器において、前記被検レンズを載置する測定台と、該測定台の下に配置され前記触針子を垂直方向に移動させて球欠深さを測定する球欠深さ測定手段と、前記測定台の上に配置され前記被検レンズを保持する被検レンズ保持手段と、該被検レンズ保持手段を互いに直交する2つの水平方向へ移動させるXYステージと、前記測定台に載置された被検レンズの像を拡大する像観察手段とを具備する。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記被検レンズ保持手段には、被検レンズの平面部が測定台の上面に倣うように、前記被検レンズの軸心にそれぞれ直交する2軸を設け、測定時には前記2軸の高さ位置が前記測定台の上面と一致するように構成されたリンク機構を有する。
【0009】
本発明の球欠深さ測定器では、まず、面精度の良い平行平板を測定台の上に置き、被検レンズ保持手段で上方から押さえる。触針子を上昇させて平行平板の下面に当接させ、球欠深さ測定手段の0点リセットを行う。次に、触針子を下方に退避させ、平行平板を取り除き、被検レンズを被検レンズ保持手段に装着する。被検レンズ保持手段を下降させて、被検レンズを測定台の上面に載置する。再び、触針子を上昇させ、被検レンズの球欠部に当接させる。像観察手段によって拡大された触針子と被検レンズとの像を観察しながら、被検レンズをXYステージで移動させて、球欠深さ測定手段によって表示される値の最大値を求め、その最大値を被検レンズの球欠深さの値とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、具体的な実施の形態について説明する。
【0011】
(実施の形態1)
図1〜図6は実施の形態1を示し、図1は球欠深さ測定器の正面図、図2は図1のA矢視方向から見たレンズ保持部の正面図、図3は測定台の正面図、図4は測定台の側面図、図5はプローブを平行平板に当接させて表示器の0点リセットを行う説明図、図6は被検レンズを測定台の上面に載置して被検レンズの球欠深さを測定する説明図である。
【0012】
図1において、球欠深さ測定器は、主に、ベース5の中央に配された測定台1と、測定台1の下方に配された測長器8と、測定台1の上方に配されたレンズ保持部11と、レンズ保持部11を上下動させるリニアガイド13と、リニアガイド13を互いに直交する水平2方向に移動させるXYステージ16と、測定台1の左方に配されたCCDカメラ18とから構成されている。
【0013】
まず、測定台1から説明する。図3および図4において、測定台1の上部は、アングル形をしており、後述するリング照明22の照明光を透過させるために、上面には貫通孔1a、側面には貫通孔1bがそれぞれ穿設されている。貫通孔1aの上面にはガラス平板2が、また下面には三角プリズム3がそれぞれ接着固定されている。また、ガラス平板2には逃げ孔2a、三角プリズム3には逃げ孔3aがそれぞれ穿設され、触針子としてのプローブ4(図1参照)の先端が挿通できるようになっている。
【0014】
図1において、測定台1は、ベース5に立設されたタテイタ6の3本のピンガイド7に沿って位置決めされ、タテイタ6に螺着されている。測定台1の下部には、測長器8が配置され、測長器8の上端にはプローブ4が螺着されている。測長器8は、Lブラケット9を介して上下動可能なZステージ10に固着されている。また、Zステージ10は、ベース5に立設された支柱10Aに固着されている。プローブ4、測長器8およびZステージ10により球欠深さ測定手段を構成している。
【0015】
測定台1の上部には、被検レンズ41(図2参照)を保持する被検レンズ保持手段としてのレンズ保持部11が配置されている。レンズ保持部11は、スペーサ12を介し、上下動可能なリニアガイド13のスライダ13aに固着されている。スペーサ12の上部には、丸棒状の把手14が配設されている。リニアガイド13は、レール板45、保持板15を介してXYステージ16に固着されている。XYステージ16は、下部にブロック17を介してベース5に固着されている。なお、レンズ保持部11には、スライダ13aの上端にて落下しないように、図示しないロック機構が設けられている。
【0016】
測定台1の左方には、CCDカメラ18がブラケット21を介してベース5に固着されている。CCDカメラ18は、測定台1の側面に穿設された貫通孔1bに向けて配置されており、その先端には、接写リング19、撮像レンズ20がそれぞれ螺着されている。さらにCCDカメラ18には、図示しないモニタが接続されCCDカメラ18が捉えた被検レンズ41(図6参照)の拡大映像を放映できるようになっている。撮像レンズ20と測定台1との間には、リング照明22が配設され、図示しないブラケットによりベース5に固着されている。CCDカメラ18、接写リング19、撮像レンズ20、リング照明22および図示しないモニタにより像観察手段を構成している。
【0017】
つぎに、レンズ保持部11について詳細に説明する。図2において、ヤトイ23には、球欠部41aと平面部41bとを有する被検レンズ41が保持されている。ヤトイ23は、レンズ保持部11のチャック24に保持されており、チャック24の内径はヤトイ23の外径より数十μm大きく形成され、ヤトイ23がガタなくチャック24に嵌装できるようになっている。ヤトイ23の上部には、マグネット25が配設され、チャック24はセットビス26でマグネット25に固着されている。マグネット25は、ヤトイ23を磁力で引き上げ、ヤトイ23の落下を防止している。マグネット25の軸心孔にはシャフト27が挿通されセットビス28によって固着されている。シャフト27は、上下動可能かつ回転可能なボールガイド29によってガイドされている。ボールガイド29は、ハウジング30に保持されている。ハウジング30は、ステー31を介してスペーサ12(図1参照)に螺着されている。また、シャフト27には、ストッパ32が螺着され、被検レンズ41、ヤトイ23、チャック24、マグネット25およびシャフト27の落下を防止している。
【0018】
つぎに、上記構成の球欠深さ測定器を用いた球欠深さの測定手順について、図1、図2、図5および図6を用いて説明する。
【0019】
(1)0点リセット
▲1▼ 図5において、測長器8(図1参照)のプローブ4をガラス平板2より下に下降させ、平行平板40をセットする。
▲2▼ 図1に示すように、把手14によりレンズ保持部11を下降させ、チャック24の下面24a(図2参照)を平行平板40の上面40a(図5参照)に載置する。なお、この段階では、チャック24にヤトイ23および被検レンズ41は装着されていない。
▲3▼ つぎに、図1におけるZステージ10を駆動させ、図5に示すように、プローブ4を上昇させ、平行平板40の下面40bに当接させ、測長器8(図1参照)の図示しない表示器を0点リセットする。
▲4▼ プローブ4をガラス平板2より下に下降させる。
▲5▼ 図1に示すように、把手14によりレンズ保持部11を上昇させ、平行平板40を取り出す。
【0020】
(2)球欠深さ測定
▲1▼ 図2に示すように、チャック24に被検レンズ41を保持したヤトイ23を装着し、図1に示すように、把手14によりレンズ保持部11を下降させ、図6に示すように、被検レンズ41の平面部41bをガラス平板2の上面2bに載置する。
▲2▼ つぎに、再び、図1におけるZステージ10を駆動させ、図6に示すように、プローブ4を上昇させ、被検レンズ41の球欠部41aに当接させる。
▲3▼ その状態の映像が、図1におけるリング照明22によって明るくされ、図6における三角プリズム3、図1における撮像レンズ20、接写リング19およびCCDカメラ18に導かれ、図示しないモニタに拡大放映される。その拡大映像を観察しながら、図6におけるプローブ4の先端と被検レンズ41の球欠部41aとの位置を確認する。そして、測長器8(図1参照)の図示しない表示器の値が最大となる位置にXYステージ16(図1参照)を作動させて被検レンズ41を移動させ、表示器の値の最大値を求め、その最大値を被検レンズ41の球欠深さの値とする。
【0021】
本実施の形態によれば、測長器の0点リセットは、測定台上の平行平板にプローブを当接させることにより0点のバラツキを解消し、被検レンズの球欠深さを高精度に測定することができる。また、CCDカメラ等からなる像観察手段によりプローブの平行平板および被検レンズの球欠部への接触状況が観察し易くなり、作業性を向上させることができる。
【0022】
(実施の形態2)
図7〜図9は実施の形態2を示し、図7は球欠深さ測定器の正面図、図8は 図7のA矢視方向から見たレンズ保持部の正面図、図9は図7のA矢視に対して垂直方向から見たレンズ保持部の上面図である。本実施の形態は、実施の形態1とレンズ保持部のみが異なり、他の部分は実施の形態1と同様のため、異なる部分のみ説明し、同一の部材には同一の符号を付し説明を省略する。
【0023】
図7において、測定台1の上部には、被検レンズ41を保持するレンズ保持部50が配置されている。レンズ保持部50は、スペーサ12を介し、上下動可能なリニアガイド13のスライダ13aに固着されている。レンズ保持部50の支持構造に関する他の構成(リニアガイド13、レール板48、保持板15、XYステージ16、ブロック17、ベース5)は実施の形態1と同様である。
【0024】
つぎに、レンズ保持部50について詳細に説明する。図8および図9において、ハウジング51の両側は、軸受け52を介しジク53を中心に回動する。さらに、ジク53が螺着されたハウジング54は、軸受け56を介しシャフト55を中心に回動する。シャフト55の端部には、軸受け56の抜け防止のためのストッパ57がシャフト55に螺着されている。軸受け56の外周にはステー58が配設されスペーサ12に螺着されている。ハウジング51の回動中心(ジク53の軸心)とハウジング54の回動中心(シャフト55の軸心)とは互いに直交するとともに、被検レンズ41の軸心と直交し、被検レンズ41の球欠部41aの球欠深さを測定するときには、その高さ位置は、それぞれ測定台1のガラス平板2の上面2b(図4参照)と一致している。ジク53とジク55とは、被検レンズの軸心に直交する2軸を構成している。またハウジング51、軸受け52、ジク53、ハウジング53、シャフト55、軸受け56、ストッパ57およびステー58はリンク機構を構成している。
【0025】
図7および図8において、レンズ保持部50のハウジング51の上部に突設された円筒部51aは、支柱59を介してステー58に取着された傾斜規制プレート60の規制孔60aに嵌入しており、規制孔60aの内径寸法と円筒部51aの外径寸法の隙間以上に、レンズ保持部50が傾かないように傾斜角度が規制されている。
【0026】
つぎに、上記構成の球欠深さ測定器を用いた球欠深さの測定手順は、基本的に実施の形態1と同様のため説明を省略し、実施の形態1と異なる作用についてのみ、図6、図7、および図8を用いて説明する。
【0027】
図8に示すように、チャック24に被検レンズ41を保持したヤトイ23を装着し、図7に示すように、把手14によりレンズ保持部50を下降させ、図6に示すように、被検レンズ41の平面部41bをガラス平板2の上面2bに載置させたとき、レンズ保持部50が2軸(ジク53、シャフト55)中心に回動することにより、被検レンズ41の平面部41bがガラス平板2の上面2bに倣って載置され、球欠部41aの球欠深さが測定される。
【0028】
本実施の形態によれば、実施の形態1の効果に加え、被検レンズ41の平面部41aが測定台のガラス平板の上面に倣って載置されるようにしたので、より高精度に球欠深さを測定することができる。
【0029】
【発明の効果】
請求項1または2に係る発明によれば、測定手段の0点リセットを行う際に、測定台上に載置された平行平板の均一な面に触針子を当接させ、0点リセットのバラツキを解消させるようにしたので、高精度な球欠深さ測定を行うことができる。また、被検レンズの像を拡大する像観察手段により、触針子の平行平板および被検レンズ球欠部への接触状況が観察し易くなり、作業性を向上させることができる。
【0030】
請求項2に係る発明によれば、上記効果に加え、被検レンズ保持手段により被検レンズの平面部が測定台の上面に倣うようにしたので、より高精度に球欠深さを測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の球欠深さ測定器の正面図である。
【図2】実施の形態1の図1のA矢視方向から見たレンズ保持部の正面図である。
【図3】実施の形態1の測定台の正面図である。
【図4】実施の形態1の測定台の側面図である。
【図5】実施の形態1のプローブを平行平板に当接させて表示器の0点リセットを行う説明図である。
【図6】実施の形態1の被検レンズを測定台の上面に載置して被検レンズの球欠深さを測定する説明図である。
【図7】実施の形態2の球欠深さ測定器の正面図である。
【図8】実施の形態2の図7のA矢視方向から見たレンズ保持部の正面図である。
【図9】実施の形態2の図7のA矢視に対し垂直方向から見たレンズ保持部の上面図である。
【図10】従来技術のデジマイクロの側面図である。
【図11】従来技術のデジマイクロを用いた被検レンズの測定例である。
【符号の説明】
1 測定台
4 プローブ
8 測長器
10 Zステージ
11 レンズ保持部
16 XYステージ
18 CCDカメラ
19 接写リング
20 撮像レンズ
22 リング照明
Claims (2)
- 被検レンズの球欠部に触針子を接触させ、値が最大となる位置で球欠深さを測定する球欠深さ測定器において、
前記被検レンズを載置する測定台と、該測定台の下に配置され前記触針子を垂直方向に移動させて球欠深さを測定する球欠深さ測定手段と、前記測定台の上に配置され前記被検レンズを保持する被検レンズ保持手段と、該被検レンズ保持手段を互いに直交する2つの水平方向へ移動させるXYステージと、前記測定台に載置された被検レンズの像を拡大する像観察手段とを具備することを特徴とする球欠深さ測定器。 - 前記被検レンズ保持手段には、被検レンズの平面部が前記測定台の上面に倣うように、前記被検レンズの軸心にそれぞれ直交する2軸を設け、測定時には前記2軸の高さ位置が前記測定台の上面と一致するように構成されたリンク機構を有することを特徴とする請求項1記載の球欠深さ測定器。
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