JP2008170269A - 針入度またはちょう度試験器およびその試験方法 - Google Patents

針入度またはちょう度試験器およびその試験方法 Download PDF

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Abstract


【課題】アスファルトの針入度、ワックスのちょう度などの試験において、試験者を問わず、簡単に、精度、再現性よく測定できる試験器および試験方法を提供すること。
【解決手段】試験容器7を入れるガラス容器6、ガラス容器6を載置する昇降可能な試験台3及び針の落下、針入距離測定部5を有するJIS規定の針入度またはちょう度試験器において、試料表面を照らす光源8と、光源8の光を反射させる反射板9と、試験容器7中の試料表面と針51の先端との接触部分を拡大する拡大装置10(CCDカメラと映像モニター)とを備え、針51の先端と試料表面に映った針の像の先端とが接触する様子を鮮明かつ拡大して映像モニターに映し出す。
【選択図】 図1

Description

本発明は、アスファルトなどの主に固体または半固体の石油製品などの硬さを測定する針入度またはちょう度試験器および試験方法に関する。
アスファルトは、道路舗装用、水利構造物、防水用、電気絶縁用などに巾広く用いられており、その用途によって、各種性能、品質のものが用いられ、規格化されている。すなわち、JIS K 2207(石油アスファルト)に、規格や試験方法が規定され、この中でも、種類、品質として、アスファルトの硬さが重要視されている。アスファルトの硬さは、針入度で表され、この針入度は、針入度試験器により、特定の針を25℃のアスファルトに5秒間進入させたときの、針の進入距離、0.1mmを針入度1として表すものである。
同様に、ワックスにおいても、JIS K2235(石油ワックス)においてアスファルトに準じた針入度が試験される。また、より柔らかいワックス、グリースでは、進入させる針の形態は異なるものの、同様な試験法として、JISK2235(石油ワックス)、JIS K2220(グリース)には、ちょう度試験方法が規定されている。
このJISに規定された試験方法において、針入開始のために、針の先端と試料容器中の試料表面を接触させる操作がある。この操作は、針の先端と、針の影の先端とが接触するかどうかを直接目視するか、鏡に映る像を見て行う方法が一般的である。しかしながら、試験者の体調、視力、年齢、経験などによって、針の先端の径が0.15mmと細いこともあって、この操作は非常に困難を極めている。このため、針先合わせに時間がかかり過ぎ、試験温度の25℃を維持できず、試験誤差が大きくなる場合がある。また、接触時の針先と試料表面の接触誤差があると、針が試料に進入する距離(深さ)が、0.1mmを、針入度1としているため、この僅かな誤差が針入度の値として大きな試験誤差となる。
したがって、試験結果にバラツキが生じたり、場合によっては再試験の必要性があったり、時間がかかる問題点がある。また、個人誤差も大きく、試験者の精神的な疲労も看過できない問題となっている。そこで、特許文献1によって、針の先端部を拡大するための拡大装置が設けられ、目視による針先合わせを行いやすくする技術が開発された。
特開2001−141630号公報
しかしながら、特許文献1では、針の先端部分を拡大することにより目視で針先合わせを行いやすくなったものの、針の先端と試料の表面が接触する部分を観察する目やカメラの位置により、針の先端と針の影の先端との位置が変わり、これらが接触しているかどうかの判断は試験者により様々で、測定誤差が発生していた。
本発明の目的は、アスファルトの針入度、ワックスのちょう度などの試験において、誰にでも、簡単に、高い精度で、再現性よく試験できる針入度またはちょう度試験器およびその試験方法を提供することである。
本発明の針入度またはちょう度試験器は、試験容器を入れるガラス容器と、ガラス容器を載置する昇降可能な試験台と、針の落下、針入距離測定部とを有する針入度またはちょう度試験器であって、前記試験容器中の試料表面と前記針先端との接触部分を拡大表示する拡大装置が、前記ガラス容器の外側に設置され、前記試料表面を照らす光源が、前記ガラス容器の斜め上方に設けられ、前記ガラス容器を挟んで前記光源とは反対側に反射板が配置されていることを特徴とする。
本発明では、針入用の針を試験容器中の試料表面に近づけ、この針の先端と試料表面に映った針の像の先端とが接触するように、試験容器を上昇させて針の位置合わせを行う。
この本発明によれば、ガラス容器を挟んで光源とは対向する位置に反射板が配置されているので、光源からの光によって試料表面に形成される針の影を、反射板による反射光により薄くすることができる。さらに、光源と反射板からの光によって、試料表面をより明るく照らすことができる。
また、拡大装置が設置されているので、針の先端と試料表面に映った針の像の先端との接触部を拡大表示できる。
したがって、試料表面に映し出される針の像がより鮮明となり、針の先端と試料表面に映し出される針の像の先端とが接触する状態を、どの位置から見ても同じように観察することができ、誰がやっても針の位置合わせを簡単に、高い精度で、再現性よく行うことができる。
なお、反射板は、光源からの直接光による針の影が消え、試料表面全体を明るく照らすことができ、試料表面に針の先端がより鮮明に映し出されるように光を反射できるものであればよく、撮影用のレフ板やアクリル板などを用いることができる。
また、光源は、試料表面全体を明るく照らすことができ、試料表面に針の先端がより鮮明に映し出されるものであればよく、蛍光管、白熱球、赤外線ランプなどを用いることができる。前記光源は、ガラス容器内の水温を試験温度の25±1℃の範囲で維持できるものが好ましく、発熱が少ない蛍光管がより好ましい。
本発明の針入度またはちょう度試験器は、前記反射板は、アクリル板であることが好ましい。
この発明によれば、反射板としてアクリル板を使用するので、効率よく光を反射させることができる。また、アクリル板は、効率よく光を反射させるという点で、平滑で白いものが好ましい。さらに、アクリル板は安価に入手できるため、コストを低減させることができる。
本発明の針入度またはちょう度試験器において、前記拡大装置の光学系は、前記針の先端部分を固定軸として、水平面より円周方向に50度回動自在であることが好ましい。
前述のように、本発明の試験方法では、針入用の針を試験容器中の試料表面に近づけ、この針の先端と試料表面に映った針の像の先端とが接触するように、試験容器を上昇させる。この針の先端と試料表面に映った針の像の先端部分を、拡大装置により鮮明な像として拡大し、精度を高めようとするものであるが、試料には、たとえば、
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4の(B)、(C)に示すように、さまざまな表面形状を示すものがある。針の先端部を観察するためには、光学系の角度を矢印のように変更することが必要になる場合がある。
この発明によれば、拡大装置の光学系を回動することができるので、試料表面の凹凸に合わせて、光学系の角度を見やすい位置に調整することができる。したがって、針の先端と試料表面に映った針の像の先端とが接触する様子を確実に観察することができる。
本発明の針入度またはちょう度試験器は、前記拡大装置は、CCDカメラと映像モニターからなることが好ましい。
この発明によれば、拡大装置は、試料表面を撮影するCCDカメラと、CCDカメラで撮影されたデータを映像として表示する映像モニターとを備えているので、針の先端と試料表面に映った針の像の先端の拡大像が映像モニターに表示される。
したがって、針の先端と試料表面に映った針の像の先端との接触の様子を拡大像で目視でき、針の位置合わせを確実に行うことができる。
本発明の針入度またはちょう度試験器を用いた試験方法は、前述の針入度またはちょう度試験器を用いた試験方法であって、前記試料表面に前記針の像を投じさせ、拡大像を目視しながら、前記針の先端と前記試料表面に映った針の像の先端とが接触するように、前記試験台の高さを調節して、前記針の先端を前記試料表面に接触後、前記針を落下させることを特徴とする。
この発明によれば、前述の針入度またはちょう度試験器を使用するので、より明るく試料表面を照らすことができ、かつ、拡大装置により拡大像を目視しながら、針の位置合わせを行うことができる。
したがって、個人差による誤差の発生も減少するので再現性も向上し、誰にでも試験を行うことができ、試験者の負担も軽減される。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態における針入度またはちょう度試験器の概略図、図2は、本実施形態における試験台上の一実施態様を示す平面図、図3は、本実施形態における試験台上の一実施態様を示す正面図、図4は、試験容器中の試料の表面と針の先端との接触状況を示す概略説明図である。
なお、本発明の針入度またはちょう度試験器において、拡大装置および反射板以外を構成する試験器は、従来、一般に用いられているもので、JIS K 2207に示される試験器と実質的には変わらないものである。また、その試験方法も実質的には前記JIS規格に示されたものと同じである。
図1において、架台1に取り付けられた支柱2には、支柱2に対して昇降自在とされた試験台3が取り付けられ、昇降ハンドル4で試験台3を昇降できるように構成されている。一方、針入度の試験用針51と針51の留金具52と針51の針入距離を計るダイヤルゲージ53からなる針の落下、針入距離測定部5が支柱2の上部に取り付けられている。
試験台3には、水の入った円筒形のガラス容器6が載置され、ガラス容器6の中には、アスファルト試料が充填された試験容器7と、試験容器7を載せるための図示しない三脚形金属台が入れられ、25℃の水で満たされている。
さらに、試験台3には、拡大装置10が取り付けられる。拡大装置10は、試料表面を撮影できるCCDカメラ101とCCDカメラ101で撮影された映像データを映し出す映像モニター102を備えている(図2参照)。
また、ガラス容器6中の試料表面を斜め上方から照らす光源8が設置され、ガラス容器6を挟んで光源8とは反対側に、光源8の光を反射するための反射板9が設置される。なお、反射板9には、アクリル板を用いた。
すなわち、本実施形態の試験器は、試験台3に載置される試験容器7、試験容器7を入れて載置する水槽となるガラス容器6、光源8および反射板9は、試験器本体とは、一体化していないが、針入度試験、ちょう度試験には必須のものであり、これを含めて試験器と定義するものである。
次に拡大装置10について説明する。図2および図3に示すように、試験台3に支軸取付板103がガラス容器6を挟むように平行に設置され、支軸取付板103には、カメラ回動用アーム104の一方の端部が取り付けられた固定支軸105が設置されている。カメラ回動用アーム104は、固定支軸105を起点として回動自在とされており、カメラ回動用アーム104の自由端部は、試験台3に設置されたカメラ回動支持板106によって支持されている。なお、カメラ回動支持板106には、カメラ回動用の溝107が形成され、カメラ回動用アーム104は回動可能とされるとともに、カメラ固定ハンドル108でカメラ回動支持板106に固定できるようになっている。
平行に取り付けられたカメラ回動用アーム104の自由端部の間には、カメラ回動用アーム104の下端から延びてコの字状に形成されたカメラ固定台109が一体化して取り付けられ、カメラ固定台109にはCCDカメラ101が、試料表面にレンズが向くように固定されている。
図4(A)には、針入用の針51と、試料表面に映った針の像54と示した。また、図4の(B)、(C)で示したように、試験容器7中の試料表面の形状によって、CCDカメラ101の方向を変える必要がある場合に、固定支軸105を基に、円周方向に回動することが可能になる。その結果、CCDカメラ101の方向が変わっても、焦点距離は変動せず、鮮明な拡大像を得るとともに、操作性が一段と向上する。ここで、カメラの回動範囲αとしては、好ましくは水平面より0〜50度、より好ましくは5〜35度の範囲とされる。
CCDカメラ101で撮影された映像データは、電気信号として映像モニター102に送られ、拡大された像として目視観察される。映像モニター102としては、ブラウン管や液晶表示装置などを例示できる。なお、図示の例では、拡大装置10の光学系を試験台3に直接取付けたものを示したが、市販の針入度試験の試験台の上に、図示の試験台3を取り付けることができることは勿論である。
次に、本実施形態の針入度試験器またはちょう度試験器を用いた試験方法について説明する。
針入度の試験は、まず、試料の調整からはじまる。アスファルト試料は、内径55mmまたは70mm、深さ35mmまたは50mmの金属製又は耐熱ガラス製平底円筒形の試験容器7に採取、溶融される。ついで、内径110mm、深さ70〜90mmのガラス容器6とともに、25℃の恒温水槽に1〜2時間放置されて試験温度に調整される。
次いで、恒温水槽中で、ガラス容器6の図示しない三脚形金属台の上に試験容器7を移し、水を満たしたままのガラス容器6を針入度試験器の試験台3の所定の位置に載置する。
試験容器7中の試料表面全体を照らすように、光源8と反射板9の位置を調節し、試料表面に針51の像54を映し出す(図4(A))。試験容器7中の試料の表面状況より、映像モニター102の画面を見ながら、CCDカメラ101の角度を調整し最適位置に固定する。
次いで、映像モニター102の画面中の針51の先端と試料表面に映った針の像54の先端の拡大像を目視しながら、試験台3を調整(上昇)し、針51の先端と試料表面に映った針の像54の先端とを接触させる。その後、針51の留金具52を解除して、針51を落下させ、自重によって針51を5秒間試料中に垂直に針入させる。この場合の針入距離をダイヤルゲージ53で読み取り、針入距離0.1mmを針入度1として試験を行う。
以上説明した実施形態によれば、次のような作用効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、針51の像が試料表面に映し出されるので、この試料表面に映った針の像54の先端と、針51の先端とを合わせることによって位置合わせを行うことができる。
さらに、試料表面を照らす光源8と、ガラス容器6を挟んで光源8とは反対側に反射板9を配置したので、光源8からの光と反射板9による反射光とによって試料表面を照らすことができる(図1の矢印参照)。これにより、光源8によって形成される針51の影が薄くなる(または、消える)とともに、試験容器7の試料表面全体をより明るく照らすことができる。したがって、針51の先端と、試料表面に映った針の像54の先端とがより鮮明になり、これらが接触する様子を目視でも簡単に観察できる。
また、拡大装置10を設けたので、針51の先端と試料表面との拡大画像を目視しながら位置合わせができる。しかも、前述した反射板9により試料表面がより明るく照らされるので、試料表面に映った針の像54の先端が鮮明に映され、より正確に位置合わせをすることができる。
さらに、拡大装置10のCCDカメラ101は回動自在とされているので、試料表面に凹凸があったとしても、観察しやすい位置にCCDカメラ101を回動することができ、針51の先端と試料表面に映った針の像54の先端とが接触する様子を確実に観察することができる。
したがって、試験者の技量、経験、視力、体調などに影響されることなく、正確に、迅速に、針51の位置調整を行うことができる。その結果、同一系試料での試験において、バラツキなく安定した結果が得られ、省力化、無駄を排除できる。
(2)本実施形態の針入度試験器およびちょう度試験器は、従来のJISに規定された試験器に反射板9および拡大装置10を取り付けただけであるので、従来のJIS規格を実質的に変更することなく、鮮明な拡大像を目視しながら針先と試料表面の接触点を調整でき、高精度で再現性のよい試験を行うことができる。
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的および効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。
例えば、前記実施形態では、拡大装置としてCCDカメラと映像モニターを使用したが、光学系のみで拡大像を読み取る装置、ビデオカメラで撮影し、液晶画面で拡大像を表示するものなどを使用してもよい。
また、カメラの回動方式、固定方式としては、回動用溝に代えて、ラックとピニオンからなるものなど任意であり、また、この回動を手動でなく電動で行うこともできる。
本発明は、アスファルトの針入度およびワックスのちょう度などの試験で用いられる試験器に利用することができる。
本発明の一実施形態における針入度またはちょう度試験器を示す概念図。 本実施形態における試験台上の一実施態様を示す平面図。 本実施形態における試験台上の一実施態様を示す正面図。 試験容器中の試料の表面と針先端との接触状況の説明図。
符号の説明
1:架台
2:支柱
3:試験台
4:昇降ハンドル
5:針の落下、針入距離測定部
51:針
52:留金具
53:ダイヤルゲージ
54:試料表面に映った針の像
6:ガラス容器
7:試験容器
8:光源
9:反射板
10:拡大装置
101:CCDカメラ
102:映像モニター

Claims (5)

  1. 試験容器を入れるガラス容器と、ガラス容器を載置する昇降可能な試験台と、針の落下、針入距離測定部とを有する針入度またはちょう度試験器であって、
    前記試験容器中の試料表面と前記針先端との接触部分を拡大表示する拡大装置が、前記ガラス容器の外側に設置され、
    前記試料表面を照らす光源が、前記ガラス容器の斜め上方に設けられ、
    前記ガラス容器を挟んで前記光源とは反対側に反射板が配置されていることを特徴とする針入度またはちょう度試験器。
  2. 請求項1に記載された針入度またはちょう度試験器において、
    前記反射板は、アクリル板であることを特徴とする針入度またはちょう度試験器。
  3. 請求項1または請求項2に記載された針入度またはちょう度試験器において、
    前記拡大装置の光学系は、前記針の先端部分を固定軸として、水平面より円周方向に50度回動自在であることを特徴とする針入度またはちょう度試験器。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載された針入度またはちょう度試験器において、
    前記拡大装置は、CCDカメラと映像モニターからなることを特徴とする針入度またはちょう度試験器。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載された針入度またはちょう度試験器を用いた試験方法であって、
    前記試料表面に前記針の像を投じさせ、拡大像を目視しながら、前記針の先端と前記針の像の先端とが接触するように、前記試験台の高さを調節して、前記針の先端を前記試料表面に接触後、前記針を落下させることを特徴とする針入度またはちょう度の試験方法。
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