JP3833041B2 - 省エネルギー型クリーンルーム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製品や薬品等を製造する場合に使用するクリーンルームに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図1は従来のクリーンルームを示す断面図である。
ファン2a、冷却コイル2b及び再熱コイル2cにより構成される外調機2により、外気取込み口4から取り込んだ空気を温湿度調節して天井チャンバー6に供給する。
10、12及び14の空間の天井に空気清浄機能をもつファンフィルターユニット8を設け、ファンフィルターユニット8により天井チャンバー6の空気を清浄化し、クリーンスペース10、マシーンエリア12及びメンテナンスエリア14へ天井から吹き込む。
【0003】
マシーンエリア12は、例えば半導体装置の製造装置16において製品が加工されて流れる空間であり、高いクリーン度を必要とする空間であるため、その天井にはファンフィルターユニット8が空間の広さに対して高密度に配置されている。クリーンスペース10及びメンテナンスエリア14は、装置16を操作したり整備したりするために作業者が出入りする空間であり、製品があまり通らず、高いクリーン度を必要としないので、それらの天井にはマシーンエリア12に比べて低密度にファンフィルターユニット8が配置されている。このように、クリーンルーム内の空間を区分して、各空間が必要とするクリーン度に応じてファンフィルターユニット8を設置する密度を変えることにより、クリーンルーム全体の省エネルギー化を図っている。
【0004】
各空間2,9,10の空気は天井から床へ流れ(ダウンフロー)、床を通って床下のエアーリターンスペース18へ吸引され、冷水コイル20を介して天井チャンバー6へ戻される。
また、装置16の発熱による熱エネルギーをもった空気は排気管22を介してクリーンルーム外に排出される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図1に示すクリーンルームでは、以下に示すような問題があった。
(1)装置16内へのクリーンスペース10及びメンテナンスエリア14からの塵埃の流入が低歩留まりの原因となっているが、クリーンスペース10及びメンテナンスエリア14のクリーン度を向上させると、エネルギー消費量が増加する。
(2)クリーンスペース10やメンテナンスエリア14による装置16の周辺環境からの熱影響により、マシーンエリア12の温度制御に大きなエネルギーを必要としている。
(3)クリーンスペース10、マシーンエリア12及びメンテナンスエリア14におけるダウンフローは、作業者や照明、装置16などに起因する発熱による熱上昇流の影響により、大きなエネルギーを使用している。
(4)装置16の発熱による熱エネルギーをもった空気を利用することなく排気している。
(5)予め温湿度調節された空気をファンフィルターユニット8によりマシーンエリア12に吹き込んでいるので、マシーンエリア12の高精度な温湿度管理が難しく、マシーンエリア12の高精度な温湿度管理には多量のエネルギー消費量が必要である。
(6)例えばドライポンプなど、装置16に付帯する発熱源により発生する熱エネルギーの熱負荷処理にエネルギーが多量に必要である。
(7)常時外気のみ、又はクリーンルーム内の空気のみを利用すると、冷却負荷と再熱負荷にかたよりが生じ、無駄にエネルギーを消費する。
本発明は、このような問題の少なくとも1つを解決することにより、クリーンルームのエネルギー消費量を低減することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、清浄空間から排気される空気又は室外の空気を取り込んで温度及び湿度を調節し、フィルターを介して清浄空気として上記清浄空間に吹き込む空調手段を備えたクリーンルームであって、上記清浄空間内で製造装置を備えて高いクリーン度を必要とする装置空間の周囲の一部を隔壁で覆うことにより、上記清浄空間を装置空間と他の空間とに区分し、上記装置空間と上記他の空間との間に空気清浄機能をもつファンフィルターユニットを設け、上記装置空間及び上記他の空間の床下に上記装置空間及び上記他の空間と空気の流通が可能であり、上記空調手段から清浄空気が吹き込まれるエアーリターンスペースを備え、上記他の空間では上記エアーリターンスペースから清浄空気が吹き出し、天井から上記他の空間の空気を吸い込む流路構成を備え、上記他の空間の空気を上記ファンフィルターユニットを介して上記装置空間内に吹き込んで上記装置空間内を陽圧にし、上記他の空間を負圧にするようにしたものである。
【0007】
本発明において、上記ファンフィルターユニットは上記装置空間に吹き込まれる空気の温度を上げるためのヒーターをさらに備え、上記他の空間を上記装置空間の規定温度よりも低い温度に調節し、上記装置空間内を上記ヒーターの制御により規定温度に調節するようにしてもよい。
【0010】
本発明において、上記清浄空間とは別に設けられた、発熱源となる機器を収容した発熱源空間と、上記発熱源空間の空気を上記空調手段の空気取込み口側に供給するための発熱源空間流路と、上記発熱源空間流路から上記空調手段の空気取込み口側への空気の供給及び遮断を切り替える切替え手段と、をさらに備えているようにしてもよい。
【0012】
さらに、上記清浄空間内に配置された装置の排熱を上記発熱源空間へ導く熱排気流路をさらに備えているようにしてもよい。
【0013】
さらに、上記清浄空間から排気される空気又は室外の空気を上記空調手段へ切り替えて供給するための切替え手段を備えているようにしてもよい。
【0014】
【実施例】
図2は一実施例としての省エネルギー型クリーンルームを示す断面図である。
クリーンルームのクリーンスペース(清浄空間)1は作業スペースであり、作業者又は自動搬送機により製品が装置から装置へ搬送される空間である。クリーンスペース1には、パーティション(隔壁)3により囲まれた局所クリーンスペース(装置空間)5が設けられている。局所クリーンスペース5の側壁を構成するパーティション3の一部は、作業者が出入できるように開放されている。
【0015】
局所クリーンスペース5の天井には、クリーンスペース1から局所クリーンスペース5へ空気を取り込むためのファン7a、ファン7aから吹き込まれる空気の温度を上げるためのヒーター7b、及びよりクリーン度を向上させるための高性能フィルター7cからなるファン/ヒーター/フィルターユニット7が複数個配置されている。パーティション3の外壁には各ユニット7のヒーター7bを制御する温度制御装置9が設けられている。
【0016】
局所クリーンスペース5の内部には露光装置やドライエッチング装置などの高いクリーン度を必要とする半導体製造装置11が配置されている。装置11には装置11の周辺温度を検知するための温度センサー13が配置されており、温度制御装置9は温度センサー13からの温度に基づいて適性温度をヒーター7bにフィードバックする。
【0017】
クリーンスペース1の天井には吸入スペース15が設けられている。吸入スペース15にはクリーンスペース1と連通する吸入口17が設けられている。吸入口17は、吸入口17につながる流路と後述する切替えダンパー35につながる流路を切り替えて外調機21の吸入側に接続する切替えダンパー19に接続されている。外調機21はファン21a、冷却コイル21b及びヒーター21cにより構成される。
外調機21の吹出し側は、高性能フィルター23を介して、クリーンスペース1及び局所クリーンスペース5の床下に設けられたエアーリターンスペース25に接続されている。エアーリターンスペース25は、クリーンスペース1及び局所クリーンスペース5と空気の流通が可能である。
【0018】
エアーリターンスペース25の下部に、エアーリターンスペース25とは遮断された発熱源スペース(発熱源空間)27が設けられている。発熱源スペース27には、ドライポンプなど、装置11の付帯設備(発熱源)11aが配置されている。付帯設備11aをクリーンスペース1、局所クリーンスペース5及びエアーリターンスペース25の外に配置することにより、それらの空間1,5,25の空調負荷を低減することができ、省エネルギー化を図ることができる。
付帯設備11aはエアーリターンスペース25を貫通して装置11に接続されている。発熱源スペース27には、装置11の熱排気を排出する排熱管29が導かれている。
【0019】
発熱源スペース27の側壁には、開閉可能な排気バルブ30と発熱源スペース27内の空気を供給するための発熱源スペース流路(発熱源空間流路)31が接続されている。発熱源スペース流路31の他端は、外気取込み口33につながる流路と発熱源スペース流路31を切り替えて切替えダンパー19に接続する切替えダンパー35に接続されている。
【0020】
この実施例の空気循環を説明すると、切替えダンパー19を吸入口17と外調機21を接続する側に切り替え、外調機21により、吸入口17から取り込んだ空気を温湿度調節し、高性能フィルター23により清浄化して、エアーリターンスペース25を介して、クリーンスペース1へ供給する。クリーンスペース1における空気の流れは上昇流になる。作業者や照明、装置による発熱に伴なう上昇流に沿って空気を循環させるので、ファン21aのエネルギー消費量を低減することができる。
ここで、クリーンスペース1のクリーン度はクラス100程度でよいが、製品を搬送する場合はSMIF(Standard Manufacturing Interface)等の密閉型ボックス37に製品を収納して搬送する。
【0021】
ファン7aを作動させて、クリーンスペース1の空気をヒーター7b及びフィルター7cにより温度調節及び清浄化して局所クリーンスペース5に吹き込む。装置11がステッパなどの露光装置の場合、通常クラス1又はそれより高度なクリーン度を必要とするので、フィルター7cによりクリーンスペース1の空気を清浄化している。局所クリーンスペース5は、クリーンスペース1及びエアーリターンスペース25と連通しているが、ファン7aによる空気の吹込みにより、局所クリーンスペース5が陽圧となり、クリーンスペース1及びエアーリターンスペース25が負圧となるので、クリーンスペース1及びエアーリターンスペース25のクリーン度の低い空気が局所クリーンスペース5に流れ込むことはない。局所クリーンスペース5とクリーンスペース1の圧力差は例えば9.8kパスカル以上あればよい。
【0022】
局所クリーンスペース5の温度は、温度センサー13からの温度に基づいて温度制御装置9によりヒーター7bを加熱することにより制御され、装置11の動作に適当な規定温度、例えば23℃に調節される。このとき、外調機21から供給する空気の温度を制御して、クリーンスペース1の温度を規定温度よりも低く、例えば22℃に調節しておくことにより、ヒーター7bを制御して、局所クリーンスペース5の温度を制御性よく規定温度に調節することが容易になる。
【0023】
装置11を作動させると、付帯設備11aの発熱及び排熱管29からの排気により発熱源スペース27の空気の温度が上昇する。発熱源スペース27の空気を取り込む場合、切替えダンパー35を発熱源スペース流路31側に切り替え、切替えダンパー19を切替えダンパー35側に接続する。発熱源スペース27の空気を空気供給源として利用することにより、例えば冬期に外気取込み口33から外気を取り込む場合に比べて、空気を加温するエネルギーを低減することができる。
【0024】
外気を取り込む場合は、切替えダンパー35により外気取込み口33と切替えダンパー19を接続し、切替えダンパー19により切替えダンパー35と外調機21を接続する。例えば夏期にクリーンスペース1内の温度が下がりすぎた場合、外気を取り込むことにより、低エネルギーでクリーンスペース1内の温度を上昇させることができる。また、例えば冬期にクリーンスペース1内の温度が上がりすぎた場合、外気を取り込むことにより、低エネルギーでクリーンスペース1内の温度を低下させることができる。
【0025】
【発明の効果】
請求項1の省エネルギー型クリーンルームにおいては、清浄空間内で製造装置を備えて高いクリーン度を必要とする装置空間の周囲の一部を隔壁で覆うことにより、上記清浄空間を上記装置空間と他の空間とに区分し、上記装置空間と上記他の空間との間に空気清浄機能をもつファンフィルターユニットを設け、上記他の空間の空気をそのファンフィルターユニットを介して上記装置空間内に吹き込んで上記装置空間内を陽圧にし、上記他の空間を負圧にするようにしたので、上記装置空間のみを高クリーン度に維持することにより省エネルギー化を図ることができるとともに、クリーン度の低い上記他の空間及び上記エアーリターンスペースからの塵埃の混入を防ぐことができる。
さらに、上記装置空間及び上記他の空間の床下に上記装置空間及び上記他の空間と空気の流通が可能であり、空調手段から清浄空気が吹き込まれるエアーリターンスペースを備え、上記他の空間では上記エアーリターンスペースから清浄空気が吹き出し、天井から上記他の空間の空気を吸い込む流路構成を備えているようにしたので、作業者などの発熱に起因する上昇流に沿って他の空間内で空気を流通させることができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0026】
請求項2の省エネルギー型クリーンルームにおいては、ファンフィルターユニットは上記装置空間に吹き込まれる空気の温度を上げるためのヒーターをさらに備え、上記他の空間を上記装置空間の規定温度よりも低い温度に調節し、上記装置空間内を上記ヒーターの制御により規定温度に調節するようにしたので、省エネルギー化を図ることができるとともに、上記装置空間を高精度に温度制御することができる。
【0029】
請求項3の省エネルギー型クリーンルームにおいては、清浄空間とは別に設けられた、発熱源となる機器を収容した発熱源空間を備えているようにしたので、上記清浄空間内の空調負荷を低減することができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0030】
さらに、請求項3の省エネルギー型クリーンルームにおいては、上記発熱源空間の空気を空調手段の空気取込み口側に供給するための発熱源空間流路と、上記発熱源空間流路から空調手段の空気取込み口側への空気の供給及び遮断を切り替える切替え手段とをさらに備えているようにしたので、上記発熱源空間の空気を冬期に利用して発熱負荷を低減することができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0031】
請求項4の省エネルギー型クリーンルームにおいては、上記清浄空間内に配置された装置の排熱を上記発熱源空間へ導く熱排気流路をさらに備えているようにしたので、上記清浄空間内の空調負荷を低減することができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0032】
請求項5の省エネルギー型クリーンルームにおいては、清浄空間から排気される空気又は室外の空気を空調手段へ切り替えて供給するための切替え手段を備えているようにしたので、外気と清浄空間空気とを選択することができ、省エネルギー化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来のクリーンルームを示す断面図である。
【図2】 一実施例としてのクリーンルームを示す断面図である。
【符号の説明】
1 クリーンスペース(清浄空間)
3 パーティション
5 局所クリーンスペース(装置空間)
7 ファン/ヒーター/フィルターユニット
7a,21a ファン
7b,21c ヒーター
7c,23 高性能フィルター
9 温度制御装置
11 半導体製造装置
13 温度センサー
15 吸入スペース
17 吸入口
19,35 切替えダンパー
21 外調機
21b 冷却コイル
25 エアーリターンスペース
27 発熱源スペース(発熱源空間)
29 排熱管
30 排気バルブ
31 発熱源スペース流路(発熱源空間流路)
33 外気取込み口
Claims (5)
- 清浄空間から排気される空気又は室外の空気を取り込んで温度及び湿度を調節し、フィルターを介して清浄空気として前記清浄空間に吹き込む空調手段を備えたクリーンルームにおいて、
前記清浄空間内で製造装置を備えて高いクリーン度を必要とする装置空間の周囲の一部を隔壁で覆うことにより、前記清浄空間を装置空間と他の空間とに区分し、前記装置空間と前記他の空間との間に空気清浄機能をもつファンフィルターユニットを設け、
前記装置空間及び前記他の空間の床下に前記装置空間及び前記他の空間と空気の流通が可能であり、前記空調手段から清浄空気が吹き込まれるエアーリターンスペースを備え、
前記他の空間では前記エアーリターンスペースから清浄空気が吹き出し、天井から前記他の空間の空気を吸い込む流路構成を備え、
前記他の空間の空気を前記ファンフィルターユニットを介して前記装置空間内に吹き込んで前記装置空間内を陽圧にし、前記他の空間を負圧にすることを特徴とする省エネルギー型クリーンルーム。 - 前記ファンフィルターユニットは前記装置空間に吹き込まれる空気の温度を上げるためのヒーターをさらに備え、
前記他の空間を前記装置空間の規定温度よりも低い温度に調節し、前記装置空間内を前記ヒーターの制御により規定温度に調節する請求項1に記載の省エネルギー型クリーンルーム。 - 前記清浄空間とは別に設けられた、発熱源となる機器を収容した発熱源空間と、
前記発熱源空間の空気を前記空調手段の空気取込み口側に供給するための発熱源空間流路と、
前記発熱源空間流路から前記空調手段の空気取込み口側への空気の供給及び遮断を切り替える切替え手段と、をさらに備えた請求項1又は2に記載の省エネルギー型クリーンルーム。 - 前記清浄空間内に配置された装置の排熱を前記発熱源空間へ導く熱排気流路をさらに備えた請求項3に記載の省エネルギー型クリーンルーム。
- 上記清浄空間から排気される空気又は室外の空気を上記空調手段へ切り替えて供給するための切替え手段を備えている請求項1から4のいずれかに記載の省エネルギー型クリーンルーム。
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