JP3832968B2 - 濃淡燃焼装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、細長い炎口面を一端側に備え、かつ、燃料ガスと燃焼用空気とを混合して濃混合気を生成する濃混合部を備えるとともに、その濃混合部で生成された濃混合気を噴出して燃焼させる濃炎口部を前記炎口面に備えた複数の濃用バーナを、前記炎口面の幅方向に間隔を隔てて並設し、前記濃用バーナどうしの間を燃料ガスと燃焼用空気との淡混合気が流動して、濃用バーナの炎口面どうしの間に設けられた細長い淡炎口部から淡混合気を噴出して燃焼させるように構成されている濃淡燃焼装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のような濃淡燃焼装置は、濃用バーナを所定間隔で並設し、淡混合気を噴出するための淡用バーナを特別に設けることなく、コストの低減を図るとともに、燃料ガスを全体として大きな空気混合率で燃焼させ、窒素酸化物であるNOxの発生を極力抑えながら、安定した燃焼が行えるように構成したものである。
そして、従来の濃淡燃焼装置では、淡混合気が、濃用バーナの炎口面の幅方向の両側面に接触しながら流動するようになっていた(例えば、特開平7−180815号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の濃淡燃焼装置では、通常、濃用バーナの濃混合部が流動する淡混合気側に突出する形状に形成されていたので、NOxの発生をより一層抑えるために、例えば、燃料ガス全体としての空気混合率を大きくしながら、濃混合気に対する淡混合気の比率を大きくすると、淡混合気の流速が早くなり、淡混合気が濃用バーナに接触しながら流動するために、淡混合気の流れが安定せず、燃焼状態が不安定になることがあった。
【0004】
そこで、本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、濃用バーナによって淡用バーナを兼用してコストの低減を図り、かつ、NOxの発生をより一層抑えながら、安定した燃焼が可能となる濃淡燃焼装置を提供する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1に記載の発明によれば、炎口面の幅方向における濃用バーナの両側面をそれぞれ覆う板状のカバー体が、それが覆う濃用バーナに保持されて設けられ、互いに隣接するカバー体どうしの間を淡混合気が流動するように構成されている。
したがって、淡用バーナを設ける必要がなく、コストの低減を図ることができ、かつ、濃用バーナに保持されているカバー体を淡混合気の流れに応じた形状にすることにより、淡混合気の円滑な流れを阻害する凸凹をなくすことができるので、たとえNOxの発生を抑えるために、淡混合気の流速が早くなっても、淡混合気の流れを安定させることができ、NOxの発生をより一層抑えながら、安定した燃焼を行うことが可能となる。
又、請求項1に記載の発明によれば、濃用バーナを収納する角筒状のケーシングに濃用バーナを保持する複数の保持部を設け、それら複数の保持部により複数の濃用バーナを保持させた状態で、カバー体とケーシングとで形成される空間内を淡混合気が流動するように構成されているので、角筒状のケーシングに濃用バーナを保持させるだけで、濃用バーナを炎口面の幅方向に間隔を隔てて並設し、濃用バーナどうしの間に淡混合気を流動させることができ、装置の製造作業が容易なものとなる。
【0006】
請求項2に記載の発明によれば、カバー体が濃用バーナの側面に接触する状態で設けられているので、カバー体と濃用バーナの側面との間に無駄な空間を設けることもなく、炎口面の幅方向に装置全体として小さくすることができ、装置の小型化が可能となる。
【0007】
請求項3に記載の発明によれば、カバー体における淡混合気の流動方向中間部に、流動する淡混合気側に突出して淡混合気の混合を促進する混合促進部が設けられているので、混合促進部で淡混合気を十分に混合し、かつ、この十分に混合された淡混合気を淡炎口部から噴出させることができ、より一層安定した燃焼を行うことが可能となる。
【0008】
請求項4に記載の発明によれば、混合促進部がカバー体と一体形成の膨出部で構成されているので、混合促進部をカバー体とは別に設ける必要もなく、コストの低減を図ることができ、さらに、その膨出部の内側空間内に濃混合部を入り込ませ、カバー体を濃用バーナに応じた形状にして濃用バーナに設けることができるので、炎口面の幅方向に装置全体として小さくすることができ、装置の小型化が可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の濃淡燃焼装置を図面に基づいて説明する。
この濃淡燃焼装置は、図1〜4に示すように、バ−ナケ−ス1やバ−ナケ−ス1内に内装のケーシングとしての角筒状の箱状枠体2などを備え、複数の偏平な板金製の濃用バ−ナ3が、箱状枠体2の複数の保持部2aにより保持された状態で所定の間隔を隔てて並設されて箱状枠体2内に収納されている。
前記バ−ナケ−ス1の下方には、燃焼用空気を供給するファン4が設けられ、その吐出口がバ−ナケ−ス1の底部と箱状枠体2の底部との間に形成の空気室5に連通されている。
【0011】
前記濃用バ−ナ3は、一連の板材を折り曲げて形成され、空気混合率の小さい濃混合気を噴出して燃焼させるためのもので、その上面の細長い炎口面6に濃混合気を噴出するための濃炎口部7と濃混合気を噴出しない無炎口部8とが、炎口面の長手方向に沿ってほぼ等間隔に交互に配設されている。そして、この濃炎口部7は、複数のスリット状の炎孔7aで構成されている。
この濃用バ−ナ3には、各濃炎口部7に連通する濃混合部9が、炎口面6の幅方向の両側に膨出する状態で設けられ、この濃混合部9に燃料ガスと燃焼用空気とを導入する濃用導入口10が設けられている。
このような濃用バーナ3の複数を炎口面6の幅方向に間隔を隔てて並設して箱状枠体2内に収納することにより、隣接する濃用バ−ナ3どうしの間には、空気混合率の大きい淡混合気を噴出する細長い淡炎口部14を備えた淡用混合室15が形成されている。
【0012】
各濃用バーナ3には、淡用混合室15に燃料ガスと燃焼用空気との混合気を供給する淡用ガス導通路11と、この淡用ガス導通路11に燃料ガスと燃焼用空気とを導入する淡用導入口12とが設けられ、淡用ガス導通路11には、炎口面6の幅方向の両側に多数の噴出孔13が穿設されている。
そして、箱状枠体2の底壁を形成する整風用の多孔板16を介して空気室5から上方に向けて燃焼用空気を供給し得るように構成されている。なお、炎口面6の幅方向の両端部に配置されている濃用バーナ3aの淡用ガス導通路11には、図2に示すように、濃用バーナ3aよりも炎口面6の幅方向の内側にのみ噴出孔13が穿設され、濃用バーナ3aよりも炎口面6の幅方向の外側には、空気室5からの空気のみが流動するように構成されている。
【0013】
濃用バ−ナ3に設けられた濃用導入口10と淡用導入口12とは、全て同一方向に向けて並設され、その前面に濃用の燃料ガスと淡用の燃料ガスとを分配供給するガスヘッダ17が設けられ、そのガスヘッダ17に取り付けられた濃用ガスノズル18が、各濃用導入口10に、淡用ガスノズル19が、各淡用導入口12にそれぞれ臨んでいて、各ガスノズル18,19からの燃料ガスの吹き込みによるエゼクタ作用で、空気室5の燃焼用空気の一部を所定の割合で吸引して、各導入口10,12に導入するように構成されている。
また、ガスヘッダ17には、濃用ガスノズル18、淡用ガスノズル19に燃料用ガスを供給するための図外のガス供給路に開閉弁、供給ガス量を調整する調整弁がそれぞれ備えられ、装置全体として、所望の加熱量に合わせて調整することができる。
【0014】
各濃用バ−ナ3の炎口面6の幅方向の両側面には、図4に示すように、淡用ガス導通路11よりも炎口面6側の濃用バーナ3の側面を覆う板状のカバー体20が濃用バ−ナ3の側面に接触する状態で設けられ、このカバー体20が濃用バーナ3の長手方向両端部において、濃用バーナ3にかしめられて取り付けられている。
各カバー体20には、炎口面6の幅方向の外側に1枚の板金製の整流板23が取り付けられ、各整流板23の上端が、炎口面6とほぼ同じ高さになるように構成されている。そして、複数の濃用バーナ3を箱状枠体2に収納すると、互いに隣接するカバー体20と箱状枠体2で形成される空間を淡混合気が流動し、整流板23によって整流された後、淡炎口部14から淡混合気が噴出するように構成されている。
【0015】
このようにして、カバー体20により淡混合気の流れを阻害する凸凹をなくし、淡混合気の流れを円滑にしているので、NOxの低減を図るために、燃料ガス全体としての空気混合率を大きくして、淡混合気の流速が早くなっても、淡混合気の流れが安定し、安定した燃焼を行うことが可能となる。
【0016】
また、各カバー体20の淡混合気の流動方向中間部には、カバー体20と一体形成の膨出部が流動する淡混合気側に突出して設けられ、この膨出部が淡混合気の混合を促進するための混合促進部21として作用し、この混合促進部21の内側空間内に濃混合部9を入り込ませるように、カバー体20が濃用バーナ3に応じた形状に構成されている。
つまり、混合促進部21で淡混合気を十分に混合し、この十分に混合された淡混合気を淡炎口部14から噴出して淡混合気を燃焼させることができ、より一層安定した燃焼を行うことが可能となる。
【0017】
具体的に燃焼過程を説明すると、ガス供給路により供給された燃料ガスを、濃用ガスノズル18、淡用ガスノズル19を通して、エゼクタ作用により空気室5の燃焼用空気の一部を所定の割合で吸引して、濃用導入口10、淡用導入口12にそれぞれ導入する。
そして、濃用導入口10より供給された燃料ガスと空気室5より供給された燃焼用空気とが濃混合部9で混合され、空気混合率の小さい濃混合気を、炎口面6の濃炎口部7より噴出する。
【0018】
また一方で、淡用導入口12より供給された燃料ガスと空気室5より供給された燃焼用空気とを、淡用ガス導通路11を通して淡用ガス導通路11に穿設されている多数の噴出孔13から噴出し淡用混合室15で混合され、淡炎口部14から空気混合率の大きい淡混合気を噴出する。このように、濃炎口部7から噴出される濃混合気を燃焼させ、濃炎口部7に生成される濃火炎により、淡混合気を燃焼させる。
【0019】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、濃用バーナ3の炎口面6の幅方向の両側面のほぼ全面を覆うように板状のカバー体20が設けられているが、カバー体20は、淡混合気の流れを全体として円滑にするものであればよく、濃用バーナ3の炎口面6の幅方向の両側面のうちの一部分を覆うものでもよい。
【0020】
(2)上記実施形態では、カバー体20が濃用バーナ3の両側面に接触する状態で設けられているが、互いに隣接するカバー体20どうしの間を淡混合気が流動するものであればよく、カバー体20と濃用バーナ3との間に若干の空間があるものでもよい。
【0021】
(3)上記実施形態では、カバー体20における淡混合気の流動方向中間部に、カバー体20と一体形成の膨出部としての混合促進部21を設けているが、この混合促進部21を設けずに、カバー体20を淡混合気の流れを円滑にするように平らな板状に構成してもよい。
【0022】
(4)上記実施形態では、カバー体20が、濃用バーナ3の長手方向両端部において、濃用バーナ3にかしめられて取り付けられているが、カバー体20を濃用バーナ3の炎口面6の幅方向の両側面に接着させるなど、その他の方法で取り付けてもよい。
【0023】
(5)上記実施形態では、1枚の整流板23をカバー体20よりも炎口面6の幅方向の外側に取り付けるように構成しているが、整流板23の数は1枚に限られることなく、2枚以上の整流板23をカバー体20よりも炎口面6の幅方向の外側に取り付けるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】濃淡燃焼装置の一部切欠き斜視図
【図2】濃淡燃焼装置の縦断正面図
【図3】濃淡燃焼装置の平面図
【図4】濃淡燃焼装置を構成する濃用バ−ナの斜視図
【符号の説明】
2 ケーシング
2a 保持部
3 濃用バーナ
6 炎口面
7 濃炎口部
9 濃混合部
20 カバー体
21 混合促進部
Claims (4)
- 細長い炎口面を一端側に備え、かつ、燃料ガスと燃焼用空気とを混合して濃混合気を生成する濃混合部を備えるとともに、その濃混合部で生成された濃混合気を噴出して燃焼させる濃炎口部を前記炎口面に備えた複数の濃用バーナを、前記炎口面の幅方向に間隔を隔てて並設し、前記濃用バーナどうしの間を燃料ガスと燃焼用空気との淡混合気が流動して、濃用バーナの炎口面どうしの間に設けられた細長い淡炎口部から淡混合気を噴出して燃焼させるように構成されている濃淡燃焼装置であって、
前記炎口面の幅方向における濃用バーナの両側面をそれぞれ覆う板状のカバー体が、それが覆う前記濃用バーナに保持されて設けられ、互いに隣接するカバー体どうしの間を前記淡混合気が流動するように構成され、
前記濃用バーナを収納する角筒状のケーシングに濃用バーナを保持する複数の保持部を設け、それら複数の保持部により複数の濃用バーナを保持させた状態で、前記カバー体とケーシングとで形成される空間内を前記淡混合気が流動するように構成されている濃淡燃焼装置。 - 前記カバー体が前記濃用バーナの側面に接触する状態で設けられている請求項1に記載の濃淡燃焼装置。
- 前記カバー体における淡混合気の流動方向中間部に、流動する淡混合気側に突出して淡混合気の混合を促進する混合促進部が設けられている請求項1または2に記載の濃淡燃焼装置。
- 前記混合促進部が前記カバー体と一体形成の膨出部で構成され、その膨出部の内側空間内に前記濃混合部を入り込ませてある請求項3に記載の濃淡燃焼装置。
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