JP3832941B2 - デジタル衛星放送用受信機とこれを用いた装置 - Google Patents

デジタル衛星放送用受信機とこれを用いた装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、QPSK変調方式と8PSK変調方式といった異なる位相変調方式のデジタル衛星放送を受信するデジタル衛星放送用受信機とこれを用いた装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
デジタル衛星放送では、伝送量や放送内容に応じて異なる位相変調方式が用いられる。例えば、通信衛星CSによるデジタル衛星放送では、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying:即ち、4相位相偏移)変調方式が用いられるのに対して、放送衛星BSによるデジタル衛星放送では、8PSK(8 Phase Shift Keying:即ち、8相位相偏移)変調方式が検討されている。
【0003】
ここで、PSK変調方式は、デジタル信号に応じて互いに直交する(即ち、互いに90゜の位相差の)2つのキャリアを位相偏移するものであって、このデジタル信号をnビット毎に区切り、これらnビットの“1”,“0”の組合せをデータとして、異なる組み合わせのデータが直交するI,Q軸をもつ位相面の異なる位置に配置されるように、上記2つのキャリアを変調するものである。
【0004】
QPSK変調方式の場合、n=2であり、上記データとしては、(00),(01),(10),(11)の4通りがあって、夫々毎に2つのキャリアの位相偏移量を異ならせる。図3(a)はこのQPSK変調方式でのI,Q軸を持つ位相面でのデータ点DPの配列(即ち、コンスタレーション)を示すものであって、2ビットの組み合わせの上記各データは図示するように配置される。また、各データ点DPは夫々破線で囲まれた領域内にあるとき、互いに識別可能であり、この破線をデータ識別のためのスライス基準線SLという。この場合には、I,Q軸が夫々スライス基準線SLとなる。
【0005】
また、8PSK変調方式では、n=3であり、上記データとしては、(000),(001),(010),(011),(100),(101),(110),(111)の8通りがあり、夫々毎に2つのキャリアの位相偏移量を異ならせる。図3(b)はこの8PSK変調方式でのコンスタレーションを示すものであって、3ビットの組み合わせの上記各データは図示するように配置される。各データDPの識別のためのスライス基準線SLも破線で図示するようになる。
【0006】
一般に、デジタル信号のnビットを単位とするPSK変調方式では、2n個のデータ点があり、従って、2n相のPSK変調方式ということになる。
【0007】
かかるPSK変調方式によるデジタル信号を復調する場合も、このデジタル信号を互いに90゜の位相差を有する2つのキャリアで復調する。この場合、図3に示すコンスタレーションのI軸に相当する位相のキャリアで復調された信号を復調I信号、Q軸に相当する位相のキャリアで復調された信号を復調Q信号と夫々呼ぶことにするが、これら復調I,Q信号から元のnビットを復元する。このために、QPSK変調方式と8PSK変調方式というように、変調方式が異なるデジタル信号では、復調I,Q信号がその変調方式毎に異なることになる。
【0008】
このことからして、異なる位相偏移変調方式によるデジタル衛星放送を受信するデジタル衛星放送用受信機では、夫々の変調方式毎に別々に専用のPSK復調手段が設けられていた。
【0009】
図7はQPSK変調方式によるデジタル衛星放送と8PSK変調方式によるデシタル衛星放送とを受信可能とした従来のデジタル衛星放送用受信機の一例を示すブロック図であって、1はハイパスフィルタ、2は前置増幅器、3は可変同調フィルタ、4はRF・AGC(無線周波自動利得)増幅器、5はミクサ、6は発振器、7は周波数シンセサイザ、8はバンドパスフィルタ、9はRF・AGC制御手段、10はIF(中間周波)増幅器、11は発振器、12は直交検波手段、13は90゜移相器、14はIF・AGC増幅器、15a,15bは掛算器、50はフロントエンド、16はA/D変換器、17はQPSK復調手段、18はクロック再生手段、19はQPSK・FEC(Forward error Correction)手段、20はデジタル復調手段、21はA/D変換器、22は8PSK復調手段、24はクロック再生手段、23は8PSK・FEC手段、25はデジタル復調手段、100は高周波入力端子、101,102は電源端子、103はクロック端子、104はデータ端子、105は電源端子、106はAGC制御端子、107は復調I信号、108は復調Q信号、109はクロック端子、110はデータ端子、111はQPSK復調信号、112は再生クロック信号、113はクロック端子、114はデータ端子、115は8PSK復調信号、116は再生クロック信号、117は制御端子、118はデジタル復調信号、119は再生クロック信号、200は選択手段である。
【0010】
同図において、フロントエンド50では、電源端子105からの電源電圧が供給されて動作状態となり、屋外ユニットのアンテナ(図示せず)から受信された1GHz帯のデジタル衛星放送のデジタル変調信号(デジタル衛星放送信号)が入力端子100から入力され、ハイパスフィルタ1と前置増幅器2と可変同調フィルタ3とによって不要波除去と増幅などの処理がなされた後、RF・AGC制御手段9によって利得制御されるRF・AGC増幅器4でレベル調整されてミクサ5に供給される。このミクサ5は発振器6と周波数シンセサイザ7とで周波数変換手段を形成しており、周波数シンセサイザ7が受信機の制御マイコン(図示せず)からクロック端子103を介してクロックが供給されて動作し、かつこの制御マイコンからデータ端子104を介して供給される情報に応じて発振器6の発振周波数を制御することにより、受信されたデジタル衛星放送信号のうちの希望チャネルのデジタル衛星放送信号がRF(無線周波)信号から、例えば、中間周波数479.5MHzのIF信号に変換される。このIF信号は、バンドパスフィルタ(IFフィルタ)8で不要成分が除去され、IF増幅器10で増幅された後、直交検波手段12に供給される。
【0011】
なお、このIF増幅器10から出力されるIF信号からRF・AGC制御手段9でRF・AGC電圧が生成され、これにより、RF・AGC増幅器4の利得が制御される。
また、電源端子101から室外ユニットに電源電圧が供給される。
さらに、周波数シンセサイザ7は発振器6の発振周波数を検出し、これを希望するチャンネルを選局できる周波数にするための制御信号を生成して、電源端子102からの電源電圧に重畳し、可変同調フィルタ3と発振器6とに供給する。これにより、可変同調フィルタ3は、希望するチャンネルのデジタル衛星放送信号が通過するように、その通過帯域が設定され、発振器6の発振周波数もこのチャンネルに応じたものに設定される。
【0012】
この直交検波手段12では、このIF信号が、IF・AGC手段14でAGC制御端子106から供給されるIF・AGC電圧に応じてレベル調整された後、掛算器15a,15bに供給される。この掛算器15aでは、発振器11からの周波数が上記中間周波数479.5MHzに等しく、位相が固定のキャリアとIF信号とが掛算されて復調I信号107が得られ、また、掛算器15bでは、この発振器11からのキャリアが90゜移相器13で90゜移送されてIF信号と掛算され、復調Q信号108が得られる。これら復調I信号107,復調Q信号108はともに、QPSKのデジタル復調手段20と8PSKのデジタル復調手段25とに供給される。
【0013】
ところで、図3のコンスタレーションに示すように、I,Q軸に対してデータ配置が決められたQPSK,8PSK変調されて元のデータを復調するためには、復調のためのキャリア(以下、復調キャリアという)の位相がこのコンスタレーションでのI,Q軸の位相に正確に一致していなければならない。しかし、直交検波手段12での発振器11から出力される復調キャリア及びこれを90゜移相器13で移相して得られる復調キャリアは、周波数がIF信号の変調キャリア周波数に一致するものの、位相が固定しているため、IF信号の変調キャリアに対してランダムであり、従って、このIF信号のコンスタレーションでのI,Q軸に対し、ランダムな位相を有している。このため、この直交検出手段12から出力される復調I信号107,復調Q信号は夫々、コンスタレーションのI,Q軸に夫々位相が一致した2つの復調キャリアで直交検出(復調)されたときに得られる真の復調I信号,復調Q信号を含んだものとなっている。デジタル復調手段20,25は夫々、かかる復調I信号107,復調Q信号108をQPSK,8PSK復調して真の復調I信号,復調Q信号を得るためのものである。
【0014】
受信されたデジタル衛星放送信号がQPSK変調方式によるデジタル変調信号であるときには、デジタル復調手段20において、供給される復調I信号107と復調Q信号とが、A/D変換器16で一旦アナログ/デジタル変換された後、クロック端子109からのクロックとデータ端子110からの制御用データとで動作するQPSK復調手段17で真の復調I信号と復調Q信号とにQPSK復調され、QPSK・FEC手段19でエラー訂正やデインターリーブなどの処理がなされて元のデジタルデータであるQPSK復調信号111が得られる。また、クロック再生手段18で復調信号からクロック信号112が再生され、これの所定倍数の周波数のA/D変換器16の動作クロックが生成される。
【0015】
同様に、受信されたデジタル衛星放送信号が8PSK変調方式によるデジタル変調信号であるときには、デジタル復調手段25において、供給される復調I信号107と復調Q信号とが、A/D変換器21で一旦アナログ/デジタル変換された後、クロック端子113からのクロックとデータ端子114からの制御用データとで動作する8PSK復調手段22で真の復調I信号と復調Q信号とに8PSK復調され、8PSK・FEC手段23でエラー訂正やデインターリーブなどの処理がなされて元のデジタルデータである8PSK復調信号115が得られる。また、クロック再生手段24で復調信号からクロック信号116が再生され、これの所定倍数の周波数のA/D変換器21の動作クロックが生成される。
【0016】
このように、デジタル復調手段20,25では、直交検出手段12からの復調I信号107と復調Q信号108とが、A/D変換器16,21でアナログ/デジタル変換された後、PSK復調されるのであるが、これら復調I信号107と復調Q信号108とはベースバンドの信号であって周波数が充分低く、これにより、A/D変換器16,21はこれら復調I信号107と復調Q信号108に対して応答し得るのである。上記の479.5MHzのIF信号に対しては、A/D変換器16,21は応答することができず、直交検出手段12はIF信号をA/D変換器16,21が応答し得る周波数の信号に変換する役目も担っているのである。
【0017】
デジタル復調手段20の出力としてのQPSK・FEC手段20から出力されるQPSK復調信号111とクロック再生手段18で再生されたクロック112とが選択手段200に供給され、同様に、デジタル復調手段25の出力としての8PSK・FEC手段23から出力される8PSK復調信号115とクロック再生手段24で再生されたクロック116も選択手段200に供給される。この選局手段200では、制御端子117からの制御情報により、デジタル衛星放送信号としてQPSK変調方式によるデジタル変調信号を受信しているときには、デジタル復調手段20の出力をデジタル復調信号118,再生クロック信号119として選択出力し、また、デジタル衛星放送信号として8PSK変調方式によるデジタル変調信号を受信しているときには、デジタル復調手段25の出力をデジタル復調信号118,再生クロック信号119として選択出力する。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のデジタル衛星放送用受信機では、QPSK変調方式の受信信号と8PSK変調方式の受信信号毎にA/D変換器とPSK復調手段とクロック再生手段とFEC手段とからなるデジタル復調手段が必要であり、しかも、これらは互いに別部品であって、フロントエンドとも別部品であり、これらをテレビジョン受像機やVTRなどの装置に受信部として内蔵すると、夫々のためのスペースが必要となって、これら装置の回路規模の縮小や構成の簡略化を阻害していた。
【0019】
また、異なる衛星によって異なるデジタル変調方式によるデジタル衛星放送を受信する場合には、夫々の衛星毎のアンテナを必要とするが、従来のデジタル衛星放送用受信機では、これらアンテナをフロントエンドの高周波入力端子に繋ぎ替える必要があり、非常な手間を必要としていた。
【0020】
本発明の目的は、かかる問題を解消し、構成を簡略化し、回路規模を縮小して、さらには、コストの低減を図ることができるようにしたデジタル衛星放送用受信機とこれを用いた装置を提供することにある。
【0021】
本発明の他の目的は、使用する複数のアンテナの取替え作業を不要とし、使い勝手を高めることができるようにしたデジタル衛星放送用受信機とこれを用いた装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、2n相(但し、nは正整数)PSK変調方式によるデジタル衛星放送信号と2n+1相PSK変調方式によるデジタル衛星放送信号とを受信するものであって、受信した高周波のデジタル衛星放送信号を低周波信号に変換する周波数変換手段と、該低周波信号を復調する単一のデジタル復調手段とを備え、該デジタル復調手段は、該低周波信号をアナログ/デジタル変換するA/D変換手段と、該A/D変換手段の出力信号を2n相PSKの復調と2n+1相PSKの復調とを選択的に行なう復調手段と、この復調出力からクロックを再生するクロック再生手段と、この復調出力のエラー訂正を行なうエラー訂正手段と、受信したデジタル衛星放送信号もしくは該デジタル復調手段の復調出力に含まれる情報から受信したデジタル衛星放送信号が2n相PSK変調方式によるものか、2n+1相PSK変調方式によるものかを判定する判定手段を有し、該判定手段の判定結果に応じて、該復調手段及びエラー訂正手段の動作を2n相PSK変調方式に対応したものと2n+1相PSKに対応したものとに選択切り換えるようにする。
【0023】
また、本発明は、2n相PSK変調方式によるデジタル衛星放送信号を入力する第1の入力手段と、2n+1相PSK変調方式によるデジタル衛星放送信号を入力する第2の入力手段と、該第1,第2の入力手段を上記判定手段の判定結果に応じて切り換える切換手段とを備える。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明によるデジタル衛星放送用受信機の第1の実施形態を示すブロック図であって、10’は低周波増幅器、26はミクサ手段、27は発振器、28はLPF(ローパスフィルタ)、29はA/D変換器、30はQPSK/8PSK復調手段、31はQPSK/8PSK・FEC手段、32はクロック再生手段、33は復調方式判定手段、34はデジタル復調手段、120はクロック端子、121はデータ端子、122は復調出力信号、123は再生クロック信号、300は制御用のマイコン(マイクロコンピュータ)であり、図7に対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省略する。
【0025】
同図において、バンドパスフィルタ8から出力される中間周波のデジタル衛星放送信号(ここでは、QPSK変調方式もしくは8PSK変調方式によるものとするが、一般には、2n相もしくは2n+1相PSK変調方式によるもの)は、ミクサ手段26と発振器27とからなる周波数変換手段でさらに周波数変換されて27MHz程度の低周波のデジタル衛星放送信号となり、LPF28で不要成分が除かれ、低周波増幅器10’で増幅された後、デジタル復調手段35に供給される。なお、この低周波増幅器10’の出力から、RF・AGC制御手段9により、AGC電圧が生成される。
【0026】
デジタル復調手段34では、供給された低周波のデジタル衛星放送信号がA/D変換器29によってデジタル変換される。この場合、低周波のデジタル衛星放送信号の変調キャリア周波数が、上記のように、27MHz程度と低いので、A/D変換器29はこの低周波のデジタル衛星放送信号に応答する。
【0027】
A/D変換器29の出力信号はQPSK/8PSK復調手段30に供給され、キャリア再生してI,Q軸の復調によるPSK復調が行なわれ、また、このQPSK/8PSK復調手段30の復調出力から、クロック再生手段32により、クロック再生が行われる。QPSK/8PSK復調手段30の復調出力はQPSK/8PSK・FEC手段31でエラー訂正やデインターリーブなどの処理がなされ、復調出力122として、クロック再生手段32からの再生クロック信号123とともに、出力される。
【0028】
ここで、デジタル復調手段34の全体的な動作は、マイコン300からクロック端子120を介して供給されるクロック信号のタイミングで動作する。また、変調方式判定手段33は、マイコン300からデータ端子121を介して供給されるデータにより、現在受信しているのはQPSK変調方式によるデジタル衛星放送信号であるか、8PSK変調方式によるデジタル衛星放送信号であるかを判定し、QPSK変調方式によるデジタル衛星放送信号を受信中であるときには、QPSK/8PSK復調手段30をQPSK復調手段として動作させるとともに、QPSK/8PSK・FEC手段31をQPSKの復調出力のエラー訂正やデインターリーブなどの処理動作を行なわせ、また、8PSK変調方式によるデジタル衛星放送信号を受信中であるときには、QPSK/8PSK復調手段30を8PSK復調手段として動作させるとともに、QPSK/8PSK・FEC手段31を8PSKの復調出力のエラー訂正やデインターリーブなどの処理動作を行なわせる。このマイコン300からデータ端子121に出力される上記データは、QPSK変調方式によるデジタル衛星放送信号と8PSK変調方式によるデジタル衛星放送信号とのユーザが選択した方の変調方式を表わすものである。
【0029】
なお、かかる受信したデジタル衛星放送信号の変調方式の判定は、まず、いずれか一方の変調方式に対する処理動作となるように、QPSK/8PSK復調手段30及びQPSK/8PSK・FEC手段31を動作させ、これによって得られる復調出力に含まれる繰り返し伝送される既知の情報(例えば、同期信号)を一定期間観測してこの復調出力が有効か否かを判定し、その判定の結果、有効であれば、現在の変調方式の処理動作を継続させ、有効でなければ、他方の変調方式の処理動作になるように、QPSK/8PSK復調手段30及びQPSK/8PSK・FEC手段31を動作させることにより、変調方式を判定する方法がある。
【0030】
また、かかる受信したデジタル衛星放送の変調方式の判定は、復調出力122に含まれるPSK変調方式の種類を示す情報から行なうこともできる。
【0031】
このようにして、この第1の実施形態では、デジタル復調手段34をQPSK,8PSKのいずれの変調方式にも共用したものであって、デジタル復調手段34の使用個数を最小にすることができ、しかも、図7に示した従来技術で用いられる直交検出手段12に比べて回路構成が簡単で部品点数が少ない周波数変換手段(ミクサ手段26や発振器27,LPF28からなる)を用いていることから、全体的な構成が簡略化されることになるる。
【0032】
また、この第1の実施形態では、かかるデジタル復調手段34をフロントエンド50に一体部品として1つの筐体に内蔵するものであり、これにより、このフロントエンド50自体は、図7に示した従来技術でのフロントエンド50に比べて、若干大型になるものの、図7に示した従来技術での別部品としてのフロントエンド50とデジタル復調手段20,25との組と比べ、全体的な規模としては縮小して占有するスペースも縮小する。このため、この実施形態をデジタル衛星放送を受信するテレビジョン受像機やVTRへ組込みが容易となって、これら装置を大型化することもないし、また、コストの低減などに有効となる。
【0033】
図2は図1におけるQPSK/8PSK復調手段30の一具体例を示すブロック図であって、30a,30bは複素乗算器、30cは発振器、30d,30eはロールオフフィルタ、30fはキャリア再生手段、30gは識別手段、132は低周波のデジタル衛星放送信号、133は復調I信号、134は復調Q信号であり、図1に対応する部分には同一符号を付けている。
【0034】
同図において、低周波増幅器10’(図1)からの低周波のデジタル衛星放送信号132は、上記のように、A/D変換器29でアナログ/デジタル変換された後、QPSK/8PSK復調手段30に供給される。
【0035】
このQPSK/8PSK復調手段30では、このA/D変換器29の出力信号が複素乗算器30a,30bに供給され、発振器30cからの再生キャリアと乗算される。複素乗算器30aに供給される再生キャリアと複素乗算器30bに供給される再生キャリアとは互いに90°の位相差があり、これにより、図で示したコンスタレーションでのI,Q軸で復調しようとするものである。複素乗算器30aのベースバンドの出力信号はロールオフフィルタ(符号間干渉がなく、過渡応答の減衰が速いLPF)30dを介してキャリア再生手段30fと識別手段30gとに供給され、同様に、複素乗算器30bのベースバンドの出力信号もロールオフフィルタ30eを介してキャリア再生手段30fと識別手段30gとに供給される。
【0036】
キャリア再生手段30fでは、ロールオフフィルタ30d,30eの出力信号から低周波のデジタル衛星放送信号132をそのクロック周波数の所定倍数の周波数のサンプルクロックでデジタル化した信号の変調キャリアを再生し、これによって発振器30cを制御することにより、この発振器30cからのキャリアがこの低周波のデジタル衛星放送信号132をデジタル化した信号の変調キャリアと周波数が一致し、位相が同期するようにする。このようにして、コスタスループが形成され、複素乗算器30a,30bにおいて、A/D変換器29の出力信号が図3に示したコンスタレーションでの正しいI,Q軸で同期検波されることになる。
【0037】
識別手段30gにおいては、ロールオフフィルタ30d,30eの出力信号が、QPSK変調方式の場合、先の図3で説明したデータ(00),(01),(10),(11)のいずれを表わしているかを順次識別し、8PSK変調方式の場合、データ(000),(001),(010),(011),(100),(101),(110),(111)のいずれを表わしているかを順次識別するものである。このために、識別手段30gには、QPSK変調方式の場合、図3(a)に示したコンスタレーションでの破線で示すスライス基準線SLに対応するスライスレベルが、8PSK変調方式の場合、図3(b)に示したコンスタレーションでの破線で示すスライス基準線SLに対応するスライスレベルが夫々選択設定される。
【0038】
ここで、ロールオフフィルタ30d,30eの出力信号は、QPSK変調方式のデジタル衛星放送信号の場合、夫々2値の信号であり、これら2つの2値信号によって上記の4つのデータが表わされる。従って、この場合には、識別手段30gに夫々の2値信号毎に1つずつスライスレベルが設定される。これに対し、8PSK変調方式のデジタル衛星放送信号の場合、ロールオフフィルタ30d,30eの出力信号は夫々4値の信号であり、これら2つの4値信号によって上記の8つのデータが表わされる。従って、この場合には、識別手段30gに夫々の4値信号毎に3つずつスライスレベルが設定される。
【0039】
なお、識別手段30gでのかかるQPSK変調方式と8PSK変調方式とでのスライスレベルの選択は、上記のように、変調方式判定手段33(図1)の判定結果や、フロントエンド50(図1)から出力される復調出力信号122に含まれる上記の情報に応じて行なわれる。
【0040】
このようにして、QPSK/8PSK復調手段30は、QPSK変調方式によるデジタル衛星放送信号と8PSK変調方式によるデジタル衛星放送信号とをともに復調することができ、これらの真の復調I信号133と復調Q信号134とが得られる。
【0041】
なお、図1において、QPSK/8PSK・FEC手段31は、まず、以上のようにして得られた復調I信号133と復調Q信号134とから、これが表わすデータに応じた元のn個のビットを復元する。即ち、変調方式判定手段33の判定結果により、受信信号がQPSK変調方式によるデジタル衛星放送信号である場合には、上記の4通りのデータのいずれかに応じてそのデータに対応する元の2ビットを復元し、受信信号が8PSK変調方式によるデジタル衛星放送信号である場合には、上記の8通りのデータのいずれかに応じてそのデータに対応する元の3ビットを復元する。
【0042】
そして、このように元のビットストリームを復元すると、QPSK/8PSKFET手段31は、このビットストリームに対してエラー訂正やデインタリーブなどの処理を行なう。この場合、このエラー訂正のためのエラー検出訂正コードは、送信側において、デジタル衛星放送信号に付加されるものであり、かかるエラー検出訂正コードが付加されたビットストリームに対してQPSK変調や8PSK変調が行なわれるトレリス符号化が採られている。従って、この場合には、図3(a),(b)に示すコンスタレーションにおいて、各データ点はかかるエラー検出訂正コードも含んだものである。
【0043】
図4は本発明によるデジタル衛星放送用受信機の第2の実施形態を示すブロック図であって、1a,1bはハイパスフィルタ、2a,2bは前置増幅器、100a,100bは高周波入力端子、101a,101bは電源端子、301は入力切換手段であり、図1に対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省略する。
【0044】
同図において、高周波入力端子100aには、QPSK変調方式によるデジタル衛星放送信号を受信するためのアンテナなどからなる室外ユニット(図示せず)が接続されており、この室外ユニットには、電源端子101aから電源電圧が供給される。この室外ユニットで受信されたQPSK変調方式のデジタル衛星放送信号は、ハイパスフィルタ1aを介し、さらに、前置増幅器2aで増幅された後、可変同調フィルタ3に供給される。同様にして、高周波入力端子100bには、8PSK変調方式によるデジタル衛星放送信号を受信するためのアンテナなどからなる室外ユニット(図示せず)が接続されており、この室外ユニットには、電源端子101bから電源電圧が供給される。この室外ユニットで受信された8PSK変調方式のデジタル衛星放送信号は、ハイパスフィルタ1bを介し、さらに、前置増幅器2bで増幅された後、可変同調フィルタ3に供給される。
【0045】
なお、この可変同調フィルタ3以降の構成及び動作は、図1に示した第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0046】
さて、この第2の実施形態では、前置増幅器2a,2bがON/OFF機能も備えており、受信信号がQPSK変調方式,8PSK変調方式のいずれかを表わすマイコン300からの上記のデータを基に、入力切換手段301により、そのいずれか一方がONで他方がOFFであるように、これらがON,OFF制御される。従って、例えば、ユーザがQPSK変調方式によるデジタル衛星放送の受信のための操作をしたものとすると、マイコン300からのデータはこれの受信を指示しており、これにより、入力切換手段301は前置増幅器2aをON、前置増幅器2bをOFFに夫々設定する。また、ユーザが8PSK変調方式によるデジタル衛星放送の受信のための操作をしたものとすると、マイコン300からのデータはこれの受信を指示しており、これにより、入力切換手段301は前置増幅器2bをON、前置増幅器2aをOFFに夫々設定する。
【0047】
このようにして、この第2の実施形態は、先の第1の実施形態と同様の効果を奏する上、異なる変調方式を受信するための個々の室外ユニットの取替えを行なうことなく、単に受信を希望する変調方式を指定操作するだけでこの希望する変調方式のデジタル衛星放送を選択受信することが可能となる。従って、この第2の実施形態においても、デジタル衛星放送を受信するテレビジョン受像機やVTRへの組込みに対して小型化が図れ、有効なものとなる。
【0048】
図5は本発明によるデジタル衛星放送用受信機の第3の実施形態の示すブロック図であって、35a,35bは屋外ユニット、36は暗号解読手段、37はデマルチプレクサ手段、38はデジタル伸長手段、39は映像信号処理手段、40は音声信号処理手段、41はデジタル衛星放送用受信機、140はビデオ出力端子、141は音声出力端子であり、また、50は図1及び図4におけるフロントエンド50である。
【0049】
同図において、QPSK変調方式のデジタル衛星放送受信用の屋外ユニット35aと8PSK変調方式のデジタル衛星放送受信用の屋外ユニット35bとがデジタル衛星放送用受信機41のフロントエンド50に接続されており、夫々の受信信号がフロントエンド50に入力される。
【0050】
ここで、このフロントエンド50が図1に示した第1の実施形態でのフロントエンド50である場合には、屋外ユニット35a,35bが手動でフロントエンド50に切り換え接続されるものであり、これらいずれかで受信されたデジタル衛星放送信号がこのフロントエンド50の入力端子100に供給される。また、このフロントエンド50が図4に示した第2の実施形態でのフロントエンド50である場合には、屋外ユニット35a,35bが夫々フロントエンド50の入力端子100a,100bに接続されている。
【0051】
フロントエンド50では、上記のように復調などの処理が行なわれ、その復調出力は、暗号解読手段36で受信されたデジタル衛星放送信号に掛けられている暗号が解除された後、デマルチプレクサ手段37で希望番組が選択され、さらに、デジタル伸長手段38で選択された番組情報がデータ伸長される。このデジタル伸長手段38の出力は、映像信号処理手段39と音声信号処理手段40とに供給され、夫々からビデオ信号出力140,音声出力141が得られる。
【0052】
この実施例においては、フロントエンド50として、図1,図4に示したQPSK変調方式と8PSK変調方式との両方に対して動作する単一の復調処理手段を内蔵するため、かかるデジタル衛星放送用受信機の小型化が図れる。
【0053】
図6はテレビジョン受像機としての本発明によるデジタル衛星放送用受信機を用いた装置の第1の実施形態の示すブロック図であって、42は表示手段、43はスピーカ、44はテレビジョン受像機であり、図5に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。
【0054】
同図において、この実施形態は、図5に示したデジタル衛星放送用受信機41を内蔵したテレビジョン受像機44である。デジタル衛星放送用受信機41からのビデオ出力140は表示手段42に供給されて映像表示が行なわれ、また、音声出力141はスピーカ43に供給されて音声再生が行なわれる。
【0055】
この実施形態においても、上記実施形態と同様に、フロントエンド50内にQPSK変調方式と8PSK変調方式の両方に対応する復調処理手段を内蔵するため、デジタル衛星放送用受信機41の小型化が図れ、テレビジョン受像機44への内蔵化が容易となる。
【0056】
なお、この実施形態は、テレビジョン受像機に関するものであったが、ビデオ録画再生装置(VTR)であっても、その受信部に図1,図4に示すフロントエンド50あるいは図5に示すデジタル衛星放送用受信機41を用いることができ、図5に示した実施形態と同様な効果が得られることは明らかである。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、2つの異なるPSK変調方式のデジタル衛星放送信号を受信する受信機において、これらを復調するディジタル復調手段を夫々の変調方式に共用することを可能にしたものであるから、従来必要としていた2組のデジタル復調手段を1組に削減できることなり、回路構成が簡略化,小型化されることになるし、さらに、フロントエンドへの内蔵が可能となって、回路構成のさらなる小型化が図れることになる。
【0058】
また、本発明によれば、指定する変調方式の判定結果に連動して、異なるPSK変調方式のデジタル衛星放送信号を受信するアンテナの選択切換えを行なうことができ、従来のアンテナ切換えの手間を省くことができる。
【0059】
さらに、本発明によれば、テレビ受信機やVTRなどへ内蔵するのに好適な小型のデジタル衛星放送用受信機を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるデジタル衛星放送用受信機の第1の実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1でのQPSK/8PSK復調手段の一具体例を示すブロック図である。
【図3】QPSK変調方式と8PSK変調方式とでのコンスタレーションを示す図である。
【図4】本発明によるデジタル衛星放送用受信機の第2の実施形態を示すブロック図である。
【図5】本発明によるデジタル衛星放送用受信機の第3の実施形態を示すブロック図である。
【図6】本発明によるデジタル衛星放送用受信機を適用したテレビジョン受像機の一実施形態を示すブロック図である。
【図7】従来のデジタル衛星放送用受信機の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1,1a,1b ハイパスフィルタ
2,2a,2b 前置増幅器
5 ミクサ
6 発振器
7 周波数シンセサイザ
26 ミクサ
27 発振器
29 A/D変換器
30 QPSK/8PSK復調手段
30a,30b 複素乗算器
30c 発振器
30d,30e ロールオフフィルタ
30f キャリア再生手段
30g 識別手段
31 QPSK/8PSK・FEC手段
32 クロック再生手段
33 変調方式判定手段
34 デジタル復調手段
35a,35b 屋外ユニット
36 暗号解読手段
37 デマルチプレクサ手段
38 デジタル伸長手段
39 映像信号処理手段
40 音声信号処理手段
41 デジタル衛星放送用受信機
42 表示手段
43 スピーカ
44 テレビジョン受像機
50 フロントエンド
100a,100b 高周波入力端子
122 復調出力
123 再生クロック
132 低周波のデジタル衛星放送信号
133 復調I信号
134 復調Q信号
300 マイコン
301 入力切換手段

Claims (8)

  1. n相(但し、nは正整数)PSK変調方式のデジタル衛星放送信号と2n+1相PSK変調方式のデジタル衛星放送信号とを受信するデジタル衛星放送用受信機において、
    受信した無線周波のデジタル衛星放送信号を中間周波のデジタル衛星放送信号に変換する第1の周波数変換手段と、
    該中間周波のデジタル衛星放送信号を低周波のデジタル衛星放送信号に変換する第2の周波数変換手段と、
    該低周波のデジタル衛星放送信号が供給されるデジタル復調手段と
    を有し、
    該デジタル復調手段は、
    該低周波のデジタル衛星放送信号をアナログ/デジタル変換するアナログ/デジタル変換手段と、
    該アナログ/デジタル変換手段の出力信号を2n相PSK復調もしくは2n+1相PSK復調を選択的に行なう2n相/2n+1相PSK復調手段と、
    該2n相/2n+1相PSK復調手段の出力をエラー訂正する訂正手段と、
    該2n相/2n+1相PSK復調手段の出力のクロックを再生するクロック再生手段と、
    該アナログ/デジタル変換手段の出力信号もしくは該2n相/2n+1相PSK復調手段の出力信号に含まれる情報に応じて、受信した該デジタル衛星放送信号が2n相PSK変調方式のものか2n+1相PSK変調方式のものかを判定する判定手段と
    を有し、
    該判定手段の判定結果に応じて、該2n相/2n+1相PSK復調手段と該訂正手段とで2n相PSK変調方式に対応した動作と2n+1相PSK変調方式に対応した動作との選択切替えを行なわせ、かつ、該クロック再生手段に受信した該デジタル衛星放送信号に対応したクロック再生を行なわせることを特徴とするデジタル衛星放送用受信機。
  2. 請求項1に記載のデジタル衛星放送用受信機において、
    n=2であって、
    前記2n相/2n+1相PSK復調手段は、前記判定手段の判定結果に応じて、QPSK変調方式のデジタル衛星放送信号と8PSK変調方式のデジタル衛星放送信号とを選択復調することを特徴とするデジタル衛星放送用受信機。
  3. 請求項2に記載のデジタル衛星放送用受信機において、
    前記QPSK変調方式のデジタル衛星放送信号が入力される第1の高周波入力端子と、
    前記8PSK変調方式のデジタル衛星放送信号が入力される第2の高周波入力端子と、
    前記判定手段の判定結果に応じて、該第1,第2の高周波入力端子のいずれか一方を選択し、入力された前記QPSK変調方式のデジタル衛星放送信号もしくは8PSK変調方式のデジタル衛星放送信号を前記第1の周波数変換手段に供給する選択手段と
    を有することを特徴とするデジタル衛星放送用受信機。
  4. 請求項1,2または3に記載のデジタル衛星放送用受信機において、
    前記第1,第2の周波数変換手段と前記デジタル復調手段とが一体に同一筐体内に配置されていることを特徴とするデジタル衛星放送用受信機。
  5. 請求項1,2,3,または4に記載のデジタル衛星放送用受信機において、
    前記デジタル衛星放送信号は、エラー検出訂正コードが付加されたビットストリームに対して2n相PSK変調や2n+1相PSK変調が行なわれるトレリス符号化が採られており、
    前記判定手段及び前記2n相/2n+1相PSK復調手段は、トレリス符号化された変調方式の判定と復調に対応していることを特徴とするデジタル衛星放送用受信機。
  6. 少なくとも選局復調手段と、暗号解読手段と、デマルチプレクス手段と、デジタル伸長手段と、映像処理手段と、音声処理手段とからなり、高周波のデジタル衛星放送信号が入力されてビデオ信号と音声信号を出力するデジタル衛星放送用受信機において、
    該選局復調手段が請求項1,2,3,4または5のいずれか1つに記載のデジタル衛星放送用受信機であることを特徴とするデジタル衛星放送用受信機。
  7. 少なくとも選局復調手段と、暗号解読手段と、デマルチプレクス手段と、デジタル伸長手段と、映像処理手段と、音声処理手段と、画像表示手段と、スピーカとからなるテレビジョン受信機において、
    該選局復調手段が請求項1,2,3,4または5のいずれか1つに記載のデジタル衛星放送用受信機であることを特徴とするテレビジョン受信機。
  8. 少なくとも選局復調手段と、暗号解読手段と、デマルチプレクス手段と、デジタル伸長手段と、映像処理手段と、音声処理手段と、ビデオ録画再生手段とからなるビデオ録画再生装置において、
    該選局復調手段が請求項1,2,3,4または5のいずれか1つに記載のデジタル衛星放送用受信機であることを特徴とするビデオ録画再生装置。
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