JP3832892B2 - スポット溶接装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
【0002】
本願発明は、インダイレクトスポツト溶接方式を採用したスポット溶接方法に関するものである。
【従来の技術】
【0003】
例えばアウタパネルおよびインナパネル2つの部材よりなる自動車用ドアボデー等のワークのヘミング加工縁部(ヘム部)の溶接を行うのには、従来から一般にインダイレクト方式のスポット溶接装置が多く採用されている。
【0004】
このようなインダイレクトスポット溶接では、スポット溶接ガンを上記ワークのヘミング加工縁部のスポット溶接位置に圧接させて溶接を行うようになっているために、スポット電極の圧接による圧痕を残さないようにすることが要請される一方、該ワーク側に溶接トランスの2次側アースケーブルを接続しなければならない問題がある。
【0005】
このため、従来のインダイレクト式のスポット溶接装置の中には、例えば特開平6−47559号公報に示されるように、マテハンロボットにより治具を介してワークを把持し、スポット溶接装置によりインダイレクト溶接するようにしてなるスポット溶接装置において、上記治具を、上記ワークを把持固定するワーククランパー部と、上記ワークを溶接トランス側アースケーブル端子に接続するアースクランパ部とから構成する一方、上記スポット溶接装置に電極支持用の昇降機構とバックバー支持用の昇降機構とを相互に独立に設けて構成したものがある。
【0006】
該構成によると、先ずロボット側のワークを把持する治具が、ワークを把持固定するワーククランパー部と該ワーククランパー部によってクランプされたワークを溶接トランス側の2次側アースケーブル端子に任意に接続するアースクランパ部とから構成されているために、種類の異なるワークに対しても治具を交換するのみで、容易に対応することができる。
【0007】
また、アースケーブルの接続は、アースクランパ部が設けられているので、スポット溶接装置側にワークをアプローチさせた上で行うことができる。従って、アースケーブルは、スポット溶接装置側の所定端子保持位置までの長さであれば十分であり、マテハンロボット位置までの長い引回し量を必要としない。
【0008】
さらに、それに加えてスポット溶接装置側のスポツト電極およびバックバーは、各々相互に独立した昇降機構により独立して支持されており、可及的に圧痕を残さないようなワーク挟着状態が実現されるようになる。
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記従来の構成によると、マテハンロボットに加え、ワーククランパーやアースクランパ、電極およびバックバー支持用の昇降機構、溶接機など大がかりな専用の治具が必要であるために汎用度が低く、異なる種類のワークに対応できない。また構造が複雑で装置が大型化し設備コストが嵩む一方、設置スペースの制約も大きい。したがって、工場が大型化する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願の請求項1および2記載の発明のスポット溶接方法は、各々上記のような問題を解決することを目的としてなされたもので、それぞれ次のように構成されている。
【0011】
(1) 請求項1記載の発明のスポット溶接方法の構成
請求項1記載の発明のスポット溶接方法は、第1部材および第2部材よりなり、これら第1,第2部材の縁部をヘミング加工により重合してなるワークと、該ワークを支持するワーク支持手段と、該ワーク支持手段上に支持された上記ワークの上記第2部材に対して着脱可能に接続されるアース電極と、上記ワーク支持手段上に支持され、上記アース電極が接続されたワークの上記ヘミング縁部をインダイレクトスポツト溶接する上記ワークに対して接離可能に設けられたスポット溶接ガンとを備え、上記ワーク支持手段上に上記ワークを支持した後、当該ワークの上記2部材に対して上記アース電極を着脱可能な状態で接続し、当該ワークの上記ヘミング縁部を上記スポット溶接ガンによってインダイレクトスポット溶接するようにしてなるスポット溶接方法であって、上記アース電極は、上記ワークの上記第2部材のサービスホールを介して上記第2部材に着脱可能に接続されるとともに、上記スポット溶接ガンは、上記ワーク支持手段上のワークの上記ヘミング縁部に対してガイドローラを介して接離することにより、上記ヘミング縁部上のスポット溶接位置を規定するようになっていることを特徴とするものである。
【0012】
(2) 請求項2記載の発明のスポット溶接方法の構成
請求項2記載の発明のスポット溶接方法は、第1部材および第2部材よりなり、これら第1,第2部材の縁部をヘミング加工により重合してなるワークと、該ワークを支持するワーク支持手段と、該ワーク支持手段上に支持された上記ワークの上記第2部材に対して着脱可能に接続されるアース電極と、上記ワーク支持手段上に支持され、上記アース電極が接続されたワークの上記ヘミング縁部をインダイレクトスポツト溶接する上記ワークに対して接離可能に設けられたスポット溶接ガンとを備え、上記ワーク支持手段上に上記ワークを支持した後、当該ワークの上記2部材に対して上記アース電極を着脱可能な状態で接続し、当該ワークの上記ヘミング縁部を上記スポット溶接ガンによってインダイレクトスポット溶接するようにしてなるスポット溶接方法であって、上記アース電極は、上記ワークの上記第2部材のサービスホールを介して上記第2部材に着脱可能に接続されるとともに、上記スポット溶接ガンは、上記ワーク支持手段上のワークの上記ヘミング縁部を支持するバックバー下面のスポット位置規定用の凹部に対してアダプターの凸部を係合させることにより、上記ヘミング縁部上のスポット溶接位置を規定するようになっていることを特徴とするものである。
【作用】
【0013】
本願の請求項1および2記載の発明のスポット溶接方法は、それぞれ上記のように構成されているので、当該各構成に対応して各々次のような作用を奏する。
【0014】
(1) 請求項1記載の発明のスポット溶接方法の作用
請求項1記載の発明のスポット溶接方法の構成では、上述の如く、第1部材および第2部材よりなり、これら第1,第2部材の縁部をヘミング加工により重合してなるワークと、該ワークを支持するワーク支持手段と、該ワーク支持手段上に支持された上記ワークの上記第2部材に対して着脱可能に接続されるアース電極と、上記ワーク支持手段上に支持され、上記アース電極が接続されたワークの上記ヘミング縁部をインダイレクトスポツト溶接する上記ワークに対して接離可能に設けられたスポット溶接ガンとを備え、上記ワーク支持手段上に上記ワークを支持した後、当該ワークの上記2部材に対して上記アース電極を着脱可能な状態で接続し、当該ワークの上記ヘミング縁部を上記スポット溶接ガンによってインダイレクトスポット溶接するようにしてなるスポット溶接方法であって、上記アース電極は、上記ワークの上記第2部材のサービスホールを介して上記第2部材に着脱可能に接続されるとともに、上記スポット溶接ガンは、上記ワーク支持手段上のワークの上記ヘミング縁部に対してガイドローラを介して接離することにより、上記ヘミング縁部上のスポット溶接位置を規定して、インダイレクトスポツト溶接するようになっている。
【0015】
したがって、同方法では、アース電極およびアースケーブルは、例えば常時治具テーブル等ワーク支持手段側に固定して置く必要はなく、必要に応じてサービスホールを介して任意にワーク第2部材に着脱自在に接続することができる。
【0016】
そして、マテハンロボットはもちろん、ワーククランパーやアースクランパ、電極およびバックバー支持用の昇降機構は不要となり、専用の治具は、例えば治具テーブル等ワーク支持手段のみで良くなる。
【0017】
その結果、汎用性が高くなり、多品種少量生産の機種に適したものとなる。また、使用する溶接装置の構造が簡単で、小型化し、低コストになり、設置スペースの制約も小さくなる。従って、工場の小型化が可能となる。
【0018】
しかも同装置の上記スポット溶接ガンは、上記ワーク支持手段上のワークの当該ヘミング縁部に対してガイドローラを介して接離するようになっており、それにより容易にヘミング縁部上のスポット溶接位置を規定することができる。
【0019】
(2) 請求項2記載の発明のスポット溶接方法の作用
請求項2記載の発明のスポット溶接方法の構成では、第1部材および第2部材よりなり、これら第1,第2部材の縁部をヘミング加工により重合してなるワークと、該ワークを支持するワーク支持手段と、該ワーク支持手段上に支持された上記ワークの上記第2部材に対して着脱可能に接続されるアース電極と、上記ワーク支持手段上に支持され、上記アース電極が接続されたワークの上記ヘミング縁部をインダイレクトスポツト溶接する上記ワークに対して接離可能に設けられたスポット溶接ガンとを備え、上記ワーク支持手段上に上記ワークを支持した後、当該ワークの上記2部材に対して上記アース電極を着脱可能な状態で接続し、当該ワークの上記ヘミング縁部を上記スポット溶接ガンによってインダイレクトスポット溶接するようにしてなるスポット溶接方法であって、上記アース電極は、上記ワークの上記第2部材のサービスホールを介して上記第2部材に着脱可能に接続されるとともに、上記スポット溶接ガンは、上記ワーク支持手段上のワークの上記ヘミング縁部を支持するバックバー下面のスポット位置規定用の凹部に対してアダプターの凸部を係合させることにより、上記ヘミング縁部上のスポット溶接位置を規定して、インダイレクトスポツト溶接するようになっている。
【0020】
したがって、同方法の場合、アース電極およびアースケーブルは、例えば常時治具テーブル等ワーク支持手段側に固定して置く必要はなく、必要に応じてワーク第2部材のサービスホールを介して任意にワーク第2部材に対して着脱自在に接続することができる。
【0021】
そして、マテハンロボットはもちろん、ワーククランパーやアースクランパ、電極およびバックバー支持用の昇降機構は不要となり、専用の治具は、例えば治具テーブル等ワーク支持手段のみで良くなる。
【0022】
その結果、汎用性が高くなり、多品種少量生産の機種に適したものとなる。また、使用する溶接装置の構造が簡単で、小型化し、低コストになり、設置スペースの制約も小さくなる。従って、工場の小型化が可能となる。
【0023】
しかも、同装置の上記スポット溶接ガンは、上記ワーク支持手段上のワークの上記ヘミング縁部を支持するバックバー下面のスポット位置規定用の凹部に対してアダプター側の凸部を係合させるようになっており、それにより上記ヘミング縁部上のスポット溶接位置を正確に規定することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上の結果、本願の請求項1および2記載の発明のスポット溶接方法によると、次のような有益な効果を得ることができる。
【0025】
(1) 異なる種類の溶接ワークに対しても任意に対応することができ、汎用性が向上するので、一部の自動車ボデーのように多品種少量生産のものに最適となる。
【0026】
(2) ワーク支持手段以外の特別な専用の治具を使用せずにインダイレクトスポツト溶接することができるようになるために、使用される溶接装置そのものの構成が簡単かつ小型のものとなり、コストが低下するとともに省スペース化できる。また、作業スペースの制約もない。従って、工場の小型化が可能となる。
【0027】
(3) 溶接作業自体が容易になるので、溶接作業に熟練を必要としなくなる。
【0028】
(4) スポット溶接位置を容易に規定することができる。
【発明の実施の形態】
【0029】
図1〜図3は、本願発明の実施の形態1に係るスポット溶接方法および同スポット溶接方法を実施するスポット溶接装置の構成を示している。
【0030】
先ず、図1は、同装置の全体的な構成を示し、図中符号45はワーク支持手段としての回転式のワーク支持テーブル、Wは該ワーク支持テーブル45の上部に載置状態で支持されたワーク、EAは該ワークWに対し、任意に接続されるクランパー構造のアース電極装置、SGは上記ワークWのヘミング加工部Hを任意にインダイレクト方式でスポット溶接するマニュアル操作タイプの小型スポット溶接ガンである。
【0031】
ワーク支持テーブル45は、上記ワークWを後述する状態で支持するに適した平面スペースを有し、回転支持脚46を有して底板47により図示の如く床51上に回転可能な状態で安定して支持されている。
【0032】
上記ワークWは、本例の場合、例えばドアアウタパネル(外板)W1とドアインナパネル(内板)W2とからなり、それらの一側部側で各縁部を重合するとともに該ドアインナパネルW2の縁部に対してドアアウタパネルW1側の縁部を上方に折り返し重合して三重にしたヘミング加工縁部Hを有する構造の自動用ドアボデーが採用されている。そして、該ワークWは、上記ヘミング加工縁部H側を例えば図3に示すように、上記ワーク支持テーブル45の端部45aより所定寸法Lだけ水平方向外方にオーバハングさせた状態で支持されている。
【0033】
一方、アース電極装置EAは、例えば図2に示すように、下部側に位置して上下方向にスライドする第1のスライド部材27と、上部側に位置して該第1のスライド部材27を上下方向にスライド可能に嵌挿支持したパイプフレーム構造の第1のスライドフレーム26と、上部側一方に位置して左右方向にスライドする第2のスライド部材35と、上部側他方に位置して該第2のスライド部材35を左右方向にスライド可能に支持するパイプフレーム構造の第2の支持フレーム34とを備え、上記第1のスライド部材27の下端には支持プレート32および絶縁プレート31を介してバックバー支持ベース29の基端が直交状態でボルト30,30により固定されている。該バックバー支持ベース29の先端側上部には、上記ワークWのドアインナパネルW2裏面と当接して同ドアインナパネルW2への加圧力を受け止めるバックバー33が設けられている。該バックバー33を備えたバックバー支持ベース29は、図示のように上記ワーク支持テーブル45上に支持されたワークWの上部側ドアインナパネルW2に設けられているサービスホール25を通してドアボデー内側に上方から挿入され、その後側方に移動し、さらに少し上昇して上記バックバー33が図示のような状態でドアインナパネルW2の裏面を受け止めるようになっている。
【0034】
上記第1のスライド部材27は、上記第1の支持フレーム26に対し、そのスライド位置がボルト28,28により任意に係止固定されるようになっている。従って、例えばワークWの大きさや形状、厚さなどに対応して、その下方側突出長を適切に調節することができる。
【0035】
また、上記第2の支持フレーム34は、上記第1の支持フレーム26と直交する形で基端側を一体に連結されており、同様に第2のスライド部材35の左右方向のスライド位置をボルト36,36で任意に係止固定することができるようになっている。
【0036】
そして、同第2のスライド部材35の先端側下部には、先ず加圧シリンダ38が設けられ、該加圧シリンダ38の下部側シリンダロッド40の下端部には、ポイントホルダー42を取付けた電極ブラケット41が連結固定されている。該電極ブラケット41の下端には、傾動自在なユニバーサルジョイント構造のアース電極44が取付けられている。該アース電極44は、上記ポイントホルダー42を介して溶接トランス56側のアースケーブル43と接続されている。
【0037】
一方、上記第2の支持フレーム34の上部には、加圧シリンダ作動スイッチ37が設けられており、該加圧シリンダ作動スイッチ37がON操作されると、上記加圧シリンダ38が作動して、上記シリンダロッド40とともにアース電極44が下降し、図示の実線の状態からバックバー33とともに所望の接触圧でドアインナパネルW2を挟み、同パネルW2を溶接トランス56のアース端子56b側にアースする。
【0038】
なお、39は上記加圧シリンダ38のエアパイプである。
【0039】
以上のように構成されたアース電極装置EAは、ワイヤー62、バランサ57を介して天井部50のガイドレール54に吊り下げられ、左右上下方向に任意に移動できるようになっている。
【0040】
そして、該アース電極装置EAのアースケーブル43が接続される上記溶接トランス56は、ガイドローラ53を介して天井部50に同様に吊設されている。
【0041】
他方、スポット溶接ガンSGは、例えば図3に示すように、上部側に位置して上下方向にスライドする第1のスライド部材2と、下部側に位置して該第1のスライド部材2を上下方向にスライド可能に嵌挿支持したパイプフレーム構造の第1のスライド部材支持フレーム1と、下部側一方に位置して前後方向にスライドする第2のスライド部材4と、下部側他方に位置して該第2のスライド部材4を前後方向にスライド可能に支持するパイプフレーム構造の第2のスライド部材支持フレーム3とを備え、上記第1のスライド部材2の上端には支持プレート12および絶縁プレート11を介してチップ電極支持ベース7の基端が直交状態でボルト10,10により一体的に連結固定されている。該チップ電極支持ベース7の先端側下部には、上記ワークWのヘミング加工縁部Hに上部側から当接して同ヘミング加工縁部Hをインダイレクトにスポット溶接する電極チップ7aが設けられている。
【0042】
上記第1のスライド部材2は、上記第1のスライド部材支持フレーム1に対し、そのスライド位置がボルト5,5により任意に係止固定されるようになっている。従って、例えばワークWのヘミング加工縁部Hの厚さや形状又は後述する実施の形態2のように必要に応じてバックバーを設けたような場合などに対応して、その上方側突出長を適切に調節して対応することができる。
【0043】
また、上記第2の支持フレーム3は、上記第1のスライド部材支持フレーム1と直交する形で一体的に連結されており、同様に第2のスライド部材4の前後方向のスライド位置をボルト6,6で任意に係止固定することができるようになっている。
【0044】
そして、同第2のスライド部材4の先端側上部には先ず加圧シリンダ17が設けられ、該加圧シリンダ17のシリンダロッド18の上端部には、アダプター19が設けられ、該アダプター19の上部にはユニバーサルジョイント構造の連結部20を介してバックバー機能を有するワーク支持部材21が支持されている。
【0045】
一方、上記第1のスライド部材支持フレーム1に支持された第1のスライド部材2には、加圧シリンダ作動スイッチ14aを備えた把手部14が取付ブラケット15および支軸16を介して回動可能に設けられており、該把手部14の加圧シリンダ作動スイッチ14aがON操作されると、上記加圧シリンダ17が作動して、上記シリンダロッド18とともにワーク支持部材21が上昇し、ワーク支持部材21がワークのヘミング加工縁部H裏面に当接した後、上記電極チップ7aが図示の実線の状態から相対的に下降してワーク支持部材21とともに所望の接触圧で挟み、同ヘミング加工縁部Hをインダイレクトにスポット溶接する。該溶接時の加圧力は、エアー圧のコントロールによって任意に調節することが可能となっている。
【0046】
その結果、圧痕は残らない。
【0047】
なお、符号24aは、上記溶接時の前後方向のスポット位置規定用の例えば合成樹脂製のガイドローラであり、支持部材24を介して上記第1のスライド部材2の前部に支持されている。
【0048】
以上のように構成されたスポット溶接ガンSGは、ワイヤー61、バランサ55を介して天井部50のガイドレール52に吊り下げられ、左右上下方向に任意に移動できるようになっている。
【0049】
次に、上記構成のスポット溶接装置を用いたスポット溶接方法について説明する。
【0050】
(1) 第1工程
ワーク支持テーブル45上にヘミング加工後のワークWを移送し、ドアアウタパネルW1側を下にしてワーク支持テーブル45の後端部45aよりヘミング加工縁部Hを所定寸法Lだけ後方にオーバーハングさせた状態で支持する。
【0051】
(2) 第2工程
アース電極装置EAを下方に降ろし、その下端側バックバー支持ベース29をドアインナパネルW2のサービスホール25内に挿入した後、図2のようにして同ドアインナパネルW2裏面にバックバー33を下方側から当接させる。
【0052】
(3) 第3工程
アース電極装置EAの加圧シリンダ作動スイッチ37をON操作して、アース電極44をドアインナパネルW2の上面に当接させることによって、ワークWを溶接トランス56のアース端子56bにアースケーブル43を介して接続する。
【0053】
(4) 第4工程
スポット溶接ガンSGを下降させ、その把手部14を握って操作し、ガイドローラ24aで前後方向に位置規制しながら、図に示すようにワーク支持部材21をワークWのヘミング加工縁部Hのスポット位置裏面に正確に当接させる。
【0054】
(5) 第5工程
把手部14の加圧シリンダ作動スイッチ14aをON操作して、加圧シリンダ17を適切に作動させ、それによって相対的に電極チップ7aを下降させて、インダイレクトにスポット溶接する。
【0055】
なお、以上の説明では、その実施の形態として人間系による作業方法を例示したが、本願発明は所定のロボットに上記スポット溶接ガンを把持させて実施させても良いことは言うまでもない。
【0056】
(実施の形態2)
図4および図5は、本願発明の実施の形態2に係るスポット溶接方法および同スポット溶接方法を実施するスポット溶接装置の構成を示している。
【0057】
該方法および装置では、上記実施の形態1のスポット溶接方法および装置のワーク支持構造を変更する一方、スポット位置規定作用を有したバックバーを設けることによって上述のガイドローラ24aを省略したことを特徴とするものである。
【0058】
すなわち、上記図1のワーク支持テーブル45の場合、上部が平坦なので円弧面形状を有するワークWの支持が安定しない。
【0059】
そこで、本実施の形態では、例えば図4に示すように、ワークWのヘミング加工縁部H裏面を支持する治具としてのバックバー75,75・・およびバックバー支柱74,74・・を脚72,72によって支持された治具ベーステーブル71の上に設置し、該バックバー75,75・・間にワークWのドアアウタパネルW1側円弧面を架け渡すようにして支持することによって揺動することなく、安定した支持が可能となるようにしている。
【0060】
この場合、上記バックバー支柱74,74は取付プレート73,73・・を介してボルト80,80により上記治具ベーステーブル71上に確実に締結して固定されている一方、バックバー75,75・・は該バックバー支柱74,74・・に対し図5に示す如くボルト81,81で固定されるようになっている。そして、他の異なる種類のワークに対応させる時はボルト81,81を外し、当該バックバーを交換して適合するものを新たに取付ける。バックバー75,75・・の上端76側ワーク支持部下面には、スポット位置規定用の凹部76aがスポット位置毎に形成されている。
【0061】
他方、加圧シリンダ17のシリンダロッド18によって支持されたアダプター19の上面には、上記凹部76aに係合する凸部19aが設けられている。そして、上記凹部76aに対し、該凸部19aを係合させると、上記チップベース7側の電極チップ7aがワークWのヘミング加工縁部Hにおけるスポット溶接位置に正確に対応するように構成されている。
【0062】
したがって、該構成のスポット溶接方法および装置によると、電極チップ7aが設定されたスポット溶接位置に対して、前後左右何れの方向にも正確に位置決めされることになる。しかも、この場合、上記第1のスライド部材2と第1のスライド部材支持フレーム1とは相互にスライドして、上記電極チップ7aとワーク支持部材21との間隔を調節できるから、上記バックバー5のワーク支持部76に任意に対応することができる。
【0063】
そして、該構成のスポット溶接装置によっても、上記実施の形態1の場合と全く同様のスポット溶接方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明の実施の形態1に係るスポット溶接方法および装置の全体構成図である。
【図2】 同スポット溶接方法および装置のアース電極部分の構成図である。
【図3】 同スポット溶接方法および装置のスポット溶接ガン部分の構成図である。
【図4】 本願発明の実施の形態2に係るスポット溶接方法および装置の全体構成図である。
【図5】 同スポット溶接方法および装置のスポット溶接ガン部分の構成図である。
【符号の説明】
1は第1のスライド部材支持フレーム、2は第1のスライド部材、3は第2のスライド部材支持フレーム、4は第2のスライド部材、7はチップ電極支持ベース、7aは電極チップ、45はワーク支持テーブル、71は治具ベーステーブル、Wはワーク、Hはヘミング加工縁部、EAはアース電極装置、SGはスポット溶接ガンである。
Claims (2)
- 第1部材および第2部材よりなり、これら第1,第2部材の縁部をヘミング加工により重合してなるワークと、該ワークを支持するワーク支持手段と、該ワーク支持手段上に支持された上記ワークの上記第2部材に対して着脱可能に接続されるアース電極と、上記ワーク支持手段上に支持され、上記アース電極が接続されたワークの上記ヘミング縁部をインダイレクトスポツト溶接する上記ワークに対して接離可能に設けられたスポット溶接ガンとを備え、上記ワーク支持手段上に上記ワークを支持した後、当該ワークの上記2部材に対して上記アース電極を着脱可能な状態で接続し、当該ワークの上記ヘミング縁部を上記スポット溶接ガンによってインダイレクトスポット溶接するようにしてなるスポット溶接方法であって、上記アース電極は、上記ワークの上記第2部材のサービスホールを介して上記第2部材に着脱可能に接続されるとともに、上記スポット溶接ガンは、上記ワーク支持手段上のワークの上記ヘミング縁部に対してガイドローラを介して接離することにより、上記ヘミング縁部上のスポット溶接位置を規定するようになっていることを特徴とするスポット溶接方法。
- 第1部材および第2部材よりなり、これら第1,第2部材の縁部をヘミング加工により重合してなるワークと、該ワークを支持するワーク支持手段と、該ワーク支持手段上に支持された上記ワークの上記第2部材に対して着脱可能に接続されるアース電極と、上記ワーク支持手段上に支持され、上記アース電極が接続されたワークの上記ヘミング縁部をインダイレクトスポツト溶接する上記ワークに対して接離可能に設けられたスポット溶接ガンとを備え、上記ワーク支持手段上に上記ワークを支持した後、当該ワークの上記2部材に対して上記アース電極を着脱可能な状態で接続し、当該ワークの上記ヘミング縁部を上記スポット溶接ガンによってインダイレクトスポット溶接するようにしてなるスポット溶接方法であって、上記アース電極は、上記ワークの上記第2部材のサービスホールを介して上記第2部材に着脱可能に接続されるとともに、上記スポット溶接ガンは、上記ワーク支持手段上のワークの上記ヘミング縁部を支持するバックバー下面のスポット位置規定用の凹部に対してアダプターの凸部を係合させることにより、上記ヘミング縁部上のスポット溶接位置を規定するようになっていることを特徴とするスポット溶接方法。
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