JP3832653B2 - 無煙ロースターの油脂回収装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、肉、野菜等を加熱調理し、焼煙を含む排ガス等を吸引して無煙化するロースターに関し、特に、ロースター本体内の排気流路に設けた油脂吸着体で油脂を回収する様にした無煙ロースターの油脂回収装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、図11に示す様に、多人数で焼肉調理しながら飲食する無煙ロースター(例えば、特許文献1参照)は、矩形状テーブルaの略中央に調理部bが配置されると共に、テーブルaの下面側に配置された排気流路c、浄化装置d等の周囲にキャビネットeが設けられているため、調理飲食者の調理着席状況からテーブルa及びキャビネットe等の大きさに制限があった。
又、キャビネットe内で調理部bの外側で内箱fと外箱gの間の吸引流路hに連通させた連結箱i(脱脂ボックス)を設けているため、連結箱iの大きさにも制限があり、更に、吸引作用を有する排気流路cの断面円形の排気ダクトjは必要吸引量を確保するために、相当の口径を必要としていた。
連結箱i内で排気ダクトjに連通状態の油脂吸着体kは圧力損失の関係から容量大が好適であり、又調理部bが円形の時には、排気ダクトjとトッププレートlの吸引孔mの間に連結箱iおよび油脂吸着体kを設けた場合に、調理部bに対する円周上で均等吸引力を作用させることが好適である。
上記各種制限等から、連結箱iに収納した油脂吸着体kは円筒形であると共に、油脂吸着体kの一側はドレンパン兼用の内箱fに接近せざるを得なかった。
【0003】
調理時に発生する排ガスの吸引状態としては、排気ダクトj、連結箱i、内外箱f、g間の吸引流路h、トッププレートlの吸引孔mを介した吸引作用により、トッププレートlの全周に配置された吸引孔mから吸引(図中、矢印A)された排ガスは、外箱gと内箱f間の吸引流路hを降下(図中、矢印B)すると共に、連結箱i設置の水平方向(図中、矢印C)に円弧状に流通する。
連結箱iに近い位置Dの排ガスは、油脂吸着体kの周囲空間および上方空間を通過して遠い位置Eへの回り込みが比較的容易である一方、連結箱iに遠い位置Fで吸引流路h下方から連結箱i設置方向へ円弧流通する排ガスは、油脂吸着体kと内箱fが接近している位置Gへ流通する傾向があり、当該位置Gは流通空間が狭いため吸引力が比較的弱い傾向があった。
従って、連結箱i内における油脂吸着体kを介した多少の吸引力差は、内外箱f、g間の吸引流路hの下方部に伝播し、連結箱iに遠い位置Fにおける吸引力の相対低下を招来し、円形のトッププレートlの吸引孔mを介した排ガスの吸引力に不均等が発生した。
尚、上記欠点は油脂吸着体kが新品の時に発生する傾向があり、相当時間使用後には上記欠点は解消傾向である一方、圧力損失が増加する傾向があった。
【0004】
又、ロースター排ガスの排気流路に設置(例えば、ロースター内装、排気ダクト中間設置)する油脂吸着体kとしては、通気浄化式の他、吸着材nを使用したものがあった(例えば、上記特許文献1、詳細構造としては特許文献2参照)。油脂吸着体kの構造としては、内外2重円筒体で全体的に通気自在なリング状の収納体oに多数の粒体状無機質(セラミック製)吸着材nを収納したものであった。
【0005】
無煙ロースターの使用によって、吸引された排ガスは油脂が吸着材nに吸着されて浄化される一方、吸着材nは吸着能力が徐々に低下していた。
従って、吸着材nは使用限度を確認して交換する、即ち、吸着材nは使い捨ての消耗品であった。
更に、相当数の無煙ロースターを設置した店舗では、個々のロースターの吸着材nの吸着能力、交換時期の管理を実行している処は少ないのが実情であり、継続使用可能な吸着材nも一斉に交換されるのが一般的であり、無駄な交換も行われていた。
【0006】
尚、排ガスを浄化する構成要件に求められる機能等としては、浄化機能の他、交換性、省スペースに優れたものが望まれていた。
上記従来技術のものでは、分離自在な内外2重円筒体であったため、この点に関しては十分満足できるものであった。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−254008号公報
【特許文献2】
特開平11−156127号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、油脂吸着材を長期使用可能と成すと共に、吸引力均等化、取扱性向上を図る様にした無煙ロースターの油脂回収装置を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記従来技術に基づく、セラミック製吸着材は消耗品のため、交換、維持管理に経費が嵩む課題、排ガス吸引作用の均等化が必要であった課題、取扱性良好なものが要望されている課題に鑑み、外箱の内部に所定間隔の吸引流路を有する様にして内箱を取付けると共に、外箱の一側に吸引流路と連通する連結箱を設け、該連結箱の下方に排気ダクトを連結すると共に、連結箱の吸引開口部に上方閉塞の略円筒状でメタルフォーム製の油脂吸着体を載置することによって、連結箱(脱脂ボックス)から油脂吸着体を着脱して、メタルフォーム製の吸着材を洗浄・再利用し、又油脂吸着体は上下2段の円筒状の吸着材と成すと共に、下方の吸着材を小径と成すことによって、洗浄保管時に油脂吸着体を積み上げ、更に、下段の吸着材が小径であるため内箱と油脂吸着体の接近個所に通過流路を設定し、調理部の排ガスを均等に吸引する様にして、上記課題を解決する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
図1〜4に示す様に、1は排ガスを床FL下から屋外排気するダクト式無煙ロースターの本体であり、テーブル2の略中央位置に上部が調理部3に開口し、一側部が連結箱4の流入口5に連通開口した排気部6を有する外箱7を嵌合支持し、該外箱7の内部に所定間隔の吸引流路8を外箱7との間に有する様にして内箱9を取付けている。
【0011】
上記外箱7と内箱9は共に円形状であり、外箱7の外周上部をフランジ10を介してテーブル2中央に固定している。
又、図2、3に示す様に、外箱7の底部中央に開口部11を設けると共に、底板の開口端縁部12を上方立設状態で折曲し、更に、内箱9の下方部に一体形成したドレンパン13の中央部に開口部14を設けると共に、底板の開口端縁部15を上方立設状態で折曲し、外箱7の底板上にドレンパン13の底板を載置すると共に、ドレンパン13の開口端縁部15が外側で外箱7の開口端縁部12と同心円上に配置している。
【0012】
16は環状のトップリングであり、該トップリング16は、外箱7と内箱9間(吸引流路8)の上方開口部を傾斜状に被冠閉塞する天板部17と、外箱7及び内箱9(フランジ10)への着座部を一体形成し、トップリング16の天板部17全周にわたり吸引流路8に連通する所定数の吸気孔18、18a…を貫設している。
【0013】
又、上記の様に、内箱9の内底部を水が貯溜されるドレンパン13と成す一方、外箱7の開口部9の下方にバーナー受け19を取り付けると共に、該バーナー受け19上にバーナー20の下部を載置している。
バーナー20の上部はドレンパン13の開口端縁部15上方に突出させ、その近傍に遠隔操作装置21に連繋された点火装置22及び立ち消えセンサー等を垂設状態で立設している。
【0014】
又、内箱9上方に設けた載置部23上に炭壺24を配設し、該炭壺24の上方に金網等の調理物載置具25を載置すると共に、炭壺24の下方に載置したサナ26上に木炭27、27a …を載置している。
尚、バーナー等の加熱具や調理物載置具25は実施例以外のものでも勿論良い。
【0015】
図3、4に示す様に、床FL下から立設した排気ダクト28の上端に調整ボックス29を取付けると共に、外箱7内側の吸引流路8と調整ボックス29を連通連結している連結箱4を脱脂ボックス30と成し、外箱7及び脱脂ボックス30等はキャビネット31内に配置されている(図2参照)。
外箱7、吸引流路8、脱脂ボックス30の関係を詳細に説明すると、図3、5、6に示す様に、連結箱4の底面に円筒体を上方突出させた吸引開口部32が位置し、外箱7と連結箱4の連結個所近傍では、平面視で調整ボックス29の吸引開口部32と外箱7内側の吸引流路8が若干重なり、連結箱4の外形は後述の通過流路33分だけ吸引開口部32より大径である。
又、連結箱4の径と外箱7の径には相違があるため、両者の連結部である流入口5及び排気部6の位置においては、両者の接線位置を側壁34、34a と成している。
そして、外箱7と一体化した連結箱4(脱脂ボックス30)の内部に、該連結箱4内壁面及び内箱9外壁面との間、並びに上方に通過流路33を有する様に、排ガスが通過自在な中空円筒状の油脂吸着体35を取付け、又連結箱4の側壁34、34a の内部で内箱9と油脂吸着体35の接近個所の両側空間も通過流路33と成している。
【0016】
図3、4に示す様に、調整ボックス29の吸引開口部32上に通気性を有する略円筒状の油脂吸着体35が載置され、該油脂吸着体35は直径相違の円筒状の吸着材36、36a を上下2段と成し、下方小径の吸着材36を調整ボックス29の吸引開口部32に載置され、上方の吸着材36a をキャップ37で通気閉塞している。
吸着材36、36a は通気性を有すると共に洗浄剤に対して化学的に安定なニッケル製又はニッケル合金製のメタルフォームであり、詳細としては、図10に示す様に、三次元網状骨格構造で表裏面での連通細孔を多数有したものである。
【0017】
図7、8に示す様に、上下2段の吸着材36、36a は一体化されており、リング状の下方底板38上に下方小径のリング状の吸着材36が載置されると共に、該吸着材36のリング状の上方閉塞板39を一体的に外方延出してリング状の上方底板40を設け、該上方底板40上に上方大径のリング状の吸着材36a が載置されると共に、該吸着材36a にリング状の上方閉塞板41を設けている。
そして、下方底板38と上方閉塞板39、該上方閉塞板39と一体化した上方底板40と上方閉塞板41は垂設方向のステー42、42a …、43、43a …で夫々一体化され、上方のステー43、43a …には回動自在な把手44を設け、上方の上方閉塞板41上に中央陥没状態のキャップ37を載置している。
脱脂ボックス30の吸引開口部32となる突出円筒体の周囲は油留部45と成すと共に、吸着材36、36a で回収した油脂を油留部45へ流下させるべく、吸着材36の下方底板38にあっては、内周縁を上方折曲して堰板46と成し、吸着材36a の上方底板40にあっては、ステー42、42a …と上方閉塞板39の連結補強板47の外周縁を上方折曲して、吸着材36a の内周側に堰板48を形成すると共に、上方底板40の適宜個所に流下孔49を設けている。
尚、下方底板38の外周縁を下方折曲して吸引開口部32への載置安定化を図っている。
【0018】
図3に示す様に、調整ボックス29にあっては、上方の連結箱4に取り付けられた内筒と下方の排気ダクト28に取り付けられた外筒の2重構造の重層円筒体からなり、上方筒と下方筒間にはスプリング50を介在させて排気ダクト28に対するロースター本体1の連結高さ調節の容易化を図っている。
尚、調整ボックス29の上方筒には外気を吸入可能な空気調節孔を設け、排気ダクト28に連結する調整ボックス29の下部に防火ダンパー51を設けている。
【0019】
次に本発明に係る無煙ロースターの油脂回収装置の作用について説明する。
図3、5、6に示す様に、排気ダクト28に作用する吸引力により、ロースター本体1内の調理物載置具25近傍から立ち上がる焼煙、油粒子等のミストを含む排ガスは、トップリング16の吸気孔18、18a …から吸引されて吸引流路8を流通し、吸引流路8と連通した連結箱4(通過流路33)に至り、油脂吸着体35外側の通過流路33から油脂吸着体35の内部へ流入する。
そして、油脂吸着体35における吸着材36、36a の連続細孔を複雑に屈曲して流通し、油脂吸着体35からの出口で略下方へ屈曲する。
【0020】
本発明の特徴的な排ガスの流通状態を図3、5、6に示しており、図中、矢印Aで示す様に、連結箱4に近い位置の排ガスはトップリング16からの吸引後、吸引流路8から油脂吸着体35の上部を通って連結箱4の端部側(流入口5から遠い位置)へ流通し、図中、矢印Bで示す様に、連結箱4に遠い位置の排ガスはトップリング16からの吸引後、吸引流路8内を降下し連結箱4方向へ円周水平方向に流通する。
そして、連結箱4に近づいた位置では流入口5、排気部6が広断面積であるため、連結箱4の端部側へ一部が流動すると共に、図中、矢印Cで示す様に、油脂吸着体35と内箱9の接近位置の通過流路33にも流通し、油脂吸着体35から排気ダクト28へ吸引される。
上方の吸着材36a においては、油脂吸着体35と内箱9の接近位置での流通量は若干減少するが、大径で合計流通量を増加している。
【0021】
そして、油脂吸着体35の吸着材36、36a に回収された油脂は堰板46、48により調整ボックス29内に落下せずに、下方吸着材36の油脂は下方底板38から外側に、上方吸着材36a の油脂は上方底板40の流下孔49から下方に、夫々流下して油留部45に溜まる。
【0022】
次に、所定時間使用時の清掃作業を説明する。
トップリング16、調理物載置具25は、そのまま上方に引出し、次に、ドレンパン13を兼用一体化した内箱9を上方に引き出し、外された構成部品を清掃したり、外箱7の内面を清掃する。
外箱7及び内箱9等の外側に配設された油脂吸着体35の保守時には、吸引開口部32となる突出円筒体から外れる様に、油脂吸着体35を若干持ち上げた後、連結箱4から外箱7の内部に水平方向に引出し、外箱7から外部上方に取り出し、油脂吸着体35を清掃する。
【0023】
図9に示す様に、ロースター本体1から外された油脂吸着体35は、積み上げて洗浄剤による漬け置きを行ったり、備品として保管する。
即ち、上下2段の吸着材36、36a は、上方の吸着材36a の内径より下方の吸着材36の外径が小さいことにより、積み上げ時には上方の吸着材36a 内に下方の吸着材36が収納状態となる。
【0024】
尚、本発明の実施例として屋外排気方式を示したが、ロースター本体1内部において、排気ダクト28の下流に排ガス浄化装置を設けて屋内排気するロースターにも勿論適用出来る。
【0025】
【発明の効果】
要するに本発明は、外箱7の内部に所定間隔の吸引流路8を有する様にして内箱9を取付けると共に、外箱7の一側に吸引流路8と連通する連結箱4を設け、該連結箱4の下方に排気ダクト28を連結したので、排気ダクト28の吸引作用は連結箱4、吸引流路8を介して調理部3に作用し、調理時に発生する排ガスを吸引することが出来る。
又、連結箱4の吸引開口部32に上方閉塞の略円筒状でメタルフォーム製の油脂吸着体35を載置したので、連結箱4(脱脂ボックス30)から油脂吸着体35を着脱することにより、メタルフォーム製の吸着材36、36a を洗浄して再利用することが出来、又油脂吸着体35は上下2段の円筒状の吸着材36、36a と成すと共に、下方の吸着材36を小径と成したので、洗浄保管時に油脂吸着体35を積み上げることにより、洗浄槽の小型化、保管場所の省スペース化を図ることが出来、更に、下段の吸着材36が小径であるため内箱9と油脂吸着体35の接近個所に通過流路33を設定することにより、トップリング16等を介した調理部3への吸引作用を均等化することが出来ると共に、上段の吸着材36a を大径として必要通気量を確保することが出来る。
【0026】
上下方底板38、40上に上下の吸着材36、36a を夫々載置すると共に、吸着材36、36a の内側に堰板46、48を夫々設けたので、油脂吸着体35の吸着材36、36a で回収した油脂は堰板46、48で内方流動が阻止されて、脱脂ボックス30の油留部45内に貯留され、調整ボックス29、排気ダクト28内への落下を防止することが出来る。
【0027】
油脂吸着体35の上方開口部を閉塞するキャップ37を陥没状態と成したので、上方の吸着材36a の内部流路を下方向きとすることにより、外部の水平流を内部下方の降下流にスムーズに案内することが出来たり、通気を案内制限して上下の吸着材36、36a の通気断面積の相違を調整することが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る無煙ロースターの要部平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図2の要部断面図である。
【図4】図1のB−B断面図である。
【図5】図3のC−C断面図である。
【図6】図3のD−D断面図である。
【図7】油脂吸着体の正面図である。
【図8】図7の断面図である。
【図9】油脂吸着体の積み重ね状態を示す図である。
【図10】吸着材(メタルフォーム)の模式図である。
【図11】従来の無煙ロースターの断面図である。
【符号の説明】
4 連結箱
7 外箱
8 吸引流路
9 内箱
28 排気ダクト
32 吸引開口部
35 油脂吸着体
36、36a 吸着材
37 キャップ
46 堰板
48 堰板
【発明の属する技術分野】
本発明は、肉、野菜等を加熱調理し、焼煙を含む排ガス等を吸引して無煙化するロースターに関し、特に、ロースター本体内の排気流路に設けた油脂吸着体で油脂を回収する様にした無煙ロースターの油脂回収装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、図11に示す様に、多人数で焼肉調理しながら飲食する無煙ロースター(例えば、特許文献1参照)は、矩形状テーブルaの略中央に調理部bが配置されると共に、テーブルaの下面側に配置された排気流路c、浄化装置d等の周囲にキャビネットeが設けられているため、調理飲食者の調理着席状況からテーブルa及びキャビネットe等の大きさに制限があった。
又、キャビネットe内で調理部bの外側で内箱fと外箱gの間の吸引流路hに連通させた連結箱i(脱脂ボックス)を設けているため、連結箱iの大きさにも制限があり、更に、吸引作用を有する排気流路cの断面円形の排気ダクトjは必要吸引量を確保するために、相当の口径を必要としていた。
連結箱i内で排気ダクトjに連通状態の油脂吸着体kは圧力損失の関係から容量大が好適であり、又調理部bが円形の時には、排気ダクトjとトッププレートlの吸引孔mの間に連結箱iおよび油脂吸着体kを設けた場合に、調理部bに対する円周上で均等吸引力を作用させることが好適である。
上記各種制限等から、連結箱iに収納した油脂吸着体kは円筒形であると共に、油脂吸着体kの一側はドレンパン兼用の内箱fに接近せざるを得なかった。
【0003】
調理時に発生する排ガスの吸引状態としては、排気ダクトj、連結箱i、内外箱f、g間の吸引流路h、トッププレートlの吸引孔mを介した吸引作用により、トッププレートlの全周に配置された吸引孔mから吸引(図中、矢印A)された排ガスは、外箱gと内箱f間の吸引流路hを降下(図中、矢印B)すると共に、連結箱i設置の水平方向(図中、矢印C)に円弧状に流通する。
連結箱iに近い位置Dの排ガスは、油脂吸着体kの周囲空間および上方空間を通過して遠い位置Eへの回り込みが比較的容易である一方、連結箱iに遠い位置Fで吸引流路h下方から連結箱i設置方向へ円弧流通する排ガスは、油脂吸着体kと内箱fが接近している位置Gへ流通する傾向があり、当該位置Gは流通空間が狭いため吸引力が比較的弱い傾向があった。
従って、連結箱i内における油脂吸着体kを介した多少の吸引力差は、内外箱f、g間の吸引流路hの下方部に伝播し、連結箱iに遠い位置Fにおける吸引力の相対低下を招来し、円形のトッププレートlの吸引孔mを介した排ガスの吸引力に不均等が発生した。
尚、上記欠点は油脂吸着体kが新品の時に発生する傾向があり、相当時間使用後には上記欠点は解消傾向である一方、圧力損失が増加する傾向があった。
【0004】
又、ロースター排ガスの排気流路に設置(例えば、ロースター内装、排気ダクト中間設置)する油脂吸着体kとしては、通気浄化式の他、吸着材nを使用したものがあった(例えば、上記特許文献1、詳細構造としては特許文献2参照)。油脂吸着体kの構造としては、内外2重円筒体で全体的に通気自在なリング状の収納体oに多数の粒体状無機質(セラミック製)吸着材nを収納したものであった。
【0005】
無煙ロースターの使用によって、吸引された排ガスは油脂が吸着材nに吸着されて浄化される一方、吸着材nは吸着能力が徐々に低下していた。
従って、吸着材nは使用限度を確認して交換する、即ち、吸着材nは使い捨ての消耗品であった。
更に、相当数の無煙ロースターを設置した店舗では、個々のロースターの吸着材nの吸着能力、交換時期の管理を実行している処は少ないのが実情であり、継続使用可能な吸着材nも一斉に交換されるのが一般的であり、無駄な交換も行われていた。
【0006】
尚、排ガスを浄化する構成要件に求められる機能等としては、浄化機能の他、交換性、省スペースに優れたものが望まれていた。
上記従来技術のものでは、分離自在な内外2重円筒体であったため、この点に関しては十分満足できるものであった。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−254008号公報
【特許文献2】
特開平11−156127号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、油脂吸着材を長期使用可能と成すと共に、吸引力均等化、取扱性向上を図る様にした無煙ロースターの油脂回収装置を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記従来技術に基づく、セラミック製吸着材は消耗品のため、交換、維持管理に経費が嵩む課題、排ガス吸引作用の均等化が必要であった課題、取扱性良好なものが要望されている課題に鑑み、外箱の内部に所定間隔の吸引流路を有する様にして内箱を取付けると共に、外箱の一側に吸引流路と連通する連結箱を設け、該連結箱の下方に排気ダクトを連結すると共に、連結箱の吸引開口部に上方閉塞の略円筒状でメタルフォーム製の油脂吸着体を載置することによって、連結箱(脱脂ボックス)から油脂吸着体を着脱して、メタルフォーム製の吸着材を洗浄・再利用し、又油脂吸着体は上下2段の円筒状の吸着材と成すと共に、下方の吸着材を小径と成すことによって、洗浄保管時に油脂吸着体を積み上げ、更に、下段の吸着材が小径であるため内箱と油脂吸着体の接近個所に通過流路を設定し、調理部の排ガスを均等に吸引する様にして、上記課題を解決する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
図1〜4に示す様に、1は排ガスを床FL下から屋外排気するダクト式無煙ロースターの本体であり、テーブル2の略中央位置に上部が調理部3に開口し、一側部が連結箱4の流入口5に連通開口した排気部6を有する外箱7を嵌合支持し、該外箱7の内部に所定間隔の吸引流路8を外箱7との間に有する様にして内箱9を取付けている。
【0011】
上記外箱7と内箱9は共に円形状であり、外箱7の外周上部をフランジ10を介してテーブル2中央に固定している。
又、図2、3に示す様に、外箱7の底部中央に開口部11を設けると共に、底板の開口端縁部12を上方立設状態で折曲し、更に、内箱9の下方部に一体形成したドレンパン13の中央部に開口部14を設けると共に、底板の開口端縁部15を上方立設状態で折曲し、外箱7の底板上にドレンパン13の底板を載置すると共に、ドレンパン13の開口端縁部15が外側で外箱7の開口端縁部12と同心円上に配置している。
【0012】
16は環状のトップリングであり、該トップリング16は、外箱7と内箱9間(吸引流路8)の上方開口部を傾斜状に被冠閉塞する天板部17と、外箱7及び内箱9(フランジ10)への着座部を一体形成し、トップリング16の天板部17全周にわたり吸引流路8に連通する所定数の吸気孔18、18a…を貫設している。
【0013】
又、上記の様に、内箱9の内底部を水が貯溜されるドレンパン13と成す一方、外箱7の開口部9の下方にバーナー受け19を取り付けると共に、該バーナー受け19上にバーナー20の下部を載置している。
バーナー20の上部はドレンパン13の開口端縁部15上方に突出させ、その近傍に遠隔操作装置21に連繋された点火装置22及び立ち消えセンサー等を垂設状態で立設している。
【0014】
又、内箱9上方に設けた載置部23上に炭壺24を配設し、該炭壺24の上方に金網等の調理物載置具25を載置すると共に、炭壺24の下方に載置したサナ26上に木炭27、27a …を載置している。
尚、バーナー等の加熱具や調理物載置具25は実施例以外のものでも勿論良い。
【0015】
図3、4に示す様に、床FL下から立設した排気ダクト28の上端に調整ボックス29を取付けると共に、外箱7内側の吸引流路8と調整ボックス29を連通連結している連結箱4を脱脂ボックス30と成し、外箱7及び脱脂ボックス30等はキャビネット31内に配置されている(図2参照)。
外箱7、吸引流路8、脱脂ボックス30の関係を詳細に説明すると、図3、5、6に示す様に、連結箱4の底面に円筒体を上方突出させた吸引開口部32が位置し、外箱7と連結箱4の連結個所近傍では、平面視で調整ボックス29の吸引開口部32と外箱7内側の吸引流路8が若干重なり、連結箱4の外形は後述の通過流路33分だけ吸引開口部32より大径である。
又、連結箱4の径と外箱7の径には相違があるため、両者の連結部である流入口5及び排気部6の位置においては、両者の接線位置を側壁34、34a と成している。
そして、外箱7と一体化した連結箱4(脱脂ボックス30)の内部に、該連結箱4内壁面及び内箱9外壁面との間、並びに上方に通過流路33を有する様に、排ガスが通過自在な中空円筒状の油脂吸着体35を取付け、又連結箱4の側壁34、34a の内部で内箱9と油脂吸着体35の接近個所の両側空間も通過流路33と成している。
【0016】
図3、4に示す様に、調整ボックス29の吸引開口部32上に通気性を有する略円筒状の油脂吸着体35が載置され、該油脂吸着体35は直径相違の円筒状の吸着材36、36a を上下2段と成し、下方小径の吸着材36を調整ボックス29の吸引開口部32に載置され、上方の吸着材36a をキャップ37で通気閉塞している。
吸着材36、36a は通気性を有すると共に洗浄剤に対して化学的に安定なニッケル製又はニッケル合金製のメタルフォームであり、詳細としては、図10に示す様に、三次元網状骨格構造で表裏面での連通細孔を多数有したものである。
【0017】
図7、8に示す様に、上下2段の吸着材36、36a は一体化されており、リング状の下方底板38上に下方小径のリング状の吸着材36が載置されると共に、該吸着材36のリング状の上方閉塞板39を一体的に外方延出してリング状の上方底板40を設け、該上方底板40上に上方大径のリング状の吸着材36a が載置されると共に、該吸着材36a にリング状の上方閉塞板41を設けている。
そして、下方底板38と上方閉塞板39、該上方閉塞板39と一体化した上方底板40と上方閉塞板41は垂設方向のステー42、42a …、43、43a …で夫々一体化され、上方のステー43、43a …には回動自在な把手44を設け、上方の上方閉塞板41上に中央陥没状態のキャップ37を載置している。
脱脂ボックス30の吸引開口部32となる突出円筒体の周囲は油留部45と成すと共に、吸着材36、36a で回収した油脂を油留部45へ流下させるべく、吸着材36の下方底板38にあっては、内周縁を上方折曲して堰板46と成し、吸着材36a の上方底板40にあっては、ステー42、42a …と上方閉塞板39の連結補強板47の外周縁を上方折曲して、吸着材36a の内周側に堰板48を形成すると共に、上方底板40の適宜個所に流下孔49を設けている。
尚、下方底板38の外周縁を下方折曲して吸引開口部32への載置安定化を図っている。
【0018】
図3に示す様に、調整ボックス29にあっては、上方の連結箱4に取り付けられた内筒と下方の排気ダクト28に取り付けられた外筒の2重構造の重層円筒体からなり、上方筒と下方筒間にはスプリング50を介在させて排気ダクト28に対するロースター本体1の連結高さ調節の容易化を図っている。
尚、調整ボックス29の上方筒には外気を吸入可能な空気調節孔を設け、排気ダクト28に連結する調整ボックス29の下部に防火ダンパー51を設けている。
【0019】
次に本発明に係る無煙ロースターの油脂回収装置の作用について説明する。
図3、5、6に示す様に、排気ダクト28に作用する吸引力により、ロースター本体1内の調理物載置具25近傍から立ち上がる焼煙、油粒子等のミストを含む排ガスは、トップリング16の吸気孔18、18a …から吸引されて吸引流路8を流通し、吸引流路8と連通した連結箱4(通過流路33)に至り、油脂吸着体35外側の通過流路33から油脂吸着体35の内部へ流入する。
そして、油脂吸着体35における吸着材36、36a の連続細孔を複雑に屈曲して流通し、油脂吸着体35からの出口で略下方へ屈曲する。
【0020】
本発明の特徴的な排ガスの流通状態を図3、5、6に示しており、図中、矢印Aで示す様に、連結箱4に近い位置の排ガスはトップリング16からの吸引後、吸引流路8から油脂吸着体35の上部を通って連結箱4の端部側(流入口5から遠い位置)へ流通し、図中、矢印Bで示す様に、連結箱4に遠い位置の排ガスはトップリング16からの吸引後、吸引流路8内を降下し連結箱4方向へ円周水平方向に流通する。
そして、連結箱4に近づいた位置では流入口5、排気部6が広断面積であるため、連結箱4の端部側へ一部が流動すると共に、図中、矢印Cで示す様に、油脂吸着体35と内箱9の接近位置の通過流路33にも流通し、油脂吸着体35から排気ダクト28へ吸引される。
上方の吸着材36a においては、油脂吸着体35と内箱9の接近位置での流通量は若干減少するが、大径で合計流通量を増加している。
【0021】
そして、油脂吸着体35の吸着材36、36a に回収された油脂は堰板46、48により調整ボックス29内に落下せずに、下方吸着材36の油脂は下方底板38から外側に、上方吸着材36a の油脂は上方底板40の流下孔49から下方に、夫々流下して油留部45に溜まる。
【0022】
次に、所定時間使用時の清掃作業を説明する。
トップリング16、調理物載置具25は、そのまま上方に引出し、次に、ドレンパン13を兼用一体化した内箱9を上方に引き出し、外された構成部品を清掃したり、外箱7の内面を清掃する。
外箱7及び内箱9等の外側に配設された油脂吸着体35の保守時には、吸引開口部32となる突出円筒体から外れる様に、油脂吸着体35を若干持ち上げた後、連結箱4から外箱7の内部に水平方向に引出し、外箱7から外部上方に取り出し、油脂吸着体35を清掃する。
【0023】
図9に示す様に、ロースター本体1から外された油脂吸着体35は、積み上げて洗浄剤による漬け置きを行ったり、備品として保管する。
即ち、上下2段の吸着材36、36a は、上方の吸着材36a の内径より下方の吸着材36の外径が小さいことにより、積み上げ時には上方の吸着材36a 内に下方の吸着材36が収納状態となる。
【0024】
尚、本発明の実施例として屋外排気方式を示したが、ロースター本体1内部において、排気ダクト28の下流に排ガス浄化装置を設けて屋内排気するロースターにも勿論適用出来る。
【0025】
【発明の効果】
要するに本発明は、外箱7の内部に所定間隔の吸引流路8を有する様にして内箱9を取付けると共に、外箱7の一側に吸引流路8と連通する連結箱4を設け、該連結箱4の下方に排気ダクト28を連結したので、排気ダクト28の吸引作用は連結箱4、吸引流路8を介して調理部3に作用し、調理時に発生する排ガスを吸引することが出来る。
又、連結箱4の吸引開口部32に上方閉塞の略円筒状でメタルフォーム製の油脂吸着体35を載置したので、連結箱4(脱脂ボックス30)から油脂吸着体35を着脱することにより、メタルフォーム製の吸着材36、36a を洗浄して再利用することが出来、又油脂吸着体35は上下2段の円筒状の吸着材36、36a と成すと共に、下方の吸着材36を小径と成したので、洗浄保管時に油脂吸着体35を積み上げることにより、洗浄槽の小型化、保管場所の省スペース化を図ることが出来、更に、下段の吸着材36が小径であるため内箱9と油脂吸着体35の接近個所に通過流路33を設定することにより、トップリング16等を介した調理部3への吸引作用を均等化することが出来ると共に、上段の吸着材36a を大径として必要通気量を確保することが出来る。
【0026】
上下方底板38、40上に上下の吸着材36、36a を夫々載置すると共に、吸着材36、36a の内側に堰板46、48を夫々設けたので、油脂吸着体35の吸着材36、36a で回収した油脂は堰板46、48で内方流動が阻止されて、脱脂ボックス30の油留部45内に貯留され、調整ボックス29、排気ダクト28内への落下を防止することが出来る。
【0027】
油脂吸着体35の上方開口部を閉塞するキャップ37を陥没状態と成したので、上方の吸着材36a の内部流路を下方向きとすることにより、外部の水平流を内部下方の降下流にスムーズに案内することが出来たり、通気を案内制限して上下の吸着材36、36a の通気断面積の相違を調整することが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る無煙ロースターの要部平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図2の要部断面図である。
【図4】図1のB−B断面図である。
【図5】図3のC−C断面図である。
【図6】図3のD−D断面図である。
【図7】油脂吸着体の正面図である。
【図8】図7の断面図である。
【図9】油脂吸着体の積み重ね状態を示す図である。
【図10】吸着材(メタルフォーム)の模式図である。
【図11】従来の無煙ロースターの断面図である。
【符号の説明】
4 連結箱
7 外箱
8 吸引流路
9 内箱
28 排気ダクト
32 吸引開口部
35 油脂吸着体
36、36a 吸着材
37 キャップ
46 堰板
48 堰板
Claims (3)
- 外箱の内部に所定間隔の吸引流路を有する様にして内箱を取付けると共に、外箱の一側に吸引流路と連通する連結箱を設け、該連結箱の下方に排気ダクトを連結すると共に、連結箱の吸引開口部に上方閉塞の略円筒状でメタルフォーム製の油脂吸着体を載置し、該油脂吸着体は上下2段の円筒状の吸着材と成すと共に、下方の吸着材を小径と成したことを特徴とする無煙ロースターの油脂回収装置。
- 上下方底板上に上下の吸着材を夫々載置すると共に、吸着材の内側に堰板を夫々設けたことを特徴とする請求項1記載の無煙ロースターの油脂回収装置。
- 油脂吸着体の上方開口部を閉塞するキャップを陥没状態と成したことを特徴とする請求項1又は2記載の無煙ロースターの油脂回収装置。
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