JP3832357B2 - 電子部品実装装置および電子部品実装方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品を樹脂接着材により基板に実装する電子部品実装装置および電子部品実装方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フリップチップなど電子部品を基板に実装する方法として、エポキシ樹脂などの樹脂接着材を用いる方法が知られている。この方法では、まず電極が形成された基板の表面に電子部品固着用の樹脂接着材を塗布し、この樹脂接着材上に電子部品を保持した吸着ノズルを下降させ、電子部品を樹脂接着材を介して基板に着地させることにより実装する。この実装においては、電子部品に設けられたバンプなどの接続用電極を基板の電極に接合するとともに、樹脂接着材を硬化させて電子部品本体を基板に固着させる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記電子部品実装においては、先に塗布された樹脂接着材の量が多い場合には、電子部品を樹脂接着材上に着地させた後に樹脂接着材が電子部品の側面からさらに上面まで回り込む現象が発生する場合がある。そして上面に回り込んだ樹脂接着材が吸着ノズルの下端部に付着すると、吸着ノズルを上昇させて電子部品を離脱させる際に電子部品が吸着ノズルとともに上昇する実装ミスを発生しやすい。そしてこの樹脂接着材の塗布量に起因する実装ミスは、わずかな塗布量の差異によって発生することから、この樹脂接着材の吸着ノズルへの付着を防止する方策が望まれていた。
【0004】
そこで本発明は、吸着ノズルへの樹脂接着材の付着を防止して、実装ミスを低減することができる電子部品実装装置および電子部品実装方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の電子部品実装装置は、電子部品を実装ツールによって保持して樹脂接着材が塗布された基板に搭載する電子部品実装装置であって、下端部に電子部品を真空吸着して保持する吸着ノズルを備えた実装ツールと、前記吸着ノズルの下端部外周を閉囲する形状の樹脂遮断部を有し吸着ノズルに対して上下方向に可動に配設された樹脂付着防止部材と、この樹脂付着防止部材を上下動させる上下動手段とを備え、前記吸着ノズルに吸着保持された状態の電子部品の上面に前記樹脂付着防止部材の樹脂遮断部が当接することにより、電子部品の搭載時に電子部品の上面に回り込んだ樹脂接着材の吸着ノズルの下端部への付着を防止する。
【0006】
請求項2記載の電子部品実装方法は、下端部に電子部品を真空吸着して保持する吸着ノズルを備えた実装ツールと、前記吸着ノズルの下端部外周を閉囲する形状の樹脂遮断部を有し吸着ノズルに対して上下方向に可動に配設された樹脂付着防止部材と、この樹脂付着防止部材を上下動させる上下動手段とを備えた実装ツールによって電子部品を保持して樹脂接着材が塗布された基板に搭載する電子部品実装方法であって、前記吸着ノズルの下端部および前記樹脂付着防止部材の樹脂遮断部を電子部品の上面に当接させた状態で前記実装ツールに電子部品を保持させる工程と、電子部品を保持した実装ツールを樹脂接着材が塗布された基板上に移動させる工程と、実装ツールを前記樹脂接着材に対して下降させて実装ツールに保持された電子部品を基板に搭載する工程と、前記樹脂付着防止部材を吸着ノズルに対して上昇させた後に実装ツールを上昇させることにより吸着ノズルを電子部品から離脱させる工程とを含む。
【0007】
本発明によれば、吸着ノズルの下端部外周を閉囲する形状の樹脂遮断部を有し吸着ノズルに対して上下方向に可動に配設された樹脂付着防止部材と、この樹脂付着防止部材を上下動させる上下動手段とを備え、吸着ノズルに吸着保持された状態の電子部品の上面に樹脂付着防止部材の樹脂遮断部を当接させることにより、電子部品の搭載時に電子部品の上面に回り込んだ樹脂接着材の吸着ノズルの下端部への付着を防止することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の正面図、図2は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の部分断面図、図3、図4、図5は本発明の一実施の形態の電子部品実装方法の工程説明図、図6は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置のツール洗浄部の動作説明図である。
【0009】
まず図1を参照して電子部品実装装置の構造を説明する。図1において、基板保持部1上には上面に電極2aが設けられた基板2が保持されている。基板2の上面には、電極2aを覆って電子部品接着用の樹脂接着材3が塗布されている。基板保持部1の上方には、部品搭載機構5が移動機構(図示省略)によって水平移動自在に配設されている。
【0010】
部品搭載機構5には、下方に延出した実装ツール6が装着されている。実装ツール6にはナット部材7が結合されており、ナット部材7に螺合した送りねじ8をZ軸モータ9によって回転駆動することにより、実装ツール6は部品搭載機構5に対して昇降する。Z軸モータ9はZ軸駆動部10によって駆動され、Z軸駆動部10は制御部15によって制御される。
【0011】
実装ツール6の下部には、下面に開孔した吸着孔6aが設けられており、吸着孔6aは真空吸引部11と接続されている。制御部15によって真空吸引部11を制御することにより、吸着孔6aから真空吸引し、また真空吸引の解除を行うことができるようになっている。実装ツール6を部品供給部(図示省略)に移動させて、実装ツール6の下面を電子部品4の上面に当接させた状態で吸着孔6aから真空吸引することにより、電子部品4は実装ツール6の下面に真空吸着により保持される。そして真空吸引を解除することにより、電子部品4の保持が解除される。すなわち実装ツール6は、下端部に電子部品4を真空吸着により保持する吸着ノズル6cを備えている。
【0012】
実装ツール6の下部には、略平板状の樹脂付着防止部材12が装着されている。樹脂付着防止部材12の中央部には、吸着ノズル6cが貫入する開孔部12bが設けられており、開孔部12bの縁部は下方に突出した突部12aとなっている。開孔部12bに吸着ノズル6cが貫入することにより、樹脂付着防止部材12は吸着ノズル6cに対して上下方向に可動となっている。
【0013】
樹脂付着防止部材12は、実装ツール6の側面に固着されたシリンダ13のロッド13aに結合されている。シリンダ13はシリンダ駆動部14によって駆動され、制御部15によってシリンダ駆動部14を制御することにより、ロッド13aが任意のタイミングで突没する。これにより、樹脂付着防止部材12は実装ツール6に対して上下動する。すなわち、シリンダ13は樹脂付着防止部材12を上下動させる上下動手段となっている。
【0014】
ロッド13aが没入した状態では、図2(a)に示すように突部12aは吸着ノズル6cの吸着面6bよりも上方に位置し、吸着ノズル6cの下端部は露呈状態となる。またロッド13aを突出させることにより、樹脂付着防止部材12が下降する。この下降状態において突部12aの下面が吸着面6bと同一平面になるように、ストッパなどのストローク規制機構によりシリンダ13のストロークが規制されている。図2(b)に示す状態では、突部12aは吸着ノズル6cの下端部外周を閉囲する形状となっている。この突部12aは後述するように、吸着ノズル6cへの樹脂接着材3の接近を遮断して付着を防止する樹脂遮断部となっている。以下の説明では、突部12aを樹脂遮断部12aと記述する。
【0015】
この電子部品実装装置は上記のように構成されており、以下図3,図4を参照して動作を説明する。図3は、実装ツール6によって部品供給部のトレイ16から電子部品4を保持するピックアップ動作を示している。図3(a)において、実装ツール6は下面にバンプ4aを有する電子部品4が収納されたトレイ16上に位置している。このとき、シリンダ13はロッド没入状態であり、樹脂付着防止部材12は上昇位置にある。
【0016】
この後、図3(b)に示すように実装ツール6を下降させ、吸着面6bを電子部品4の上面に当接させる。そして真空吸引部11による真空吸引をオン状態にし、吸着面6bに電子部品4を真空吸着させる。次いでシリンダ13をロッド突出状態にして、樹脂付着防止部材12を下降させ、樹脂遮断部12aを電子部品4の上面に当接させる(図3(c))。
【0017】
なお、図3(a)の状態から、シリンダ13をロッド突出状態にして樹脂付着防止部材12を下降させた状態で実装ツール6を下降させ、吸着面6bおよび樹脂遮断部12aを電子部品4の上面に当接させ、次いで真空吸引部11をオン状態にし、吸着面6bに電子部品4を真空吸着させてもよい。これにより、より迅速なピックアップ動作を実現できる。
【0018】
そして図3(d)に示すように実装ツール6を上昇させる。これにより電子部品4はトレイ16から取り出されて実装ツール6とともに上昇し、吸着ノズル6cの下端部および樹脂付着防止部材12の樹脂遮断部12aを電子部品4の上面に当接させた状態で実装ツール6によって保持される。
【0019】
次に図4を参照して、電子部品4を基板2に搭載する動作について説明する。図4(a)に示すように、電子部品4を保持した実装ツール6を樹脂接着材3が塗布された基板2上に移動させる。次いで図4(b)に示すように、実装ツール6を樹脂接着材3に対して下降させて、実装ツール6に保持された電子部品4のバンプ4aを基板2の電極2aに着地させ、電子部品4を基板2に搭載する。
【0020】
このときの樹脂接着材3の挙動および樹脂付着防止部材12の機能について、図5を参照して説明する。図5(a)は、予め基板2に塗布された樹脂接着材3の量が適正値よりも多い場合を示している。このような塗布量過多の場合には、電子部品4を樹脂接着材3に対して下降させることにより、電子部品4が樹脂接着材3中に半ば埋入し、樹脂接着材3は部分的または全面的に電子部品4の側面から上昇して上面に回り込み、樹脂遮断部12aに到達する。
【0021】
このとき、吸着ノズル6cの吸着面6bは電子部品4の上面に当接した状態にあるが、樹脂遮断部12aは吸着ノズル6cの外周を完全に閉囲する形状となっていることから、樹脂接着材3は樹脂遮断部12aによって吸着ノズル6cへの接近が遮断され、吸着ノズル6cには付着しない。すなわち、吸着ノズル6cに吸着保持された状態の電子部品4の上面に樹脂遮断部12aが当接することにより、電子部品4の搭載時に電子部品4の上面に回り込んだ樹脂接着材3の吸着ノズル6cの下端部への付着が防止される。
【0022】
そして図5(b)に示すように、樹脂付着防止部材12を上昇させることにより、樹脂遮断部12aは周囲に付着した一部の樹脂接着材3とともに電子部品4の上面から離隔する。次いで、図4(c)に示すように、真空吸引部11による真空吸引をオフ状態にし、実装ツール6を上昇させる。これにより、図4(d)に示すように、吸着ノズル6cは電子部品4から離脱し、電子部品4の搭載を終了する。このとき、樹脂接着材3の吸着ノズル6cの下端部への付着が防止されることから、実装ツール6を上昇させて電子部品4を離脱させる際に、電子部品4が樹脂接着材3の粘着力によって吸着ノズル6cとともに上昇する実装ミスが発生しない。
【0023】
図6は、電子部品実装装置に付属して設けられたツール洗浄部を示している。ツール洗浄部は、樹脂遮断部12aの周囲に付着した樹脂接着材3が搭載動作に支障を及ぼすようになった場合に、樹脂接着材3を拭き取る目的で設けられたものである。図6(a)において、ツール洗浄部20はクリーニングシート23の供給リール21と巻き取りリール22および下受け部24を備えている。クリーニングシート23は、樹脂接着材3を溶解する洗浄液を紙や布などになどにしみこませたものであり、クリーニングシート23に樹脂付着部位を押し付けてスライドさせることにより、付着した樹脂接着材3を除去することができるようになっている。
【0024】
クリーニング動作を行う場合には、図6(b)に示すように、まず下受け部24を上昇させてクリーニングシート23を下受けし、この状態で実装ツール6を下降させる。これにより、樹脂接着材3が付着した樹脂遮断部12aはクリーニングシート23に押し付けられる。そしてこの状態で巻き取りリール22によってクリーニングシート23を巻き取ることにより、樹脂遮断部12aの下面に付着した樹脂接着材3はクリーニングシート23によって拭き取られる。
【0025】
なお、クリーニング動作において、シリンダ13のストロークを変更することにより、シリンダ13をロッド突出状態にして樹脂付着防止部材12を下降させた時に樹脂遮断部12aの下面が吸着面6bより下方に位置するようにすれば、樹脂接着材3が付着した樹脂遮断部12aのみをクリーニングすることができる。これにより、より効率の良いクリーニングが可能となる。
【0026】
このクリーニング動作を行う頻度は、同一実装ツール6の累積使用時間に基づいて決定してもよく、また搭載動作の累積回数に基づいてクリーニング時期を決定するようにしてもよい。さらに、所定インターバルで実装ツール6の下面側を電子部品実装装置に付属して設けられたカメラ(図示省略)により撮像し、樹脂接着材3の付着状態を画像認識によって評価した上でクリーニング動作の要否を判定するようにしてもよい。これにより、必要のない時にまでクリーニング動作を行ってしまうという時間の無駄を省くことができる。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、吸着ノズルの下端部外周を閉囲する形状の樹脂遮断部を有し吸着ノズルに対して上下方向に可動に配設された樹脂付着防止部材と、この樹脂付着防止部材を上下動させる上下動手段とを備え、吸着ノズルに吸着保持された状態の電子部品の上面に樹脂付着防止部材の樹脂遮断部を当接させるようにしたので、電子部品の搭載時に電子部品の上面に回り込んだ樹脂接着材の吸着ノズルの下端部への付着を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の正面図
【図2】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の部分断面図
【図3】本発明の一実施の形態の電子部品実装方法の工程説明図
【図4】本発明の一実施の形態の電子部品実装方法の工程説明図
【図5】本発明の一実施の形態の電子部品実装方法の工程説明図
【図6】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置のツール洗浄部の動作説明図
【符号の説明】
2 基板
3 樹脂接着材
4 電子部品
5 部品搭載機構
6 実装ツール
6c 吸着ノズル
12 樹脂付着防止部材
12a 樹脂遮断部(突部)
13 シリンダ
Claims (2)
- 電子部品を実装ツールによって保持して樹脂接着材が塗布された基板に搭載する電子部品実装装置であって、下端部に電子部品を真空吸着して保持する吸着ノズルを備えた実装ツールと、前記吸着ノズルの下端部外周を閉囲する形状の樹脂遮断部を有し吸着ノズルに対して上下方向に可動に配設された樹脂付着防止部材と、この樹脂付着防止部材を上下動させる上下動手段とを備え、前記吸着ノズルに吸着保持された状態の電子部品の上面に前記樹脂付着防止部材の樹脂遮断部が当接することにより、電子部品の搭載時に電子部品の上面に回り込んだ樹脂接着材の吸着ノズルの下端部への付着を防止することを特徴とする電子部品実装装置。
- 下端部に電子部品を真空吸着して保持する吸着ノズルを備えた実装ツールと、前記吸着ノズルの下端部外周を閉囲する形状の樹脂遮断部を有し吸着ノズルに対して上下方向に可動に配設された樹脂付着防止部材と、この樹脂付着防止部材を上下動させる上下動手段とを備えた実装ツールによって電子部品を保持して樹脂接着材が塗布された基板に搭載する電子部品実装方法であって、前記吸着ノズルの下端部および前記樹脂付着防止部材の樹脂遮断部を電子部品の上面に当接させた状態で前記実装ツールに電子部品を保持させる工程と、電子部品を保持した実装ツールを樹脂接着材が塗布された基板上に移動させる工程と、実装ツールを前記樹脂接着材に対して下降させて実装ツールに保持された電子部品を基板に搭載する工程と、前記樹脂付着防止部材を吸着ノズルに対して上昇させた後に実装ツールを上昇させることにより吸着ノズルを電子部品から離脱させる工程とを含むことを特徴とする電子部品実装方法。
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