JP3832014B2 - 可変動弁機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の吸気弁や排気弁を機関の運転状態に応じたタイミングで開閉制御する、可変動弁機構に関し、特に、入力回転の回転速度を一回転中で増減しながら出力しうる不等速継手を利用した、可変動弁機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
往復動式内燃機関(以下、エンジンという)には、吸気弁や排気弁(以下、これらを総称して機関弁又は単にバルブともいう)がそなえられるが、このようなバルブは、カムの形状や回転位相に応じたバルブリフト状態で駆動されるので、バルブの開閉タイミング及び開放期間(バルブを開放している期間をクランクの回転角度の単位で示した量)も、カムの形状や回転位相に応じることになる。
【0003】
ところで、エンジンにそなえられた吸気弁や排気弁の場合には、エンジンの負荷状態や速度状態に応じて最適な開閉タイミングや開放期間が異なる。そこで、このようなバルブの開閉タイミングや開放期間を変更できるようにした、所謂可変バルブタイミング装置(可変動弁機構)が各種提案されている。
例えば、カムとカムシャフトとの間に、偏心機構を用いた不等速継手を介装し、カムシャフト側回転軸に対してカム側回転軸を偏心した位置に設定することで、カムシャフトが1回転する間にカムをカムシャフトの回転速度に対して増減又は位相変化させうるようにして、偏心機構におけるかかるカム側回転軸の偏心状態(即ち、カム側回転軸の軸心軸位置)を調整することで、バルブの開閉タイミング及び開放期間を調整できるようにした技術も開発されている。
【0004】
このような不等速継手を用いた技術は、例えば特公昭47−20654号,特開平3−168309号,特開平4−183905号,特開平6−10630号等にて提案されている。
また、バルブ開放期間は一定で、バルブの開閉タイミングのみを変更する可変動弁機構としては、実開昭61−21808号公報や特開平7−238806号公報に提案された技術がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前者のような不等速継手を利用した内燃機関の可変動弁機構では、いずれも、不等速継手を介してカムに回転力が伝達されるが、このように回転力を伝達する際に、不等速継手では、互いに偏心した回転軸心で回転するカムシャフト側回転部材とカム側回転部材との間に、例えば半径方向にスライドしながら回転力を伝達する接続部材(例えばピン部材)をはじめとした、数種の部材を介し複雑な伝達経路で回転力を伝達することになる。
【0006】
特に、ピン部材等の接続部材では、カムシャフト側回転部材とカム側回転部材との間での回転力伝達時に、カムシャフト側からの回転駆動力とカム側からのバルブ駆動反力とが互いに逆回転方向に作用する。このため、接続部材をそなえる不等速継手には、軸心線と直交する方向に、これらの回転駆動力とバルブ駆動反力とが合成された大きな荷重が発生することになり、回転系の摺動面にとっても大きな負荷となり、かかる摺動面でフリクショントルクが生じることになる。
【0007】
一方、カムシャフト側回転軸とカム側回転軸との間には、カムシャフト側回転軸に対してカム側回転軸を所定の偏心状態に保持する部材(軸支部材)が必要になる。このため、カムシャフトの外周に不等速継手及び軸支部材を配設し、この軸支部材によってカムシャフト側回転軸に対してカム側回転軸を所定の偏心状態に保持するようにしている。
【0008】
また、バルブの開閉タイミングや開放期間を調整するためには、この軸支部材の位置を変更してカムシャフト側回転軸に対するカム側回転軸の偏心状態(一般には、偏心軸心の位置)を変更する必要がある。このため、軸支部材を一定の範囲で回転又は揺動するアクチュエータを配設し、このアクチュエータによってカムシャフト側回転軸に対するカム側回転軸の偏心状態を変更して、バルブの開閉タイミングや開放期間を調整するようにしている。
【0009】
このように、軸支部材は、バルブの開閉タイミングや開放期間を調整する際には、一定の範囲で回転又は揺動することにはなるが、基本的には固定側部材であり、カム側回転軸やカムシャフト側回転軸と連動して回転するものではない。即ち、軸支部材は、カム側回転軸やカムシャフト側回転軸との間に存在する不等速継手を構成する部材との摺動面で、上述のような大きなフリクショントルクを受けることになる。
【0010】
このようなフリクショントルクは、バルブの特性(開閉タイミングや開放期間)を調整するための軸支部材の回転又は揺動時に、この軸支部材を回転又は揺動させるアクチュエータの応答速度に影響を与えることになる。つまり、フリクショントルクの影響により軸支部材を駆動させる方向に対して、アクチュエータの応答速度に差が生じ、この応答速度の違いから運転状態変化に伴うバルブ開弁期間変更時のレスポンスの悪化を招くことになる。
【0011】
また、後者のような可変動弁機構にも駆動トルクによるフリクションが存在し、これにより位相変化させる駆動手段の駆動方向に応答速度差が生じ、前者と同様に応答速度差によるレスポンス悪化を招くおそれがある。
本発明は、上述の課題に鑑み創案されたもので、カム側回転軸を偏心状態に支持する部材(軸支部材)をそなえた不等速継手を利用する可変動弁機構において、軸支部材に作用するフリクショントルクを考慮して、アクチュエータの応答速度のバランスを取れるようにして応答性能の向上を図れるようにした、可変動弁機構を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1記載の本発明の可変動弁機構は、内燃機関のクランク軸から回転力を伝達されて第1回転軸心回りに回転駆動される第1回転軸部材と、該第1回転軸心とは異なり且つ該第1回転軸心と平行な第2回転軸心を有する軸支部を備えると共に該第1回転軸部材の外周に相対回転又は揺動しうるように設けられて該第2回転軸心を変位させうる軸支部材と、該軸支部材に軸支された中間回転部材と、該第1回転軸部材に該中間回転部材を連結して該中間回転部材を該第1回転軸部材と連動して回転可能とする第1接続部材と、該第1回転軸心回りに回転しカム部を有する第2回転軸部材と、該中間回転部材に該第2回転軸部材を連結して該第2回転部材を該中間回転部材と連動して回転可能とする第2接続部材と、該第2接続部材と一体又は別体に設けられて、該カム部を通じて該第2回転軸部材の回転位相に対応して該内燃機関の燃焼室への吸気流入期間又は排気放出期間を設定する弁部材と、該軸支部材と係合する制御用部材と、該内燃機関の運転状態に応じて該制御用部材を駆動して該軸支部材の該軸支部の回転中心である該第2回転軸心を第1位置と第2位置との間で変位させるアクチュエータと、該軸支部材に作用するフリクショントルクを考慮して該アクチュエータによる該第1位置から該第2位置までの応答速度と該第2位置から該第1位置までの応答速度とを異なるように調整する応答速度調整手段とをそなえることを特徴としている。
【0013】
また、アクチュエータは、電気式,油圧式等種々の形式のものを採用することができる。
請求項2記載の本発明の可変動弁機構は、請求項1記載の構成において、該アクチュエータは、該制御用部材に連結された出力軸部と、該出力軸部を収容するハウジングと、該出力軸部の軸線から半径方向に延びるベーンと、該ハウジングの内部に形成されて該ベーンにより区画された第1及び第2油室と、作動油を供給される作動油供給口と、該第1及び第2油室に連通する第1及び第2油路と、該ハウジング内部の該作動油供給口と第1及び第2油路との間に進退可能に設けられ該作動油供給口を該第1及び第2油路のいずれとも連通させない中立位置から該作動油供給口を該第1油路と連通させる第1供給位置及び第2油路と連通させる第2供給位置に移動しうるスプール弁と、該内燃機関の運転状態に応じて該スプール弁を駆動する駆動部とを備える油圧アクチュエータであることを特徴としている。
【0014】
請求項3記載の本発明の可変動弁機構は、請求項2記載の構成において、該応答速度調整手段は、該スプール弁の該中立位置から該第1供給位置までの変位量と該スプール弁の該中立位置から該第2供給位置までの変位量とを異ならせることで該応答速度を調整することを特徴としている。
この場合、第1油路及び第2油路の配置を作動供給口から同等に離れた位置に形成し、単にスプール弁の変位量を異ならせるようにしても良いが、第1油路及び第2油路の配置を作動供給口から異ならせ、且つスプール弁の変位量を異ならせるようにしても良い。
【0015】
請求項4記載の本発明の可変動弁機構は、請求項2記載の構成において、該応答速度調整手段は、該第1油路を通じた通路開口面積と該第2油路を通じた通路開口面積とを異ならせることで該応答速度を調整することを特徴としている。
請求項5記載の本発明の可変動弁機構は、内燃機関のクランク軸からの回転力により回転駆動される第1回転軸部材と、カム部を有し該カムシャフトの外周に相対回転可能に設けられた第2回転軸部材と、該第1回転軸部材と該第2回転軸部材との回転位相差を調整する位相差調整手段と、該位相差調整手段を第1位置と第2位置との間で駆動するアクチュエータと、該カム部を通じて上記第2回転軸部材の回転位相に対応して該内燃機関の燃焼室への吸気流入期間又は排気放出期間を設定する弁部材とを備え、該軸支部材に作用するフリクショントルクを考慮して該アクチュエータによる該第1位置から該第2位置までの応答速度と該第2位置から該第1位置までの応答速度とが異なるように設定されていることを特徴としている。
【0016】
【発明の実施形態】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図19は本発明の第1実施形態にかかる可変動弁機構を示すものであり、図20は本発明の第2実施形態にかかる油圧アクチュエータを示すものであり、図21,図22は本発明の第3実施形態にかかる油圧アクチュエータを示すものである。
【0017】
まず、第1実施形態について説明する。
[可変動弁機構の説明]
この実施形態にかかる内燃機関は、レシプロ式の内燃機関であり、また、この実施形態にかかる可変動弁機構は、気筒上方に設置された吸気弁又は排気弁(これらを総称して、機関弁又は単にバルブという)を駆動するようにそなえられている。
【0018】
図2,図3,図4は本可変動弁機構の要部を示す斜視図,断面図,模式的配置図(軸方向端面から見た模式図)であり、図2,図3に示すように、シリンダヘッド1には、図示しない吸気ポート又は排気ポートを開閉すべくバルブ(弁部材)2が装備されており、このバルブ2のステム端部2Aには、バルブ2を閉鎖側に付勢するバルブスプリング3(図4参照)が設置されている。
【0019】
さらに、バルブ2のステム端部2Aには、ロッカアーム8が当接しており、このロッカアーム8にカム6が当接している。そして、カム6の凸部(カム山部分)6Aによってバルブスプリング3の付勢力に抗するようにしてバルブ2が開方向へ駆動される。本可変動弁機構は、このようなカム6を回動させるためにそなえられている。
【0020】
本可変動弁機構は、図2,図3に示すように、ベルト(タイミングベルト)41とプーリ42とを介して、エンジンのクランク軸(図示略)に連動して回転駆動されるカムシャフト(第1回転軸部材)11と、このカムシャフト11の外周に設けられたカムローブ(第2回転軸部材)12とをそなえ、カム(カム部)6はこのカムローブ12の外周に突設されている。なお、このカムローブ12の外周はシリンダヘッド1側の軸受部7によって回転自在に軸支されている。
【0021】
また、カムシャフト11はこのカムローブ12を介して軸受部7に支持されるが、カムシャフト11の端部は、同一軸心線上に結合された端部部材43を介してシリンダヘッド1の軸受部1Aに軸支されている。前述のプーリ42は、このような端部部材43に装備されているので、このプーリ42を装備した端部部材43を、入力部と称することができる。
【0022】
なお、軸受部7は、図3,図4に示すように、二つ割れ構造になっており、シリンダヘッド1に形成された軸受下半部7Aと、この軸受下半部7Aに上方から接合される軸受キャップ7Bと、軸受下半部7Aに軸受キャップ7Bを結合するボルト7Cとから構成される。
また、図4に示すように、軸受下半部7Aと軸受キャップ7Bとの接合面7Dは、図示しないシリンダの軸心線と直交するようにほぼ水平に設定されており、図3,図4におけるほぼ鉛直方向(上下方向)に向けて締結されるボルト7Cによって、軸受下半部7Aと軸受キャップ7Bとがほぼ鉛直方向に強固に結合されている。
【0023】
そして、カムシャフト11とカムローブ12との間に不等速継手13が設けられている。
なお、本可変動弁機構は、多気筒エンジンに適しており、多気筒エンジンに適用した場合には、各気筒毎に、カムローブ12及び不等速継手13を設けるようにする。ここでは、一例として本可変動弁機構を直列4気筒エンジンに適用した場合を説明する。
【0024】
この不等速継手13は、カムシャフト11の外周に回動可能に支持されたコントロールディスク(軸支部材)14と、このコントロールディスク14に一体的に設けられた偏心部(軸支部)15と、この偏心部15の外周に設けられた係合ディスク(中間回転部材)16と、係合ディスク16に接続された第1スライダ部材(第1接続部材)17及び第2スライダ部材(第2接続部材)18とをそなえている。なお、係合ディスク16は、ハーモニックリングともいう。
【0025】
偏心部15は、図2に示すように、カムシャフト11の回転中心(第1回転中心軸線)O1 から偏心した位置に回転中心O2 を有しており、係合ディスク16はこの偏心部15の中心(第2回転中心軸線)O2 の回りに回転するようになっている。
第1スライダ部材17及び第2スライダ部材18は、図2に示すように、それぞれその先端にスライダ本体部21,22をそなえ、その他端側にドライブピン部23,24をそなえている。
【0026】
そして、係合ディスク16の一面には、図3に示すように、半径方向(ラジアル方向)に、第1スライダ部材17のスライダ本体部21が摺動自在に嵌合したスライダ用溝16Aと、第2スライダ部材18のスライダ本体部22が摺動自在に嵌合したスライダ用溝16Bとが形成されている。ここでは、2つのスライダ用溝16A,16Bが互いに180°だけ回転位相をずらせるように同一直径上に配置されている。
【0027】
また、カムシャフト11にはドライブアーム19が設けられ、カムローブ12にはアーム部20が設けられ、ドライブアーム19には、第1スライダ部材17のドライブピン部23が回転自在に嵌入する穴部19Aが設けられ、アーム部20には、第2スライダ部材18のドライブピン部24が回転自在に嵌入する穴部20Aが設けられている。
【0028】
なお、ドライブアーム19は、カムローブ12とコントロールディスク14との間のアーム部20を除く空間に、カムシャフト11から半径方向(ラジアル方向)に突出するように設けられ、ロックピン25によりカムシャフト11と一体回転するように結合されている。一方、アーム部20はカムローブ12の端部を、係合ディスク16の一側面に近接する位置まで半径方向(ラジアル方向)及び軸方向へ突出させるように一体形成されている。
【0029】
また、本機構では、図3に示すように、係合ディスク(中間回転部材)16の一側面16Cは、カムローブ12のアーム部(取付部)20に対向しているが、特に、カムローブ12のアーム部20の端面(フランジ部)20Aは、係合ディスク(中間回転部材)16の一側面に当接している。このアーム部20の両端面20Aは、図3,図5に示すように、アーム部20にそなえられたスライダ用溝(第2溝部)16Bと略90°又はこれ以上の位相差の部分まで延設され、この延設部は、軸心からできるだけ外方へ配置されている。そして、係合ディスク16の一側面は、この延長されたアーム部端面(フランジ部)20Aにも当接するようになっており、こうして係合ディスク16がカムローブ12側に当接することになり、係合ディスク16の軸振れ方向の傾斜(倒れ)が防止されるようになっている。
【0030】
さらに、カムローブ12の後端には、ウェーブドワッシャ46が装備されており、アーム部端面20Aの係合ディスク16の一側面への当接力を増大して、係合ディスク16の倒れ防止荷重を十分に確保できるようになっている。
また、係合ディスク16とカムローブ12とは前述のようにその偏心に応じて微小な位相ずれを生じながら回転するため、係合ディスク16とアーム部端面20Aとの当接部分は微小に摺動することになるが、この部分へは潤滑油(エンジンオイル)を供給されるため滑らかな摺動が行なわれるようになっている。
【0031】
更に、本実施形態では、図3,図6に示すように、係合ディスク16と偏心部15との摺動部、即ち、偏心部15の外周面と係合ディスク16の内周面との間に、前述のベアリング37が介装されている。ここでは、よりコンパクトに介装しうるニードルベアリングが用いられているが、ベアリング37はこのニードルベアリングに限定されず、種々のベアリングを用いることができる。
【0032】
このような係合ディスク16と偏心部15との摺動部を「単なる滑り軸受け」とした場合、特に、機関の始動時に潤滑油の粘性等に起因して、係合ディスク16と偏心部15とのフリクションが大きくなるが、このベアリング37装備することにより、係合ディスク16と偏心部15とのフリクションが大幅に低減されて、係合ディスク16を通じた回転力の伝達や、位相調整をより円滑に行なるようになり、機関の始動性も良好なものにできるようになっている。
【0033】
逆に言えば、始動や偏心位置調整にかかるスタータやアクチュエータの負荷を低減できるため、これらのスタータやアクチュエータとしてより低容量で小型のものを採用しうるようになる。
なお、本実施形態では、偏心部15とカムシャフト11との摺動部は、滑り軸受け(ジャーナル軸受け)47としているが、ニードルベアリングのようなベアリングを、偏心部15とカムシャフト11との摺動部の間に設置して、ベアリングを、係合ディスク16と偏心部15との摺動部と偏心部15とカムシャフト11との摺動部との間の両方に設置するようにしてもよい。
【0034】
しかし、両方の摺動部のベアリングを介装するとシステムの大型化や搭載性の低下を招くので、この点が問題ならば、いずれか一方の摺動部にかかるベアリングを介装することになる。この場合には、カムシャフト11と偏心部15との間の径よりも、より径の大きい係合ディスク16と偏心部15との間に設置した方が、ベアリングをより効果的に発揮することができて好ましい。
【0035】
また、図3中の符号7E,11A,11Bは各摺動部へ潤滑油(エンジンオイル)を供給する油穴である。
〔不等速機構の作動原理の説明〕
ところで、スライダ本体部21と溝16Aとの間では、図4に示すように、スライダ本体部21の外側平面21B,21Cと溝16Aの内壁平面28A,28Bとの間で、溝16Bとスライダ本体部22との間では、溝16Bの内壁平面28C,28Dとスライダ本体部22の外側平面22B,22Cとの間で、それぞれ回転力の伝達が行なわれる。
【0036】
このように回転を伝達する際に、係合ディスク16が偏心していることにより、係合ディスク16はカムシャフト11に対して先行したり遅延したりすることを繰り返し、また、カムローブ12は係合ディスク16に対して先行したり遅延したりすることを繰り返しながら、カムローブ12がカムシャフト11とは不等速で回転するようになっている。
【0037】
例えば図7は、カムローブ12がカムシャフト11とは不等速で回転する点を説明する図であり、(A1)〜(A3)はカムシャフト11に対する係合ディスク16の回転速度変化を、(B1)〜(B3)は係合ディスク16に対するカムローブ12の回転速度変化をそれぞれ説明する図である。
図7(A1)に示すように、係合ディスク16の回転中心(第2回転中心軸線)O2 が、カムシャフト11の回転中心(第1回転中心軸線)O1 に対して上方に偏心しており、この偏心した方向に、スライダ溝16A及び第1スライダ部材17が位置した状態を回転基準位置として、カムシャフト11が時計回りに回転するものとする。
【0038】
なお、図7(A1),(A2)において、S1はカムシャフト11側の基準点(例えば第1スライダ部材17の中心点)の回転基準位置での位置を示し、H1は係合ディスク16側の基準点(例えばスライダ溝16Aの基準点)の回転基準位置での位置を示している。
また、S2〜S12はカムシャフト11側の基準点(第1スライダ部材17の中心点)が回転基準位置S1から所定角度(ここでは、30°)ずつ回転した際の各位置を示し、H2〜H12はこれらのカムシャフト11側の基準点位置S2〜S12に応じて回転する係合ディスク16側の基準点(スライダ溝16Aの基準点)の各位置を示している。
【0039】
ここで、カムシャフト11側の基準点の回転は、第1回転中心軸線O1 を中心に、係合ディスク16側の基準点の回転は、第2回転中心軸線O2 を中心に、それぞれ行なわれる。
図7(A2)に示すように、カムシャフト11側の基準点(第1スライダ部材17の中心点)がS1→S2へと30°(∠S1・O1 ・S2)だけ回転すると、係合ディスク16側の基準点(スライダ溝16Aの基準点)はH1→H2へと∠H1・O2 ・H2の角度分回転するため、カムシャフト11側よりも大きな回転角度(∠H1・O2 ・H2>∠S1・O1 ・S2)だけ回転する。即ち、係合ディスク16側はカムシャフト11側よりも速い速度で回転する。
【0040】
ついで、カムシャフト11側がS2→S3へと30°(∠S2・O1 ・S3)だけ回転すると、係合ディスク16側はH2→H3へと、∠H2・O2 ・H3の角度分回転するため、ここではカムシャフト11側よりもやや大きな回転角度(∠H2・O2 ・H3>∠S2・O1 ・S3)だけ回転する。即ち、この間は、係合ディスク16側はカムシャフト11側よりもやや速い速度で回転する。
【0041】
ついで、カムシャフト11側がS3→S4へと30°(∠S3・O1 ・S4)だけ回転すると、係合ディスク16側はH3→H4へと、∠H3・O2 ・H4の角度分回転するため、ここではカムシャフト11側とほぼ等しい回転角度(∠H3・O2 ・H4≒∠S3・O1 ・S4)だけ回転する。即ち、この間は、係合ディスク16側はカムシャフト11側とほぼ等しい速度で回転する。
【0042】
ついで、カムシャフト11側がS4→S5へと30°(∠S4・O1 ・S5)だけ回転すると、係合ディスク16側はH4→H5へと、∠H4・O2 ・H5の角度分回転するため、ここでもカムシャフト11側とほぼ等しい回転角度(∠H4・O2 ・H5≒∠S4・O1 ・S5)だけ回転する。即ち、この間は、係合ディスク16側はカムシャフト11側とほぼ等しい速度で回転する。
【0043】
さらに、カムシャフト11側がS5→S6へと30°(∠S5・O1 ・S6)だけ回転すると、係合ディスク16側はH5→H6へと、∠H5・O2 ・H6の角度分回転するため、ここではカムシャフト11側よりもやや小さな回転角度(∠H5・O2 ・H6<∠S5・O1 ・S6)だけ回転する。即ち、この間は、係合ディスク16側はカムシャフト11側よりもやや遅い速度で回転する。
【0044】
さらに、カムシャフト11側がS6→S7へと30°(∠S6・O1 ・S7)だけ回転すると、係合ディスク16側はH6→H7へと、∠H6・O2 ・H7の角度分回転するため、ここではカムシャフト11側よりも小さな回転角度(∠H6・O2 ・H7<∠S6・O1 ・S7)だけ回転する。即ち、この間は、係合ディスク16側はカムシャフト11側よりも遅い速度で回転する。
【0045】
このように、係合ディスク16側は位置H1においてカムシャフト11側に対して最も速く回転し、この後、カムシャフト11側がS1→S2→S3→S4→S5→S6→S7へと回転する間には、係合ディスク16側はH1→H2→H3→H4→H5→H6→H7へと、次第にカムシャフト11側に対する速度を減少させ、この間、位置H3からH5の間付近で係合ディスク16側がカムシャフト11側とほぼ等しい速度になり、その後は、係合ディスク16側はカムシャフト11側よりも遅くなり、位置H7においてカムシャフト11側に対して最も遅く回転することになる。
【0046】
この後、カムシャフト11側がS7→S8→S9→S10→S11→S12→S1へと回転する間には、係合ディスク16側はH7→H8→H9→H10→H11→H12→H1へと、次第にカムシャフト11側に対する速度を増加させ、この間、位置H9からH10の間付近で係合ディスク16側がカムシャフト11側とほぼ等しい速度になり、その後は、係合ディスク16側はカムシャフト11側よりも速くなり、位置H1においてカムシャフト11側に対して最も速く回転することになる。
【0047】
このようなカムシャフト11側の回転速度に対する係合ディスク16側の回転速度を、カムシャフト11の回転角度(位置S1を0°又は360°として上述のような時計回りに回転するものとする)に対応させて示すと、図7(A3)のようになる。この図7(A3)では、カムシャフト11の回転速度は一定(横軸上)としており、係合ディスク16側の回転速度は、余弦カーブのような特性で変化する。
【0048】
このような係合ディスク16側の回転に対するカムローブ12側の回転速度変化は、図7(B1)〜(B3)に示すようになる。図7(A1)〜(A3)は図7(B1)〜(B3)とそれぞれ対応する。
また、図7(B1)に示すように、係合ディスク16側とカムローブ12側とは、第1スライダ部材17に対して180°だけ回転した位置にあるスライダ溝16B及び第2スライダ部材18を介して回転が伝達される。したがって、係合ディスク16の回転中心(第2回転中心軸線)O2 が、カムシャフト11の回転中心(第1回転中心軸線)O1 に対して偏心した方向にスライダ溝16A及び第1スライダ部材17に位置した基準状態〔図7(A1)参照〕では、図7(B1)に示すように、スライダ溝16B及び第2スライダ部材18は、スライダ溝16A及び第1スライダ部材17よりも180°だけ回転した位置(図中下方)となり、これを、基準位置とする。
【0049】
また、図7(B1),(B2)において、H′1は係合ディスク16側の基準点(例えばスライダ溝16Bの基準点)の回転基準位置での位置を示し、R1はカムローブ12側の基準点(例えば第2スライダ部材18の中心点)の回転基準位置での位置を示している。
また、H′2〜H′12は係合ディスク16側の第1の基準点(スライダ溝16Aの基準点)H2〜H12に対する係合ディスク16側の第2の基準点(スライダ溝16Bの基準点)を示し、R2〜R12はこれらの係合ディスク16側の第2の基準点(スライダ溝16Bの基準点)H′2〜H′12に応じて回転するカムローブ12側の基準点(第2スライダ部材18の中心点)の各位置を示している。
【0050】
ここで、係合ディスク16側の基準点の回転は、第2回転中心軸線O2 を中心に、カムローブ12側の基準点の回転は、第1回転中心軸線O1 を中心に、それぞれ行なわれる。
図7(B2),(B3)に示すように、カムローブ12側は、カムシャフト11側に対する係合ディスク16側の速度特性をさらに強めた特性で回転し、位置R1において係合ディスク16側に対して最も速く回転し、この後、係合ディスク16側がH′1→H′2→H′3→H′4→H′5→H′6→H′7へと回転する間には、カムローブ12側はR1→R2→R3→R4→R5→R6→R7へと、次第に係合ディスク16側に対する速度を減少させ、この間、位置R3からR4の間付近でカムローブ12側が係合ディスク16側とほぼ等しい速度になり、その後は、カムローブ12側は係合ディスク16側よりも遅くなり、位置R7において係合ディスク16側に対して最も遅く回転することになる。
【0051】
この後、係合ディスク16側はH′7→H′8→H′9→H′10→H′11→H′12→H′1へと回転する間には、カムローブ12側がR7→R8→R9→R10→R11→R12→R1へと次第に係合ディスク16側に対する速度を増加させ、この間、位置R9からR10の間付近でカムローブ12側が係合ディスク16側側とほぼ等しい速度になり、その後は、カムローブ12側は係合ディスク16側よりも速くなり、位置R1において係合ディスク16側に対して最も速く回転することになる。
【0052】
図7(B3)は、このようなカムローブ12側の回転速度特性を係合ディスク16側の回転速度特性〔図7(A3)に示すものと同様な特性〕に対応させて示しており、カムローブ12側の回転速度は、係合ディスク16側の回転速度と同様な余弦カーブのような特性で変化し、しかも係合ディスク16側の特性を一層増大させた(つまり、振幅を増大させた)ものとなる。すなわち、カムローブ12側の回転速度は、カムシャフト11側の回転速度に対して、余弦カーブのような特性で変化する。
〔不等速機構の作動特性の説明〕
このようなカムシャフト11側の回転速度特性に対して、カムローブ12側の回転位相特性(即ち、カムローブ12側がカムシャフト11側よりも進むか遅れるかといった特性)については、図8の中段に記載したグラフ内の曲線PA1,PA2に示すようになる。
【0053】
つまり、図7(A1),(B1)及び図8(a1)に示すように、係合ディスク16の回転中心(第2回転中心軸線)O2 が、カムシャフト11,カムローブ12の回転中心(第1回転中心軸線)O1 に対して上方に偏心しているもの(高速上方偏心)とする。そして、回転中心O1 ,O2 の上方にスライダ溝16A及び第1スライダ部材17が位置し、回転中心O1 ,O2 の下方にスライダ溝16B及び第2スライダ部材18が位置した状態を基準(カムシャフト回転角度が0)とすると、カムローブ12側の位相特性は、図8の曲線PA1に示すようになる。
【0054】
図8の曲線PA1に示すように、図8(a1)及び図7(A2),(B2)中の符合S1,H1,H′1,R1に示すようなカムシャフト回転角度が0のときには、カムローブ12側はカムシャフト11側と等しい位相角度となる。
この後のカムシャフト11の回転角度に応じたカムローブ12側の回転位相特性、即ち、カムシャフト11側の回転位相に対するカムローブ12側の回転位相の進みや遅れの特性は、カムシャフト11側の回転速度に対するカムローブ12側の回転速度〔図7(B3)参照〕を積分した積分値に相当する。
【0055】
したがって、図8の曲線PA1に示すように、カムシャフト11が0°から90°へと回動する際には、カムローブ12側がカムシャフト11側に先行してその進み角度が次第に増大するが、カムシャフト11が90°となった時点でカムローブ12側はカムシャフト11側よりも最も先行して〔図8(a2)参照〕、この後、カムシャフト11が90°から180°へと回動する際には、カムローブ12側がカムシャフト11側に先行してはいるがその進み角度は次第に減少して、カムシャフト11が180°になった時点で、カムローブ12側はカムシャフト11側と等しい位相角度となる〔図8(a3)参照〕。
さらに、カムシャフト11が180°から270°へと回動する際には、カムローブ12側がカムシャフト11側から遅れてその遅れ角度が次第に増大するが、カムシャフト11が270°となった時点でカムローブ12側はカムシャフト11側よりも最も遅れて〔図8(a4)参照〕、その後、カムシャフト11が270°から360°へと回動する際には、カムローブ12側がカムシャフト11側に遅れてはいるがその遅れ角度は次第に減少して、カムシャフト11が360°になった時点で、カムローブ12側はカムシャフト11側と等しい位相角度となる〔図8(a5)参照〕。
【0056】
ここで、カムシャフト11が180°の位置で、バルブリフトが最大となるように、カム6に対するバルブ2の位置を設定すると、バルブのリフトカーブは、図8の曲線VL1に示すようになる。なお、図8中の曲線VL0は、カムローブ12側がカムシャフト11側に対して偏心していないでカムローブ12側がカムシャフト11側と常に等しい位相角度となる場合のバルブのリフトカーブ特性(リフトカーブベース)を示すものである。
【0057】
曲線VL1に示すリフトカーブ特性では、バルブの開放タイミング(開放開始時期)ST1はリフトカーブベースの開放タイミングST0よりも早くなり、バルブの閉鎖タイミング(開放終了時期)ET1はリフトカーブベースの閉鎖タイミングET0よりも遅くなる。バルブの開放タイミングST1がリフトカーブベースよりも早まるのは、バルブが開放を開始する領域では、カムローブ12側はカムシャフト11側よりも回転位相角度が進んでいるためであり、バルブの閉鎖タイミングET1がリフトカーブベースよりも遅くなるのは、バルブが開放を終了する領域では、カムローブ12側はカムシャフト11側よりも回転位相角度が遅れているためである。
【0058】
一方、図8(b1)に示すように、係合ディスク16の回転中心(第2回転中心軸線)O2 が、カムシャフト11,カムローブ12の回転中心(第1回転中心軸線)O1 に対して下方に偏心(低速下方偏心)していて、回転中心O1 ,O2 の上方にスライダ溝16A及び第1スライダ部材17が位置し、回転中心O1 ,O2 の下方にスライダ溝16B及び第2スライダ部材18が位置した状態を、基準(カムシャフト回転角度が0)とすると、カムローブ12側の位相特性は、図8の曲線PA2に示すようになる。
【0059】
つまり、図8の曲線PA2に示すように、図8(a1)に示すようなカムシャフト回転角度が0のときには、カムローブ12側はカムシャフト11側と等しい位相角度となり、この後は、カムシャフト11が0°から90°へと回動する際には、カムローブ12側がカムシャフト11側から遅れてその遅れ角度が次第に増大するが、カムシャフト11が90°となった時点でカムローブ12側はカムシャフト11側よりも最も遅れて〔図8(b2)参照〕、この後、カムシャフト11が90°から180°へと回動する際には、カムローブ12側がカムシャフト11側から遅れてはいるがその遅れ角度は次第に減少して、カムシャフト11が180°になった時点で、カムローブ12側はカムシャフト11側と等しい位相角度となる〔図8(b3)参照〕。
【0060】
さらに、カムシャフト11が180°から270°へと回動する際には、カムローブ12側がカムシャフト11側に先行してその進み角度が次第に増大するが、カムシャフト11が270°となった時点でカムローブ12側はカムシャフト11側よりも最も進んで〔図8(b4)参照〕、その後、カムシャフト11が270°から360°へと回動する際には、カムローブ12側がカムシャフト11側より先行してはいるがその進み角度は次第に減少して、カムシャフト11が360°になった時点で、カムローブ12側はカムシャフト11側と等しい位相角度となる〔図8(b5)参照〕。
【0061】
このように、図8の曲線PA2に示すような回転位相特性でカムローブ12が回転する場合には、バルブのリフトカーブは、図8の曲線VL2に示すようになる。
この曲線VL2に示すリフトカーブ特性では、バルブの開放タイミング(開放開始時期)ST2はリフトカーブベースの開放タイミングST0よりも遅くなり、バルブの閉鎖タイミング(開放終了時期)ET2はリフトカーブベースの閉鎖タイミングET0よりも早くなる。
【0062】
このようにバルブの開放タイミングST2がリフトカーブベースよりも遅くなるのは、バルブが開放を開始する領域では、カムローブ12側はカムシャフト11側よりも回転位相角度が遅れているためである。また、バルブの閉鎖タイミングET2がリフトカーブベースよりも早くなるのは、バルブが開放を終了する領域では、カムローブ12側はカムシャフト11側よりも回転位相角度が進んでいるためである。
【0063】
このように、係合ディスク16の回転中心(第2回転中心軸線)O2 、即ち、係合ディスク16の偏心位置に応じて、バルブのリフトカーブ特性を変更することができるのである。バルブの開放タイミングが早く閉鎖タイミングが遅い場合には、バルブ開放期間が長くなり、機関の高速回転時に適し、バルブの開放タイミングが遅く閉鎖タイミングが速い場合には、バルブ開放期間が短くなり、機関の低速回転時に適している。
【0064】
このため、図8(a1)に示すように、係合ディスク16の回転中心(第2回転中心軸線)O2 がカムシャフト11の回転中心(第1回転中心軸線)O1 に対して上方(バルブリフトトップを与える回転位相方向と逆方向)にあれば、バルブ開放期間が最も長くなるため、高速用偏心となり、図8(b1)に示すように、係合ディスク16の回転中心(第2回転中心軸線)O2 が、カムシャフト11の回転中心(第1回転中心軸線)O1 に対して下方(バルブリフトトップを与える回転位相方向)にあれば、バルブ開放期間が最も短くなるため、低速用偏心となる。
【0065】
そして、係合ディスク16の回転中心(第2回転中心軸線)O2 が図8(a1)に示す位置と図8(b1)に示す位置との中間的な位置にある場合には、その位置に応じたバルブ特性(バルブの開放タイミングや閉鎖タイミング)でバルブ2を駆動することになる。
つまり、第2回転中心軸線O2 を図8(a1)に示す上方偏心位置から下方位置へずらしていくと、バルブ特性は、曲線VL1で示すリフトカーブ特性(高速用特性)から曲線VL0で示すリフトカーブベース特性へと近づいて、第2回転中心軸線O2 が第1回転中心軸線O1 とほぼ等しい高さになる(上下方向への偏差がなくなる)と、バルブ特性はほぼリフトカーブベース特性に近いものになる。さらに、第2回転中心軸線O2 を図8(b1)に示す下方偏心位置へ向けてずらしていくと、バルブ特性は、曲線VL0で示すリフトカーブベース特性から曲線VL2で示すリフトカーブ特性(低速用特性)へと近づく。
【0066】
したがって、例えば機関の回転数(回転速度)等の機関の運転状態に応じて、第2回転中心軸線O2 の位置を連続的又は段階的に調整すれば、機関の運転状態に常に適した特性でバルブ2を駆動させることができる。
[可変動弁機構の偏心位置調整機構の説明]
係合ディスク16の回転中心(第2回転中心軸線)O2 を位置調整するためには、係合ディスク16を偏心状態に支持する偏心部15を回転させればよいので、本機構には、偏心部15を有するコントロールディスク14を回転させて偏心部15の偏心位置を調整する偏心位置調整機構(制御用部材)30が設けられている。
【0067】
この偏心位置調整機構30は、図2,図3に示すように、コントロールディスク14の外周に形成された偏心制御ギヤ31と、この偏心制御ギヤ31と噛合するコントロールギヤ35をそなえカムシャフト11と平行に設置されたギヤ軸(コントロールシャフト)32と、このコントロールシャフト32を回転駆動するためのアクチュエータ33とをそなえて構成されており、ECU34を通じて作動を制御するようになっている。
【0068】
つまり、図2に示すように、ECU34に、エンジン回転数センサ(図示略)からの検出情報(エンジン回転数情報),スロットルポジションセンサからの検出情報(TPS情報),エアフローセンサ(図示略)からの検出情報(AFS情報)等が入力されるようになっており、偏心位置調整機構30におけるモータの制御は、これらの情報に基づいて、エンジンの回転速度や負荷状態に応じて行なうようになっている。
【0069】
そして、例えばエンジンの高速時や高負荷時には、図8中の曲線VL1のようなバルブリフト特性になるようにコントロールディスク14の回転位相を調整して、バルブの開放期間を長期間にするように制御する。また、エンジンの低速時や低負荷時には、図8中の曲線VL2のようなバルブリフト特性になるようにコントロールディスク14の回転位相を調整して、バルブの開放期間を短期間にするように制御する。一般には、エンジンの回転や負荷に応じて、図8中の曲線VL1と曲線VL2との中間的なバルブリフト特性になるようにコントロールディスク14の回転位相を調整する。
【0070】
ところで、コントロールシャフト32にそなえられたコントロールギヤ35は、2つのギヤ35A,35Bからなるシザースギヤであって、一方のギヤ35Aはコントロールシャフト32に固定されているが、他方のギヤ35Bはコントロールシャフト32に対して回転可能に装備されている。つまり、ギヤ35Bは、ギヤ35Aに当接するように配設されており、コントロールシャフト32の外周に固定されるジャーナル36との間に装備されたねじりスプリング38によって、回転方向への付勢力を受けるように設置され、両ギヤ35A,35Bによって、コントロールディスク14側の偏心制御ギヤ31とコントロールギヤ35とがガタつくことなく噛合するようになっている。
【0071】
なお、偏心位置調整機構30の設置にあたっては、既に設置されているカムシャフト11外周のコントロールディスク14側の偏心制御ギヤ31に対して、両ギヤ35A,35Bを噛合させた上で、ジャーナル36をコントロールシャフト32に対して回転させながら軸方向所定位置に配置することで、ギヤ35Bに軸方向付勢力及び回転方向付勢力を与えておいてから、ジャーナル36を回り止めピン36Aによりコントロールシャフト32と一体回転するように固定する。
【0072】
また、本可変動弁機構を4気筒エンジンに適用した場合には、各気筒毎にカムローブ12及び不等速継手13を設けるようにすることになるが、ここでは、各気筒に、吸気弁駆動用の可変動弁機構と、排気弁駆動用の可変動弁機構とをそなえている。つまり、図9に示すように、吸気弁用カムシャフト11INと排気弁用カムシャフト11EXとをそなえ、吸気弁用カムシャフト11INにおいても排気弁用カムシャフト11EXにおいても、それぞれ各気筒毎にカムローブ12及び不等速継手13がそなえられる。
【0073】
そして、偏心位置調整機構30は、吸気弁用カムシャフト11INに各気筒毎に装備されたコントロールディスク14側の偏心制御ギヤ31と、排気弁用カムシャフト11EXにやはり各気筒毎に装備されたコントロールディスク14側の偏心制御ギヤ31と、吸気弁用カムシャフト11INに隣接した吸気弁側コントロールシャフト32と、排気弁用カムシャフト11EXに隣接した排気弁側コントロールシャフト32と、これらの各コントロールシャフト32において各気筒毎に設置されて各偏心制御ギヤ31と噛合するコントロールギヤ35及びジャーナル36及びスプリング38とをそなえている。
【0074】
一方、アクチュエータ33はスプロケット(端部部材)43と反対側端部の図示しないシリンダヘッド側部分に1つだけそなえられ、ここでは、排気弁用カムシャフト11EXの軸端部にアクチュエータ33がそなえられる。
このアクチュエータ33は、ジョイント33Aを介して排気弁側ドライブギヤ機構39Aに接続されており、アクチュエータ33の駆動力は、排気弁側ドライブギヤ機構39Aから排気弁側コントロールシャフト32に伝達され、排気弁用カムシャフト11EXの各偏心制御ギヤ31の回転駆動が行なわれるようになっている。
【0075】
この一方、排気弁側ドライブギヤ機構39Aはインタメディエイトギヤ機構40を介して吸気弁側ドライブギヤ機構39Bに接続されており、アクチュエータ33の駆動力は、排気弁側ドライブギヤ機構39A,インタメディエイトギヤ機構40,吸気弁側ドライブギヤ機構39Bを経て吸気弁側コントロールシャフト32に伝達され、吸気弁用カムシャフト11INの各偏心制御ギヤ31の回転駆動が行なわれるようになっている。
【0076】
したがって、図10に示すように、排気弁側(図中EX参照)では、アクチュエータ33の駆動力は、ドライブギヤ機構39A,排気弁側コントロールシャフト32及び各コントロールギヤ35を介して各偏心制御ギヤ31に伝達され、吸気弁側(図中IN参照)では、アクチュエータ33の駆動力は、ドライブギヤ機構39A,インタメディエイトギヤ機構40,ドライブギヤ機構39B,吸気弁側コントロールシャフト32及び各コントロールギヤ35を介して各偏心制御ギヤ31に伝達されるようになっている。
【0077】
なお、図9に示すように、各ドライブギヤ機構39A,39Bは、いずれも、軸39aに固定された固定ギヤ39b及び固定ギヤ39bとの間にスプリング39cを介して装備された可動ギヤ39dの2枚のギヤからなるシザースギヤ39eと、コントロールシャフト32の端部に固定されたギヤ39fとから構成される。シザースギヤ39eでは、可動ギヤ39dがスプリング39cにより回転方向に付勢された状態で、固定ギヤ39bと共にギヤ39fと噛合しており、ドライブギヤ機構39A,39Bにガタが生じないようになっている。
【0078】
また、インタメディエイトギヤ機構40は、互いに噛合する3つのギヤ40a,40b,40cからなり、排気弁側ドライブギヤ機構39Aの軸39aの回転を同方向に同速度で吸気弁側ドライブギヤ機構39Bの軸39aに伝達するようになっている。
さらに、各ドライブギヤ機構39A,39Bのシザースギヤ39e(即ち、ギヤ39b,39d)は各偏心制御ギヤ31と等しい歯数に設定され、各ドライブギヤ機構39A,39Bのギヤ39fは各コントロールギヤ35と等しい歯数に設定されており、アクチュエータ軸の回転角度と偏心制御ギヤ31の回転角度とが等しくなるように設定されている。
《偏心位置調整機構のアクチュエータの説明》
ここで、アクチュエータ33について説明すると、このアクチュエータ33は、例えば図11に示すように、オイルコントロールバルブ50を有する油圧供給手段51とアクチュエータ本体52とをそなえて構成される。
【0079】
アクチュエータ本体52は、いわゆる油圧式アクチュエータであって、ベーン55を油圧によりその軸線回りに往復回転させるようになっている。つまり、アクチュエータ本体52は、図11に示すように、ハウジング53と、排気弁側ドライブギヤ機構39Aの軸39aにジョイント機構(オルダムジョイント)を介して連結される軸部(コントロールシャフト)54と、この軸部(出力軸部)54の軸線から半径方向に延びるベーン55と、このベーン55により区画された第1油室56A及び第2油室56Bとをそなえている。
【0080】
また、ハウジング53内の上部には、オイルコントロールバルブ50のスプール弁57が収容され、このスプール弁57は、圧縮状態のスプリング58により付勢されており、オイルコントロールバルブ50のコイル部分59からの電磁力を受けるとスプリング58の付勢力に抗してスプール弁57が所望の位置に調整されるようになっている。
【0081】
スプール弁57は、第1油室56A及び第2油室56Bへそれぞれ連通した油路60A,60Bと、エンジンオイル供給系61からの作動油入口(オイル入口,作動油供給口)62と、シリンダヘッド1内に作動油を排出するドレン63A,63Bとの間に設けられている。
スプール弁57が図11に示すような中立位置のときには、油路60A,60Bが閉鎖されて両油室56A,56Bの油圧は給排されないため、ベーン55が固定状態となる。
【0082】
この中立位置からスプール弁57が図11中の左方向に移動すると、第1油室56Aに通じる油路60Aとオイル入口62とが連通し(油路60Aが開口)、第2油室56Bに通じる油路60Bとドレン63Bとが連通して、第1油室56A内へ作動油が供給され第2油室56B内の作動油が排出されるため、ベーン55は図11中の右方向(反時計回り)へ回動する。
【0083】
逆に、中立位置からスプール弁57が図11中の右方向に移動すると、第1油室56Aに通じる油路60Aとドレン63Bとが連通し、第2油室56Bに通じる油路60Bとオイル入口62とが連通して(油路60Bが開口)、第1油室56A内の作動油が排出され第2油室56B内へ作動油が供給されるため、ベーン55は図11中の左方向(時計回り)へ回動する。
【0084】
このように、スプール弁57の位置に応じて、ベーン55を左右いずれかに回動させたり固定させたりすることができ、スプール弁57の位置調整は、コイル部分59の電磁力調整、即ち、コイル部分59への電力供給調整により行なうことができる。
つまり、スプール弁57の位置調整は、図12に示すように、デューティ制御により行なわれ、スプール弁57のストロークが調整されるようになっている。ここでは、ストローク0mm〜a1 mmの範囲では第1油路60Aが開口し、ストロークa1 mm〜a3 mmの範囲では第1油路60A及び第2油路60Bのいずれも閉鎖し、ストロークa3 mm〜a4 mmの範囲では第2油路60Bが開口するようになっている。また、デューティ比b%程度で、スプール弁57のストロークがa2 mmとなるように調整され、この位置を中立位置としている。
【0085】
ここで、第1油路60Aを開口させ、オイル入口62と第1油路60Aとを連通させるスプール弁57の位置を第1供給位置といい、第2油路60Bを開口させ、オイル入口62と第2油路60Bとを連通させるスプール弁57の位置を第2供給位置という。
そして、ここではベーン55の位置(回転位相)を検出するポジションセンサ(図示略)が設けられており、図13に示すように、ポジションセンサからのベーン55の位置に基づいたECU34によるフィードバック制御で、コイル部分59への電力供給調整が行なわれ、ベーン55が所定の位置に調整されるようになっている。
【0086】
なお、ベーン55の回転位相角度に応じてコントロールディスク14の回転位相角度即ち係合ディスク16の回転中心(第2回転中心軸線)O2 の位置が決まるが、ここでは、ベーン55が図11中の最も右方へ回転した位置(図中に位相角0°と示す)になったら、係合ディスク16が低速用偏心状態となり、ベーン55が図11中の最も左方へ回転した位置(図中に位相角180°と示す)になったら、係合ディスク16が高速用偏心状態となるように設定されている。
【0087】
つまり、ベーン55が低速用偏心位置(ベーン位相角0°)になったら、係合ディスク16の回転中心(第2回転中心軸線)O2 の位置は、図8(b1)〜(b5)に示すように、カムシャフト11の回転中心(第1回転中心軸線)O1 に対して下方(バルブリフトトップを与える回転位相方向)となって、低速用偏心状態となる。
【0088】
また、ベーン55が高速用偏心位置(ベーン位相角180°)になったら、係合ディスク16の回転中心(第2回転中心軸線)O2 の位置は、図8(a1)〜(a5)に示すように、カムシャフト11の回転中心(第1回転中心軸線)O1 に対して上方(バルブリフトトップを与える回転位相方向と逆方向)となって、高速用偏心となる。
【0089】
そして、ベーン55は、エンジンの回転速度等に応じて、低速用偏心位置(ベーン位相角0°)から高速用偏心位置(ベーン位相角180°)までの間で、位相調整されるようになっている。
〈アクチュエータの応答速度を調整する応答速度調整手段の説明〉
本実施形態の応答速度調整手段は、オイルコントロールバルブ50であり、この応答速度調整手段としてのオイルコントロールバルブ50におけるスプール弁57のストローク(変位量)を調整することにより、アクチュエータ33の第1油室56A又は第2油室56Bに供給される作動油の量を調整し、これにより、アクチュエータ33の応答速度を調整するようにしている。
【0090】
ここで、スプール弁57のストロークの調整は、偏心部15の内周,外周の摺接面に生じるフリクショントルクを考慮して行なわれるため、ここでは、まずフリクショントルクについて説明する。
(フリクショントルクの説明)
ここで、偏心部15の内周,外周の摺接面に生じるフリクショントルクについて説明する。
【0091】
このフリクショントルクは、かかる摺接面に垂直抗力が加わることで、発生するものなので、かかる摺接面にどのような垂直抗力が加わるかについて説明する。
まず、カムシャフト11及びカムローブ12に加わる力、及び、これらのカムシャフト11及びカムローブ12を通じて係合ディスク16に加わる力について説明する。
【0092】
カムシャフト11には、エンジンのクランクシャフトの回転に応じた回転力(即ち、カム駆動トルク)が加わる。
また、カムローブ12に加わる力を考えると、カムローブ12には、カム6を通じてバルブ2のリフト(開放)に伴ってバルブスプリング3からスプリング反力やバルブ等の往復動による慣性力を受ける。このため、図14に示すように、エンジンのバルブリフトカーブVLに対するカム回転駆動トルクは、低速域では主としてバルブスプリング力に対抗するように働くため曲線TL のような特性となり、高速域では主として弁の慣性荷重に対抗するように働くため曲線TH のような特性となる。
【0093】
なお、図14に示すように、バルブリフトの最大点を境にカムに働くトルクの方向が逆転するため、カム駆動トルクは、バルブリフトの最大点を境に正から負へと逆転する。
そして、係合ディスク16に加わる力を考えると、この係合ディスク16には、カムシャフト11の回転力として加わるカムシャフト側スライダ17からのカム駆動力T1と、カムローブ側スライダ18からのカム駆動力T1に対する反力F1とが加わり、これらのカム駆動力T1と反力F1との合力FFが、係合ディスク16に加わる力となる。
【0094】
ここで、係合ディスク16が反時計回りに回転しているものとすると、バルブが開放方向へ移動している場合には、図15に示すように、カム駆動力T1と反力F1とが互いに逆回転方向に働いて、カム駆動力T1と反力F1との合力FFは、カムシャフト側スライダ17の中心とカムローブ側スライダ18の中心とを結んだ直線に対して垂直な方向で且つカムローブ側スライダ18にとって反回転方向に作用することになる。
【0095】
バルブが閉鎖方向へ移動している場合には、合力FFは、カムシャフト側スライダ17の中心とカムローブ側スライダ18の中心とを結んだ直線に対して垂直な方向ではあるが、図15とは逆に、カムローブ側スライダ18にとって回転方向に作用することになる。また、このような合力FFの方向は、バルブ最大リフト時に反転することになる。
【0096】
係合ディスク16を支える力は、合力FFに反する力となり、合力FFはカム駆動トルクにより生じる。したがって、カム駆動トルクは、バルブ開動時、即ちバルブリフトが上昇している時には、カムローブ側スライダ18にとって反回転方向に又バルブ閉動時にはカムローブ側スライダ18にとって回転方向にそれぞれ作用することになる。
【0097】
そこで、カム6の位相に応じて係合ディスク16に加わる合力FFのベクトルを図示すると、図16に示すようになる。図16は、カムローブ側スライダ18の位置をCを付して示し、カムシャフト側スライダ17をSを付して示しており、係合ディスク16は反時計回りに回転するものとする。
また、図16中の縦軸の上方向がバルブ最大リフト時における回転中心(第1回転中心軸線)O1 に対するカムローブ側スライダ18の位置を示し、この縦軸上方向から右側(時計回り方向は)バルブ最大リフト時前のカムローブ側スライダ18の位置を、縦軸上方向から左側(反時計回り方向は)バルブ最大リフト時後のカムローブ側スライダ18の位置を、それぞれ示している。
【0098】
図16において、FL1はバルブ開動時に係合ディスク16に加わる合力FFの大きさと方向とを、FL2はバルブ閉動時に係合ディスク16に加わる合力FFの大きさと方向とを、それぞれ示している。
図16に示すFL1のように、バルブ開動時には、バルブの開放開始から上りカム駆動トルク最大点に達したところでカム駆動力T1 が最大となり、係合ディスク16に加わる合力FFも最大となる。この時の合力FFは、カムシャフト側スライダ17とカムローブ側スライダ18とを結ぶ線と直交しカムローブ側スライダ18にとって反回転方向に向く。即ち、カムシャフト側スライダ17の位相よりも90°だけ回転方向前方にずれ、カムローブ側スライダ18の位相よりも90°だけ回転方向後方にずれた方向に向く。
【0099】
また、図16に示すFL2のように、バルブ閉動時には、バルブの閉鎖開始の手前の下りカム駆動トルク最大点に達したところでカム駆動力T1 が最大となり、係合ディスク16に加わる合力FFも最大となる。この時の合力FFは、カムシャフト側スライダ17とカムローブ側スライダ18とを結ぶ線と直交しカムローブ側スライダ18にとって回転方向に向く。即ち、カムシャフト側スライダ17の位相よりも90°だけ回転方向後方にずれ、カムローブ側スライダ18の位相よりも90°だけ回転方向前方にずれた方向に向く。このように、係合ディスク16に加わる2つの最大荷重の方向は、バルブ最大リフト時のカムローブ側スライダ18方向とは逆向きのV字状に向かうようになる。
【0100】
可変動弁機構では、バルブリフト期間はエンジンの回転速度等に応じて調整され、低速時にはバルブリフト期間は短く調整され、高速時にはバルブリフト期間は長く調整されるので、図16に示すような係合ディスク16に加わる合力FFの特性図(ベクトル図)を推定し、エンジンの回転速度領域毎に示すと、図17に示すようになる。
【0101】
図17において、(A)はエンジンの低速回転時を示し、(B)はエンジンの高速回転時を示している。
図17(A)に示すように、エンジンの低速回転時には、バルブリフト期間は短く調整され、且つ、カム駆動トルクTL はバルブスプリング力が主体的になるため、上りカム駆動トルク最大点及び下りカム駆動トルク最大点がいずれも、バルブ最大リフト点に近づく。したがって、バルブ開動時の合力FL1の最大荷重方向は、これに応じて、横軸右方向(バルブ最大リフト時のカムローブ側スライダ18の位相角よりも90°だけ時計回りの方向)に接近し、バルブ閉動時の合力FL2の最大荷重方向は、これに応じて、横軸左方向(バルブ最大リフト時のカムローブ側スライダ18位相角よりも90°だけ反時計回りの方向)に接近する。
【0102】
したがって、係合ディスク16に加わる2つの最大荷重の方向は、やはりバルブ最大リフト時のカムローブ側スライダ18方向と逆向きのV字状に向かうようになるが、2つの最大荷重方向のなす角度θL は、バルブリフト期間(開弁期間)の短期化及びエンジン回転数の低回転化に応じて広がる。
また、図17(B)に示すように、エンジンの高速回転時には、バルブリフト期間は長く調整されるうえ、カム駆動トルクTH はバルブの慣性力が主体的なため、上りカム駆動トルク最大点及び下りカム駆動トルク最大点がいずれも、バルブ最大リフト点から遠ざかる。したがって、バルブ開動時の合力FL1の最大荷重方向は、これに応じて、横軸右方向(バルブ最大リフト時のカムローブ側スライダ18位相角よりも90°だけ時計回りの方向)から遠ざかり、バルブ閉動時の合力FL2の最大荷重方向は、これに応じて、横軸左方向(バルブ最大リフト時のカムローブ側スライダ18位相角よりも90°だけ反時計回りの方向)から遠ざかる。
【0103】
したがって、係合ディスク16に加わる2つの最大荷重の方向は、やはりバルブ最大リフト時のカムローブ側スライダ18方向と逆向きのV字状に向かうようになるが、2つの最大荷重方向のなす角度は、バルブリフト期間(開弁期間)の長期化及びエンジン回転数の高回転化に応じて狭まる。
また、図18,図19は、カム駆動に必要なトルク、即ち、カムシャフト11を通じて係合ディスク16に加えるべきカム駆動トルクを、カムシャフトの回転角度に対して示すもので、図18はエンジンの低回転時の場合を示し、図19はエンジンの高回転時の場合を示している。図示するように、エンジンの高回転になるほど、カム駆動に必要なトルクが増大すること、及び、最大トルク点が最大リフトから遠ざかることがわかる。
【0104】
このように、係合ディスク16に加わる力を考えると、図16,図17に示すように、その方向に一定の特性があり、図18,図19に示すように、エンジンの回転速度が高速になるほど、大きな力が加わることがわかる。
そして、このようなカムシャフト11や係合ディスク16に加わる力が、偏心部15の内周,外周の摺接面おける垂直抗力として作用するため、かかる摺接面には、この垂直抗力に応じたフリクショントルクが加わるのである。
【0105】
ところで、図11に示すハウジング53の断面図は、カムシャフト11に対して図7,図8と同方向からみた状態を示し、ベーン55を図11中で時計回り方向に回動させると、偏心部15及び係合ディスク16も図7,図8中で時計回り方向に回動するようになっている。つまり、ベーン55を低速側から高速側へ(即ち、ベーン位相角が増加する方向へ)と時計回りに回動させると、係合ディスク16も低速側から高速側へと時計回りに回動する。この回動方向(時計回り方向)は、カムシャフト11の回転方向と一致し、係合ディスク16の低速側から高速側への回動をより小負荷で速やかに行なうことができるようになっている。
【0106】
すなわち、偏心部15は、図13に示すように、その内周面をカムシャフト11の外周面に滑り軸受け47の油膜を介して摺接し、その外周面を係合ディスク16の内周面にベアリング37を介して摺接している。偏心部15は、アクチュエータ33により位相調整される際に駆動されるが、この偏心部15については機関の回転に対しては回動せず固定状態と見なすことができるのに対し、カムシャフト11及び係合ディスク16は機関の回転に連動して回動するため、偏心部15の内周,外周の摺接面において、カムシャフト11及び係合ディスク16からその回転方向にフリクショントルク(引きずりトルク)を受ける。
【0107】
このため、アクチュエータ33のベーン55を回動させて偏心部15を回転駆動させようとすると、上述したフリクショントルクがベーン55の作動に大きく影響する。
即ち、アクチュエータ33のベーン55を低速側から高速側へ変位させて、偏心部15をカムシャフト11の回転方向に沿った方向へ回転させる場合、偏心部15が引きずりトルクを受けるため、この引きずりトルクがコントロールシャフト32,ドライブギヤ機構,及びベーン55の回転方向に加勢されることとなる。このため、比較的小さな駆動力で、ベーン55を低速側から高速側へ変位させて、偏心部15をカムシャフト11の回転方向に沿った方向へ回転駆動させることができる。
【0108】
一方、アクチュエータ33のベーン55を高速側から低速側へ変位させて、偏心部15をカムシャフト11の回転方向と逆方向(引きずりトルクと逆方向)に回転駆動させる場合、この引きずりトルクに抗して偏心部15を回転駆動させることになるため、コントロールシャフト32,ドライブギヤ機構,及びベーン55は引きずりトルクに抗して回転することとなる。このため、ベーン55を高速側から低速側へ変位させて、偏心部15をカムシャフト11の回転方向と逆方向へ回転駆動させるのに、比較的大きな駆動力が必要になる。
【0109】
したがって、本可変動弁機構では、図13に示すように、吸気弁側〔図13(B)参照〕についても排気弁側〔図13(A)参照〕についても、偏心部15を低速側から高速側へ回動する際には、矢印nfで示すように、偏心部15をフリクショントルクに沿った方向に回転駆動させることにより、フリクショントルクを利用して偏心部15の低速側から高速側への回動を短時間で行なえるようになる。
【0110】
一方、偏心部15を高速側から低速側へ回動する際には、矢印nsで示すように、偏心部15をフリクショントルクと逆方向に回転駆動させることになるため、フリクショントルクが抵抗となって、偏心部15の高速側から低速側への回動は逆に時間が掛かることになる。
(スプール弁57のストローク調整の説明)
本実施形態の応答速度調整手段としてのオイルコントロールバルブ50のスプール弁57のストローク調整は、上述したようなフリクショントルクを考慮して、以下のように行なわれる。
【0111】
つまり、フリクショントルクが抵抗となる偏心部15の高速側から低速側への回動は時間がかかるため、図1 (c)に示すように、偏心部15の偏心位置を調整する偏心位置調整機構30におけるアクチュエータ33のベーン55を高速側(これを第2位置とする)から低速側(これを第1位置とする)へ回動させる場合は、ベーン55を低速側から高速側へ回動させる場合よりも、スプール弁57の中立位置〔図1(a)に示す位置〕からのストロークを大きくすることにより、オイル入口62から第1油路60Aへと通じる通路面積を大きくして、第1油室56A内に多くの作動油が供給されるようにし、これにより、アクチュエータ33の応答速度を速めるように調整している。
【0112】
なお、図1では、説明を分かり易くするため、アクチュエータ33の一部分、即ち、応答速度調整手段としてのスプール弁57の近傍のみ示している。
ここでは、図1 (a)に示すように、オイル入口62を第1油路60A側へ偏位した位置に形成することにより、より多くの作動油が第1油室56A内に供給されるようにしている。なお、スプール弁57の中立位置とは、図1(a)に示すように、オイル入口62と第1油路60A及び第2油路60Bのいずれとも連通しない位置をいう。
【0113】
一方、アクチュエータ33のベーン55を低速側(第1位置)から高速側(第2位置)へ時計回り方向に回動させる場合には、図1 (b)に示すように、スプール弁57のストローク(変位量)が小さく、オイル入口62から第2油路60Bへと通じる通路面積は小さくなるため、第2油室56B内に供給される作動油は少なくなるが、この場合には、偏心部15の低速側から高速側への回動はフリクショントルクにより加勢されるため、応答速度の遅れは生じない。
【0114】
このように、偏心部15を回動させる際にフリクショントルクが作用する場合であっても、偏心部15の高速側から低速側へ回動させる場合の応答速度と低速側から高速側へ回動させる場合の応答速度とをバランスさせることができることになる。
なお、本実施形態では、オイル入口62を第1油路60A側へ偏位した位置に形成しているが、これに限られるものではなく、例えばオイル入口62は第1油路60Aからの距離と第2油路60Bからの距離とが略同等になるような位置に形成してもよい。
【0115】
本発明の第1実施形態にかかる可変動弁機構は、上述のように構成されているので、このような可変動弁機構をそなえた内燃機関では、偏心位置調整機構30を通じて、コントロールディスク14の回転位相を調整しながら、バルブの開度特性が制御される。
つまり、ECU34において、エンジン回転数情報,吸気量情報(AFS情報)等に基づき、エンジンの回転速度や負荷状態に応じたコントロールディスク14の回転位相を設定して、ポジションセンサの検出信号に基づいて、コントロールディスク14の実際の回転位相が設定された状態になるように、アクチュエータ33の作動制御を通じてコントロールディスク14を駆動する。
【0116】
そして、このECU34によるアクチュエータ33の作動制御を通じて、偏心部15を回動させて位相角度を調整し、係合ディスク16の回転中心(第2回転中心軸線)O2 を変位させながら、例えばエンジンの回転速度やエンジンの負荷が高くなるほど、図8の曲線VL1に近づけるようにしてバルブ開放期間を長くしていき、逆に、エンジンの回転速度やエンジンの負荷が低くなるほど、図8の曲線VL2に近づけるようにしてバルブ開放期間を短くしていく。
【0117】
このようにして、エンジンの運転状態に応じてコントロールディスク14の回転位相(位置)を制御しながら、エンジンの運転状態に適したバルブ駆動を行なえるようになる。特に、バルブの開弁角特性は、連続的に調整することができるので、常にエンジンの運転状態に最適の特性でバルブ駆動を行なえるようになるのである。
【0118】
そして、本可変動弁機構では、偏心部15を高速側から低速側へ回動する場合(即ち、アクチュエータ33のベーン55を高速側から低速側へ回動する場合)、フリクショントルクが抵抗となる方向に作用することになるが、図1(c)に示すように、オイル入口62から第1油路60Aへの通路面積が大きくなり、第1油室56A内により多くの作動油が供給されるため、アクチュエータ33の応答速度が速められ、偏心部15の高速側から低速側への回動を速やかに行なえるようになる。
【0119】
一方、偏心部15を低速側から高速側へ回動する場合(即ち、アクチュエータ33のベーン55を低速側から高速側へ回動する場合)、図1(b)に示すように、オイル入口62から第2油路60Bへの通路面積が小さくなり、第1油室56A内に供給される作動油が少なくなるため、アクチュエータ33の応答速度が遅くなるが、この場合には、フリクショントルクにより加勢されるため、アクチュエータ33の応答速度が遅れることなく、所定の応答速度が確保されることになる。
【0120】
したがって、バルブタイミングを低速側から高速側へ変更する場合と高速側から低速側へ変更する場合とで、アクチュエータ33の応答速度をバランスさせることができ、応答速度の違いによるレスポンスの悪化を招くことがなく、アクチュエータ33の応答性能の向上を図ることができるという利点がある。また、アクチュエータ33の応答速度の差を考慮してエンジン制御を行なう必要がないため、エンジン制御の簡素化を図ることができるという利点もある。
【0121】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態は、上述の第1実施形態ものと、アクチュエータの応答速度を調整する応答速度調整手段が異なる。つまり、本実施形態の応答速度調整手段は、図20(a)に示すように、第2油路60Bの開口面積(通路開口面積)よりも第1油路60AAの開口面積(通路開口面積)の方を大きく形成することにより構成される。
【0122】
これにより、偏心部15の偏心位置を調整する偏心位置調整機構30におけるアクチュエータ33AAのベーン55を高速側(これを第2位置とする)から低速側(これを第1位置とする)へ回動させる場合、フリクショントルクが抵抗となる方向に作用することになるが、図20(c)に示すように、第2油路60Bの開口面積よりも大きく形成された第1油路60AAから第1油室56A内に多くの作動油が供給され、アクチュエータ33AAの応答速度が速められる。
【0123】
ここでは、図20 (a)に示すように、オイル入口62を第1油路60AA側の位置に形成することにより、より多くの作動油が第1油室56A内に供給されるようにしている。
一方、アクチュエータ33AAのベーン55を低速側(第1位置)から高速側(第2位置)へ時計回り方向に回動させる場合には、図20 (b)に示すように、第2油路60Bは第1油路60AAの開口面積よりも小さく形成されているため、第2油室56B内に供給される作動油は少なくなるが、この場合には、偏心部15の低速側から高速側への回動はフリクショントルクにより加勢されるため、応答速度の遅れは生じない。
【0124】
このように、偏心部15を回動させる際にフリクショントルクが作用する場合であっても、偏心部15の高速側から低速側へ回動させる場合の応答速度と低速側から高速側へ回動させる場合の応答速度とをバランスさせることができることになる。
その他の構成については、上述の第1実施形態と同様であるため、ここでは、その説明を省略する。
【0125】
なお、本実施形態では、オイル入口62を第1油路60AA側へ偏位した位置に形成しているが、これに限られるものではなく、例えばオイル入口62は第1油路60AAからの距離と第2油路60Bからの距離とが略同等になるような位置に形成してもよい。
本発明の第2実施形態にかかる可変動弁機構は、上述のように構成されるので、上述の第1実施形態と同様に制御され、同様の効果が得られる。
【0126】
つまり、バルブタイミングを低速側から高速側へ変更する場合と高速側から低速側へ変更する場合とで、アクチュエータ33AAの応答速度をバランスさせることができ、応答速度の違いによるレスポンスの悪化を招くことがなく、アクチュエータ33AAの応答性能の向上を図ることができるという利点がある。
また、アクチュエータ33AAの応答速度の差を考慮してエンジン制御を行なう必要がないため、エンジン制御の簡素化が図れるという利点もある。
【0127】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態は、上述の第1実施形態のものと、アクチュエータの応答速度を調整する応答速度調整手段が異なる。つまり、本実施形態の応答速度調整手段はオイルコントロールバルブ50により構成されるが、本応答速度調整手段としてのオイルコントロールバルブ50では、スプール弁57のストローク(変位量)は変えずに、オイルコントロールバルブ50におけるスプール弁57の中立位置の設定を調整することにより、アクチュエータ33の応答速度を調整するようにしている。
【0128】
このオイルコントロールバルブ50のスプール弁57の中立位置は、図21(a)に示すように、第1油路60ABに近い位置に設定されている。なお、スプール弁57の中立位置では、図21(a)に示すように、オイル入口62と第1油路60AB及び第2油路60BBのいずれとも連通しないようになっている。この場合、オイル入口62から第1油路60AB又は第2油路60BBへと通じる通路は、図22中、(a)で示すように(ストロークL4とL5との間)、閉鎖されている。なお、従来の中立位置は、ストロークL1とL2との間であり、本スプール弁の中立位置は、これよりも、最大ストロークL3側へずれている。
【0129】
なお、図22では、スプール弁57の中立位置を第1油路60ABからの距離と第2油路60BBからの距離とが略同等になるように設定した場合のスプール弁57のストロークと通路面積との関係を二点鎖線で示している。これは、図12に対応するものである。
これにより、偏心部15の偏心位置を調整する偏心位置調整機構30におけるアクチュエータ33ABのベーン55を高速側(これを第2位置とする)から低速側(これを第1位置とする)へ回動させる場合、フリクショントルクが抵抗となる方向に作用することになるが、ベーン55を低速側から高速側へ回動させる場合とスプール弁57のストロークが同じでも、オイル入口62と第1油路60ABとがより早く連通され、かつ、オイル入口62から第1油路60ABへと通じる通路面積がより大きくなり、これにより、第1油室56A内に多くの作動油が供給され、アクチュエータ33ABの応答速度が速められる。
【0130】
この場合、スプール弁57の中立位置が第1油路60ABに近い位置に設定されているため、オイル入口62から第1油路60ABへと通じる通路は、図22中、(c)で示すように、早く開口し始め、通路面積も大きくなる。
一方、アクチュエータ33ABのベーン55を低速側(第1位置)から高速側(第2位置)へ時計回り方向に回動させる場合には、スプール弁57の中立位置が第1油路60ABに近い位置に設定されているため、図21 (b)に示すように、オイル入口62から第2油路60BBへと通じる通路面積は小さくなり、第2油室56B内に供給される作動油は少なくなるが、この場合には、偏心部15の低速側から高速側への回動はフリクショントルクにより加勢されるため、応答速度の遅れは生じない。
【0131】
この場合、スプール弁57の中立位置が第2油路60BBから遠い位置に設定されているため、オイル入口62から第2油路60BBへと通じる通路は、図22中、(b)で示すように、開口し始めるのが遅く、通路面積も大きくならない。
このように、偏心部15を回動させる際にフリクショントルクが作用する場合であっても、偏心部15の高速側から低速側へ回動させる場合の応答速度と低速側から高速側へ回動させる場合の応答速度とをバランスさせることができることになる。
【0132】
その他の構成については、上述の第1実施形態と同様であるため、ここでは、その説明を省略する。
なお、本実施形態では、オイル入口62を第1油路60AB側へ偏位した位置に形成しているが、これに限られるものではなく、例えばオイル入口62は第1油路60ABからの距離と第2油路60BBからの距離とが略同等になるような位置に形成してもよい。
【0133】
本発明の第3実施形態にかかる可変動弁機構は、上述のように構成されるので、上述の第1実施形態と同様に制御され、同様の効果が得られる。
つまり、バルブタイミングを低速側から高速側へ変更する場合と高速側から低速側へ変更する場合とで、アクチュエータ33ABの応答速度をバランスさせることができ、応答速度の違いによるレスポンスの悪化を招くことがなく、アクチュエータ33ABの応答性能の向上を図ることができるという利点がある。
【0134】
また、アクチュエータ33ABの応答速度の差を考慮してエンジン制御を行なう必要がないため、エンジン制御の簡素化を図ることができるという利点もある。
なお、本発明は、各実施形態の可変動弁機構に有効ではあるが、各実施形態の可変動弁機構に限定されるものではなく、従来技術の公報番号で示した可変動弁機構にも適用できることは言うまでもない。
【0135】
また、本実施形態では、アクチュエータ内の通路面積を変更することにより、応答速度を調整するようにしているが、例えば、ドライブギヤ機構39A,39Bとギヤ39fとを互いに非円形歯車(例えば、楕円形歯車)として噛み合わせ、回転角速度を変化させて不等速にし、アクチュエータによる応答速度を調整するようにしてもよい。この場合、ドライブギヤ機構39A,39Bとギヤ39fとにより、応答速度調整手段が構成される。
【0136】
また、本実施形態のアクチュエータは、油圧式のものとしているが、何ら油圧式に限定されるものではなく、例えば、電気式のようにモータ等を用いたものであれば、カムとカムシャフトとの回転位相を変化させる回転部材の回転速度をモータからの回転力により電気的に変更するようにしても良い。
【0137】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜5記載の本発明の可変動弁機構によれば、軸支部材にフリクショントルクが作用する場合であっても、或いは駆動トルクによるフリクションが作用する場合であっても、アクチュエータの応答速度を均一化することができ、これにより、アクチュエータの応答性能の向上を図ることができるという利点がある。また、アクチュエータの応答速度の差を考慮したエンジン制御を行なう必要がないため、エンジン制御の簡素化を図ることができるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる可変動弁機構における応答速度調整手段を示す模式的な断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる可変動弁機構の斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる可変動弁機構の要部縦断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態にかかる可変動弁機構における不等速継手の要部配置を す模式的な断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態にかかる可変動弁機構における不等速継手を示す断面図 あり、図3のB−B矢視断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態にかかる可変動弁機構における不等速継手を示す断面図 あり、図3のA−A矢視断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態の可変動弁機構における不等速機構の作動原理について示す図であり、(A1)〜(A3)は第1回転軸部材(カムシャフト)と中間回転部材(係合ディスク)との間の回転位相の関係を示し、(B1)〜(B3)は中間回転部材(係合ディスク)と第2回転軸部材(カムローブ)との間の回転位相の関係を示す。
【図8】本発明の第1実施形態にかかる可変動弁機構の不等速機構についての作動特性を説明する特性図であり、(a1)〜(a5)は高速時の作動状態を示し、(b1)〜(b5)は低速時の作動状態を示す。
【図9】本発明の第1実施形態にかかる可変動弁機構の分解斜視図である。
【図10】本発明の第1実施形態にかかる可変動弁機構の偏心位置調整の動力伝達経路を示す図である。
【図11】本発明の第1実施形態にかかる可変動弁機構の偏心位置調整機構のアクチュエータを示す図である。
【図12】本発明の第1実施形態にかかる可変動弁機構の偏心位置調整機構のアクチュエータの制御を説明するための図である。
【図13】本発明の第1実施形態にかかる可変動弁機構における不等速継手の要部の作動設定を示す模式的な断面図である。
【図14】本発明の第1実施形態の可変動弁機構の不等速機構の設定を説明する図であり、機関のバルブリフト量,バルブ移動速度,バルブ移動加速度の変化例を示す図である。
【図15】本発明の第1実施形態の可変動弁機構の不等速機構の設定を説明する図であり、中間回転部材(係合ディスク)へ加わる力を説明する図である。
【図16】本発明の第1実施形態の可変動弁機構の不等速機構の設定を説明する図であり、カムの位相に応じて中間回転部材(係合ディスク)に加わる力のベクトルを示す図である。
【図17】本発明の第1実施形態の可変動弁機構の不等速機構の設定を説明する図であり、カムの位相に応じて中間回転部材(係合ディスク)に加わる力のベクトルを示す図であり、(A)は低速回転領域について、(B)は高速回転領域について、それぞれ示している。
【図18】本発明の第1実施形態の可変動弁機構の不等速機構の設定を説明する図であり、カム駆動に必要なトルクをカムシャフトの角度に対して示す図であり、機関の低速領域における場合を示している。
【図19】本発明の第1実施形態の可変動弁機構の不等速機構の設定を説明する図であり、カム駆動に必要なトルクをカムシャフトの角度に対して示す図であり、機関の高速領域における場合を示している。
【図20】本発明の第2実施形態にかかる可変動弁機構における応答速度調整手段を示す模式的な断面図である。
【図21】本発明の第3実施形態にかかる可変動弁機構における応答速度調整手段を示す模式的な断面図である。
【図22】本発明の第3実施形態にかかる可変動弁機構における応答速度調整手段の制御を説明するための図である。
【符号の説明】
50 オイルコントロールバルブ(応答速度調整手段)
51 油圧供給手段
52 アクチュエータ本体
55 ベーン
53 ハウジング
54 軸部(出力軸部)
56A 第1油室
56B 第2油室
57 スプール弁
58 スプリング(応答速度調整手段)
59 コイル部分
60A 第1油路
60B 第2油路
61 エンジンオイル供給系
62 作動油入口(作動油供給口,オイル入口)
63A,63B ドレン

Claims (5)

  1. 内燃機関のクランク軸から回転力を伝達されて第1回転軸心回りに回転駆動される第1回転軸部材と、
    該第1回転軸心とは異なり且つ該第1回転軸心と平行な第2回転軸心を有する軸支部を備えると共に該第1回転軸部材の外周に相対回転又は揺動しうるように設けられて該第2回転軸心を変位させうる軸支部材と、
    該軸支部材に軸支された中間回転部材と、
    該第1回転軸部材に該中間回転部材を連結して該中間回転部材を該第1回転軸部材と連動して回転可能とする第1接続部材と、
    該第1回転軸心回りに回転しカム部を有する第2回転軸部材と、
    該中間回転部材に該第2回転軸部材を連結して該第2回転部材を該中間回転部材と連動して回転可能とする第2接続部材と、
    該第2接続部材と一体又は別体に設けられて、該カム部を通じて該第2回転軸部材の回転位相に対応して該内燃機関の燃焼室への吸気流入期間又は排気放出期間を設定する弁部材と、
    該軸支部材と係合する制御用部材と、
    該内燃機関の運転状態に応じて該制御用部材を駆動して該軸支部材の該軸支部の回転中心である該第2回転軸心を第1位置と第2位置との間で変位させるアクチュエータと、
    該軸支部材に作用するフリクショントルクを考慮して該アクチュエータによる該第1位置から該第2位置までの応答速度と該第2位置から該第1位置までの応答速度とを異なるように調整する応答速度調整手段と
    をそなえることを特徴とする、可変動弁機構。
  2. 該アクチュエータは、
    該制御用部材に連結された出力軸部と、
    該出力軸部を収容するハウジングと、
    該出力軸部の軸線から半径方向に延びるベーンと、
    該ハウジングの内部に形成されて該ベーンにより区画された第1及び第2油室と、
    作動油を供給される作動油供給口と、
    該第1及び第2油室に連通する第1及び第2油路と、
    該ハウジング内部の該作動油供給口と第1及び第2油路との間に進退可能に設けられ該作動油供給口を該第1及び第2油路のいずれとも連通させない中立位置から該作動油供給口を該第1油路と連通させる第1供給位置及び第2油路と連通させる第2供給位置に移動しうるスプール弁と、
    該内燃機関の運転状態に応じて該スプール弁を駆動する駆動部と
    を備える油圧アクチュエータであることを特徴とする、請求項1記載の可変動弁機構。
  3. 該応答速度調整手段は、該スプール弁の該中立位置から該第1供給位置までの変位量と該スプール弁の該中立位置から該第2供給位置までの変位量とを異ならせることで該応答速度を調整することを特徴とする、請求項2記載の可変動弁機構。
  4. 該応答速度調整手段は、該第1油路を通じた通路開口面積と該第2油路を通じた通路開口面積とを異ならせることで該応答速度を調整することを特徴とする、請求項2記載の可変動弁機構。
  5. 内燃機関のクランク軸からの回転力により回転駆動される第1回転軸部材と、
    カム部を有し該カムシャフトの外周に相対回転可能に設けられた第2回転軸部材と、
    該第1回転軸部材と該第2回転軸部材との回転位相差を調整する位相差調整手段と、
    該位相差調整手段を第1位置と第2位置との間で駆動するアクチュエータと、
    該カム部を通じて上記第2回転軸部材の回転位相に対応して該内燃機関の燃焼室への吸気流入期間又は排気放出期間を設定する弁部材とを備え、
    該軸支部材に作用するフリクショントルクを考慮して該アクチュエータによる該第1位置から該第2位置までの応答速度と該第2位置から該第1位置までの応答速度とが異なるように設定されていることを特徴とする、可変動弁機構。
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