JP3829627B2 - 車輌用外界認識装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自車輌に対して障害物となる可能性のある物体を認識するための車輌用外界認識装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
かかる装置として、例えば特開平5-181529号および特開2000-62555号にそれぞれ開示されているものがある。
【0003】
前者は自車輌に対する検知物体の相対速度ベクトルを求め、このベクトルの延長線が自車輌付近を通過する割合に応じて障害物認識を行うものであり、また後者は自車輌の将来の移動軌跡を予測し、この移動軌跡に対する検知物体の位置からの距離に応じて障害物認識を行うものである。
【0004】
図14および図15は、障害物認識の状況を概略示すものである。ここで図14は、例えば二車線以上の車線を有する道路において、自車輌の走行車線に隣接する車線を走行していた低速車輌が自車輌の走行車線に割り込んできた場合のように、始めは障害物となる可能性のある検知物体が自車輌の進行方向から離れていて、時間経過と共に自車輌に接近してくるような状況を示している。一方図15は、例えば自車輌の走行車線から離脱する先行車輌の先に停止車輌が存在する場合のように、自車輌との相対速度が大きい物体(検知物体)が急に出現したような状況を示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前者の装置の場合、相対速度ベクトルの方向によって将来の障害物となる可能性を予測するため、図14に示す状況においては、検知物体との相対速度ベクトルが自車輌に向いていることにより、検知物体が予測した自車輌の軌跡から離れた位置に存在しているとしても、この検知物体を、障害物となる可能性が高いものとして認識することができる。一方、図15に示す状況、すなわち、例えば自車輌が走行している車線において、当該車線から離脱する先行車輌の先に停止車輌が存在する場合のように、自車輌前方に相対速度の大きな物体が急に出現するような状況では、相対速度を安定して算出するまでの時間分障害物認識に時間を要する。
【0006】
また後者の装置の場合、検知物体が自車輌の移動軌跡から離れている距離に応じて障害物と認識するため、図15に示す状況においては、自車輌の将来の移動軌跡上に検知物体が存在しているため、この検知物体を、障害物となる可能性が高いものとして認識することができる。一方、図14に示す状況、すなわち、例えば自車輌が走行している車線に、隣の車線を走行していた車輌が割り込んできた場合のように、予測した自車輌の軌跡から物体が始めは離れており、時間経過と共に自車輌に接近してくるような状況においては、検知物体を検知した当初は障害物となる可能性が低いものと認識してしまう可能性がある。そのため障害物を認識するまでに時間を要する。
【0007】
本発明は上記課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、自車輌に対して障害物となる可能性のある物体を認識する際、障害物認識状況によらず、高速で確実な障害物認識を可能とする車輌用外界認識装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的のため、請求項1記載の第1発明は、
自車輌に対して障害物となる可能性のある障害候補物体の、自車輌に対する相対速度ベクトルの方向に基づき、前記障害候補物体を自車輌に向かう障害物として認識する割合を算出する第一の障害物認識度算出手段と、
自車輌の予定移動軌跡に対する前記障害物候補物体の位置に基づき、前記障害候補物体を障害物として認識する割合を算出する第二の障害物認識度算出手段と、
自車輌および前記障害物候補物体の状態に応じた、前記第一の障害物認識度算出手段で算出した前記認識する割合に対する重み関数を算出する第一の重み関数算出手段と、
自車輌および前記障害物候補物体の状態に応じた、前記第二の障害物認識度算出手段で算出した前記認識する割合に対する重み関数を算出する第二の重み関数算出手段と、
前記第一の障害物認識度算出手段で算出した前記認識する割合と、前記第二の障害物認識度算出手段で算出した前記認識する割合と、前記第一の重み関数算出手段で算出した前記重み関数と、前記第二の重み関数算出手段で算出した前記重み関数とにより、前記障害候補物体を障害物として認識する割合の加重平均を算出する最終障害物認識度算出手段とを具え、
前記最終障害物認識度算出手段の算出結果に基づいて、自車輌に対して障害物となる物体を認識することを特徴とするものである。
【0009】
請求項2記載の第2発明は、第1発明において、
前記第一の重み関数算出手段が、前記障害物候補物体の自車輌に対する相対速度ベクトルの大きさが小さい程、小さい重み関数値を出力することを特徴とするものである。
【0010】
請求項3記載の第3発明は、第1または第2発明において、
前記第一の重み関数算出手段が、前記障害物候補物体の自車輌に対する相対速度ベクトルの自車輌進行方向成分の大きさが小さい程、小さい重み関数値を出力し、
かつ、前記相対速度ベクトルの自車輌進行方向に直角な成分の大きさが小さい程、障害物候補物体が出現してからの時間経過に応じて重み関数値が変化する割合を小さくすることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4記載の第4発明は、第1〜第3発明のいずれかにおいて、
前記第一の重み関数算出手段が、前記障害物候補物体を検知してからの経過時間が前記障害物候補物体の自車輌に対する相対速度ベクトルの算出に要する時間よりも短い程、小さい重み関数値を出力することを特徴とするものである。
【0012】
請求項5記載の第5発明は、第1〜第4発明のいずれかにおいて、
前記第二の重み関数算出手段が、自車輌の予定移動軌跡に対する前記障害物候補物体の位置が遠い程、小さい重み関数値を出力することを特徴とするものである。
【0013】
請求項6記載の第6発明は、第1〜第5発明のいずれかにおいて、
前記第二の重み関数算出手段が、前記障害物候補物体の位置が自車輌の走行している車線から遠い程、小さい重み関数値を出力することを特徴とするものである。
【0014】
請求項7記載の第7発明は、第1〜第6発明のいずれかにおいて、
前記第一の重み関数算出手段および前記第二の重み関数算出手段が、前記障害物候補物体が自車輌の走行車線外にあり、また前記障害物候補物体の自車輌に対する相対速度ベクトルの大きさが自車輌の速度ベクトルの大きさに近い程、かつ、前記障害物候補物体の自車輌に対する位置が遠い程、小さい重み関数値を出力することを特徴とするものである。
【0015】
請求項8記載の第8発明は、第1〜第7発明のいずれかにおいて、
運転者により自車輌の自動制動開始時点を選択する自動制動開始時点選択手段をさらに具え、
前記第一の重み関数算出手段および前記第二の重み関数算出手段が、自車輌が前記障害物候補物体の位置まで到達する時間が、前記自動制動開始時点選択手段で選択された自動制動開始時点よりも長い程、小さい重み関数値を出力することを特徴とするものである。
【0016】
請求項9記載の第9発明は、第1〜第8発明のいずれかにおいて、
前記最終障害物認識度算出手段の算出結果に基づいて自車輌の制動を行う自動制動手段をさらに具え、
前記自動制動手段が、前記最終障害物認識度算出手段の算出結果に基づき、自動制動時の目標減速度を設定することを特徴とするものである。
【0017】
請求項10記載の第10発明は、第9発明において、
前記自動制動手段が、前記最終障害物認識度算出手段の算出結果に基づき、自動制動開始時点を設定することを特徴とするものである。
【0018】
請求項11記載の第11発明は、第1〜第10発明のいずれかにおいて、
前記第一の障害物認識度算出手段が、自車輌から近距離に存在する障害物候補物体を検知する第一の障害物候補物体検知手段と、検知した障害物候補物体の位置が自車輌から遠い程、小さい重み関数値を出力する第三の重み関数算出手段とを具え、
前記第一の重み関数算出手段の算出結果を、前記第三の重み関数算出手段の算出結果を用いて補正することを特徴とするものである。
【0019】
請求項12記載の第12発明は、第1〜第11発明のいずれかにおいて、
前記第一の障害物認識度算出手段が、自車輌から遠距離に存在する障害物候補物体を検知する第二の障害物候補物体検知手段と、検知した障害物候補物体の位置が自車輌に近い程、小さい重み関数値を出力する第四の重み関数算出手段とを具え、
前記第一の重み関数算出手段の算出結果を、前記第四の重み関数算出手段の算出結果を用いて補正することを特徴とするものである。
【0020】
【発明の効果】
第1発明によれば、検知した障害物となる可能性のある物体(障害候補物体)に対する、障害物として認識する割合である障害物認識度を、当該障害候補物体の相対速度ベクトルの方向に基づく方法、自車輌の将来の移動軌跡に対する障害候補物体の位置に基づく方法、の異なる複数の方法によりそれぞれ算出する。そして、算出した各障害物認識度それぞれに対し、その妥当性を表すべく走行状況に応じて変化する関数値を重み関数の値として定義する。さらにこれら障害物認識度に前記重み関数値を乗じ、得られた値を加重平均することにより、検知した障害候補物体との最終的な障害物認識度を求め、障害物となるか否かの認識を行う。そのため、走行状況や障害物の相対速度や位置等に応じた、正確で高速な障害物認識を行うことができる。
【0021】
第2発明によれば、障害物候補物体と自車輌との相対速度ベクトルの方向に基づいて算出する重み関数の値を、前記相対速度ベクトルの大きさが小さいほど小さくなるように設定することとしているため、S/N比の低い状況において算出される障害物認識度は重視されることがなくなり、その結果障害物認識度の精度を向上させることが可能となる。
【0022】
第3発明によれば、障害物候補物体と自車輌との相対速度ベクトルの方向に基づいて算出する重み関数の値を、前記相対速度ベクトルの車間距離方向の成分よりも車幅方向の成分に関して感度が低くなるように設定することとしているため、比較的精度が低い車幅方向の相対速度成分にノイズが加わるような場合、算出される障害物認識度が重視されにくくなり、その結果障害物認識度の精度を向上させることが可能となる。
【0023】
第4発明によれば、算出する第1および第2の重み関数の値について、障害物候補物体と自車輌との相対速度ベクトルが安定して求められるまでの時間に対して障害物候補物体が新たに出現してからの時間が短い場合に、第1の重み関数の値を小さく、一方第2の重み関数の値を大きくすることとしているため、障害物候補物体が出現した直後の状況において、障害物認識度の精度を向上させることが可能となる。
【0024】
第5発明によれば、第2の重み関数が、予測する自車輌の移動軌跡に対して障害物候補物体の位置が遠方に存在する程小さい値となるため、最初障害物候補物体との間の距離が離れていて、時間と共に障害物候補物体が接近するような状況において、障害物認識度の精度を向上させることが可能となる。
【0025】
第6発明によれば、第2の重み関数は、障害物候補物体の位置が自車輌の走行車線から遠い程小さい値を取ることとしているため、障害物認識度の精度を向上させることが可能となる。
【0026】
第7発明によれば、検知した障害物候補物体が停止している可能性が高く、かつ、自車輌の走行車線外に位置している可能性が高く、さらに自車輌との間の相対距離が大きい場合には、第1および第2の重み関数の値を共に小さくすることとしている。そのため、検知した障害物候補物体が、交通標識のように車線の縁部に近い位置で、かつ遠方に存在する場合、障害物認識度の精度を向上させることが可能となる。
【0027】
第8発明によれば、自車輌が障害物候補物体の位置まで到達すると予測される時間が、運転者により設定された自動制動開始時点(ブレーキ操作のタイミング)と比較して長い程、第1および第2の重み関数値を低くこととしている。そのため、時間的に遠方にある物体に対する検知範囲が制限されることとなり、こうした物体に対する障害物認識度の精度を向上させることが可能となると共に、運転者により、運転者の好みに合った自動制動特性を設定することが可能となる。
【0028】
第9発明によれば、最終障害物認識度算出手段により算出された結果を、自動制動手段において目標減速度を算出するための要素の一つとすることから、障害物となる可能性の低い物体に対しては強いブレーキがかからないこととなり、障害物認識度に応じた適切な自動制動が可能となる。
【0029】
第10発明によれば、最終障害物認識度算出手段により算出された結果を、自動ブレーキ制御系において制御開始タイミングを決定するための要素の一つとすることから、障害物となる可能性の低い物体に対しては直ちに強いブレーキ動作を行わない、あるいは早めに弱めのブレーキ動作を行うといった対応をブレーキ制御系側で行うことが可能となる。
【0030】
第11および第12発明によれば、自車輌の周辺、または自車輌から遠方に存在する物体をそれぞれ検知し、当該物体の位置に応じて第1または第2の重み関数値を補正することとしている。それによって、物体を検知する機器の取付箇所や天候状況等にも対応して、物体の障害物認識度を、より正しく求めることが可能となる。
【0031】
本発明による車輌用外界認識装置においては、特性の異なる障害物認識度算出手段を設け、それぞれの障害物認識度算出手段において算出した障害物認識度に対する重み関数が設定されている。これら各障害物認識度と、対応する重み関数とにより、最終的な障害物認識度を求めることとしている。
【0032】
障害物認識度算出手段として、自車輌に対する相対速度ベクトルの方向に基づき、前記障害候補物体を障害物として認識する割合を算出する方法および、自車輌の予定移動軌跡に対する前記障害物候補物体の位置に基づき、前記障害候補物体を障害物として認識する割合を算出する方法の二つを用いた場合、例えば図14に示すような、自車輌の走行車線に隣接する車線を走行していた低速車輌が、自車輌の走行車線に割り込んできた場合のように、始めは障害物となる可能性のある検知物体が自車輌の進行方向から離れていて、時間経過と共に自車輌に接近してくるような状況においては、前者の方法を重視した障害物認識度の算出を行うことにより、検知物体が障害物となる可能性をより速い段階で知ることが可能となる。
【0033】
また図15に示すような、自車輌が走行している車線において、当該車線から離脱する先行車輌の先に停止車輌が存在する場合のように、自車輌前方に相対速度の大きな物体が急に出現するような状況においては、後者の方法を重視した障害物認識度の算出を行うことにより、検知物体が障害物となる可能性をより速い段階で知ることが可能となる。
【0034】
かかる障害物認識度の算出において、状況に応じて、特性の異なる障害物認識度算出手段の算出結果に対して、いずれの算出方法を重視して認識すべきかを、それぞれの算出結果に対応する重み関数の値を変化させ、各算出結果および重み関数値の加重平均を取ることにより判断する。それによってより広範囲な状況に対して正確かつ迅速に障害物の認識を行うことができるようになる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
【0036】
図1は、本発明による車輌用外界認識装置の基本構成を概略示すブロック図である。図示の装置は、自車輌周辺に存在する障害物候補の位置を検知して出力する障害物候補位置出力部101、自車輌の速度等の状態量を検知して出力する自車状態量出力部102、それぞれ異なる方法により、検知した障害物候補が障害物となる可能性を示す障害物認識度を求める第一の障害物認識度算出部103および第二の障害物認識度算出部104、これら障害物認識度算出部で算出した値に重み付けを行うための重み関数値を算出する第一の重み関数算出部105および第二の重み関数算出部106、これら障害物認識度算出部および重み関数算出部よりそれぞれ出力された値に基づき、最終的な障害物認識度を求める最終障害物認識度算出部107を具える。
【0037】
図2は、本発明による車輌用外界認識装置を用いたシステム全体の構成を概略示すブロック図である。図示のシステムは、走行制御装置201、レーザレーダ202、レーダ処理装置203、CCDカメラ204、画像処理装置205、車速検出装置206、操舵角検出装置207、自動ブレーキ制御装置208および負圧ブレーキブースタ209を具える。
【0038】
レーザレーダ202は、レーザ光を車輌の進行方向に走査しつつ照射し、その結果に基づいてレーダ処理装置203が障害物となる可能性のある物体(障害物候補物体)を抽出する。なお、レーダ処理装置203では、一つまたは複数の障害物候補物体に対し、自車輌を原点とする2次元座標値の算出も行う。
【0039】
一方CCDカメラ204もまた車輌前方の状況を撮像し、その結果は画像処理装置205に転送される。この画像処理装置205は、自車輌の走行車線と、隣接する車線とを区切る白線を検知することができ、またレーダ処理装置203で算出した障害物候補物体の2次元座標値、すなわち障害物候補物体の位置が、検知した白線に対して内側、外側のいずれにあるか、換言すれば障害物候補物体が自車輌の走行車線上に存在するか否かを認識することもできる。
【0040】
レーダ処理装置203および画像処理装置205から出力されるデータは走行制御装置201に転送される。また車速検出装置206、操舵角検出装置207のそれぞれから出力されるデータも走行制御装置201に転送される。走行制御装置201は図1に示す構成を取り、これら各装置から転送されたデータに基づいて障害物との衝突可能性を求め、その結果に応じた処理のための信号(自動ブレーキ信号)を出力する。
【0041】
走行制御装置201からの出力信号は自動ブレーキ制御装置208に送られる。自動ブレーキ制御装置208は車輌の前後輪に設けた負圧ブレーキブースタ209と接続し、車輌のブレーキ制御は自動ブレーキ制御装置208からの制動力指令電圧が各負圧ブレーキブースタ209の図示しないソレノイドバルブに印加されることにより行われる。
【0042】
図3は、走行制御装置201での障害物認識度の算出手順を概略示す図である。第一の障害物認識度算出部103では第一の障害物認識度R1、第二の障害物認識度算出部104では第二の障害物認識度R2、第一の重み関数算出部105では第一の重み関数W1、第二の重み関数算出部106では第二の重み関数W2をそれぞれ求める。次いで第一の障害物認識度R1と第一の重み関数W1との積R1×W1、第二の障害物認識度R2と第二の重み関数W2との積R2×W2を求める。そして最終障害物認識度算出部107では、これらの値から加重平均
【数1】
(R1×W1+R2×W2)/(W1+W2)
を求め、その値を最終的な障害物認識度とする。
【0043】
図4は、本発明による車輌用外界認識装置において、レーザレーダ202からの測距データに基づいて障害物認識度を求める処理手順を示すフローチャートである。以下、その手順を説明する。なお、ここでは、この処理を10ms毎に行うこととする。
【0044】
まずステップ301では、車輌パラメータ、すなわち車速検出装置206からの自車輌の速度データ、操舵角検出装置207からの自車輌の操舵角データの他、運転者が任意で選択した自動ブレーキ操作タイミング、自車輌の走行車線の白線に対する自車輌の位置情報(横変位、ヨー角)および白線の形状(曲率)がそれぞれ入力される。
【0045】
続くステップ302では、ステップ301で入力された車速および操舵角の平滑化処理を次式で示すローパスフィルタを用いて行う。
【数2】
y=βZ/(Z−α)・u
β=1−α
ここでuはステップ301で入力された車速または操舵角を代入する変数を、Zは時間進み演算子、yは平滑化後の値をそれぞれ示す。また、αは予め定めた1未満の正数である。
【0046】
ステップ303では、レーザレーダ202からの出力データが更新されているか否かを判定し、更新されていればステップ304へ進み、更新されていなければステップ308へ進む。なお、ここではレーザレーダ202からの出力データの更新は100ms毎に行われているものとしている。
【0047】
ステップ304では、レーザレーダ202で走査した結果から抽出した複数の障害物候補物体の2次元座標系における位置を読み込み、続くステップ305では読み込んだ障害物候補物体の位置の座標値から、次式のように100msのサンプリング周期で離散化した伝達関数を用いて相対速度ベクトルを求める。
【数3】
G(Z)=(cZ−c)/(Z−aZ+b)
ここで、Zは進み演算子であり、係数a,b,cは正数である。なお、障害物候補物体の消滅や新規障害物候補物体の捕捉といった測距状況の変化が生じた場合、上式の全ての入出力変数の過去値は、現在の値に置き換えられる。
【0048】
ステップ306では、ステップ304で読み込んだ障害物候補物体の位置データが、それまで何も存在しなかった場所であった、すなわち新たに障害物候補物体が出現したか否かを判断する。ここで、新たに障害物候補物体が出現したと判断した場合にはステップ307へ進み、そうでない場合にはステップ308へ進む。
【0049】
ステップ307では、ステップ304で読み込んだ各障害物候補物体毎に割り当てたID番号(i)毎に設けた、各障害物候補物体が出現してからの時間を表す変数Tapr[i]を0にリセットする。
【0050】
ステップ308では、ステップ302で平滑化処理を行った車速(Vsp)と操舵角(δ)の値を用いて、次式によりヨーレートおよびスリップ角βを求める。
【数4】
Figure 0003829627
ここで、変数mは車体の重量、K,Kはそれぞれ前後輪タイヤのコーナリングパワー、l,lはそれぞれ前輪から重心までの距離、後輪から重心までの距離、Iは車輌中心における旋回慣性モーメント、sはラプラス演算子を示す。なお、ここでは2輪モデルを用いてヨーレートとスリップ角を算出しているが、操舵角検出装置207から入力したデータを直接ヨーレート値として用いても良く、また前後方向加速度センサおよび横方向加速度センサ(共に図示せず)での検出値の比率からスリップ角βを求めることとしても良い。
【0051】
ステップ309では、ステップ308で求めたヨーレートとスリップ角、およびステップ302で求めた車速と操舵角を用いて、次式より自車輌の将来の移動軌跡を、自車輌の旋回半径Rの値として予測する。
【数5】
Figure 0003829627
【0052】
ステップ310では、ステップ304で読み込んだ障害物候補物体の位置から、障害物候補物体の相対位置ベクトルの方向を次式
【数6】
direction_C[i]=arctan(obst_x[i]/obst_y[i])
から、また自車輌の車幅の端部に対する障害物候補物体の幅の端部の相対位置ベクトルの方向を次式
【数7】
direction_L[i]=arctan((obst_x[i]+obj_width[i]/2+w/2)/obst_y[i])
よりそれぞれ求める。ここで、変数iは障害物候補物体のID番号、変数obst_x[i]は障害物候補物体のx座標、変数obst_y[i]は障害物候補物体のy座標、変数obj_width[i]は障害物候補物体の幅、変数wは自車輌の幅をそれぞれ表すものである。
【0053】
次に、自車輌に対する障害物候補物体の相対速度ベクトルの方向を次式
【数8】
direction[i]=arctan(rVx[i]/rVy[i])
より求める。その後、上記の各式によって求めた値から、相対速度ベクトルの方向に基づく障害物認識度(第一の障害物認識度)、すなわち障害物候補物体が自車輌にとって障害物となり得る可能性の値を次式
【数9】
Figure 0003829627
により求める。ここで変数rVx,rVyはステップ305で求めた相対速度の車幅方向と車間距離方向の値を示すものであり、関数fabs(x)は引数xの絶対値を求める関数である。また変数Recog_rVxyは障害物候補物体が自車輌にとって障害物となる可能性がある場合には0.8〜1.0の値を取り、値が小さい程、障害物となる可能性が低い事を示している。
【0054】
ステップ311では、ステップ309で算出した自車輌の将来の移動軌跡Rに対する障害物候補物体の位置に基づき、次式により障害物認識度(第二の障害物認識度)を求める。
【数10】
Recog_Dist=(-0.2/w/2)*fabs(hypot(obst_y[i],(obst_x[i]-R))-R)+1.0
ここで、関数hypot(p1,p2)は、引数p1,p2より(p1+p2)1/2の値を求めるものである。なお、変数Recog_Distもまた障害物候補物体が自車輌にとって障害物となる可能性がある場合には0.8〜1.0の値を取り、値が小さい程、障害物となる可能性が低い事を示している。
【0055】
ステップ312では、以下に説明する手順により、ステップ310で求めた第一の障害物認識度に対する第一の重み関数および、ステップ311で求めた第二の障害物認識度に対する第二の重み関数をそれぞれ求める。
【0056】
まず、ステップ305で求めた相対速度ベクトルrVx,rVyの大きさから、次式により第一の重み関数の中間値tmpW1_1を求める。
【数11】
tmpW1_1=func1(fabs(rVx),fabs(rVy))
ここで、func1は図5に示すような特性を有する関数であり、相対速度ベクトルが小さいときには第一の重み関数の値を低くし、また車間距離方向の相対速度に比べて車幅方向の相対速度に対する感度が低くなるようにするものである。なお、ここでは相対速度ベクトルが小さくなるにしたがって第一の重み関数の値を小さくしているが、第二の重み関数を相対的に大きくするようにしても良い。
【0057】
また、第一の重み関数のもう一つの中間値tmpW1_2を次式により求める。
【数12】
tmpW1_2=func2(Tapr[i],Tds)
ここで、func2は図6に示すような特性を有する関数であり、変数Tdsは先のステップ305における伝達関数により相対速度ベクトルが安定して算出できるようになるまでの時間を表し、ここでは、例えば400msの一定値とする。なお、本例では障害物候補物体が出現してから間もない状況では第一の重み関数の値を小さくしているが、第二の重み関数の値を相対的に大きくしても良い。
【0058】
次に、第二の重み関数の一つの中間値tmpW2_1を次式により求める。
【数13】
tmpW2_1=func3(fabs(hypot(obst_y[i],(obst_[x]-R))-R)
ここで、func3は図7に示すような特性を有する関数である。なお、ここでは障害物候補物体が、予測する自車輌の移動軌跡から遠方に位置するほど第二の重み関数の値を小さくしているが、相対的に第二の重み関数の値を大きくすることとしても良い。
【0059】
その後、第一および第二の重み関数に対する中間値tmpW12_1を次式より求める。
【数14】
tmpW12_1=func4(hypot(rVy[i],rVx[i]))*func5(obs_io,hypot(obst_y[i],obst_x[i]))
但し、
obs_io=obs_pos-hypot(obst_y[i],obst_x[i])-h
obs_pos=hypot((ρcos(y)-obst_x[i]),(ρsin(y)obst_y[i]))
ここで、func4,func5はそれぞれ図8、図9に示すような特性を有する関数であり、変数ρはステップ301で求めた、走行車線における白線形状を示す曲率半径であり(ここでは右カーブを正とする)、hは自車輌の走行車線における、左右の両白線の中央から自車輌までの距離(ここでは右側を正とする)、yは白線に対する自車輌のヨー角である(ここでは右向きを正とする)。これより、tmpW12_1の値は、障害物候補物体が停止している可能性が高い、つまり相対速度の大きさが大きく、かつ、その障害物候補物体が自車輌の走行車線外に存在する可能性が高く、さらにその障害物候補物体との相対位置が遠い程、小さい値を取ることとなる。
【0060】
さらに、第一および第二の重み関数に対するもう一つの中間値tmpW12_2を次式より求める。
【数15】
tmpW12_2=func6(Tc,obst_y[i]/rVy[i])
ここで、func6は図10に示すような特性を有する関数であり、変数Tcは運転者が好みで選択できる制御開始タイミングを示し、ここでは、例えば3段階で短:1.8sec、中:2.4sec、長:3.0secとする。
【0061】
以上のようにして求められたそれぞれの値から、重み関数W1,W2をそれぞれ次式より求める。
【数16】
W1=tmpW1_1*tmpW1_2*tmpW12_1*tmpW12_2
W2=tmpW2_1*tmpW12_1*tmpW12_2
【0062】
そしてステップ313では、ステップ310およびステップ311でそれぞれ求めた障害物認識度の値と、ステップ312で求めた重み関数の値から、最終的な障害物認識度、すなわち障害物候補物体との接触可能性を次式(加重平均)により求める。
【数17】
Recog=(Recog_rVxy*W1+Recog_Dist*W2)/(W1+W2)
【0063】
最後にステップ314では、ステップ302における平滑化演算およびステップ305における伝達関数演算を行うために必要な過去の値を更新し、また各障害物候補物体に対する変数Tapr[i]の値をサンプリング時間である10ms分だけ増加させる。
【0064】
以上の処理手順により、複数の障害物認識度の算出と、これらにそれぞれ対応した複数の重み関数を設定し、状況に応じて重み関数を適切に走査することにより、正確で高速な障害物認識を可能とする。
【0065】
図11は、本発明による車輌用外界認識装置において、レーザレーダ202(図2参照)およびCCDカメラ204のような障害物候補物体を検知する原理の異なる複数の手段を用いた場合の障害物認識度を求める処理手順を示すフローチャートである。以下、その手順を説明する。なお、ここでも処理を10ms毎に行うこととする。
【0066】
まずステップ501ではCCDカメラの出力データが更新されているか否かを判断し、更新されていればステップ502へ、更新されていなければステップ506へ進む。
【0067】
ステップ502では、CCDカメラで撮像した距離画像結果から抽出した複数の障害物候補物体の2次元座標系における位置を読み込む。続くステップ503では、読み込んだ各障害物候補物体の位置から、20msのサンプリング周期で離散化した伝達関数を用いて相対速度ベクトルを求める。なお、ここで用いる伝達関数は、図4に示すフローチャートのステップ305で用いている伝達関数と同じものである。
【0068】
ステップ504では、ステップ502で読み込んだ障害物候補物体の位置が、それまで何も存在しなかった場所であった、すなわち新たに障害物候補物体が出現したか否かを判断する。ここで、新たに障害物候補物体が出現したと判断した場合にはステップ505へ進み、そうでない場合にはステップ506へ進む。
【0069】
ステップ505では、ステップ502で読み込んだ各障害物候補物体毎に割り当てたID番号(i)毎に設けた、各障害物候補物体が出現してからの時間を表す変数Tapr_CMR[i]を0にリセットする。続くステップ506〜ステップ510における処理は、図4のステップ303〜307と同様であるため、説明は省略する。
【0070】
ステップ511では、ステップ503で求めた、CCDカメラの撮像データによる相対速度ベクトルの方向に基づいて第一の障害物認識度を求める。ここでの演算は図4のステップ310と同様であるため、説明は省略する。なお、ここで求められる各障害物候補物体に対応する第一の障害物認識度の値は、変数Recog_CMR[i]に代入される。
【0071】
ステップ512では、ステップ508で求めた、レーザレーダ202の走査データによる相対速度ベクトルの方向に基づいて第一の障害物認識度を求める。ここでの演算もまた図4のステップ310と同様であるため、説明は省略する。なお、ここで求められる各障害物候補物体に対応する第一の障害物認識度の値は、変数Recog_LR[i]に代入される。
【0072】
ステップ513では、以下に説明する手順により、ステップ511で求めた第一の障害物認識度に対する第三の重み関数および、ステップ512で求めた第一の障害物認識度に対する第四の重み関数をそれぞれ求める。
【0073】
まず、ステップ503で求めた相対速度ベクトルの値から、第三の重み関数の中間値tmpW1_1[i]および第四の重み関数の中間値tmpW2_1[i]をそれぞれ求める。なお、これらの値の算出は、図4のステップ312と同様の式を用いる。
【0074】
次に、第三の重み関数のもう一つの中間値tmpW1_2[i]を次式により求める。
【数18】
tmpW1_2[i]=func2(Tapr_CMR[i],Tds_CMR)
ここで、func2は図4の処理手順のステップ312で用いた関数と同じものである。なお、変数Tds_CMRはCCDカメラ204の撮像結果から、伝達関数
【数19】
G(Z)=(cZ−c)/(Z−aZ+b)
により相対速度ベクトルが安定して算出できるようになるまでの時間を表し、ここでは40msの一定値を取る。
【0075】
同様に、第四の重み関数のもう一つの中間値tmpW2_2[i]を次式により求める。
【数20】
tmpW2_2[i]=func2(Tapr_LR[i],Tds_LR)
なお、変数Tds_LRはレーザレーダ202(図2参照)の走査結果から、上の伝達関数により相対速度ベクトルが安定して算出できるようになるまでの時間を表す。また関数func2は図4の処理手順におけるものと同じ関数である。
【0076】
ここで、障害物候補物体がレーザレーダ202では検知できるがCCDカメラでは検知できないような遠方に存在する場合には、次式により第三および第四の重み関数の中間値を求める。
【数21】
tmpW1_3[i]=1,tmpW2_3[i]=0
また、障害物候補物体がCCDカメラ204では検知できるがレーザレーダ202では検知できないような広角な場所に存在する場合には、次式により第三および第四の重み関数の中間値を求める。
【数22】
tmpW1_4[i]=0,tmpW2_4[i]=1
【0077】
以上の手順より求めた値から、各障害物候補物体に対応する第三および第四の重み関数W1[i],W2[i]を、それぞれ次式により求める。
【数23】
W1[i]=tmpW1_1[i]*tmpW1_2[i]*tmpW1_3[i]*tmpW1_4[i]
W2[i]=tmpW2_1[i]*tmpW2_2[i]*tmpW2_3[i]*tmpW2_4[i]
【0078】
ステップ514では、ステップ511およびステップ512でそれぞれ求めた障害物認識度の値と、ステップ513で求めた重み関数の値より、最終的な障害物認識度を次式(加重平均)を用いて求める。
【数24】
Recog[i]=(Recog_CMR[i]*W1[i]+Recog_LR[i]*W2)/(W1+W2)
【0079】
ステップ515では、伝達関数演算等を行うために必要な過去の値を更新し、また各障害物候補物体に対する変数Tapr_CMR[i],Tapr_LR[i]の値をサンプリング時間である10ms分だけ増加させる。
【0080】
さらにステップ516では、ステップ514で求めた最終的な障害物認識度に基づいて、自動ブレーキ制御装置208(図2参照)における目標減速度を次式により求める。
【数25】
αbrk=Recog[i]*(Vp-Vsp)/(2*(L-Lt))
ここでVpは先行車輌の速度、Vspは自車輌の速度を示し、Vpの値は相対速度rVyとVspの和より求めるものとする。またLは検出した車間距離を、Ltは目標車間距離を示し、例えば
【数26】
Lt=1.5*Vsp+4
と設定する。
【0081】
このようにして求めたαbrkの値に基づいて、自動ブレーキ制御装置208(図2参照)により自動ブレーキ動作がなされる。その結果、障害物認識度を考慮した自動ブレーキ動作が行われることとなり、障害物となりうるか、そうでないかを判断し難い物体に対しては緩やかな自動ブレーキ動作となり、誤認識時におけるブレーキ動作を緩和することができる。
【0082】
また、自動ブレーキ制御開始タイミングは、ステップ514で求めた障害物認識度に基づいて次式により求める。
【数27】
Tbrk=func7(Recog[i])
ここで、func7は図12のような特性を有する関数である。
【0083】
さらに、次式の条件が満足されている場合には、上記の目標減速度αbrkが自動ブレーキ制御装置208へ出力される。
【数28】
L/(Vp-Vsp)<Tbrk
ここで式の左辺は障害物候補物体との衝突までの時間を示す。
【0084】
こうして求めたTbrkの値に基づいて、自動ブレーキ動作の開始タイミングを変更する。その結果、障害物認識度を考慮した自動ブレーキ動作が行われることとなり、障害物となりうるか、そうでないかを判断し難い物体に対しては早めの自動ブレーキ動作が行われる、すなわち衝突までの時間が延びることとなり、ブレーキ動作を緩和することができる。
【0085】
なお、関数func7の特性を図13のように設定すると、自動ブレーキ動作の開始が遅くなり、それによって運転者が障害物候補物体を認識してから、実際の障害物となりうるか否かを吟味する時間を長くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による車輌用外界認識装置の基本構成を概略示すブロック図である。
【図2】 本発明による車輌用外界認識装置を用いたシステム全体の構成を概略示すブロック図である。
【図3】 本装置での障害物認識度の算出手順を概略示す図である。
【図4】 本装置において、レーザレーダからの測距データに基づいて障害物認識度を求める処理手順を示すフローチャートである。
【図5】 図4の処理における、第一の重み関数の中間値を求めるための関数func1の特性を示すグラフである。
【図6】 図4の処理における、第一の重み関数のもう一つの中間値を求めるための関数func2の特性を示すグラフである。
【図7】 図4の処理における、第二の重み関数の中間値を求めるための関数func3の特性を示すグラフである。
【図8】 図4の処理における、第一および第二の重み関数に対する中間値を求めるための関数func4の特性を示すグラフである。
【図9】 図4の処理における、第一および第二の重み関数に対する中間値を求めるための関数func5の特性を示すグラフである。
【図10】 図4の処理における、第一および第二の重み関数に対する中間値を求めるための関数func6の特性を示すグラフである。
【図11】 本装置において、レーザレーダおよびCCDカメラのような障害物候補物体を検知する原理の異なる複数の手段を用いた場合の障害物認識度を求める処理手順を示すフローチャートである。
【図12】 本装置において自動ブレーキ制御開始タイミングを求める際に用いる関数func7の特性を示すグラフである。
【図13】 関数func7の別の特性を示すグラフである。
【図14】 自車輌と障害物候補物体との関係の一例を示す図である。
【図15】 自車輌と障害物候補物体との関係の他の例を示す図である。
【符号の説明】
101 障害物候補位置出力部
102 自車状態出力部
103 第一の障害物認識度算出部
104 第二の障害物認識度算出部
105 第一の重み関数算出部
106 第二の重み関数算出部
107 最終障害物認識度算出部
201 走行制御装置
202 レーザレーダ
203 レーダ処理装置
204 CCDカメラ
205 画像処理装置
206 車速検出装置
207 操舵角検出装置
208 自動ブレーキ制御装置
209 負圧ブレーキブースタ

Claims (12)

  1. 自車輌に対して障害物となる可能性のある障害候補物体の、自車輌に対する相対速度ベクトルの方向に基づき、前記障害候補物体を自車輌に向かう障害物として認識する割合を算出する第一の障害物認識度算出手段と、
    自車輌の予定移動軌跡に対する前記障害物候補物体の位置に基づき、前記障害候補物体を障害物として認識する割合を算出する第二の障害物認識度算出手段と、
    自車輌および前記障害物候補物体の状態に応じた、前記第一の障害物認識度算出手段で算出した前記認識する割合に対する重み関数を算出する第一の重み関数算出手段と、
    自車輌および前記障害物候補物体の状態に応じた、前記第二の障害物認識度算出手段で算出した前記認識する割合に対する重み関数を算出する第二の重み関数算出手段と、
    前記第一の障害物認識度算出手段で算出した前記認識する割合と、前記第二の障害物認識度算出手段で算出した前記認識する割合と、前記第一の重み関数算出手段で算出した前記重み関数と、前記第二の重み関数算出手段で算出した前記重み関数とにより、前記障害候補物体を障害物として認識する割合の加重平均を算出する最終障害物認識度算出手段とを具え、
    前記最終障害物認識度算出手段の算出結果に基づいて、自車輌に対して障害物となる物体を認識することを特徴とする、車輌用外界認識装置。
  2. 前記第一の重み関数算出手段が、前記障害物候補物体の自車輌に対する相対速度ベクトルの大きさが小さい程、小さい重み関数値を出力することを特徴とする、請求項1記載の車輌用外界認識装置。
  3. 前記第一の重み関数算出手段が、前記障害物候補物体の自車輌に対する相対速度ベクトルの自車輌進行方向成分の大きさが小さい程、小さい重み関数値を出力し、
    かつ、前記相対速度ベクトルの自車輌進行方向に直角な成分の大きさが小さい程、障害物候補物体が出現してからの時間経過に応じて重み関数値が変化する割合を小さくすることを特徴とする、請求項1または2記載の車輌用外界認識装置。
  4. 前記第一の重み関数算出手段が、前記障害物候補物体を検知してからの経過時間が前記障害物候補物体の自車輌に対する相対速度ベクトルの算出に要する時間よりも短い程、小さい重み関数値を出力することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載の車輌用外界認識装置。
  5. 前記第二の重み関数算出手段が、自車輌の予定移動軌跡に対する前記障害物候補物体の位置が遠い程、小さい重み関数値を出力することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載の車輌用外界認識装置。
  6. 前記第二の重み関数算出手段が、前記障害物候補物体の位置が自車輌の走行している車線から遠い程、小さい重み関数値を出力することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項記載の車輌用外界認識装置。
  7. 前記第一の重み関数算出手段および前記第二の重み関数算出手段が、前記障害物候補物体が自車輌の走行車線外にあり、また前記障害物候補物体の自車輌に対する相対速度ベクトルの大きさが自車輌の速度ベクトルの大きさに近い程、かつ、前記障害物候補物体の自車輌に対する位置が遠い程、小さい重み関数値を出力することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項記載の車輌用外界認識装置。
  8. 運転者により自車輌の自動制動開始時点を選択する自動制動開始時点選択手段をさらに具え、
    前記第一の重み関数算出手段および前記第二の重み関数算出手段が、自車輌が前記障害物候補物体の位置まで到達する時間が、前記自動制動開始時点選択手段で選択された自動制動開始時点よりも長い程、小さい重み関数値を出力することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項記載の車輌用外界認識装置。
  9. 前記最終障害物認識度算出手段の算出結果に基づいて自車輌の制動を行う自動制動手段をさらに具え、
    前記自動制動手段が、前記最終障害物認識度算出手段の算出結果に基づき、自動制動時の目標減速度を設定することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項記載の車輌用外界認識装置。
  10. 前記自動制動手段が、前記最終障害物認識度算出手段の算出結果に基づき、自動制動開始時点を設定することを特徴とする、請求項9記載の車輌用外界認識装置。
  11. 前記第一の障害物認識度算出手段が、自車輌から近距離に存在する障害物候補物体を検知する第一の障害物候補物体検知手段と、検知した障害物候補物体の位置が自車輌から遠い程、小さい重み関数値を出力する第三の重み関数算出手段とを具え、
    前記第一の重み関数算出手段の算出結果を、前記第三の重み関数算出手段の算出結果を用いて補正することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項記載の車輌用外界認識装置。
  12. 前記第一の障害物認識度算出手段が、自車輌から遠距離に存在する障害物候補物体を検知する第二の障害物候補物体検知手段と、検知した障害物候補物体の位置が自車輌に近い程、小さい重み関数値を出力する第四の重み関数算出手段とを具え、
    前記第一の重み関数算出手段の算出結果を、前記第四の重み関数算出手段の算出結果を用いて補正することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項記載の車輌用外界認識装置。
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