JP3829392B2 - 電磁継電器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電磁継電器、特に、可動ブロックの支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電磁継電器としては、例えば、実開平2−99540号公報に記載の電磁継電器がある。
すなわち、コイルブロック3の上面に永久磁石4を介して接極子ブロック5を回動可能に載置し、前記コイルブロック3の励磁,消磁に基づき、シーソー運動する前記接極子ブロック5で接点を開閉するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の電磁継電器では、接極子ブロック5の回動支点となる回動軸55が側方に突設し、巾広となっている。このため、床面積の小さい小型の電磁継電器が得られないという問題点がある。
【0004】
本発明にかかる電磁継電器は、前記問題点に鑑み、床面積が小さい小型の電磁継電器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる電磁継電器は、前記目的を達成するため、電磁石ブロックの上面に可動ブロックを回動可能に載置し、前記電磁石ブロックの励磁,消磁に基づき、シーソー運動する前記可動ブロックで接点を開閉する電磁継電器において、前記電磁石ブロックを成形樹脂で被覆して一体成形したベースと永久磁石および可動接触片を並設して形成した前記可動ブロックとの対向面のうち、前記電磁石ブロック側の対向面の中央部に少なくとも1つの凸部を突設する一方、前記可動ブロック側の対向面の前記永久磁石と前記可動接触片との間隙に、前記凸部に嵌合可能で、かつ、前記凸部との接合部分が回動軸心と同一平面上に位置する凹部を形成した構成としてある。
【0006】
また、前記電磁石ブロックを成形樹脂で被覆して一体成形したベースの上面に2つの凸部を突設する一方、前記可動ブロックの下面に前記凸部にそれぞれ嵌合可能な凹部を形成してもよい。
【0007】
そして、前記凸部のうち、一方の凸部が対応する凹部に密に嵌合するとともに、残る凸部が対応する凹部に回動軸心方向に逃げを保持して遊嵌してもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明にかかる一実施形態を図1ないし図13の添付図面に従って説明する。
すなわち、本実施形態は電磁継電器に適用した場合であり、大略、電磁石ブロック10に2次成形を施して形成したベースブロック20と、可動ブロック30と、ケース40とからなるものである。
【0009】
前記電磁石ブロック10は、図3(b)および図4に示すように、略コ字形の鉄芯11にコイル16を巻回したものである。
前記電磁石ブロック10の製造方法としては、図5に示すように、まず、略コ字形の鉄芯11に1次成形を施してスプール12を形成する。このスプール12は、鉄芯11の両端にそれぞれ形成した鍔部13,14からなるものである。そして、前記鍔部14の両側面から突出した一対の連結片18が軸心方向に沿って延在している。
さらに、前記鉄芯11の中間部にコイル16を巻回し、その引き出し線を前記鍔部13にインサート成形した中継端子17のからげ部17aにからげてハンダ付けしてある(図6)。
【0010】
ベースブロック20は、図7ないし図9に示すように、リードフレーム50に接続した前記電磁石ブロック10に2次成形を施して形成したものである。
前記リードフレーム50には、共通端子21,固定接点端子22,23およびコイル端子24を切り出して屈曲してあるとともに、支持片51を切り出して屈曲してある。ただし、前記固定接点端子22,23には、固定接点22a,23aが予めそれぞれ設けられている。
【0011】
そして、電磁石ブロック10の中継端子17をリードフレーム50のコイル端子24の自由端部に溶接一体化するとともに、前記連結片18をリードフレーム50の支持片51に溶接一体化した後、これらを金型に位置決めして2次成形を行う。ただし、前記リードフレーム50から連結片18を切断するとともに、各端子21〜24を切り離して屈曲することにより、ベースブロック20が完成する。このとき、各端子21〜24の基部はベースブロック20の外側面と略面一になっている。
【0012】
前記ベースブロック20の側面から突出する各端子21〜24は、例えば、図8(b),(c)に示すように、その基部に巾狭部21b,22b,23b,24b(巾狭部21b,24bは図示せず。)を形成してある。このため、各端子21〜24を下方側に屈曲すると、基準面を形成する金型を使用せずとも、所定の位置から高い寸法精度で屈曲でき、曲げ位置にばらつきが生じない。この結果、各端子21〜24はベースブロック20の外側面に設けた浅溝に嵌合し、これらの外側面が略面一になる。
なお、各端子21〜24の厚さ寸法が、例えば、0.15mmである場合、屈曲前におけるベースブロック20の側面から各巾狭部21b〜24bまでの距離は、0〜0.05mmであればよい。
【0013】
前述の2次成形によって得られたベースブロック20は、図1に示すように、その上面に浅底の凹所25を有し、この凹所25の底面の略中央部に一対の凸部26a,26bが突設されている。一方の凸部26aは、その頂部が後述する可動ブロック30に線接触するように長い稜線を有している。他方の凸部26bは、巾方向の寸法精度のばらつきを吸収するため、凸部26aよりも短い稜線の頂部を有している。
【0014】
前記凹所25の隅部には固定接点端子22,23の固定接点22a,23aがそれぞれ露出している。また、隣り合う固定接点22a,22aの間、および、隣り合う固定接点23a,23aの間には、鉄芯11の磁極部11a,11bがそれぞれ露出している。さらに、鉄芯11の磁極部11a,11bは平面略コ字形の絶縁壁27で固定接点22a,23aからそれぞれ仕切られている。また、前記絶縁壁27自身の対向する外側面はテーパ面となっている(図4)。そして、前記ベースブロック20の開口縁部のうち、その側辺の略中央部の隅部から共通端子21の接続受け部21aが露出している。
【0015】
また、図1および図2に示すように、前記ベースブロック20の両側端面の中央に突部28が突設している。この突部28は、図3(b)に示すように、連結片18、固定接点端子23およびコイル端子24の切り残した端部18a,23cおよび24cよりも前方に突出している。これは、ベースブロック20を連続して搬送する場合に、例えば、端部23cと端部24cとが相互に乗り上げたり、引っ掛かり合うのを防止するためである。
【0016】
ベースブロック20は、前述のものに限る必要はなく、例えば、図12に示すように、略L字形の絶縁壁27,27を別々に設けたものであってもよい。
【0017】
可動ブロック30は、図10(a),(b)に示すように、永久磁石31の両側に可動接触片32,32を並設するとともに、前記永久磁石31の片面に可動鉄片33を重ね合わせた後、樹脂モールドで絶縁台34を形成し、一体化したものである。
【0018】
前記永久磁石31は可動鉄片33よりも巾狭であり、可動鉄片33のいわゆるだれ面に重ね合わせてある。これは、可動鉄片33にプレス加工を施した際に生じる、いわゆるかえりに、永久磁石31が当接するのを防止し、両者の間に隙間が生じないようにするためである。
【0019】
また、永久磁石31と可動鉄片33との接合面縁部を部分的に仮止めした後、樹脂モールドしてもよい。仮止め方法としては、例えば、レーザ溶接,ガスバーナーによる溶接,スポット溶接等の既存の方法を利用できる他、両者の接合面に形成した接合用金属薄膜を溶融して一体化してもよい。接合用金属薄膜としては、例えば、ニッケル,亜鉛,カドミニウム,錫,銅,クロム,鉛,銀,金,パラジウム等の単体またはこれらの合金が挙げられる。また、接合用金属薄膜の形成方法としては、メッキ,蒸着,塗布等の既存の方法から選択できる。さらに、接合用金属薄膜は、接合面全面に形成してもよく、また、接合面の縁部のみ、あるいは、中央部のみに形成してもよい。そして、前記接合用金属薄膜を溶融する方法としては、レーザの照射,ガスバーナーによる加熱,電気抵抗による既存の加熱方法が挙げられる。
【0020】
可動接触片32は、導電性薄板ばね材を打ち抜いて形成したものであり、巾方向に分割して形成した両端部の各分割片に、可動接点32a,32bがそれぞれ設けられている。さらに、可動接触片32は、その側辺の略中央部から略T字形の接続部32cが側方に延在している。
【0021】
可動ブロック30の成形方法としては、例えば、可動接点32a,32bを設けた後、図示しないリードフレームからプレス加工で切り出した可動接触片32,32を金型に位置決めする。ついで、仮止めした永久磁石31および可動鉄片33を前記金型に位置決めした後、樹脂モールドで形成した絶縁台34にて一体化する方法が挙げられる。
なお、前記可動鉄片33は、鉄芯11の磁極部11a,11bに当接する部分を除き、その全表面を樹脂モールドして絶縁特性を高めてもよい。
【0022】
そして、前記ベースブロック20に可動ブロック30を上方から落とし込み、絶縁台34の下面に設けた一対の凹部34a,34b(図2)を、ベースブロック30の上面に突設した凸部26a,26bに嵌合すると、自動的に位置決めされる。さらに、前記可動接触片32の接続部32cを共通端子21の接続受け部21aに溶接することにより、可動ブロック30が回動可能に支持される。
【0023】
本実施形態では、絶縁台34の下面に設けた凹部34a,34bをベースブロック20の凸部26a,26bに嵌合して支持するものである。そして、例えば、凸部26a,26b間の距離に加工公差によるばらつきがあっても、前記凸部26bの頂部の稜線が凸部26aのそれよりも短く、加工公差のばらつきを吸収できるようになっているので、加工公差のばらつきによる動作不良を回避できる。
また、絶縁台34の凹部34a,34bと、ベースブロック20の凸部26a,26bとの接触部分は、回動軸となる接続部32cと略同一平面上に位置している。このため、回動軸心のばらつきによるがたつきがなく、円滑な回動運動が得られる。
【0024】
なお、本実施形態では、2個の凸部26a,26bを形成する場合について説明したが、必ずしもこれに限らず、1個であってもよく、2個以上であってもよい。
また、前記凸部26a,26bの形状は、前述のものに限らず、その頂部が三角柱,円錐形あるいは半球形であってもよい。
さらに、凸部26a,26bの頂部を鋭角な形状とする一方、凹部34a,34bの底面を鈍角な形状とすることにより、回動支点にがたつきが生じにくい構造としてもよい。
【0025】
そして、ベースブロック20に可動ブロック30を組み付けた結果、図11に示すように、略コ字形の絶縁壁27が、可動鉄片33と可動接触片32とを仕切っている。このため、両者間の沿面距離が長くなり、絶縁特性が高い。
さらに、絶縁台34の両端部34c,34dが長く延在し、絶縁壁27に重なり合っている。このため、両者間の延面距離がより一層長くなり、絶縁特性が向上するという利点がある。
【0026】
ケース40は、図1に示すように、前記ベースブロック20に嵌合可能な箱形状を有し、その開口縁部に嵌合用切り欠き部41が形成されている。また、ケース40は、天井面縁部にガス抜き孔42を有している。さらに、ケース40は、図13に示すように、その天井面に絶縁用リブ43を突設してある。この絶縁用リブ43は、その一端部がケース40の内側面に連続しており、前記ベースブロック20の絶縁壁27に接合する接合面がテーパ面となっている。
【0027】
そして、可動ブロック30を組み付けたベースブロック20にケース40を組み付け、前記端子21〜24に切り欠き部41をそれぞれ嵌合する。これにより、図4に示すように、ケース40の絶縁用リブ43が前記ベースブロック20に設けた絶縁壁27の外側面に当接する。このため、両者間の沿面距離が長くなり、絶縁特性が向上する。また、絶縁壁27および絶縁用リブ43のいずれの接合面もテーパ面となっているので、スムーズな組立が可能であり、組立作業が容易になるという利点がある。
なお、絶縁用リブ43は絶縁壁27の対向する内側面に当接するようにしてもよい。
【0028】
ついで、ベースブロック20とケース40との接合面をシールした後、ケース40のガス抜き孔42から内部ガスを抜き、前記ガス抜き孔42を熱封止することにより、組立作業が完了する。
【0029】
次に、前述の構造を有する電磁継電器の動作について説明する。
まず、電磁石ブロック10のコイル16に電圧が印加されていない場合、永久磁石31の磁束による磁力により、可動鉄片33の一端部33aが鉄芯11の磁極部11aに吸着し、磁気回路を閉成しているとともに、可動接触片32の可動接点32aが固定接点22aに接触している。
【0030】
そして、前記電磁石ブロック10のコイル16に、永久磁石31の磁束を打ち消す磁束が生じるように電圧を印加すると、永久磁石31の磁力に抗して可動鉄片33が回動し、これにつれて可動接触片32が回動する。このため、可動接点32aが固定接点22aから開離した後、可動接点32bが固定接点23aに接触し、可動鉄片33の他端部33bが鉄芯11の磁極部11bに吸着する。そして、前述の電圧の印加を解いても、永久磁石31の磁力により、可動ブロック30は、その状態を保持する。
【0031】
さらに、前述の印加方向と逆方向の電圧をコイル16に印加すると、永久磁石31の磁力に抗し、可動鉄片33が前述の回動方向と逆方向に回動し、これにつれて可動接触片32も回動する。このため、可動接点32bが固定接点23aから開離し、可動接点32aが固定接点22aに接触した後、可動鉄片33の一端部33aが鉄芯11の磁極部11aに吸着し、元の状態に復帰する。
【0032】
なお、前述の実施形態では、自己保持タイプの電磁継電器について説明したが、必ずしもこれに限らず、自己復帰タイプの電磁継電器に適用してもよいことは勿論である。
【0033】
また、前述の実施形態では、ベースブロックに凸部を形成する一方、可動ブロックに凹部を形成する場合について説明したが、必ずしもこれに限らず、逆に形成してもよい。
さらに、対向面の一方に凹部および凸部を形成し、残る対向面に凸部および凹部を形成してもよいことは勿論である。
【0034】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にかかる請求項1に記載の電磁継電器によれば、回動支点となる凹部および凸部が可動ブロックと電磁石ブロックとの対向面の中央部にそれぞれ形成されている。このため、従来例のように可動ブロックが巾広になることがなく、床面積の小さい小型の電磁継電器が得られる。
また、請求項1によれば、凹部と凸部との接合部分が、回動軸心と同一平面上に位置する。このため、回動軸心のばらつきによるがたつきがなく、円滑な動作特性を有する電磁継電器が得られる。
【0035】
請求項によれば、可動ブロックを2点で支持することになるので、可動ブロックが安定し、信頼性の高い電磁継電器が得られる。
請求項によれば、一方の凸部が対応する凹部に回動軸心の長さ方向に逃げを保持して遊嵌する。このため、加工公差を吸収して組み付けできるので、動作特性のばらつきが小さい電磁継電器が得られるという効果がある
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明の一実施形態を示す電磁継電器の分解斜視図である。
【図2】 図1にかかる電磁継電器を下方から視た場合の分解斜視図である。
【図3】 図1に示した電磁継電器の組立後を示し、図(a)は平面部分断面図、図(b)は正面部分断面図である。
【図4】 図3(a)に示した電磁継電器の側面断面図である。
【図5】 スプールを一体成形した鉄芯を示し、図(a)は上方から視た斜視図、図(b)は下方から視た斜視図である。
【図6】 電磁石ブロックを示し、図(a)は上方から視た斜視図、図(b)は下方から視た斜視図である。
【図7】 電磁石ブロックの2次成形方法を説明するための斜視図である。
【図8】 電磁石ブロックの2次成形方法を示し、図(a)は平面図、図(b)および図(c)は要部拡大平面図である。
【図9】 電磁石ブロックの2次成形方法を示し、図(a)は側面図、図(b)は正面図である。
【図10】 可動ブロックを樹脂モールドする前の分解斜視図を示し、図(a)は上方から視た分解斜視図、図(b)は下方から視た分解斜視図である。
【図11】 ベースブロックに可動ブロックを組み付けた状態を示す斜視図である。
【図12】 ベースブロックの他の実施形態を示し、図(a)は斜視図、図(b)は平面図である。
【図13】 ケースを逆さにして一部を破断した斜視図である。
【符号の説明】
10…電磁石ブロック、11…鉄芯、11a,11b…磁極部、12…スプール、13,14…鍔部、16…コイル、17…中継端子、18…連結片、18a…端部、20…ベースブロック、21…共通端子、21a…接続受け部、21b…巾狭部、22,23…固定接点端子、22a,23a…固定接点、22b,23b…巾狭部、22c,23c…端部、24…コイル端子、24b…巾狭部、24c…端部、25…凹所、26a,26b…凸部、27…絶縁壁、28…突部、30…可動ブロック、31…永久磁石、32…可動接触片、32a,32b…可動接点、32c…接続部、33…可動鉄片、34…絶縁台、34a,34b…凹部、34c,34d…端部、40…ケース、41…切り欠き部、42…ガス抜き孔、43…絶縁用リブ、50…リードフレーム、51…支持片。

Claims (3)

  1. 電磁石ブロックの上面に可動ブロックを回動可能に載置し、前記電磁石ブロックの励磁,消磁に基づき、シーソー運動する前記可動ブロックで接点を開閉する電磁継電器において、前記電磁石ブロックを成形樹脂で被覆して一体成形したベースと永久磁石および可動接触片を並設して形成した前記可動ブロックとの対向面のうち、前記電磁石ブロック側の対向面の中央部に少なくとも1つの凸部を突設する一方、前記可動ブロック側の対向面の前記永久磁石と前記可動接触片との間隙に、前記凸部に嵌合可能で、かつ、前記凸部との接合部分が回動軸心と同一平面上に位置する凹部を形成したことを特徴とする電磁継電器。
  2. 前記電磁石ブロックを成形樹脂で被覆して一体成形したベースの上面に2つの凸部を突設する一方、前記可動ブロックの下面に前記凸部にそれぞれ嵌合可能な凹部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の電磁継電器。
  3. 前記凸部のうち、一方の凸部が対応する凹部に密に嵌合するとともに、残る凸部が対応する凹部に回動軸心方向に逃げを保持して遊嵌されていることを特徴とする請求項2に記載の電磁継電器。
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