JP3454071B2 - 電磁石装置 - Google Patents

電磁石装置

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JP3454071B2
JP3454071B2 JP05307697A JP5307697A JP3454071B2 JP 3454071 B2 JP3454071 B2 JP 3454071B2 JP 05307697 A JP05307697 A JP 05307697A JP 5307697 A JP5307697 A JP 5307697A JP 3454071 B2 JP3454071 B2 JP 3454071B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電磁石装置、特に、
電磁継電器に組み込まれる電磁石装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電磁石装置としては、例えば、電
磁継電器に適用した特開昭57−15328号公報に記
載のものがある。すなわち、永久磁石28を付設して自
己の両端部に同一磁極を形成したアーマチュア27と、
このアーマチュア27の中間部を支持してアーマチュア
27の回動により、ねじり付勢される軸ばね32と、前
記アーマチュア27の両端部に自己の両端部が対峙して
前記軸ばね32の無付勢状態で自己の一方が吸着されて
いるヨーク18,18′と、このヨーク18,18′の
中間部に巻装されたコイル19とを備えた単安定型バラ
ンスアーマチュアリレーである。そして、前述のリレー
では、板状アーマチュア27と、板状であって板厚方向
に磁極を有する永久磁石28とを、ばね製連結金具29
を屈曲して一体化していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
組立工程では、連結金具29を塑性変形させて屈曲する
必要があるので、アーマチュア27と永久磁石28とを
高い位置決め精度で組み立てることが困難であり、動作
特性にバラツキが生じやすい。特に、永久磁石28と連
結金具29との間に隙間が生じやすく、これによって生
じる永久磁石28の位置ずれにより、吸引力特性にばら
つきが生じやすい。また、前述の組立構造では、連結金
具29を屈曲する際に永久磁石28の縁部にひび割れや
欠けが生じやすく、磁気特性が劣化しやすい。さらに、
連結金具29の縁部をそれぞれ屈曲する必要があるの
で、加工に手間がかかり、生産性が低い。そして、前記
永久磁石28は連結金具29を介してアーマチュア27
に強固に接合一体化されている。このため、アーマチュ
ア27に負荷された衝撃力が永久磁石28に直接伝わ
り、永久磁石28にクラックを生じさせ、磁気特性が経
時劣化するという問題点がある。
【0004】本発明にかかる電磁石装置は、前記問題点
に鑑み、動作特性にばらつきが生ぜず、磁気特性の劣化
がなく、生産性の高い電磁石装置を提供することを目的
とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる電磁石装
置は、前記目的を達成するため、断面略コ字形の鉄芯に
コイルを巻回して形成した電磁石ブロックと、両端部を
前記鉄芯の両端磁極部に接離可能に配置した可動鉄片に
永久磁石を重ね合わせて一体化し、かつ、両側面の略中
央部から突出する軸部を回動支点として支持した可動ブ
ロックとからなり、前記電磁石ブロックの励磁,消磁に
基づき、前記軸部を支点に前記可動ブロックを回動する
電磁石装置において、前記可動鉄片と永久磁石との露出
面のうち、少なくとも両者の外周面に樹脂材を環状に巻
き付けるように樹脂モールドして両者を一体化した構成
としてある。
【0006】前述の露出面のうち、少なくとも前記永久
磁石の露出面全体を樹脂材で被覆しておいてもよい。ま
た、前記可動鉄片と前記永久磁石とは溶接で仮止めして
おいてもよい。さらに、前記可動鉄片と前記永久磁石と
の接合面のうち、少なくともいずれか一方の対向面の少
なくとも周辺縁部に接合用金属薄膜を形成し、この接合
用金属薄膜を溶融して仮止めしてもよい。そして、前記
永久磁石は、前記可動鉄片よりも巾狭であってもよい。
ついで、前記永久磁石は、前記可動鉄片のだれ面に重ね
合わせておいてもよい。
【0007】
【発明の実施の形態】次に、本発明にかかる一実施形態
を図1ないし図5の添付図面に従って説明する。すなわ
ち、本実施形態は電磁継電器に適用した場合であり、大
略、電磁石ブロック10に2次成形を施して形成したベ
ースブロック20と、可動ブロック30と、ケース40
とからなるものである。
【0008】前記電磁石ブロック10は、図3(b)に
示すように、略コ字形に屈曲した鉄芯11にコイル12
を巻回したものである。そして、電磁石ブロック10の
製造方法としては、前記鉄芯11に1次成形を施し、そ
の両端にスプールである鍔部13(図3(b)中、左側
の鍔部は図示せず)をそれぞれ形成した後、コイル12
を巻回する。さらに、前記コイル13の引き出し線を前
記鍔部13にインサート成形した中継端子(図示せず)
にからげてハンダ付けしてある。
【0009】ベースブロック20は、前記電磁石ブロッ
ク10と、共通端子21,固定接点端子22,23、コ
イル端子24を切り出した図示しないリードフレームと
に2次成形を施して形成したものである。なお、前述の
2次成形は、電磁石ブロック10の中継端子をコイル端
子21の自由端部に溶接一体化した後に行われ、さら
に、前記リードフレームから各端子21〜24を切り離
して屈曲することにより、ベースブロック20が完了す
る。
【0010】前述の2次成形によって得られるベースブ
ロック20は、図1に示すように、その上面に浅底の凹
所25を有し、この凹所25の底面の略中央部に一対の
突部26,26が突設されている。また、前記凹所25
の隅部には固定接点端子22,23の固定接点22a,
23aがそれぞれ露出している。さらに、隣り合う固定
接点22a,22aの間、および、隣り合う固定接点2
3a,23aの間には、鉄芯11の磁極部11a,11
bがそれぞれ露出している。そして、鉄芯11の磁極部
11a,11bは平面略コ字形の絶縁壁27で固定接点
22a,23aからそれぞれ仕切られている。さらに、
前記ベースブロック20の開口縁部のうち、その側辺の
略中央部の隅部から共通端子21の接続受け部21a
(図1中、手前側の接続受け部21aは図示せず)が露
出している。
【0011】可動ブロック30は、図5(a),(b)
に示すように、永久磁石31の両側に可動接触片32,
32を並設するとともに、前記永久磁石31の片面に可
動鉄片33を重ね合わせた後、樹脂モールドで絶縁台3
4を形成して一体化したものである。
【0012】前記永久磁石31は可動鉄片33よりも巾
狭であり、可動鉄片33のいわゆるだれ面に重ね合わせ
てある。これは、可動鉄片33にプレス加工を施した際
に生じる、いわゆるかえりに、永久磁石31が当接する
のを防止し、両者の間に隙間が生じないようにするため
である。
【0013】また、永久磁石31と可動鉄片33との接
合面縁部を部分的に仮止めした後、樹脂モールドしても
よい。仮止め方法としては、例えば、レーザ溶接,ガス
バーナーによる溶接,スポット溶接等の既存の方法を利
用できる他、両者の接合面に形成した接合用金属薄膜を
溶融して一体化してもよい。接合用金属薄膜としては、
例えば、ニッケル,亜鉛,カドミニウム,錫,銅,クロ
ム,鉛,銀,金,パラジウム等の単体またはこれらの合
金が挙げられる。また、接合用金属薄膜の形成方法とし
ては、メッキ,蒸着,塗布等の既存の方法から選択でき
る。さらに、接合用金属薄膜は、接合面全面に形成して
もよく、また、接合面の縁部のみ、あるいは、中央部の
みに形成してもよい。そして、前記接合用金属薄膜を溶
融する方法としては、レーザの照射,ガスバーナーによ
る加熱,電気抵抗による既存の加熱方法が挙げられる。
【0014】可動接触片32は、導電性薄板ばね材を打
ち抜いて形成したものであり、巾方向に分割して形成し
た両端部の各分割片に、可動接点32a,32bがそれ
ぞれ設けられている。さらに、可動接触片32は、その
側辺の略中央部から略T字形の接続部32cが側方に延
在している。
【0015】可動ブロック30の成形方法としては、例
えば、可動接触片32,32をプレス加工で切り出した
図示しないリードフレームを金型に位置決めし、つい
で、仮止めした永久磁石31および可動鉄片33を金型
に位置決めした後、樹脂モールドして絶縁台34を形成
し、一体化する方法が挙げられる。
【0016】そして、前記ベースブロック20に可動ブ
ロック30を上方から落とし込み、絶縁台34の下面に
設けた一対の凹部34a(図2)を、ベースブロック3
0の上面に突設した突部26に嵌合すると、自動的に位
置決めされる。さらに、前記可動接触片32の接続部3
2cを共通端子21の接続受け部21aに溶接すること
により、可動ブロック30が回動可能に支持される。
【0017】ケース40は、前記ベースブロック20に
嵌合可能な箱形状を有し、その開口縁部に嵌合用切り欠
き部41が形成されている。さらに、ケース40は、天
井面縁部にガス抜き孔42を有している。したがって、
可動ブロック30を組み付けたベースブロック20にケ
ース40を組み付け、前記端子21〜24に切り欠き部
41をそれぞれ嵌合してシールした後、ガス抜き孔42
から内部ガスを抜き、前記ガス抜き孔42を熱封止する
ことにより、組立作業が完了する。
【0018】次に、前述の構造を有する電磁継電器の動
作について説明する。まず、電磁石ブロック10のコイ
ル12に電圧が印加されていない場合、永久磁石31の
磁束による磁力により、可動鉄片33の一端部33aが
鉄芯11の磁極部11aに吸着し、磁気回路を閉成して
いるとともに、可動接触片32の可動接点32aが固定
接点22aに接触している。
【0019】そして、前記電磁石ブロック10のコイル
12に、永久磁石31の磁束を打ち消す方向の磁束が生
じるように電圧を印加すると、永久磁石31の磁力に抗
して可動鉄片33が回動し、これにつれて可動接触片3
2も回動する。このため、可動接点32aが固定接点2
2aから開離した後、可動接点32bが固定接点23a
に接触し、可動鉄片33の他端部33bが鉄芯11の磁
極部11bに吸着する。そして、前述の電圧の印加を解
いても、永久磁石31の磁力により、可動ブロック30
が、その状態を保持する。
【0020】さらに、前述の印加方向と逆方向の電圧を
コイル12に印加すると、永久磁石31の磁力に抗し、
可動鉄片33が前述の回動方向と逆方向に回動し、これ
につれて可動接触片32も回動する。このため、可動接
点32bが固定接点23aから開離し、可動接点32a
が固定接点22aに接触した後、可動鉄片33の一端部
33aが鉄芯11の磁極部11aに吸着し、元の状態に
復帰する。
【0021】前述の実施形態では、自己保持タイプの電
磁継電器について説明したが、必ずしもこれに限らず、
自己復帰タイプの電磁継電器に適用してもよいことは勿
論である。
【0022】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の請求項1にかかる電磁石装置によれば、可動鉄片に永
久磁石を重ね合わせて樹脂モールドで一体化してある。
このため、両者の位置決め精度が高く、動作特性にばら
つきが生じない。特に、両者を重ね合わせた状態で樹脂
モールドするので、両者の間に隙間が生じにくく、磁気
特性が劣化しにくい。また、樹脂モールドで一体化する
ので、永久磁石の縁部に割れや欠けが生じにくく、より
一層磁気特性の劣化を防止できる。さらに、可動鉄片お
よび永久磁石を金型内に位置決めして一体化するので、
従来例のように連結金具を屈曲して一体化する場合より
も、作業が容易であり、生産性の高い電磁石装置が得ら
れる。そして、可動鉄片と永久磁石とが樹脂材で一体化
されているので、従来例のように連結金具で一体化する
場合よりも、樹脂材が衝撃力を吸収,緩和し、永久磁石
のクラックの発生を防止する。請求項2によれば、少な
くとも永久磁石の露出面全体が樹脂材で被覆されてい
る。このため、可動鉄片から永久磁石に衝撃力が負荷さ
れても、樹脂材が永久磁石全体を支持しているので、永
久磁石にクラックが生じにくい。この結果、永久磁石の
磁気特性が従来例のように経時劣化しない。請求項3に
よれば、可動鉄片と永久磁石とを仮止めしてあるので、
樹脂モールドする際に金型内における位置決めが容易に
なり、生産性が向上する。請求項4によれば、接合用金
属薄膜を溶融して仮止めしてあるので、前述と同様、生
産性を向上できる。特に、適切な低融点の接合用金属材
を選択すれば、永久磁石等の磁気特性を変化させること
なく仮止めできる。請求項5によれば、永久磁石の巾寸
法を可動鉄片の巾寸法よりも狭くしてあるので、永久磁
石と可動鉄片との接合面縁部にレーザ等を照射しやす
い。このため、仮止めが容易になり、生産性が向上す
る。請求項6によれば、永久磁石を可動鉄片のかえり面
でなく、だれ面に重ね合わせてあるので、プレス加工に
よって生じた、いわゆるかえりに永久磁石が当接するこ
となく、密着する。このため、永久磁石と可動鉄片との
間に隙間が生ぜず、磁気特性にばらつきのない電磁石装
置が得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明の一実施形態を示す電磁継電器の分
解斜視図である。
【図2】 図1にかかる電磁継電器を下方から視た場合
の分解斜視図である。
【図3】 図1に示した電磁継電器の組立後を示し、図
(a)は平面部分断面図、図(b)は正面部分断面図で
ある。
【図4】 図3(a)に示した電磁継電器の側面断面図
である。
【図5】 図1に示した樹脂成形前の可動ブロックを示
し、図(a)は上方から視た分解斜視図、図(b)は下
方から視た分解斜視図である。
【符号の説明】
10…電磁石ブロック、11…鉄芯、11a,11b…
磁極部、12…コイル、20…ベースブロック、30…
可動ブロック、31…永久磁石、32…可動接触片、3
2c…接続部、33…可動鉄片、34…絶縁台。
フロントページの続き (72)発明者 山本 安英 京都府京都市右京区花園土堂町10番地 オムロン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭54−87862(JP,A) 特開 昭55−3684(JP,A) 特開 昭55−93624(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 7/08 H01H 50/44

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 断面略コ字形の鉄芯にコイルを巻回して
    形成した電磁石ブロックと、両端部を前記鉄芯の両端磁
    極部に接離可能に配置した可動鉄片に永久磁石を重ね合
    わせて一体化し、かつ、両側面の略中央部から突出する
    軸部を回動支点として支持した可動ブロックとからな
    り、前記電磁石ブロックの励磁,消磁に基づき、前記軸
    部を支点に前記可動ブロックを回動する電磁石装置にお
    いて、 前記可動鉄片と永久磁石との露出面のうち、少なくとも
    両者の外周面に樹脂材を環状に巻き付けるように樹脂モ
    ールドして両者を一体化したことを特徴とする電磁石装
    置。
  2. 【請求項2】 少なくとも前記永久磁石の露出面全体を
    樹脂材で被覆することを特徴とする請求項1に記載の電
    磁石装置。
  3. 【請求項3】 前記可動鉄片と前記永久磁石とを溶接し
    て仮止めしたことを特徴とする請求項1または2に記載
    の電磁石装置。
  4. 【請求項4】 前記可動鉄片と前記永久磁石との接合面
    のうち、少なくともいずれか一方の対向面の少なくとも
    周辺縁部に接合用金属薄膜を形成し、この接合用金属薄
    膜を溶融して仮止めしたことを特徴とする請求項1また
    は2に記載の電磁石装置。
  5. 【請求項5】 前記永久磁石を、前記可動鉄片よりも巾
    狭としたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか
    1項に記載の電磁石装置。
  6. 【請求項6】 前記永久磁石を、前記可動鉄片のだれ面
    に重ね合わせたことを特徴とする請求項1ないし5のい
    ずれか1項に記載の電磁石装置。
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