JP3828806B2 - 中空部を有する釣糸 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、長手方向に延びる中空部を有する釣糸に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、渓流や湖において行われることが多いフライフィッシングやテンカラ釣では、釣糸を水面に浮かせたり、一定の深さ、例えば水面下1メートル以内に維持したり、またはゆっくりと沈降させたりすることが望まれている。そのため、かかる釣りで使用される釣糸には上記目的に応じた浮力が要求される。従来は、ナイロンやテトロンなどの製紐糸またはモノフィラメントを芯糸として、これに発泡ポリ塩化ビニルや発砲ポリウレタンを被覆することにより、釣糸に浮力を与えていた。
しかし、ポリ塩化ビニルやポリウレタンなどの樹脂を発泡させることは技術的に難しく、特に浮力に大きな影響を与える発泡倍率を正確にコントロールすることは容易ではなく、製造工程が煩雑となる。その結果、製品の価格が高価になっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、所望の浮力を与えることができ、工業的に容易に製造できる釣糸を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、芯糸の周りを被覆している被覆部に中空部を設け、その中空部の大きさを調整することにより釣糸の浮力を任意にかつ正確に設定できることを知見した。すなわち、被覆部に中空部を有する釣糸では、芯糸を被覆する際に被覆樹脂の吐出量さえ制御すれば、中空部を所望の大きさに調整することができ、ひいては釣糸の浮力を容易にコントロールすることができる。そのため、被覆部に中空部を有する釣糸では、上記従来の釣糸に比して浮力設定が容易である。
本発明者は、さらに検討を重ねて本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明は、
(1) 芯糸と、芯糸の周りを被覆する被覆部からなる釣糸において、被覆部が長手方向に延びる中空部を有することを特徴とする釣糸、
(2) 芯糸の引張り強度が20g/d以上であることを特徴とする前記(1)に記載の釣糸、
(3) 芯糸または/および被覆部に金属粒子が含有されていることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の釣糸、
に関する。
【0006】
また、本発明は、
(4) さらに、被覆部の外周を覆う最外層が設けられていることを特徴とする前記(1)〜(3)に記載の釣糸、
(5) 最外層が、製紐により形成されていることを特徴とする前記(4)に記載の釣糸、
(6) 超高分子量ポリエチレン繊維が製紐されていることを特徴とする前記(5)に記載の釣糸、
(7) 釣糸が、フライラインまたはシューティングラインであることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の釣糸、
に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる釣糸は、芯糸と、芯糸の周りを被覆する被覆部からなり、被覆部が長手方向に延びる中空部を有することを特長とする。
上記中空部の数は、特に限定されないが、2以上であることが好ましい。また、中空部の数の上限は特に限定されるものではないが、製造が困難とならない程度が好ましく、おおむね20個程度とするのがより好ましい。また、中空部の形状は特に限定されず、略円形であっても、多角形であっても、不定形であってもよい。中でも、中空部は潰れにくい形状を有することが好ましい。さらに、上記中空部の配置も特に限定されないが、均等に設けられている方が中空部が潰れにくいので好ましい。
本発明にかかる釣糸の具体的態様としては、図1または図2に記載の断片形状を有する釣糸が挙げられる。
【0008】
本発明に係る釣糸の断面積に対する中空部の面積の割合(以下、中空率という)は、約1〜50%程度が好ましく、約5〜35%程度がより好ましい。
なお、中空率は、より具体的には次式;中空率(%)=(中空部の面積の総和/釣糸の断面積)×100(数式1)より算出される。下記式中の面積は、光学顕微鏡、例えばニコン社製マイクロフォトS光学顕微鏡に、顕微鏡写真撮影装置を取り付け、本発明に係る釣糸の断面の断面形状を撮影し、測定することができる。
【0009】
本発明にかかる釣糸の芯糸としては、特に限定されず、例えば、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリエステル系、フッ素系、ポリアクリロニトリル系、ポリビニルアルコール系、ポリアセタール系などの合成樹脂からなるフィラメントなどの公知の糸を用いてよい。中でも、上記芯糸としては、高強力繊維を用いることが好ましい。高強力繊維としては、引張り強度が約20g/d程度以上、好ましくは約25g/d程度以上、より好ましくは約30g/d程度以上のものがよい。上限値は、好ましくは約50g/d程度である。また、弾性率が約500g/d程度以上、好ましくは約800g/d程度以上のものも、高強力繊維として挙げられる。弾性率の上限値は、好ましくは、約2000g/d程度である。ここで、引張り強度および弾性率は、例えば、JIS L 1013(1992)「化学フィラメント糸試験方法」に従った方法にて、万能試験機 オートグラフAG−100kNI(商品名 島津製作所製)で測定する。
【0010】
上記高強力繊維としては、具体的には、例えば、超高分子量ポリエチレン繊維、芳香族ポリアミド繊維、ヘテロ環高性能繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ガラス繊維、炭素繊維または金属繊維等が挙げられる。より具体的には、芳香族ポリアミド繊維としては、例えば、パラ系芳香族ポリアミド繊維またはメタ系芳香族ポリアミド繊維などが挙げられる。ヘテロ環高性能繊維としては、例えば、ポリパラフェニレンベンゾビスチアゾール(PBZT)繊維またはポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維などが挙げられる。全芳香族ポリエステル繊維としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸の自己縮合ポリエステル、テレフタル酸とハイドロキノンからなるポリエステルまたはp−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸からなるポリエステルからなる繊維などが挙げられる。ガラス繊維としては、例えば、電気的、機械的性質に優れたいわゆるEガラス繊維、耐薬品性にすぐれたCガラス繊維、Cガラスのアルカリ含量を下げるとともにチタンと亜鉛系融剤を用いたECRガラス繊維、さらにはAガラス繊維、Lガラス繊維、Sガラス繊維、YM31−Aガラス繊維等がある。炭素繊維としては、例えば、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維等が挙げられる。金属繊維としては、例えば合金軟線、銅線、ステンレススチール線、タングステン線などが挙げられる。中でも、本発明においては、超高分子量ポリエチレン繊維、PBO繊維またはパラ系芳香族ポリアミド繊維を用いることが好ましい。
【0011】
上記高強力繊維は、公知の方法で容易に製造することができる。また、本発明においては、例えば、超高分子量ポリエチレン繊維として、例えば東洋紡株式会社製、商品名ダイニーマ、もしくはハネウェル社製 商品名スペクトラ;ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維として、東レ・デュポン株式会社製、商品名ケブラー;コポリパラフェニレン−3,4’−ジフェニルエーテルテレフタルアミド繊維として、帝人株式会社製、商品名テクノーラ;ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維として、デュポン社製、商品名ノーメックス;全芳香族ポリエステル繊維として、例えば株式会社クラレ製、商品名ベクトラン;ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維として、例えば東洋紡績株式会社製、商品名ザイロンなどの市販品を適宜用いてよい。
【0012】
本発明にかかる釣糸の芯糸は、どのような形態を有していてもよい。例えばモノフィラメントであっても、モノマルチフィラメントであっても、マルチフィラメントであってもよい。これらを総称してフィラメントという。また、上記芯糸は、複数本のフィラメントを撚ってなる撚糸、複数本のフィラメントを組んだり編んだりした製紐糸、さらに、複数本のフィラメントを熱接着性樹脂等により融着させた融着糸などの複合糸でもかまわない。これら複合糸の場合、2種以上の糸条を組み合わせても良い。
【0013】
上記複合糸の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を用いてよい。例えば、上記撚糸は、リング撚糸機、ダブルツイスターまたはイタリー式撚糸機など公知の撚糸機を用いて容易に製造することができる。また、上記製紐糸は4本打ち、8本打ち、12本打ち、16本打ちなど公知の製紐機を用いて容易に製造することができる。
【0014】
また、上記融着糸の製造方法としては、下記の方法などが挙げられる。すなわち、(a)融着糸を構成するフィラメントを、バスの中に充填した熱接着性樹脂に浸漬するなど公知方法により熱接着性樹脂を前記フィラメントに含浸させ、または公知方法により熱接着性樹脂を前記フィラメントに塗布し、かかるフィラメントを引き揃えて、さらに所望によりこれに撚りをかけたり、製紐したりした後、熱をかけることにより融着する方法が挙げられる。また、(b)糸条となっている熱接着性樹脂(以下、単に「熱接着性樹脂糸条」という。)を用い、融着糸を構成するすべてのフィラメントが該熱接着性樹脂糸条に接触するように配置して、さらに所望によりこれに撚りをかけたり、製紐したりして、その後熱をかけることにより融着する方法が挙げられる。なお、上記熱接着性樹脂糸条としては、熱接着性樹脂から糸条を作ってもよいし、中心糸に熱接着性樹脂をコーティングした糸条であってもよい。
【0015】
上記融着糸において用いる熱接着性樹脂は、融着糸を構成するフィラメントの融点よりも低融点であることが好ましい。該熱接着性樹脂としては、具体的には、融点が約50〜200℃程度の樹脂、好ましくは約50〜160℃程度の樹脂、より好ましくは融点が約60〜135℃程度の樹脂、特に好ましくは融点が100℃前後の樹脂である。前記融点は、例えばJIS L 1013(1999)に従った方法にて、公知の測定器、例えばパーキンエルマー社製「DSC7」で測定できる。
【0016】
かかる熱接着性樹脂としては、上記融点を有するものであれば公知のものを用いてよいが、具体的には、例えばポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂またはポリアミド系樹脂などが好適な例として挙げられる。また、かかる熱接着性樹脂としては、ホットメルト接着剤を用いるのがより好ましい。
熱接着性樹脂により融着糸を構成するフィラメントを融着させる際の温度は、通常は熱接着性樹脂の融点以上で、かつ前記フィラメントの融点以下の温度、好ましくは約50〜200℃程度、より好ましくは約50〜160℃程度、さらに好ましくは約60〜130℃程度の温度が好適である。
【0017】
本発明にかかる釣糸の被覆部には、公知の合成樹脂を用いてよい。被覆部の合成樹脂(以下、被覆樹脂という。)としては、具体的には、例えば、ポリウレタン、ポリエチレン、共重合ポリエステル、ポリアミド系樹脂、フロロカーボン、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂等が挙げられる。なかでも、環境汚染の観点から、被覆樹脂には塩素原子を含まないほうが好ましい。また、塩素原子を含んでいる樹脂であっても、例えば焼却時にダイオキシンが排出されにくいように処理がなされている樹脂であれば、本発明において好適に用いられる。
【0018】
ポリウレタン樹脂としては、例えば、ジイソシアネートとグリコールとで構成されており、主鎖中にウレタン結合を有する重合体が挙げられる。上記ジイソシアネートとしては、例えばエチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネートまたはヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。また、グリコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコールまたはキシリレングリコール等が挙げられる。このようなポリウレタン樹脂は、ホモポリマーでもよいし、コポリマーであってもかまわない。
【0019】
上記ポリエチレンは、エチレンの重合体であり、ホモポリマーであってもよいし、炭素数3〜10程度の低級α−オレフィン類、例えばプロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン等との共重合体であってもよい。該エチレンとα−オレフィンとの共重合体としては、後者の割合が炭素数1000個あたり平均0.1〜20個程度、好ましくは平均0.5〜10個程度である共重合体を用いるのが好ましい。
【0020】
上記共重合ポリエステルは、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタリン−2,6−ジカルボン酸、フタル酸、α,β−(4−カルボキシフェニル)エタン、4,4’−ジカルボキシフェニルもしくは5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸またはこれらのエステル類と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコールまたはテトラメチレングリコールなどのジオール化合物とから重縮合されるポリエステルの共重合体が挙げられる。
【0021】
ポリアミド系樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン6,10などの脂肪族ポリアミドもしくはその共重合体、または芳香族ジアミンとジカルボン酸により形成される半芳香族ポリアミドもしくはその共重合体などが挙げられる。
【0022】
フロロカーボンとは、フッ素と炭素からなる樹脂をいう。具体的には、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリモノクロロトリフルオロエチレンもしくはポリヘキサフルオロプロピレンまたはその共重合体などが挙げられる。
【0023】
本発明の釣糸においては、芯糸または/および被覆部に金属粒子が含有されていることが好ましい。金属粒子を含有させることにより、釣糸に重さを与えることができ、例えばフライフィッシングやテンカラ釣りにおいては、空気抵抗の大きなフライでも容易にキャスティングを行うことができるようになるという利点を有する。また、中空率と金属粒子の含有量を調整することにより、釣糸の比重を任意に調整することができ、さまざまな重さ、浮力、沈降速度を有する釣糸を提供できるようになるという利点も有する。
【0024】
上記金属粒子としては、公知のものを用いてよく、具体的には、例えば、鉄、銅、亜鉛、スズ、ニッケルまたはタングステン等、またはこれらを混合もしくは合金としたものが挙げられる。中でも、比重の大きいタングステンを用いるのが好ましい。なぜなら、比重の大きい金属を用いると、釣糸に重さを与えやすく、比重を高くする効果が少量の金属添加により現れるため、被覆樹脂や芯糸の物性の低下を極力抑えることができるからである。
【0025】
上記金属粒子は、粒子状のみならず、さらに微細な粉末状であってもよい。上記金属粒子の平均粒径は約20μm程度以下、好ましくは約10μm以下が好適である。金属粒子の粒径が大きすぎると、混合後の全体的な均一性が乏しくなるので上記範囲が好ましい。更にその添加量は、被覆樹脂または芯糸を構成する樹脂100重量部に対して約1〜90重量部程度、より好ましくは約5〜70重量部程度が好適である。
上記金属を含有する被覆樹脂は、単軸又は二軸混練機で被覆樹脂に金属粒子を溶融混練するなど公知の方法により作ることができる。また、上記金属を含有する芯糸は、前述と全く同様にして、金属を含有する樹脂を製造し、かかる樹脂を用いて、例えば溶融紡糸など公知の方法で糸条を作ることにより得られる。
【0026】
本発明にかかる釣糸は、さらに被覆部の外周を覆う最外層が設けられていてもよい。この態様の釣糸において、上述した中空率を算出する場合、最外層の面積は勘案しない。すなわち、中空率は、次式;中空率(%)=(中空部の面積の総和/釣糸の断面積−最外層の面積)×100(数式1’)により算出される。
【0027】
上記態様の釣糸としては、最外層が合成樹脂による被覆層からなる釣糸が挙げられる。すなわち、本発明にかかる釣糸の被覆部の外周が合成樹脂でコーティングされている釣糸が挙げられる。このように合成樹脂で被覆することにより、本発明にかかる釣糸の表面が滑らかになり、また、耐吸水性や耐摩擦性を向上させることができるという利点がある。
上記合成樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、塩化ビニル、アクリル、ウレタン、ナイロン、ポリエステル、エポキシ、酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニルなどの合成樹脂などが挙げられ、エマルジョン型もしくは溶剤型のいずれでも良い。さらには天然ゴムやSBRなどの合成ゴム系統も用いることができる。中でも、ポリプロピレンを用いるのが好ましい。
【0028】
また、上記態様の釣糸としては、上記最外層が製紐により形成されている釣糸も挙げられる。すなわち、本発明にかかる釣糸の被覆部の外周が複数本の糸条で製紐されている釣糸が挙げられる。最外層に用いられる糸条としては、特に限定されないが、超高分子量ポリエチレン繊維を用いることが好ましい。
【0029】
超高分子量ポリエチレン繊維を構成する超高分子量ポリエチレンとしては、分子量が20万程度以上、好ましくは60万程度以上のものが好適に用いられる。かかる超高分子量ポリエチレンは、ホモポリマーであってもよいし、炭素数3〜10程度の低級α−オレフィン類、例えばプロピレン、ブテン、ペンテンまたはヘキセン等との共重合体であってもよい。該エチレンとα−オレフィンとの共重合体としては、後者の割合が炭素数1000個あたり平均0.1〜20個程度、好ましくは平均0.5〜10個程度である共重合体を用いるのが好ましい。また、超高分子量ポリエチレン繊維は、例えば特開昭55−5228、特開昭55−107506などに開示されており、これら公知の方法を用いて容易に製造することができる。また、超高分子量ポリエチレンフィラメントとして、ダイニーマ(商品名 東洋紡株式会社製)やスペクトラ(商品名 ハネウェル社製)等の市販品を用いてもよい。
【0030】
本発明にかかる釣糸は、長手方向において径の変化がないレベルラインであってもよく、長手方向に径が変化するテーパーラインであってもよい。
本発明に係る釣糸の製造方法について、本発明に係る釣糸がレベルラインである場合と、テーパーラインである場合とに分けて説明する。
【0031】
本発明に係る釣糸がレベルラインである場合は、上述の被覆樹脂を用いて芯糸の周りに中空部を有する被覆部を形成し、ついで、所望により、被覆部の周りに最外層を形成するという製造方法が本発明において好適に用いられる。上記製造方法において、芯糸の周りに中空部を有する被覆部を形成する方法としては、特に限定されないが、所望の数および形状の中空部を形成することができる口金を備えた押出被覆機を用いて、芯糸を被樹脂で押出被覆する方法が好適に用いられる。前記押出被覆の際に、口金の形状を変更する、被覆樹脂の相対粘度を変更する等の方法により、釣糸の中空率を任意に設定することできる。
【0032】
本発明にかかる釣糸が合成樹脂からなる最外層を有する場合は、被覆部の周りに合成樹脂を被覆する。前記被覆部の周りに合成樹脂を被覆する方法としては、特に限定されないが、例えば押出法またはディッピング法等が挙げられる。より具体的には、押出法としては、パイプ式押出被覆法などの方法が挙げられる。パイプ式押出被覆による方法は押出被覆機から溶融した樹脂を押し出し、予熱されているコアとなる糸条に当該樹脂を加圧状況下に密着させるものであり、皮膜の密着性が格段に優れたものとなる。また、上記ディッピング法も、公知の方法に従ってよく、具体的には最外層を構成する合成樹脂が入ったバスに中空構造の被覆部を有する上記釣糸を通過させ、さらに余剰の樹脂を取り除き、乾燥させるという方法が挙げられる。その他、例えばアプリケーター、ナイフコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、フローコーター、ロッドコーターまたは刷毛など公知の手段を用いて樹脂を中空構造の被覆部を有する上記釣糸に塗布してもよい。
【0033】
本発明にかかる釣糸が製紐糸からなる最外層を有する場合は、一般的には、中空構造の被覆部を有する上記釣糸を中心に据え、最外層を構成する複数本の糸条を組物機(編物機)にかけ組み上げることにより、上記態様の本発明にかかる釣糸が得られる。製紐の際に用いる糸条の本数は特に限定されないが、例えば4本、8本、12本、16本の場合等が挙げられる。
【0034】
本発明に係る釣糸がテーパーラインである場合も、釣糸の形状をテーパー状にする工程が必要であること以外は、上記レベルラインの製造方法と全く同様である。具体的に、テーパーラインの製造方法としては、テーパー形状を形成する時点により、(a)テーパー状の芯糸を用いる方法、(b)被覆部をテーパー状に形成する方法、および(c)最外層を有する場合は、最外層をテーパー状に形成する方法に、大別することができる。中でも、(b)被覆部をテーパー状に形成する方法を用いることが好ましい。さらに、本発明にかかる釣糸が合成樹脂からなる最外層を有する場合は、(c)最外層をテーパー状に形成する方法を用いることがより好ましい。
【0035】
上記方法において、(b)被覆部をテーパー状に形成する方法としては、公知の方法を用いてよいが、例えば、押出し被覆の際に被覆樹脂の吐出量を変化させるという方法が好適に用いられる。すなわち、径の小さい部分を作製する際は被覆樹脂の吐出量を少なくし、径の大きい部分を作製する際は被覆樹脂の吐出量を多くすることにより、テーパー状を形成することができる。具体的には、例えば、押出被覆機に組み込まれている計量ポンプ(ギヤーポンプ)の回転数を任意に上下させて樹脂の吐出量を変え、さらに、それぞれの状況下における回転数の持続時間をコントロールすることにより、目的とする太部と細部とテーパー部とにおいて、それぞれの長さを持ち合わせているテーパー形状を形成することができる。
また、(c)合成樹脂からなる最外層をテーパー状に形成する方法も、上記と全く同様の方法を用いることができる。
【0036】
上記(a)の方法におけるテーパー状の芯糸は、公知の方法に従って製造することができる。例えば、複数本のフィラメントが製紐されてなる糸条であって、前記複数本のフィラメントのうち一部のフィラメントが、糸条の末端に向かう長手方向の途中で切断除去され、フィラメント数を減ずることで長手方向に径が小さくされており、かつ所望により切断部分が製紐糸の芯に組み込まれているテーパー状糸条を本発明にかかる芯糸として用いてもよい。
また、上記テーパー状の芯糸としては、複数本の糸条によって製紐され、糸条の末端に向かう長手方向の途中で該複数本の糸条のうち一本以上の糸条が径のより小さい糸条に置き換えられることにより、長手方向に径が減少しているテーパー状糸条を用いてもよい。
【0037】
さらに、上記テーパー状の芯糸は、延伸可能なフィラメントを延伸する際に、延伸速度を調整することによりテーパー状を形成させるという方法によっても、製造することができる。ここで、「延伸可能なフィラメント」とは、延伸処理が行われ得るフィラメントをいう。延伸可能なフィラメントとしては、具体的に、例えば、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリエステル系、フッ素系、ポリアクリロニトリル系、ポリビニルアルコール系、ポリアセタール系などの合成樹脂からなるフィラメントが挙げられる。なかでも、本発明においては、超高分子量ポリエチレンフィラメントが特に好ましい。
【0038】
上記テーパー状の芯糸の製造方法としては、より具体的には、延伸速度を上げることにより長手方向に径が小さくなり、延伸速度を下げることにより長手方向の径が大きくなることを利用して、延伸速度に変化を加えることによりテーパー状を形成するという方法が挙げられる。なお、延伸速度を変化させる際には、延伸速度の変化がなだらかに増加傾向または減少傾向に傾斜していることが好ましい。すなわち、延伸時に延伸速度を漸増または/および漸減することが好ましい。延伸速度の変化がそのようななだらかな変化であれば、延伸速度は一定割合で変化してもよいし、変則的に変化してもよい。
【0039】
延伸時の延伸速度は、延伸処理が施される芯糸を構成する繊維の種類または芯糸の太さ等により異なるので、一概にはいえない。例えば、芯糸がフィラメント複数本からなる糸条である場合は、糸条の径の最も大きい部分を形成させる際の延伸速度と、糸条の径の最も小さい部分を形成させる際の延伸速度との比が、1:2〜6程度であることが好ましい。また、芯糸がフィラメントからなる場合は、フィラメントの径の最も大きい部分を形成させる際の延伸速度と、フィラメントの径の最も小さい部分を形成させる際の延伸速度との比が、1:1.5〜4程度であることが好ましい。
【0040】
以上のようにして製造される本発明に係る釣糸は、さらに着色工程に付されてもよい。着色方法は、公知方法を用いてよい。例えば、本発明の釣糸を着色剤溶液が入っている浴に室温、例えば約20〜25℃程度の温度下に通過させ、その後、こうして着色剤が被覆された糸を乾燥し、この被覆糸を約100〜130℃程度の温度に保たれた炉に通し、通過させることによって着色された本発明にかかる釣糸を製造できる。
着色剤としては、無機顔料、有機顔料または有機染料が知られているが、好適なものとしては、例えば、酸化チタン、カドミウム化合物、カーボンブラック、アゾ化合物、シアニン染料または多環顔料などが挙げられる。
【0041】
本発明に係る釣糸は、その用途は特に限定されないが、フライフィッシング用のフライラインもしくはシューティングライン、投げ釣り用釣糸、特にキャスティングラインのちから糸、またはテンカラ釣りに使用される釣糸などに好適に使用される。特に、本発明に係る釣糸は、フライラインまたはシューティングラインに使用されることが好ましい。
【0042】
【実施例】
本実施例においては、芯糸として、400dの超高分子量ポリエチレンマルチフィラメントヤーン(東洋紡績株式会社製、商品名ダイニーマ)を使用した。また、被覆樹脂としてポリウレタン樹脂(商品名;E564PNAT 日本ミクトラン株式会社製)を用いた。
図3に示すように、超高分子量ポリエチレンマルチフィラメントヤーン(以下PEラインと呼ぶ)1のリール2を繰り出し装置3に乗せて、PEライン1が連続して繰り出しができるようにした。PEライン1を、予熱装置4を通して加熱した後、押出成形機5のクロスヘッド6へと導入した。この時の予熱温度を70〜80℃に保った。
図4に示すように、クロスヘッド6で、押出被覆機5により200℃で溶融された被覆樹脂7を、加熱されたPEライン1上に被覆させた。このとき、得られる釣糸の断面形状が図2に示す形状となるように、特定の形状を有する口金が押出被覆機5のクロスヘッド6に設置されている。クロスヘッド導入部には減圧装置8が設置されており、ニップルホルダー9内を減圧しPEライン1と被覆樹脂7が密着状態になるようになっている。ニップルホルダー9に取付けられたパイプニップル10とダイス11の設定は、PEライン1の繊度と被覆厚にあわせて設定した。
【0043】
次いで、図3に示すように、クロスヘッド6により被覆樹脂7が被覆された糸条12を、冷却水槽13により冷却させた。この時クロスヘッド6の出口から冷却水槽13までの距離、すなわちエアギャップ14は、6.5cmとした。次いで、冷却水槽13で冷却された糸条12は、引取装置15により引き取った。この時の速度は200m/分であった。次に、巻取装置16により巻き取りリール17に巻き取った。
以上のようにして、本発明にかかる釣糸を製造した。かかる釣糸の中空率は、15%であった。なお、中空率は、ニコン社製マイクロフォトS光学顕微鏡に、顕微鏡写真撮影装置を取り付け、本発明に係る釣糸の断面の断面形状を撮影し、上記数式1により算出した。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、フライフィッシングやテンカラ釣りなどに好適に用いられる浮力を有する釣糸を、従来よりも簡便かつ効率的に製造することができ、かつその浮力設定も容易となる。
【0045】
また,本発明にかかる釣糸に金属粒子を含有させることにより、釣糸に重さを与えることができる。とくに、フライフィッシングやテンカラ釣りにおいては、フライまたは毛バリなどの軽い仕掛けを使用するため、釣糸自体の重さを利用して釣糸を投げる。それゆえに、金属粒子を含有させ、釣糸に重さを与えることにより、遠くへまたは正確にキャスティングを行うことができる。また、従来のフライラインでは、芯糸を被覆する樹脂の比重が軽いため、遠くへまたは正確にキャスティングを行えるだけの重さを釣糸に持たせるには、被覆樹脂量を多くしなければならず、勢い釣糸の太さが太くなっていた。しかし、金属粒子を含有している本発明の釣糸は、金属粒子の比重が大きいことから、被覆樹脂量が少なくても釣糸に重さを与えることができ、釣糸の太さを細くすることができる。その結果、キャスティングの際に空気抵抗が少なくなり、より正確にキャスティングすることができる。また、釣糸が着水した後の水の抵抗も少なくなるため、潮流に流されにくくなり、ねらった位置から仕掛けが外れにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る釣糸の断面図の一態様を示す。
【図2】 本発明に係る釣糸の断面図の他の態様を示す。
【図3】 本発明に係る釣糸の製造の略示側面図を示す。
【図4】 図3の押出成形機のクロスヘッドを拡大した略示側面図を示す。
【符号の説明】
1 芯糸であるPEライン
2 リール
3 繰り出し装置
4 予熱装置
5 押出成形機
6 クロスヘッド
7 被覆樹脂
8 減圧装置
9 ニップルホルダー
10 パイプニップル
11 ダイス
12 樹脂で被覆された芯糸
13 冷却水槽
14 エアギャップ
15 引取装置
16 巻取装置
17 巻き取りリール
21 被覆部
22 中空部
23 芯糸

Claims (7)

  1. 芯糸と、芯糸の周りを被覆する被覆部からなる釣糸において、被覆部は芯糸を被覆樹脂で押出被覆することにより形成され、被覆部が長手方向に延びる中空部を有し、該中空部は前記押出被覆の際に形成されたものであることを特徴とする釣糸。
  2. 芯糸の引張り強度が20g/d以上であることを特徴とする請求項1に記載の釣糸。
  3. 芯糸または/および被覆部に金属粒子が含有されていることを特徴とする請求項1または2に記載の釣糸。
  4. さらに、被覆部の外周を覆う最外層が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の釣糸。
  5. 最外層が、製紐により形成されていることを特徴とする請求項4に記載の釣糸。
  6. 超高分子量ポリエチレン繊維が製紐されていることを特徴とする請求項5に記載の釣糸。
  7. 釣糸が、フライラインまたはシューティングラインであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の釣糸。
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