JP3828172B2 - 水溶性積層材およびその製造法 - Google Patents

水溶性積層材およびその製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、農薬、土壌改質剤、肥料、忌避剤、洗剤等を包装するのに使用される包装袋に適した積層材であって、低温水溶性ポリビニルアルコール系(以下PVA系と略)繊維よりなる不織布と低温水溶性PVA系フィルムを積層したものよりなる水溶性積層材及びその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
農薬製剤の水田等の水中への散布は、一般的に小型散布機を散布者が背負ったり持ったりして散布している。最近では簡便性、経済性、安全性を考慮して、農薬製剤を発泡剤を入れて単位量づつ大型の錠剤に成型し手で水中に投げ込む方法や、単位量づつ水溶性フィルムで密閉包装した、いわゆるユニット包装物にして、使用時には包装したまま水中に投げ込み農薬製剤を包装フィルムと一緒に水に溶解、分散させて用いる方法などが行われている。また、洗濯用洗剤の分野でも単位量づつ水溶性フィルムで包装された、いわゆるユニット包装物が使用されている。農薬製剤がユニット包装されている場合には、使用時に一定量ずつ計量しなくてもよく、また散布者の手を汚染することもなく、さらには使用後の包装材の処理にわずらわされず環境保全性に優れるといった利点があり用途拡大している。
【0003】
このようなユニット包装に使用される水溶性フィルムは、常温の水に容易に溶解もしくは膨潤してその形態を失うことが必要である。また包装用の水溶性フィルムは機械的強度(特に低温、低湿下での運搬中に耐える衝撃強度)が要求される。このような要求に答える水溶性フィルムとしては、水溶性ポリマーのうち最も強度の高いフィルムが得られる部分ケン化PVA系ポリマーを用いたものが使用されている。
また特公昭35−17335号公報では、クロトン酸含有量2〜20モル%のビニルアルコールクロトン酸共重合体あるいはその塩からなるフィルム、また特開昭64−14244号公報では、アクリル酸、メタクリル酸等のアニオン性モノマーにより変成した水溶性PVA系ポリマーからなるフィルム、特公平6−27205号公報では、オキシアルキレン基、スルホン酸基の少なくとも一種を含有するPVA系ポリマーからなるフィルムがそれぞれ提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこれらの方法のうち、部分ケン化PVAを用いる方法の場合には農薬製剤のアルカリ成分によりPVAがケン化反応をうけて、貯蔵中に次第に完全ケン化PVAに変化して低温水溶性とはならず、難溶性になるといった問題を有している。また、これらの部分ケン化PVAや変性PVAからなるフィルムでは、高温、高湿下で吸湿によりフィルムがタッキングを起こし、フィルム同士が引っ付き合い、剥がすと包装袋が破裂するという問題点も有しており、この問題点が発生することを防ぐために、個々の袋をアルミの除湿袋に入れ、さらに除湿箱で保管するという方法が一般に用いられている。また、フィルムを低温水溶性にするために、フィルムに可塑剤を添加するという方法もあるが、この方法では、可塑剤が農薬製剤に吸収されたり、またフィルム中の可塑剤に農薬製剤が吸収されるため、フィルム性能が変化したり、農薬製剤が可塑剤と化学反応を起こし、農薬製剤の効果が消失するという問題点を有している。さらにこれらの低温水溶性フィルムは低結晶、低配向性の2次元物であるため、低温低湿下と高温高湿下で機械的性質が極端に変動することを防止することは困難である。これらの問題点を解決した低温水溶性PVA系繊維よりなる不織布も提案されているが、微粉末状の内容物が不織布から漏れるといった包装袋としては致命的な問題点がある。
【0005】
以上要するに、従来の技術では、40℃以下の低温水にて大部分が溶解消失し、しかも低温、低湿(例えば−30℃×10%RH)から高温、高湿(例えば40℃×90%RH)の環境変化に対しても物性変動が少なく、さらに微粉末状の内容物が漏れることがない水溶性の包装材料は得られていない。本発明は、上記性能を有する水溶性の包装用として適した材料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成した。すなわち本発明は、融点が140〜220℃の水溶性PVA系繊維からなる不織布又はウェブと、融点が140〜220℃の水溶性PVA系フィルムとが一体化された水溶性積層物からなる水溶解温度0〜40℃の水溶性包装材であり、好ましくは該不織布の表面積の10〜50%の部分に存在している該繊維は大部分が断面扁平度が10〜50である水溶性積層体からなる水溶解温度0〜40℃の水溶性包装材である。そしてその製造方法として、融点が140〜220℃の水溶性PVA系繊維からなるウェブ又は不織布と、融点が140〜220℃の水溶性PVA系フィルムを重ね合わせ、重ね合わせた状態で、熱圧接着する方法を用いるものである。
【0007】
本発明の水溶性積層材は、融点が140〜220℃の水溶性PVA系繊維と融点が140〜220℃の水溶性フィルムからなる。PVA系以外の水溶性繊維やフィルムは強度が低く、実用に供することはできない。PVA系の繊維及びフィルムの融点が220℃を越えると水中溶解温度が40℃を越え、本発明の目的である低温水溶性の積層物を得ることができない。PVA系の繊維及びフィルムの融点が140℃未満では結晶性が低く、強度が低く実用に耐える積層物を得ることができない。PVA系の繊維およびフィルムの融点が160〜210℃であるとより好ましく、170〜205℃であると低温水溶性と不織布とフィルムの積層物性能のバランスの点で最も好ましい。
【0008】
本発明の低温水溶性不織布と低温水溶性フィルムよりなる水溶性積層材に用いることができるPVA系ポリマーとしては、重合度が200〜4500で、アリルアルコール、イタコン酸、アクリル酸やイオン性基を有するモノマーを共重したPVA系ポリマーが好ましい。部分ケン化PVAの場合には、用いる農薬製剤等のアルカリ成分と接触した部分がケン化され、水中溶解温度が40℃以上に上昇する可能性ある。そのためアリルアルコール、イタコン酸、アクリル酸、無水マレイン酸とその開環物、アリルスルホン酸、ビニルピロリドン、エチレン、ピバリン酸ビニルの如きビニル化合物や炭素数4以上の脂肪酸のビニルエステル類及び、上記イオン性基の一部または全量中和した化合物などの変性ユニットより変性したPVA系ポリマーが好適に使用できる。変性ユニットの量は0.2〜10モル%、好ましくは1〜8モル%である。これらの変性PVA系ポリマーの配向度と結晶化度を制御して融点を140〜220℃とする。用いる内容物がアルカリ性でない場合には、もちろん部分ケン化PVAも使用することができる。部分ケン化PVAのケン化度としては70〜96モル%が好ましい。水溶性繊維および水溶性フィルムには、水溶性や機械的強度等を大きく損なわない範囲内で他のポリマーや添加剤、安定剤等が添加されていてもよい。
【0009】
低温水溶性繊維は、このような水溶性PVAを、例えば、ジメチルスルホキシドで代表される有機溶剤に溶解し、得られた溶液を紡糸原液として、メタノール、アセトンやメチルエチルケトン、あるいはこれらとジメチルスルホキシドとの混合液からなる凝固浴中に湿式紡糸または乾湿式紡糸し、得られた紡糸原糸を湿延伸したのち乾燥し、さらに必要により乾熱延伸および熱処理することにより、低温水溶性PVA系繊維が得られ、このPVA系繊維は、高温・高湿条件から低温・低湿条件の広範囲で物性変化が少なく、かつ高温・高湿条件下で繊維同士が強固に接着し合うことも少なく、さらに引張強度で代表される繊維物性においても優れている。またこのような方法で得られた繊維は、通常、断面がほぼ円形である。繊維の太さとしては、0.1〜10デニールの範囲が好ましい。
【0010】
このようにして得た低温水溶性PVA系繊維は、ウェブあるいは不織布とされる。不織布やウェブは、例えば、上記低温水溶性PVA系繊維のフィラメントトウを摩擦帯電による反発作用により開繊したり、あるいは上記低温水溶性PVA系繊維を捲縮、カットしたステープルをカードなどで開繊したりしてウェッブを形成し、これを圧着面積比率が10〜50%である熱エンボスローラーを用い、ウェッブを形成している低温水溶性PVA系繊維の融点より20〜150℃低い温度で3〜100kg/cmの線圧で熱圧着することにより得られる。
【0011】
一方低温水溶性フィルムは、種々の変成PVAより製造できるが、好適な一例を挙げれば、例えば、0.1〜20モル%スルホン酸基含有変成PVAよりなる場合である。このような変成PVAは、酢酸ビニルで代表されるビニルエステルとスルホン酸基含有する重合性単量体を、塊状またはアルコールなどの溶媒を用いた溶液中で、ラジカル開始剤の存在下に重合させて得られた共重合体に、アルカリまたは酸触媒を作用させて部分的にあるいは高度にケン化させることによって得られる。この変成PVAにグリセリン等を加えて水に溶解してPVA濃度約20〜60重量%の水溶液を作製し、この水溶液を熱ロール上に流延し、溶媒の水を蒸発除去することによりフィルムが得られる。得られたフィルムは、必要により、延伸や熱処理が行われていてもよい。延伸は一軸であっても2軸であってもよい。一般に延伸を行うと得られるフィルムは、水溶解時に収縮しやすい傾向を有していることより、未延伸フィルムの状態で用いるのが好ましい。
【0012】
このようにして得られた低温水溶性PVA系繊維からなるウェブまたは不織布と低温水溶性フィルムは重ね合わされ、この状態で熱圧着されることにより、本発明の水溶性積層材が得られる。この積層材は、全表面積の10〜50%の面積部分に存在している該繊維の殆どが断面偏平度10〜50の偏平断面を有していることが好ましい。繊維の断面が偏平になっている面積が10%未満であると接着部分が少なく、不織布の強度が弱く、フィルムとも接着しにくくなる。また、不織布が横方向にせん断を受けると単繊維が外れ毛羽が立ち外観上も好ましくない。面積が50%を越えると接着部分が多く、風合いが硬くなるとともに、引き裂き強度が低くなり不織布とフィルムの積層物が破れやすくなる。より好ましくは12〜30%である。また、繊維の断面が偏平になっている繊維の偏平度が10未満では偏平化による接着効果が不十分で、不織布とフィルムが強固に接着できなく、断面偏平度が50を越えると繊維、フィルム自体の強度が低下し、不織布とフィルムとの積層物の引き裂き強度が低くなり、包装袋用積層物としての性能が低下する。断面偏平度が15〜20であるとより好ましい。
【0013】
本発明の低温水溶性不織布および低温水溶性フィルムからなる積層材の目付は60〜150g/m2が好ましい。積層材の目付が150g/m2を越えるとコスト面やラミネート化する上で製造方法に制約がかかり、一方60g/m2未満では十分な強度が得られない。目付70〜100g/m2であると性能、生産性からより好ましい。また不織布の目付は10〜100g/m2が好ましく、10g/m2未満では単繊維密度が低く、フィルムの補強効果が低くいわゆるコシがなかったり、フィルムの欠点をカバーしたりすることができない。フィルムの厚さは20〜100μmが好ましい。厚さが20μm以下になると強度が低く破れやすくなり、包装袋して使用時に問題を生じることがある。積層材は、不織布一層とフィルム一層からなるものが製造コストの点で好ましいが、性能面からは、フィルムを中間層にして、両面を不織布で覆った3層構造物が、高湿時のフィルム同士の引っ付きやフィルムに添加されているグリセリンの影響を避けることができるため最も好ましい。もちろんこれら以外の積層状態であってもよい。
【0014】
本発明の水溶性積層材の裂断長は0.5〜5kmが好ましい。裂断長が0.5km未満では強度が低く包装袋としては必ずしも満足できるものではない。裂断長が5kmを越しても包装袋としては過剰な強度である。また本発明の水溶性積層材を水に溶解する際の面積収縮率は好ましくは40%以下である。20%以下であるとより好ましく、10%以下であると積層材の寸法をほとんど維持したまま溶解するので、農薬や洗剤等の内容物が均一に分散されることとなり最も好ましい。裂断長および面積収縮率は、例えば使用するPVA繊維およびPVAフィルムとして、高強度でかつ低収縮のもの、たとえば繊維の製造時に熱収縮処理や熱処理を十分に行ったものや上記したように実質的に未延伸のフィルムを使用し、前記した熱エンボス処理を行なうことにより達成され、さらに上記した目付を採用すること等により達成される。本発明の水溶性積層材は低温低湿あるいは高温高湿下で物性変化がなく何ら常温状態の時と比べて感触が変わらなく、積層材にコシがあり製袋性が良好で、しかも粉末状、液体状の内容物が洩れることなく、さらに水中溶解温度が0〜40℃と低いことが特徴であり、40℃以下の水で溶解する低温水溶性積層材を得ることできる。
【0015】
次に前記した方法により得られた不織布およびフィルムから構成された積層材を製造する方法について述べる。
上記の不織布あるいはウエッブをフィルムと重ね合わせ、前記方法と同じく圧着面積比率が10〜50%である熱エンボスローラーを用い、50〜200℃でかつPVA系繊維の融点及びフィルムの融点のうち低い方の融点より20〜150℃低い温度で3〜100kg/cmの線圧で熱圧着し、積層材を得る。
【0016】
熱圧着温度が、不織布あるいはウエッブ形成PVA系繊維の融点およびPVA系フィルムの融点のうち低い方の融点をTmとすると、Tm−20℃より高いと、積層材の風合いが粗硬となり、熱エンボス時の不織布、フィルムの収縮率が大きく好ましくない。Tm−150℃より低いと圧着が不十分となり、ラミネート化されにくく不織布とフィルム間で層間剥離されやすく、また積層材の強度が低くなる。Tm−50℃〜Tm−130℃であるとより好ましい。同様に上記50〜200℃という温度条件も、上記と同様の理由により規定されたものである。エンボスローラーの圧着比率が高い場合は熱圧着温度を低くし、圧着比率が低い場合は熱圧着温度を高く設定することが好ましい。尚、ここでいう熱圧着温度とは不織布、フィルム自体の温度であって、エンボスローラー温度ではない。エンボスローラー速度が低いと不織布、フィルムとローラーの温度はほぼ一致するが、エンボスローラーを高速で回転させると熱伝導が不十分となり、不織布温度は低下するのでエンボスローラー温度は高温に設定する必要がある。
【0017】
熱圧着の線圧が3kg/cm未満であると、熱圧着部分における繊維の断面が充分に偏平とならず、接着面積が大きくならないのでフィルムと接着しにくくなり、不織布とフィルム間で層間剥離をおこし、しかも不織布強度が低くなる。100kg/cmを越えると繊維、フィルム自体があまりの圧力の高さに耐えきれず損傷し、エンボス点周辺で亀裂が入り孔があき、内容物が洩れるという欠点が生じ、さらにラミネート物の強度も低くなるので好ましくない。線圧が10〜80kg/cmであるとより好ましく、15〜40kg/cmであると包装袋として内容物の洩れ、破れがない点でさらに好ましい。本発明の積層材を得る方法としては、上記の熱圧着方法の他に、水溶性かつ熱溶融性の接着剤を用い、熱溶融させて製造する方法等を用いることもできる。
【0018】
本発明の水溶性積層材は、低温低湿あるいは高温高湿下で物性変化がなく何ら常温と感触が変わらず、0〜40℃の低温水に溶解消失することが重要な特性であるが、積層材の水溶解温度は用いるPVA繊維、フィルムの水中溶解温度だけでなく、エンボス時の圧着温度、線圧、圧着比率などの熱圧着条件によっても影響を受けるので注意が必要である。例えば、圧着温度を高くしたり、線圧、圧着比率を大きくすると積層材の水中溶解温度は上がる。これは、繊維、フィルムの結晶性が高くなり、積層材の水中溶解温度が本質的に上がることによるとともに、不織布、フィルムの接着性や不織布の接着性が上がり溶解速度が遅くなり、見掛け上溶解温度が上がることにもよると推定される。
【0019】
本発明の低温水溶性不織布と低温水溶性フィルムよりなる水溶性積層材のエンボス柄の選定については、内容物の洩れがないことが重要であり、好ましくは10〜50%の圧着面積比率を持ったエンボス柄が望ましい。内容物の洩れ、不織布強度、引き裂き強度、コシ、質感等から圧着面積比率10〜25%の変形四角柄や圧着面積比率15〜30%の織目柄が好適である。好ましくは、水溶性積層材から任意の1cm四方の大きさのものを切り出した時に、切り出されたサンプルのいずれにも圧着部分と非圧着部分が存在しているようなエンボス柄が好ましい。
【0020】
次に上記低温水溶性不織布と水溶性フィルムの積層材を水溶性包装袋にする製造方法について一例を挙げて述べる。不織布とフィルムとの積層材を重ね合わせ、それを内部面積が一辺2〜20cmの3〜6辺形となるように一辺を残してヒートシーラーで温度120〜190℃でヒートシールすることにより水溶性包装袋が簡便に製造することができる。包装袋に入れる内容物としては、農薬、土壌改質剤、肥料、忌避剤などの粒状や錠剤固体組成物、液体組成物が使用できる。これら薬剤を所定量上記包装袋に充填し、残りの一辺をヒートシールすることにより充填体が得られる。包装袋の形状としては、上記した多辺形の他に円形であってもよい。
【0021】
なお、本発明で用いた物性値等の定義と測定法は下記の如くである。
(1)PVA系繊維の融点・・・メトラー社示差走査熱量測定装置(DSCー20)を用い、不織布の非圧着部分より採取した繊維サンプル10mgを窒素下20℃/minの速度で昇温した際、吸熱ピークを示す温度を測定する。
(2)繊維断面の偏平度・・・不織布の圧着部分の繊維断面を走査型電子顕微鏡で観察し、単繊維断面の長い方を縦、短い方を横とした時、その各場所を測定、縦/横の比をn=30で測定し、その平均値を求める。
【0022】
(3)裂断長・・・不織布幅1.5cm、長さ3cmの短冊状に各直交する方向で2種類のサンプルを採取し、引張試験機オートグラフで試長2cm、引張速度10cm/minの条件で引張試験をし、最大の応力を示す引張強力(kg/1.5cm)を求める。各n=10で直交する2種類のサンプルについて求め平均の引張強力を求める。別途測定した不織布の目付(g/m2)で引張強力(kg/cm)を除算し、単位を合わせて裂断長(km)を求める。
(4)水中溶解温度・・・2cm×2cmのサンプルを所定の水に24時間浸漬後、サンプルが殆ど溶解消失する最低の水温を測定する。
【0023】
(5)20℃水に溶解時の積層物の面積収縮率・・・2cm×2cmの積層物サンプルを20℃の水に浸漬した際、溶解消失前に不織布全体が収縮する際の面積収縮率(縦方向×横方向)を測定する。また20℃の水に溶解しない場合は、20℃の水に浸漬後1時間経過した時点までの最大収縮率を意味する。
【0024】
【実施例】
次に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例中、%は特にことわらない限り重量にもとずく値である。
実施例1
重合度1700、ケン化度88.0モル%の部分ケン化PVAをジメチルスルホキシド(以下DMSOと表記)/メタノール=90/10の混合溶媒に90℃で8時間撹拌溶解し、PVA濃度20%の紡糸原液を得た。この紡糸原液を孔数2000、孔径0.08mmφのノズルを通して2℃のメタノール/DMSO=90/10の固化浴中に湿式紡糸し、50℃のメタノール浴で4.5倍の湿熱延伸を施し、メタノールで糸篠中のDMSOを抽出し、紡糸油剤を付与し80℃で乾燥し、得られた乾燥原糸を120℃で乾熱延伸倍率1.2倍(総延伸倍率TD=5.4倍)の条件で乾熱延伸し、融点が202℃、水中溶解温度が5℃以下の低温水溶性PVA系繊維を得た。この繊維は断面形状が円形であった。この繊維を捲縮、カットし、2dr×51mmのステープルとし、カードをかけて目付20g/m2のウェッブとした。
【0025】
次にスルホン酸基をPVAの水酸基に対して4モル%含有させたスルホン酸基変成PVAを40部に対してグリセリン10部を加えて、水50部を加えて水溶液を作製し、70℃の熱ロールへ流延し厚さ25μm、融点200℃のフィルムを得た。
上記ウエッブとフィルムを重ね合わせ、圧着面積比率が15%の一辺が2mmの変形四角柄のエンボスローラーを120℃に設定し、線圧35kg/cmで一緒に熱エンボス処理を施しラミネート化した。得られた積層物は、全面積の15%(エンボスロールで押圧された部分)の繊維が断面偏平度約15、残りの繊維が1で、裂断長が2.1kmでありウエッブとフィルムの接着力もしっかりしており十分なコシも有していた。またこの積層物の20℃の水中に対する面積収縮率は10%以下と極めて低かった。この積層物を重ね合わせ、三方をヒートシーラーでシールし、その中に微粉末状の農薬製剤を入れ、その後残りの一辺をヒートシーラーでシールして内部が5cm×5cmの大きさの水溶性包装袋を得た。
【0026】
得られた低温水溶性不織布と低温水溶性フィルムよりなる水溶性包装袋は、手で揉んでも微粉末状の農薬製剤が洩れることなく、不織布部分の単糸がばらけるとか毛羽立つことはなかった。この水溶性包装袋を20℃の水中に投入したところ、直ちに溶解し農薬製剤が均一に分散し始めた。また、この水溶性包装袋を低温低湿下である−30℃で絶乾状態や40℃×93%RH下に24時間以上放置したが、低温低湿下では常温と全く感触は変わず柔軟であり、高温高湿下では包装体が吸湿し重量が増えたものの包装袋同士がひっつくようなタックなどはなかった。
【0027】
実施例2
実施例1で得られた低温水溶性PVA系繊維を捲縮、カットし、2dr×51mmのステープルとし、カードをかけて目付20g/m2の単繊維ウエッブとし、実施例1と同一の圧着面積比率が15%の変形四角柄のエンボスローラーを120℃に設定し、線圧35kg/cmでこのウエッブに熱エンボス処理を施した。得られた不織布は、全面積の15%(エンボスロールで押圧された部分)の繊維が断面偏平度約15、残りの繊維が1であり、裂断長が1.1kmであり、さらに風合いは柔軟で毛羽立ちも見られなかった。
【0028】
次にこの不織布と同じく実施例1で得られた低温水溶性PVA系フィルムを実施例1と同様な方法で熱エンボス処理を施しラミネート化した。得られた積層物は、全面積の15%の繊維が断面偏平度15、残りの繊維が1で、裂断長が2.5kmでありウエッブとフィルムの接着力も強くコシも十分に有していた。このラミネート物の20℃の水中に対する面積収縮率は5%以下と極めて低かった。このラミネート物を実施例1と同様な方法で5cm×5cmの大きさの水溶性包装袋を得た。
【0029】
得られた低温水溶性不織布と低温水溶性フィルムよりなる水溶性包装袋は、手で揉んでも微粉末状の農薬製剤が洩れることなく、不織布部分の単糸がばらけるとか毛羽立つことはなかった。この水溶性包装袋を20℃の水中に投入したところ、直ちに溶解し農薬製剤が均一に分散し始めた。また、この水溶性包装袋を低温低湿下である−30℃で絶乾状態や40℃×93%RH下に24時間以上放置したが、低温低湿下では常温と全く感触は変わず柔軟であり、高温高湿下では包装体が吸湿し重量が増えたものの包装袋同士がひっつくようなタックなどはなかった。
【0030】
比較例1
実施例1で得られた低温水溶性PVA系繊維を捲縮、カットし、2dr×51mmのステープルとし、カードをかけて目付40g/m2の単繊維ウエッブとし、圧着面積比率が20%の織目柄のエンボスローラーを120℃に設定し、線圧35kg/cmでこのウエッブに熱エンボス処理を施した。得られた不織布は、全面積の20%の繊維が断面偏平度20で、裂断長が2.8kmであり風合いは柔軟であり毛羽立ちも見られなかった。この不織布のみで実施例1と同様な方法で5cm×5cmの大きさの水溶性包装袋を得た。得られた低温水溶性不織布よりなる水溶性包装袋は、手で揉むと微粉末状の農薬製剤が洩れ、包装袋としては大きな欠陥となった。
【0031】
比較例2
部分ケン化PVAを用いた厚さ50μmの水溶性PVA系フィルムよりなる水溶性包装袋を実施例1と同様の低温低湿下である−30℃で絶乾状態や40℃×93%RH下に24時間以上放置したが、低温低湿下ではフィルムがパリパリになり、手で揉むとフィルムが破れ微粉末状の農薬製剤が洩れ、高温高湿下では手で触るとタックがありフィルム同士がひっつき、剥がすとフィルムが破れ、農薬製剤がこぼれた。
【0032】
【発明の効果】
本発明は、農薬、土壌改質剤、肥料、忌避剤、洗剤などの粒状や錠剤固体組成物、液体組成物を包装するのに適した、低温水溶性PVA系繊維と低温水溶性PVA系フィルムよりなる積層材であり、各種薬剤を単位量づつこの積層材からなる袋に詰めて用いる、いわゆるユニット包装に用いられる水溶性包装袋として有用であり、この水溶性包装袋は、使用時には包装袋の状態で水中に投げ込み、内容物と包装袋と一緒に水に溶解、分散させて用いることができる。このような各種薬剤を単位量づつ低温水溶性不織布と低温水溶性フィルムとの積層材に包装するユニット包装を用いると、使用時に所定量ずつ計量しなくてもよく手間が省け、作業者の手を汚染させることもなく、さらには使用後の包装袋の処理にわずらわされない簡便性、安全性、環境保全性といった利点がある。従来、農薬製剤、洗剤等包装袋として水溶性フィルムが使用されているが、低温、低湿(例えば−30℃×10%RH)から高温高湿(例えば40℃×90%RH)の環境変化で、水溶性フィルムは顕著に物性変動があり、製品(包装体)の品質管理が厳重になされている。またその欠点を解決した低温水溶性PVA系不織布からなる包装袋では、微粉末、液体状の内容物は洩れてしまうといった問題がある。本発明の低温水溶性PVA系不織布と低温水溶性フィルムよりなる積層材を使用することにより、不織布の部分でフィルムの問題点である低温低湿、高温高湿下の物性変道をカバーし、フィルムの部分で不織布の問題点である微粉末、液体状の内容物の洩れを防止する水溶性包装袋が得られる。

Claims (2)

  1. 融点が140〜220℃の水溶性ポリビニルアルコール系繊維からなる不織布又はウェブと、融点が140〜220℃の水溶性ポリビニルアルコール系フィルムとが一体化された水溶性積層物からなる水溶解温度0〜40℃の水溶性包装材
  2. 融点が140〜220℃の水溶性ポリビニルアルコール系繊維からなるウェブ又は不織布と、融点が140〜220℃の水溶性ポリビニルアルコール系フィルムを重ね合わせ、重ね合わせた状態で、熱圧して一体化することを特徴とする、水溶解温度0〜40℃の水溶性包装材用積層物の製造方法。
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