JP3827602B2 - 無線機器用アンテナ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車内における無線ネットワーク技術に関し、特に無線ネットワークに用いられる車載アンテナ技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、運転者の所持する携帯情報端末および携帯電話等(以下、「情報端末機器」という。)とカーナビゲーション装置とを無線で接続したいという要望がある。また、情報端末機器が、ハンズフリーで取り扱う必要等から、インストルメントパネル(以下、「インパネ」という。)上面に載置される場合も多く、この場合でもカーナビゲーション装置と無線で接続できることが要望されている。
【0003】
このように、カーナビゲーション装置に対して各種の情報端末機器を無線で接続して複数の車内無線ネットワークを確立することが求められているが、たとえばカーナビゲーション装置が、運転者の所持する情報端末機器に対するとともに、インパネ上の情報端末機器に対して同時に無線ネットワークを確立するものは知られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような異なる方向にある複数の無線ネットワークを確立するためには、カーナビゲーション装置に搭載した車載アンテナが、運転者の所持する情報端末機器およびインパネ面上に設置した情報端末機器の両方に対して利得が高いことが必要である。
すなわち、カーナビゲーション装置のアンテナは、運転席方向への指向性を確保しつつ、インパネ上の情報端末機器への指向性を向上させる必要がある。
【0005】
一般にアンテナの形状を変えないで指向性を向上させるために無給電素子を用いることは公知であるが、無給電素子をカーナビゲーション装置に組み込むことは、カーナビゲーション筐体内で余分なスペースが必要となるし、また無給電素子の配置組み付けは容易ではなく、新たにアンテナ形成素子が増すことでコスト高となる欠点がある。
本発明の目的は、カーナビゲーション装置等の無線機器に対して、複数の無線ネットワークを確立することができる無線機器用アンテナを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は、カーナビゲーション装置等の無線機器筐体の組付けネジをアンテナの無給電素子として利用し、インパネ面上方への指向性を向上させるように配置するものである。
本発明の無給電素子としての組付けネジは、無線機器の回路基板と表側筐体との組付けネジとすることができる
【0007】
このように構成すると、車室内の複数の無線ネットワークを同時に確立することができ、無線機器筐体内でのアンテナ用スペースの増加を抑え、無給電素子の配置組み付けを容易にし、アンテナ形成素子が増えることによるコスト高を抑えることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明を適用した自動車内の無線ネットワークの一例であり、インパネ5の前面に配置されたカーナビゲーション装置1はその表示部の側面に本発明の車載アンテナ2を備え、このアンテナ2を介してインパネ5上面に載置された情報端末機器3との間に無線ネットワーク7を形成し、同時に、運転者の所持する情報端末機器4との間に無線ネットワーク8を形成している。
【0009】
インパネ5の上面に載置された情報端末機器3は、インパネ5上に単に置かれるものであってもよいし、インパネ5上の充電可能なクレードル等に載置されるものであってもよい。また、情報端末機器4は、運転者が所持しているものに限らず、運転席周辺に配置されているものであってもよい。
情報端末機器としては、携帯電話、PHS、携帯情報端末(PDA)、電子手帳、ノートパソコンその他が含まれるが、図には携帯電話を示してある。
【0010】
図2は、本発明のカーナビゲーション装置1の分解斜視図である。
カーナビゲーション装置1の筐体は、複数のスイッチおよび液晶表示装置等の表示部(図示せず)を備えたカーナビゲーション表側筐体11とカーナビゲーション裏側筐体12とで構成され、カーナビゲーション回路基板6を内蔵している。回路基板6には、逆Fアンテナ21が載置され、回路基板6とカーナビゲーション表側筐体11とは、組付けネジ22を含む複数の組付けネジで一体化され組み立てられる。
【0011】
組付けネジ22は、逆Fアンテナ21に対して無給電素子として作用し、逆Fアンテナとともに本発明によるアンテナ2を構成する。
すなわち、本発明の一実施形態であるアンテナ2は、逆Fアンテナ21と組付けネジ22からなり、組付けネジ22が無給電素子として作用するものである。逆Fアンテナ21は、運転者の保持する情報端末機器4との無線ネットワーク8に最適に調整されたもので、これを組付けネジ22からなる無給電素子によって、インパネ上面に載置された情報端末機器3に対しても無線ネットワーク7にも対応できるようになった。
【0012】
以下、図3を参照して、本発明のアンテナ2の作用を説明する。
図3(a)には、回路基板6上のアンテナ2を構成する逆Fアンテナ21と組付けネジ22である無給電素子の概略を示し、図3(b)には、アンテナ2の平面図を示す。
図2に示したように、アンテナ2は、本例では、車室内に垂直に配置された回路基板上に設けられるから、逆Fアンテナの放射導体板は座席方向に向き、無給電素子となる組付けネジは座席方向に垂直となる。図3では、運転者の左右方向をx軸、上下方向をy軸、逆Fアンテナの放射導体板が向かう座席方向をz方向として示した。
【0013】
逆Fアンテナ21自体は公知であり、内側の足23が給電部となる。本例の逆Fアンテナの放射導体板の横幅W、高さH、奥行きDは、それぞれ18mm、10mm、18mmである。
組付けネジ22は、カーナビゲーション装置の回路基板と表側筐体とを組付けるネジの1本であり、長さL、逆Fアンテナの給電点からの間隔R、設置角度θを選定して無給電素子として利用する。長さL、逆Fアンテナの給電点からの間隔Rは、送受信電波の波長の1/4とするのが、アンテナ利得の点から好ましく、本例(送受信電波2.45GHz)においては、それぞれ32mm、30mm程度である。なお、組付けネジ22の直径は既存ネジの直径3mmとしたが、ネジとして機能する大きさの直径であればよい。
【0014】
無給電素子としての組付けネジ22は、アンテナからの電波を反射する作用をし、アンテナの給電部を中心として組付けネジの配置されている場所とは反対方向への電波の指向性を高める。
したがって、組付けネジの設置角度θは、どの方向の指向性を高めるかによって適宜選択できる。本例の場合は、インパネ上方への指向性を高めるように、設置角度θを12°としている。
なお、アンテナ本体を逆Fアンテナで構成したが、他のアンテナを利用してもよい。
【0015】
図4〜6により、本発明の無給電素子によるインパネ上方の電波の指向性の改善を示す。
図4は、回路基板上に無給電素子を設けることなく逆Fアンテナのみを配置して実測した結果を示し、図5は、逆Fアンテナに加えて無給電素子である取付けネジを前述のように配置(設置角度θは12°、図5では168°である。)して実測した結果である。図6は、電波の指向性を高めたい範囲を具体的に示した図である。
【0016】
図4および図5に示すグラフの中心は、カーナビゲーション装置のアンテナ2の給電部23の給電点であり、グラフは給電部23を通る垂直な平面(xy平面)における利得を示す。半径方向の数字が利得を表わし、その単位はdBである。図4〜図6において両矢印で示す範囲Aは、電波の指向性を向上させたい範囲を示す。図6から分るように、範囲Aは、カーナビゲーション装置1のアンテナ2からみたインパネ上方にあって、図のおおよそ290°〜320°の範囲である。無給電素子は、図5中168°の方向に設けられる。
【0017】
図4と図5を対比すると、無給電素子が反射器として作用して無給電素子側の指向性が低下し、その反対側の範囲Aで指向性が増加していることがわかる。範囲Aでは、約2.8dB増加しており、指向性の改善は顕著である。また、320°〜360°、0°〜60°の範囲においても指向性の改善が認められる。無給電素子を配置して指向性が減少する範囲は座席の下方であり、指向性が減少しても特に問題とならない。
【0018】
図7は、運転者方向のアンテナの指向特性を実測した結果を示す図である。図7に示した指向特性は、車室内に備えられた逆Fアンテナの給電点を中心とした水平面を上方から、すなわちy方向から見下ろしたxz平面(z方向は運転席等の座席方向)において測定された。図4及び図5に示したインパネ方向の指向特性を測定した平面とは直交する面での指向特性を実測したものである。アンテナの放射導体板はz方向(角度0°の方向)に向かい、運転者は0°〜90°の範囲に存在することになる。
太線aは、本発明の無給電素子を備えたアンテナの運転者方向の指向特性を示し、細線bは、無給電素子を備えない場合の運転者方向の指向特性を示す。図から分るように、無給電素子を設置することによる運転者方向(0°〜90°)の指向性の変化はほとんど見られなかった。すなわち、本発明の無給電素子は運転者方向の指向性を妨げるものではないことが判る。
【0019】
このように、必要でない方向に放射している電波を無給電素子により反射してインパネ上に向けることによって、カーナビゲーション装置と運転者、およびカーナビゲーション装置とインパネ上部との2つの無線ネットワークを同時に確立することができた。
なお、カーナビゲーション装置のアンテナに対してだけでなく、車両に搭載される他の無線機器用アンテナに対して、本発明が適用できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による無線ネットワークの一例を示す図である。
【図2】本発明の車載アンテナを備えたカーナビゲーション筐体の分解斜視図である。
【図3】本発明の車載アンテナの概略を示す図である。
【図4】無給電素子を備えないアンテナの指向性を示す図である。
【図5】本発明の無給電素子を備えたアンテナの指向性を示す図である。
【図6】本発明の無給電素子により指向性を高める範囲の一例を示す図である。
【図7】本発明の車載アンテナの運転者方向の指向性を示す図である。
【符号の説明】
1…カーナビゲーション装置
2…車載アンテナ
21…逆Fアンテナ
22…無給電素子
3、4…情報端末機器
5…インパネ
6…回路基板
7、8…無線ネットワーク

Claims (4)

  1. 車内無線ネットワークに接続する無線機器用アンテナであって、
    前記無線機器の組付けネジからなる無給電素子を備え
    前記組付けネジは、インストルメントパネル面上方への指向性を向上させるように配置される無線機器用アンテナ。
  2. 前記無線機器はカーナビゲーション装置である請求項1に記載の無線機器用アンテナ。
  3. 前記組付けネジは、カーナビゲーション装置の回路基板と表側筐体との組付けネジである請求項1又は2に記載の無線機器用アンテナ。
  4. 前記組付けネジは、長さ1/4波長で、前記アンテナの給電点から1/4波長離れた位置に配置されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の無線機器用アンテナ。
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