JP4999098B2 - 複合アンテナ - Google Patents

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Description

本発明は、1つの地板上に2以上のアンテナを備えた車載用の複合アンテナに関するものである。
従来より、車載用アンテナとして、GPS用アンテナや移動電話用アンテナ等が車室内のインストゥルメンタル・パネル(以下ではインパネという)等に設置されて用いられている。また、これら2つ以上のアンテナを1つの地板を共有して統合した複合アンテナも知られている(例えば特許文献1)。従来から用いられているこれらのアンテナは、主に車外からの電波の受信や車外との通信に用いられるものである。
一方、近年は車室内での無線通信に対するニーズも高まっており、例えば運転中の移動電話の使用に無線のハンズフリー機器を用いるといったニーズがある。また、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)や各種モバイル機器等を用いて車室内で無線データ通信を行うニーズも高まっている。これらの無線通信には、例えばブルートゥース方式が用いられ、ブルートゥース対応の車内無線通信用アンテナを車室内に設置して利用される。アンテナの設置スペースや車室内の景観の観点から、車内無線通信用アンテナも他のアンテナと統合して複合アンテナに組み込むようにする強いニーズがある。
特開2005−260566号公報
車内無線通信用アンテナでは、車室内のほぼ全域にわたって高い利得が得られるのが望ましく、車室内中央に向けて高い指向性を有するように設置する必要がある。しかしながら、他のアンテナと統合して複合アンテナとして用いる場合には、限られた大きさの地板の上に他のアンテナとともに配置する必要があり、配置スペースが大きく制約される。また、他のアンテナと使用周波数帯が近いと、それとの干渉により好ましい特性が得られなくなるといった問題もある。特に、車内無線通信にブルートゥースを用いる場合には、移動電話の電波との干渉が問題となる。
そこで、本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、モノポール動作のアンテナの指向性を容易に調整可能とし、他のアンテナとの干渉を低減させた複合アンテナを提供することを目的とする。
本発明の複合アンテナの第1の態様は、第1のアンテナを含む2以上のアンテナを備えて車室内に設置される複合アンテナであって、前記第1のアンテナを含む2以上のアンテナは、それぞれ異なる通信方式に対応しており、前記第1のアンテナは、第1の地板の中心を基準に前記車室の中心方向に前記第1の地板の前後方向長さの1/4以上オフセットされて前記車室の中心方向に指向性を有するモノポール動作のアンテナであることを特徴とする。
本発明の複合アンテナの他の態様は、前記第1のアンテナは、前記第1の地板上に設置されていることを特徴とする。
本発明の複合アンテナの他の態様は、前記第1のアンテナは、前記第1の地板の上方に非接触で平行に配置されて中心が前記第1の地板の中心と実質的に一致する第2の地板上に設置されていることを特徴とする。
本発明の複合アンテナの他の態様は、前記第1のアンテナは、ブルートゥースを用いた車内無線通信用アンテナであることを特徴とする。
本発明の複合アンテナの他の態様は、前記第1の地板上に設置されたモノポール動作の第2のアンテナをさらに備え、前記第2のアンテナは、前記第1の地板の中心を基準に前記第1のアンテナとは反対側に前記第1の地板の前後方向長さの1/4以上オフセットされていることを特徴とする。
本発明の複合アンテナの他の態様は、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとは、前記第1の地板の中心から等しい距離だけオフセットされて前記第1の地板の中心に対し対称に配置されていることを特徴とする。

本発明の複合アンテナの他の態様は、前記第2のアンテナは、前記第1の地板の中心を基準に前記車室の中心とは反対の方向にオフセットされていることを特徴とする。
本発明の複合アンテナの他の態様は、前記第2のアンテナは、前記車室の外方向に指向性を有する移動電話用アンテナであることを特徴とする。
本発明の複合アンテナの他の態様は、天頂方向に指向性を有する第3のアンテナをさらに備え、前記第3のアンテナは、前記第1の地板の略中心に対応する位置に設置されたパッチアンテナであることを特徴とする。
本発明の複合アンテナの他の態様は、前記第3のアンテナは、前記第1の地板上に設置されていることを特徴とする。
本発明の複合アンテナの他の態様は、前記第3のアンテナは、前記第1の地板の上方に非接触で平行に配置されて中心が前記第1の地板の中心と実質的に一致する第2の地板上に設置されていることを特徴とする。
本発明の複合アンテナの他の態様は、前記第3のアンテナは、GPS用アンテナであることを特徴とする。
本発明の複合アンテナの他の態様は、前記車室内のインストゥルメンタル・パネルに設置されることを特徴とする。
本発明の複合アンテナの他の態様は、前記車室内のリアトレイに設置されることを特徴とする。
本発明によれば、モノポール動作のアンテナを地板中心から所定距離以上オフセットさせることにより、指向性を容易に調整可能として他のアンテナとの干渉を低減させた複合アンテナを提供することができる。
本発明の好ましい実施の形態における複合アンテナについて、図面を参照して詳細に説明する。なお、同一機能を有する各構成部については、図示及び説明簡略化のため、同一符号を付して示す。本発明の複合アンテナは、モノポール動作のアンテナを含む2以上のアンテナを統合して構成されており、モノポール動作のアンテナが好ましい指向性を有するようにその配置が決定されている。
本発明の第1の実施の形態に係る複合アンテナを図1、2に示す。図1は、本実施形態に係る複合アンテナ100の斜視図を示しており、図2は、複合アンテナ100の平面図を示している。複合アンテナ100は、1つの地板110を共有してその上にモノポール動作する直線偏波の第1のアンテナ120と第2のアンテナ130、および円偏波の第3のアンテナ140とを備える構造としている。
以下では、説明簡略化のために、複合アンテナ100の構造を図1に示す座標系(X軸、Y軸、Z軸)を用いて説明する。図3に示すように、X軸方向を車体10の前後方向とし、X軸の正の向きが車体10の後方としている。また、Y軸を車幅方向、Z軸を車高方向としている。
3つのアンテナ120、130、及び140は、X軸方向に1列に配置されており、円偏波の第3のアンテナ140を中心にモノポール動作する2つのアンテナ120、130が、その前後に配置されている。第1のアンテナ120および第2のアンテナ130は、ともに地板110に対し垂直に立設された線状アンテナとしている。このようなモノポールアンテナでは、地板110に対しアンテナ120、130とは反対側にそれぞれの鏡像が形成され、それぞれが実質的にダイポールアンテナと同等に動作する。
本実施形態では、第1のアンテナ120を車内無線通信用アンテナとしており(以下では車内無線通信用アンテナ120と記述する)、これに第2のアンテナ130と第3のアンテナ140を統合して複合アンテナ100を構成している。車内無線通信用アンテナ120として、ブルートゥース通信用のアンテナとすることができる。ブルートゥースを用いた通信では、中心周波数2.45GHz帯(以下では第1の周波数という)の電波が利用される。車内無線通信用アンテナ120は、車室内のどの場所でも高い利得が得られるような放射パターンを有しているのが望ましい。
一例として、複合アンテナ100を車室内の前部に設置する場合、車内無線通信用アンテナ120は、図3に示すように、車室11の中心11aに向かって電波を放射するように設置されるのがよい。図3は、車室11の前部に備えられたインパネ12の上部に複合アンテナ100を設置する場合を示している。
図3では、インパネ12の上部に設置された複合アンテナ100内の車内無線通信用アンテナ120から車室11の中心11aに向かって放射パターンが形成されることを模式的に示している。インパネ12は、車室11の前方上部に位置することから、この位置から車室11の後下方に車内無線通信用アンテナ120の放射パターンが形成されるようにするのがよい。これにより、車室11のほぼ全域で、車内無線通信用アンテナ120から良好な利得の電波を受信できるようにすることができる。
モノポール動作する車内無線通信用アンテナ120の放射パターンを、図4を用いて説明する。図4は、車内無線通信用アンテナ120の放射パターンの一例を示す模式図である。車内無線通信用アンテナ120を地板110の端部から離れた中心付近に配置すると、図4(a)に示すような断面が8の字形状でXY平面上では無指向性のドーナツ形状の放射パターン21が形成される。このとき、利得が大きく低下している角度であるヌル点22は、Z軸方向に形成される。
これに対し、図4(b)に示すように車内無線通信用アンテナ120を地板110の端部近傍に配置すると、放射パターン断面の8の字が斜めに傾くようになる。すなわち、地板110の端部側の放射パターンがZ軸の負側に下がり、地板110の中心側の放射パターンがZ軸の正側に上がった放射パターン23となる。また、ヌル点24もZ軸方向から傾いた方向に形成される。
本実施形態の複合アンテナ100では、車内無線通信用アンテナ120を、図4(b)に示すように、地板110のX軸方向正側(すなわち、車室の中心方向)の端部に近づけることで、図3に模式的に示したような車室11の中心11aに向けて放射する放射パターン23を形成させている。このとき、ヌル点24は、車体10の天井中心方向に形成されるため、車室11内での通信に実質的に影響しない。このような好適な放射パターンを得るために、本実施形態では車内無線通信用アンテナ120を地板110のX軸方向中心線111から所定距離(第1の距離)だけ車室11の中心方向にオフセットさせて設置している。
車内無線通信用アンテナ120の好ましい設置位置を、図2を用いて説明する。同図では、地板110のX軸方向(車体10の前後方向)の長さをLとしており、車内無線通信用アンテナ120が地板110のX軸方向中心線111からオフセットされる第1の距離をA1としている。
車内無線通信用アンテナ120が図3に示したような好適な放射パターンを形成するためには、その設置位置を地板110のX軸方向中心線111から車室11の後方に(X軸の正側に)長さLの1/4以上オフセットさせるのがよい。図2では、地板のX軸方向中心線111から距離B1以上離れた領域を符号113で示しており、距離B1をL/4に等しくしたときの領域113が車内無線通信用アンテナ120の好ましい設置位置となる。なお、車内無線通信用アンテナ120の車幅方向(Y軸方向)の好ましい設置位置は、地板110に対し対称となるY軸方向中心線112上とするのがよい。
車内無線通信用アンテナ120のアンテナ特性が、地板中心111からのオフセット距離A1の大きさによってどのように変化するかの一例を、図5〜7を用いて説明する。ここでは、車内無線通信用アンテナ120の中心周波数を2.45GHz(第1の周波数)とし、地板110のX軸方向長さLを40mm(符号51)および60mm(符号52)としてシミュレーション計算した結果を示している。
図5は、第1の距離A1がL/4に等しいときの車内無線通信用アンテナ120の放射パターンの一例を示している。同図に示す角度は、0°が天頂方向、90°が車体10の後方向(車室方向)としている。同図より、地板110のX軸方向長さLが40mmのとき(符号51)および60mmのとき(符号52)とも、車室11の方向(0〜180°の範囲)に高い利得が得られることがわかる。
図6は、地板110のX軸方向長さLに対する第1の距離A1の割合を横軸としたときの、車室方向(図5の0〜180°の範囲)における平均利得の最大値と最小値との差(利得差)の一例を示している。同図より、地板110のX軸方向長さLが40mmのとき(符号51)および60mmのとき(符号52)とも、車室方向における利得差は、オフセット割合が0.25以上のときに小さいことがわかる。車室方向における利得差が小さい場合には、車室方向による通信性能のムラが少なく、車室11内のどの場所でも同程度の通信性能が得られることを示している。
図7は、地板110のX軸方向長さLに対する第1の距離A1の割合を横軸としたときの、利得最小(ヌル点)の角度方向の一例を示している。同図より、地板110のX軸方向長さLが40mmのとき(符号51)および60mmのとき(符号52)とも、ヌル点は、車室方向(図5の0〜180°の範囲)から十分離れた車室の外方向に形成されていることがわかる。
図5〜7に示した車内無線通信用アンテナ120のアンテナ特性の一例より、地板110のX軸方向長さLが40mmのとき(符号51)および60mmのとき(符号52)とも、車内無線通信用アンテナ120を地板110のX軸方向中心線111よりL/4以上オフセットさせて配置するのがよいことがわかる。
本実施形態の複合アンテナ100では、地板110のX軸方向中心線111に対し車内無線通信用アンテナ120とは反対側に、第2のアンテナ130を備えた構成としている。第2のアンテナ130も車内無線通信用アンテナ120と同様のモノポール動作のアンテナとしている。第2のアンテナ130は、車外との通信等に用いられるものであり、例えば移動電話用アンテナである。第2のアンテナ130は車外との通信等に用いることから、車外の方向に高い利得が得られるのが好ましい。
地板110上に車内無線通信用アンテナ120と第2のアンテナ130の2つのモノポール動作のアンテナを配列した場合、それぞれの使用周波数帯によっては両者間の干渉が問題となる。例えば、車内無線通信用アンテナ120の使用周波数帯を2.45GHz(第1の周波数)とし、第2のアンテナ130の使用周波数帯を2.05GHz(移動電話用周波数帯、以下では第2の周波数という)としたときには、両者間の干渉が生じる可能性がある。
本実施形態の複合アンテナ100では、車内無線通信用アンテナ120と第2のアンテナ130との間の干渉を回避するために、第2のアンテナ130に対しても地板110上の好ましい配置位置を設定している。第2のアンテナ130の好ましい配置位置を、図8を用いて説明する。図8は、車内無線通信用アンテナ120および第2のアンテナ130の放射パターンの一例を示す模式図である。
図8において、車内無線通信用アンテナ120および第2のアンテナ130がともに地板110の端部から十分離れている場合には、ともに水平方向に指向性を有することになり、同図(a)のように両者の放射パターン21、31の重なりが大きくなって強く干渉し合うことになる。その結果、アンテナ120、130とも良好な特性が得られなくなってしまう。複数のアンテナを統合した複合アンテナでは、このようなアンテナ間の干渉が大きな問題となる。
これに対し、図4を用いて説明したように、車内無線通信用アンテナ120と同様に、第2のアンテナ130を車外方向(X軸の負方向)に地板110のX軸方向中心線111から所定距離以上オフセットさせることにより、車内無線通信用アンテナ120との干渉を低減させることが可能となる。車内無線通信用アンテナ120とともに、第2のアンテナ130もオフセットさせて配置したときの放射パターンを模式的に図8(b)に示す。
図8(b)において、第2のアンテナ130を、車内無線通信用アンテナ120が配置されている地板110の端部とは反対側の端部に近接させて配置している。このとき、第2のアンテナ130の放射パターン33の断面の8の字が、車内無線通信用アンテナ120の放射パターン23とは略鏡面対称に傾くようになる。すなわち、地板110のX軸負側(端部側)の放射パターンがZ軸の負側に下がり、地板110の中心側の放射パターンがZ軸の正側に上がった放射パターン33となる。また、ヌル点34もZ軸方向から傾き、車内無線通信用アンテナ120のヌル点24とは反対の車外方向に形成される。
上記のように、第2のアンテナ130についても、車内無線通信用アンテナ120と同様に、地板110のX軸方向中心線111から所定距離以上オフセットさせるのがよい。第2のアンテナ130は、X軸方向中心線111に対し車内無線通信用アンテナ120と対称な位置に配置するのが好ましく、図2に示す領域114内に設置するのがよい。同図では、第2のアンテナ130が地板110のX軸方向中心線111からオフセットされる第2の距離をA2としており、領域114を距離B2以上オフセットさせた領域としている。
第2のアンテナ130の好ましい配置位置である領域114は、領域113と対称となるように距離B2をL/4とした領域とするのがよい。そして、第2のアンテナ130をオフセットさせる第2の距離A2を、車内無線通信用アンテナ120と対称となるように第1の距離A1と等しくするのがよい。これにより、車内無線通信用アンテナ120と第2のアンテナ130との干渉を回避するとともに、第2のアンテナ130の特性として車外方向に利得の高い好ましい放射パターンが得られる。
車内無線通信用アンテナ120と第2のアンテナ130との干渉を、アイソレーションの大きさで評価した結果を以下に説明する。それぞれのオフセット距離A1、A2を変化させたときのアイソレーションの変化の一例を、図9に示す。ここでは、第1の距離A1と第2の距離A2を等しくしており、図9では、地板110のX軸方向長さLに対するオフセット距離A1(=A2)の割合を横軸としたときのアイソレーションの大きさの一例を示している。アイソレーションは、車内無線通信用アンテナ120と第2のアンテナ130との間の結合度合いを示すもので、S21特性の負の絶対値が大きいほど結合度合いが低いことを示している。
図9に示したアイソレーションは、第1の周波数と第2の周波数の間の全周波数範囲での最悪値(結合度合いの最も高いもの)をプロットしたものである。同図でも、地板110のX軸方向長さLを40mm(符号51)および60mm(符号52)としてシミュレーション計算した結果を示している。同図より、オフセット距離の第1の距離A1および第2の距離A2をL/4以上とすることで、地板110のX軸方向長さLが40mmのとき(符号51)および60mmのとき(符号52)とも、車内無線通信用アンテナ120と第2のアンテナ130とのアイソレーションを十分大きくして干渉を回避できることがわかる。
車内無線通信用アンテナ120と同様に、第2のアンテナ130についても、オフセット距離の第2の距離A2とアンテナ特性との関係を、図10〜12に示す一例を用いて説明する。ここでも、第2のアンテナ130の中心周波数を第2の周波数(2.05GHz)とし、地板110のX軸方向長さLを60mmとしている。また、地板110のX軸方向長さLを40mm(符号51)および60mm(符号52)としてシミュレーション計算した結果を示している。
図10は、第2の距離A2がL/4に等しいときの第2のアンテナ130の放射パターンの一例を示している。同図より、地板110のX軸方向長さLが40mmのとき(符号51)および60mmのとき(符号52)とも、車室11の外方向(0〜―180°の範囲)に高い利得が得られることがわかる。
図11は、第2の距離A2の割合を横軸としたときの、車室の外方向(図10の0〜―180°の範囲)における利得差の一例を示している。同図より、地板110のX軸方向長さLが40mmのとき(符号51)および60mmのとき(符号52)とも、車室の外方向における利得差は、オフセット割合が0.25以上のときに小さいことがわかる。図12は、第2の距離A2の割合を横軸としたときの、利得最小(ヌル点)の角度方向の一例を示している。同図より、地板110のX軸方向長さLが40mmのとき(符号51)および60mmのとき(符号52)とも、ヌル点は、車室の外方向(図5の0〜―180°の範囲)から十分離れた車室方向に形成されていることがわかる。
図9〜12に示したアイソレーションおよび第2のアンテナ130のアンテナ特性の一例より、車内無線通信用アンテナ120のオフセット方向とは反対の方向に、第2のアンテナ130を地板110のX軸方向中心線111よりL/4以上オフセットさせて配置するのがよいことがわかる。
本実施形態の複合アンテナ100では、車内無線通信用アンテナ120と第2のアンテナ130に加えて、さらに第3のアンテナ140を備える構成としている。第3のアンテナ140は、円偏波のアンテナとしており、例えばGPS用アンテナ(中心周波数1.575GHz)とすることができる。GPSアンテナは、天頂方向に高い利得を有しているのがよく、また円偏波の電波を受信することから、天頂方向に指向性を有するように地板110の略中心に配置するのがよい。
第3のアンテナ140は円偏波のアンテナとしていることから、直線偏波の車内無線通信用アンテナ120および第2のアンテナ130との干渉が問題になることはない。このように、本実施形態の複合アンテナ100では、3つのアンテナのそれぞれの配置を適切に設定することにより、それぞれが好ましいアンテナ特性を維持して一つの地板110上に配置させることが可能となる。とくに、車内無線通信用アンテナ120を地板110の中心から所定距離以上オフセットさせることにより、車内無線通信用アンテナ120が車室内のほぼ全域にわたって高い利得を有するとともに、第2のアンテナ130との干渉を低減させることが可能となる。
なお、本実施形態では車内無線通信用アンテナ120と対称の位置にモノポール動作の第2のアンテナ130が配置される構造としていたが、第2のアンテナ130は必ずしも配置されている必要はなく、その場合でも車内無線通信用アンテナ120を上記のようにオフセットさせるのがよい。同様に、地板110の中央に配置していた第3のアンテナ140も、必ずしも配置されている必要はない。
また、上記実施形態では、複合アンテナ100が車室11の前方にあるインパネ12に設置される場合について説明したが、複合アンテナ100を車室11の後方に設置してもよい。車室11の後方として、例えば図3に示すリアトレイ13に複合アンテナ100を設置することができる。
複合アンテナ100を車室11の後方に設置する場合でも、車内無線通信用アンテナ120を地板中心111から車室中心11a側にオフセットさせるのがよく、X軸の負側(車両10の前方側)にオフセットさせることになる。この場合には、車内無線通信用アンテナ120の好ましい設置位置は、図2に示した領域114となる。第2のアンテナ130を備える場合には、第2のアンテナ130の好ましい配置位置は、領域113となる。
本発明の複合アンテナの別の実施形態を、図13を用いて説明する。図13は、本実施形態に係る複合アンテナ200の斜視図を示している。本実施形態の複合アンテナ200では、車内無線通信用アンテナ220が地板110に対し略平行に配置されている。この場合、車内無線通信用アンテナ220の放射パターンは、車内無線通信用アンテナ220を中心に地板110より上側に形成されるが、車内無線通信用アンテナ220を地板110の端近傍にオフセットすることにより、地板110より下側にも放射パターンが形成される。
本実施形態の複合アンテナ200においても、車内無線通信用アンテナ220を図2に示した領域113内に配置するのがよく、これにより車室1のほぼ全域で高い利得が得られる。すなわち、本実施形態においても、車内無線通信用アンテナ220を地板110のX軸方向中心線111よりL/4以上オフセットさせるのがよい。
本発明の複合アンテナの別の実施形態を、図14を用いて説明する。図14は、地板110のY軸方向中心線112における本実施形態の複合アンテナ300の断面図を示している。上記の実施形態では、1つの地板110を共有してその上にモノポール動作する直線偏波の第1のアンテナ120または220と第2のアンテナ130、および円偏波の第3のアンテナ140とを備える構造としていた。
これに対し、図14に示す複合アンテナ300では、地板310(以下では第1の地板という)上に第2のアンテナ330のみが設置され、第1のアンテナ320および第3のアンテナ340は、第1の地板310とは別の第2の地板311上に設置されている。本実施形態では、モノポール動作する第1のアンテナ320と第2のアンテナ330とを別の地板上に設けるようにしている。また、円偏波の第3のアンテナ340は、第1のアンテナ320と同じ地板(第2の地板311)上に設けるように構成されている。
第1の地板310と第2の地板311とは、平行でそれぞれの中心がほぼ一致するように配置されている。また、第2の地板311は第1の地板310の上方に配置されるようにしている。このように構成された複合アンテナ300では、第2の地板311上に設置された第1のアンテナ320についても、第1の地板310を基準にオフセットする。すなわち、第1の地板の中心から長さL1/4以上オフセットさせた領域313の範囲内で、第1のアンテナ320を第2の地板311上に設置するのがよい。
地板を1枚または2枚としたとき、それぞれに搭載するアンテナの組み合わせとして、例えば図15に示すものがある。図15(a)では、第1の地板310に第1のアンテナ320と第2のアンテナ330を搭載し、第2の地板311には第3のアンテナのみを搭載している。
また、図15(b)乃至(g)は、アンテナを2つとしたときの組み合わせを示しており、図15(b)、(c)は、第1のアンテナ320と第3のアンテナ340を搭載した場合、図15(d)、(e)は第2のアンテナ330と第3のアンテナ340を搭載した場合、図15(f)、(g)は第1のアンテナ320と第2のアンテナ330を搭載した場合、をそれぞれ示している。このうち、図15(b)、(d)、(f)は、2つのアンテナが第1の地板310のみに搭載されており、図15(c)、(e)、(g)は、2つのアンテナが2枚の地板310、311のそれぞれに搭載されている場合を示している。本発明の複合アンテナとして、図15に示すような形態を用いてもよい。
なお、上記では、車内無線通信用アンテナである第1のアンテナ320が地板310および311に対し垂直に設置されているものを示したが、複合アンテナ200と同様に、第1のアンテナ320が地板310および311に対し略平行に配置されていてもよい。
モノポール動作する直線偏波の第1のアンテナ120(または220、320)および第2のアンテナ130(または230、330)として、上記で説明した直線形状の線状アンテナだけでなく、これ以外のモノポール動作するアンテナを用いることも可能である。モノポール動作するアンテナの一例を図16に示す。
図16において、(a)はこれまで説明したものと同様の線形状の線状アンテナ410を示している。また図16(b)は、逆Lアンテナ420の断面図を示しており、地板401上にL字を上下反転させた形状を有している。図16(c)は、逆Fアンテナ425の断面図を示しており、図16(b)の逆Lアンテナ420に短絡線427を追加した形状を有している。逆L部426は図示しない給電点に接続されているのに対し、短絡線427は地板401に接続されている。逆Fアンテナ425では、たとえば短絡線427の位置を調整することでインピーダンスを調整することが可能となっている。さらに図16(d)は、MTLA(Modified Transmission Line Antenna;変形伝送線路アンテナ)430の斜視図を示している。本発明の複合アンテナでは、車内無線通信用のモノポール動作のアンテナ、および車外との通信用のモノポール動作のアンテナのそれぞれに、図16に示すモノポール動作のアンテナのいずれかを用いることが可能である。
なお、本実施の形態における記述は、本発明に係る複合アンテナの一例を示すものであり、これに限定されるものではない。本実施の形態における複合アンテナの細部構成及び詳細な動作等に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本発明の実施形態に係る複合アンテナの斜視図である。 第1の実施形態に係る複合アンテナの平面図である。 車室内の複合アンテナの設置場所を示す車体側面図である。 第1の実施形態の車内無線通信用アンテナの放射パターンの一例を示す模式図である。 第1の実施形態の車内無線通信用アンテナの放射パターンの一例を示す図である。 第1の実施形態の車内無線通信用アンテナの車室方向における利得差の一例を示す図である。 第1の実施形態の車内無線通信用アンテナのヌル点の角度方向の一例を示す図である。 車内無線通信用アンテナおよび第2のアンテナの放射パターンの一例を示す模式図である。 アイソレーションの大きさの一例を示す図である。 第2のアンテナの放射パターンの一例を示す図である。 第2のアンテナの車室の外方向における利得差の一例を示す図である。 第2のアンテナのヌル点の角度方向の一例を示す図である。 本発明の別の実施形態に係る複合アンテナの斜視図である。 本発明の別の実施形態に係る複合アンテナの断面図である。 2枚の地板を有する複合アンテナの別の実施例を示す断面図である。 モノポール動作するアンテナの一例を示す断面図および斜視図である。
符号の説明
10 車体
11 車室
12 インパネ
13 リアトレイ
21、23、31、33 放射パターン
22、24、32、34 ヌル点

100、200、300 複合アンテナ 110、310、311、401 地板

111 X軸方向中心線
112 Y軸方向中心線
113、114 領域 120、220、320 車内無線通信用アンテナ(第1のアンテナ)
130、330 第2のアンテナ

140、340 第3のアンテナ
410 モノポールアンテナ
420 逆Lアンテナ
425 逆Fアンテナ
430 MTLA

Claims (14)

  1. 第1のアンテナを含む2以上のアンテナを備えて車室内に設置される複合アンテナであって、
    前記第1のアンテナを含む2以上のアンテナは、それぞれ異なる通信方式に対応しており、
    前記第1のアンテナは、第1の地板の中心を基準に前記車室の中心方向に前記第1の地板の前後方向長さの1/4以上オフセットされて前記車室の中心方向に指向性を有するモノポール動作のアンテナである
    ことを特徴とする複合アンテナ。
  2. 前記第1のアンテナは、前記第1の地板上に設置されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の複合アンテナ。
  3. 前記第1のアンテナは、前記第1の地板の上方に非接触で平行に配置されて中心が前記第1の地板の中心と実質的に一致する第2の地板上に設置されている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の複合アンテナ。
  4. 前記第1のアンテナは、ブルートゥースを用いた車内無線通信用アンテナである
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の複合アンテナ。
  5. 前記第1の地板上に設置されたモノポール動作の第2のアンテナをさらに備え、
    前記第2のアンテナは、前記第1の地板の中心を基準に前記第1のアンテナとは反対側に前記第1の地板の前後方向長さの1/4以上オフセットされている
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の複合アンテナ。
  6. 前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとは、前記第1の地板の中心から等しい距離だけオフセットされて前記第1の地板の中心に対し対称に配置されている
    ことを特徴とする請求項5に記載の複合アンテナ。
  7. 前記第2のアンテナは、前記第1の地板の中心を基準に前記車室の中心とは反対の方向にオフセットされている
    ことを特徴とする請求項5または6に記載の複合アンテナ。
  8. 前記第2のアンテナは、前記車室の外方向に指向性を有する移動電話用アンテナである
    ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の複合アンテナ。
  9. 天頂方向に指向性を有する第3のアンテナをさらに備え、
    前記第3のアンテナは、前記第1の地板の略中心に対応する位置に設置されたパッチアンテナである
    ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の複合アンテナ。
  10. 前記第3のアンテナは、前記第1の地板上に設置されている
    ことを特徴とする請求項9に記載の複合アンテナ。
  11. 前記第3のアンテナは、前記第1の地板の上方に非接触で平行に配置されて中心が前記第1の地板の中心と実質的に一致する第2の地板上に設置されている
    ことを特徴とする請求項9または10に記載の複合アンテナ。
  12. 前記第3のアンテナは、GPS用アンテナである
    ことを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の複合アンテナ。
  13. 前記車室内のインストゥルメンタル・パネルに設置される
    ことを特徴とする請求項1乃12のいずれか1項に記載の複合アンテナ。
  14. 前記車室内のリアトレイに設置される
    ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の複合アンテナ。
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