JP3827304B2 - 軌道車両の運行支援システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軌道車両の運行支援システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、LRT(Light Rail Transit:新型路面電車,軽快電車のことで軌道車両の一種)は、低床式車両のため乗り降りが容易に出来る乗り物であるということ,設備投資費を削減できる鉄道システムであること,排気ガスがなく低騒音で環境面にやさしい乗り物であること等の特徴からヨーロッパ各国,熊本,広島等で導入され運行している。
従来のLRTの運行支援システムについて図を参照し詳細に説明する。図5は従来のLRTの運行支援システムの構成図である。図5において、1は架線,2は軌道,3はLRTを示している。図5において、矢印は信号のやり取りを示している。尚、本明細書において、個別の機器について識別する必要のある時には、a,b,c等の符号を付して説明する。個別の機器について識別する必要の無い時には、a,b,c等の符号を省略する。
従来のLRTの運行支援システムは、トロリーコンタクト4a,トロリーコンタクト4b,運転状態表示板5,サーバー6から構成されている。
従来のLRTの運行支援システムにおいて、トロリーコンタクト4aは停留所内の架線1に設けられている。トロリーコンタクト4bは、トロリーコンタクト4aの設けられた停留所の隣の停留所に設けられている。運行状態表示板5は、トロリーコンタクト4aの設置された停留所に設置されている。
【0003】
このように構成された運行支援システムにおいて、LRT3がトロリーコンタクト4aの下を通過すると、トロリーコンタクト4aはサーバー6にトロリーコンタクト4aの下をLRT3が通過したという情報を送信する。トロリーコンタクト4bもトロリーコンタクト4aと同様にLRT3が通過した際に、サーバー6にLRT3が通過したという情報を送信する。サーバ−6は、トロリーコンタクト4aの設けられている停留所と、トロリーコンタクト4bの設けられている停留所の間の区間に何台のLRT3が運行しているかをトロリーコンタクト4a及びトロリーコンタクト4bから入力された情報により計算し、運行状態表示板5に送信する。運行状態表示板5は、サーバー6から入力された情報に基づき停留所間に何台LRTが存在するか(混雑度)を表示する。LRT3の運転手は、運行状態表示板5の表示内容によって速度をコントロールしLRTが密集しないようにする。
【0004】
【非特許文献1】
著者不明,「運行管理・保安システム」, [online],1項3〜7行「広電本社電車部内〜ことを教える」及び1項15〜24行「全停留所には〜そこで発車する」部分,[2002年9月18日検索]
インターネット<URL:http://www.urban.ne.jp/home/yaman/trans2.htm>。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし従来のLRTの運行支援システムにおいて、運転手は停留所に到着するまでは、路線の混雑度の状況を把握することができないので、例えば一つ目の停留所では混雑マークが表示されていなかったのに、二つ目の停留所では、混雑度が高いマークが表示されているというような状況が起こる可能性がある。このような状況において、LRTが自動車の渋滞のようにダンゴ運転をしなければならなくなり、運行効率が低下する。このダンゴ運転の解消のために、渋滞の原因となったLRTが速いスピードで運転すれば良いとも考えられるが、LRT(軌道車両)は、軌道法との関係から、時速40kmを超えて運転することができない上、交差点などでは速度を落とす必要があるので、LRTは、実際には10〜20km/hでしか運行できないため、速度を早くする方法は採用できない。
そこで本発明の目的は、運行効率を向上することの出来る軌道車両の運行支援システムを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に基づく軌道車両運行支援システムは、軌道車両と、軌道車両の運行を管理する運行管理センターと、常時走行中の前記軌道車両の位置情報を得ることができる位置検出手段と、前記軌道車両に搭載され前記位置検出手段により検出された前記軌道車両の位置情報を運行管理センターに通信する第1の通信手段と、前記運行管理センターに設置され、複数の軌道車両群にそれぞれ設置された前記第1の通信手段と通信する第2の通信手段と、前記運行管理センターに設置され、前記第2の通信手段により受信された前記複数の軌道車両の位置情報と線区の地理的情報を元に全車両の正確な位置を把握し前記第2の通信手段から前記第1の通信手段に前記軌道車両の位置情報を送信させる位置情報処理手段と、前記各軌道車両に搭載され、前記位置情報処理手段により求められた前記軌道車両の位置情報を表示する表示入力装置とを有し、前記位置情報処理手段は、前記軌道車両の前方かつ前記軌道車両の運行している区間及び前記軌道車両の運行している区間の次の区間を運行している他の軌道車両の位置情報のみをそれぞれの前記軌道車両に前記第2の通信手段により送信することと、前記位置情報処理手段は、停留所を中心に設定された検知ゾーンの内部に前記軌道車両が到達したことをもって、前記軌道車両が前記停留所に到達したと判定し、前記軌道車両が前の区間から次の区間に侵入したと判定することを特徴とする。
本発明に基づく軌道車両運行支援システムは、軌道車両と、軌道車両の運行を管理する運行管理センターと、常時走行中の前記軌道車両の位置情報を得ることができる位置検出手段と、前記軌道車両に搭載され前記位置検出手段により検出された前記軌道車両の位置情報を運行管理センターに通信する第1の通信手段と、前記運行管理センターに設置され、複数の軌道車両群にそれぞれ設置された前記第1の通信手段と通信する第2の通信手段と、前記運行管理センターに設置され、前記第2の通信手段により受信された前記複数の軌道車両の位置情報と線区の地理的情報を元に全車両の正確な位置を把握し前記第2の通信手段から前記第1の通信手段に前記軌道車両の位置情報を送信させる位置情報処理手段と、前記各軌道車両に搭載され、前記位置情報処理手段により求められた前記軌道車両の位置情報を表示する表示入力装置とを有し、前記位置情報処理手段は、前記軌道車両の前方の所定距離内を運行している他の軌道車両の位置情報のみをそれぞれの前記軌道車両に前記第2の通信手段により送信することと、前記位置情報処理手段は、前記軌道車両の前方の所定距離を中心に設定された検知ゾーンの内部に他の軌道車両が到達したことをもって、前記他の軌道車両が前記軌道車両の前方の所定距離外に出たものと判定することを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
本発明に基づく第1の実施の形態の軌道車両運行支援システムについて、図を参照し詳細に説明する。図1は、本発明に基づく第1の実施の形態の軌道車両運行支援システムの構成図である。図2は、本発明に基づく第1の実施の形態の軌道車両運行支援システムの判定方法の一例である。図3は、本発明に基づく第1の実施の形態の軌道車両運行支援システムにおける、車両の画面表示の一例である。図中の矢印は、信号のやり取りを示している。尚、図5に記載したものと構造上同一のものついては、同一符号を付して説明を省略する。
本発明に基づく第1の実施の形態の軌道車両運行支援システムは、GPS衛星6を利用し、LRT3に搭載されたGPS送受信器7,制御装置8,表示入力装置9,通信装置10,運行管理センター11に設けられた位置情報処理装置12,通信装置13,モニター14から構成されている。
このように構成された軌道車両運行支援システムにおいて、走行中のLRT3aは、GPS衛星6を利用しGPS受信器7により、その走行位置を求める。GPS受信器7により検知された位置情報は、車上の処理を行なう制御装置8を介して表示入力装置9,通信装置10に送られる。表示入力装置9は、制御装置8を介して入力された位置情報を運転手に見えるように表示する。通信装置10は、制御装置8を介して入力された位置情報を、電波により運行管理センター11に設けられた通信装置13へ送信する。通信装置13は、LRT3aに搭載された通信装置10から位置情報を随時受信するともに、LRT3bからも同様に位置情報を随時受信する。通信装置13は、LRT3a及びLRT3bから受信したそれぞれの位置情報を、位置情報処理装置12及び通信装置13に出力する。位置情報処理装置12では、通信装置13から入力された位置情報の正当性を線区の地理的情報から検証し、LRT3a及びLRT3bの位置を演算し、モニタ14へ出力する。モニタ14は、位置情報演算装置からの情報に基づき運行状況を表示する。通信装置13は、位置情報処理装置12から入力されたLRT3bの位置情報を、LRT3bの後ろを運行しているLRT3aの通信装置10に送信する。LRT3aの表示入力装置9は、通信装置10,制御装置8を介して入力されたLRT3bの位置情報により、LRT3bがどの位置にいるのかを表示することができる。
【0008】
このように構成された軌道車両運行支援システムにおいて、停留所間を一つの区間としてLRT3aが運行している区間(通りすぎたところは表示しない)と次の区間を、LRT3aの表示入力装置9に表示する。
このように構成された軌道車両運行支援システムにおいて、LRT3の停留所15を通過することによる、区間18への進入及び区間17からの進出を運行管理センター11の位置情報処理装置12にて判定する(図2参照)。位置情報処理装置12は、GPSシステムに測定誤差が存在するため、測定誤差を考慮して、検知ゾーン16を停留所15を中心にして円状に設定している。例えば、GPSシステムの測定誤差が50mである場合には、停留所15を中心に50mの半径を有する円が検知ゾーン16となる。位置情報処理装置12は、検知ゾーン16よりLRT3の位置が内側に入ったことにより、後方走行区間17から前方走行区間18へ進入したものとみなす。このようにLRT3の位置情報を判定することにより、どのような位置検出手段(例えば、トランスポンダと車輪の回転検知計を組み合わせたもの)を採用しても、多少の誤差を吸収することが出来る。
【0009】
このように構成された軌道車両運行支援システムにおいて、LRT3に搭載された表示入力装置9は、図3に示すように位置情報を表示する。図3の(a)は、現在走行中の区間とその次の区間にLRT3bとLRT3cが運行していた場合の、表示方法である。表示入力装置9には、区間の境目22や前方にいるLRT3b及びLRT3cの位置情報をマークと自車からの距離(○.○km,×.×km等)により、運転手に分かり易く表示すると共に、停留所までの距離(△.△km,▽.▽km等),区間の名称20,現在時刻21も表示する。図3の(b)は、現在走行中の区間とその次の区間に運行しているLRT3がいなかった場合の表示入力装置9の表示例である。次の区間までにLRTがいないため、停留所までの距離,区間名20,時刻21と自車の位置情報(この場合は、LRT3aの位置情報)が表示される。
このように構成された軌道車両運行支援システムにおいて、LRT3の運転手が、表示入力装置9に表示された情報を見ることにより、常に区間の情報を得ることが出来る。運転手が、常に区間の混雑状況を把握することができるため、ダンゴ運転をしなければならないような状況も発生せず、運行効率を向上させることが出来る。
【0010】
このように構成された軌道車両運行支援システムは、従来の軌道車両運行支援システムのように、停留所毎にトロリーコンタクトや運転状態表示板を設置する必要がないため、より少ない費用で導入することができる。
このように構成された軌道車両運行支援システムは、誤差のある位置測定機器(GPS等)を使用しても、運行支援システムを構築できるという利点がある。
尚、本発明に基づく第1の実施の形態の軌道車両運行支援システムは、表示入力装置9において、現在位置とその次の区間を表示することとしているが、LRT3が運行している区間のみを表示させ、検知ゾーン16の内部にLRT3が到達した時点で次の区間を表示させることもできるため、本発明に基づく軌道車両運行支援システムは、現在位置とその次の区間を表示することのみに限定はしない。
このように構成された軌道車両運行支援システムは、表示入力装置において、前方の停留所迄の距離を表示させているが、前方車両までの距離や指定した前方の位置までの距離や、また予め定められた自車の停留所通過予定時刻などでも良く、これらを複数行にして表示させても良いため、停留所迄の距離のみに限定はしない。
【0011】
(第2の実施形態)
本発明に基づく第2の実施の形態の軌道車両運行支援システムについて、図を参照し詳細に説明する。図4は、本発明に基づく第2の実施の形態の軌道車両運行支援システムの構成図である。尚、図1乃至図3に記載したものと構造上同一のものついては、同一符号を付して説明を省略する。
本発明に基づく第2の実施の形態の軌道車両運行支援システムは、本発明に基づく第1の実施の形態の軌道車両運行支援システムと機器の構成上は同一であるが、位置情報処理装置12による位置情報の判定の方法と表示入力装置9の表示方法の点で異なる。
本発明に基づく第2の実施の形態の軌道車両運行支援システムは、LRT3aの現在位置23から進行方向に2kmの位置24の範囲を運行しているLRT3b及びLRT3cの位置情報をLRT3aの通信装置10に送信する。
このように構成された軌道車両運行支援システムにおいて、表示入力装置9は自車(この場合はLRT3a)の位置23から2km先の位置24の間に存在するLRT3b,LRT3c,停留所19などと、現在自車のいる区間名20と現在時刻21を表示する。
このように構成された軌道車両運行支援システムにおいて、LRT3の運転手が、表示入力装置9に表示された情報を見ることにより、常に2km先の混雑情報を得ることが出来る。運転手が、常に区間の混雑状況を把握することができるため、ダンゴ運転をしなければならないような状況も発生せず、運行効率を向上させることが出来る。
【0012】
このように構成された軌道車両運行支援システムは、誤差のある位置測定機器(GPS等)を使用しても、運行支援システムを構築できるという利点がある。
このように構成された軌道車両運行支援システムは、従来の軌道車両運行支援システムのように、停留所毎にトロリーコンタクトや運転状態表示板を設置する必要がないため、より少ない費用で導入することができる。
尚、本発明に基づく第2の実施の形態の軌道車両運行支援システムにおいて、表示入力装置9では、2km先まで表示するものとしたが、表示する範囲は鉄道会社や運転手が適宜決定し、表示入力装置9から設定すればよく特に2kmに限定されるものではない。
本発明に基づくの軌道車両運行支援システムにおいて、通信装置10と通信装置13との通信方法は、必要な情報が送信可能なものであれば任意のもので良く、アナログ通信,デジタル通信,時分割多重方式,周波数多重方式,PHSなど特定の通信方式に限定するものではない。
【0013】
【発明の効果】
本発明により、運行効率を向上することの出来る軌道車両の運行支援システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく第1の実施の形態の軌道車両運行支援システムの構成図である。
【図2】本発明に基づく第1の実施の形態の軌道車両運行支援システムの判定方法の一例である。
【図3】本発明に基づく第1の実施の形態の軌道車両運行支援システムにおける、車両の画面表示の一例である。
【図4】本発明に基づく第2の実施の形態の軌道車両運行支援システムの構成図である。
【図5】従来のLRTの運行支援システムの構成図である。
【符号の説明】
1・・・架線
2・・・軌道
3・・・LRT
4・・・トロリーコンタクト
5・・・運転状態表示板
6・・・サーバー
7・・・GPS送受信器
8・・・制御装置
9・・・表示入力装置
10・・・通信装置
11・・・運行管理センター
12・・・位置情報処理装置
13・・・通信装置
14・・・モニター
15・・・停留所
16・・・検知ゾーン
17・・・後方走行区間
18・・・前方走行区間
19・・・停留所
20・・・区間名
21・・・時刻
22・・・区間の境目
23・・・現在位置
24・・・位置

Claims (3)

  1. 軌道車両と、
    軌道車両の運行を管理する運行管理センターと、
    常時走行中の前記軌道車両の位置情報を得ることができる位置検出手段と、
    前記軌道車両に搭載され前記位置検出手段により検出された前記軌道車両の位置情報を運行管理センターに通信する第1の通信手段と、
    前記運行管理センターに設置され、複数の軌道車両群にそれぞれ設置された前記第1の通信手段と通信する第2の通信手段と、
    前記運行管理センターに設置され、前記第2の通信手段により受信された前記複数の軌道車両の位置情報と線区の地理的情報を元に全車両の正確な位置を把握し前記第2の通信手段から前記第1の通信手段に前記軌道車両の位置情報を送信させる位置情報処理手段と、
    前記各軌道車両に搭載され、前記位置情報処理手段により求められた前記軌道車両の位置情報を表示する表示入力装置とを有し、
    前記位置情報処理手段は、前記軌道車両の前方かつ前記軌道車両の運行している区間及び前記軌道車両の運行している区間の次の区間を運行している他の軌道車両の位置情報のみをそれぞれの前記軌道車両に前記第2の通信手段により送信することと、
    前記位置情報処理手段は、停留所を中心に設定された検知ゾーンの内部に前記軌道車両が到達したことをもって、前記軌道車両が前記停留所に到達したと判定し、前記軌道車両が前の区間から次の区間に侵入したと判定すること
    を特徴とする軌道車両の運行支援システム。
  2. 軌道車両と、
    軌道車両の運行を管理する運行管理センターと、
    常時走行中の前記軌道車両の位置情報を得ることができる位置検出手段と、
    前記軌道車両に搭載され前記位置検出手段により検出された前記軌道車両の位置情報を運行管理センターに通信する第1の通信手段と、
    前記運行管理センターに設置され、複数の軌道車両群にそれぞれ設置された前記第1の通信手段と通信する第2の通信手段と、
    前記運行管理センターに設置され、前記第2の通信手段により受信された前記複数の軌道車両の位置情報と線区の地理的情報を元に全車両の正確な位置を把握し前記第2の通信手段から前記第1の通信手段に前記軌道車両の位置情報を送信させる位置情報処理手段と、
    前記各軌道車両に搭載され、前記位置情報処理手段により求められた前記軌道車両の位置情報を表示する表示入力装置とを有し、
    前記位置情報処理手段は、前記軌道車両の前方の所定距離内を運行している他の軌道車両の位置情報のみをそれぞれの前記軌道車両に前記第2の通信手段により送信することと、
    前記位置情報処理手段は、前記軌道車両の前方の所定距離を中心に設定された検知ゾーンの内部に他の軌道車両が到達したことをもって、前記他の軌道車両が前記軌道車両の前方の所定距離外に出たものと判定すること
    を特徴とする軌道車両の運行支援システム。
  3. 前記請求項1及び請求項2記載の軌道車両の運行支援システムにおいて、
    前記位置検出手段は、GPSであることを特徴とする軌道車両の運行支援システム。
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