JP3826854B2 - 煙感知器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、煙濃度データをサンプリングし、予め設定した火災判断レベル値と比較する毎に、アップダウンカウンタを計数して、その計数結果に基づいて、火災発報または火災復旧を行なうようにした煙感知器に関する。
【0002】
【従来の技術】
アップダウンカウンタによる蓄積動作を利用して、ノイズなどの短時間のデータ変化による誤発報を防止するようにした煙感知器が知られている。
【0003】
図6は、従来のこの種の煙感知器の要部構成を示したブロック図である。
【0004】
従来のこの種の煙感知器は、火災により発生する煙の濃度を検知する煙濃度検知部と、検知した煙の濃度を電圧値に変換する煙濃度データ計測部と、計測した煙濃度データと火災判断レベル値とを比較し、その結果にもとづいてアップダウンカウンタをカウントアップまたはダウンして、火災発報または火災復旧を判断する火災判断部とを備えている。
【0005】
図7には、アップダウンカウンタの基本動作を示している。
【0006】
火災判断部は、煙濃度データを所定周期でサンプリングし、煙濃度データ≧火災判断レベル値であればカウンタを+1し、煙濃度データ<火災判断レベル値であればカウンタを−1し、
火災発報中でない場合にカウンタ値が最大値(5)になれば、火災発報
火災発報中の場合にカウンタ値が最小値(0)になれば、火災復旧
と判断する。
【0007】
図8には、煙濃度データの時間経過を示すグラフを示している。
【0008】
煙濃度データをサンプリングしたときに、そのサンプリング値が所定の火災判断レベル値以上であれば、カウントアップ動作となって、「1」が加算され、サンプリング値が所定の火災判断レベルより小さければ、カウントダウン動作となって、「1」を減算し、その計数値が火災発報レベル、つまり最大値(例えば、「5」)になったとき火災発報し、計数値が火災復旧レベル、つまり最小値(例えば、「0」)になったときに火災復旧する。
【0009】
なお、計数値が火災発報レベルに到達した後は、サンプリング値が火災判別レベルを超えても、計数値は最大値を保持し、計数値が火災復旧レベルに到達した後は、サンプル値が火災判別レベルより小さくなっても、計数値は最小値を保持する。
【0010】
このように、アップダウンカウンタを設けると、煙濃度データ≧火災判断レベル値を一定時間継続した場合にかぎり火災発報し、また煙濃度データ<火災判断レベル値を一定時間継続した場合にかぎり火災復旧するので、瞬間的に煙濃度データが火災判断レベル値を上下して変化するノイズなどによる火災の誤発報や誤復旧を防止することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のこの種の煙感知器では次のような問題がある。
【0012】
図9は、通常監視(火災発報信号が出力されていない)状態でのノイズ発生とカウンタ値との関係を示す時系列グラフである。
【0013】
グラフで示すように、ノイズが連続して発生する場合には、1回のノイズが終了して煙濃度データが通常値に戻り、その後すぐに次のノイズが発生することがある(図中の矢印A)。そうすると、カウンタ値が最小値の「0」まで下がらないうち(図例では「1」)にカウントアップを開始し、実際には、「2」から「5」までの4カウントしかしていないのに火災発報してしまう。
【0014】
また、図10に示すように、火災発報信号の出力状態で連続したノイズが発生すると、カウンタが十分に上がらないうちに次のノイズによりカウントダウンし(図中の矢印B)、その結果、少ない数のカウントダウンにより誤復旧してしまう。
【0015】
一般にノイズは連続して発生することが多いため、ノイズによる誤発報防止のために設けたアップダウンカウンタが上記のように誤動作してしまい、感知器が誤発報、誤復旧してしまうというトラブルがあった。
【0016】
また、このようなトラブルは、カウンタの最大値や最小値を調整するだけでは解決できるものではなかった。
【0017】
本発明は、このような問題を解決すべく提案されたもので、その目的は、ノイズによる火災の誤発報、誤復旧を極力少なくすることが可能な煙感知器を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の煙感知器は、煙濃度データを一定周期でサンプリングする毎に火災判断レベルと比較し、その比較の結果、サンプリングした煙濃度データが、火災判断レベル以上のときにはアップダウンカウンタのカウントアップ動作をなし、火災判断レベルを超えていないときにはカウントダウン動作をなし、アップダウンカウンタの値が予め設定した最大値または最小値に到達した時点で火災発報または火災復旧を行なう煙感知器であって、このアップダウンカウンタは、カウントアップ動作時のカウント幅と、カウントダウン時のカウント幅とを異ならせており、火災発報信号が出力されていない場合には、通常監視時のアップ幅とダウン幅とを用いてカウントアップ、ダウンし、火災発報信号が出力されている場合には、火災発報時のアップ幅とダウン幅とを用いてカウントアップ、ダウンすることを特徴とする。
【0019】
すなわち、アップダウンカウンタは、アップ幅とダウン幅とを異ならせてカウント動作を実行でき、例えばアップ幅をダウン幅よりも小さく設定すれば、ノイズ幅の長いノイズによりカウンタが最大値になってしまうことを防止でき、カウンタのこのような誤動作による誤った火災判断を防ぐことができる。
【0020】
また、火災発報信号が出力されていない状態と、出力されている状態とでカウント幅を異ならせて、カウントアップ、カウントダウンすることができる。
【0021】
請求項2では、通常監視時のダウン幅を、通常監視時のアップ幅より大きくしている。
【0022】
すなわち、通常監視時のダウン幅をアップ幅よりも大きくすれば、ノイズとノイズの間隔が短い場合でもカウンタが最小値に下がり切らないということが少なく、誤ったカウントによる火災発報を少なくすることができる。
【0023】
請求項3では、火災発報時のダウン幅を、通常監視時のダウン幅より小さくしている。
【0024】
すなわち、火災発報時のダウン幅を通常監視時のダウン幅より小さくすれば、火災発報中のノイズそのものによってカウンタが最小値に到達することを少なくすることができ、ノイズによる誤復旧を防止することができる。
【0025】
請求項4では、アップ幅、ダウン幅を可変設定する設定手段をさらに備えており、これにより、そのノイズの性質に合ったカウント幅に調整することを可能としている。
【0026】
請求項5では、設定手段はアップ幅、ダウン幅に加えて最大値、最小値の設定変更をさらに可能としている。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面とともに説明する。
【0028】
図1は、本発明の煙感知器の要部構成を示したブロック図である。
【0029】
煙感知器は、火災により発生する煙の濃度を検知する煙濃度検知部1と、検知した煙の濃度を電圧値に変換する煙濃度データ計測部2と、計測した煙濃度データと火災判断レベル値とを比較し、その結果にもとづいてアップダウンカウンタ4をカウントアップまたはダウンして、火災発報または火災復旧を判断する火災判断部3と、カウンタのアップ幅、ダウン幅を可変設定できる設定手段5とを備えている。
【0030】
火災判断部は、煙濃度データを所定周期でサンプリングし、煙濃度データ≧火災判断レベル値のときにカウンタをアップし、煙濃度データ<火災判断レベル値のときにカウンタをダウンし、
火災発報中でない場合にカウンタ値が最大値(5)になれば、火災発報
火災発報中の場合にカウンタ値が最小値(0)になれば、火災復旧
と判断する。
【0031】
この点において従来の煙感知器のアップダウンカウンタと同様に動作するが、本発明では、アップダウンカウンタ4のアップ幅、ダウン幅を設定手段5により可変設定できるようにして、カウント幅を異ならせることができるようにしている。
【0032】
具体的には、図2に示すように、通常監視(火災発報信号が出力されていない)状態のアップ幅とダウン幅とを異ならせる設定にしてもよいし(図2(a))、通常監視状態のダウン幅と、火災発報状態のダウン幅とで異なる設定してもよいし(図2(b))、上記を組み合わせたものでもよい(図2(c))。
【0033】
以下には、通常監視時のダウン幅をアップ幅より大きい値に設定し、火災発報時のダウン幅を通常監視時のダウン幅より小さい値に設定した図2(c)の場合について、カウンタの動作や誤発報防止、誤復旧防止の論理について説明する。
【0034】
図3は、アップダウンカウンタの動作例を示した図である。
【0035】
(a)はカウントアップ動作を示しており、1ずつカウントアップされ、火災発報信号が出力されていない状態でカウンタが最大値の「5」になったときに火災発報となることを示している。
【0036】
(b)は通常監視状態でのカウントダウン動作を示しており、例えばカウンタが「4」のときに煙濃度データが火災判断レベル値を下回れば、図2(c)の表にしたがい2ずつカウントダウンし、火災判断レベル値以上を継続すれば1ずつカウントアップする。
【0037】
(c)は火災発報状態でのカウントダウン動作を示しており、例えばカウンタが「1」のときに煙濃度データが火災判断レベル値を下回れば、図2(c)の表にしたがい0.5ずつカウントダウンし、最小値の「0」になったときに火災復旧する。また、火災判断レベル値以上を継続すれば1ずつカウントアップする。
【0038】
図4は、通常監視時のノイズ発生とカウンタ値との関係を示す時系列グラフである。
【0039】
グラフで示すように、1つのノイズが発生後、煙濃度データが火災判断レベル値未満の通常値に戻った場合には、2ずつ(図例では、「3」→「1」→「0」)カウントダウンするので、その後すぐに次のノイズが発生することがあっても(図中の矢印A)、カウンタ値が「0」より大きな値からカウントアップされることがなく、その結果、図4のようなノイズの発生であるかぎりは誤発報を防止することができる。
【0040】
ダウン幅をアップ幅より大きくするということは、すなわちアップ幅を小さくするということであり、例えば、通常監視時のダウン幅の「1」に対してアップ幅を「0.5」にすれば、ノイズによりカウンタが最大値に到達する可能性が少なく、同様の効果が得られる。
【0041】
この場合の通常監視時のダウン幅は、設定手段5により設定することができるので、発生するノイズの性質により、適宜設定調整すればよい。例えば、統計的にみてノイズとノイズの間隔が図4で示すものよりもさらに短い場合は、カウントダウンによって最小値の「0」に到達しにくくなるので、ダウン幅を「2.5」、「3」などに設定すればよい。もちろん、アップ幅を設定変更できるようにしてもよい。
【0042】
図5は、火災発報時のノイズ発生とカウンタ値との関係を示す時系列グラフである。
【0043】
グラフで示すように、火災発報中に1つのノイズが発生後、煙濃度データが火災判断レベル値以上に戻った場合には、その後すぐに次のノイズが発生することによって0.5ずつ(図例では、「4」→「3.5」→「3」→「2.5」→「2」)カウントダウンしても「0」には達しないので、誤復旧と判断することがない(図中の矢印B)。
【0044】
この場合の火災発報時のダウン幅は、設定手段5により設定することができるので、発生するノイズの性質により、適宜設定調整すればよい。例えば、統計的にみてノイズそのものの幅が図5で示すものよりもさらに長い場合は、最小値「0」に到達しやすくなるので、ダウン幅を「0.3」、「0.2」などに設定すればよい。
【0045】
なお、設定手段5によるカウント幅の設定変更は、通常監視時のアップ幅、ダウン幅、火災発報時のアップ幅、ダウン幅のそれぞれについて行なえるようにしているが、少なくともアップ幅、ダウン幅の一方を可変設定できるようにすればよい。
【0046】
また、カウント幅の変更に加えて、最大値と最小値を可変設定できるようにして、さらに細かな調整ができるようにしてもよい。
【0047】
【発明の効果】
以上の説明からも理解できるように、請求項1に記載の煙感知器は、アップダウンカウンタのアップ幅とダウン幅とを異ならせているので、ノイズによる誤発報、誤復旧を効果的に防止でき、耐ノイズ性の高い煙感知器とすることができる。
【0048】
特に、火災発報信号が出力されていない状態と、出力されている状態とでカウント幅を異ならせて、カウントアップ、カウントダウンすることができるので、ノイズの性質に応じたカウント幅の微調整が可能となる。
【0049】
請求項2では、通常監視時のダウン幅をアップ幅よりも大きくしているので、ノイズとノイズとの間隔が短い場合にでもカウンタが最小値まで下がり切らないということが少なく、カウンタの異常動作による誤発報を防止することができる。逆にいえば、アップ幅をダウン幅よりも小さくすれば、ノイズそのものによりカウンタが最大値に到達することが少なく、同様の効果が得られる。
【0050】
また請求項3では、火災発報時のダウン幅を通常監視時のダウン幅よりも小さくしているので、火災発報中のノイズそのものによってカウンタが最小値に到達することが少なく、カウンタの異常動作による誤復旧を防止することができる。
【0051】
請求項4では、設定手段によりアップ幅、ダウン幅を設定変更できるようにしているので、発生するノイズを統計的に調査すれば、そのノイズに合ったカウント幅に容易に調整することができる。特に、通常監視時のアップ幅、ダウン幅、火災発報時のアップ幅、ダウン幅のそれぞれについて設定できるようにすれば、より耐ノイズ性の高い煙感知器とすることができる。
【0052】
請求項5では、最大値、最小値も可変設定されるようになっているので、さらに細かな調整をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の煙感知器の要部構成を示したブロック図である。
【図2】アップ幅とダウン幅の設定態様例を示す図である。
【図3】アップダウンカウンタの動作例を示した図である。
【図4】通常監視時のノイズ発生とカウンタ値との関係を示す時系列グラフである。
【図5】火災発報時のノイズ発生とカウンタ値との関係を示す時系列グラフである。
【図6】アップダウンカウンタを用いた従来の煙感知器の要部構成を示したブロック図である。
【図7】従来のアップダウンカウンタの基本動作を示す図である。
【図8】煙濃度データの時間経過を示すグラフである。
【図9】従来の煙感知器における通常監視時のノイズ発生とカウンタ値との関係を示す時系列グラフである。
【図10】従来の煙感知器における火災発報時のノイズ発生とカウンタ値との関係を示す時系列グラフである。
【符号の説明】
1・・・煙濃度検知部
2・・・煙濃度データ計測部
3・・・火災判断部
4・・・アップダウンカウンタ
5・・・設定手段
Claims (5)
- 煙濃度データを一定周期でサンプリングする毎に火災判断レベルと比較し、その比較の結果、サンプリングした煙濃度データが、火災判断レベル以上のときにはアップダウンカウンタのカウントアップ動作をなし、火災判断レベルを超えていないときにはカウントダウン動作をなし、上記アップダウンカウンタの値が予め設定した最大値または最小値に到達した時点で火災発報または火災復旧を行なう煙感知器において、
上記アップダウンカウンタは、
カウントアップ動作時のカウント幅と、カウントダウン時のカウント幅とを異ならせており、火災発報信号が出力されていない場合には、通常監視時のアップ幅とダウン幅とを用いてカウントアップ、ダウンし、火災発報信号が出力されている場合には、火災発報時のアップ幅とダウン幅とを用いてカウントアップ、ダウンすることを特徴とする煙感知器。 - 請求項1において、
通常監視時のダウン幅を、通常監視時のアップ幅より大きくしていることを特徴とする煙感知器。 - 請求項1または2において、
火災発報時のダウン幅を、通常監視時のダウン幅より小さくしていることを特徴とする煙感知器。 - 請求項1〜3のいずれかにおいて、
上記アップ幅とダウン幅を独立して可変設定する設定手段をさらに備えている煙感知器。 - 請求項4において、
上記設定手段は、上記最大値、最小値の設定変更をさらに可能としている煙感知器。
Priority Applications (1)
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JP2002216531A JP3826854B2 (ja) | 2002-07-25 | 2002-07-25 | 煙感知器 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002216531A JP3826854B2 (ja) | 2002-07-25 | 2002-07-25 | 煙感知器 |
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JP2002216531A Expired - Lifetime JP3826854B2 (ja) | 2002-07-25 | 2002-07-25 | 煙感知器 |
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-
2002
- 2002-07-25 JP JP2002216531A patent/JP3826854B2/ja not_active Expired - Lifetime
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