JP3826830B2 - 二軸延伸ブロー成形容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、二軸延伸ブロー成形容器に関し、より詳しくは、加熱状態の果汁、ウーロン茶等を充填した後の冷却に伴う減圧によって生じる容器の変形を、減圧吸収パネルの構造あるいは位置等を考慮して吸収するようにした二軸延伸ブロー成形容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性ポリエステルの二軸延伸ブロー成形容器は、優れた透明性や表面光沢を有し、耐衝撃性、ガスバリヤー性等を有し、各種飲料用の容器として広く利用されている。この二軸延伸ブロー成形容器は、1.5ないし2リットル入りの容量の比較的大きな丸形ボトルが大半であり、その使用状況は、果汁、ウーロン茶等の各種飲料を90℃前後に加熱した後、前記ブロー成形容器に充填し、蓋をキャッピングして密封し、その後、冷却して再び常温に戻してから出荷される。この丸形ボトルは充填密封後に膨張し、その後、冷却時にボトル内が減圧になることによって収縮し変形するために、図7に示すように、周壁aに環状溝部bを形成し、その下方にボトル胴部cの長さL1 に対して大きな比率を占める長さL2 を有する複数の減圧吸収パネルdを設けると共に、これらの間に柱部eを構成して、これら減圧吸収パネルdにより収縮変形を吸収している。
また上記飲料の充填方法としては、無菌充填法も存在するが、ウーロン茶等は充填後、容器内が減圧となる傾向があり、同様に成形容器が収縮変形を吸収している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の二軸延伸ブロー成形容器は、1.5ないし2リットル入りの比較的大容量の丸形ボトルであるから、充填密封後の冷却時における減圧による収縮変形が、上記構成の複数の減圧吸収パネルにより吸収され、変形による外見上の見栄えにおいては特に問題がなかった。しかしながら、最近、小容量、すなわち200ないし900ml程度の小容量の二軸延伸ブロー成形容器の需要が高まり、生産量が増えると共に、加熱殺菌し膨張した後の冷却に伴う減圧による変形が目立つようになった。
【0004】
この変形は、減圧吸収パネルdが凹状に変形し、特にストレート形状の柱部eが凹状に変形して見栄えが著しく低下し、しかも強度も低下するという問題を有している。これは、同じ構造の二軸延伸ブロー成形容器であっても、大容量である場合は、充填密封後の膨張した後の減圧量が相対的に少なく、現状の減圧吸収パネルdが凹状に変形することにより充分吸収できるのに対して、小容量である場合は、減圧量が相対的に大きくなり、現状の減圧吸収パネルdによっては吸収できないことによる。
【0005】
そのため、胴部の剛性を向上させるために、容器の肉厚を薄くすることができないので、多くの材料を用いて容器を成形せざるを得なかった。
また、この丸形ボトルが小容量になると、減圧吸収量を大きくするため、減圧吸収パネルdの軸方向の長さをボトル胴部cに対して大きくすると、丸形ボトルの胴部に内容物の表示ならびに商品価値を高めるためのラベルを貼りつけるスペースが小さくなり、不都合が生じる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、小容量であっても強度低下を起こすこと無く変形を吸収できて、見栄えが良く、また、より少ない量の材料で成形を可能として、しかもその減圧吸収パネルを小さくすることによりラベル貼りのスペースを十分に確保した二軸延伸ブロー成形容器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであって、下記の構成からなることを特徴としている。
すなわち、本発明によれば、周壁に環状溝部を形成しその下方に複数の減圧吸収パネルを設けた二軸延伸ブロー成形容器において、前記減圧吸収パネルの周壁部から離間した位置に凹状の縦リブを形成し、該縦リブ間の壁面を外方に膨出させたことを特徴とする二軸延伸ブロー成形容器が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、前記減圧吸収パネル内に形成した縦リブを断続的に形成した複数のリブの集合体である上記二軸延伸ブロー成形容器が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、前記減圧吸収パネルの上端部が、環状溝部の下方に連接する横リブに実質的に隣接して形成した上記二軸延伸ブロー成形容器が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
図1ないし4は本発明の実施の形態を示し、図において、この二軸延伸ブロー成形容器1は、周壁2に環状溝部3を形成しその下方に複数の減圧吸収パネル5を設け、この減圧吸収パネル5の両側端部に凹状あるいは凸状の縦リブ13,13を形成し、これらの縦リブ13,13間の壁面14を外方に膨出させると共に、図3に示したように、該壁面の縦断面形状を外方に凸状となる湾曲形状とされる。更に、この減圧吸収パネル5の上端部5aは、環状溝部3の下方に連接した横リブ4に実質的に隣接して形成している。
【0012】
縦リブ13,13を凹状に形成することにより、凸状に形成した場合と比較して、縦リブ13と壁面14の連接部の肉厚が厚くなり、充填密封後の上記縦リブ13の膨張が防止され、また、減圧時の減圧吸収パネル5の壁面14と柱部の分断が確実に行われ、減圧変形時の壁面14の変形が柱部11に影響を与えず、確実に柱部11の変形を防止できる。
図3は、図1のY−Y断面を示している。
【0013】
次に、この縦リブ13及びこれら縦リブ13間の壁面14を外方に膨出させたことによる効果を確かめるために、500mlの二軸延伸ブロー成形容器1b、すなわち、壁面14の膨出量:E=0.5mm、柱部11の膨出量:F=0.3mm、壁面14の曲率半径:R=190mmのものと、比較のため同じ500mlの二軸延伸ブロー成形容器、すなわち、E=F=R=0mmで他の寸法は同じのものとにより試験を行ない、その結果を図5に示した。図5によれば、かなり減圧による吸引量が多くても、減圧度は低下しており、変形しづらくなっているのがわかる。
【0014】
図6は請求項2の発明の実施の形態を示し、図において、この二軸延伸ブロー成形容器1は、減圧吸収パネル5内に形成した縦リブ13を断続的に形成した複数のリブ15,16の集合体としたものである。図では2本に分かれているものを示しているが、これに限定されるものではなく、3本、あるいは円形、四角形のリブを多数、上方から下方にかけて設けてもよい。その他の構成、作用は図1ないし4の実施の形態のものと同様である。
【0015】
以上、本発明を図面に基づいて説明したが、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、これらの構成あるいはボトルにおける自明の構成を適宜組み合わせた態様も本発明の技術的範囲に包含されることは理解されるべきである。
【0016】
【発明の効果】
本発明の容器によれば、大容量のものはもちろんのこと、小容量であっても強度低下を起こすことなく減圧時の変形を吸収できて、見栄えが良く、しかもその減圧吸収パネルを小さくすることが出来ることにより、ラベルを貼りやすくなり、商品価値を高めることができる。
また、胴部の剛性が向上するため、容器の肉厚を薄く成形できるので、従来のものより、少ない量の材料で目的とする容器を成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す二軸延伸ブロー成形容器の側面図である。
【図2】図1の半裁部分の一部を示す側断面図である。
【図3】図1のY−Y線に沿う断面図である。
【図4】図3の壁面部分の拡大図である。
【図5】減圧度と吸引量と関係を示す特性図である。
【図6】本発明の他の実施形態を示す二軸延伸ブロー成形容器の側面図である。
【図7】従来例を示す側面図である。
【符号の説明】
1 二軸延伸ブロー成形容器
2,a 周壁
3,b 環状溝部
4,10 横リブ
5,d 減圧吸収パネル
5a 上端部
5b 下端部
11,e 柱部
13 縦リブ
14 壁面
15,16 リブ

Claims (3)

  1. 周壁に環状溝部を形成しその下方に複数の減圧吸収パネルを設けた二軸延伸ブロー成形容器において、前記減圧吸収パネルの周壁部から離間した位置に凹状の縦リブを形成し、該縦リブ間の壁面を外方に膨出させたことを特徴とする二軸延伸ブロー成形容器。
  2. 前記減圧吸収パネル内に形成した縦リブを断続的に形成した複数のリブの集合体である請求項1記載の二軸延伸ブロー成形容器。
  3. 前記減圧吸収パネルの上端部は、環状溝部の下方に連接する横リブに実質的に隣接して形成した請求項1記載の二軸延伸ブロー成形容器。
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