JP3826387B2 - 位相差検出回路およびこれを用いた位相同期回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は位相差検出回路に関するものであり、たとえば位相同期回路や角度変調位相同期回路に適用される位相差検出回路についてのものである。
【0002】
【従来の技術】
次に、従来技術による位相差検出回路の構成を図8に示す。図8で、位相差検出回路は位相比較器1と積分回路3により構成される。位相比較器1は基準位相8aと参照位相9aを入力し、両者の差である入力位相差1bに比例する位相誤差信号1aを出力する。積分回路3は位相誤差信号1aを積分して制御電圧3aを出力する。
【0003】
次に、位相差検出回路の入出力特性を図9により説明する。図9の横軸は入力位相差1b、縦軸は制御電圧3aである。入力位相差1bが+πrad から−πrad の区間において、制御電圧3aは入力位相差1bに比例する。+πrad の点において不連続点となり、+πrad を越えると比例特性となり、+3πrad の点において不連続点となり、+3πrad を越えると比例特性となり、不連続点と比例特性を繰り返す。
【0004】
入出力特性は、図9に示すように、原点に対して点対称になっており、−πrad で不連続点、比例特性、−3πrad で不連続点となり、これを繰り返す。横軸の不連続点の間隔は2πrad となっているが、一般的な値であって任意の値で構わない。
【0005】
図9によれば、図8に示した従来技術における入出力特性は、入力位相差1bが±πrad を越えると、比例特性でなくなり不連続となるため、検出可能な入力位相差1bは±πrad までに制限されることがわかる。
【0006】
次に、位相差検出回路の一つの応用例として、位相同期回路の構成を図10により説明する。図10の8は独立発振器、9は従属発振器である。その他の構成要素は図8と同じである。
【0007】
独立発振器8は一定の周波数で発振しており、位相比較器1に基準位相8aを与える。従属発振器9は制御電圧3aに発振周波数を制御され、参照信号9aを出力すると共に位相比較器1に入力する。制御電圧3aは、独立発振器8の出力する基準位相8aと従属発振器9の出力する参照信号9aを等しくするよう制御する電圧である。
【0008】
このような位相同期回路において、たとえば外乱によって位相比較器1の入力位相差1bが±πrad を越えると、位相差を検出できなくなり、従属発振器9は
独立発振器8と位相同期が外れる。
【0009】
次に、位相差検出回路の別の応用例として、角度変調位相同期回路の構成を図11により説明する。10は角度変調用発振器、11は加算回路であり、その他の構成要素は図10と同じである。
【0010】
角度変調用発振器10は変調信号10aを出力する。加算回路11は変調信号10aと制御電圧3aを加算し、加算電圧11aを出力する。その他の構成要素の動作は図10の説明と同じである。
【0011】
従属発振器9は加算電圧11aにより、周波数変調あるいは位相変調の角度変調を受ける。このような角度変調位相同期回路において、変調信号10aの変調周波数が高くなるか振幅が大きくなると、従属発振器9の出力する参照信号9aはより大きく変動する。その結果、たとえば位相比較器1の入力位相差1bが±πrad を越えると位相同期が外れる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術における位相差検出回路では、検出可能な入力位相差1bが±πradまでに制限されるという問題があった。このため、この位相差検出回路を応用した位相同期回路が外乱によって位相比較器1の入力位相差1bが±πrad を越えると、位相差を検出できなくなり、従属発振器9は独立発振器8と位相同期が外れるという問題が発生した。また、この位相差検出回路を応用した角度変調位相同期回路において、変調信号10aの変調周波数が高くなるか振幅が大きくなって、従属発振器9の出力する参照信号9aがより大きく変動すると、位相比較器1の入力位相差1bが±πrad を越えて位相同期が外れるという問題が発生した。
【0013】
この発明は、検出可能な入力位相差を増大させた位相差検出回路を提供することを目的とし、これにより大きな入力位相差に対して位相同期が外れない位相同期回路や、角度変調周波数をより高く振幅をより大きくできる角度変調位相同期回路を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、この発明による位相差検出回路は、基準位相と参照位相を入力し、両者の差である第1の入力位相差に比例する第1の位相誤差信号を出力する第1の位相比較器と、前記第1の位相誤差信号を積分し、制御電圧を出力する第1の積分回路と、前記基準位相を位相反転し、反転基準位相を出力する反転回路と、前記反転基準位相と前記参照位相を入力し、両者の差である第2の入力位相差に比例する第2の位相誤差信号を出力する第2の位相比較器と、前記第2の位相誤差信号を積分し、反転制御電圧を出力する第2の積分回路と、前記制御電圧を第1の入力とし、前記反転制御電圧を第2の入力として、前記第1の入力位相差に応じた制御電圧の値を検出するとともに、前記反転制御電圧の値が零近傍となる第2の入力位相差の区間を検出し、前記制御電圧の値と前記第2の入力位相差の区間からオフセット電圧の出力を判別し、この判別結果に基づいてオフセット電圧を出力する位相差・オフセット変換回路と、前記制御電圧に前記オフセット電圧を加え、オフセット付加制御電圧を出力するオフセット付加回路とを備える。
【0015】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御電圧の前記第1および第2の入力位相差がπradのときの前記制御電圧の値がV1、前記第1および第2の入力位相差がπradに満たないときの前記制御電圧の値がV2、前記第1および第2の入力位相差が零より少し大きいときの前記制御電圧の値がV3、前記第1および第2の入力位相差が零より少し小さいときの前記制御電圧の値がV4、前記第1および第2の入力位相差が−πradに満たないときの前記制御電圧の値がV5、前記第1および第2の入力位相差が−πradのときの前記制御電圧の値がV6、前記反転制御電圧が零より少し大きいときから零より少し小さいときで前記第1および第2の入力位相差がπrad付近の区間が区間A、前記反転制御電圧が零より少し大きいときから零より少し小さいときで前記第1および第2の入力位相差が−πrad付近の区間が区間Bであるとき、前記位相差・オフセット変換回路は、前記制御電圧の値がV1からV2の範囲、V3から零の範囲、零からV4の範囲、V5からV6の範囲にあるかないかを検出するとともに、前記反転制御電圧の値が区間Aや区間Bの範囲にあるかないかを検出し、オフセット電圧5aを加算するか減算するか何もしないかを判断する。また、請求項3の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記位相差・オフセット変換回路は、前記制御電圧を入力とし、第1の検出信号を出力する第1の検出回路と、前記反転制御電圧を入力とし、第2の検出信号を出力する第2の検出回路と、前記第1の検出回路の出力と前記第2の検出回路の出力を入力とし、オフセット電圧を加算するか減算するか何もしないかを判断する判別回路と、V1からV6の電圧分をプラス方向に定電圧出力として出力する定電圧源と、前記定電圧源の出力を第1の入力とし、前記判別回路の出力を第2の入力として、判別信号が加算ならば前記定電圧出力をそのままオフセット電圧として出力し、判別信号が減算ならば前記定電圧出力を反転してオフセット電圧として出力し、前記判別信号がなければオフセット電圧を零として出力する電圧反転回路と、を備える。
【0016】
請求項4の発明は位相同期回路の発明であり、基準位相と参照位相を入力し、両者の差である第1の入力位相差に比例する第1の位相誤差信号を出力する第1の位相比較器と、前記第1の位相誤差信号を積分し、制御電圧を出力する第1の積分回路と、前記基準位相を位相反転し、反転基準位相を出力する反転回路と、前記反転基準位相と前記参照位相を入力し、両者の差である第2の入力位相差に比例する第2の位相誤差信号を出力する第2の位相比較器と、前記第2の位相誤差信号を積分し、反転制御電圧を出力する第2の積分回路と、前記制御電圧を第1の入力とし、前記反転制御電圧を第2の入力として、前記第1の入力位相差に応じた制御電圧の値を検出するとともに、前記反転制御電圧の値が零近傍となる第2の入力位相差の区間を検出し、前記制御電圧の値と前記第2の入力位相差の区間からオフセット電圧の出力を判別し、この判別結果に基づいてオフセット電圧を出力する位相差・オフセット変換回路と、前記制御電圧に前記オフセット電圧を加え、オフセット付加制御電圧を出力するオフセット付加回路と、前記オフセット付加回路の出力を入力とし、前記オフセット付加制御電圧により発振周波数が制御される参照位相を出力するとともに前記第1の位相比較器および第2の位相比較器に入力する従属発振器を備える。また、請求項5の発明は角度変調位相同期回路の発明で、基準位相と参照位相を入力し、両者の差である第1の入力位相差に比例する第1の位相誤差信号を出力する第1の位相比較器と、前記第1の位相誤差信号を積分し、制御電圧を出力する第1の積分回路と、前記基準位相を位相反転し、反転基準位相を出力する反転回路と、前記反転基準位相と前記参照位相を入力し、両者の差である第2の入力位相差に比例する第2の位相誤差信号を出力する第2の位相比較器と、前記第2の位相誤差信号を積分し、反転制御電圧を出力する第2の積分回路と、前記制御電圧を第1の入力とし、前記反転制御電圧を第2の入力として、前記第1の入力位相差に応じた制御電圧の値を検出するとともに、前記反転制御電圧の値が零近傍となる第2の入力位相差の区間を検出し、前記制御電圧の値と前記第2の入力位相差の区間からオフセット電圧の出力を判別し、この判別結果に基づいてオフセット電圧を出力する位相差・オフセット変換回路と、前記制御電圧に前記オフセット電圧を加え、オフセット付加制御電圧を出力するオフセット付加回路と、変調信号を出力する角度変調用発振器と、前記オフセット付加制御電圧および前記変調信号を入力し、これらを加算した加算電圧を出力する加算回路と、前記加算電圧により周波数変調や位相変調の角度変調を受ける前記参照位相を出力するとともに前記第1の位相比較器および第2の位相比較器に入力する従属発振器を備える。
【0017】
【発明の実施の形態】
次にこの発明による位相差検出回路の実施の形態を詳細に説明する。図1に、この発明による位相差検出回路の実施の形態を示す構成図が示されている。本実施の形態における位相差検出回路は、図8に示した従来技術の位相差検出回路に、位相比較器2、積分回路4、位相差・オフセット変換回路5、オフセット付加回路6および反転回路7が付加された構成となっており、その他の構成要素は図8と同じである。
【0018】
位相比較器1は基準位相8aと参照位相9aを入力し、両者の差である入力位相差に比例する位相誤差信号1aを出力する。積分回路3は位相誤差信号1aを積分し、制御電圧3aを出力する。
【0019】
反転回路7は基準位相8aを位相反転し、反転基準位相7aを出力する。位相比較器2は反転基準位相7aと参照位相9aを入力し、両者の差である入力位相差に比例する位相誤差信号2aを出力する。積分回路4は位相誤差信号2aを積分し、反転制御電圧4aを出力する。
【0020】
位相差・オフセット変換回路5は制御電圧3aと反転制御電圧4aを入力し、オフセット電圧5aに変換する。オフセット付加回路6は制御電圧3aにオフセット電圧5aを加え、オフセット付加制御電圧6aを出力する。
【0021】
次に、図1に示した位相差検出回路の実施の形態において、入力位相差1bと制御電圧3a、反転制御電圧4aの特性を示した制御電圧特性図を図2に示す。図2において、V1は入力位相差1bがπrad のときの制御電圧3aの値、V2は入力位相差1bがπrad に満たないときの制御電圧3aの値、V3は入力位相差1bが零より少し大きいときの制御電圧3aの値、V4は入力位相差1bが零より少し小さいときの制御電圧3aの値、V5は入力位相差1bが−πrad に満たないときの制御電圧3aの値、V6は入力位相差1bが−πrad のときの制御電圧3aの値、区間Aは反転制御電圧4aが零より少し大きいときから零より少し小さいときで入力位相差1bがπrad 付近の区間、区間Bは反転制御電圧4aが零より少し大きいときから零より少し小さいときで入力位相差1bが−πrad 付近の区間である。
【0022】
入力位相差1bと反転制御電圧4aの関係は、反転回路7で位相反転するため、位相比較器2に入力される入力位相差と反転制御電圧4aの関係から横軸のプラス方向にπrad 平行移動したものになる。
【0023】
図4は位相検出回路の入出力特性を示したものであり、横軸は入力位相差1bを、縦軸はオフセット付加制御電圧6aを示している。すなわち、図4において、V1は入力位相差1bがπrad のときのオフセット付加制御電圧6aの値、V2は入力位相差1bがπrad に満たないときのオフセット付加制御電圧6aの値、V3は入力位相差1bが零より少し大きいときのオフセット付加制御電圧6aの値、V4は入力位相差1bが零より少し小さいときのオフセット付加制御電圧6aの値、V5は入力位相差1bが−πrad に満たないときのオフセット付加制御電圧6aの値、V6は入力位相差1bが−πrad のときのオフセット付加制御電圧6aの値である。
【0024】
位相差・オフセット変換回路5は制御電圧3aの値がV1からV2の範囲、V3から零の範囲、零からV4の範囲、V5からV6の範囲にあるかないかを検出し、同時に反転制御電圧4aの値が区間Aや区間Bの範囲にあるかないかを検出する。
【0025】
制御電圧3aがV1からV2の範囲を検出し、反転制御電圧4aが区間Aの範囲を検出すると、V1からV6の電圧分をプラス方向としてオフセット電圧5aの値に設定し、いつでも出力できる状態にする。反転制御電圧4aが区間Aの範囲を絶えず検出しているとき、制御電圧3aがV5からV6の範囲を検出すると、設定したオフセット電圧5aを出力する。
【0026】
この後に続いて、制御電圧3aがV1からV2の範囲を検出し、反転制御電圧4aが区間Aの範囲を検出した後、反転制御電圧4aが区間Aの範囲を絶えず検出しながら制御電圧3aがV5からV6の範囲を検出すると、V1からV6までの電圧分をプラス方向としてオフセット電圧5aに累積加算して出力する。
【0027】
V1からV2の範囲を検出してV5からV6の範囲を検出するまでに、反転制御電圧4aが区間Aの範囲から外れると、オフセット電圧5aの設定を元の値に戻す。
【0028】
制御電圧3aがV5からV6の範囲を検出し、反転制御電圧4aが区間Bの範囲を検出すると、V1からV6の電圧分をマイナス方向としてオフセット電圧5aの値に設定し、いつでも出力できる状態にする。反転制御電圧4aが区間Bの範囲を絶えず検出しているとき、制御電圧3aがV1からV2の範囲を検出すると、設定したオフセット電圧5aを出力する。
【0029】
この後に続いて、制御電圧3aがV5からV6の範囲を検出し、反転制御電圧4aが区間Bの範囲を検出した後、反転制御電圧4aが区間Bの範囲を絶えず検出しながら制御電圧3aがV1からV2の範囲を検出すると、V1からV6までの電圧分をマイナス方向としてオフセット電圧5aに累積減算して出力する。
【0030】
V5からV6の範囲を検出してV1からV2の範囲を検出するまでに、反転制御電圧4aが区間Bの範囲から外れると、オフセット電圧5aの設定を元の値に戻す。オフセット付加回路6は制御電圧3aとオフセット電圧5aを加算してオフセット付加制御電圧6aを出力する。
【0031】
図3に位相差・オフセット変換回路5の構成例を示す。図3の51と52は検出回路、53は判別回路、54は定電圧源、55は電圧反転回路である。検出回路51は制御電圧3aの値が、V1からV2の範囲、V3から零の範囲、零からV4の範囲、V5からV6の範囲を検出し、それぞれの値に応じて検出信号51aを出力する。
【0032】
検出回路52は反転制御電圧4aの値が、区間Aの範囲、区間Bの範囲を検出し、それぞれの値に応じて検出信号52aを出力する。判別回路53は、検出信号51aと検出信号52aによりオフセット電圧5aを加算するか減算するか何もしないかを判断し、それを判別信号53aとして出力する。定電圧源54はV1からV6の電圧分をプラス方向に定電圧出力54aとして出力する。電圧反転回路55は、判別信号53aが加算ならば定電圧出力54aをそのままオフセット電圧5aに出力する。判別信号53aが減算ならば定電圧出力54aを反転してオフセット電圧5aに出力する。判別信号53aがなければ電圧反転回路55は、オフセット電圧5aを零として出力する。
【0033】
次に、図1に示した位相差検出回路の応用例を図5により説明する。図5は図4の入出力特性を応用したものである。この応用例では、位相差・オフセット変換回路5は、オフセット電圧5aにV1からV6までの電圧分をプラス方向として出力すると、累積回数として+1回を記憶する。この後、オフセット電圧5aにV1からV6までの電圧分をプラス方向として出力しようとすると、累積回数が+1回なので、オフセット電圧5aをV1からV6までの電圧分をマイナス方向として出力し、累積回数を−1回とする。
【0034】
また、オフセット電圧5aにV1からV6までの電圧分をマイナス方向として出力すると、累積回数として−1回を記憶する。この後、オフセット電圧5aにV1からV6までの電圧分をマイナス方向として出力しようとすると、累積回数が−1回なので、オフセット電圧5aをV1からV6までの電圧分をプラス方向として出力し、累積回数を+1回とする。以上の処理により、±3πrad で不連続点を設けた特性になり、入力位相差1bの不連続点を±πrad から±3πrad へ増加する。
【0035】
累積回数を±2回にすれば、入力位相差1bは±5πrad に増加し、±3回にすれば、±7πrad に増加し、一般に累積回数を±n回にすると、入力位相差1bの不連続点は±(2n+1)πrad に増加する。
【0036】
図14は位相差検出回路の他の構成例を示したものである。この位相差検出回路では、図8に示した従来技術の回路に位相差オフセット回路12とオフセット付加回路6とを付加した回路構成になっている。このような位相差検出回路でも、図4や図5に示した入出力特性を得るような動作を行う。しかしながら図14に示した位相差検出回路の場合、位相差・オフセット変換回路12やオフセット付加回路6の回路遅延が大きいと、図12や図13に示す入出力特性となる可能性がある。
【0037】
図12や図13の横軸は入力位相差1b、縦軸はオフセット付加制御電圧6aと同じである。図12の入出力特性Cと図13の入出力特性Eは入力位相差1bが増加する方向に変化したときの入出力特性であり、図12の入出力特性Dと図13の入出力特性Fは入力位相差1bが減少する方向に変化したときの入出力特性である。
【0038】
図14に示した位相差検出回路の場合、位相差・オフセット変換回路12は、制御電圧3aの不連続点を通過する前と後により不連続点を検出し、回路遅延の後、オフセット電圧12aを出力する。オフセット付加回路6は制御電圧3aとオフセット電圧12aを加算して、回路遅延の後、オフセット付加制御電圧6aを出力する。したがって、不連続点を通過すると同時にオフセット電圧12aが加算されないため、図12の入出力特性では比例特性上に不連続点が残り、図13の入出力特性は比例特性上と±3πrad などの不連続点部分に不連続点が重なる。
【0039】
一方、図1に示した本実施の形態では、いつでもオフセット電圧5aを出力できる状態にして、回路遅延の影響をなくすことにより、図12、図13で示すような比例特性上の不連続点がなくなり、図4に示すような比例特性が得られるという効果を期待できる。
【0040】
次に、図1に示した位相差検出回路を位相同期回路に適用したときの実施の形態を図6により説明する。位相同期回路は、図1に示した位相差検出回路に、独立発振器8と従属発振器9を付加し、この従属発振器9の出力を参照位相9aとして位相比較器1・2に入力する構成となっている。
【0041】
図6において、独立発振器8は一定の周波数で発振しており、位相比較器1と反転回路7に基準位相8aを与える。従属発振器9はオフセット付加制御電圧6aに発振周波数を制御され、参照位相9aを出力すると共に位相比較器1・2に入力する。オフセット付加制御電圧6aは、独立発振器8の出力する基準位相8aと従属発振器9の出力する参照位相9aを等しくする電圧である。
【0042】
本実施の形態による位相同期回路によれば、回路遅延の影響をなくすことにより、位相比較器1の入力位相差1bが±πrad や±3πrad を通過しても、オフセット付加制御電圧6aは不連続に変化しないため、従属発振器9は独立発振器8と位相同期が外れない。
【0043】
次に、図1に示した位相差検出回路を角度変調位相同期回路に適用したときの実施の形態を図7により説明する。角度変調位相同期回路は、図1に示した位相差検出回路に、独立発振器8、角度変調用発振器10、加算回路11および従属発振器9を付加した構成となっている。すなわち、角度変調用発振器10は加算回路11に変調信号10aを出力し、加算回路11はこの変調信号10aとオフセット付加回路のオフセット付加制御電圧6aとを入力して加算電圧11aを従属発振器9に出力する。従属発振器9は、加算電圧11aにより周波数変調や位相変調の角度変調を受け、参照位相9aを位相比較器1および位相比較器2に出力する。
【0044】
本実施の形態における角度変調位相同期回路によれば、回路遅延の影響をなくすことにより、位相比較器1の入力位相差1bが±πrad や±3πrad を通過しても、オフセット付加制御電圧6aは不連続に変化しないため、従属発振器9は独立発振器8と位相同期が外れず、角度変調の変調周波数をより高く、または振幅をより大きくすることができる。
【0045】
【発明の効果】
この発明の位相差検出回路によれば、検出可能な入力位相差を広げることができるため、より大きな位相差の検出が可能となる。したがって、この発明による位相差検出回路を位相同期回路に応用すれば、たとえ外乱が発生した場合でも入力位相差の制限によって位相同期が外れるという従来の問題点を解消することができる。また、この発明による位相差検出回路を角度変調位相同期回路に応用すれば、角度変調の変調周波数をより高く、または振幅をより大きくしても、入力位相差の制限によって位相同期が外れなくなるという効果を期待できる。
【0046】
さらに、この発明の位相差検出回路によれば、上記効果の他に回路遅延の影響をなくすことが可能となるため、比例特性上の不連続点がなくなり、比例特性が得られる回路を実現することができる。したがって、この発明による位相差検出回路を位相同期回路や角度変調位相同期回路に応用したとき、位相差検出回路の回路遅延の影響を受けることがない。位相比較器1の入力位相差1bが±πrad などを通過しても、オフセット付加制御電圧6aは不連続に変化しないため、従属発振器9は独立発振器8と位相同期が外れない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による位相差検出回路の実施の形態を示す構成図である。
【図2】図1の位相差検出回路の制御電圧特性を示す波形図である。
【図3】図1の位相差検出回路の位相差・オフセット変換回路の構成例を示す構成図である。
【図4】図1の位相差検出回路の入出力特性を示す波形図である。
【図5】図1の位相差検出回路の応用例の入出力特性を示す波形図である。
【図6】図1の位相差検出回路を位相同期回路に適用したときの実施の形態を示す構成図である。
【図7】図1の位相差検出回路を角度変調位相同期回路に適用したときの実施の形態を示す構成図である。
【図8】従来技術における位相差検出回路の構成図である。
【図9】従来技術における位相差検出回路の入出力特性を示す波形図である。
【図10】従来技術における位相差検出回路を位相同期回路に適用したときの構成図である。
【図11】従来技術における位相差検出回路を角度変調位相同期回路に適用したときの構成図である。
【図12】位相差検出回路の入出力特性を示す波形図である。
【図13】位相差検出回路の入出力特性を示す波形図である。
【図14】位相差検出回路の他の構成例を示す構成図である。
【符号の説明】
1・2 位相比較器
3・4 積分回路
5 位相差・オフセット変換回路
6 オフセット付加回路
7 反転回路
8 独立発振器
9 従属発振器
10 角度変調用発振器
11 加算回路
Claims (5)
- 基準位相と参照位相を入力し、両者の差である第1の入力位相差に比例する第1の位相誤差信号を出力する第1の位相比較器と、
前記第1の位相誤差信号を積分し、制御電圧を出力する第1の積分回路と、
前記基準位相を位相反転し、反転基準位相を出力する反転回路と、
前記反転基準位相と前記参照位相を入力し、両者の差である第2の入力位相差に比例する第2の位相誤差信号を出力する第2の位相比較器と、
前記第2の位相誤差信号を積分し、反転制御電圧を出力する第2の積分回路と、
前記制御電圧を第1の入力とし、前記反転制御電圧を第2の入力として、前記第1の入力位相差に応じた制御電圧の値を検出するとともに、前記反転制御電圧の値が零近傍となる第2の入力位相差の区間を検出し、前記制御電圧の値と前記第2の入力位相差の区間からオフセット電圧の出力を判別し、この判別結果に基づいてオフセット電圧を出力する位相差・オフセット変換回路と、
前記制御電圧に前記オフセット電圧を加え、オフセット付加制御電圧を出力するオフセット付加回路と、
を備えることを特徴とする位相差検出回路。 - 前記制御電圧において、前記第1および第2の入力位相差がπradのときの前記制御電圧の値がV1、前記第1および第2の入力位相差がπradに満たないときの前記制御電圧の値がV2、前記第1および第2の入力位相差が零より少し大きいときの前記制御電圧の値がV3、前記第1および第2の入力位相差が零より少し小さいときの前記制御電圧の値がV4、前記第1および第2の入力位相差が−πradに満たないときの前記制御電圧の値がV5、前記第1および第2の入力位相差が−πradのときの前記制御電圧の値がV6、前記反転制御電圧が零より少し大きいときから零より少し小さいときで前記第1および第2の入力位相差がπrad付近の区間が区間A、前記反転制御電圧が零より少し大きいときから零より少し小さいときで前記第1および第2の入力位相差が−πrad付近の区間が区間Bであるとき、
前記位相差・オフセット変換回路は、前記制御電圧の値がV1からV2の範囲、V3から零の範囲、零からV4の範囲、V5からV6の範囲にあるかないかを検出するとともに、前記反転制御電圧の値が区間Aや区間Bの範囲にあるかないかを検出し、オフセット電圧5aを加算するか減算するか何もしないかを判断する事を特徴とする請求項1記載の位相差検出回路。 - 前記位相差・オフセット変換回路は、
前記制御電圧を入力とし、第1の検出信号を出力する第1の検出回路と、
前記反転制御電圧を入力とし、第2の検出信号を出力する第2の検出回路と、
前記第1の検出回路の出力と前記第2の検出回路の出力を入力とし、オフセット電圧を加算するか減算するか何もしないかを判断する判別回路と、
V1からV6の電圧分をプラス方向に定電圧出力として出力する定電圧源と、
前記定電圧源の出力を第1の入力とし、前記判別回路の出力を第2の入力として、判別信号が加算ならば前記定電圧出力をそのままオフセット電圧として出力し、判別信号が減算ならば前記定電圧出力を反転してオフセット電圧として出力し、前記判別信号がなければオフセット電圧を零として出力する電圧反転回路と、
を備えることを特徴とする請求項1または2記載の位相差検出回路。 - 基準位相と参照位相を入力し、両者の差である第1の入力位相差に比例する第1の位相誤差信号を出力する第1の位相比較器と、
前記第1の位相誤差信号を積分し、制御電圧を出力する第1の積分回路と、
前記基準位相を位相反転し、反転基準位相を出力する反転回路と、
前記反転基準位相と前記参照位相を入力し、両者の差である第2の入力位相差に比例する第2の位相誤差信号を出力する第2の位相比較器と、
前記第2の位相誤差信号を積分し、反転制御電圧を出力する第2の積分回路と、
前記制御電圧を第1の入力とし、前記反転制御電圧を第2の入力として、前記第1の入力位相差に応じた制御電圧の値を検出するとともに、前記反転制御電圧の値が零近傍となる第2の入力位相差の区間を検出し、前記制御電圧の値と前記第2の入力位相差の区間からオフセット電圧の出力を判別し、この判別結果に基づいてオフセット電圧を出力する位相差・オフセット変換回路と、
前記制御電圧に前記オフセット電圧を加え、オフセット付加制御電圧を出力するオフセット付加回路と、
前記オフセット付加回路の出力を入力とし、前記オフセット付加制御電圧により発振周波数が制御される参照位相を出力するとともに前記第1の位相比較器および第2の位相比較器に入力する従属発振器を備えることを特徴とする位相同期回路。 - 基準位相と参照位相を入力し、両者の差である第1の入力位相差に比例する第1の位相誤差信号を出力する第1の位相比較器と、
前記第1の位相誤差信号を積分し、制御電圧を出力する第1の積分回路と、
前記基準位相を位相反転し、反転基準位相を出力する反転回路と、
前記反転基準位相と前記参照位相を入力し、両者の差である第2の入力位相差に比例する第2の位相誤差信号を出力する第2の位相比較器と、
前記第2の位相誤差信号を積分し、反転制御電圧を出力する第2の積分回路と、
前記制御電圧を第1の入力とし、前記反転制御電圧を第2の入力として、前記第1の入力位相差に応じた制御電圧の値を検出するとともに、前記反転制御電圧の値が零近傍となる第2の入力位相差の区間を検出し、前記制御電圧の値と前記第2の入力位相差の区間からオフセット電圧の出力を判別し、この判別結果に基づいてオフセット電圧を出力する位相差・オフセット変換回路と、
前記制御電圧に前記オフセット電圧を加え、オフセット付加制御電圧を出力するオフセット付加回路と、
変調信号を出力する角度変調用発振器と、
前記オフセット付加制御電圧および前記変調信号を入力し、これらを加算した加算電圧を出力する加算回路と、
前記加算電圧により周波数変調や位相変調の角度変調を受ける前記参照位相を出力するとともに前記第1の位相比較器および第2の位相比較器に入力する従属発振器を備えることを特徴とする角度変調位相同期回路。
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JP27471595A JP3826387B2 (ja) | 1995-09-28 | 1995-09-28 | 位相差検出回路およびこれを用いた位相同期回路 |
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- 1995-09-28 JP JP27471595A patent/JP3826387B2/ja not_active Expired - Fee Related
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