JP3825642B2 - 生産計画立案方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、それぞれ、複数の加工工程を有し、さらに複数種類の加工設備を用いて生産される複数の製品に対する生産計画を立案する生産計画立案方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
それぞれ複数の加工工程を有し、さらに複数種類の加工設備を用いて生産される複数の製品に対する生産計画を立案する場合、各製品毎の製造個数(オーダ個数)、生産開始可能日、納期指定日等の製造指示情報と、各製品毎の必要加工工程(JOB)、各加工工程(JOB)で使用される加工設備、加工設備における加工順序(JOB順序)、各加工工程(JOB)での必要時間(加工ベースタイム)等の品目別工程情報とを予め準備する。
【0003】
そして、各加工設備に対して、順次製造する製品の各加工工程(JOB)を、該当製品の該当加工に要する製造個数と所要単位期間とを乗算した基準の時間(各加工工程の基準値)の時間枠を、生産開始可能日から時間経過の順番に並べることによって生産計画を立案していた。なお、この各時間枠を納期指定日から時間経過の逆方向に遡って工程の逆順番に並べることによって生産計画を立案する手法も採用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、各製品の各加工工程に要する基準の時間(各工程の基準値)の時間枠をただ単に順番に並べていく計画立案の手法において、上記の工程全ての各加工設備の加工能力が十分でかつ計画立案から実際に生産が開始するまでの期間において、各製品の製造指示や各加工施設の条件が不変であれば、上述した工程順または工程の逆順による生産計画を立案すれば問題は生じない。
【0005】
しかしながら、生産品種の多様化、生産量の変更等の生産形態の変動により、また、特定の品種、製品に対して採用される加工設備の変更等により、上述した各工程の基準値に変動がある製品オーダに対して製品の生産計画の立案を行う必要が発生する場合がある。
【0006】
このような場合、計画立案当初で適用されている基準値にて各工程の作業時間、作業手順を決定し計画立案を行うため、立案された生産開始から生産終了までの各時点における各工程の基準値が、採用加工設備の変更等により変更になったその時点での基準値に必ずしも一致している保証がない。そのため、基準値変更日時直近での計画変更作業の発生や基準値の変動を見越した生産計画の立案を行うことができなかった。
【0007】
また、生産計画立案の手法として、各加工工程の時間枠を生産開始可能日から順番に並べることによって生じる生産開始時点近傍に製品相互間で各加工工程が重複することを防止するためにフォワード山崩し処理を実施して、各加工設備の負荷の平準化を図るようにしている。また、各加工工程の時間枠を納期指定日から逆方向に遡って工程の逆順番に並べることによって生じる納期指定日近傍に製品相互間で各工程が重複することを防止するためにバックワード山崩し処理を実施して、各加工設備の負荷の平準化を図るようにしている。
【0008】
このようなフォワード山崩し処理又はバックワード山崩し処理による生産計画では、各加工設備の能力全てを充当した割付を行うため、生産量が少ない場合に、まだ前半または後半に負荷が集中し、負荷が十分平準化された計画が立案されず、人間系による負荷調整作業が繁用に発生していた。
【0009】
さらに、各加工設備の負荷が十分平準化されていないので、生産計画立案後において、追加の製品のオーダが発生した場合に、たとえ、生産開始可能日時から納期指定日時までの生産期間内において、全体の設備能力的に余裕が存在したとしても、既に各加工工程の時間枠を割付済みの各製品をも含めて最初から生産計画をやり直す必要がある。そのために、多大の時間と労力を必要とした。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、各加工設備が生産期間内に変更になる場合の変更日時を記憶することにより、各製品を製造するための各製造工程の時間枠を生産期間内に割付るに際して、自動的にその時点における正しい加工設備に割付けられ、効率的かつ精度良く各製品に対する生産計画を立案できる生産計画立案方法を提供することを目的とする。
【0011】
さらに、上記目的に加えて、生産期間中における各加工設備の負荷分散を図ることができ、追加の製品のオーダが発生した場合においても、既に割付済みの製品の加工工程をほとんど変更することなく、簡単にこの追加の製品の工程を各加工設備に割付できる生産計画立案方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、それぞれ複数の加工工程を有しかつ複数種類の加工設備を用いて生産される複数の製品における各加工工程の時間枠をコンピュータを用いて各加工設備に割付ける生産計画立案方法に適用される。
【0013】
そして、上記課題を解消するために、本発明の生産計画立案方法においては、製造すべき各製造品目における加工着手可能日時と納期指定日時と製造数量とからなる品目別製造指示情報が上位計算機から入力されると、予めファイルに記憶されている各製造品目における加工工程と加工設備と加工順序と加工時間とを含む品目別工程情報を用いて、前記製造指示された各製造品目における加工工程と加工設備と加工順序と加工時間とを算出して工程展開結果として、工程展開結果ファイルに書込む工程展開結果作成工程と、
予めファイルに記憶されている各加工設備における稼働パターン情報と、前記工程展開結果とを用いて、各製造品目における最早の生産スケジュールと最遅の生産スケジュールとを求めて時間計算結果として時間計算結果ファイルに書込む時間計算工程と、
上位計算機から入力された各加工設備における仮想負荷情報に基づいて、各加工設備において各仮想負荷の加工工程の割付を日単位で1日の前半又は後半に交互に行い、仮想負荷配置結果として仮想負荷配置結果ファイルに書込む仮想負荷割付工程と、
前記時間計算結果及び前記仮想負荷配置結果を基に、各加工設備における仮想負荷の加工工程を優先として各製造品目及び仮想負荷の各加工工程を割付けて、過負荷調整前スケジュール結果として過負荷調整前スケジュール結果ファイルに書込むフォワードによる山崩割付工程と、
前記過負荷調整前スケジュール結果における加工設備における製造品目の加工工程が過負荷状態になった加工工程に対して、過負荷状態の対象となる仮想負荷の加工工程を削除して、再度山崩割付工程を実施して過負荷調整後スケジュール結果として過負荷調整後スケジュール結果ファイルに書込む過負荷調整工程と
を備えている。
【0016】
このように構成された生産計画立案方法においては、各加工設備に対して分散する複数の仮想負荷の時間枠が予め設定される。したがって、この状態で各製品における各加工工程の時間枠を割付た場合、仮想負荷の時間枠は実勢には空き時間となるので、各加工設備の生産期間内における負荷状態が均一化される。
【0018】
さらに、各加工設備において、仮想負荷を除外した実際の各加工工程の時間枠は分散して配設されているので、たとえ、追加の製品のオーダが発生した場合においても、既に割付済みの製品の工程をほとんど変更することなく、簡単にこの追加の製品の加工工程を各加工設備に割付できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。
図1は実施形態に係る生産計画立案方法を示す流れ図である。
【0020】
仮想負荷情報2は、上位計算機や他システムや製造要求入力等の各種の入力手段1にて提供される。この仮想負荷情報2は、図2に示すように、各加工設備(ここでは、加工設備101,201,401)毎に、仮想負荷割付開始日時、仮想負荷割付終了日時期、1日当たりの負荷時間が対応付けられた情報である。
【0021】
図2の例では、例えば、加工設備101は4月1日の8時から10時までに仮想負荷として120分の負荷枠(時間枠)を必要とすると指定されている。
【0022】
(1) そして、ステップS1において仮想負荷展開処理を実施する。
すなわち、上述した仮想負荷情報2を基に、日別の加工設備単位の仮想負荷を作成し、その結果を図3示す仮想負荷展開結果3として例えば磁気ディスク装置のファイルへ記憶保持する。例えば、この仮想負荷展開結果3においては、図3に示すように、加工設備101においては、4月1日から4月5日までの毎日朝8時から10時まで120分の仮想負荷の時間枠が割付られる。
【0023】
(2) 次に、ステップS2において工程展開結果作成処理を実施する。
上位計算機や他システムや製造要求等の入力手段1により品目別製造指示計画情報4が入力される。この品目別製造指示計画情報4は、図4に示すように、製造品目(ここでは、製品A、B、C、D)毎に、着手可能日時、納期指定日時、製造指示数量(オーダ数)が対応付けられた情報である。例えば、製品Aは4月1日の8時から製造着手が可能であり、納期が4月4日18時であり、10個製造することが要求されている。また、製品Bは4月1日の8時から製造着手が可能であり、納期が4月5日14時であり、10個製造することが要求されている。
【0024】
また、品目別工程情報5は、図5に示すように、製造品目(ここでは、製品A、B、C、D)毎に、それが製造される加工工程と、その加工工程を実行する設備と、その設備を用いた製造の加工順序と、1個当たりの加工ベースタイムと、品目別工程情報の運用開始日と、運用終了日とが対応付けられた情報である。
【0025】
例えば、製品Aについては、加工1、加工2、加工3、加工4を行う4つの加工工程があり、上記加工1は加工設備101にて行われ、加工2は加工設備201にて行われ、加工3は加工設備301に行われ、加工4は加工設備401にて行われることが指定されている。また、加工1、加工2、加工3、加工4の加工工程は、この順序通り行われる必要があることが加工順序により示されている。
【0026】
なお、この品目別工程情報5は予め磁気ディスク装置等に記憶保持されている。
【0027】
そして、上述した品目別製造指示情報4を基に、品目別工程情報5の加工順序に従って工程展開を行い、その結果を図6,図7に示す工程展開結果6として例えば磁気ディスク装置のファイルへ記憶保持する。
【0028】
具体的には、各製品A、B、C、Dについて、どこの加工設備を用い、どのような順序でどれだけの加工時間(製造数量×ベースタイム)を要するかの計算が行われ、着手可能日時と納期指定日時を図4に示す品目別製造指示情報4から得て、図6、図7に示す工程展開結果6を得る。
【0029】
例えば、製品Aについて、加工設備101、加工設備201、加工設備301、加工設備401を、1、2、3、4の順序で用いて、それぞれの加工時間が300分、300分、600分、300分を要することが計算され、着手可能日時は4月1日8時、納期指定日時は4月4日18時であることが、図4の品目別製造指示情報4から導かれる。
【0030】
さらに、このステップS2においては、各製品A、B、C、Dについて、どこの加工設備を用い、どのような順序でどれだけの加工時間を要するかの情報を生産期間内の途中で切り替える場合、適用開始日、適用終了日を用いて判定を行い、図6、図7に示す工程展開結果6に書込む。
【0031】
例えば、図6、図7の工程展開結果6によれば、例えば、製品Dについて、加工設備101、加工設備201、加工設備301、加工設備302、加工設備401、加工設備402を、1、2、3、3、4、4の順序で用いて、それぞれの適用開始日が3月1日、3月1日、3月1日、4月4日、3月1日、4月4日、適用終了日が4月3日、4月3日、4月3日、4月30日、4月3日、4月30日である。
【0032】
この例では、加工設備301(JOB15、4月3日以前)と加工設備302(JOB16、4月4日以降)、加工設備401(JOB17、4月3日以前)と加工設備402(JOB18、4月4日以降)とで、たとえ同一の加工作業であっても、その加工作業の適用日(実施日)によって加工設備の切替えが発生することが示されている。
【0033】
(3) 次に、ステップS3においてPERTによる時間計算処理を実施する。
例えば磁気ディスク装置に記憶されている加工設備情報7は、図8に示すように、各加工設備101〜402に対する稼働パターンの情報である。さらに、同じく磁気ディスク装置に記憶されている稼働パターン情報8は、図9に示すように、上述した各稼働パターン毎に、稼働日、稼働時帯、1日の稼働時間の情報である。例えば、加工設備101の稼働パターンは、「1」と指定した場合は、それに対応する稼働パターンは、4月1日から4月6日までの毎日8時から18時まで600分稼働することを示す。
【0034】
そして、このステップS3においては、ステップS2で作成された工程展開結果6と上述した加工設備情報7、稼働パターン情報8に基づき、製造品目について設備単位別に最早開始時刻、最早終了時刻、最遅開始時刻、最遅完了時刻、フロート(余裕時間)等をPERT(Program Evaluation and Review Technique)を用いて算出し、その結果を時間計算結果9(9a、9b、9c)として例えば磁気ディスク装置のファイルへ記憶保持する。
【0035】
具体的には、各製品A、B、C、Dについて、最早の生産スケジュールであるフォワードパスと最遅の生産スケジュールであるバックワードパスとにより構成される図10に示すPERT図9aを算出する。
【0036】
例えば、製品Aについてフォワードパスで時間割当を実施すると、最早で4月1日8時から加工設備101を用いて生産開始となり、図6、図7の工程展開結果6で示すように、300分を要し、次に加工設備201を用いて生産し、図6、図7の工程展開結果6に示すように300分を要し、次に加工設備301を用いて生産し、図6,図7の工程展開結果6に示すように600分を要し、最後に加工設備401を用いて生産し、図6、図7の工程展開結果6に示すように300分を要する時間割り当てがなされる。
【0037】
一方、製品Aについてバックワードパスで時間割当を実施すると、製品Aについては、最遅で4月4日18時まで完成すればよいので、この時間から遡って加工設備401、加工設備301、加工設備201、加工設備101の時間割り当てが実施される。
【0038】
ここで、製品Dに対する時間割当を検証する。
この製品Dについては、前述したように、4月3日以前と4月4日以降とでは、適用される加工設備が異なる。このように、適用日による加工設備の切り替えが発生する製品については、現在(4月3日以前)適用されている加工設備の容量等を用いて決定される該当加工工程の基準値を用いて図11に示す各JOB13〜18のPERT計算9bを算出するとともに、将来切り替わる(4月4日以降)の加工設備の容量等を用いて決定される基準値を用いて図11に示す各JOB13〜18のPERT計算結果9bを算出する。
【0039】
次に、作成された製品DのPERT計算結果に対して、適用日切替えのための補正処理を実施する。すなわち、図11の製品Dにおける各JOB13〜18のPERT計算結果9bを図示化した図12に示す製品Dの各JOB13〜18の探索範囲9cにおいて、各JOB13〜18の探索範囲を適用開始日、適用終了日を用いて補正する。例えば、JOB15の探索期間(4月2日8時〜4月6日13時)を適用日切替前の探索期間(4月2日8時〜4月3日18時)に補正する。この補正結果を図13に示す製品DのPERT計算の補正結果9dとして記憶保持する。
【0040】
(4) 次に、ステップS4にて、仮想負荷割付処理を実施する。
すなわち、ステップS1で作成した図3に示す仮想負荷展開結果3を基に、仮想負荷の割付を日単位で、1日の前半または後半に交互に配置を行い、その結果を図14に示す仮想負荷配置結果10として例えばメモリファイルへ記憶保持する。
【0041】
例えば、加工設備101の仮想負荷は、4月1日については8時から4月1日10時に配置され、4月2日については、16時から18時に配置され、4月3日については、8時から10時に配置され、4月4日については、16時から18時に配置され、4月5日については8時から10時に配置されている。次に加工設備201の仮想負荷は、4月1日については8時から4月1日10時に配置され、4月2日については、16時から18時に配置され、4月3日については、8時から10時に配置され、4月4については、16時から18時に配置され、4月5日については8時から10時に配置されている。
【0042】
さらに、加工設備401については、4月1日については8時から4月1日10時に配置され、4月2日については、16時から18時に配置され、4月3日については、8時から10時に配置され、4月4日については、16時から18時に配置され、4月5日については8時から10時に配置されている。
この想負荷配置結果10における仮想負荷が割付けられていない時間帯に上述した各製品のJOBを割付る。
【0043】
したがって、このように、タイムバケット単位に仮想負荷を1日の前半配置、後半配置と交互に配置(割付)することで、各加工装置における製品加工に関する実際の負荷の均一化を図ることができる。さらに、2日間に亘り、連続した空き負荷(仮想負荷)を確保できるので、後から製品の追加オーダが発生した場合に、タイムバケットを跨るオーダにおける各加工工程の時間枠の配置(割付)が可能となる。
【0044】
(5) 次に、ステップS5にて、フォワードによる山崩し割付処理を実施する。
すなわち、図5に示す品目別工程情報5、ステップS3で作成した時間計算結果9(9a、9c、9d)、ステップS4で作成した仮想負荷配置結果10を基にフォワードによる山崩し割付を行い、その結果を、図15に示すスケジュール結果(過負荷調整前、製品A〜C)11と、図16に示すスケジュール結果(過負荷調整前、製品D)11aとして、例えば、メモリファイルに記憶保持する。
【0045】
ここでは、ステップS3で作成した図14に示す仮想負荷配置結果10にて、各日の朝又は夕刻に仮想負荷が既に枠取りされているので、図15、図16に示すように、各加工設備101〜402の稼働可能時間枠からその仮想負荷による負荷枠分(時間枠)を除いた範囲で、製品オーダの割付を時間計算結果9(9a、9c、9d)に従い再早開始日時〜最遅開始日時または再早完了日時〜最遅完了日時の範囲内で各JOB1〜18の割付を順番に行っていく。
【0046】
その際、品目別工程情報5を指定された加工設備等の適用開始日、適用終了日と割付処理による割付位置の日時と比較し、適用すべきJOBの割り付けを適宜変更することで、各製品の各加工工程で採用される加工設備等を用いて定まる基準値の適用日時と割付ける加工設備との同期をとることが可能になる。
【0047】
また、仮想負荷の時間枠の枠取り後、製造オーダの割付を行うことで、フォワード、バックワード双方の山崩し割付においても、各加工設備101〜402の負荷が平準化された生産計画を立案することが可能となる。
【0048】
上述した効果を、具体例を図15、図17のスケジュール結果11、11aを用いて説明する。
このフォワードによる山崩し割付処理を製品A、B、C、Dの割付順位として製造する本実施例の形態に適用すると、図15に示すスケジュール結果(過負荷調整前)11では、製品A、B、Cのフォワード山崩しでは、全ての加工設備101〜402での割付状態は、割付可能範囲内となるため、フォワード山崩しの結果で問題がない。
【0049】
しかし、図16に示す製品Dのスケジュール結果(過負荷調整前)11bではJOB13については、探索範囲内での割付であるため問題が無いが、JOB14の割付終了日時が4月4日以降となるので、製品Dによる加工設備301での適用終了日時が4月3日18:00であるため、JOB15の探索範囲外となる。そなため、JOB15を割り付ける必要が無くなり、JOB15を破棄し、新たに、4月4日8:00から適用される製品Dによる加工設備302でのJOB17の割付を行う。
【0050】
また、この結果、JOB17の割付終了日が、JOB16の探索範囲外となるため、JOB16を割り付ける必要が無くなる。よって、JOB16を破棄し、新たに4月4日8:00から適用される製品Dによる加工設備402でのJOB:18の割付を行う。
【0051】
このように、適用すべきJOBの時間枠の割付けを適宜変更することで、基準値の適用日時と割付けるJOBとの同期をとることが可能となる。
【0052】
このように、加工工程に採用される加工設備が該当製品の生産期間内に変更になる場合の変更日時に基づいて、各製品を製造するための各製造工程の時間枠を生産期間内に割付るに際して、自動的にその時点における正しい加工設備に割付けられる。
【0053】
(6) 次に、ステップS6にて、Overload処理を実施する。
すなわち、ステップS5で作成したスケジュール結果(過負荷調整前、製品A〜C)11、スケジュール結果(過負荷調整前、製品D)11aを基に、Overload状態になった製造オーダに対し、ステップS4で割り当てた仮想負荷をOverloadの対象となっている加工設備の仮想負荷を消し込み、再度フォワードによる山崩し割付を行い、その結果をスケジュール結果(過負荷調整後)12として、例えば、メモリファイルに記憶保持する。
【0054】
このOverload処理を、既に生産計画に対する割付が終了している製品A、B、C、Dに対して、追加オーダの製品Eに対する割付を実施する場合を例にして説明する。
【0055】
この追加オーダの製品Eは、図17(a)に示す品目別製造指示情報4eを有すると仮定する。この仮定された品目別製造指示情報4eによると、製品Eを4月1日8:00から4月4日18:00迄に10個作成する。また、この製品Eに対しては、図17(a)に示す品目別工程情報5eが予め定められている。この品目別工程情報5eによると、製品Eを加工設備101、加工設備201、加工設備301、加工設備401の順番で製造指示され、各加工設備101〜401の適用開始日は3月1日であり、適用終了日は4月30日である。
【0056】
これらの品目別製造指示情報4e及び品目別工程情報5eを用いて、前述したステップS2の工程展開結果作成処理を実施して図18に示す製品Eの工程展開結果6eを算出する。この製品Eの工程展開結果6eにおいては、品目別工程情報5eの各設備の加工ベースタイムと品目別製造指示情報4eの製造数量を掛けることにより、加工設備101(JOB19)での加工時間150分、加工設備201(JOB20)での加工時間150分、加工設備301(JOB21)での加工時間450分、加工設備401(JOB21)での加工時間450分が得られる。
【0057】
さらに、ステップS3のPERTによる時間計算処理にて、図19で示す製品EのPERT図9ae、図20で示す製品EのPERT計算結果9de、図21で示す製品Eの割付探索結果9ceを算出する。この算出された製品Eに対する割付探索結果9ceにおいては、初工程着手可能日からフォワードで再早開始日時、再早終了日時を計算し、納期指定日時からバックワードで最遅開始日時、最遅終了日時を計算している。
【0058】
その結果、製品Eは、図21で示すように、4月1日8:00が最早開始日時となり、最早終了日時が4月2日18:00となる。また、4月3日8:00が最遅開始日時となり4月4日18:00が最遅終了日時である。
【0059】
次に、以上の追加製品Eに対する準備処理が終了すると、実際のOverload処理を実施する。
【0060】
図22は、製品A〜Dの割付状態と製品Eの割付状態の可能範囲11aeを示す図である。スケジュールするための単位をJOBとして現した場合、各JOBの割付探索範囲は、追加製品EにおけるJOB19が4月1日8:00〜4月3日10:00、JOB20が4月1日10:30〜4月3日13:00、JOB21が4月1日13:00〜4月4日10:30、JOB22が4月2日10:30〜4月4日18:00となる。
【0061】
また、図23は、割付済みの製品A、B、C、Dの各JOB1〜18に対して追加の製品Eの各JOB19〜22を割付けた負荷調整後のスケジュール結果12を示す図である。
【0062】
割付済みの製品A、B、C、Dの各JOB1〜18に対して追加の製品Eの各JOB19〜22を割付けようとした場合、JOB19については、図22示すように割付探索範囲内に空き負荷が無いことが理解せきる。この場合、ステップS6でのOverload処理により、図23で示す加工設備101の割付け済み仮想負荷量の時間枠をJOB19の割付探索範囲の最早位置から探索し、JOB19の負荷量が仮想負荷量内に収まるのであれば、仮想負荷を破棄し、JOB19をその最早位置に割付ることで、それ以後のJOB20、21の各時間枠を割付探索範囲内で割付けることが可能となる。
【0063】
また、製品EのJOB22は、JOB19と同様で、割付探索範囲に空き負荷が無いため、4月2日16:00〜18:00に割り付いている仮想負荷を破棄し、4月2日10:30〜4月2日18:00にこのJOB22の時間枠を割当てることが可能となる。
【0064】
このようにして得られた図23に示すスケジュール結果(過負荷調整後)12を例えばディスク装置のファイルへ記憶保持する。
【0065】
また、このスケジュール結果(過負荷調整後)12を、CRT装置やプリンタ装置等にて出力して情報提供することも可能である。
【0066】
このように、各加工設備に対して、生産期間内に亘って分散する複数の仮想負荷の時間枠を割付た状態において、各製品の各加工工程(JOB)の時間枠を割付ているので、追加オーダの製品の各加工工程の各時間枠を割付る場合に、たとええ重複した時間枠が発生したとしても、仮想負荷の時間枠をこの加工工程の時間枠に置き換えることによって、この重複状態オーバロード状態)を簡単に解消できる。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の生産計画立案方法においては、各加工設備が生産期間内に変更になる場合の変更日時を記憶している。したがって、各製品を製造するための各製造工程の時間枠を生産期間内に割付るに際して、自動的にその時点における正しい加工設備に割付けられ、効率的かつ精度良く各製品に対する生産計画を立案できる。
【0068】
さらに、全部又は1部の加工設備に対して生産期間内に亘って分散する複数の仮想負荷の時間枠を割付ているので、生産期間中における各加工設備の負荷分散を図ることができ、追加の製品のオーダが発生した場合においても、既に割付済みの製品の工程をほとんど変更することなく、簡単にこの追加の製品の工程を各加工設備に割付できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係わる生産計画立案方法の各工程の実施順序を示す流れ図
【図2】同生産計画立案方法に用いられる仮想負荷情報の内容を示す図
【図3】同生産計画立案方法において仮想負荷情報を展開して得られる仮想負荷展開結果の内容を示す図
【図4】同生産計画立案方法において採用される生産計画立案対象の各製品の品目別製造指示情報の内容を示す図
【図5】同生産計画立案方法における生産計画立案対象の各製品の品目別工程情報の内容を示す図
【図6】同生産計画立案方法における生産計画立案対象の各製品の工程展開結果の内容を示す図
【図7】同じく同生産計画立案方法における生産計画立案対象の各製品の工程展開結果の内容を示す図
【図8】同生産計画立案方法で用いられる各加工設備の稼働パターンを示す加工設備情報の内容を示す図
【図9】同生産計画立案方法で用いられる各加工設備の各稼働パターンの具体的内容を示す図
【図10】同生産計画立案方法で算出されるPERTの内容を示す図
【図11】同生産計画立案方法で算出される製品DのPERT計算結果の内容を示す図
【図12】同生産計画立案方法で算出される製品Dでの各JOBの探索範囲の内容を示す図
【図13】同生産計画立案方法で算出される製品DのPERT計算の補正結果の内容を示す図
【図14】同生産計画立案方法で得られる仮想負荷の配置の内容を示す図
【図15】同生産計画立案方法で得られる製品A〜Cの配置の内容を示す図
【図16】同生産計画立案方法で得られる製品Dの配置の内容を示す図
【図17】同生産計画立案方法において新たに追加された製品Eの品目別製造指示情報及び品目別工程情報の内容を示す図
【図18】同生産計画立案方法において新たに追加された製品Eの工程展開結果の内容を示す図
【図19】同生産計画立案方法において新たに追加された製品EのPERTの内容を示す図
【図20】同生産計画立案方法において新たに追加された製品EのPERT計算結果の内容を示す図
【図21】同生産計画立案方法において新たに追加された製品Eの割付探索範囲の内容を示す図
【図22】同生産計画立案方法において算出された製品A〜Dの割付結果と新たに追加された製造Eの割付可能範囲の内容を示す図
【図23】同生産計画立案方法において新たに追加された製品Eの調整後の配置の内容を示す図
【符号の説明】
1…入力手段
2…仮想負荷情報
3…仮想負荷展開結果
4、4e…品目別製造指示情報
5、5e…品目別工程情報
6、6e…工程展開結果
7…加工設備情報
8…稼働パターン情報
9…時間計算結果
9a、9ae…PERT図
9b、9be…製品PERT計算結果
9c、9ce…製品の各JOBの探索範囲
9d…製品のPERT計算の補正結果
10…仮想負荷配置結果
11…スケジュール結果(過負荷調整前)
11a、11ae…製品の配置
12…スケジュール結果(過負荷調整後)
S1…仮想負荷展開処理
S2…工程展開結果作成処理
S3…PERTによる時間計算処理
S4…仮想負荷割付処理
S5…フォワードによる山崩し割付処理
S6…Overload処理
Claims (1)
- それぞれ複数の加工工程を有しかつ複数種類の加工設備を用いて生産される複数の製品における各加工工程の時間枠をコンピュータを用いて各加工設備に割付ける生産計画立案方法において、
製造すべき各製造品目における加工着手可能日時と納期指定日時と製造数量とからなる品目別製造指示情報が上位計算機から入力されると、予めファイルに記憶されている各製造品目における加工工程と加工設備と加工順序と加工時間とを含む品目別工程情報を用いて、前記製造指示された各製造品目における加工工程と加工設備と加工順序と加工時間とを算出して工程展開結果として、工程展開結果ファイルに書込む工程展開結果作成工程と、
予めファイルに記憶されている各加工設備における稼働パターン情報と、前記工程展開結果とを用いて、各製造品目における最早の生産スケジュールと最遅の生産スケジュールとを求めて時間計算結果として時間計算結果ファイルに書込む時間計算工程と、
上位計算機から入力された各加工設備における仮想負荷情報に基づいて、各加工設備において各仮想負荷の加工工程の割付を日単位で1日の前半又は後半に交互に行い、仮想負荷配置結果として仮想負荷配置結果ファイルに書込む仮想負荷割付工程と、
前記時間計算結果及び前記仮想負荷配置結果を基に、各加工設備における仮想負荷の加工工程を優先として各製造品目及び仮想負荷の各加工工程を割付けて、過負荷調整前スケジュール結果として過負荷調整前スケジュール結果ファイルに書込むフォワードによる山崩割付工程と、
前記過負荷調整前スケジュール結果における加工設備における製造品目の加工工程が過負荷状態になった加工工程に対して、過負荷状態の対象となる仮想負荷の加工工程を削除して、再度山崩割付工程を実施して過負荷調整後スケジュール結果として過負荷調整後スケジュール結果ファイルに書込む過負荷調整工程と
を備えた生産計画立案方法。
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