JP3825493B2 - 薄板中空円板状側面板製作のためのサークル切断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は薄板中空円板、特に金属コイルの梱包に供する薄板中空円板状側面保護板を製作するための切断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属コイルの梱包には、金属コイルの胴体及び側面が薄板金属板で保護されるが、コイル側面はコイル孔を有するため、薄板中空円板状側面保護板(以下被加工板と略)を製作するための切断装置としては、例えば図5の構造の物が一般に使われている。図において、10:架台、11:内径カッター、14,16:ハウジング、15:外径カッター、19:押さえ装置、21:内径用切欠き、22:外径用切欠き、29:操作盤、120:内径カッター駆動モーター、160:外径カッター駆動モーターである。
【0003】
薄板中空円板状側面板を製作するに当たり、被加工板の中空円板の外径がとれる四角形の板をサークル切断装置にセットする。この装置に装着された被加工板の中心点を押さえる押さえ装置は、この四角形の対角線の交わる点を押さえる。この押さえ装置はこの点を軸として円周方向に回転できる。
【0004】
円板の中心を押さえ外周を切断するため所定の寸法の直径の位置に外径刃(以下外径カッターと略)をセットして、所定の外周の真円の形状に切る。これが切り終わったら内径刃(以下内径カッターと略)を所定の寸法の直径の位置にセットして、所定の内周の真円の形状に切る。外周、内周切断時の被加工板の回転力は、切断刃の切断時の摩擦力によって与えられる。
【0005】
この内径切断用回転丸刃(内径カッター)11は減速機付きモーター120により駆動され、その回転速度は一定で、切断開始、停止は作業者がスイッチをオン、オフすることにより行う。通常円筒状に巻かれたストリップの内径は16吋(406mm)、20吋(508mm)、24吋(610mm)であり、コイル外径に比べてコイル内径は切断長が短く切断直径も限定されているから、切断時間も短い。
切断能率より被加工板の種々の変化に支配されない安定的な領域の切断速度に切断刃の回転数がなるようにした切断刃の駆動モーターと、切断刃の間に減速機の入った駆動装置で回転数制御無しの設備になっている。
【0006】
又、外径切断用回転丸刃(外径カッター)15は、減速機付きモーター160でインバーター制御付き可変速機能付きにより駆動され、その回転速度は被加工板の外径・板厚等を勘案のうえ、所定の回転速度を決めディジィスイッチで設定して一定速度で切断する。切断開始、停止は作業者がスイッチをオン、オフすることにより行う。通常円筒状に巻かれたストリップの外径は700mm、2000mmであるので、外径はこの間で選択される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
コイル外径は切断長が長く切断直径も無数にあるうえ切断時間が長いので、切断能率を良くし、更に被加工板の切断後の品質を損なわないような切断速度を決め、その速度になるように切断刃の回転数を設定する。切断速度を任意に変えるため、切断刃の駆動モーターと切断刃の間に減速機の入った駆動装置をサイリスターで回転数制御する設備になっている。
【0008】
このような構造のサークル切断装置では、能率を上げるために内周と外周を同時に切断しようとすれば、内周切断時の円板の回転角速度と外周切断時の円板の回転角速度が同じに出来ないために、切断時に被加工板に歪みが発生すると共に、加工された中空円板状側面板の真円度も非常に悪い。従って中空円板状側面板を作るには、外周を切断するために被加工板の原板を1回転させた後に、内周を切断するためにこの外周を切断した板を更に1回転させ、併せて2回転させることが必要である。
本発明は、薄板中空円板状側面板を製作する時、外周と内周を同時に切断し、従来法による製品と同等の製品を製作して、しかも能率を倍増させる装置を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、内周切断用と外周切断用の2組のそれぞれ独立した回転する切断刃を内蔵し、これらの切断刃はそれぞれ単独に切断回転速度を可変にできる切り込み、及びこの刃の速度を可変にするタイミングを指示できるようにするための回転角感知機構を装着した被加工板を回転させる駆動装置を用い、外周切断と内周切断を同期制御するサークル切断装置について検討し、本発明を完成した。
【0010】
即ち本発明は、被加工板を収納する切り込み部を有する一対のハウジングと、前記切り込み部に各々設けた内径切断刃と外形切断刃と、前記内径切断刃と外形切断刃を各々回転駆動する減速機付モーターと、回転する被加工板を支持固定する被加工板押さえと、回転する被加工板の回転角を検知する回転角感知機構を備えたサークル切断装置において、前記回転角感知機構が、外径切断を開始後任意角に達した所で内径切断を開始し、外径切断終了後の任意到達後に内径切断を終了するように、検知した被加工板の回転角に基づいて前記内径切断刃と外形切断刃各々の回転数を制御する制御手段を備えることを特徴とするサークル切断装置である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は内径カッター、外径カッターの回転数をそれぞれ独立に可変にでき、速度応答性の高いモーターを使用するため、板厚・材質がばらついても内周の角速度と外周の角速度を同じにすることができる。このため内径カッターと外径カッターのそれぞれを同時に使用して原板を切断しても、切断中、切断後の製品に歪みがでたり真円度がでなかったりすることなない。
【0012】
以下本発明を図1〜4に基づき説明する。
図3は本発明における内・外径同時カットプログラムの各データ記号を示す。外径加工速度は、例えば表1の加工寸法、カッター径のとき次の要領で設定される。
【表1】
【0013】
外径加工速度は、作業者のデータ入力により任意に設定される。即ち次の(1)式となる。
加工速度=モーター回転数×カッター径×π×減速比 ……………(1)
外径カッター駆動モーター回転数は500rpm となり、モーターの回転数(rpm )を直接入力する。
このときの内径カッター駆動モーター回転数は次の(2)式となる。
RPM= 510/1800 ×1/5/1/20× 100/90 ×500 rpm =629 rpm ……(2)
上記のデータを入力すれば内外径カッター速度は同期し、内周と外周の同時切断が可能になる。
【0014】
内・外径とも同時にスタートし、同時に終了しようとすると、終了間際では遠心力により外径カッター側へ材料が流れ、切断開始点と切断完了点とがずれる。
従って、外径切断開始後、任意角に達したところで内径切断を開始し、外径切断終了後、任意到達後に内径切断を終了するようにする。即ち内径カッター回転速度と外径カッター回転速度を演算し、その数値を内・外径カッター回転駆動用サーボモーター12,16へ送り、内・外径カッター同調運転を行う。内・外径同調運転を同時に始めると完成品に支障がでるため、外径カッターを開始後、少し時間をおいてから内径カッターを開始する時間差回転を行う。
【0015】
実験結果を表2に示す。30°未満では内径カット終了が外径カット終了に限りなく近づき過ぎ、真円に切り取れない。内径カッターの切り始めは外径カッターの30°〜40°進行後が良い。
【0016】
【表2】
【0017】
即ち、外径カッター30°未満のときに内径カッターを切り始めると、図4に示すように外刃切り残りRを生成し、好ましくない。この切り残りRは板厚、形状(平坦度)により図4のように外側に生成されたり、あるいは内側に生成されるが、外径カッター、内径カッターの時間差回転により切り残り生成は全くない。
【0018】
【実施例】
図1は本発明の実施例である。図において図5と同一のものは同一符号で示している。
本発明の切断装置は、切り込み21,22を設けた一対のハウジング14,18を切り込み口21,22を対向して配設する。切り込み口21,22にそれぞれ内径カッター11と外径カッター15とを設ける。内径カッター11は減速機モーター12,13を有し、外径カッター15は減速機モーター16,17を有している。カッター11,15はいずれも回転丸歯を用いた。
【0019】
ハウジング14の切り込み部21と他方のハウジング18の切り込み部22に図示しない被加工板が収納される。このためハウジング14,18は対向して設けるよう設計されている。各カッターの減速機モーターは制御装置を内蔵し、後述の回転角検知機構が検知した被加工板の回転角を入力する。被加工板の薄板円板の円中心を支持固定するため、被加工板押さえ装置19が設けられる。被加工板押さえ装置19は円周方向に回転自在である。
【0020】
押さえ装置19に円板の回転角を検知する回転角感知機構20を設ける。また押さえ装置19は、図2に示すように円板を凸部35及び凹部36で四角形の被加工板の対角線の交点を固定・支持する。30は上板、31は下板である。回転角感知機構20は回転板33、記憶装置34、回転数検知機32及び回転装置(図示せず)を有している。
【0021】
内外径同時切断は、駆動モーターとしてサーボモーターを使用して回転速度変化応答性を上げているが、更に操業方法として次のような運転をした。
内径の切り終りを外径の切り終りよりも遅くするため、外径カッターの切り始めを早くしなければならない。この作業をするため本発明は、外径を切り始めてから回転角感知機構で所定の円板の回転角の進み具合を検知して、内径を切り始める。
【0022】
本発明のサークル切断装置は、被加工板を円板状に切断する切断装置、及び被加工板を押さえこれを中心に真円の円板を作れるようにする板押さえ装置、並びに被加工板を円板状に切り取るために被加工板を把持して回転させる回転装置からなる。この2組の回転刃を同時に切断できるように、切断装置は回転刃の回転速度を内径カッターと外径カッターの回転速度をそれぞれ独立に可変可能にすると共に、被加工板を把持して自由に回転できる回転装置には、切断刃の回転速度を制御するための回転角感知機構を有している。
【0023】
180°相対する内径カッター、外径カッターで切断を内外径とも同時にスタートし同時に終了しようとすると、終了間際では外径カッター側からみて内周は殆ど切り離されているから、遠心力と外径カッターの切断方向力により被加工板は真円から流れるため、外径の切り始め点と切り終り点がずれて円板を原板から切り抜くことができない。
【0024】
そこで本発明は、外径切断を開始後任意角に達した所で内径切断を開始し、外径切断終了後の任意到達後、内径の切断を終了するようにする。これを制御するため、被加工板センター押さえと同芯で装着された回転角感知機構で回転数を制御する自動制御をしている。
【0025】
即ち回転角感知機構には、材料が現在何度回転しているかを読み取る機構として次のものが用いられる。
円盤上に例えば12個の穴、溝などの切欠きを円周上に設け、その切欠きを何個通過したかセンサーで読み取る。センサーが穴の通過を1回確認すると、円盤は30°回転したことになる。同時カットのプログラムにおいては、まず外径カッターが30°回転(センサーカウント数1回)したところで内径カットをスタートし、外径カッター360°回転(センサーカウント数12回)で外径カッターは停止し、内径カッターは更に30°回転(センサーカウント数13回)したところで停止する。
センサーのカウント数から見ると、カッター動作は表3の通りである。
【0026】
【表3】
【0027】
本発明では、回転板による回転角感知機構の外に、ロータリーエンコーダーをを用いて回転角を読み取ることもできる。ロータリーエンコーダーは、その軸が1回転するとき、例えば2000パルスの電気信号を送り出すように設計される。これを利用すると、カッター動作は表4の通りとなる。
【0028】
【表4】
【0029】
【発明の効果】
本発明は、内径カッターと外径カッターの回転速度をそれぞれ独立に可変にでき、速度応答性の高いモーターを使用するため、板厚・材質がばらついても内周の角速度と外周の角速度を同じにすることができる。このため内径カッター、外径カッターそれぞれを同時に使用して原板を切断しても、切断中、切断後の製品に歪みがでたり真円度がでなかったりすることはない。
このため、従来は外周を切断後に内周を切断する作業で原板を2回回転させて切断していたのを、本発明では1回の回転で切断可能になり、製品品質を保ちながら生産能率を2倍に上げられるようになり、工業的価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の説明図。
【図2】(a)は本発明の部分説明図、(b)は(a)の部分平面図。
【図3】本発明の作用の説明図。
【図4】本発明の他の作用の説明図。
【図5】従来例の説明図。
【符号の説明】
11:内径カッター
12:内径カッター定回転駆動モーター
13:内径カッターサーボモーター減速機
15:外径カッター
16:外径カッター可変速駆動モーター
17:外径カッターサーボモーター減速機
19:被加工板押さえ
20:回転角感知機構
Claims (1)
- 被加工板を収納する切り込み部を有する一対のハウジングと、
前記切り込み部に各々設けた内径切断刃と外形切断刃と、
前記内径切断刃と外形切断刃を各々回転駆動する減速機付モーターと、
回転する被加工板を支持固定する被加工板押さえと、
回転する被加工板の回転角を検知する回転角感知機構を備えたサークル切断装置において、
前記回転角感知機構が、外径切断を開始後任意角に達した所で内径切断を開始し、外径切断終了後の任意到達後に内径切断を終了するように、検知した被加工板の回転角に基づいて前記内径切断刃と外形切断刃各々の回転数を制御する制御手段を備えることを特徴とするサークル切断装置。
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