JP3824593B2 - 高い伸びを有する圧延銅箔 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高い伸びを有する圧延銅箔およびその製造方法に関するものであり、フレキシブルプリント回路基板(Flexible Printed Circuit、以下FPCと表記する)および多層フレキシブルプリント回路基板等の可撓性配線部材、小型モーター用箔巻きコイル、トランス用箔巻きコイル、電線被覆材などのコイル材等に好適な高い伸びを有する圧延銅箔を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の電子回路にはFPCが多用される。FPCは可撓性を持つことを特徴とし、可動部の配線に用いられる他に、電子機器内で折り曲げた状態で収納することが可能であるために、省スペース配線材料としても用いられている。FPCは、ポリイミド等の樹脂フィルムに銅箔を貼り付けた銅張積層板に、エッチング加工で銅の配線パターンを形成したものである。
【0003】
近年、電子機器の薄型化およびコンパクト化が進み、より厳しい折り曲げ変形がFPCに加えられるようになった。FPCには三層銅張積層板と二層銅張積層板の二種類がある。三層材では接着剤を使用して銅箔と樹脂フィルムとを接着するのに対し、二層材では接着剤を介さずポリイミドフィルムと銅箔が一体化される。このため,二層材は三層板よりも薄く、薄いことにより折り曲げ性に優れる。したがって、特に可撓性が要求されるFPCには二層材が用いられる傾向にある。
二層材の製造方法としては、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸を含むワニスを銅箔上に塗布して加熱硬化させる“キャスティング法”、銅箔をポリイミドフィルムに直接に積層する“ラミネート法”等がある。この製造プロセスでの熱履歴により銅箔は再結晶し軟化する。二層材の折曲げ性をさらに改善するために、銅張積層の構成材料である銅箔に対しても、再結晶後の伸びを高め、折り曲げ性を改善することが求められている。
【0004】
また、FPCにおける銅配線の幅と配線間隔はますます小さくなっている。このような銅配線のファインピッチ化を進めるためには、銅箔を薄くすることが不可欠である。すなわち、従来、フレキシブル基板に用いられていた銅箔の厚みは18μmまたは12μmが主流であったが、最近は9μmあるいはこれより薄い銅箔が要求されるようになった。しかし、厚さが10μm以下の圧延銅箔を工業的に安定して製造することは困難であり、また、銅張積層板の製造プロセスにおける銅箔の取り扱いも難しくなる。そこで、例えば銅回路の厚みが6μmのフレキシブル基板は、まず12μmの銅箔を用いて銅張積層板を製造し、エッチングにより銅箔の厚みを6μmに減肉するというプロセスにより製造されることが多い。このエッチング処理(以下、減肉エッチング)に対し、銅箔表面が均一にエッチングされることが要求される。その理由はエッチングが不均一に進むとエッチング後の表面に凹凸が生じるため、回路のエッチング(以下、回路エッチング)に先立ちレジストを銅箔表面に塗布する際に、銅箔とレジスト膜との間に気泡が発生し、エッチング後の回路形状が劣化するためである。
【0005】
銅箔の伸びの向上については、FPC以外の用途でも求められている。例えば、電線被覆材用として、銅箔を合成樹脂材料と重ねて張り合わせた積層材が用いられている。銅箔の伸びは厚みが薄くなるに従い減少する。軟化点以上の温度で焼鈍し伸びを高めた銅箔を用いても、ごく薄い銅箔を電線被覆材用として電線に巻きつける場合には、銅箔に亀裂が入り破断するという問題があった。
従来、上記用途の銅箔の素材は、主としてタフピッチ銅(酸素含有量100〜500mass ppm)または無酸素銅(酸素含有量10mass ppm以下)であり、このインゴットを熱間圧延し、その後冷間圧延および中間焼鈍を繰り返し、最終圧延で厚み9〜35μmの箔に加工する。この圧延上がりの銅箔を焼鈍したときにより高い伸びが得られるように、銅箔の製造工程において、中間焼鈍の条件を種々変化させたり、最終焼鈍後の圧延加工度を調整することが試みられたが、銅箔の厚みが10μm以下になると10%を超える伸びを得ることは困難であった。
【0006】
これに対して、タフピッチ銅にAgを0.05〜0.35質量%添加し、伸びを高めた銅箔が提唱されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この方法により得られた銅箔においても、厚さ8μmの銅箔を焼鈍したときの伸びは10%を超えていない。
純銅を再結晶焼鈍すると立方体集合組織((100)面、[001]方位)が発達する。銅箔の製造プロセスにおいて最終圧延での加工度を高くすること、および最終圧延直前の焼鈍での結晶粒径を小さくすることで、再結晶焼鈍後に立方体集合組織がより発達する。タフピッチ銅にAgを微量添加した銅箔においても、同様の製造プロセスにより立方体集合組織が発達する傾向が認められる。立方体集合組織の発達度が高くなるにしたがって、箔の引張強さと伸びが同時に低下する。また、再結晶焼鈍後の結晶粒の形態に着目すると、立方体集合組織が発達した銅箔では、丸みを帯びて圧延方向に長く伸びた粗大な再結晶粒となる。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−140564号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、箔を再結晶焼鈍した際に高い伸びが得られ、さらに減肉のためのエッチング処理を施したときに平滑な表面が得られる圧延銅箔を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、無酸素銅に微量の元素を添加したインゴットを素材とし、熱間圧延後に冷間圧延と中間焼鈍を行い、最後に冷間圧延で箔に仕上げる工程で、厚さ18μm以下の銅箔を製造した。このプロセスにおいて、添加元素の種類と量、圧延条件等を種々に変化させ、これら条件が再結晶焼鈍後の伸びに及ぼす影響を検討した。その結果、無酸素銅にSnを添加した銅箔では、箔を再結晶焼鈍したときに高い伸びが得られることを知見した。高い伸びが得られた銅箔では、純銅の再結晶集合組織である立方体方位の発達度が著しく低かった。
【0010】
そこで本発明者らは、再結晶焼鈍を施した圧延銅箔について、結晶方位と伸びとの関係に着目し、そのデータを蓄積し解析した。その結果、圧延面への(200)面の集合度を所定のレベルに抑制した銅箔は、従来の銅箔に対し、再結晶焼鈍後の伸びがより優れていることを見出した。いいかえれば、極薄銅箔において、伸びを改善する方策を見出したのである。
【0011】
金属結晶のヤング率は結晶方位に依存して変化するため、金属材料の弾性的変形挙動は結晶方位によって変化する。また、金属結晶は固有のすべり面とすべり方向を持つことから、金属材料の塑性的変形挙動も結晶方位によって変化する。立方体方位の発達度が材料の伸びに影響を及ぼすメカニズムの詳細は明らかでないが、金属材料の変形挙動が結晶方位に依存することと関係していると思われた。
さらに,本発明者らは(200)面の集合度を充分に抑制するためには、Snを添加するだけでは不十分であり、再結晶焼鈍前(最終圧延上がり)の結晶方位をも制御する必要があることを知見した。
【0012】
なお、本発明者らは、特願2002−50700において、銅張積層板用にSnを添加した銅箔を提案しているが、この発明は銅箔が圧延上がりの組織状態で用いられる場合に、銅箔の成分、組織などを最適化したものである。これに対し、本発明は、圧延銅箔が再結晶焼鈍を経て使用される場合に、再結晶後の伸びを高めることを主目的に、成分と組織を最適化するものである。
一方、立方体方位に配向する再結晶粒の成長速度は極めて大きいため、再結晶焼鈍時に立方体集合組織が発達する銅箔では、再結晶粒が粗大化する。したがって、立方体集合組織の発達を抑制すると結晶粒が微細化する。この結晶粒微細化により、減肉エッチングを施した際に、エッチング面が平滑になるという効果も得られた。エッチング面の凹凸は、隣接する結晶粒の方位差に起因して結晶粒単位で発生するものであり、結晶粒が微細になることにより凹凸のピッチが小さくなり、表面が平滑化するのである。
【0013】
減肉エッチング面の平滑化について、本発明者らは特願2001−395774にて、立方体集合組織を極度に発達させることを提案している。これは、隣接する結晶粒の方位差を無くすことを意図したものである。本発明によるエッチング面平滑化は、これとは異なる機構を利用したものである。すなわち、本発明は、
(1)Snを0.01〜0.2mass%含有し、SnとCuの合計が99.9%以上であり、さらに、X線回折で求めた圧延面の(111)、(200)、(220)、(311)面の強度(I)が、微粉末銅のX線回折で求めたそれぞれの面の強度(I 0 )に対し、
0.01<I (111) /I 0(111) <0.1
0.15<I (200) /I 0(200) <1.0
2.5<I (220) /I 0(220) <5.5
0.2<I (311) /I 0(311) <0.6
であり、再結晶焼鈍を施すことにより、圧延面のX線回折で求めた(200)面の強度(I)が、微粉末銅のX線回折で求めた(200)面の強度(I0)に対し、
I(200)/I0(200)<1.0
である集合組織が発現することを特徴とする圧延銅箔、
(2)厚みが20μm以下であり、再結晶焼鈍したあとに、20%以上の伸びが得られることを特徴とする請求項1に記載の圧延銅箔、である。
【00014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を構成する各要素の限定理由について説明する。
(1)再結晶焼鈍後の結晶方位
再結晶焼鈍を施した銅箔の結晶方位が、
I(200)/I0(200)<1.0
の関係にあれば、高い伸びが得られ、減肉エッチング面が平滑化する。ここで、I(hkl)およびI0(hkl)は、それぞれ銅箔の圧延面および微粉末銅(ランダム方位試料)について、X線ディフラクトメータを使用して測定した(hkl)面のX線強度の積分値である。
【0015】
(2)銅箔の素材
CuにSnを添加すると、積層欠陥エネルギーが低下して、(200)立方体集合組織の発達が抑制される。しかし、Sn濃度が0.01mass%未満では、圧延上がりの結晶方位を後述するように調整しても、再結晶焼鈍後に上記結晶方位を得ることができない。また、Snが0.2 mass%を超えると導電率が80%を下回り、高導電性が求められる用途に向かなくなる。
【0016】
一方、Snを添加するベースとなるCuには、酸素濃度が0.005mass%以下である無酸素銅と酸素濃度が0.02〜0.05mass%のタフピッチ銅の二種類がある。本発明では無酸素銅にSnを添加する。タフピッチ銅にSnを添加すると、Snと酸素が化合物を生成するため、銅箔を引張った際にこの粒子を起点にして破断が起こり、高い伸びは期待できない。なお、 JIS−H3100(1999年)により、無酸素銅C1020の組成は、Cuが99.6mass%以上と定義されている。
【0017】
(3)最終圧延上がりの結晶方位
再結晶焼鈍後に上記結晶方位を得るためには、最終圧延上がり(再結晶焼鈍前)において、銅合金の主要4面((220)、(111)、(200)、(311))の配向を、
0.01<I(111)/I0(111)<0.1
0.15<I(200)/I0(200)<1.0
2.5<I(220)/I0(220)<5.5
0.2<I(311)/I0(311)<0.6
に調整する必要がある。この範囲に調整しないと、0.01 masst%以上のSnを添加しても、再結晶焼鈍後に所望の結晶方位を得ることができない。
【0018】
(4)箔の厚み
最終圧延によって得られる箔の厚みを20μm以下としたが、より望ましくは5〜18μmである。箔の厚みが5μm未満の場合、各種部品に加工される際にしわがよったり、破れやすくなるなどハンドリングに困難が生じる。また、20μmを超えると、小型化が求められるコイル用素材や2層CCL用には採用しにくくなる。
【0019】
(5)伸び
20%以上の伸びが安定して得られれば、従来の銅箔に対して明らかに伸びが向上したと判断でき、部品の設計の変更、新たな用途への銅箔の適用などが可能となる。なお、本発明に関わるSn含有銅箔の再結晶焼鈍の温度は、概ね350〜450℃の範囲が適正である。この温度より低い条件では未再結晶領域が存在し、また、これより高い条件では結晶粒が粗大化し、いずれの場合にも所望の伸びを得ることができなくなる。
【0020】
(6)製造プロセス
上記の最終焼鈍上がりの結晶方位を得るための製造プロセスは特に限定されない。ただし、圧延上がりの強度を高めるためには、インゴットを熱間圧延した後、冷間圧延と焼鈍とを繰り返し最後に冷間圧延で箔に仕上げるプロセスにおいて、最後の冷間圧延の加工度を85%以上とし、最後の冷間圧延直前の焼鈍で得られる結晶粒径を20μm以下にすることが好ましい。なお、冷間圧延加工度(R)は、圧延前の厚さをt0、圧延後の厚さをtとし、
R=(t0−t)/t0×100(%)
で定義される。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の様態を実施例により説明する
カーボン脱酸によりO濃度を5mass ppm以下に下げた溶銅に所定量のSnを添加し、表1に示す成分の厚さ200 mm、幅600 mmの銅インゴットを製造した。インゴットを熱間圧延した後、焼鈍と冷間圧延を繰り返し、最後に加工度90%の冷間圧延で所定の厚みの箔に仕上げた。最終圧延前の再結晶焼鈍は,結晶粒径が約15μmになる条件で行った。なお、焼鈍後の結晶粒径は、圧延方向に直角な断面において切断法で測定した。
【0022】
最終圧延上がりの結晶方位を変化させるために、圧延ロールの直径、1パスあたりの圧延加工度、圧延張力および圧延油の温度を種々変化させた。これら圧延条件と圧延後の板面方位には次のような傾向が認められた。
・圧延ロールの直径を大きくすると、(311)面の強度が低くなる。
・1パスあたりの圧延加工度を大きくすると、(200)面の強度が低くなる。・圧延油温度を低くすると(111)面の強度が高くなる。
・圧延張力を高くすると(220)面の強度が高くなる。
最終圧延上がりの銅箔につき、まず、焼鈍時間を30分としたときの半軟化温度を求めた。そして、この半軟化温度より50℃高い温度で30分間の焼鈍を施し、銅箔を再結晶させた。ここで、半軟化温度とは、引張り強さが焼鈍前の値と完全軟化後(本実施例では500℃で30分間焼鈍したときの値を採用)の値の中間の値になるときの焼鈍温度である。
【0023】
以上の銅箔試料について、次の評価を行った。
(1)圧延上がりの板面方位
圧延上がりの銅箔の表面について、X線回折により(111)、(200)、(220)および(311)面の強度の積分値(I)求めた。この値をあらかじめ測定しておいた微粉末銅のそれぞれの面強度の積分値(I0)で割り、I/I0の値を計算した。なお、ピーク強度の積分値の測定では、Co管球を用い、2θ(θは回折角度)は以下の範囲で行なった。
(111):48〜53°
(200):57〜62°
(220):86〜91°
(200):108〜113°
同様に、再結晶焼鈍後の試料について、(200)面の積分強度比I/I0を求めた。
【0024】
(2)再結晶後の結晶粒径
再結晶焼鈍後の試料について、圧延面を鏡面研磨後に化学腐食し、切断法(JIS H 0501(1999年))に準じ、所定長さの線分により完全に切られる結晶粒数を数える方法により結晶粒径を求めた。
【0025】
(3)伸び
再結晶焼鈍後の試料について、引張試験により伸びを求めた。
引張試験片は幅12.7mm、長さ150mmの短冊片を用い、引張速度を50mm/minに固定し、破断後の伸びを実測した。伸び測定の標点距離は50mmとした。
【0026】
(3)導電率
再結晶焼鈍後の試料について、定電圧直流電位差計を用いて比抵抗を測定し、導電率(IACS%)を求めた。測定試験片は引張試験片と同じものを用いた。
【0027】
(4)エッチング試験
温度50℃、濃度100g/Lの過硫酸ナトリウム水溶液を試料表面に、2kg/cm2の圧力で噴射し、厚みが半分になるように深さ方向にエッチングした。その後、JIS B0601(1999年)に従い、接触粗さ計を用いて表面の最大高さ(Ry)を求めた。基準長さを0.8mmとし、圧延方向と平行な方向に測定した。Ryの測定は場所を変えて5回行い、5回の測定値の最大値を求めた。
【0028】
【表1】
【0029】
表1に実施例の評価結果を示す。No.1〜9は発明例であり、No.10〜22は成分または圧延上がりの板面方位が請求の範囲から外れる比較例である。比較例のうち、No.10は無酸素銅であり、No.21および22は、Snを添加する代わりにAgを添加したもので、No.21のAg濃度は0.020mass%、No.22のAg濃度は0.146mass%である。
発明例のNo1〜8は、再結晶焼鈍後における板面方位が、請求項1を満たしており、いずれも20%以上の高い伸びが得られ、また、再結晶後の結晶粒が微細なためエッチング面の粗さが小さい。
【0030】
一方、比較例のNo.10はSnを添加していないため、No.11はSn濃度が0.01mass%に満たないため、最終圧延後の結晶方位が規定を外れ、再結晶後に立方体集合組織が著しく発達している。このため伸びが20%より低く、また再結晶後の結晶粒が粗大なためエッチング面の粗さが大きい。Snの代わりにAgを添加したNo.21および22、また、Snを添加しても、最終圧延後の結晶方位が規定を満たしていないNo.13〜20についても、同様の結果になっている。
【0031】
No.12はSn濃度が0.2mass%を超えたため、伸びが高くエッチング面の粗さも小さいが、導電率が80%を下回り、高導電性が求められるコイルなどの用途には不適当である。
なお、圧延上がりの板面方位には、上述した圧延条件のほか、圧延機自体の特性(構造、剛性等)も影響を及ぼす。また、厚み、幅、機械的特性、表面粗さ等の材料要因も影響を及ぼす。したがって、圧延上がりの板面方位は、圧延条件によって、一義的に決定されるものではないが、参考までに、厚みとSn濃度が同等である発明例No.4と比較例No.16について、圧延条件を対比すると、次の通りであった。
・圧延ロールの直径(mm)… No.4:50、No.16:50。
・1パスあたりの加工度(%)… No.4:43.7、No.16:68.3。
・圧延張力(MPa)… No.4:100、No.16:150。
・圧延油の温度(℃)… No.4:30、No.16:25。
【0032】
【発明の効果】
本発明の銅箔は、再結晶焼鈍が施した際に、高い伸びを発現する。このため極細線のコイル、フレキシブルプリント回路基板、過酷な曲げ加工を必要とする微小部品等の用途として好適である。また、減肉のためのエッチング処理を施したときに平滑な表面が得られるので、ファインピッチ加工のために減肉エッチング処理を施されるフレキシブルプリント回路基板等に対しては、特に好適である。
Claims (2)
- Snを0.01〜0.2mass%含有し、SnとCuの合計が99.9%以上であり、さらに、X線回折で求めた圧延面の(111)、(200)、(220)、(311)面の強度(I)が、微粉末銅のX線回折で求めたそれぞれの面の強度(I 0 )に対し、
0.01<I (111) /I 0(111) <0.1
0.15<I (200) /I 0(200) <1.0
2.5<I (220) /I 0(220) <5.5
0.2<I (311) /I 0(311) <0.6
であり、再結晶焼鈍を施すことにより、圧延面のX線回折で求めた(200)面の強度(I)が、微粉末銅のX線回折で求めた(200)面の強度(I0)に対し、
I(200)/I0(200)<1.0
である集合組織が発現することを特徴とする圧延銅箔。 - 厚みが20μm以下であり、再結晶焼鈍したあとに、20%以上の伸びが得られることを特徴とする請求項1に記載の圧延銅箔。
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