JP5356714B2 - エッチング性に優れたフレキシブルプリント基板用銅合金箔及びそれを用いたフレキシブルプリント基板 - Google Patents

エッチング性に優れたフレキシブルプリント基板用銅合金箔及びそれを用いたフレキシブルプリント基板 Download PDF

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本発明はフレキシブルプリント基板等の配線部材に用いて好適な圧延銅合金箔及びそれを用いたフレキシブルプリント基板に関する。
フレキシブルプリント基板(以下、「FPC」と称する)はフレキシブル性を有するため、電子回路の折り曲げ部や可動部に広く使用されている。例えば、HDDやDVD及びCD−ROM等のディスク関連機器の可動部や、折りたたみ式携帯電話機の折り曲げ部等にFPCが用いられている。
FPCは銅箔と樹脂とを積層したCopper Clad Laminate(以下CCLと称する)をエッチングすることで配線を形成し、その上をカバーレイと呼ばれる樹脂層によって被覆したものである。カバーレイを積層する前段階で、銅箔とカバーレイとの密着性を向上するための表面改質工程の一環として、銅箔表面のエッチングが行われる。また、銅箔の厚みを低減して屈曲性を向上させるため、減肉エッチングを行う場合もある。
いずれの場合においても、エッチング液には硫酸-過酸化水素系や、過硫酸アンモニウム系のものが一般に使用されている。
一方、屈曲用銅箔において、銅箔表面に凹凸があると凹部への応力集中によって破断が発生し、屈曲性が低下するため、表面平滑性が求められている。また銅箔の表面粗さが大きいと、回路形成性が低下し、微細な回路を形成することができない。特に、近年では、高周波数帯域の信号が用いられるようになったことから、伝送損失を抑えるためにも銅箔表面の平滑化が求められるようになっている。
高周波用途での導体損を低減する高周波回路用銅箔として、表面から4μmの深さの平均粒径が0.3μm以上の粒状の結晶組織からなり、その表面を電解エッチングで粗化処理する技術が開示されている(特許文献1参照)。
又、極ファインピッチ加工が施される銅張積層板に最適な圧延銅箔として、無酸素銅に、質量割合にて0.07〜0.5%のAgを含有し、Oが10 ppm以下、Sが10 ppm以下であり、Bi、Pb、Sb、Se、As、Fe、TeおよびSnの合計濃度が10 ppm以下であるものが開示されている(特許文献2参照)。
特開2006-351677号公報 特開2003-96526号公報
しかし、圧延銅箔において減肉エッチング等を行うと、エッチング後の表面粗さがエッチング前に比べて粗くなるという問題がある。また、屈曲性を向上するために結晶粒を粗大化させた銅箔では、結晶方位に起因するエッチング速度の差によって、エッチング後に盆地状のくぼみができる。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、エッチング性に優れたフレキシブルプリント基板用銅合金箔及びそれを用いたフレキシブルプリント基板の提供を目的とする。
本発明者らは種々検討した結果、FPC製造工程における熱処理後に結晶粒を細粒化することで、エッチング後の銅箔表面粗さを低減できることを見出した。即ち、結晶粒の細粒化に寄与する元素として、Sn,Mg,In及びAgを添加し、かつ、圧延加工度を調整することで、FPC製造工程における熱処理後に結晶粒が細粒化する。又、これらの元素が結晶粒の細粒化及び導電性を向上させる度合(効き具合)を実際に調査し、各元素の添加割合を規定することで、結晶粒の細粒化及び導電性をより一層向上させることに成功した。
すなわち、本発明のフレキシブルプリント基板用銅合金箔は、添加元素としてSn,Ag,In及びMgの群から選ばれる2種以上(Snを含有する場合はSnを500質量ppm以上とする)の元素を合計300〜3000質量ppm含有し、残部Cuおよび不可避的不純物からなる銅合金箔であって、300℃で15分の熱処理後の表面を100μm×100μmの視野で観察した際、及びその圧延平行断面を幅100μmの範囲で観察した際、いずれの場合も再結晶部の平均結晶粒径が5μm以下かつ最大結晶粒径が10μm以下であり、さらに長径5〜10μmである結晶粒が観察面積に占める面積率が20%以下である。


0.05〜0.25質量%のSn、0.03〜0.1質量%のMg、0.03〜0.1質量%のIn、及び0.02〜0.1質量%のAgのうち、少なくとも2種を含み、式1:[Snの質量%]+1.9×[Mgの質量%]+1.5×[Inの質量%]+0.9×[Agの質量%]≧0.10、及び式2: 2.88×[Snの原子%]+0.65×[Mgの原子%]+1.06×[Inの原子%]+0.14×[Agの原子%]≦0.42の関係を満たすことが好ましい。
エッチング前の表面粗さがRa≦0.1μmであることが好ましい。
銅箔厚みが20μm未満であることが好ましい。
本発明のフレキシブルプリント基板は、前記銅合金箔と樹脂基材とを積層してなり、該銅合金箔に回路が形成されてなるフレキシブルプリント基板であって、前記銅合金箔が未再結晶部分を含む。
本発明のフレキシブルプリント基板は、前記銅合金箔と樹脂基材とを積層してなり、該銅合金箔に回路が形成されてなるフレキシブルプリント基板であって、前記銅合金箔が完全に再結晶している。
本発明によれば、導電性を有しつつ、銅箔表面をエッチングした後の平滑性に優れたフレキシブルプリント基板用銅合金箔が得られる。
以下、本発明に係る銅合金箔の実施の形態について説明する。なお、本発明において%は特に断らない限り、質量%を示すものとする。
(組成)
本発明に係る銅合金箔は、添加元素としてSn,Ag,In及びMgの群から選ばれる1種以上の元素を合計300〜3000ppm(0.3〜3.0質量%)含有し、残部Cuおよび不可避的不純物からなる。
まず、Sn,Mg,In及びAgを添加元素に選んだ理由について説明する。図1は、銅箔の添加元素としてよく用いられるCu,Sn,Mg,Ag,In,Fe,Cr,Zn,Ti,Be,Cdをそれぞれ純度99.96%以上の電気銅に所定量添加し溶解し、得られた鋳塊を熱間圧延で厚さ10mmにした後、冷間圧延と焼鈍を繰り返して、厚さ0.1mmとしたときの、半軟化温度を示す図である。
半軟化温度は、試料を焼鈍してゆきビッカース硬さを測定した際の、焼鈍前のビッカース硬さと、完全に軟化したとき(30分焼鈍後にそれ以上焼鈍温度を上げても強度(ビッカース硬さ)が変化しない状態を、完全に軟化したとみなす)ときの中間のビッカース硬さを示す焼鈍温度を示す。
本発明に係る銅合金箔はフレキシブルプリント基板に用いられるが、フレキシブルプリント基板のもととなる銅合金箔と樹脂とを積層したCCLに用いられる銅箔の結晶の微細化の割合は半軟化温度によって評価できる。そして、銅合金の半軟化温度が高いほど、結晶粒を微細化させるので好ましい。又、CCLは、200〜400℃で樹脂を硬化させるための熱処理を行うため、より好ましくは半軟化温度が300℃以上であれば、結晶粒の粗大化を防止できる。
図1から、添加元素によって半軟化温度が異なることがわかる。純銅の半軟化温度は160℃であるので、この温度を基準とし、各元素の半軟化温度が160℃から上昇した分(ΔT)を求めて表1に比較した。
Figure 0005356714
Snは耐熱性を向上させる元素として有効であることが知られており、結晶粒を微細化させる元素として期待できる。本発明ではSnを添加元素を選択する際の基準におく。従って、表1より、SnのΔTSnを1としたとき、各元素(0.05%添加時)のΔTの比(ΔT/ΔTSn)を求めた。この比がSnに対して各元素が結晶粒を微細化させる度合(効き具合)を示す。この比より、Snと同等(上記比が0.7以上)の元素は、Mg,Ag,In,Cr,Ti,Cdである。
又、表1には、マティーセン則(Maeehiessen)におけるΔρi(成分Iの比抵抗への寄与率:μΩcm/at.%)を示す。マティーセン則によれば、銅合金の比抵抗ρは、純物質(純Cu)の比抵抗ρCuと、添加元素の比抵抗の和で表される。又、添加元素の比抵抗は、Δρi×Ni(成分Iの合金中の濃度: at.%)で表される。
つまり、マティーセン則は、ρ=ρCu+ΣΔρi×Niで表される。
従って、Δρiは各元素が導電性を低下させる度合(効き具合)を示す。
なお、Δρiは文献値(著者:村上陽太郎・亀井清 著、「朝倉金属工学シリーズ 非鉄金属材料学」、初版第1刷、朝倉書店、1978年4月発行、p13)によった。
Δρiを比較すると、結晶粒の微細化の観点から選択した元素のうち、SnよりΔρiが小さい(=導電性を低下させにくい)元素は、Mg,Ag,In,Cdであるが、Cdは毒性があるので除くと、Mg,Ag,Inが選択される。
添加元素の添加量を多くするほど結晶粒は微細化するが、導電性は低下する傾向にある。そのため、Sn,Mg,In,Agの最適な添加量を規定する必要がある。又、上記したように、Sn,Mg, In,Agはそれぞれ耐熱性、導電性への効き具合が異なる。従って、添加量を求める際には、元素による耐熱性や導電性の効き具合を反映させる必要がある。
このようなことから、Sn,Ag,In及びMgの合計含有量を300ppm〜3000ppmとした。合計含有量が300ppm未満であると結晶粒の微細化の効果が十分に得られず、3000ppmを超えると結晶粒は微細化するが、導電性が低下する。
300℃で15分の熱処理後の表面を100μm×100μmの視野で観察した際、及びその圧延平行断面を幅100μmの範囲で観察した際、いずれの場合も再結晶部の平均結晶粒径が5μm以下であることが必要である。
上記したように、本発明に係る銅合金箔はフレキシブルプリント基板に用いられ、その際、銅合金箔と樹脂とを積層したCCLは、200〜400℃で樹脂を硬化させるための熱処理を行うため、再結晶によって結晶粒が粗大化する可能性がある。そして、再結晶部の平均結晶粒径が5μmを超えると、フレキシブルプリント基板の回路形成の際、エッチングの進行が各粒で異なることから箔表面に凹凸が顕著に生じることが実験で判明した。
従って、再結晶部の平均結晶粒径を5μm以下に規定する。なお、銅合金箔を300℃で15分の熱処理後の表面について平均結晶粒径を規定した理由は、上述のようにCCLを200〜400℃で樹脂を硬化熱処理させるため、この温度条件を再現したものである。なお、この規定は、樹脂と積層する前の銅合金箔についてのものである。
平均結晶粒径の測定は、誤差を避けるため、箔表面を100μm×100μmの視野で3視野以上を観察して行う。箔表面の観察は、SIM(Scanning Ion Microscope)またはSEM(Scanning Electron Microscope)を用い、JIS H 0501に基づいて平均結晶粒径を求めることができる。
又、再結晶部の最大結晶粒径が10μm以下であり、さらに長径5〜10μmである結晶粒が観察面積に占める面積率が20%以下である必要がある。
再結晶部の最大結晶粒径を10μm以下とした理由は、再結晶部の平均結晶粒径が5μm以下であっても、最大結晶粒径が10μmを超える非常に大きい粒が存在すると、エッチングにより箔表面に凹凸が顕著に生じるからである。
長径5〜10μmである結晶粒が観察面積に占める面積率を20%以下としたのは、次のような理由による。まず、長径5〜10μmに範囲を決めた理由は、圧延銅箔の再結晶組織が圧延方向に長く伸びるため、平均粒径が小さくとも長径の長い結晶があると、広範囲で盆地状にエッチングされる可能性があるためであり、このような結晶粒の面積率が20%を超えると、その影響が大きくなるからである。
平均結晶粒径の測定はJIS H0501に定める切断法を用いて行う。また、最大結晶粒径、結晶粒の長径及びその面積率の測定は、画像解析ソフト(例えば、ニラコ社製LUZEX-F)を用いてSIM像を解析することで求める。このとき用いる画像解析ソフトは一般的なものであるので、どのソフトウェアを用いても問題ない。
又、圧延平行断面を幅100μmの範囲で観察するとは、圧延方向に沿って100μmの長さで、厚み方向の断面を観察することを意味する。
又、圧延銅箔において減肉エッチング等を行うと、エッチング後の表面粗さがエッチング前に比べて粗くなるため、エッチング前の表面粗さをRa≦0.1μmとすると、エッチング後の表面粗さを低くすることができ、好ましい。
さらに、本発明において、結晶粒が微細化する範囲と、導電性を最適化する範囲とをそれぞれ別の関係式で規定し、これらの関係式を共に満たす部分を上記添加元素の最適な添加量として規定するのが好ましい。
まず、結晶粒の微細化を最適化する添加量を、式1に規定した。
式1: [Snの質量%]+1.9×[Mgの質量%]+1.5×[Inの質量%]+0.9×[Agの質量%]≧0.10
ここで、式1の左辺は、Sn,Mg, In,Agの各元素の結晶粒の微細化への効果(効き具合)を、表1の係数(ΔT/ΔTSn)でそれぞれ重み付けしたものであり、左辺の合計含有量が0.10以上であることを必要とする。
後述する実施例により、Sn,Mg, In,Agの添加量を変化させた時の式1の左辺の値と半軟化温度との関係について多数のデータを取り、これを図2にプロットした。すると、半軟化温度が約400℃以下では、式1の左辺と半軟化温度との間にほぼ直線関係があり、最小二乗法で求めた直線の傾きから、半軟化温度が350℃となる時の式1の左辺の値が0.10であることが判明した。従って、式1の左辺の値を0.10以上とすることで、耐熱性が向上する。
なお、式1を規定する際、半軟化温度を350℃以上とした理由は、ベースフィルムと銅箔からなる2層銅貼り積層板を製造する工程での一般的な熱処理温度が300〜350℃であるからである。
次に、導電性を最適化する添加量を、式2に規定した。
式2:2.88×[Snの原子%]+0.65×[Mgの原子%]+1.06×[Inの原子%]+0.14×[Agの原子%]≦0.42
ここで、式2の左辺は、Sn,Mg, In,Agの各元素の導電性への効果(効き具合)を、表1の係数(Δρi)でそれぞれ重み付けしたものであり、左辺の合計含有量が0.42以上であることを必要とする。
左辺の添加量が0.42以下である理由は、マティーセン則によれば、銅合金全体の導電率を80%IACS以上とするためには添加元素の比抵抗が0.42以下となる必要があるからである。つまり、マティーセン則において、
2.16(導電率80%を比抵抗で表した値)=1.73(純Cuの比抵抗)+ΣΔρi×Ni
で表され、これより、添加元素の比抵抗(ΣΔρi×Ni)は、0.43となるが、誤差を考慮して0.42を上限とする。
なお、導電率80%を基準とした理由は、上記2層銅貼り積層板に要求される導電率が80%IACS以上であるからである。
Sn,Mg,In,Agの各元素の添加量はそれぞれ、Sn:0.05〜0.25%、Mg:0.03〜0.1%、In:0.03〜0.1%、Ag :0.02〜0.1%とすることが好ましい。各元素の添加量がそれぞれ上記範囲の下限未満であると結晶粒は微細化せず、上記各範囲の上限を超えると、導電性が80%未満となる場合があるからである。
なお、Sn,Mg,In,Agを結晶粒の微細化に寄与する元素として添加しても、冷間圧延時の加工度を制御しないと微細化しないことがある。特に、最終圧延(焼鈍と圧延を繰り返す工程全体の中で、最後の焼鈍後に行う仕上げ圧延)での加工度を低くすることによって、さらに再結晶粒が微細化する傾向にある。従って、最終圧延加工度を76%以上95%以下とすると好ましい。最終焼鈍後の再結晶粒径が一定の場合、加工度を95%以上とすると、再結晶の駆動力となる加工ひずみが過剰に蓄えられることにより、FPC作製時の熱処理で再結晶粒の粗大化が促進され、エッチング面粗さが大きくなる。一方、加工度を76%未満とすると、充分に圧延加工組織が発達せず、そのため圧延前の粗大な結晶粒が残留し、エッチング後の粗さが大きくなる恐れがある。最終圧延加工度を76%以上93%以下とするとより好ましく、76%以上90%以下とすると最も好ましい。
本発明の銅合金箔は、例えば以下のようにして製造することができる。まず、銅インゴットに上記添加物を添加して溶解、鋳造した後、熱間圧延し、冷間圧延と焼鈍を行うことにより箔を製造することができる。
又、本発明の銅合金箔に(1)樹脂前駆体(例えばワニスと呼ばれるポリイミド前駆体)をキャスティングして熱をかけて重合させること、(2)ベースフィルムと同種の熱可塑性接着剤を用いてベースフィルムを本発明の銅合金箔にラミネートすること、により、銅合金箔と樹脂基材の2層からなる銅貼り積層板(CCL)が得られる。又、本発明の銅合金箔に接着剤を塗着したベースフィルムをラミネートすることにより、銅合金箔と樹脂基材とその間の接着層の3層からなる銅貼り積層板(CCL)が得られる。これらにフォトリソグラフィー技術を用いて回路を形成し、必要に応じて回路にめっきを施し、カバーレイフィルムをラミネートすることでフレキシブルプリント基板が得られる。
本発明のフレキシブルプリント基板は、上記した銅合金箔と樹脂基材とを積層してなり、該銅合金箔に回路が形成され、前記銅合金箔が未再結晶部分を含んでもよく、完全に再結晶していてもよい。未再結晶組織は圧延加工による層状の形状をしており、また圧延集合組織が発達しており結晶方位が揃っていることから、エッチング速度のばらつきが小さく、エッチング後の表面粗さが抑えられる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されない。又、本発明の作用効果を奏する限り、上記実施形態における銅合金がその他の成分を含有してもよい。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
純度99.96%以上の電気銅に、表2に示す元素をそれぞれ添加し、鋳塊を得た。この鋳塊を熱間圧延して厚さ10mmとした後、表面を面削し、冷間圧延と焼鈍を繰り返し、最終厚さ0.1mmの板状試料とした。
又、上記鋳塊を熱間圧延して厚さ10mmとした後、表面を面削し、冷間圧延と焼鈍を繰り返し、最終厚さ0.02mm(20μm)の箔を得た。得られた箔の片面に銅粗化めっきを行い、キャスト法でポリイミド(厚み30μm)と箔を積層した。なお、ポリイミドとの積層時に300℃×15分の熱処理を加えた。従って、表2の「300℃×15分」は、ポリイミドとの積層時の熱処理である。
<評価>
1.導電率
各FPCサンプルについて、4端子法により25℃の導電率を測定した。
2.エッチング後の粗さ
各FPCサンプルについて、以下の方法で屈曲試験を行った後に、銅表面のエッチングを行い、表面粗さの測定を行った。
エッチング液は、過酸化水素30g/L、硫酸100g/L、銅4.5g/Lの組成であり、液温は35℃とした。マグネットスターラーを用いて攪拌を行い、浸漬時間は1分とした。エッチング終了後の試料表面は直ちに流水で洗浄した後にブロアーで乾燥した。
銅箔表面粗さは、接針式表面粗さ測定器(小坂研究所 SE-3400)を用いて、JIS B0601-1994に準拠し、圧延平行方向について、平均表面粗さ(Ra)と最大表面粗さ(Rz)とを測定した。
3.粒径
FPCサンプルの銅箔表面をSIM(Scanning Ion Microscope)を用いて観察し、JIS H 0501に基づいて平均粒径を求めた。又、表面の最大粒径及び面積率は、SIM像を画像解析ソフト(ニラコ社製LUZEX-F)で解析して算出した。測定領域は、表面の100μm ×100μmとした
またFIB(focused ion beam)を用い、FPCサンプルを圧延平行に切断加工し、断面をSIM(Scanning Ion Microscope)を用いて観察し、JIS H 0501に基づいて平均粒径を求めた。又、断面の最大粒径及び面積率は、SIM像を画像解析ソフト(ニラコ社製LUZEX-F)で解析して算出した。測定領域は、圧延方向に沿って100μmの長さとした。
得られた結果を表2に示す。
Figure 0005356714
表2から明らかなように、Sn、Mg、In及びAgのうち少なくとも1種を含み、かつ300℃で15分の熱処理後の表面の再結晶部の平均結晶粒径が5μm以下かつ最大結晶粒径が10μm以下であり、さらに長径5〜10μmである結晶粒が観察面積に占める面積率(表面面積率)が10%以下である各実施例の場合、導電率が80%以上であると共に、エッチング後の平均表面粗さ及び最大表面粗さが小さく、エッチング性に優れていた。
一方、添加元素を含まない比較例1の場合、及び添加元素の合計量が300ppm未満である比較例2の場合、添加元素による再結晶時の粗大化抑制が十分でなく、表面の再結晶部の平均結晶粒径が5μmを超え、最大結晶粒径が10μmを超え、さらに長径5〜10μmである結晶粒が観察面積に占める面積率が10%を超えた。その結果、エッチング後の平均表面粗さ及び最大表面粗さが実施例に比べて大幅に高くなり、エッチング性に劣った。
添加元素の合計量が3000ppmを超えた比較例3の場合、導電率が80%未満となった。
最終冷間圧延での加工度が95%を超えた比較例4,5の場合、表面の再結晶部の最大結晶粒径が10μmを超え、さらに長径5〜10μmである結晶粒が観察面積に占める面積率(表面面積率)が10%を超えた。その結果、エッチング後の最大表面粗さが実施例に比べて大幅に高くなり、エッチング性に劣った。これは、強加工によって部分的に再結晶が進んだため、エッチング後の表面の一部が粗くなったためと考えられる。
最終冷間圧延での加工度が低い(75%)である比較例6の場合も、表面の再結晶部の最大結晶粒径が10μmを超え、さらに長径5〜10μmである結晶粒が観察面積に占める面積率(表面面積率)が10%を超えた。その結果、エッチング後の最大表面粗さが実施例に比べて大幅に高くなり、エッチング性に劣った。これは、低加工度なために圧延前の粗大な結晶粒が残留し、エッチング後の表面の一部が粗くなったためと考えられる。
添加元素を加えた銅の半軟化温度を示す図である。 Sn,Mg,In,Agの添加量を変化させた時の式1の値と半軟化温度との関係を示す図である。

Claims (6)

  1. 添加元素としてSn,Ag,In及びMgの群から選ばれる2種以上(Snを含有する場合はSnを500質量ppm以上とする)の元素を合計300〜3000質量ppm含有し、残部Cuおよび不可避的不純物からなる銅合金箔であって、
    300℃で15分の熱処理後の表面を100μm×100μmの視野で観察した際、及びその圧延平行断面を幅100μmの範囲で観察した際、いずれの場合も再結晶部の平均結晶粒径が5μm以下かつ最大結晶粒径が10μm以下であり、さらに長径5〜10μmである結晶粒が観察面積に占める面積率が20%以下であるフレキシブルプリント基板用銅合金箔。
  2. 0.05〜0.25質量%のSn、0.03〜0.1質量%のMg、0.03〜0.1質量%のIn、及び0.02〜0.1質量%のAgのうち、少なくとも2種を含み、
    式1:[Snの質量%]+1.9×[Mgの質量%]+1.5×[Inの質量%]+0.9×[Agの質量%]≧0.10、及び式2: 2.88×[Snの原子%]+0.65×[Mgの原子%]+1.06×[Inの原子%]+0.14×[Agの原子%]≦0.42の関係を満たす請求項1に記載のフレキシブルプリント基板用銅合金箔。
  3. エッチング前の表面粗さがRa≦0.1μmである請求項1又は2に記載のフレキシブルプリント基板用銅合金箔
  4. 銅箔厚みが20μm未満である請求項1〜3のいずれかに記載のフレキシブルプリント基板用銅合金箔。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の銅合金箔と樹脂基材とを積層してなり、該銅合金箔に回路が形成されてなるフレキシブルプリント基板であって、前記銅合金箔が未再結晶部分を含むフレキシブルプリント基板。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の銅合金箔と樹脂基材とを積層してなり、該銅合金箔に回路が形成されてなるフレキシブルプリント基板であって、前記銅合金箔が完全に再結晶しているフレキシブルプリント基板。
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