JP3824200B2 - 天然ガス自動車の排気装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、天然ガス自動車の排気装置に係り、特にガス容器を車体フロアの横置きに設置する天然ガス自動車の排気装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両においては、気体燃料である圧縮天然ガス(CNG)を燃料とする天然ガスエンジンを搭載した天然ガス自動車(NGV)がある。
【0003】
この天然ガス自動車においては、図7に示す如く、車両102の車体フロア104の下方に、前側、後側の2本の第1、第2ガス容器106−1、106−2が、車幅方向Xに指向して横置きに設けられ、また、エンジン(図示せず)に接続された排気フロントパイプ108とリアマフラ110とを連結する排気センタパイプ112が、第1、第2ガス容器106−1、106−2の第1、第2底部106−1a、106−2a側で、つまり、第1、第2ガス容器106−1、106−2の第1、第2底部106−1a、106−2aの側方で重なるように且つ車両102の懸架装置114のショックアブソーバ116の近くに配設されている。
【0004】
また、図8に示す如く、車両202の車体フロア204の下方に、前側、後側の2本の第1、第2ガス容器206−1、206−2が、車幅方向Xに指向して横置きに設けられ、また、エンジン(図示せず)に接続された排気フロントパイプ208とリアマフラ210とを連結する排気センタパイプ212が、車両202の懸架装置214のトレーリングアーム216の近くで、且つ、ガス容器206に長さによっては、排気センタパイプ212が懸架装置224のトレーリングアーム216の横方を通って第1ガス容器206−1の下面に取り廻されている。
【0005】
車両の排気装置としては、例えば、実開平5−87223号公報、特開平5−38955号公報に開示されている。実開平5−87223号公報に記載のものは、燃料タンクの側方に配設される排気パイプの一部分を、上方に屈曲して形成するとともに燃料タンクの側部の上部に対して車幅方向に間隔を保持して配設し、燃料タンクが排気パイプによる熱害を受けないようにしたものである。特開平5−38955号公報に記載のものは、燃料タンクの下部にアンダガードプレートを設け、排気パイプの上方の燃料タンクには浅底部を形成したものである。
【0006】
また、天然ガス自動車としては、例えば、特開平9−300988号公報に開示されている。この公報に記載のものは、ガス容器を懸架装置と共に車体に取り付け、作業性をよくしたものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来、天然ガス自動車の排気装置において、図7に示す如く、排気センタパイプ112が第1、第2ガス容器106−1、106−2の第1、第2底部106−1a、106−2aの側方で重なるように配置されることから、ガス容器106を軸方向に延長してその容量を大きくさせることができないという不都合があった。また、排気センタパイプ112が懸架装置114のショックアブソーバ116に近接しているので、車両102が沈み込んだときに、懸架装置114の上下動き及び左右動により、排気センタパイプ112がショックアブソーバ116と干渉してしまうという不都合があった。
【0008】
また、図8に示す如く、排気センタパイプ212を、ガス容器206の長さによっては、前側の第1ガス容器206−1の下方に廻し込んだりするが、排気センタパイプ212がトレーリングアーム216の横方に配置されているので、懸架装置214の上下動き及び左右動により、トレーリングアーム216に干渉するおそれがある。この不具合を回避するために、排気センタパイプ212とトレーリングアーム216との隙間を大きく取る必要があるが、反対側にはガス容器206が存在するので、排気センタパイプ212をガス容器206側に近づけることが困難であるとともに、排気センタパイプ212をガス容器206側に近づけると、ガス容器206への熱的影響が大きくなるという不都合があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで、この発明は、上述の不都合を除去するために、車両の車体フロアの下方に前側と後側との2本の第1、第2ガス容器を車幅方向に指向させて横置きに設け、前記車両の前方のエンジンに接続された排気フロントパイプとリアアクスル軸よりも後方に配設されたリアマフラとを連結する排気センタパイプを前記第1、第2ガス容器の第1、第2底部と前記車両の懸架装置との間で通過させて前記リアアクスル軸の後方に延出させる天然ガス自動車の排気装置において、少なくとも前記第1、第2ガス容器の第1、第2底部の下面を覆うアンダガードと前記第1、第2ガス容器の第1、第2底部の上面を覆うアッパガードとを設け、前記第1ガス容器の下側に前記懸架装置の一部を構成するトレーリングアームの車体側取付部を設けるとともに前記第2ガス容器の下側に前記トレーリングアームの車輪側取付部を設け、前記第2ガス容器の下側に前記懸架装置の一部を形成するショックアブソーバの車輪側取付部を設け、前記第2ガス容器の上方には前記ショックアブソーバの車体側取付部を設け、前記排気センタパイプを前記トレーリングアームの前記車体側取付部と側面視で重ならせて前記第1ガス容器の下部に沿って後方に延出させるとともに前記1ガス容器と前記第2ガス容器との間を前記第2ガス容器の上側に近づくように上方に延出させて前記アッパガードと正面視で重なるように前記第2ガス容器側に偏倚させ、前記第2ガス容器の上面よりも前記ショックアブソーバの前記車体側取付部に近接する前記排気センタパイプの最も高い部分を前記ショックアブソーバの横方に配設したことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
この発明は、ガス容器を軸方向に延長して形成することができ、ガス容器の容量を大きくすることが可能となり、また、車室内空間を液体燃料自動車の場合と同等にすることができ、更に、懸架装置の動きの影響を受けない箇所に排気センタパイプが配設されるので、排気センタパイプをガス容器から離して懸架装置側に配置させることができるので、ガス容器への熱的影響を回避させることができる。
【0011】
【実施例】
以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細且つ具体的に説明する。図1〜5は、この発明の第1実施例を示すものである。図5において、2は天然ガス自動車(以下「車両」という)、4はエンジン、6は吸気マニホルド、8・8は後輪、10はリアアクスル軸、12は車体フロア、14はガス燃料充填装置、16はガス燃料供給装置、18は排気装置である。
【0012】
車両2には、後輪8を支持する懸架装置20が設けられている。この懸架装置20は、ショックアブソーバ22と、トレーリングアーム24と、コイルスプリング26とを備えている。ショックアブソーバ22は、下方の車輪側取付部22aと上方の車体側取付部22bとを備えている。トレーリングアーム24は、車両2の前方側の車輪側取付部24aと車両2の後方側の車体側取付部24bとを備えている。
【0013】
また、車両2には、車体フロア12よりも下方において、車幅方向Xに指向するリアアクスル軸10よりも車両2の前方側に前側、後側の2本の第1、第2ガス容器28−1、28−2が車幅方向Xに指向し且つ車両2の前後で並んで設置される。第1、第2ガス容器28−1、28−2の第1、第2底部28−1a、28−2aは、車幅方向Xの右側に配置される。第1、第2ガス容器28−1、28−2は、図1に示す如く、支持外形線P内において、車体フロア12に下面に支持される複数の第1〜3容器支持部材30−1、30−2、30−3と、車両2の右側の端面及び上部分を覆うように容器支持部材30−1、30−2、30−3の一端部位に連設されたアッパガード32と、下面から覆うアンダガード34とにより、車体フロア12の下方に配設されている。アッパガード32とアンダガード34とは、後述する排気センタパイプ72からの排気熱を遮断してこの排気熱から第1、第2ガス容器28−1、28−2を保護するものである。アンダガード34は、下壁部34−1と一側壁部34−2と他側壁部34−3と車幅方向Xの右側で第1、第2ガス容器28−1、28−2の第1、第2底部28−1a、28−2aに対応する端壁部34−4とを備えている。
【0014】
第1、第2ガス容器28−1、28−2の車幅方向Xの左側には、第1、第2容器元弁36−1、36−2が設けられている。第1、第2ガス容器28−1、28−2は、充填連絡パイプ38で連絡されている。また、第1、第2ガス容器28−1、28−2には、ガス燃料充填装置14の燃料充填管40の一端側が接続されている。この燃料充填管40の他端側は、アウタパネル(図示せず)に取り付けたレセプタクルボックス42の充填弁44に接続されている。この燃料充填管40の途中には、逆止弁46が設けられている。また、第1、第2ガス容器28−1、28−2には、ガス燃料供給装置16の燃料供給管48の一端側が接続されている。この燃料供給管48の他端側は、吸気マニホルド6に取り付けた燃料デリバリパイプ50に接続されている。燃料供給管48には、残量圧力センサ52と主止弁54とガスフィルタ56と減圧弁(レギュレータ)58とが設けられている。燃料デリバリパイプ50には、燃料圧力センサ60と燃料温度センサ62とが設けられている。吸気マニホルド6には、燃料デリバリパイプ50に連結して各気筒に対応した燃料噴射弁64が設けられている。
【0015】
排気装置18においては、車体フロア12の下方で、エンジン4に接続されてフロントマフラ66を備えた排気フロントパイプ68と、この排気フロントパイプ68に連結機構70で連結された排気センタパイプ72と、この排気センタパイプ72の後端部位に取り付けたリアマフラ74とが設けられている。このリアマフラ74は、テールパイプ76を備え、リアアクスル軸10よりも車両2の後方側で、軸方向が車幅方向Xに指向して配置され、リアマフラハンガ78・78によって車体フロア12に支持されている。
【0016】
排気センタパイプ72は、車両2の前後方向に指向し、懸架装置20のショックアブソーバ22・コイルスプリング26と第1、第2ガス容器28−1、28−2の第1、第2底部28−1a、28−2aとの間に配置され、前側、後側の排気センタパイプハンガ80、80によって車両2の右側のリアサイドメンバ82に支持されている。また、排気センタパイプ72は、第1、第2ガス容器28−1、28−2の第1、第2底部28−1a、28−2a側を通って第1、第2ガス容器28−1、28−2の外面を避け、また、ショックアブソーバ22の車体側取付部22bの横方に配設され、更に、トレーリングアーム24の車体側取付部24bの近傍に支持点を設けている。このように、排気センタパイプ72を第1、第2ガス容器28−1、28−2に近づけてアッパガード32とアンダガード34に沿うように廻り込ませることができるのは、アッパガード32とアンダガード34とが排気センタパイプ72の外周面からの排気熱を遮断してガス容器28−1、28−2を保護する機能を有しているからである。
【0017】
排気センタパイプ72は、車両2の前後方向に指向して排気フロントパイプ68に連結される第1パイプ部72−1と、この第1パイプ部72−1に連設して車幅方向Xの右側に指向する第2パイプ部72−2と、この第2パイプ部72−2に連設して車両2の前後方向に指向して前側の第1ガス容器28−1の第1底部28−1aに近づいて且つトレーリングアーム24の車体側取付部22bの近くの第3パイプ部72−3と、この第3パイプ部72−3に連設して車両2の後方で斜め上方に指向する第4パイプ部72−4と、この第4パイプ部72−4に連設して後側の第2ガス容器28−2の第2底部28−2aの上方の第5パイプ部72−5と、この第5パイプ部72−5に連設して後方で斜め下方に指向した第6パイプ部72−6と、この第6パイプ部72−6に連設して車幅方向Xに指向してリアマフラ74を取り付けさせる第7パイプ部72−7とからなる。トレーリングアーム24の車体側取付部24bの近傍に位置する第3パイプ部72−3は、排気センタパイプ72の支持点部位を形成するもので、前側の排気センタパイプハンガ80で支持される。第4パイプ部72−4は、リアアクスル軸10の上下動の振動を回避するように上方に湾曲して形成されている。第5パイプ部72−5は、図3に示す如く、上方でパイプ可動範囲Gで他の部品と干渉することなく、動くことができるものである。
【0018】
次に、この第1実施例の作用を説明する。
【0019】
排気センタパイプ72が、第1、第2ガス容器28−1、28−2の第1、第2底部28−1a、28−2aを通って第1、第2ガス容器28−1、28−2の外面から避けて、且つ、懸架装置20のショックアブソーバ22の上方の車体側取付部22bの側方に配設されているので、少なくとも第2ガス容器28−2の第2底部28−1aと排気センタパイプ72とが車両2の側方で重なり合うことがなく、第2ガス容器28−2を軸方向に延長して形成することができ、ガス容器28全体の容量を大きくすることが可能となる。
【0020】
また、排気センタパイプ72がトレーリングアーム24の車体側取付部24bの近傍に配置されるので、懸架装置24の動きの影響を受けない箇所に排気センタパイプ72が配設されて、懸架装置20の上下動及び左右動により、排気センタパイプ72が干渉するのを回避させることができ、よって、排気センタパイプ72をガス容器28から離して配置することができるので、これにより、排気センタパイプ72からの排気熱によるガス容器28への熱的影響を回避させることができる。
【0021】
更に、ガス容器28を車体フロア12の下方に配設するとともに、リアマフラ74をリアアクスル軸10よりも車両2の後方に配置しているので、車室内空間を液体燃料自動車の場合と同等にすることができる。
【0022】
図6は、この発明の特別構成であり、第2実施例を示すものである。
【0023】
以下の実施例においては、上述の第1実施例と同一機能を果す箇所には同一符号を付して説明する。
【0024】
この第2実施例の特徴とするところは、以下の点にある。即ち、排気センタパイプ72には、第1、第2ガス容器28−1、28−2の第1、第2底部28−1a、28−2aに対応する箇所に遮熱パイプ90をガイド体92で装着した。この遮熱パイプ90は、内径が排気センタパイプ72の外径よりも大きく形成され、排気センタパイプ72の外周面との間で空気通路94を形成し、また、車両2の前方側の端部位に空気を導き易いようにラッパ状の空気収集部96を備えている。
【0025】
この第2実施例の構成によれば、遮熱パイプ90が排気センタパイプ72からの排気熱を遮断するとともに、空気通路94には車両2の前方側の空気収集部96から空気が積極的に導入されて通過することから、第1、第2ガス容器28−1、28−2への熱的影響をより効果的に回避させることができる。
【0026】
なお、この発明においては、排気センタパイプ72を、ガス容器28の上方に取り廻すことが可能である。
【0027】
【発明の効果】
以上詳細な説明から明らかなようにこの発明によれば、ガス容器を軸方向に延長して形成することができ、ガス容器の容量を大きくすることが可能となり、また、車室内空間を液体燃料自動車の場合と同等にすることができ、更に、懸架装置の動きの影響を受けない箇所に排気センタパイプが配設されるので、排気センタパイプをガス容器から離して懸架装置側に配置させることができるので、ガス容器への熱的影響を回避させ得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】排気装置の平面図である。
【図2】図1の矢印2による排気装置の側面図である。
【図3】車両の後方からの図である。
【図4】排気装置の斜視図である。
【図5】車両の斜視図である。
【図6】第2実施例において排気装置の概略側面図である。
【図7】従来における排気装置の側面図である。
【図8】従来における他の排気装置の側面図である。
【符号の説明】
2 車両
4 エンジン
10 リアアクスル軸
12 車体フロア
18 排気装置
20 懸架装置
28 ガス容器
72 排気センタパイプ
74 リアマフラ
Claims (2)
- 車両の車体フロアの下方に前側と後側との2本の第1、第2ガス容器を車幅方向に指向させて横置きに設け、前記車両の前方のエンジンに接続された排気フロントパイプとリアアクスル軸よりも後方に配設されたリアマフラとを連結する排気センタパイプを前記第1、第2ガス容器の第1、第2底部と前記車両の懸架装置との間で通過させて前記リアアクスル軸の後方に延出させる天然ガス自動車の排気装置において、少なくとも前記第1、第2ガス容器の第1、第2底部の下面を覆うアンダガードと前記第1、第2ガス容器の第1、第2底部の上面を覆うアッパガードとを設け、前記第1ガス容器の下側に前記懸架装置の一部を構成するトレーリングアームの車体側取付部を設けるとともに前記第2ガス容器の下側に前記トレーリングアームの車輪側取付部を設け、前記第2ガス容器の下側に前記懸架装置の一部を形成するショックアブソーバの車輪側取付部を設け、前記第2ガス容器の上方には前記ショックアブソーバの車体側取付部を設け、前記排気センタパイプを前記トレーリングアームの前記車体側取付部と側面視で重ならせて前記第1ガス容器の下部に沿って後方に延出させるとともに前記1ガス容器と前記第2ガス容器との間を前記第2ガス容器の上側に近づくように上方に延出させて前記アッパガードと正面視で重なるように前記第2ガス容器側に偏倚させ、前記第2ガス容器の上面よりも前記ショックアブソーバの前記車体側取付部に近接する前記排気センタパイプの最も高い部分を前記ショックアブソーバの横方に配設したことを特徴とする天然ガス自動車の排気装置。
- 前記排気センタパイプは、前記トレーリングアームの前記車体側取付部の近傍で車体に支持されたことを特徴とする請求項1に記載の天然ガス自動車の排気装置。
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