JP3823507B2 - 真空断熱パネル、その製造方法及び冷蔵庫 - Google Patents

真空断熱パネル、その製造方法及び冷蔵庫 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、冷蔵庫などの断熱を要する壁面の金属製薄板や樹脂成型品などで構成された間隙に、断熱材として用いる真空断熱パネルに係り、さらに詳しくは、それら真空断熱パネルの断熱性能の改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、冷蔵庫などに用いる断熱体の壁面には、外殻を鉄板などの金属製薄板で覆い内面部分を樹脂成形品で形成して、その間隙に発泡ウレタンを注入発泡して充填させたものが用いられてきた。断熱材である発泡ウレタンの発泡剤には、ハイドロクロロフルオロカーボン類である1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HFC141b)が用いられてきたが、近年、オゾン層破壊の原因となる塩素を分子中に含まないハイドロフルオロカーボン類やハイドロカーボン類を用いることが提案されてきている。
【0003】
例えば、特開平2−235982号公報では1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC245fa)や1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブタン(HFC356mffm)のようなハイドロフルオロカーボン類を、特開平3−152160号公報ではシクロペンタンなどのハイドロカーボンを、発泡剤に適用した発泡ウレタンの製造方法が開示されている。しかしながら、これら発泡ウレタンの熱伝達率は19〜20mW/MKであり、オゾン層破壊物質の仕様規制前に用いていたクロロフルオロカーボン類を用いた場合の熱伝達率、16mW/MKに比較すれば明らかに劣っている。
【0004】
このため、従来の発泡硬質ポリウレタンフォームの2倍以上の断熱性能が得られる真空断熱パネル(VIP)を応用する技術が提案されている。真空断熱パネルの熱伝達率は、図6に示すように、発泡硬質ポリウレタンフォームに比べて約半分になっている。このような真空断熱パネルの芯材は、大気圧相当以上の強度を有するとともに、熱伝導および熱輻射による熱伝達量を抑制することが必要であり、その芯材として硬質の樹脂発泡体の板が用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
たとえば、特開昭60−205164号公報では、連通気泡の発泡ウレタンフォームの板状成形品を、真空断熱パネルのコア材として使用することが提案されている。断熱パネルの場合、熱伝達の構成要素としては、多孔体が保有するガス及び固体を伝わる熱(熱伝導)と、輻射により伝わる熱(熱輻射)から構成される要素があるが、真空断熱パネル内では、このうち気孔内にあるガスを伝わる熱伝達要素が排除される。
さらに、より優れた断熱性能を有する真空断熱パネルを得るためには、気孔または気泡であるセルの大きさを極めて小さなものにすることが有効であるが、多孔体物質である発泡樹脂の使用は、発泡剤によって樹脂を膨張させて気孔を形成するのでその気孔を小さくすることには限界があった。
【0006】
このような課題を解決するために、特開平6−213561号公報では気泡径が0.1〜1.0mmで、厚みを0.04mm以下にした発泡硬質ウレタンフォームを、また、特開平7−119888号公報では、1mm以下の気泡径を体積比で1/10以下に圧縮した発泡硬質ウレタンフォームを用いることを提案している。これらの方法によれば、球状の気泡が扁平状にされて熱の貫通方向の見かけの気泡径が小さくなって、輻射による熱の伝達を遮蔽する効果を増すことができる。したがって、これを芯材に用いた真空断熱パネルは、断熱性能の向上が達成できる。
【0007】
しかしながら、これらに開示された真空断熱パネルの芯材は、発泡硬質ウレタンを用いるため、特別な装置を用いてその多孔質物質に、圧縮応力を、特別な条件たとえば加熱条件下などにおいて負荷させる必要があった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、真空断熱パネルの芯材に用いる樹脂発泡体の伝熱方向(厚さ方向)の気泡の見掛けの大きさを、特別な装置や製造の条件を用いることなしに小さくして、優れた断熱性能を有する真空断熱パネルおよびその製造方法を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の真空断熱パネルは、0.1kg/cm 2 の圧縮応力を超える時の歪み量が40%以上あり、1.0kg/cm 2 の圧縮応力を賦与したときの歪み量が70〜90%である連続気泡を有する柔軟な樹脂発泡体からなり該気泡を扁平させてなる芯材を、包装材で包み真空状態に保持したものである。
【0010】
さらに、気泡の扁平を大気圧の負荷によって形成する。
【0011】
本発明の真空断熱パネルの製造方法は、0.1kg/cm 2 の圧縮応力を超える時の歪み量が40%以上あり、1.0kg/cm 2 の圧縮応力を賦与したときの歪み量が70〜90%である連続気泡を有する柔軟な樹脂発泡体を包装材の間隙に挿入し、所定の真空雰囲気下で加圧した後、前記包装材の端辺をシールする。
【0012】
また、真空雰囲気下での加圧は、大気圧相当の圧力を負荷することによる。
【0013】
また、真空雰囲気下での加圧は、先に大気圧以上の第1圧力を負荷し、次に前記第1圧力より小さい大気圧相当の第2圧力を負荷することによる。
【0014】
また、前記柔軟な樹脂発泡体を、発泡ポリエチレンとする。
【0015】
また、前記柔軟な樹脂発泡体を、発泡ポリウレタンとする。
【0016】
本発明の冷蔵庫は、上記の真空断熱パネルを断熱壁として備えたものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明を詳細に説明する。
【0018】
[芯材の作製]
本発明においては、連続気泡を有する柔軟性な樹脂発泡体が、圧縮応力によって気泡(セル)を変形させ適度な扁平状になることが重要である。これにより、熱輻射が抑制され断熱性能が向上するからである。しかし、必要以上の扁平は、見掛け密度が過度に高くなって樹脂の熱伝導の増加量が熱輻射の抑制量を上回って熱伝達率の悪化をきたすのため、輻射と伝導の両伝熱機構の相関において、気泡の形状には最適な扁平形状を得るための応力と歪みの関係が存在する。樹脂発泡体の圧縮前後の厚さの比である圧縮率の範囲は、3から10の範囲が好ましく、4から7の範囲が特に好ましい。この目的に適う柔軟な樹脂発泡体の硬さは、70〜90%の歪み量時における硬さである圧縮応力が1.0kg/cm2 以上であり、さらに、0.1kg/cm2 の圧縮応力を超える時の歪み量が40%以上にあることが好ましい。
【0019】
このような範囲にするための圧縮硬さの調整は、樹脂発泡体の密度を変化させることによって可能となるが、その他、樹脂組成を変えることによっても達成できる。例えば、発泡ポリエチレンの場合には分子量を変えて樹脂の結晶化度を変えたり、発泡ポリウレタンの場合には、官能基の種類や数、分子量の異なる素原料を用いることによって、硬さを調整することができる。
【0020】
以上の如く、種々な原料組成の調整によって、適度な圧縮硬さ有する樹脂発泡体を金型内で発泡させて板状に成形し、これをスキン層や独立気泡の多い端面部分を必要に応じて削除して、連続気泡が90%以上、好ましくは96%以上、さらに好ましくは99%以上を有するコア部分のみの加工品を真空断熱パネル(VIP)の芯材に用いる。以下に示す本発明の各実施例においては、この芯材加工品の板厚は、1. 0kg/cm2 の圧力をかけた状態で、20mmになるように予め調整した。
【0021】
また、芯材となる柔軟な樹脂発泡体については、樹脂発泡体に0.1kg/cm2 の圧縮応力を付加して25秒間静置後の圧縮歪み量で示した「圧縮硬さ」と、20mm/secの速度で圧縮して1.0kg/cm2 の圧縮応力を越える時の歪み量である「圧縮率」を求め、これらを変化させて実験を行った。
【0022】
本発明に用いた柔軟な樹脂発泡体の圧縮歪み量と圧縮応力の関係を示すと、図1の如くの曲線が得られる。これによれば、柔軟な樹脂発泡体に圧縮の歪みを賦与することによって、気泡の扁平を伴って圧縮応力を発現するが、このとき、特定の歪み量以上になると急激な応力上昇を来し、内部が真空状態の真空断熱パネル内にある芯材にかかる大気圧相当の圧縮応力値である1.0kg/cm2 近傍における歪み量の変化が小さくなって、安定した厚さを呈するようになることがわかる。
【0023】
[真空断熱パネルの作製]
本発明の真空断熱パネルの製造は、図2の工程図に示されている。その工程は、連続気泡を有する柔軟な樹脂発泡体を、所定の面大きさを得るために任意の大きさに裁断して調整し芯材を作る工程(S−1)、この芯材を包装材内に挿入する工程(S−2)、芯材の入った包装材内を端辺融着装置に装填して所定の真空度の雰囲気を確保し、この中で包装材の開いた端辺を熱シールする工程(S−3)、および端辺融着装置から真空断熱パネル取り出す工程(S−4)からなる。
【0024】
ここで、端辺融着装置に関係する工程を、図2を使って詳述する。
▲1▼予め3方向が熱シールされた包装材2内に芯材3を挿入し、端辺融着装置1の所定の位置に固定する(S−30)。
▲2▼次に、包装材2および芯材3内部に残存するガスを排除するため、端辺融着装置1の内部を100 〜10-3 torrの間の任意の真空度に至るまで排気バルブ6の調整しながら、真空ポンプで排気する(S−31)。
▲3▼次に、予備加圧として、プレス板6を利用して、1.5〜2.0kg/cm2 の圧力を断熱方向である芯材3の厚さ方向に負荷した状態で5から30秒間保持して、気泡の過剰変形を促す(S−32)。
▲4▼次に、予備加圧で加えた圧力を下げ、大気圧相当から僅かに高い1.0〜1.3kg/cm2 の圧力に保持し、芯材3の変形量が安定するまで20秒から5分間の静置状態を保つように、プレス板6の位置を固定する本加圧を行う(S−33)。ここでは、芯材の気泡の変形状態を、▲3▼での過剰変形状態から、気泡の扁平がない場合よりその熱伝達率をより小さくするような気泡の扁平形状にするものである。
▲5▼その後、インパルス加熱式の熱板4およびシール用加圧器7を用いて、包装材2の端辺を熱融着しシールする(S−34)。
▲6▼最後に、装置1内を大気圧に戻しプレス板6を解放して真空断熱パネル5を取り出す。取り出された真空断熱パネル5は、図4のごとき断面構造を有する。
【0025】
上記の工程の内、予備加圧(S−32)は必ずしも必要ではないが、これは、気泡を熱伝達率の観点からの適度な変形より過剰に変形させて、気泡内に残存するガスを強制的に排出して、包装材2内部の真空度を効率よく確保するうえで有効である。なぜなら、通常、端辺融着装置1内が所定の真空度に到達したとしても、包装材2内部では空気などのガスが気泡内に残存し易すく、それを除くためには、長い時間放置することが必要となるからである。
【0026】
ここでは、芯材3および包装材2は、いずれも100℃以上の温度で乾燥を行った後のものを使用した。
なお、包装材2は、シール面に溶着が可能な熱可塑性樹脂を、中間層に外気の侵入を完全に遮断するためのアルミ箔などの金属箔を、最外層に傷つきなどに耐性のある樹脂であるナイロンを各々用いた多層シートである。
また、断熱性能の試験のために試料とした真空断熱パネルは、面の大きさを180×180mmとし、その厚さは真空断熱パネルに成形した時に、ほぼ芯材の厚みである約20mmとなるように調整したものを用いた。
【0027】
【実施例】
実施例1〜実施例3
芯材に用いる樹脂発泡体は、何れのものも、0.1kg/cm2 の圧縮応力を超える時の歪み量(圧縮硬さ)が40%以上あり、しかも、1.0kg/cm2 の圧縮応力を賦与したときの歪み量(圧縮率)が70〜90%である。このような樹脂発泡体として、粗原料であるポリオールの分子量や官能基数を変えて50kg/m3 の密度を有するようにし、圧縮率をそれぞれ71%、83%、90%の硬さに調整した発泡ウレタンを用いた。また、発泡ウレタンが有する気泡の大きさは、無負荷の状態における断熱方向の平均直径が250ミクロンである。
実施例1〜実施例3の真空断熱パネルは、上記芯材を用い、[真空断熱パネルの作製]の項で説明した方法により、10-1torrの真空雰囲気下で包装材の端辺の融着(シール)を行って作製した。
【0028】
比較例1
樹脂発泡体には、密度が110kg/m3 である連通気泡の硬質の発泡ウレタンを用いた。この発泡ウレタンが有する気泡の平均直径は80ミクロンである。また、大気圧の負荷による厚みの収縮率は1〜2%程度で、気泡の変形を殆ど来たすことがなく、初期の気泡径を維持する。この連通気泡を有する硬質発泡ウレタンを芯材として、[真空断熱パネルの作製]の項で説明した方法により、比較例1の真空断熱パネルを作製した。
【0029】
比較例2〜比較例5
発泡ウレタンの圧縮硬さである0.1kg/cm2 の圧縮応力を超える時の歪み量が40%以下で圧縮率を変えたものを芯材とした真空断熱パネルを比較例2〜3とし、1.0kg/cm2 の圧縮応力を越えるときの圧縮歪み量である圧縮率が90%以上で圧縮硬さを変えたものを芯材とした真空断熱パネルを比較例4〜5とした。
【0030】
これらの各実施例および各比較例の評価は、真空断熱パネルの断熱性能とその経時変化、および形状の経時変化について行った。断熱性能は、栄弘精機(株)社製の「オートラムダ」を用いて測定した熱伝達率で評価した。また、断熱性能の経時変化は、真空断熱パネルを60℃の雰囲気中に700時間放置した後の熱伝達率を求め、その試料作成直後との変化量にて評価した。さらに、形状の経時変化は、特に収縮が判別し易い横面の変形について着目して、上記各試料における厚さの変化を目視観察した。
【0031】
表1には、発泡樹脂の硬さの指標となる「圧縮硬さ」と「圧縮率」を示した各発泡ウレタンを芯材に用いた真空断熱パネルである実施例1〜実施例3、および比較例1〜比較例5について、熱伝達率の初期値とその経時変化、および形状の経時変化を示した。
【0032】
【表1】
Figure 0003823507
【0033】
表1より、柔軟な樹脂発泡体を芯材に用いた本発明の実施例1〜3は、硬質の発泡ウレタンを芯材に用いた比較例1と比較して、熱伝達率の初期値が同じか小さくなっている。また、実施例1〜3の経時変化後の熱伝達率は、比較例1のそれより完全に小さくなっている。さらに、実施例1〜3は形状の経時変化もなく、従来の硬質の発泡ウレタンを芯材に用いた真空断熱パネルとほとんど形状の差異が認められなかった。
【0034】
実施例1〜3では、芯材に用いた樹脂発泡体を適度に圧縮したことに伴い、無負荷状態ではほとんど球状であった連通気泡の気泡形状が押しつぶされて扁平状になり、真空断熱パネルの熱貫通方向に相当する芯材の厚さ方向における見かけの気泡径が小さくなる。従って、真空断熱パネルとなったときの芯材の厚さが同じであれば、実施例1〜3における芯材は、比較例1の芯材より、単位厚さ内に存在する気泡の数が多くなる。輻射による熱の貫通は気泡の壁が傷害となって減衰するので、単位厚さ内に存在する気泡の数が増えるれば、真空断熱パネルの伝熱要素である樹脂を伝わる伝導による熱と輻射による熱のうち、後者の輻射による伝熱要素が削減できる。
【0035】
本発明による実施例1から実施例3の芯材は、各々、約、3.5、5.9、10倍の圧縮率を達成したので、それぞれの断熱方向における見掛けの気泡径は、72、42、25ミクロンとなり、何れも比較例1に用いた硬質発泡ウレタンの気泡径である80ミクロンより小さくなっている。従って、表1に示した結果は、柔軟な発泡ウレタンを圧縮したことに伴う密度上昇が樹脂の熱伝導の量を増す以上に、気泡が小さくなって熱輻射による量を減少させた効果の方が大きくなって、全体としての熱伝達率を小さくした、すなわち断熱性能を改善したものと推測できる。
【0036】
また、本発明の柔軟な発泡ウレタンは、反発力が強く、大気圧相当の応力負荷範囲内での変形量が大きいため、仮に包装材にピンホールなどの欠陥があって内部の真空度が低下した場合には、真空断熱パネルの厚さが増して外観変化を来たし、容易に異常を検出することができるという利点も併せ持つ。
【0037】
実施例1〜3において、60℃の雰囲気中で700時間の放置後に行った熱伝達率の変化と、図5に示す比較例1の真空断熱パネルにおける真空度と熱伝達率の関係曲線とから、実施例1〜3の真空断熱パネルの包装材内部の真空度を予測すれば、初期に10-1torrであった真空度は、700時間の放置後に数torr以下にまで低下しているものと考えられる。各実施例による真空断熱パネルにおいては、形状の経時変化がこの真空度の変化に応じて顕著に現れるので、硬質の発泡ウレタンを芯材に用いていた真空断熱パネルや、0.1kg/cm2 の圧縮応力を超える時の歪み量が40%以上の好ましい硬さよりも硬い芯材を用いた場合に検出が困難であった外観の変化から真空度の異常検出が可能になる。
【0038】
実施例1〜3に比較して、圧縮硬さである歪み量が小さすぎたり、圧縮率である歪み量が大きすぎる比較例2〜5は、断熱性能および形状の経時変化のいずれにおいても、実施例1〜3に劣った。
【0039】
ところで、芯材として用いた発泡ウレタンは、100℃で2時間の乾燥処理を行なったので、樹脂の膨張に用いた発泡剤や水分が過剰に残存することはなく、包装材内の真空状態下で飛散して真空度を低下させることが少ない。しかしながら、包装材の表面や融着部分からわずかに侵入する空気などのガスによって内部の真空度が長期の放置において低下するので、それらガスを吸着するためのゲッター剤を包装材内部に投入しておくことよい。
【0040】
実施例4
次に、柔軟な樹脂発泡体として、70kg/m3 の密度を有し、分子量を調整して「圧縮硬さ」および「圧縮率」をそれぞれ47%と79%の硬さに調整し、無負荷の状態における断熱方向の気泡の平均直径が120ミクロンの発泡ポリエチレンを芯材に用いて真空断熱パネルを作製し、これを実施例4とした。
実施例4の断熱性能も、栄弘精機(株)社製の「オートラムダ」を用いて測定した熱伝達率により評価した。
【0041】
【表2】
Figure 0003823507
【0042】
実施例4の測定結果を、表1で示した実施例および比較例1とともに表2にまとめた。これによれば、実施例4の熱伝達率の初期値は、実施例1および比較例1より小さくなっている。これは、実施例4に用いたポリエチレンは、気泡が小さいうえに、約4.8倍の圧縮率としたので、約25ミクロンの極めて微小な気泡径が達成でき、実施例1および比較例1に示した発泡ウレタンに比べて有意に小さな熱伝達率、つまり優れた断熱性能を有することになったものと思われる。
【0043】
実施例5〜7
次に、柔軟な樹脂発泡体として、70kg/m3 の密度を有し、分子量を調整して「圧縮硬さ」および「圧縮率」をそれぞれ47%と79%の硬さに調整した発泡ポリエチレンを芯材に用いた真空断熱パネルの、真空雰囲気中での加圧の効果について確認した。
すなわち、[真空断熱パネルの作製]の項の▲3▼▲4▼で述べた範囲の中で特定の加圧力を与えたものを実施例5〜6とする。また、先に実験した実施例4についてもその加圧力を明記して、実施例5〜6とともに併記する。一方、その範囲外の加圧力を与えたものを比較例6〜7とする。
このようにして得られた真空断熱パネルの初期の断熱性能を、栄弘精機(株)社製の「オートラムダ」により測定した熱伝達率と、包装材の表面におけるシワの発生状況の目視により評価した。その結果を表3に示す。
【0044】
【表3】
Figure 0003823507
【0045】
柔軟な発泡樹脂であるポリエチレンを芯材に用いる場合に、比較例7に示した如く加圧を全く行わずに真空雰囲気下で包装材の端辺融着を行うと、でき上がった真空断熱パネルを大気圧に戻したときに、芯材の全ての面に大気圧が負荷されて芯材が収縮し、これにより取り残されて余った包装材がシワとして残ってしまい、表面の十分な平滑性を確保できない。しかし、本発明の実施例4〜6のように、1.5〜2.0kg/cm2 の予備加圧を断熱方向である芯材の厚さ方向に付加した後、本加圧として1.0〜1.3kg/cm2 の圧力で保持した場合には、シワの発生が無いうえ、本加圧を大気圧よりかなり高くした比較例6および本加圧を全く行わなかった比較例7に比べて、熱伝達率も小さくなった。
【0046】
予備加圧は、大気圧より少し高い1.5〜2.0kg/cm2 とすると、芯材の圧縮量が増し、包装材内部および芯材の気泡内部に残存する空気などのガスを十分に外部に排出することができる。このため、無加圧状態で包装材の端辺シールを行った比較例7に比較して真空断熱パネルの実質真空度が低下し、断熱性能が向上したものと推測できる。
また、包装材端辺の融着時の本加圧は、実施例4〜6のように、大気圧相当の圧力がよい。なぜなら、比較例6に示すように、端辺の融着時の本加圧が必要以上に高い場合には、芯材であるポリエチレンの過剰な収縮状態がそのまま保持されて密度が上昇し、芯材を伝わる熱量が増加して断熱性能を低下させるからである。
【0047】
以上説明してきた本発明の真空断熱パネルは、平板状の真空断熱パネルに限定されるものではなく、真空断熱パネルの厚さが位置によって変化する三角断面のような形状であってもよい。
また、本発明によって得られる真空断熱パネルは、冷蔵庫、保冷車、パイプや建築物の保温材などの断熱壁に用いることが可能である。
【0048】
【発明の効果】
請求項1または2に係る発明によれば、芯材に柔軟な樹脂発泡体を用いたことで、加熱等することなく容易に気泡を扁平させその断熱方向における見かけの気泡径を小さくできる。したがって、優れた断熱性能の真空断熱パネルのが得られるとともに、ピンホールなどの発生によって真空度が低下したときには、外観の変化でその異常を容易に検知できる利点も有する。
【0049】
請求項3に係る発明によれば、加熱等することなく容易に気泡を扁平させその断熱方向における見かけの気泡径を小さくできることに加え、端辺融着装置から真空断熱パネルを大気中に取り出したときに、芯材の収縮を抑制して包装材の表面におけるシワの発生を少なくすることができる。
【0050】
請求項4に係る発明によれば、加熱等することなく容易に気泡を扁平させその断熱方向における見かけの気泡径を小さくできることに加え、端辺融着装置から真空断熱パネルを大気中に取り出したときに、芯材が全く収縮しないので、包装材表面にシワを発生させないようにできる。
【0051】
請求項5に係る発明によれば、第1圧力の負荷により、樹脂発泡体の気泡内に残存するガスが充分に排出されるので、真空断熱パネルとしたときに高い真空度が得られ、したがって、その断熱性能も一層改善される。
【0052】
請求項6に係る発明によれば、樹脂発泡体の柔軟性を特別な範囲に限定したので、特に容易に気泡を扁平させその断熱方向における見かけの気泡径を小さくできるとともに、ピンホールなどの発生によって真空度が低下したときには、外観の変化でその異常を一層容易に検知できる。
【0053】
請求項7に係る発明によれば、柔軟な樹脂発泡体として発泡ポリエチレンを用いたので、セルを小さくすることができ、断熱性能に優れたものが得られる。
【0054】
請求項8に係る発明によれば、柔軟な樹脂発泡体として発泡ウレタンを用いたので、硬さを容易に変更することができ、目的に応じた芯材の選択ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の芯材に用いる柔軟な発泡樹脂の圧縮応力−圧縮歪みの関係図である。
【図2】 本発明の真空断熱パネルの製造方法を示す工程図である。
【図3】 真空断熱パネルの製造に用いる端辺融着装置の構造を示す概念図である。
【図4】 本発明の真空断熱パネルの断面構造を示す概略図である。
【図5】 比較例1の包装材内部の真空度と真空断熱パネルの熱伝達率の関係を示す説明図である。
【図6】 各種断熱材の熱伝達率を示す比較図である。
【符号の説明】
1 端辺融着装置
2 包装材
3 芯材
4 熱板
5 真空断熱パネル
6 プレス板
7 シール用加圧器

Claims (8)

  1. 0.1kg/cm 2 の圧縮応力を超える時の歪み量が40%以上あり、1.0kg/cm 2 の圧縮応力を賦与したときの歪み量が70〜90%である連続気泡を有する柔軟な樹脂発泡体からなり、該気泡を扁平させてなる芯材を、包装材で包み真空状態に保持したことを特徴とする真空断熱パネル。
  2. 前記扁平が大気圧の負荷によって形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の真空断熱パネル。
  3. 0.1kg/cm 2 の圧縮応力を超える時の歪み量が40%以上あり、1.0kg/cm 2 の圧縮応力を賦与したときの歪み量が70〜90%である連続気泡を有する柔軟な樹脂発泡体を包装材の間隙に挿入し、所定の真空雰囲気下で加圧した後、前記包装材の端辺をシールすることを特徴とする真空断熱パネルの製造方法。
  4. 前記真空雰囲気下での加圧が、大気圧相当の圧力を負荷することによることを特徴とするする請求項3記載の真空断熱パネルの製造方法。
  5. 前記真空雰囲気下での加圧が、先に大気圧以上の第1圧力を負荷し、次に前記第1圧力より小さい大気圧相当の第2圧力を負荷することによることを特徴とする請求項3記載の真空断熱パネルの製造方法。
  6. 前記柔軟な樹脂発泡体が、発泡ポリエチレンであることを特徴とする請求項3から5の何れか記載の真空断熱パネルの製造方法。
  7. 前記柔軟な樹脂発泡体が、発泡ポリウレタンであることを特徴とする請求項3から5の何れか記載の真空断熱パネルの製造方法。
  8. 請求項1又は2の真空断熱パネルを断熱壁として備えた冷蔵庫。
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