JP2001181364A - 連続気泡硬質ポリウレタンフォーム成形体の製造方法 - Google Patents

連続気泡硬質ポリウレタンフォーム成形体の製造方法

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JP2001181364A
JP2001181364A JP36812899A JP36812899A JP2001181364A JP 2001181364 A JP2001181364 A JP 2001181364A JP 36812899 A JP36812899 A JP 36812899A JP 36812899 A JP36812899 A JP 36812899A JP 2001181364 A JP2001181364 A JP 2001181364A
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compression
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rigid polyurethane
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JP36812899A
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English (en)
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Masahito Hayashi
聖人 林
Junichi Hosaka
淳一 保坂
Reiji Naka
礼司 中
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Nisshinbo Holdings Inc
Original Assignee
Nisshinbo Industries Inc
Nisshin Spinning Co Ltd
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Publication date
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  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形体の単位体積あたりの材料コストが低
く、さらに表面の平滑性に優れる連続気泡硬質ポリウレ
タンフォーム成形体を製造する方法を提供する。 【解決手段】 ポリオール成分とイソシアネート成分と
をNCO/OHの当量比で約0.55〜0.95となる
ように含有し、発泡剤として好ましくは水を含有する発
泡原料成分混合物を圧縮して発泡成形させ、その圧縮物
をさらに圧縮成形することにより、スキン層を残したま
まの状態で連通度が99%以上である連続気泡硬質ポリ
ウレタンフォーム成形体を製造する

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続気泡硬質ポリ
ウレタンフォーム成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、地球環境保全のために、オゾン層
保護、地球温暖化防止等を目的として、多くの製造分野
に脱フロン、省エネルギーが追求されて材料転換が求め
られている。なかでも、硬質ポリウレタンフォームをは
じめとする断熱材はその標的となっている。
【0003】そのため、断熱材製造の分野においては種
々の技術が提案されており、例えば、脱フロンを目的と
した技術として、水を発泡剤とした製造方法が知られて
いる。また、省エネルギーを目的として、ガスバリヤー
性の金属−プラスチックラミネートフィルムからなる袋
に、所定の形状を保持させるための無機粉末や連続気泡
体等のコア材を充填し、減圧密封した真空断熱パネル構
造等が提案されている。
【0004】この様な状況において、連続気泡よりなる
硬質ポリウレタンフォームは軽量でかつ高性能を有する
ものとして、地球温暖化防止にかかわる冷凍・冷蔵機器
等の断熱材として、特に、上記真空断熱パネルのコア材
として注目されている。
【0005】例えば、特公昭63−61589号公報、
特開平6−213561号公報、日本熱物性研究会セミ
ナー(’89.6.30)等では、コア材に水発泡から
なる連続気泡を有する硬質ポリウレタンフォームを用
い、発泡体の気泡を微細化したりさらに気泡の形状を調
整することで高性能の真空断熱材を得ることが提案され
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
真空断熱パネルにおいてコア材として用いる連続気泡硬
質ポリウレタンフォームは、殆どがいわゆる硬質スラブ
フォームや連続パネル成形を行うダブルコンベア方式、
あるいは圧縮成形により製造されている。
【0007】しかし、これらの製造方法で得られる硬質
ポリウレタンフォームにおいては、得られる成形体のス
キン層と呼ばれる表層部分に連続気泡が形成されないた
め、その様なスキン層を取り除いて、連続気泡硬質ポリ
ウレタンフォームを得ているのが実状である。しかも、
この方法で取り除かれるスキン層は全体の体積の50%
にもおよび、発生する廃棄物は地球環境保全に逆行する
ばかりでなく、生産性の低下さらに成形体の単位体積あ
たりの材料コストの上昇を招いている。さらに、得られ
る連続気泡硬質ポリウレタンフォームは形状が制限され
るとともに表面の平滑性に欠け、また用途によっては強
度的に十分なものとは言えない。
【0008】あるいは、特開昭63−312131号公
報のように針付ローラで表面全体に針穴を開けスキン層
を連通化する方法も提案されている。しかしながら、こ
の方法はフォーム表面に非常に多数の穴を開けなければ
ならず、実際には必要とされる連通度を得るのは難しい
といった問題がある。
【0009】もちろん、従来の連続気泡硬質ポリウレタ
ンフォームにおいても、製造に際して脱フロン化のため
に全て水を発泡剤として用いているが、発泡成形時に強
度は低下し、フライアビリティー(フォームの脆さ)が
増大して、成形品として高品質のものが得られていない
のが現状である。
【0010】そこで本発明は、上記問題を解決して、ス
キン層を取り除くことなく使用することができ、成形体
の単位体積あたりの材料コストが低く、さらに表面の平
滑性に優れる連続気泡硬質ポリウレタンフォーム成形体
を製造する方法を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために鋭意研究を行った結果、スキン層を残
したままの状態であっても成形体全体にわたって連通度
が非常に高い発泡成形体である連続気泡硬質ポリウレタ
ンフォーム成形体は、硬質ポリウレタンフォーム原料中
のポリオール成分とイソシアネート成分の配合比を特定
の範囲に調整し、発泡成形を行う工程中でその発泡物を
圧縮成形することにより得られることを見出し、本発明
を完成させた。
【0012】即ち、本発明は以下の通りである。 (1)ポリオール成分とイソシアネート成分と発泡剤を
含有する発泡原料成分混合物を発泡成形することによ
る、スキン層を残したままの状態で連通度が99%以上
である連続気泡硬質ポリウレタンフォーム成形体の製造
方法であって、前記発泡原料成分混合物中のポリオール
成分とイソシアネート成分の含有割合がNCO/OHの
当量比で約0.55〜0.95であり、発泡成形を行う
手段が下記工程(A)〜(C)を含む製造方法: (A)発泡原料成分を混合し、該発泡原料成分混合物を
成形すべき空所内に注入し、自由発泡させる工程、
(B)前記(A)工程の自由発泡過程の自由発泡物をそ
のゲルタイムの前に圧縮する第1の圧縮工程、(C)前
記(B)工程で得られた圧縮物をそのガス抜け直後にさ
らに圧縮する第2の圧縮工程。 (2)前記第1の圧縮工程における圧縮は、自由発泡物
の膨張を拘束することによって行われる(1)に記載の
製造方法。 (3)(B)の第1の圧縮工程における圧縮は、(A)
工程の自由発泡過程の自由発泡物をそのゲルタイムの前
に、(A)工程で圧縮せず自由発泡させた場合の体積の
40〜80%になるまで圧縮することで行われ、(C)
の第2の圧縮工程における圧縮が、(B)工程で得られ
た圧縮物をそのガス抜け直後に、さらに(A)工程で圧
縮せず自由発泡させた場合の体積の10〜30%になる
まで圧縮することで行われる(1)または(2)に記載
の製造方法。 (4)発泡剤が水である(1)〜(3)のいずれか一つ
に記載の製造方法。 (5)前記(A)工程の注入は、クローズド注入方式で
行われる(1)〜(4)のいずれか一つに記載の製造方
法。 (6)前記クローズド注入方式は、多点注入方式である
(5)に記載の製造方法。 (7)前記(A)工程の注入は、オープン注入方式で行
われる(1)〜(4)のいずれか一つに記載の製造方
法。 (8)前記オープン注入方式は、トラバース注入方式で
ある(7)に記載の製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 (1)本発明における連続気泡硬質ポリウレタンフォー
ム 本発明における連続気泡硬質ポリウレタンフォーム成形
体は、ポリオール成分とイソシアネート成分と発泡剤と
を含む発泡原料成分混合物を発泡成形して得られる硬質
ポリウレタンフォーム成形体であって、前記成形体はス
キン層を残したままの状態で連通度が99%以上である
ことを特徴とするものである。
【0014】ここで、本明細書に用いる発泡成形体の
「スキン層」とは、発泡成形体における表層部分・表面
層をいう。上述の様に従来の硬質ポリウレタン発泡成形
体では、スキン層が十分に連続発泡されたものが得られ
なかったことから、連続気泡硬質ポリウレタンフォーム
成形体を得るためには、発泡成形後、得られた発泡成形
体よりスキン層を取り除く操作が必要であった。本発明
の連続気泡硬質ポリウレタンフォーム成形体は、スキン
層を残したままの状態で連通度が99%以上である硬質
ポリウレタン発泡成形体からなることを特徴とするもの
である。
【0015】また、本明細書に用いる「連通度」とは連
続気泡率のことをいい、具体的には、ASTM−D19
40に基づいて測定される独立気泡率をCrとしたとき
に100−Crの式で算出することができる。
【0016】この様に本発明の製造方法で得られる連続
気泡硬質ポリウレタンフォーム成形体は、スキン層を残
したままの状態で成形体全体にわたって連通度が99%
以上であり、真空断熱材のコア材等として用いるのに十
分な連通度を有するものである。
【0017】本発明の製造方法で得られる連続気泡硬質
ポリウレタンフォーム成形体の密度については、前記成
形体が用いられる用途に応じて適宜選択されるものであ
って、特に限定されるものではないが、例えば、前記成
形体が真空断熱材のコア材として用いられる場合には、
具体的には、90〜180kg/m3程度の範囲の密度
が好ましく挙げられ、より好ましくは、90〜150k
g/m3程度であり、さらに好ましくは、120〜15
0kg/m3程度の範囲の密度が挙げられる。
【0018】本発明の製造方法で得られる連続気泡硬質
ポリウレタンフォーム成形体の密度分布についても、上
記成形体全体の密度同様特に限定されるものではない
が、前記成形体の表面から内部に向かって0.5mmま
での部分を構成する表層部の密度を、成形体の前記表層
部を除いた中心部の密度に近づけることが好ましく、具
体的には、前記表層部の密度を中心部の密度の約0.9
〜1.5倍とすることが好ましく、より好ましくは、前
記表層部の密度は中心部の密度の1.0〜1.3倍程度
である。また、上記表層部の密度を中心部の密度に近づ
けた本発明の連続気泡硬質ポリウレタンフォーム成形体
においても、成形体全体にわたって連通度が99%以上
であり、よって前記表層部と中心部の連通度はともに9
9%以上である。なお、本発明の製造方法において、前
記表層部と中心部との密度の比を上記範囲とするには、
主に原料成分の調整と型の温度の調整を行えば良い。
【0019】以下、特に断りのない限り「表層部」と
は、成形体の表面から内部に向かって0.5mmまでの
部分を構成する表層部のことであり、「中心部」とは、
成形体の前記表層部を除いた中心部のことである。 (2)本発明の連続気泡硬質ポリウレタンフォーム成形
体の製造方法 本発明における連続気泡硬質ポリウレタンフォーム成形
体は、発泡剤とポリオール成分とイソシアネート成分を
混合発泡することにより得ることができるが、本発明の
具体的な製造方法として、発泡原料成分混合物中のポリ
オール成分とイソシアネート成分の含有割合がNCO/
OHの当量比で約0.55〜0.95である、該ポリオ
ール成分とイソシアネート成分と発泡剤とを含むものを
発泡原料成分混合物を発泡成形する方法として、下記工
程(A)〜(C)を含む工程により発泡成形する手段が
挙げられる。 (A)発泡原料成分を混合し、該発泡原料成分混合物を
成形すべき空所内に注入し、自由発泡させる工程、
(B)前記(A)工程の自由発泡過程の自由発泡物をそ
のゲルタイムの前に圧縮する(以下、「第1の圧縮」と
もいう)第1の圧縮工程、(C)前記(B)工程で得ら
れた圧縮物をそのガス抜け直後にさらに圧縮する(以
下、「第2の圧縮」ともいう)第2の圧縮工程。
【0020】本発明の製造方法において、発泡原料成分
混合物中のポリオール成分とイソシアネート成分の含有
量比をNCO/OHの当量比で約0.55〜0.95と
することにより、つまり、これらを含む原料成分を混合
発泡成形することのみで、従来法の様に発泡成形後にス
キン層を取り除かず、スキン層を残したままの状態で、
成形体全体にわたって連通度が99%以上である上記本
発明の連続気泡硬質ポリウレタンフォーム成形体が得ら
れる。これは、NCO/OHの当量比を上記範囲内にす
ることにより、気泡を形成する骨格樹脂の伸び−強度の
バランスを崩し、発泡成形体の内側部分からスキン層部
分までの全体にわたって十分に気泡を破泡させることが
できるからである。
【0021】なお、従来の一般的な連続気泡硬質ポリウ
レタンフォームの発泡原料成分混合物中のポリオール成
分とイソシアネート成分の含有量比は、スキン層を取り
除いて得られる連続気泡硬質ポリウレタンフォームの圧
縮強度等を考慮してNCO/OHの当量比で1〜1.2
であり、例えば、特開平6−213561号公報に記載
されているように、発泡剤に水を用いて自由発泡密度2
0kg/m3の発泡体を製造する場合には、ポリオール
成分(A)とイソシアネート成分(B)では、B/A
(重量比)が1.5〜2.0とイソシアネート成分が多
量に使用されるため、キュア性が悪く、全体にフライア
ビリティーが増大し耐久性が不足となり、良好な成形体
を得ることができなかった。
【0022】しかし、本発明においては、上述のように
従来に比べて原料中のNCO/OHの当量比を約0.5
5〜0.95と低くすることで、前記フライアビリティ
ーの問題がクリアーできるとともに、発泡成形体の内側
部分からスキン層部分までの全体にわたって気泡を十分
に破泡させて、スキン層を残したままの状態で成形体全
体にわたって連通度が99%以上、具体的には、表層部
と中心部の連通度がともに99%以上である連続気泡硬
質ポリウレタンフォーム成形体を得ることが可能であ
る。
【0023】また、この様な本発明の製造方法は、従来
の製造方法とは異なり、連通度を確保するためにスキン
層を取り除く必要がないので、表面が平滑であり、多様
な形状にも対応できるとともに、製造工程で廃棄物は発
生せず、今後のリサイクル化にも十分対応できる地球に
優しいシステムといえる。
【0024】上記本発明の製造方法に用いるポリオール
成分としては、通常ポリウレタンフォームの発泡原料成
分として用いられるポリオール成分であれば特に制限な
く用いることが可能である。具体的には、ポリプロピレ
ングリコール、ポリテトラメチレングリコールや、例え
ば、トリレンジアミン系ポリエーテル、シュクローズ系
ポリエーテル、エチレンジアミン系ポリエーテル等のこ
れらの変性体等のポリエーテルポリオール;縮合系ポリ
エステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオー
ル、ポリカーボネートポリオール等のポリエステルポリ
オール;ポリブタジエンポリオール;アクリルポリオー
ル;部分鹸化エチレン−酢酸ビニル共重合体;フェノー
ル系ポリオール等を挙げることが可能である。
【0025】また、上記本発明に用いるイソシアネート
成分としては、通常ポリウレタンフォームの発泡原料成
分として用いられるイソシアネート成分であれば特に制
限なく用いることが可能である。具体的には、ポリメリ
ック4,4’ジフェニルメタンジイソシアネート(ポリ
メリックMDI)、カルボジイミド変性MDI、トリレ
ンジイソシアネート等が挙げられる。
【0026】なお、この様な通常ポリウレタンフォーム
の発泡原料成分として用いられるポリオール成分あるい
はイソシアネート成分の多くは、市販もされているので
これを本発明に用いることも可能である。
【0027】本発明に用いる発泡剤としては、HFC、
HCFC、シクロペンタン、水等が挙げられ、これらの
中から1種あるいはそれ以上を適宜選択することができ
るが、環境面を考慮すると、ODP(オゾン破壊係数)
=0、GWP(地球温暖化係数)≒0で且つ爆発、火災
等がなく安全性の高い水を用いることが本発明において
は好ましい。
【0028】本発明の製造方法に用いる連続気泡硬質ポ
リウレタンフォーム成形体の発泡原料には上記成分以外
に、触媒、鎖延長剤、架橋剤、整泡剤、連通剤、充填
材、可塑剤、難燃剤等の通常のポリウレタンフォーム製
造に用いる種々の原料成分を適宜加えることができる。
【0029】上記触媒としては、有機金属系触媒、3級
アミン類やアミン塩等のアミン系触媒等が挙げられる。
また、鎖延長剤、架橋剤として具体的には、グリコール
類が挙げられ、整泡剤として、具体的には、各種界面活
性剤、好ましくはシリコーン界面活性剤が挙げられる。
さらに、上記連通剤として好ましくはステアリン酸バリ
ウム、ステアリン酸カルシウム等が挙げられ、充填材と
してはアルミ、鉄等の金属、炭酸カルシウムやマイカ等
の無機粉末が挙げられる。
【0030】本発明の連続気泡硬質ポリウレタンフォー
ム成形体の発泡原料成分混合物には、この様なポリオー
ル成分、イソシアネート成分、発泡剤、さらにその他各
種成分が含まれるが、発泡原料成分混合物中のポリオー
ル成分とイソシアネート成分の含有量比はNCO/OH
の当量比で約0.55〜0.95の範囲であり、好まし
くは概ね0.60〜0.80である。
【0031】上記NCO/OHの当量比が0.55未満
であると、強度が極端に低下し成形体の収縮を生じ易く
なり、0.95を越えると気泡が粗くなってスキン層ま
で連続気泡化することが困難となる傾向がある。
【0032】また、本発明の製造方法に用いる発泡剤の
量としては、通常ポリウレタンフォームを製造する際に
用いられる発泡剤の量をそのまま適用することができ
る。例えば、発泡剤として水を用いる場合には、発泡原
料におけるポリオール成分の配合量に対して4〜8質量
%程度の配合量を挙げることができる。さらに、発泡原
料に適宜配合されるその他の原料成分についても、通常
ポリウレタンフォームを製造する際にその原料成分が用
いられる量をそのまま適用することができる。
【0033】本発明の製造方法においては、上記各原料
成分を通常ポリウレタンフォームを製造する際と同様の
方法により、例えば、高圧発泡機で混合する等により発
泡原料成分混合物を作製し、得られた発泡原料成分混合
物について発泡成形を行う。
【0034】本発明の製造方法における前記発泡成形の
方法は、圧縮成形であり、具体的には上述の(A)〜
(C)工程を含む方法である。
【0035】即ち、(A)工程は発泡原料成分を混合
し、該発泡原料成分混合物を成形すべき空所に注入し、
自由発泡させる工程であり、(B)工程は前記(A)工
程の自由発泡過程の自由発泡物をそのゲルタイムの前に
圧縮する第1の圧縮する工程であり、(C)工程は前記
(B)工程で得られた圧縮物をそのガス抜け直後に圧縮
する第2の圧縮工程である。
【0036】本発明における「空所」としては、通常の
ポリウレタンフォームの発泡成形に用いられるのと同様
の型等が用いられるが、続く(B)及び(C)工程にお
ける圧縮ができる構造の型であるのが好ましく、具体的
には、例えば、上型と下型からなる金型、樹脂型等が挙
げられる。
【0037】上記(B)および(C)工程の圧縮工程に
おける圧縮の度合いとして、具体的には、(B)工程に
おける第1の圧縮については、これにより得られる圧縮
物の体積が、(A)工程で圧縮せず自由発泡させた場合
の体積の40〜80%程度、より好ましくは40〜60
%程度となるような圧縮度合いが挙げられる。ここで述
べる「(A)工程で圧縮せずに自由発泡させた場合の体
積」とは、例えば、発泡原料成分混合物を上面が開放し
た容器に入れて自由発泡させた場合に、上面を開放した
まま、つまり上面を拘束しない状態で、前記発泡原料成
分混合物をライズタイムまで自由発泡させた後、硬化し
て得られる発泡体の体積を意味する。
【0038】また、(C)工程における第2の圧縮の度
合いとして、これにより得られる圧縮物、つまり本発明
における連続気泡硬質ポリウレタンフォーム成形体の体
積が、具体的には、(A)工程で圧縮せずに自由発泡さ
せた場合の体積の10〜30%程度となるような圧縮度
合いが好ましく、さらに好ましくは20〜30%程度と
なるような圧縮度合いである。上記(C)工程における
第2の圧縮は、ライズタイム前であれば良いが、特にガ
ス抜け直後に行われることが、連通度が良好となること
からより好ましい。
【0039】(B)工程における第1の圧縮工程におけ
る圧縮は、(A)工程で圧縮せず自由発泡させた場合の
体積の40〜80%程度とすることをいう。例えば、ゲ
ルタイムの前に、発泡によって膨張した自由発泡物を
(A)工程で圧縮せず自由発泡させた場合の体積の40
〜80%程度となるように押し込むなどして行われる圧
縮する方法や、予め設定した位置で金型等を固定してお
き、自由発泡物が発泡により膨張するのを抑えて、
(A)工程で圧縮せず自由発泡させた場合の体積の40
〜80%程度とするように拘束する方法が挙げられる。
本発明においては、第1の圧縮工程における圧縮は、自
由発泡物の膨張を拘束することによって行われることが
好ましい。
【0040】また、上記(B)工程における第1の圧縮
および(C)工程における第2の圧縮は、それぞれ1回
の圧縮操作により完全に行うことも、あるいは、数回の
圧縮操作に分けて行うことも可能である。また、第2の
圧縮は、第1の圧縮と同一方向に行われることが、気泡
を「繊維積層状」とし易い点で好ましい。
【0041】この様にして製造することにより得られる
本発明の連続気泡硬質ポリウレタンフォーム成形体にお
いては、気泡は成形体の内側部分からスキン層部分まで
の全体にわたって押しつぶされた形状となり、樹脂構造
は、例えば、不織布を積層したような「繊維積層状」で
ある。
【0042】(C)工程の第2の圧縮は、ゲル化が進行
し、樹脂強度も発現し、また、圧縮により表層部から内
部まで密度の均一化が図られている状態で、ガス抜け直
後に行われるため、この際のクラッシング効果によりス
キン層まで気泡を完全に破泡させ、連通化することがで
きる。すなわち、上記タイミングで多段で圧縮成形する
ことによりスキン層を含んだ状態で連通度が99%以上
の成形物を得ることができるのである。
【0043】なお、本明細書に用いる、「ゲルタイ
ム」、「ガス抜け」、「ライズタイム」の用語は、それ
ぞれ以下の様に定義される。即ち、発泡中のフォームに
ガラス棒等を突き刺し引き上げたときに糸を引き始める
時間を「ゲルタイム」、発泡中のフォーム表面からガス
が吐出する現象を「ガス抜け」、発泡が終了する時間、
つまりフォームの膨張が停止する時間を「ライズタイ
ム」という。また、発泡成形において発泡原料を混合し
た後、液状の混合物が発泡を始める時間を「クリームタ
イム」という。
【0044】図8に、本発明におけるウレタンフォーム
のライズカーブ(ウレタンフォームの発泡過程を横軸に
時間、縦軸にフォーム高さ(発泡した高さ)であらわし
たもの)の一例を示す。
【0045】上記圧縮成形の方法としては、従来のバッ
チ方式やダブルコンベアによる連続方式等を採ることが
できる。バッチ方式で成形する方法としては、上型によ
り金型が閉じられている状態、もしくは上型が型全体の
上方に位置した状態で、混合された連続気泡ポリウレタ
ンフォーム原料の混合物を注入し、必要があれば所定の
位置まで上型を移動させるクローズド注入方式、および
上型が型全体の上方に位置しないあるいは上方からの注
入の妨げにならないように十分に上型を引き上げた状態
で該混合物を型内に注入し、その後所定の位置まで上型
を移動させるオープン注入方式の2つの方法がある。均
一で安定した性能を持つ連続気泡硬質ポリウレタンフォ
ーム成形体を得るためには、混合した発泡原料成分をゲ
ルタイム前に型内に均一に拡げることが望ましい。
【0046】クローズド注入方式の場合は、一点注入方
式、多点注入方式等が挙げられるが、発泡原料成分混合
物を少なくとも2つ以上の注入口より注入する多点注入
方式を用いることが好ましい。具体的には、図6に示さ
れるが、2つ以上の注入ヘッド10により発泡原料成分
混合物を注入するクローズド多点注入方式が挙げられ
る。
【0047】オープン注入式の場合は、固定注入方式、
トラバース注入方式等が挙げられるが、公知のトラバー
ス装置を用いて発泡原料成分混合物を型内に注入するト
ラバース注入方式が好ましい。具体的には、図7に示さ
れるが、トラバース可能な注入ヘッド10を有するトラ
バース装置(図示さず)により発泡原料成分混合物を注
入するトラバース注入方式が挙げられる。この場合、図
7に示すようにトラバース可能な注入ヘッド10を2つ
以上用いると、ゲルタイム前に素早く型内に均一に拡げ
ることができることからさらに好ましい。
【0048】このようにすることにより、ゲルタイム前
に混合された発泡原料成分を注入し型内に均一に拡げる
ことができるので、均一で安定した性能を有する連続気
泡硬質ポリウレタンフォーム成形体を得ることができ
る。
【0049】上記工程(A)〜(C)を含む成形方法を
図1(1)〜(3)に示す工程図に基づいて、図3
(1)、(2)に示す自由発泡体の製造工程図と比較し
ながら、より詳細に説明する。
【0050】図1(1)および図1(2)は上記工程
(A)を示す図であり、図1(1)は金型の上型2と下
型3で形成された空所内に上記で説明した各原料成分を
十分混合することで得られる発泡原料成分混合物4が注
入された状態を、図1(2)は(1)で注入された発泡
原料成分混合物4が自由発泡し上型2と下型3で形成さ
れた空所内に自由発泡物5が形成されている状態を示
す。また、図1(1)の上型2は、上記工程(B)にお
ける第1の圧縮が、自由発泡物の膨張を拘束することに
よって行われるために、予め所定の位置に固定した状態
を表している。ここで、用いる金型の材質や形状は適宜
選択される。また、金型は必要に応じて加温されてもよ
い。
【0051】これと比較して、自由発泡体の製造工程を
示す図3では、図3(1)において、金型として下型3
のみを用い、その下型3に上記同様の発泡原料成分混合
物4が上記図1(1)の場合と同量注入されている。ま
た、図3(2)は、図3(1)で注入された発泡原料成
分混合物が何の拘束も受けずにライズタイムまで自由に
発泡し、さらにそのまま下型3内で硬化した状態を示す
ものであり、Xはこれにより得られた発泡体を示す。
【0052】図1(3)は、上記工程(B)を示す図で
あり、自由発泡物が発泡によって膨張する前に上型2を
所定の位置に固定しておくことにより、自由発泡物の膨
張を拘束(第1の圧縮)して、圧縮物6が得られた状態
を示す。自由発泡物の膨張を拘束するには、上型2を所
定の位置に固定することによって行われ、得られる圧縮
物6の体積が、図3(2)に示される圧縮せずに自由発
泡させた発泡体Xの体積の40〜80%となるように行
われることが好ましい。自由発泡物の膨張が上型等によ
って拘束される時期は、(A)工程で得られた自由発泡
物のゲルタイムの前である。ゲルタイムの約5〜10秒
前が好ましく挙げられる。なお、ゲルタイム及び得られ
る自然発泡物の体積は発泡原料の種類や金型温度等によ
り異なるので、製造条件と同様の条件で予備試験を行う
等により予め測定しておくとよい。
【0053】また、図1(4)は、上記工程(C)を示
す図であり、プレス1でさらに上型2を押し込み、圧縮
物6を圧縮(第2の圧縮)して、連続気泡硬質ポリウレ
タンフォーム7が得られた状態を示す。(C)工程にお
ける第2の圧縮は、得られる圧縮物の体積が、図3
(2)に示される自由発泡させた発泡体Xの体積の10
〜30%となるように行われることが好ましい。プレス
1で前記第2の圧縮を行う時期は、ライズタイムの前で
あれば、特に制限されないが、好ましい時期として、ガ
ス抜け直後が挙げられる。ガス抜けの時間およびライズ
タイムについても、上記ゲルタイムと同様、予備試験等
により予め測定しておくとよい。
【0054】上記(B)工程における第1の圧縮が、ゲ
ルタイムの前に、発泡によって膨張した自由発泡物を
(A)工程で圧縮せず自由発泡させた場合の体積の40
〜80%程度となるように押し込むなどして行われる圧
縮することにより行われる場合の発泡成形は、図2に示
すが、具体的には以下の通りである。
【0055】図2(1)および図2(2)は、上記工程
(A)を示す図であり、図2(1)は、金型の上型2と
下型3で形成された空所内に、上記で説明した各原料成
分を十分混合することで得られる発泡原料成分混合物4
が注入された状態を、図2(2)は、(1)で注入され
た発泡原料成分混合物が自由発泡し、上型2と下型3で
形成された空所内に自由発泡物5が充填された状態をそ
れぞれ示す。ここで、用いる金型の材質や形状は適宜選
択される。また、金型は必要に応じて加温されてもよ
い。
【0056】図2(3)は、上記工程(B)を示す図で
あり、膨張した自由発泡物を、(A)工程で圧縮せず自
由発泡させた場合の体積の好ましくは40〜80%程度
となるようにプレス1で上型2を徐々に押し込み、上記
自由発泡物5を圧縮(第1の圧縮)して圧縮物6が得ら
れた状態を示す。上記プレス1を用いた第1の圧縮は、
(A)工程で得られた自由発泡物のゲルタイムの前に行
われるものである。第1の圧縮を行う時期については、
前記自由発泡物のゲルタイム以前であれば、特に制限さ
れないが、好ましい時期として、ゲルタイムの約5〜1
0秒前が挙げられる。図2(4)は、上記図1(4)と
同様である。
【0057】図4は、本発明の製造方法で得られる連続
気泡硬質ポリウレタンフォーム成形体の一例を示す図で
あり、図4(a)は外観斜視図、図4(b)は断面図で
ある。図4に示される連続気泡硬質ポリウレタンフォー
ム成形体7は、表層部の密度が中心部の密度の約0.9
〜1.5倍である本発明の連続気泡硬質ポリウレタンフ
ォーム成形体である。図4(b)に示される連続気泡硬
質ポリウレタンフォーム成形体7の表面から内部に向か
って0.5mmまでの部分を構成する表層部7aと中心
部7bはともに連通度が99%以上であり、表層部7a
の密度は、中心部7bの密度の約0.9〜1.5倍であ
る。
【0058】本発明の製造方法においては、さらに上記
発泡成形により得られる発泡成形物に遠赤外線照射によ
るベーキング処理を施す工程を含むことが好ましい。
【0059】この遠赤外線照射によるベーキング処理に
おいては、発泡成形物の中心部から表層部までほぼ同じ
温度で遠赤外線によりベーキングすることが可能であ
り、この処理によって、ガスを長期的に発生せず、且つ
圧縮強度の大きな成形体を得ることが可能となる。これ
は、遠赤外線の持つ5〜20μmの波長域が、ポリウレ
タン樹脂の有する特性吸収と一致するため、互いの波長
作用により共鳴振動を発生させることと、内部発熱によ
り、成形体の中心部から表層部まで安定して直接作用し
て水や空気等の吸着ガスの逸散をより早く促進し、且つ
いわゆる熱硬化性樹脂によくみられるアフターキュアー
効果が従来の熱風乾燥炉に比べて大きく働いて気泡骨格
を構成する樹脂の強度を高めた結果と推定される。
【0060】上記本発明の製造方法により得られる連続
気泡硬質ポリウレタンフォーム成形体は、例えば、断熱
材として用いることが可能である。具体的には、断熱特
性を要する機器の壁内、例えば冷凍冷蔵機器等の外箱、
内箱で形成された壁内に直接収納する等して用いられう
る。
【0061】本発明の製造方法により得られる連続気泡
硬質ポリウレタンフォーム成形体は、強度に優れるとと
もに表面が平滑になるため、これを用いた断熱材も強度
に優れ、表面が平滑であるため外観が向上する等、高品
質化が可能となる。
【0062】本発明の真空断熱材の製造方法として、上
記製造方法で得られる連続気泡硬質ポリウレタンフォー
ム成形体をガスバリアー性フィルムよりなる容器内に成
形体全体が覆われるように挿入し、前記容器内部を減圧
した後、密封して真空断熱材とすることを特徴とする。
【0063】真空断熱材の製造方法に用いる容器の形状
は、特に制限されないが、様々な構造を有するガスバリ
アー性フィルムの真空成形時における耐性を考慮すると
袋状が好ましい。また、上記容器内部を減圧する条件と
して、133×10-1〜133×10-3Pa(1×10
-1〜1×10-3torr)程度が好ましく挙げられる。
ここで、「容器内部を減圧する」とは、具体的には、容
器内に挿入された上記連続気泡硬質ポリウレタンフォー
ム成形体内部の空隙部分および容器と前記成形体の間の
空隙部分の全てが減圧される様な減圧処理を行うことを
いう。
【0064】また、本発明に用いる容器を構成するガス
バリアー性フィルムとしては、真空断熱材用に通常用い
られるガスバリアー性フィルムと同様のものが特に制限
なく挙げられ、具体的には、金属−プラスチックラミネ
ートフィルムが挙げられる。より具体的には、ポリエチ
レンテレフタレートフィルム/アルミ箔/高密度ポリエ
チレンフィルムの3層構造のラミネートフィルムが挙げ
られる。この様な3層構造のラミネートフィルムを本発
明に用いる場合には、容器の内側が高密度ポリエチレン
フィルムとなるように構成される。
【0065】この様なフィルムには、アルミ箔の代替と
してステンレス箔を用いたものもあるが、これらは熱伝
導率が小さいのでヒートブリッジを避けるためにも有効
であり、ステンレス箔の薄膜化の生産技術が確立されれ
ば、さらに高性能の断熱性が期待できる。さらに、ポリ
エチレンテレフタレートフィルムや高密度ポリエチレン
フィルムの替わりにアクリロニトリルフィルムや、酢酸
ビニル共重合体フィルム等を用いることも可能である。
【0066】また、真空断熱材の製造方法において、減
圧後の容器の密封は、ガスバリアー性フィルムをヒート
シールする等の方法で行われるが、密封がヒートシール
で行われる場合にはヒートシール部分は高密度ポリエチ
レンフィルムで構成されることが好ましい。これは、高
密度ポリエチレンフィルムがアクリロニトリルフィルム
等より熱融着性に優れているので、密封後のガスバリヤ
ーに対する信頼性が高いことによる。
【0067】上記製造方法により得られる連続気泡硬質
ポリウレタンフォーム成形体を用いた真空断熱材は、コ
ア材として用いる連続気泡硬質ポリウレタンフォーム成
形体がスキン層を取り除くことなく作製されたものであ
るためコア材表面が平滑であることから、得られる製品
の外観がよくなる。また、前記コア材の作製時に用いる
金型にシボ模様等の加工を行えば、後加工なしで製品の
デザイン性を向上させることができる。さらに、必要に
応じて遠赤外線照射によるベーキング処理を施した上記
本発明の連続気泡硬質ポリウレタンフォーム成形体を用
いることにより、強度的に優れる等、高品質化が可能と
なり、冷凍冷蔵機器分野ばかりでなく、例えば、冷凍庫
用、貯蔵容器用、パイプカバー用、住宅用等の用途に広
く適用可能である。
【0068】本発明における連続気泡硬質ポリウレタン
フォーム成形体においては、その製造に用いられる発泡
原料成分混合物のNCO/OH当量比が約0.55〜
0.95であるので熱変形温度が低く、また、上述の通
り樹脂構造が繊維積層状であるので曲げヤング率が小さ
く、変形に対しても追随性がよいことから、例えば、前
記成形体を用いた板状の真空断熱材を80〜150℃で
数分間熱処理した後、円筒状等の曲率のある形状等、様
々な形状の真空断熱体に成形加工することもできる。
【0069】また、上述した発泡成形直後の連続気泡硬
質ポリウレタンフォーム成形体に、遠赤外線照射による
ベーキング処理を施した後、前記成形体をガスバリアー
性フィルムよりなる容器内に成形体全体が覆われるよう
に挿入し、容器内部を減圧した後、密封して真空断熱材
とする方法で得られる真空断熱材は、成形体がガスを長
期的に発生しないので、従来の連続気泡硬質ポリウレタ
ンフォーム成形体をコア材とする真空断熱材において必
要とされたガス吸着剤であるゲッター剤が不用となる。
もちろん、ベーキングが弱い条件(熱風乾燥機使用等)
で行われた連続気泡硬質ポリウレタンフォーム成形体を
用いる場合には、前記成形体から発生する吸着ガスや、
外部から侵入するガスに対してさらに安全性を高める等
の目的でゲッター剤を使用することも可能である。ま
た、この様な真空断熱材の製造方法においては、製造工
程を一貫した連続工程とすることが可能であり、生産効
率の点でも好ましい。
【0070】
【実施例】以下に、本発明の実施例を説明する。
【0071】
【実施例1、2】図1に示す製造工程に従って、本実施
例の連続気泡硬質ポリウレタンフォーム成形体を製造し
た。また、比較のために図3(1)、(2)に示す製造
工程に従って、圧縮を全く行わずに自由に発泡させた硬
質ポリウレタン自由発泡体を製造した。
【0072】図1(1)中に示される発泡原料成分混合
物4は、ポリオール成分として300mgKOH/gの
トリレンジアミン系ポリエーテルと450mgKOH/
gのシュクローズ系ポリエーテルと500mgKOH/
gのエチレンジアミン系ポリエーテルを5:3:2の割
合で混合したものを100質量部、発泡剤の水を6質量
部、整泡剤(日本ユニカー製の商品名「SZ−191
9」)を1.0質量部、触媒として花王製の商品名「カ
オーライザーNo.31」を0.5質量部、連通剤とし
てステアリン酸バリウムを4質量部、及びイソシアネー
ト成分として住友バイエル社製の商品名「C−MDI
44V−20」を151質量部(NCO/OH当量比
0.8;実施例1)または170質量部(NCO/OH
当量比0.9;実施例2)の割合で高圧発泡機を用いて
混合、吐出(注入)したものである。
【0073】まず、図3に示すように、アルミ製金型の
上型2(図には示されていない)を充分引き上げた状態
で、下型3内に実施例1または2で用いるのと同様の発
泡原料成分混合物4を注入した。注入はトラバース注入
方式により行った。具体的には、図7に示すように、吐
出量18kg/分(0.3kg/秒)の高圧発泡用ヘッ
ドを3台使用して、0.6m/秒の速度で型の端から端
までトラバースさせ、型寸法650×1250mmの金
型内に原料を注入した。
【0074】吐出時間は2.0秒で、吐出量(注入量)
は(0.3kg/秒)×(3ヘッド)×(2.0秒)=
1.8kgであった。
【0075】次いで、自由発泡させ、ゲルタイムタイ
ム、ガス抜けの時間、およびライズタイムを測定すると
共に、完全に硬化させて、硬質ポリウレタン自由発泡体
Xを得た(図3(2)参照)。なお、得られた自由発泡
体Xの密度は、実施例1の発泡原料成分混合物を用いた
場合および実施例2の発泡原料成分混合物を用いた場合
のいずれの場合も25kg/m3であった。
【0076】図1(1)において、アルミ製金型の上型
2と下型3で形成された空所内に上記発泡原料成分混合
物4を上記と同様に注入する。注入後に上型2を、体積
が上記図3(2)に示されるように、圧縮せずに自由発
泡させた発泡体Xの体積の60%であるように固定し
た。
【0077】図1(2)において、図1(1)で注入さ
れた発泡原料成分混合物を上型2と下型3で形成された
空所内で自由発泡させた、ゲルタイムの前の自由発泡物
5を示す。自由発泡物5は自由発泡させると上型2に接
触するが、さらに発泡を続けると図1(3)に示すよう
に自由発泡物5は発泡を抑制され((B)工程)、発泡
体Xの体積の60%である圧縮物6が得られる。自由発
泡物5が上型2に接触する時間つまり自由発泡物5が上
型2により拘束される時間は、ゲルタイムの5〜10秒
前になるようにしておく。その後ガス抜け直後に、図1
(4)に示すように、プレス1でさらに上型2を押し込
み圧縮物6を圧縮((C)工程)して、体積が上記図3
(2)に示される圧縮せずに自由発泡させた発泡体Xの
体積の25%である連続気泡硬質ポリウレタンフォーム
7を得た。なお、図1(1)、図1(2)の段階では、
型温を50〜55℃に調整した。
【0078】図4は脱型後の連続気泡硬質ポリウレタン
フォーム成形体7を示す図であり、図4(a)は外観斜
視図、図3(b)は断面図である。図4(b)に示され
る連続気泡硬質ポリウレタンフォーム成形体7の表面か
ら内部に向かって0.5mmまでの部分を構成する表層
部7aと中心部7bについて連続気泡率および密度の測
定を行った。結果を表1に示す。また、参考として上記
実施例1および実施例2において、拘束後に圧縮物6を
脱型し、その表面から内部に向かって0.5mmまでの
部分を構成する表層部とそれ以外の中心部について連続
気泡率の測定を行った結果を併せて表1に示す。
【0079】なお、連続気泡率は、前述のようにAST
M−D1940に基づいて独立気泡率(Cr)を測定
し、この値を100から減じることにより算出され、次
の判定基準により評価されたものである。 (判定基準) ○:連続気泡率99%以上 △:連続気泡率90%以上99%未満 ×:連続気泡率90%未満
【0080】
【表1】 この結果から、本発明の製造方法により、つまり発泡原
料成分混合物中のNCO/OH当量比を約0.55〜
0.95の範囲内として、硬質ポリウレタンフォームを
製造すれば、スキン層を残したままの状態で成形体全体
にわたっての連通度が99%以上である連続気泡硬質ポ
リウレタンフォーム成形体が得られることが明らかであ
る。なお、上記各実施例で得られた本発明の連続気泡硬
質ポリウレタンフォーム成形体はいずれも、成形体の表
面から内部に向かって0.5mmまでの部分を構成する
表層部の密度が、成形体の前記表層部を除いた中心部の
密度の約0.9〜1.5倍であり、前記表層部と中心部
の連通度がともに99%以上である連続気泡硬質ポリウ
レタンフォーム成形体であることがわかる。
【0081】
【実施例3】上記実施例1と同様にして得られた連続気
泡硬質ポリウレタンフォーム成形体について、金型より
脱型して1日放置した後、130〜150℃の遠赤外線
放射炉に入れて0.5時間のベーキング処理を行ったも
の(実施例3)について、ゲッター剤を以得れた真空断
熱材をそれぞれ製造した。なお、ゲッター剤としては、
サエス・ゲッタージャパン製のCOMBOGETTER
(商品名)を真空断熱材1個当たり10g用いた。ま
た、上記コア材の寸法はいずれも、200mm×200
mm×15mmであった。
【0082】得られた真空断熱材について熱伝導率の経
時変化を調べた。結果を表2に示す。なお、熱伝導率
は、英弘精機(株)製の熱伝導率装置(商品名HC−0
74)を用いて、平均温度10℃で測定したものであ
る。
【0083】
【表2】 <真空包装の方法>成形品をガスバリアー性フィルムか
らなる袋で覆い、その内部を1.33Pa(0.01t
orr)まで減圧し、密封して図5に示す真空断熱材9
を得た。なお、ゲッター剤を入れる場合には、成形品を
袋で覆う際に成形品との袋の間に、ゲッター剤を10g
挿入した後に、上記同様に減圧、密封してゲッター剤入
り真空断熱材を得た。
【0084】図5において、袋8は、外側からポリエチ
レンテレフタレートフィルム、アルミ箔、高密度ポリエ
チレンフィルムの順にラミネート構成されている。袋の
代わりに真空成形からなる容器を用いることも可能であ
るが、容器の場合、真空成形時にアルミ箔が折れてガス
バリアー性が欠落する恐れがあるので、袋が好ましい。
【0085】この様に、断熱材や真空断熱材に本発明の
製造方法で得られる連続気泡ポリウレタンフォーム成形
体を用いると廃棄物の発生がなく、地球環境保全に有効
である。また、上記実施例の様に発泡剤として水を用い
れば、脱フロンを達成することができ、オゾン層保護、
地球温暖化防止等に貢献できる。
【0086】この様な真空断熱材を連続一貫生産方式に
より生産することにより、高品質、低コストが図られる
ことにより、省エネルギーでオゾン層保護、地球温暖化
防止等に有効な断熱材を安価に提供することが可能とな
り、社会に貢献することができるようになる。
【0087】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、独自の構造
を有し、表面の平滑性に優れた連続気泡硬質ポリウレタ
ンフォーム成形体が生産性よく製造でき、成形体の単位
体積当たりの材料コストが低いものを得ることができ
る。さらに、本発明の製造方法により得られる連続気泡
硬質ポリウレタンフォーム成形体を用いることで、生産
時の廃棄物の発生がなく、冷凍・冷蔵機器等の製品に用
いる際に外観が良く、品質の高い断熱材および真空断熱
材が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の連続気泡硬質ポリウレタンフォーム
成形体の製造方法における製造工程の一例を示す図であ
る。
【図2】 本発明の連続気泡硬質ポリウレタンフォーム
成形体の製造方法における製造工程の一例を示す図であ
る。
【図3】 連続気泡硬質ポリウレタンフォーム成形体の
発泡原料成分混合物を用いて圧縮なしに自由発泡体を製
造する工程を示す図である。
【図4】 本発明の製造方法により得られた連続気泡硬
質ポリウレタンフォーム成形体の一例を示す図である。
(a)は外観斜視図、(b)は断面図である。
【図5】 本発明の製造方法により得られた連続気泡硬
質ポリウレタンフォーム成形体を用いた真空断熱材の一
例の断面図を示す図である。
【図6】 本発明の製造方法に用いられるクローズド注
入式の一形態を示す図である。
【図7】 本発明の製造方法に用いられるオープン注入
式の一形態を示す図である。
【図8】 本発明における連続気泡硬質ポリウレタンフ
ォームのライズカーブの一例を示す。
【符号の説明】
1 プレス 2 上型 3 下型 4 発泡原料成分混合物 5 自由発泡物 6 圧縮物 7 連続気泡硬質ポリウレタンフォーム 7a 表層部(0.5mm厚) 7b 中心部 8 ガスバリアー性フィルム製の袋 9 真空断熱材 10 注入ヘッド X 圧縮せずに自由発泡させて得られた発泡体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中 礼司 東京都足立区西新井栄町1−18−1 日清 紡績株式会社東京工場内 Fターム(参考) 4F074 AA79 BA34 BB01 BC01 CA12 CA25 CC03Z DA02 DA13 DA32 4J034 DA01 DF01 DF02 DG02 DP18 DP19 HA01 HA02 HA06 HA07 JA01 LA24 NA03 QA03 QB16 QC02 QC10 RA19

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオール成分とイソシアネート成分と
    発泡剤を含有する発泡原料成分混合物を発泡成形するこ
    とによる、スキン層を残したままの状態で連通度が99
    %以上である連続気泡硬質ポリウレタンフォーム成形体
    の製造方法であって、 前記発泡原料成分混合物中のポリオール成分とイソシア
    ネート成分の含有割合がNCO/OHの当量比で約0.
    55〜0.95であり、発泡成形を行う手段が下記工程
    (A)〜(C)を含む製造方法: (A)発泡原料成分を混合し、該発泡原料成分混合物を
    成形すべき空所内に注入し、自由発泡させる工程、
    (B)前記(A)工程の自由発泡過程の自由発泡物をそ
    のゲルタイムの前に圧縮する第1の圧縮工程、(C)前
    記(B)工程で得られた圧縮物をそのガス抜け直後にさ
    らに圧縮する第2の圧縮工程。
  2. 【請求項2】 前記第1の圧縮工程における圧縮は、自
    由発泡物の膨張を拘束することによって行われる請求項
    1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 (B)の第1の圧縮工程における圧縮
    は、(A)工程の自由発泡過程の自由発泡物をそのゲル
    タイムの前に、(A)工程で圧縮せず自由発泡させた場
    合の体積の40〜80%になるまで圧縮することで行わ
    れ、(C)の第2の圧縮工程における圧縮が、(B)工
    程で得られた圧縮物をそのガス抜け直後に、さらに
    (A)工程で圧縮せず自由発泡させた場合の体積の10
    〜30%になるまで圧縮することで行われる請求項1ま
    たは2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 発泡剤が水である請求項1〜3のいずれ
    か一項に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記(A)工程の注入は、クローズド注
    入方式で行われる請求項1〜4のいずれか一項に記載の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 前記クローズド注入方式は、多点注入方
    式である請求項5に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記(A)工程の注入は、オープン注入
    方式で行われる請求項1〜4のいずれか一項に記載の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 前記オープン注入方式は、トラバース注
    入方式である請求項7に記載の製造方法。
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JP2011046038A (ja) * 2009-08-26 2011-03-10 Basf Inoacポリウレタン株式会社 ポリウレタンフォームの製造方法

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