JPH09286089A - 樹脂シート並びに真空断熱パネル及びその製造方法 - Google Patents
樹脂シート並びに真空断熱パネル及びその製造方法Info
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Abstract
少ない樹脂シートで真空断熱パネルとその樹脂シートを
得る。 【解決手段】 芯材36を覆う外郭用の樹脂シートによ
って内部を真空に保持してなる真空断熱パネルであっ
て、樹脂シートを中間に金属薄膜層29を配する下外郭
37及び上外郭38の多層シートで構成し、その成型品
の内側に芯材36を充填し真空雰囲気下で芯材36の投
入口を熱シール時又は熱シール後に、加熱処理してなる
ものである。
Description
部としてに断熱を目的に配設して用いる真空断熱パネル
及びその製造方法に関するものであり、詳しくは真空断
熱パネルの外郭を形成する樹脂シート、それを用いた外
郭の成型及びその成型品に使用する真空断熱パネルの製
造方法に関するものである。
破壊防止をはじめとするいわゆる地球環境保護が強く要
請されているが、これを目的として使用された発泡断熱
材に用いる発泡剤の脱塩素化代替物質によってもたらさ
れる断熱性能の悪化を防止し、かつ省電力化が推進され
た断熱材の開発が各方面で進行中である。そして、これ
と共に、それ自体が環境破壊の促進や有害性を有するこ
ともない上にリサイクルも容易に行えるという利点を有
する真空断熱パネルを、冷蔵庫等の断熱材に適用するこ
とが必要になってきている。
9に示す真空断熱パネルの使用例図に従って説明する。
意匠性を有する冷蔵庫の外郭には、それを構成する複合
金属板からなるラミネート鋼板の折り曲げ加工で作られ
た外箱1とABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン
・スチレン共重合体)等のスチレン系樹脂を真空成形等
によって形成した樹脂成型品である内箱2との間隙に、
補助的な断熱材である発泡ウレタン3と主たる断熱作用
を受け持つ真空断熱パネル4が配設されている。真空断
熱パネル4は外箱1の主として平坦部に接着剤5を介し
て固定され、更に内箱2との固定を発泡ウレタン3を用
いて内箱2の複雑な形状を賦型しながら壁内に残った空
間に充填すると共に接着させることによって、構造体と
してのサンドイッチ構造を確保している。
詳細を示す図10の構成を有している。この真空断熱パ
ネル4の製造方法を、図2を参照しながら、図11のフ
ロー図に示す。図10において、まず繊維や熱伝導性の
小さい粒子の集合物又は連続気泡を有する発泡体等の多
孔質な構造を有する芯材6を箱状の下外郭7(図10で
は上側に図示の凹状体)の空間部に投入・充填する。次
いで、優れた断熱性を発現させるために、内部を排気し
て高真空状態を確保した後、予め被せていた上外郭8の
周囲を熱シールして外気の侵入を防止する。このように
して、発生した大気圧による圧縮力を芯材6が受けとめ
て変形を防ぎ、真空断熱パネル4の形状の維持を図って
いる。
からのガス侵入を遮断又は抑制して断熱性を維持する目
的のために、下外郭7と上外郭8は多層膜としてそれぞ
れ中間層に金属薄膜層9,9aを挿入して併用すること
もあり、さらに挿入口を完全に封止するために優れた溶
着性を有する材料が内部層10,10aに用いられ、例
えば冷蔵庫の箱体では壁の曲げ強度を確保する為に発泡
ウレタン3との接着を安定して確保できる材料を表面層
11,11aに用いている。このように、全ての項目を
満足する特性を得るために、異なった材料の膜を積層し
たものとし、例えば3層以上の多層シート12が下外郭
7と上外郭8を構成する外殻用の樹脂シートとして用い
られている。
内部層10,10aには、一般にフタル酸系及び/又は
テレフタル酸系のポリエステル樹脂が用いられており、
これによって挿入口を熱シールして密閉し、外部からの
ガスの侵入を防止するのに充分な接着性を安定して確保
している。しかし、これらポリエステル樹脂は柔らかく
て傷が入りやすい上に、空気等の気体透過率が高く、金
属薄膜層9,9aにピンホール等の欠陥が存在すること
を考慮すると、できるだけ気体透過率が低い樹脂を用い
て多層化した多層シートとすることが必要である。
一般に結晶性樹脂であることから、多層シートを箱状の
成型品等に成形する際、延伸時のシート間にかかるせん
断応力によって他の樹脂層や金属薄膜層と剥離し易く、
その結果として多層シートの気体透過抑制に支障を来し
たり、さらにはピンホールやクラックなどの欠陥を発生
するという問題もあった。
する製品の壁の面材や冷蔵庫ではもう一方の断熱材であ
る発泡ウレタン等と接する表面材や芯材と接する内層材
に用いれば、芯材や製品の壁材と接着し難いことから、
壁の曲げ強度を発現するためのサンドイッチ構造が確保
できず、発泡ウレタンのみを断熱材とした壁と比較し
て、主として強度の面で劣っていた。
は、芯材を覆う外郭用シートによって内部を真空に保持
してなる真空断熱パネル用の樹脂シートであって、前記
外郭用シートの成型品を構成する材料を非晶性ポリエチ
レンテレフタレートとしたものである。
材を覆う外郭用の樹脂シートによって内部を真空に保持
してなる真空断熱パネルであって、樹脂シートを単層シ
ート又は多層シートで構成し、その成型品に芯材を充填
し真空雰囲気下で芯材の投入口を熱シール時又は熱シー
ル後に、加熱処理してなるものである。
方法は、少なくとも1層が非晶性ポリエチレンテレフタ
レートで構成される樹脂シートの成形品に断熱性の芯材
を充填した後、真空雰囲気中でシールして得られた真空
断熱パネルをその形成後に加熱処理する工程を有するも
のである。
脂であってポリエチレンテレフタレート(以下PETと
いう)が持っている結晶構造をつぶし易くしたことによ
って、結晶構造を殆ど持たなくし、従ってPETの機械
的および化学的特性を維持しつつもPETの欠点である
柔軟性と接着性に優れている非晶性ポリエチレンテレフ
タレート(以下、A−PETとよぶ)を真空断熱パネル
を構成する外郭に、成型品として適用することを骨子と
している。
効果を、幾つかの実施例に基づき具体的に説明する。さ
らに、真空断熱パネルの外郭として必要な外周シールの
接着性、表面硬度、冷熱繰り返し試験における中間層と
の剥離、さらに芯材との溶着性について調べた結果を、
本発明による真空断熱パネルの構成と共に説明する。図
1は本発明による真空断熱パネルを示す断面説明図であ
り、図2は樹脂シート作成用の多層シート形成装置、図
3は真空シール装置である。
1において、A−PETを内部層30,30aと外部層
31,31aとに用い、アルミニウム(以下アルミとい
う)等の金属箔14を中間層として金属薄膜層29,2
9aに用いた多層シート32を図2に示した多層シート
形成装置を用いて真空断熱パネル22を得た。ここで用
いたPET樹脂は三菱化学KK製のNOVAPEX−G
S400であり、金属箔14とラミネートする迄に1.
1〜2. 5倍の延伸をかけながら、内部層30,30a
を50μm、金属薄膜層29,29aを10μm、外部
層31,31aを30μmの各厚さになるように多層シ
ート32(樹脂シート)を成形した。
断熱パネルを形成すれば、折りじわが発生して、鋭角に
折られた部分に亀裂や穴等の欠陥が発生し、外気の侵入
(リークともいう)を来すこととなるので、多層シート
32を真空成型機を用いて図5に示す凹型の断面形状
で、大きさが300mm×300mm×20mm(t)の内寸
を有する箱形の下外郭に成形した。これに大きなブロッ
ク状に発泡した連続気泡を有する発泡ウレタンを、箱形
成型品の内寸と同形状に裁断したボード状加工品を芯材
36として充填した後、真空成形に用いた3層シートの
上外郭38を重ね合わせ、その端面を図3に示す装置を
用いて165℃のシート温度の真空状態下で加圧、溶着
して真空断熱パネル22を作成した。
に示すような多層シート形成装置を用いて、A−PET
を押出し成形機13,13aにより内部層30と表面層
31となるA−PETシートを中間層の金属薄膜層2
9,29aとなるアルミ等の金属箔14を挟み込みなが
ら圧着用ロール15でラミネートした後、A−PETの
非晶性を確保して熱シールを確実なものとし得る溶着性
を得るために、内部層30,30a側に20〜50℃に
温調した冷却用ロール16を用いて急冷した三層の多層
シート32を作製する。なお、図2では三層の多層シー
トの場合を示したが、三層以上の多層シートも同様方法
で適用できる。
そのまま平板状の上外郭38として用い、さらに真空成
形等によって箱状、あるいはブロー成型等によって袋状
に成形したものを下外郭37として用いる。これに、芯
材36を投入した後、図3に示すようなシート加熱機構
17,17aと端部をシールする為のシール用加圧機構
18,18aとを具備した真空シール装置19を用いて
真空状態を確保しながら周囲の端部を熱シールして、図
1に示す真空断熱パネル22を得る。この場合、外郭周
囲の端部に対する熱シールは、埋め込まれたヒータ23
で温度調整が可能な機構を有する加圧バー20,20a
を合板状態のパネルの端部に押し当てて熱シールを行う
ことで達成される。
22内に侵入(漏洩)することの抑制効果を向上させる
には、A−PETを加熱処理することにより容易に樹脂
の結晶構造を増加させてその目的を達成できる。その効
率的な方法として、多層シート32の全面にわたって加
熱ヒータ17,17aによる均一な加熱を行い、その温
度が融点近傍に到達後、外周部分をエアー駆動のシール
用加圧機構(プレス)18で加圧してヒータ23で個別
に温度調整が可能な加圧バー20,20aを用いて熱シ
ールしてもよい。
って外気の流入による冷却を行えば、芯材36に樹脂シ
ートが押し付けらる際に芯材36と下外郭37及び上外
郭38とが接着してサンドイッチ構造体を形成し、曲げ
強度に優れた真空断熱パネル22が得られる効果もある
ことも見出している。
の適用は、非晶性樹脂特有の溶着が可能で熱シール性に
優れ、高い引張り伸び率と耐薬品性を有している上に、
熱処理を行えば容易に結晶化度が上昇して、PET(こ
れをC−PETということもある)と同等にまで耐熱性
(熱変形温度)と剛性や硬度等の機械的特性の向上が図
れることに加え、気体の透過率も低減して外気の侵入を
高度に抑制できて、断熱性の低下を防止できる効果を利
用したものとなっている。
との接着性が高い接着強度を維持して容易に剥がれるこ
とがない利点は、樹脂シートの伸び率が極めて高いため
に真空成型時の引張りにおける内部歪みを残存させるこ
とが少ないことにもよる。さらに、このことは下外郭3
7と上外郭38の外周のシール等における再度の加熱や
除冷時に変形や剥離が発生することもない効果を示すも
のである。
断熱パネルの接着強度、表面硬度、冷熱繰り返し試験及
び芯材との溶着性評価試験を行った結果について説明す
る。 [試験1;接着強度]まず、真空成形した真空断熱パネ
ルにおける外郭周辺部の剥離に対する耐性として、接着
強度を調べた。図6に示すように、A−PETを用いて
作った真空断熱パネル22から、幅25mmで、端部を中
心に上下の各外郭から50mmを切り取って採取した短冊
状の接着強度用試験片23を実施例1の試料として用い
引っ張り試験機による引っ張りでの破断強度を測定し
た。破断時の強度がシート単体での破断強度である8kg
以上で破断した場合には◎、8kg以下でも溶着部外で破
断した場合には△、溶着部で破断した場合は×と評価し
た。
ける擦れや引っかき等によるきず発生に対する耐性を評
価するため、表面硬度を調べた。試料の接着硬度用試験
片24は、図6に示す採取位置から150mm×150mm
の大きさに切り取り、JIS・K- 5401に基づく鉛
筆硬度法による表面硬さを調べ、2H以上を○、HB以
上を△、それ以下を×と評価した。
用した場合に、運転時に外箱1に配設したコンデンサー
パイプ(図示せず)からの放熱による温度上昇の繰り返
し等で発生する剥離による浮きやクラック発生等の外観
異常の促進試験として行った。真空断熱パネル22を、
−30℃と60℃の環境試験槽内に各々2hr以上放置
した後、もう一方の部屋に30秒以内に移動させる「繰
り返し熱衝撃試験」を行い、多層シート32のクラック
と浮きの発生状況を調べた。クラックが全く発生しなか
ったものを○、スジ状の白化を確認したが割れに至って
いないものを△、割れが確認できたものを×として評価
した。また、浮きが全く発生しなかったものを○、8カ
所の各角部にのみわずかに確認したものを△、表面部に
部分的にでも発生したものを×として評価した。
断熱パネルにおける芯材36との剥離に対する耐性とし
て、接着強度を調べた。図6に示すように、A−PET
を用いて作った真空断熱パネル22から、幅25mm、長
さ150mmで切れ目を入れた後、端部から25mmを強制
的に剥離させた短冊状試料の溶着性評価用試験片25の
端部を実施例1の試料とし、引っ張り試験機を用いて試
料と直角を維持しながら引っ張った時に発現する剥離強
度を測定した。剥離強度が0. 2kg以上の場合には○、
0. 2kg以下の場合は×と評価した。
タル酸とエチレングリコールからなるC−PETの樹脂
シートを用いて作成した同様の多層シート(図示せず)
を比較例1−1、テレフタル酸およびイソフタル酸とエ
チレングリコールのポリエステル共重合体(モル比=8
0:20)の同様試料を比較例1−2とし、試験1〜4
を各々行った。なお、本発明のA−PETを用いた多層
シート32による真空断熱パネル22の外郭の端部のみ
を加熱して熱シールして、多層シート32に加熱処理を
行わないものについては参考例として示した。以上の各
試験結果を表1に示す。
の試料は全ての試験項目に対して、一様に良好な特性を
示した。これに対して、比較例1−1に示した従来材の
一つであるC−PETは接着性に極めて劣り、溶着も不
可であった。また、比較例1−2であるポリエステル樹
脂でも端部や芯材との溶着に劣るものの全く不可な状態
ではない結果を示した。しかし比較例1−2は、繰り返
し冷熱下におけるクラック発生や表面硬度に関し、冷蔵
庫の断熱層を形成するための各種製造工程における外郭
を構成するための材料としての信頼性に劣ることは明白
である。
明による多層シートを用いた真空断熱パネルを応用して
冷蔵庫の断熱箱体の外箱を形成し、その適性について各
種品質評価を行った。A−PETを内部層30,30a
と外部層31,31aに用い、アルミ箔を中間層に用い
た多層シート32を図2に示した方法で外箱1を形成し
た。ここで用いたPET樹脂は三菱化学KK社製のNO
VAPEX−GS400であり、アルミ箔とラミネート
する迄に1. 1〜2. 5倍の延伸をかけながら、内部層
を50μm、中間層の金属箔14を10μm、外部層を
30μmの各厚さになるように成形した。これを図3の
真空シール装置19を用いて、図5に示す形状で大きさ
が500mm×300mm×20mm(t)の内寸を有する箱
形に成形し、これに芯材36に連通気泡を有する発泡ウ
レタンを充填した後、この上に真空成形に用いた3層シ
ートを重ね合わせた端面を図3に示す装置を用いて16
5℃のシート温度の真空状態下で加圧・溶着して図6に
示す真空断熱パネル22を作成した。
図7に示す位置にウレタン系接着剤を用いて接着固定
し、ABS樹脂製の内箱2を外箱に嵌合した後、残った
空隙に発泡ウレタンを充填することによって、断熱箱体
39を実施例2の試料として作製した。従って、得られ
た断熱箱体39の断面は、図4に示すような構造を有す
ることとなる。用いた冷蔵庫は、三菱電機KKの内容積
が120Lの小型冷凍冷蔵庫である「MR−12」で、
試験用に用意した冷蔵庫の数は3である。
熱箱体39を、−30℃と60℃の環境試験室内で各々
2hr以上放置した後、もう一方の部屋に30秒以内に
移動させる「繰り返し熱衝撃試験」を行い、外箱表面か
ら芯材及び外箱との固定に用いた接着剤と実施例2及び
比較例2(後述)に用いた多層シート32との剥離を、
断熱箱体を解体して確認した。多層シートが起因する剥
離については、真空断熱パネル22の表面が界面部分で
剥離しているか、隣接する材料である接着剤または発泡
ウレタンが付着した凝集状態で剥離しているかによって
評価した。すべての表面が凝集状態で剥離したものを
◎、真空パネルの側面のみが界面剥離したものを○、真
空パネルの表面部が界面剥離したものを×として評価し
た。
を表層に20μm、PVC−PVAc共重合体が20μ
mの厚さである二層シートをイソフタル酸系−テレフタ
ル酸系エステル共重合樹脂である接着剤を介し、アルミ
箔を中間に配設したラミネートした多層シートを用いて
真空断熱パネル(図示せず)を作製した。この真空断熱
パネルを用いて、図7の位置に配設した冷蔵庫断熱箱体
を成形し、これを比較例2として同様評価を実施した。
以上の各試験結果を表2に示した。
Tを多層シートの外側層に用いて作成した真空断熱パネ
ル22を冷蔵庫の外箱1の固定に用いて形成した断熱箱
体39の実施例2の試料は、接着剤とその反対面を固定
した発泡ウレタンとの剥離による浮きが非常に少なく、
従来品の比較例2との比較においても優れている。
断熱パネルの外郭面とシール部分となる端部から漏洩し
て侵入する外気によって真空度が低下することによる断
熱性能の経時変化を調べた。この試験のために、図8に
示す形状の真空断熱パネル22aを作成した。その形成
方法を以下に示す。A−PETを扁平ダイスを有する押
し出し機を用いて押し出した後に空気を内部に吹き込む
こと( ブロー) によって風船状のパリソン(:ブロー成
形に使用される管状の定形プラスチック形材)を作り、
次いで金型内にパリソンを送り込んで二回目のブローを
行うことによって成型品を得る宇部興産KK社製のダブ
ルブロー成型機の「B80/132R」型機を用いて、図8のよ
うな袋状の外郭26用の成型品を得た。ここで用いたP
ET樹脂は三菱化学KK社製のNOVAPEX−GS4
00である。真空断熱パネル22aは、この外郭用成型
品に大きなブロック状に発泡した連続気泡を有する発泡
ウレタンを裁断して得た板状の芯材36を挿入、その端
面を図3に示す真空シール装置19を用いて真空度を
0. 01±0. 002mmHgに調整した真空状態下で加
圧、溶着して実施例3の試料を作成した。
抑制に関する特性のみを把握するために、アルミ等の金
属箔14を介在させた多層シートを用いずに、実施例3
の試料の外郭26は、厚さ50μmのA−PETのみの
単層シートを用いた。真空断熱パネルの外郭は端部のみ
を加熱して熱シールし、シートへの加熱処理を100℃
で10分のガラス転移点以上の低温域での加熱の後に、
150℃で25分の溶融温度以下での高温域での加熱を
行った。なお、シートに加熱処理を行わないものについ
ては参考例として示した。
の真空断熱パネル22aを冷蔵庫外箱の最大到達温度で
ある50℃の恒温下で、大気中と発泡剤であるHCFC
141b(1,1 −ジクロロ−1−フルオロエタン)の雰
囲気中に放置して、10日後と30日後との熱伝導率の
変化量をそれぞれ調べた。熱伝導率は栄弘精機KK社製
のオートラムダ測定装置を用いて測定した。
的な多層シートで、C−PETを表層に20μm、PV
C−PVAc共重合体を20μmの厚さとする二層シー
トに、10μm厚さのイソフタル酸系−テレフタル酸系
エステル共重合樹脂である接着層をさらに積層した3層
シート(図示せず)を用い、図8と同様の真空断熱パネ
ルの比較例3試料を作製した。以上の試料による各試験
結果を表3及び表4に示した。
用いた参考例では、表4に示す酸素の透過と水分の透過
(透湿度)の結果でも分かるように、気体の透過速度が
PETよりも早い、つまり外気が侵入して真空度が低下
し易いにもかかわらず大気中とHCFC-141b 雰囲気中の何
れの場合であっても、断熱性能の低下が小さいような、
つまり外気の侵入が少ない結果を有している。このこと
はシールした端部の欠陥が少なくて、熱シールが良好に
なされたことを示すものである。そして、A−PETに
熱処理を施した外郭を用いた実施例3の場合には、経時
変化が比較例3及び参考例の何れよりも、空気や発泡剤
であるHCFC−141b雰囲気中の何れであっても、明らかに
外気の侵入を抑制して断熱性能を安定維持できる効果に
優れていることが分かる。
なように、本発明による樹脂シートのA−PETシート
は、接着剤との接着性や加工時の延伸性に優れた性能を
有している反面、これを加熱処理することによって剛性
や耐熱性の向上、さらには加工時に蓄積された残存歪み
を無くすることができる。これによって、従来の外郭材
に比較して、多層シート成形や溶着などの加工が容易性
であることに加え、成型品における多層シート間の剥離
や溶着部の外気侵入が可能な微小未溶着部等の欠陥の発
生がない等の信頼性に優れる製造方法と成型品を提供で
きる。
や溶着性に優れたA−PETを用いて真空断熱パネルの
外郭に用いる樹脂シートとその成型品を得て、さらに芯
材を内部に配設した後、この成型品端部を溶着すること
によって熱シールを行い真空断熱パネルを作製する。こ
の熱シールの際に溶融に至らない温度以下で熱処理を行
うことによって、硬度の向上と空気の透過を抑制する特
性と芯材との接着によって外郭と芯材が一体化した高性
能の真空断熱パネルを提供することができる。
て分析すると、まず請求項1によれば、溶着が可能なA
−PETを用いることによって、従来の異なった特性を
有するシートを多層化をせずとも、空気や断熱材の発泡
剤等のガスを遮断する効果と芯材の挿入口を熱シールす
る機能を有する樹脂シートが得られるから、単一層であ
っても真空保持に対する高い信頼性が確保できる。
別の優れた特性を有するシートを積層すれば、より高い
真空保持力を確保できる。この時、請求項4による押し
出し後に急冷した樹脂シートを用いれば、熱シールの容
易性とシート同士の密着性が向上する。
によれば、成型品を用いて簡易で所望する形状を確保で
き、これによって得た真空断熱パネルに熱処理を施せ
ば、表面の剛性が向上して、冷蔵庫等の断熱壁に配設す
る際の傷つきに対する抵抗が増す効果が得られる。そし
て、それらの熱処理は、請求項8、請求項9、請求項1
0及び請求項11によって達成できる。
A−PETシートの接着が好適に達成できるので、パネ
ル構造がサンドイッチ構造を形成して強度が向上する。
また、請求項10を用いれば、多数の熱処理を一度に行
うことができるので効率よく真空断熱パネルを製造でき
る。また、これら熱処理方法には請求項11の方法を用
いることによって、低温域での成型品における歪み取り
を行った後に高温域での結晶化促進が行えるので、多層
シートの剥離を抑制して浮きなどの欠陥の少ない外郭が
得られる。
以下に示す。請求項1によれば真空断熱パネルを容易に
製造できる。請求項2によればシール性が良好で、請求
項3を用いれば著しいガスの遮蔽効果が得られ、請求項
4は溶着力が向上させるのに有効である。請求項5によ
れば傷つきや薬品等によるクラック発生および断熱性能
の劣化が抑制でき、請求項6及び請求項7によれば折り
曲げによるクラック等の欠陥発生がなくなるとともに、
請求項7の真空断熱パネルによる袋状成型品では熱シー
ル部分が少なくてすむ。請求項8によれば外気との遮蔽
性が向上し、請求項9を用いれば強固なパネルが得られ
る。請求項10によれば効率よく製造でき、さらに、請
求項11によれば欠陥の少ない外郭が得られる。
ある。
図である。
示す概念図である。
の断面図である。
を示す概念図である。
を示す概念図である。
る。
合の断面図である。
る。
る。
ル、6,36 芯材、29,29a 金属薄膜層、3
0,30a 内部層、 31,31a 表面層、12,
32 多層シート、13 押し出し機、15 圧着ロー
ル、16 冷却用ロール、17 シート加熱装置、18
シール用加圧機構、19 真空シール装置、22 真
空断熱パネル、23 接着強度用試験片、24 表面硬
度用試験片、25 溶着性評価用試験片、26 外郭、
37 下外郭、38 上外郭。
Claims (11)
- 【請求項1】 芯材を覆う外郭用シートによって内部を
真空に保持してなる真空断熱パネル用の樹脂シートであ
って、前記外郭用シートの成型品を構成する材料が非晶
性ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする
樹脂シート。 - 【請求項2】 外郭用シートは少なくとも内面層が非晶
性ポリエチレンテレフタレートで構成された2層以上の
多層シートであることを特徴とする請求項1記載の樹脂
シート。 - 【請求項3】 多層シートは少なくとも1層に金属薄膜
を用いてなることを特徴とする請求項2に記載の樹脂シ
ート。 - 【請求項4】 樹脂シート用の材料が溶融状態で押し出
された後、少なくとも内面層を構成する面は急冷して製
造されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載
の樹脂シート。 - 【請求項5】 芯材を覆う外郭用の樹脂シートによって
内部を真空に保持してなる真空断熱パネルであって、前
記樹脂シートを単層シート又は多層シートで構成し、そ
の成型品に前記芯材を充填し真空雰囲気下で前記心材の
投入口を熱シール時又は熱シール後に、加熱処理してな
ることを特徴とする真空断熱パネル。 - 【請求項6】 樹脂シート材を真空成形により箱形に賦
型した成型品を用いてなることを特徴とする請求項5記
載の真空断熱パネル。 - 【請求項7】 樹脂シート材をブロー成形または押出し
成形を用いて得た袋状の成型品を用いてなることを特徴
とする請求項5記載の真空断熱パネル。 - 【請求項8】 少なくとも1層が非晶性ポリエチレンテ
レフタレートで構成される樹脂シートの成形品に断熱性
の芯材を充填した後真空雰囲気中でシールして得られた
真空断熱パネルを、その形成後に加熱処理する工程を有
することを特徴とする真空断熱パネルの製造方法。 - 【請求項9】 真空雰囲気中で芯材投入口の熱シールと
熱処理を同時に行ない、その後樹脂シート温度が熱変形
温度以上で大気圧に復帰する工程を有することを特徴と
する請求項8記載の真空断熱パネルの製造方法。 - 【請求項10】 芯材投入口を熱シールした後にガラス
転移点以上熱変形温度以下の温度で加熱処理を行うこと
を特徴とする請求項8記載の真空断熱パネルの製造方
法。 - 【請求項11】 熱シール後に行う加熱処理の温度が、
低温での加熱後に高温での加熱を組み合わせて処理する
ことを特徴とする請求項10記載の真空断熱パネルの製
造方法。
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