JP3822767B2 - 柩冷却機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、斎場や家庭の祭壇、病院の遺体安置室等に用いられる柩冷却機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に故人の遺体は死亡した当日又はその翌日に、柩内に安置される。そして、1日乃至数日後に葬儀、告別式が執り行われて、柩ごと焼却されて火葬にふされる。このように遺体は納柩から火葬にふされるまでの長時間にわたり柩内に納められる。しかし、特に夏期等では、遺体が腐敗しやすく、死臭等種々の悪臭を放って周囲に不快感を与えることがある。このような悪臭の発生を防ぐためにドライアイスを柩内に配置したり、別に冷却装置を用いたりして柩内を冷却することが行われている。
例えば、冷却装置を用いて柩を冷却する方法としては、特開平10−57430号公報(以下、イ号公報という)に記載されているように、柩内に配置された多数の冷気噴出孔を有する中空の可燃性冷気供給部を介して柩内の空気を循環させる柩冷却機構が提案されている。
また、特開平9−94275号公報(以下、ロ号公報という)には、棺桶に対して着脱可能に設けられた吐出側ホース及び吸込側ホースとを備え、これを冷却手段と送風手段に連結して棺桶の冷却を行う棺桶冷却装置が示されている。
特開平8−168510号公報(以下、ハ号公報という)には、柩内に納められた遺体に掛けるふとん等の掛け物手段に冷風送出手段から冷風を供給して冷却する遺体冷却装置が示されている。
特開平9−285508号公報(以下、ニ号公報という)には、柩内の臭気を分解するためのオゾンの発生装置を内部に取りつけた柩が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の技術では以下の課題を有していた。すなわち、
(a)ドライアイスを配置して柩内の遺体を冷却する場合には、その取り扱いの際に凍傷になり易いという問題点があり、柩の蓋を開けて遺族、親戚などが故人の遺体と最後の別れをする際等にはドライアイスによる結露やドライアイスの露出により違和感を与えるという問題点があった。
(b)火葬の際にはドライアイスのために柩の焼却が妨げられるといった問題点を生じていた。
(c)ドライアイスは−79℃以下の温度でなければ昇華するため、保存が困難であり、夜中などでは入手が困難であるという問題点があった。
(d)前記イ号公報に記載の柩冷却装置を用いる場合には、故人の自宅等から斎場の祭壇に遺体が持ち込まれる際、柩の周囲に違和感を与えないように予め柩の下部の冷気噴出孔や排出孔に配管を接続するので、この作業は容易ではなく、柩を過度に動かして、ときには遺体の位置をずらしてしまうといった問題点があった。
(e)前記ロ号公報に記載のホースを用いて冷風を供給して棺桶を冷却する棺桶冷却装置では、このホースの着脱に手間がかかると共に、棺桶に接続するホースを周囲から隠すのが困難であり、葬儀の参列者に違和感を与えるという問題点があった。
(f)前記ハ号公報に記載されているような、遺体に掛けるふとんに冷風を供給して遺体の冷却を行う遺体冷却装置では、ふとん自体に冷風が流れるための空気流路を確保しておくことが必要であり、このための作業を簡単、かつ確実に行うことが困難であるという問題点があった。
(g)前記ニ号公報に示されるオゾン発生装置を内部に取りつけた柩の場合では、オゾン発生装置が高価である上に、燃えにくいために柩の焼却に際して支障が出るといった問題点があった。
【0004】
本発明は上記従来の問題点を全て解決するもので、柩を柩台に載置するだけで、柩に冷風を供給でき、ドライアイス等の柩の焼却に際して障害になるものを使用することなく柩内を冷却状態に経済的に維持し、遺体の腐敗を防止することのできる柩冷却機構を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有している。
請求項1に記載の柩冷却機構は、柩が載置される柩台及び、前記柩内の空気を冷却して循環させる冷風装置とを備えた柩冷却機構であって、前記柩台が、その柩載置面に前記排気孔と前記冷気供給孔に対応するそれぞれの位置に配設され前記冷風装置に接続された吸気管及び冷風吐出管を有し、前記吸気管及び前記冷風吐出管が硬質管部を有し、前記柩台が、前記硬質管部をガイドするガイド部と、前記硬質管部に添設された上下動部と、前記上下動部を上下動させる上下動駆動部と、を備えて構成されている。
これによって、以下の作用を有する。
(a)故人の自宅や斎場等に安置された柩を柩台の柩載置面に載せるだけで、冷風装置から柩に冷風を吹き込んで遺体を冷却し、柩内の空気を排出して再度、冷風装置に送って、柩内に所定温度に維持された空気を循環させ、遺体を冷却し、腐敗の進行を抑制させることができる。
(b)柩を巡る空気の閉ループを形成させることによって、少ないエネルギーで経済的に、しかも悪臭を周囲に放つことなく柩を維持させることができる。
(c)自宅や斎場等に設置された柩を冷風装置に簡単に接続して祭壇を設定することができ、ドライアイス等を使用することなく柩内を冷却状態に維持して、遺体の腐敗の進行を効果的に防止できる。
(d)吸気管や冷風吐出管は上下動駆動部により上下動部を介してガイド部によりガイドされながら上下し、柩載置面から出入される。
(e)柩の片側を柩台にのせ、柩を柩載置面上を滑らせるようにして、所定位置にした設定した後、嵌合端部を上下動部や上下動駆動部により上昇させることにより冷却を開始させることができる。
ここで、柩に設けられる排気孔及び冷気供給孔の数、位置等はそれぞれ必要に応じて適宜調整することができる。例えば冷気供給孔と、排気孔の数や開口面積等を異ならせて配置したり、柩内を流れる空気の流れが均一化できるようにそれぞれの位置を設定するようにしてもよい。
また、吸気管や冷風吐出管は上下動自在に柩台に配設するのが好ましい。これを上下動自在に配設した場合は、柩本体を柩台の柩載置面に載置する際に吸気管や冷風吐出管を柩載置面と同一かそれよりも下げておくと柩を柩台に安定して配置し易く作業性を向上できる。
吸気管や冷風吐出管の上下動は、これらの硬質管にラックやボールネジ等を添設し、ピニオンで上下動させる等一般的な方法が用いられる。なお、該上下動は電動式で吸気管及び冷風吐出管を同時に上下動させるのが好適に利用される。上下動機構は祭壇内や柩台が大きく中空部を有している場合は、その中空部に配設される。
吸気管や冷風吐出管の柩内への挿入部分及び上下動機構の配設部は、硬質管で形成されるが、他は合成樹脂と金属線の複合管等の折り曲げ自在のフレキシブル管が用いられる。これにより斎場の状況に応じて冷風装置と吸気管及び冷風吐出管とを接続できる。
【0006】
請求項に記載の柩冷却機構は、請求項において、前記柩台が、長手方向及び/又は短手方向に伸縮自在に形成されて構成されている。
これによって、柩や祭壇のサイズに応じて柩台を適正に配置させることができると共に、祭壇の設定や葬儀終了後の作業を迅速に行うことができる。
柩台の伸縮自在機構は、柩台を空洞に形成し、2つに分け、一方を一側面が開口部とした柩台要素として、他方を前記開口部から柩台要素の内部に挿入自在にできる挿入部を一側面に備えた柩要素としてもよい。挿入部と被挿入部にはレールとベアリング、もしくは、挿入部の端部にロールを設けて収納するもの等の移動手段を形成すると、挿出入作業を容易に行うことができる。
【0007】
請求項に記載の柩冷却機構は、請求項1又は2において、前記柩の排気孔及び冷気供給孔が開閉弁を有して構成されている。
これによって、柩が柩台に設置されていない場合でも、柩内を密閉状態にして、柩内の空気が周囲に散逸し、異臭で周囲に不快感を与えるのを防止することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
参考例1
参考例1について図面を参照しながら説明する。
図1(a)は参考例1における柩冷却機構の模式図であり、図1(b)は参考例1における柩冷却機構の設置状態を示す模式図である。
図1において、1は参考例1における柩冷却機構、2は遺体を収納するための木製や合成樹脂製、段ボール製等からなる柩、3は柩2を載せるための柩台であり、柩台3は図示しない祭壇や柩安置室に配置されている。4は柩台3を介して柩2内の空気を循環冷却させるための冷風装置、5は柩本体、6は柩2の蓋、7は柩2の底部に設けられた排気孔、8は冷気供給孔、13は柩台3の柩載置面、14は冷風装置4の吸気管、15は冷風装置4の冷風吐出管、16は防臭剤の注入装置、17は凝縮器である。
以上のように構成された参考例1の柩冷却機構1の各構成について、以下その動作を説明する。
柩冷却機構1は、遺体を収納するための柩2と、柩2を載置するための柩台3及び、柩台3を介して柩2内の空気を冷却循環させるための冷風装置4とを備え、柩本体5の両側底部にはそれぞれ排気孔7及び、冷気供給孔8が設けられていて、これらを介して柩2内の空気を循環し冷却させることができるようになっている。なお、必要に応じて、排気孔7及び冷気供給孔8に繋がる柩本体5内に、それぞれ空気溜めを設けて、空気溜めにそれぞれ設けた通気孔を介して柩本体5内の空気を所定方向、例えば水平方向や垂直方向に流すこともできる。
また、冷気が整流されるので遺体の髪等を乱すことなく均一に冷気を流して、冷却の不均一によって生じる冷却斑を防止できる。
【0009】
柩台3は、病院の遺体安置室や、通夜、葬儀が執り行われる斎場などの他に故人の自宅にも設置され、柩2をその場に相応しい状態に保持しておくために使用される。
この柩台3の柩2が置かれる柩載置面13には、柩2の排気孔7及び冷気供給孔8のそれぞれに対応する位置に、吸気管14、冷風吐出管15の端部が配置されている。このため、柩2を柩載置面13におろすだけで、吸気管14と冷風吐出管15のそれぞれの端部を柩2に容易に接続することができる。
なお、柩台3の柩載置面13を柩2より大きく形成して、柩載置面13に位置決めを容易に行うための突出した係止部を1〜4箇所に設けることもできる。
また、柩台3の柩載置面13を柩2より小さく形成して、柩2の底部に凹部をいくつか形成しておき、柩台3の柩載置面13の対応する位置に凸部を形成し、これらを係止部として用いて位置決めを行うようにしてもよく、これらの凹凸を逆にして配置することも可能である。さらに、排気孔7と冷気供給孔8、及び/又は、これらにそれぞれ接続する吸気管14及び冷風吐出管15の端部にはオーリング等からなるシール部を予め取り付けておき、柩2内を循環させる空気が周囲に漏洩して臭気や冷気によって環境が乱されるのを防止することもできる。
また、柩台3の設置場所に応じて柩台3には吸気管14や冷風吐出管15を除いて覆いをかけた状態にしておいてもよい。
【0010】
さらに、柩2の排気孔7及び冷気供給孔8にそれぞれ開閉弁を設けた場合、柩2が柩台3に設置されていなくても、柩2内を簡単に密閉状態にして、柩2内の空気が周囲に散逸するのを防止することができる。
また、柩台3は、ここでは中実の構造体としているが、内部に空間を有した中空のものとして形成してもよい。この場合には、この中空の中央部分に、冷風装置4から空気が供給される側と、柩2内から排出される空気が冷風装置4に送り込まれる側とに分かつ仕切り部を設けておく。さらに、柩台3を内部に中空部を有したスライド構造として、柩台3の長手方向及び/又は短手方向に伸縮自在に形成して、柩や祭壇の大小のサイズに応じて柩台3の寸法を変えられるようにしてもよく、この場合には、葬儀における祭壇の設定を容易かつ柔軟に行うことができる。
【0011】
冷風装置4は基本的には冷蔵庫やクーラー等と同様な冷却材と冷却材で冷却する空気を循環させるファンを備えた構成を有していて、液化した冷却用ガスを蒸発させる蒸発器、冷却用ガスの圧縮器、及び凝縮器等を備えている。冷風装置4は、吸気管14を介して導入された空気を蒸発器で冷却した後、ファンで冷風吐出管15を介して柩2に送るための循環装置である。なお、冷風装置4には制御部が設けられていて、循環される空気の温度や、その流量を所定範囲に設定することができるようになっている。
冷風装置4は、葬儀や通夜が行われる遺体の祭壇から離れた場所、例えば屋外等に設置してもよいし、また、必要に応じて柩台2の下部に配置することもできる。このように離れた場所に冷風装置4を設置した場合には、稼働中の騒音で葬儀の雰囲気が乱されることがなく静粛な状態で葬儀を進行させることができる。また、冷風装置4を内蔵させた柩台2を使用する場合には、葬儀終了後の柩冷却機構1の移動が容易になり、多数の葬儀を処理しなければならない葬儀場等での飾りつけ作業を効率的に行うことができる。
【0012】
冷風吐出管15には防臭剤の注入装置16(脱臭装置)が設けられていて、冷風吐出管15に、防臭剤が必要に応じて注入できるようになっている。これによって、遺体の冷却が不完全になって異臭を生じたときでも確実に防臭を行うことができる。なお、ここで用いる防臭剤には、各種の芳香剤や、臭いの成分と反応して除去する消臭剤等が使用可能である。
また、冷風吐出管15、吸気管14、冷風装置4を含む柩2内を空気循環させる経路の一部に、活性炭等を保持したフィルター部を脱臭装置として設けておき、これによって異臭の成分を活性炭に吸着させることで脱臭を行うようにしてもよい。
さらに、吸気管14には柩2内から排出される空気中の水分等を断熱膨張等で凝縮させるための凝縮器17が備えられていて、柩2内を循環させる空気が乾燥状態に維持されると共に、水分中に溶け込んだ臭気の成分の一部を除去することができる。
【0013】
次に、以上説明した柩冷却機構1の使用方法を説明する。
まず、故人の自宅等から斎場に、又は病院等から自宅に遺体の納められ柩2を運び入れる。そして、柩2を、2〜4人の人手を介して予め準備された祭壇の柩台3上に載置する。このような場合、祭壇の周囲には葬儀や通夜のための飾りつけがなされていて柩2の移動範囲が制限されるので、柩台3と冷風装置4との配管接続を予めしておく(図1(a))。そして、柩2を柩台3の柩載置面13に降ろして、柩載置面13上を滑らして移動させ、柩2の排気孔7、冷気供給孔8をそれぞれ柩載置面13上の吸気管14と冷風吐出管15の端部に合致させる(図1(b))。このように、少ない人数でも、柩台3を介して冷風装置4と柩2との接続を容易に行うことができる。
【0014】
そして、この接続状態を維持させたまま、冷風装置4の図示しない制御装置を用いて冷風装置4を作動させ、約5〜−10℃の温度範囲と所定の流量とに調整された空気を冷風吐出管15を介して柩2内に供給する。なお、ここで、温度が5℃を越えるような場合には、遺体の傷みが速くなって、臭気を発生する恐れがあるので好ましくなく、逆に温度が−10℃より低下すると、柩2内に結露を大量に生じさせる上、冷却のための電力量が必要以上に増えるので経済的でない。このように冷却された空気は、遺体の頭部側の冷風吐出管15から吹き出して遺体の周囲を冷やしながら流れて、足部側の吸気管14を介して冷風装置4に循環するようになっている。
【0015】
以上のように本参考例1の柩冷却機構は構成されているので、以下の作用を有する。
(a)柩2内を適温に維持するので、空気が過度に冷却されて結露を生じたり、あるいは遺体の腐敗が進行したりするのを効果的に抑制して、生前に近い雰囲気で遺体を維持させることができる。
(b)従来のように柩2内に冷却のための大量のドライアイスを入れておく必要がないので、ドライアイスを柩に挿入する作業の際に凍傷のおそれがなく、しかも遺体と一緒に納める副葬品の配置に支障を与えることなく葬儀に相応しい状態で遺体を安置することができる。
(c)電力の供給さえあれば、冷風装置4を作動させることができるので、ドライアイスを使用する場合のように、ドライアイスの入手が困難な夜間でも遺体を冷却状態に維持できる。
【0016】
参考例2
参考例2について図面を参照しながら説明する。
図2(a)は参考例2における柩冷却機構の模式図であり、図2(b)は参考例2における柩冷却機構の柩設置状態を示す模式図である。
図2において、21は柩冷却機構、22は柩、23は柩22が載置される柩台、25は柩本体、26は柩22に被せる蓋、27は柩台23の柩載置面、28は嵌合端部である。なお、以下の説明においては、前記参考例1と同一の機能を有する構成のものについては、同一の符号を付して、これらの詳しい説明を省略している。
図2(a)、(b)に示すように参考例2における柩冷却機構21は、遺体を収納するための柩22と、柩22を載置するための柩台23及び、柩台23を介して柩22内の空気を冷却循環させるための冷風装置4とを備えている。
柩22は、柩本体25とその蓋26とを有している。また、柩本体25の両側底部にはそれぞれ排気孔7及び、複数の冷気供給孔8が設けられていて、これらを介して柩本体25内の空気が所定方向に流れるようにしている。
なお、ここでは、柩22内の空気が遺体の頭部側から足元に向かって流れるようにしているが、必要に応じて逆向きに、即ち足元から頭部側に向かって流れるようにしてもよい。また、冷風装置4を制御して、所定の時間毎、例えば、1〜30分の周期で流れの方向が逆転するようにすることも可能である。この場合には柩22内の温度分布を均一にして、柩22内の冷却をより効率的に行うことが可能になる。
【0017】
柩台23の柩22が置かれる柩載置面27には、柩22の排気孔7及び冷気供給孔8のそれぞれに対応する位置に、吸気管14、冷風吐出管15の嵌合端部28が柩の内壁面より5〜50mm、好ましくは10〜20mmの範囲の長さで突出するように固定又は出し入れ自在に配置されている。このため、(図2(b))に示すように、柩22を柩台23の所定位置におろすだけで位置決めを容易に行って、迅速に柩22を柩台23に載置できる。そして、吸気管14と冷風吐出管15のそれぞれの嵌合端部28を柩22に確実に接続する。
柩台23は箱状の柩台支持部(図示せず)や祭壇(図示せず)上に載置され、吸気管14、冷風吐出管15は柩台支持部や祭壇の内部に配設され、邪魔にならない位置に設置された冷風装置4とフレキシブルチューブ(図示せず)で接続されている。
なお、柩台支持部や祭壇が密閉式で冷風装置4の騒音を遮蔽できるときは柩台支持部や祭壇の内部に冷風装置4を設置してもよい。
また、柩台23を畳や床面に配置するときはL字状の吸気管14や冷風吐出管15を用い、他端部を柩台23の背面に開口させて、これを冷風装置4と接続してもよい。
なお、この柩載置面27より突出する嵌合端部28及び、この嵌合端部28に嵌合する排気孔7、冷気供給孔8とをそれぞれテーパー状に形成しておくことにより、シール効果を高めて、この結合部における空気漏れを効果的に防止することもできる。
このように葬儀や通夜及びその前後の時間、柩22を所定の温度に維持して、遺体の腐敗を防止する。そして、斎場又は自宅などでの葬儀を終了した後は、柩22を柩台23から持ち上げて、冷風吐出管15、及び吸気管14との接続を切り離し、柩22をそのままの状態で火葬場に送ることができる。この柩22内には、ドライアイス等の難燃性の材料が含まれていず、また、柩22内を空気循環をさせるための余分な材料も使用されていないので、本参考例によれば火葬場における柩22の焼却作業を迅速に行うことができる。
【0018】
(実施の形態
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図3は実施の形態における柩冷却機構の平面断面図であり、図4は実施の形態における柩冷却機構の正面断面図であり、図5は祭壇に配置した柩冷却機構の要部側面断面図である。
図3乃至図5において、7は排気孔、8は冷気供給孔、14は吸気管、14aは吸気管14の硬質合成樹脂や金属等で作製された硬質管部、14bは硬質管部14bの端部に密封固定されたゴム管、合成樹脂管等からなり冷風装置4に接続されたフレキシブルチューブ、15は冷風吐出管、15aは硬質管部14aと同様の材質で作製された硬質管部、15bはフレキシブルチューブ14bと同様の材質で作製され冷風装置4に接続されたフレキシブルチューブ、30は柩冷却機構、31は柩、32は柩31が載置される中空状で中央部で二分された柩台、33は柩本体、34は柩31に被せる蓋、35は柩台32の柩載置面、36は嵌合端部、37は嵌合端部36によって開閉される開閉板、38は開閉板37の基端部に設けられた蝶番、39は二分された柩台32の一方の開口側に他方の挿入部を出入自在に挿入固定し柩台32の長さを調節するためのスライド機構、40は柩台32を水平移動させるための車輪、41は祭壇、42は柩台32に配置され、冷風装置4との間に冷気を流通させるためのフレキシブルホース等を着脱自在に接続するためのコネクタ、43は吸気管14、冷風吐出管15の周囲でかつ柩31の排気孔7、冷気供給孔8を囲撓して柩載置面35に配設固定されたゴム製や合成樹脂製のリング部材からなる漏洩防止部である。漏洩防止部43により柩31内の異臭や汚汁等が周囲に漏れるのを防止できるようになっている。
44は吸気管14や冷風吐出管15の硬質管部14a、15aをガイドするガイド部、45は吸気管14と冷風吐出管15の硬質管部14a、15aに添設されたラックやボール螺子等からなる上下動部、46は柩台32の底板に配設され上下動部45を上下動させるピニオン等を備えたモータ等からなる上下動駆動部である。吸気管14や冷風吐出管15は上下動駆動部46により上下動部45を介してガイド部44によりガイドされながら上下し、柩載置面35から出入される。
なお、以下の説明においては、前記参考例1と同一の機能を有する構成のものについては、同一の符号を付して、これらの詳しい説明を省略している。
柩冷却機構30は、遺体を収納するための柩31と、柩31を載置するための柩台32及び、柩台32を介して柩31内の空気を冷却して循環させるためのここで図示しない冷風装置とを備えている。
【0019】
柩31は、柩本体33の両側底部に遺体を挟んで対向して排気孔7及び、冷気供給孔8が設けられていて、これらを介して柩本体33内の空気が所定方向に流れるようにしている。ここで排気孔7は遺体の足元近くに柩幅の中心位置から1/4〜1/3程度はずれる位置に配置され、冷気供給孔8は遺体頭部の枕の近くに配置されている。排気孔7及び冷気供給孔8の上には蝶番38を介して開閉できる開閉板37(開閉弁)がそれぞれ取り付けられていて、嵌合端部36が下側から排気孔7、冷気供給孔8に挿入されることによって、開閉板37が押し上げられてそれぞれの孔部が開状態となる。そして、この嵌合端部36を引き抜くことによって、孔部が閉状態となるようにしている。このような開閉板37の開閉動作によって、柩31を移送する際における悪臭の放出防止と、柩台32上の遺体冷却とを短時間のうちに切替えて行うことができる。
【0020】
柩台32は、図4、図5に示すようにその下部に柩台32を簡単に移動させるためのキャスターとなる車輪40を備え、しかも、その水平となる長手方向及び短手方向の長さを調節するためのスライド機構39を設けることができるようになっている。これによって、冷気供給孔や排気孔の位置が柩の種類やサイズによって変わる場合でも、これに対応して嵌合端部36を各孔部7、8の下にそれぞれ位置付けられる。
続いて、前記の構成を有する柩冷却機構30の使用方法について説明する。
まず、霊柩車等で斎場や自宅運び込まれた柩31を、図5に示すように祭壇41の前に予め設置された柩台32上に載置する。このとき、柩台32のスライド機構39により柩31の冷気供給孔8と排気孔7との位置に合わせて、それぞれに対応する嵌合端部36の位置を設定しておく。なお、嵌合端部36の上下方向の位置は必要に応じて、変えることもできる。この場合には、柩31の片側を柩台32にのせ、柩31を柩載置面35上を滑らせるようにして、所定位置にした設定した後、嵌合端部36を上下動部45や上下動駆動部46により上昇させることにより開閉板37を押し上げて冷却を開始させることができる。なお、柩31を冷却するための冷風装置4は吸気管14や冷風吐出管15とフレキシブルチューブ14b、15bで接続されているので、祭壇41から離れた位置に設置され、稼働中の騒音や振動等で式場の雰囲気が乱されることがないようにすることができる。
このように葬儀や通夜及びその前後の時間、柩31を所定の温度に維持して、遺体の腐敗を防止することができる。
【0021】
参考例3
参考例3について図面を参照しながら説明する。
図6(a)は参考例3における柩冷却機構の模式図であり、図6(b)は参考例3における柩冷却機構の柩設置状態を示す模式図である。
図6において、51は柩冷却機構、52は柩、53は柩52が載置される柩台、54は柩台53の柩載置面、55は柩台53の下部に設けられ柩台53を支持するための台部、56は柩52を柩載置面54の所定位置に位置付けるための台部55に設けられたマーカーである。なお、以下の説明においては、前記参考例1乃至2及び実施の形態1と同一の機能を有する構成のものについては、同一の符号を付して、これらの説明を省略している。
図6に示すように、柩台53の柩載置面54は柩52の底部より長手方向及び/又は短手方向が短く形成されており、かつ、柩台53を載置する台部55が柩台53の底部よりも長手方向及び/又は短手方向が大きく形成されている。これによって、柩52の底部の周囲を手指で支えたまま、柩52を少ない人数でも容易に動かすことができる。
また、吸気管14、冷風吐出管15の嵌合端部28が柩載置面54より突出して配置されているので、図6(b)に示すように、柩52を柩台53の所定位置におろすだけで位置決めを容易に行って、迅速に柩22を柩台23に載置できる。そして、吸気管14と冷風吐出管15のそれぞれの嵌合端部28を柩52に確実に接続することができる。
なお、この柩台53の嵌合端部28を、図示しない伸縮機構を用いて柩載置面54から上下に進退できるようにして、突出自在にすることもできる。この場合には、マーカー56や別に設けた係止部等を用いて、柩52を柩載置面54の所定位置に設置した後、嵌合端部28を柩52内に押し入れることができるので、柩52を柩載置面27上でスライドさせるようなことが可能となり、柩52を移動させる際の取り扱いが容易になる。
このように本参考例によれば斎場における設置作業や撤去作業を迅速に行うことができる。
【0022】
【発明の効果】
以上のように本発明の柩冷却機構は構成されるので、以下の優れた効果を実現できる。即ち、
請求項1に記載の柩冷却機構によれば、以下の効果を有する。
(a)故人の自宅や斎場等に安置された柩を柩台の柩載置面に載せるだけで、冷風装置から柩に冷風を吹き込んで遺体を冷却し、柩内の空気を排出して再度、冷風装置に送って、柩内に所定温度に維持された空気を循環させ、遺体を冷却し、腐敗の進行を抑制させることができる。
(b)柩を巡る空気の閉ループを形成させることによって、少ないエネルギーで経済的に、しかも悪臭を周囲に放つことなく柩を維持させることができる。
(c)自宅や斎場等に設置された柩を冷風装置に簡単に接続して祭壇を設定することができ、ドライアイス等を使用することなく柩内を冷却状態に維持して、遺体の腐敗の進行を効果的に防止できる。
(d)吸気管や冷風吐出管は上下動駆動部により上下動部を介してガイド部によりガイドされながら上下し、柩載置面から出入される。
(e)柩の片側を柩台にのせ、柩を柩載置面上を滑らせるようにして、所定位置にした設定した後、嵌合端部を上下動部や上下動駆動部により上昇させることにより冷却を開始させることができる。
【0023】
請求項に記載の柩冷却機構によれば、請求項の効果に加えて以下の効果を有する。
柩や祭壇のサイズに応じて柩台を適正に配置させることができると共に、祭壇の設定や葬儀終了後の作業を迅速に行うことができる。
【0024】
請求項に記載の柩冷却機構によれば、請求項1又は2の効果に加えて以下の効果を有する。
柩の排気孔及び冷気供給孔が開閉弁を有して構成されているので、これによって、柩が柩台に設置されていない場合でも、柩内を密閉状態にして、柩内の空気が周囲に散逸するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は参考例1における、柩冷却機構の模式図
(b)は参考例1における柩冷却機構の柩設置状態を示す模式図
【図2】 (a)は参考例2における柩冷却機構の模式図
(b)は参考例2における柩冷却機構の柩設置状態を示す模式図
【図3】 実施の形態における柩冷却機構の平面断面図
【図4】 実施の形態における柩冷却機構の正面断面図
【図5】 実施の形態における柩冷却機構の側面断面図
【図6】 (a)は参考例3における柩冷却機構の模式図
(b)は参考例3における柩冷却機構の柩設置状態を示す模式図
【符号の説明】
1 柩冷却機構
2 柩
3 柩台
4 冷風装置
5 柩本体
6 蓋
7 排気孔
8 冷気供給孔
13 柩載置面
14 吸気管
14a 硬質管部
14b フレキシブルチューブ
15 冷風吐出管
15a 硬質管部
15b フレキシブルチューブ
16 防臭剤の注入装置
17 凝縮器
21 柩冷却機構
22 柩
23 柩台
25 柩本体
26 蓋
27 柩載置面
28 嵌合端部
30 柩冷却機構
31 柩
32 柩台
33 柩本体
34 蓋
35 柩載置面
36 嵌合端部
37 開閉板
38 蝶番
39 スライド機構
40 車輪
41 祭壇
42 コネクター
43 漏洩防止部
44 ガイド部
45 上下動部
46 上下動駆動部
51 柩冷却機構
52 柩
53 柩台
54 柩載置面
55 台部
56 マーカー

Claims (3)

  1. 柩が載置される柩台及び、前記柩内の空気を冷却して循環させる冷風装置とを備えた柩冷却機構であって、
    前記柩が、その底部に排気孔と前記排気孔と前記遺体を挟んで形成された冷気供給孔とを有し、前記柩台が、その柩載置面に前記排気孔と前記冷気供給孔に対応するそれぞれの位置に配設され前記冷風装置に接続された吸気管及び冷風吐出管を有し、前記吸気管及び前記冷風吐出管が硬質管部を有し、
    前記柩台が、前記硬質管部をガイドするガイド部と、前記硬質管部に添設された上下動部と、前記上下動部を上下動させる上下動駆動部と、を備えていることを特徴とする柩冷却機構。
  2. 前記柩台が、長手方向及び/又は短手方向に伸縮自在に形成されていることを特徴とする請求項に記載の柩冷却機構。
  3. 前記柩の排気孔及び冷気供給孔が開閉弁を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の柩冷却機構。
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