JP3822472B2 - イソカルバサイクリン誘導体 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、イソカルバサイクリン誘導体とその製造法に関するものである。さらに詳しくは、この発明は、脳内におけるプロスタサイクリン受容体の機能探索や、中枢神経系におけるプロスタサイクリン誘導体の適応領域の特定等において有用な、新規なイソカルバサイクリン誘導体およびその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、プロスタグランジン類は、強い血小板凝集抑制作用、血管拡張性血圧降下作用、胃酸分泌抑制作用、平滑筋収縮作用、細胞保護作用、利尿作用等多彩な生理活性を有しており、心筋梗塞、狭心症、動脈硬化、高血圧症、十二指腸潰瘍、分娩誘発、中絶等の治療または予防に有用な化合物であることが知られている。
【0003】
ところで天然プロスタサイクリンは、生体において、主として血管内皮で産生される局所ホルモンであり、その強力な生理活性、例えば血小板凝集抑制作用、血管拡張作用等を利用して、このものを直接医薬品として供する試みが行われてきた(P.J.Lewis, J.O.Grady, Clinical Pharmacology of Prostaglangin)。しかしながら、天然プロスタサイクリンは分子内に加水分解されやすいエノールエーテル結合を有するために、中性または酸性条件下で容易に失活してしまうという問題がある。従って、医薬品としてはその化学的不安定性のために好ましい化合物とはいえない。このため天然プロスタサイクリンと同様の活性を示し、化学的に安定な合成プロスタサイクリン誘導体の合成研究が鋭意行われてきた(Synthesis, 1984,449)。その過程において、プロスタサイクリンの6,9位の酸素原子をメチン基(−CH=)に置き換えることにより、化学的安定性を充分に満足するプロスタサイクリンである9(O)−メタノ−
【数1】
Figure 0003822472
−プロスタグランジンI1 類(イソカルバサイクリン類)が合成された(特開昭59−210044号参照)。この化合物は、天然プロスタサイクリンに匹敵する強力な血小板凝集抑制作用、血管拡張性血圧降下作用等の生物活性を示した(特開昭59−210044号、同61−197518号各公報参照)。
【0004】
このようにプロスタサイクリン誘導体の合成研究が進むなかで、プロスタサイクリンの受容体に関する研究も精力的に行われてきた。プロスタサイクリンの受容体はその生理活性から主に血管や血小板などに存在し、循環器作用の調節に重要な役割を担っているものとされてきた。一方脳に関しては、PGD2 ,PGE2
【数2】
Figure 0003822472
以外にもPGI2 やTXA2 の存在や産生がその代謝物の定量結果より知られていた。しかしながらこの両者は、脳神経系における作用とともに、脳実質細胞で産生されるか否かもあまり明らかでなく、脳内の血管や血小板に由来するものと考えられてきた。一方、1985年、Kellerら(Neurochem Int 7:655−665,1985)により、一次培養細胞アストログリア細胞が上記3者のPG以外にPGI2 やTXA2 の代謝物を多く産生することが明らかとなった。また、渡辺ら(Neurosci. Res.16,(Suppl.)S21,1991)は、ラベル化されたプロスタサイクリン誘導体 (〔 3H〕iloprost-Schering)を用いたニホンザル脳半球の大冠状切片でのin vitroオートラジオグラフィー評価を行った結果、プロスタサイクリン結合部位を線条体、扁桃核、海馬、大脳皮質の一部に見いだした。またここで見いだした〔 3H〕iloprostの結合部位は、〔 3H〕PGE2 の結合部位とは局在が異なり、またPGE2 とPGE1 が同一の受容体を認識することが明らかになっている。血小板では、iloprostの結合部位はPGE1 とも反応し、PGE2 受容体とは全く異なることが知られている。以上の研究経緯から、中枢神経系での新たなPGI2 受容体の存在がクローズアップされている。一方、iloprostの神経系の作用としてドーパミンD1受容体結合阻害、鎮静、抗けいれん、抗低酸素(低酸素下での延命効果)やアンフェタミンで拮抗される脳波の同期化誘導作用などが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
たとえば以上のように、従来は、プロスタサイクリン誘導体についての検討の目的は、その強力な生理活性、例えば血小板凝集抑制作用、血管拡張作用等を利用した循環器領域に対する医薬品の開発が主たるものであった。しかしながらこのような作用はこれら化合物を中枢神経系に適用しようとした場合には副作用になってしまうという問題があった。そこでこの発明の発明者は上述した諸点に着目し、脳内のプロスタサイクリン受容体研究に対するプローブあるいは中枢神経系医薬品として有用な新規な9(O)−メタノ−
【数3】
Figure 0003822472
−プロスタグランジンI1 類(イソカルバサイクリン類)を見いだすことを検討の課題としてきた。
【0006】
すなわち、この発明は、以上の通りの事情からなされたものであって、従来の技術知識の限界を超えて、脳内におけるプロスタサイクリン受容体の機能探索研究に有用なばかりでなく、中枢神経系におけるプロスタサイクリン誘導体の適応領域特定に関しても有用な化合物である、新規なイソカルバサイクリン誘導体とその製造法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の課題を解決するものとして、
下記式〔I〕
【0008】
【化6】
Figure 0003822472
【0009】
〔式中、R1は水素原子を示し、R 2 は−(CH 2 n −(nは2または3の数を示す)で表されるアルキレン基を示す〕で表されるイソカルバサイクリン誘導体が提供される。
【0010】
上記式〔I〕において、オメガ鎖上のトリル基上のメチル基の置換位置はオルト位、メタ位、パラ位いずれでもかまわないが、好ましくはメタ位である。
【0011】
さらに、上記式〔I〕で表されるイソカルバサイクリン類の8位、9位、11位、12位、15位の立体配置は天然プロスタサイクリンと同一である。また15位はR体、S体いずれの立体配置でもかまわないが特にR体が好ましく、この立体配置を有するものが特に有用な異性体であるが、この発明に関わるイソカルバサイクリン誘導体は、こうした立体配置であるもの、またはその鏡像体、あるいはそれらの不斉炭素に由来するすべての異性体を含むものである。
上記式〔I〕で代表されるこの発明のイソカルバサイクリン誘導体は次のようにして製造される。
すなわち下記式〔II〕
【0012】
【0013】
【化7】
Figure 0003822472
【0014】
〔式中、R2−(CH 2 n −(nは2または3の数を示す)で表されるアルキレン基を示す〕で表されるHorner-Emmons 試薬と下記式〔III〕
【0015】
【化8】
Figure 0003822472
【0016】
〔式中、R3 はアルキル基を示す。〕
で表される化合物とを塩基の存在下に反応させ、下記式〔IV〕
【0017】
【化9】
Figure 0003822472
【0018】
〔式中、R2 およびR3 は上記定義に同一である〕
で表される化合物を得、ついで還元反応、あるいは必要に応じた加水分解反応に付すことにより、下記式〔I〕
【0019】
【化10】
Figure 0003822472
【0020】
〔式中、R1は水素原子を示し、R 2 は−(CH 2 n −(nは2または3の数を示す)で表されるアルキレン基を示す〕で表されるイソカルバサイクリン誘導体を製造する。
上記式〔II〕の化合物と上記式〔III〕の化合物の反応は、〔II〕で表されるホスホネート化合物を塩基、例えばNaH,NaNH2 ,LiN(iPr)2 ,CH3 ONaなどで処理した後、〔III〕で表されるアルデヒド化合物と反応せしめるいわゆるHorner-Emmons 反応(新実験化学講座 14,p.238;丸善)を行うことにより可能とされる。この際反応に用いられる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、ジグライム、ジメトキシエタン(DME)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などが用いられる。
【0021】
ホスホネート化合物〔II〕に対して、塩基は0.1〜10倍等量、好ましくは0.9〜1.4倍等量、アルデヒド化合物〔III 〕は0.1〜10倍等量、好ましくは0.9〜1.4倍等量用いればよい。反応温度は0℃〜150℃の範囲で行われ、好ましくは10℃〜80℃である。反応時間は化合物により異なるが10分から24時間程度である。反応終了後、抽出やカラムクロマトグラフィー等の通常の後処理によって前記化合物〔IV〕が得られる。原料となるアルデヒド体〔III 〕は下記反応式Aに示すように例えばイソカルバサイクリンメチルエステル(1)のシャープレス(Sharpless) 酸化、水酸基のアセチル化、エポキシの開裂、脱アセチル化によりテトラオール体(4)を得、このものをNaIO4 による酸化的開裂によりアルデヒド体(5)を得ることができる。
【0022】
【化11】
Figure 0003822472
【0023】
次のHorner-Emmons 反応にはアルデヒド体を直接用いてもよいが、化合物(4)の酸化によって系内に生じたアルデヒド体(5)をそのまま単離せずに用いてもよい。
前記式〔II〕のHorner-Emmons 試薬は相当するエステル化合物より例えば反応式Bに示すルートにて合成できる。
【0024】
【化12】
Figure 0003822472
【0025】
かくして前記式〔IV〕で表される化合物を得ることができる。かかる化合物〔IV〕はついで還元反応に付し、ついで必要に応じて加水分解反応に付すことができる。
還元反応はそれ自体公知の方法で行うことができる。還元反応の試薬としては、金属水素錯化合物が用いられる。かかる金属水素錯化合物は、水素化アルミニウム錯化合物、水素化ホウ素錯化合物が挙げられる。水素化アルミニウム錯化合物としては、水素化アルミニウムリチウム、水素化ジエトキシアルミニウムリチウム、水素化トリエトキシアルミニウムリチウム、水素化トリ−t−ブトキシアルミニウムリチウム、水素化アルミニウムマグネシウム、水素化アルミニウム塩化マグネシウム、水素化アルミニウムナトリウム、水素化トリエトキシアルミニウムナトリウム、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム等が挙げられる。水素化ホウ素錯化合物としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリメトキシホウ素ナトリウム、硫化水素化ホウ素ナトリウム、シアン化水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、シアン化水素化ホウ素リチウム、水素化トリエチルホウ素リチウム、水素化ホウ素カルシウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素亜鉛、水素化ホウ素テトラメチルアンモニウム等が挙げられる。還元反応の試薬としては、これら金属水素錯化合物のうち、水素化ホウ素錯化合物が好ましく、特に水素化ホウ素ナトリウムが好ましい。
【0026】
水素化ホウ素ナトリウムを用いる還元反応は塩化ランタニド類の存在下で行うのが好ましい。かかる塩化ランタニド類としては三塩化セリウム、三塩化サマリウム、三塩化ユーロピウム等が挙げられ、特に三塩化セリウムが好ましく用いられる。
還元反応は、上記式〔IV〕で表される合成中間体1当量に対して、金属水素錯化合物が発生しうる水素化物イオンにして1〜100当量、好ましくは1〜50当量の範囲で行われる。水素化ホウ素ナトリウムと共に用いられる塩化ランタニド類は、水素化ホウ素ナトリウム1当量に対し、塩化ランタニド類0.2〜50当量、好ましくは0.5〜10当量が用いられる。
【0027】
反応溶媒は、用いる還元反応試薬によって異なるが、通常メタノール、エタノール、2−プロパノール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジグライム等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒:水、アセトニトリル等を単一あるいは任意の割合に混合して用いる。好ましくはメタノール、エタノール、2−プロパノール、t−ブチルアルコール等のアルコール類が用いられ、特にメタノールが好ましい。
【0028】
還元反応の反応温度は、用いる試薬、反応溶媒によって異なるが、好ましくは−100℃〜100℃、特に好ましくは−20℃〜50℃の範囲である。還元反応の反応時間は使用する試薬、反応溶媒、反応温度によって異なるが、通常5時間以内の範囲で行われ、好ましくは1分〜1時間の範囲である。
エステルの加水分解反応は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムの水溶液もしくは水−アルコール混合溶液、あるいはナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドを含むメタノール、エタノール溶液中で加水分解せしめることにより実施することができる。
【0029】
目的物の単離精製は通常の方法、すなわち、抽出、クロマトグラフィー等の一般的な手段によって行うことができる。
【0030】
【作用】
以上、詳しく説明したとおりのこの発明において提供されるイソカルバサイクリン誘導体は脳内の視床や線条体のプロスタサイクリン受容体(ここで、中枢神経型という)に強く結合する。また、既に神経結紮実験などで脳外の組織(末梢神経組織)と考えられる結節核(Nodus ganglion)で生産されて延髄孤束核へ軸索輸送されているプロスタサイクリン受容体(ここで末梢神経型という)には、この発明のイソカルバサイクリン誘導体はあまり結合しない。一方血小板凝集抑制効果の評価においてはイソカルバサイクリンと比較して、弱い活性を示す。血小板凝集抑制活性をほとんど示さない化合物であるにもかかわらず、脳内の視床のプロスタサイクリン受容体(中枢神経型)に強く結合する。従ってこの発明によって提供されるイソカルバサイクリン誘導体は、脳内、特に中枢神経組織で産生されるプロスタサイクリン受容体の探索研究に有用であるばかりでなく、中枢神経系の疾患の治療薬として期待できる有用な化合物である。
【0031】
【実施例】
以下、本発明の実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、この発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。
実施例1
次式に沿って反応を実施した。
【0032】
【化13】
Figure 0003822472
【0033】
すなわち、まず、10mlの丸底フラスコに2−オキソ−3−(3−メチルフェニル)プロピルホスホン酸ジメチル(41.9mg,0.164mmol)の10mlDME溶液を調製した。この溶液にNaH(60% in oil,6.6mg,0.164mmol)を室温で加え、40分間撹拌した。次いで、ここで得られたサスペンジョンに、別の10ml丸底フラスコに調製したメチル−5−{(1S,5S,6R,7R)−6−ホルミル−7−ヒドロキシビシクロ[3.3.0]−2−オクテン−3−イル}ペンタノエート(13,14−ジヒドロキシ−13,14−ジヒドロイソカルバサイクリンメチルエステル(25.1mg,0.063mmol)とメタ過ヨウソ酸ナトリウムの反応より合成した粗生成物)の3mlDME溶液を加えた。10分間撹拌後、酢酸エチル(1ml)と飽和塩化アンモニウム水溶液(3ml)を反応混合液に加え抽出操作を行った。水層をさらに3回酢酸エチル(3ml×3)で抽出し、あわせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。乾燥した有機層を濾別し、減圧下有機溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル2g,ヘキサン:酢酸エチル=3:1)に供し、15−オキソ−16−(3−メチルフェニル)−17,18,19,20−テトラノルイソカルバサイクリンメチルエステル22.4mg(92%)を得た。 1H−NMR(CDCl3 ,270MHz)δ1.3−1.7(m,5H),1.9−2.2(m,4H),2.3−2.5(m,8H),3.0−3.1(br,1H),3.67(s,3H,OCH3 ),3.81(s,2H),3.90(dd,1H,J=7.4,9.4Hz),5.30(d,1H,J=1.5Hz),6.25(d,1H,J=15.8Hz),6.83(dd,1H,J=8.9,15.8Hz),7.01(d,1H,J=7.4Hz),7.04(d,1H,J=7.4Hz),7.08(s,1H),7.22(t,1H,J=7.4Hz);13CNMR(CDCl3 ,67.5MHz)δ21.4,24.7,27.2,30.5,33.9,39.9,40.2,44.4,46.1,47.9,51.6,58.1,77.2,126.6,127.7,128.2,128.6,130.2,130.3,134.4,138.4,141.6,148.7,174.2,197.5;
実施例2
次式に沿って反応を実施した。
【0034】
【化14】
Figure 0003822472
【0035】
すなわち、まず、10mlの丸底フラスコに15−オキソ−16−(3−メチルフェニル)−17,18,19,20−テトラノルイソカルバサイクリンメチルエステルのメタノール(1ml)溶液を調製した。ここにCeCl3 ・7H2O(24.4mg,0.065mmol)を室温で加え、この混合物を0℃まで冷却後NaBH4 (2.5mg,0.066mmol)を加えた。5分間撹拌後、酢酸エチル(1ml)と水(1ml)を反応混合液に加え抽出操作を行った。水層をさらに3回酢酸エチル(1ml×3)で抽出し、あわせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。乾燥した有機層を濾別し、減圧下有機溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル1g,ヘキサン:酢酸エチル=2:1,1:1,1:2))に供し、15R−16−(3−メチルフェニル)−17,18,19,20−テトラノルイソカルバサイクリンメチルエステル7.1mg(50%)、及び15S−16−(3−メチルフェニル)−17,18,19,20−テトラノルイソカルバサイクリンメチルエステル7.1mg(50%)を得た。15R体; 1H−NMR(CDCl3 ,270MHz)δ1.3−1.7(m,7H),1.8−2.1(m,4H),2.2−2.5(m,8H),2.78(dd,1H,J=6.4,13.4Hz),2.86(dd,1H,J=7.4,13.4Hz),2.9−3.1(br,1H),3.5−3.7(m,1H),3.67(s,3H),4.3−4.4(m,1H),5.28(d,1H,J=1.5Hz),5.44(dd,1H,J=8.4,15.3Hz),5.62(dd,1H,J=6.4,15.3Hz),7.0−7.1(m,3H),7.20(t,1H,J=7.4)13CNMR(CDCl3 ,67.5MHz)δ21.5,24.8,27.3,30.6,34.0,39.4,39.8,44.2,44.3,45.7,51.6,58.3,73.7,77.3,126.6,127.4,128.4,128.4,130.4,133.0,134.4,137.9,138.2,141.5,174.2;15S体; 1H−NMR(CDCl3 ,270MHz)δ1.3−1.7(m,7H),1.8−2.1(m,4H),2.2−2.5(m,8H),2.76(dd,1H,J=7.4,13.4Hz),2.85(dd,1H,J=5.4,13.4Hz),2.9−3.1(br,1H),3.6−3.8(m,1H),3.67(s,3H),4.3−4.4(m,1H),5.28(brs,1H),5.48(dd,1H,J=7.9,15.3Hz),5.63(dd,1H,J=5.9,15.3Hz),7.0−7.1(m,3H),7.19(dd,1H,J=7.4,7.9Hz);13CNMR(CDCl3 ,67.5MHz)δ21.5,24.8,27.3,30.6,34.0,39.5,39.8,44.1,44.4,45.7,51.6,58.3,77.4,77.3,126.7,127.4,128.4,128.4, 130.5,133.1,134.3,137.8,138.1,141.4,174.2;
実施例3
次式に沿って反応を実施した。
【0036】
【化15】
Figure 0003822472
【0037】
すなわち、まず、10mlのテストチューブに15R−16−(3−メチルフェニル)−17,18,19,20−テトラノルイソカルバサイクリンメチルエステル(4.4mg)のメタノール(0.5ml)溶液を調整した。この溶液にLiOH水溶液(3N,0.2ml)を加えた。12時間撹拌後、反応混合液を硫酸水素ナトリウムでpH3とし、ついでここに酢酸エチル(1ml)と水(1ml)を加え抽出操作を行った。水層をさらに3回酢酸エチル(0.5ml×3)で抽出し、あわせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。乾燥した有機層を濾別し、減圧下有機溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル0.5g,塩化メチレン:メタノール=9:1,1:1,1:2)に供し、15R−16−(3−メチルフェニル)−17,18,19,20−テトラノルイソカルバサイクリン4.4mgを得た。
【0038】
1H−NMR(CDCl3 ,270MHz)δ1.2−1.7(m,7H),1.8−2.1(m,4H),2.2−2.5(m,8H),2.78(dd,1H,J=6.4,13.4Hz),2.87(dd,1H,J=6.9,13.4Hz),2.9−3.0(br,1H),3.5−3.7(m,1H),4.3−4.4(m,1H),5.28(d,1H,J=1.0Hz),5.43(dd,1H,J=8.4,15.3Hz),5.62(dd,1H,J=6.4,15.3Hz),6.9−7.1(m,3H),7.20(t,1H,J=7.4)
実施例4
実施例1と同様にして、下記の化合物を得た。
【0039】
【化16】
Figure 0003822472
【0040】
【表1】
Figure 0003822472
【0041】
【化17】
Figure 0003822472
【0042】
【表2】
Figure 0003822472
【0043】
【化18】
Figure 0003822472
【0044】
【表3】
Figure 0003822472
【0045】
【化19】
Figure 0003822472
【0046】
【表4】
Figure 0003822472
【0047】
【化20】
Figure 0003822472
【0048】
【表5】
Figure 0003822472
【0049】
実施例5
実施例2と同様にして、下記の化合物を得た。
【0050】
【化21】
Figure 0003822472
【0051】
【表6】
Figure 0003822472
【0052】
【化22】
Figure 0003822472
【0053】
【表7】
Figure 0003822472
【0054】
【化23】
Figure 0003822472
【0055】
【表8】
Figure 0003822472
【0056】
【化24】
Figure 0003822472
【0057】
【表9】
Figure 0003822472
【0058】
【化25】
Figure 0003822472
【0059】
【表10】
Figure 0003822472
【0060】
実施例6
実施例3と同様にして、下記の化合物を得た。
【0061】
【化26】
Figure 0003822472
【0062】
【表11】
Figure 0003822472
【0063】
【化27】
Figure 0003822472
【0064】
【表12】
Figure 0003822472
【0065】
【化28】
Figure 0003822472
【0066】
【表13】
Figure 0003822472
【0067】
【化29】
Figure 0003822472
【0068】
【表14】
Figure 0003822472
【0069】
【化30】
Figure 0003822472
【0070】
【表15】
Figure 0003822472
【0071】
実施例7
〔イソカルバサイクリン誘導体のトリチウムラベルイソカルバサイクリンに対するdisplacement実験〕
ラット脳から全身生食灌流により血液成分を除去し、これを凍結して10μm厚の凍結切片を作成した。これを50mM Tris/HCl pH7.4,20mM MgCl液中で10nMの〔 3H〕イソカルバサイクリンおよび種々の濃度のイソカルバサイクリン誘導体とともに4℃で2時間Incubationした。Incubation洗浄後、乾燥を行い、切片のオートラジオグラフィーのフィルムを作成した。このオートラジオグラフィー(n=4以上)の定量解析により、各イソカルバサイクリンのdisplacement値を算出した。
【0072】
1)視床(中枢神経型)での結果を、以下の化合物について示したものが表16および表17である。
【0073】
【化31】
Figure 0003822472
【0074】
【化32】
Figure 0003822472
【0075】
【化33】
Figure 0003822472
【0076】
【化34】
Figure 0003822472
【0077】
【化35】
Figure 0003822472
【0078】
【表16】
Figure 0003822472
【0079】
【表17】
Figure 0003822472
【0080】
以上の結果により、視床でのプロスタサイクリン受容体(中枢神経型)に対し、この発明化合物(特に化合物A)が非天然立体配置(15位)を持つにもかかわらず、イソカルバサイクリンよりも強い活性をしめすことがわかる。
2)延髄孤束核(末梢神経系)での結果を示したものが表18および表19である。
【0081】
【表18】
Figure 0003822472
【0082】
【表19】
Figure 0003822472
【0083】
実施例8
〔イソカルバサイクリン誘導体の血小板凝集抑制活性評価〕
ラット(体重500g)をエーテル麻酔下に腹部大動脈より全採血し、3.8%クエン酸ナトリウムを1/10量加え、1000rpmで10分遠心して上層をplatelet rich plasma(PRP)とし、下層をさらに3000rpmで10分遠心してplatelet poor plasma(PPP)を得た。PRP中の血小板数を測定し、PPPで希釈して3.5×105 /mlになるように調整して血小板液として用いた。キュベットに血小板液90μlを入れ、被験薬物を5μ加えて1分間37℃でインキュベートした後5μlの凝集剤(100μM ADP)を加えて血小板を凝集させ、高度の変化を測定した。凝集活性のコントロールは生理食塩水を添加した際の濁度を用いた。
【0084】
その結果を示したものが表20である。
【0085】
【表20】
Figure 0003822472
【0086】
【発明の効果】
以上詳しく説明した通り、この発明により、脳内、特に中枢神経組織で産生されるプロスタサイクリン受容体の探索研究や、中枢神経系の疾患の治療薬として有用なイソカルバサイクリン誘導体が提供される。

Claims (4)

  1. 下記式〔I〕
    〔式中、R1は水素原子を示し、R 2 は−(CH 2 n −(nは2または3の数を示す)で表されるアルキレン基を示す〕で表されるイソカルバサイクリン誘導体。
    Figure 0003822472
  2. 式〔I〕のベンゼン環上のメチル基はメタ位で結合している請求項1のイソカルバサイクリン誘導体。
  3. 式〔I〕の15位の立体配置がR体配置である請求項1または2のイソカルバサイクリン誘導体。
  4. 請求項1ないし3のいずれかのイソカルバサイクリン誘導体の製造方法であって、下記式〔 II
    Figure 0003822472
    〔式中、R 2 は−(CH 2 n −(nは2または3の数を示す)で表されるアルキレン基を示す〕で表される Horner-Emmons 試薬と下記式〔 III
    Figure 0003822472
    〔式中、R 3 はアルキル基を示す。〕で表される化合物とを塩基の存在下に反応させ、下記式〔 IV
    Figure 0003822472
    〔式中、R 2 およびR 3 は上記規定と同じである。〕で表される化合物に変換し、ついで還 元反応、あるいは必要に応じた加水分解反応に付すことを特徴とする下記式〔I〕
    Figure 0003822472
    〔式中、R 1 は水素原子を示し、R 2 は−(CH 2 n −(nは2または3の数を示す)で表されるアルキレン基を示す〕で表されるイソカルバサイクリン誘導体の製造法。
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