JP3822413B2 - 透明液体柔軟剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は外観上透明な液体柔軟剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来の液体柔軟剤は、柔軟基剤が水に難溶であるために水中で0.1〜10μmの粒子径を有する粒子として分散し、外観上濁ったものになる。
【0003】
柔軟剤の透明化については、特開平3−27180号公報には、4級アンモニウム化合物に特定の有機酸を配合することで透明化させる技術が記載されており、また特開平2−300382号公報には、特定の非イオン性高分子化合物を配合する技術が開示されている。しかしながら、これらの柔軟剤は透明化のために、柔軟基剤以外の化合物を配合するため、配合組成の自由度を制限するものであった。
【0004】
本発明の目的は、配合組成の自由度の高い透明柔軟剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(a)分子中に1つ以上のエステル基及び1つないし2つの炭素数10〜20のアルキル基もしくはアルケニル基を有する、4級アンモニウム化合物又は3級アミン化合物 5〜25重量%
(b)一般式(I)で示される非イオン界面活性剤 0.5〜10重量%
1−T−[(R2O)n−H]m (I)
[式中、R1 は炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基であり、R2 は炭素数2又は3のアルキレン基である。また、nは2〜80の数を示す。さらにTはO、N又は−CON−であり、TがOの場合はmは1であり、TがN又は−CON−の場合はmは2の数である。] 、および
(c)炭素数8〜20の脂肪酸又はその塩 0.01〜0.5重量%
を含有し、
且つ(c)成分に対する(a)成分の重量比が(a)/(c)=96/4〜99.9/0.1である、という構成の採用により、透明な液体柔軟剤を提供するものである。
【0006】
本発明の透明柔軟剤において、透明とは、光路長10mmの石英セルを使用し、対照側セルにイオン交換水を用いた時の660nmの波長の光透過率が30%以上のものを意味する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する(a)成分は、分子中に少なくとも1つのエステル基及び1つないし2つの炭素数10〜20、好ましくは12〜20のアルキル基もしくはアルケニル基を有する、4級アンモニウム化合物もしくは3級アミン化合物である。3級アミン化合物は無機又は有機酸塩が好ましい。このような化合物としては一般式(II)及び一般式(III)で示される化合物を挙げることができる。
【0008】
【化1】
Figure 0003822413
【0009】
[式中、R3 、R6 は炭素数10〜20、好ましくは11〜20のアルキル基又はアルケニル基を示し、X、Yは、−COO−、−CONR9 −、−OCO−、−NR9 CO−であり、好ましくはX、Yのうち少なくとも1つは−COO−である。ここでR9 は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキレン基を示す。また、R4 、R7 は炭素数1〜5のアルキレン基であり、R5 、R8 は炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキレン基を示すか、或いはR3 −X−R4 −であってもよい。また、Zは1価又は2価のアニオンであり、好ましくはCl- 、SO4 2- 、HSO4 - 、R'OSO3 - (R'は炭素数1〜3のアルキル基)、R''COO- (R''は炭素数8〜18の直鎖のアルキル基)である。尚、柔軟剤中で他成分とイオン交換されている場合はこの限りでない。]
より具体的には以下の化合物(1)〜(4)を挙げることができる。
【0010】
【化2】
Figure 0003822413
【0011】
[前記化合物(1)〜(4)中、R10は炭素数11〜17のアルキル基又はアルケニル基であり、さらには炭素数15〜17のアルキル基がより好ましい。Z’はCl- 、SO4 2- 、HSO4 - 、R'OSO3 - (R'は炭素数1〜3のアルキル基)、R''COO- (R''は炭素数8〜18の直鎖のアルキル基)であり、Cl- が好ましい。]
また、一般式(II)及び一般式(III)で示される化合物以外にも下記化合物(5)を用いてもよい。
【0012】
【化3】
Figure 0003822413
【0013】
[前記化合物(5)中、R10及びZ’は前記記載の通りである。]
本発明では特にエステル基とアミド基を有する化合物(1)、(3)あるいはこれらの混合物が特に柔軟性能と透明化の点から好ましい。
【0014】
(a)成分は、柔軟効果の点から5〜25重量%、好ましくは10〜20重量%配合される。
【0015】
本発明では、(b)成分として一般式(I)で示される非イオン界面活性剤を使用する。
【0016】
1−T−[(R2O)n−H]m (I)
[式中、R1 は炭素数10〜18、好ましくは12〜18のアルキル基又はアルケニル基であり、R2 は炭素数2又は3のアルキレン基、好ましくはエチレン基である。また、nは2〜80、好ましくは2〜60、より好ましくは5〜40、最も好ましくは20〜40の数を示す。さらにTはO、N又は−CON−であり、TがOの場合はmは1であり、TがN又は−CON−の場合はmは2の数である。]
(b)成分としては以下の化合物(6)〜(9)を挙げることができる。
【0017】
1−O−(C24O)p−H (6)
[式中、pは8〜60、好ましくは20〜40の数である。]
1−O−(C24O)q(C36O)r−H (7)
[式中、q及びrはそれぞれ独立に2〜40、好ましくは5〜40の数であり、エチレンオキシドとプロピレンオキシドはランダムあるいはブロック付加体であってもよい。]
【0018】
【化4】
Figure 0003822413
【0019】
[式中、s及びtの合計は5〜80、好ましくは5〜60、より好ましくは5〜40の数である。]
(b)成分の配合量は透明化及び安定性の点から0.5〜10重量%、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは2〜10重量%である。
【0020】
本発明の(c)成分は炭素数8〜20の脂肪酸又はその塩類であり、具体的にはカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、あるいはこれらの混合物であり、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸から選ばれる1種以上が特に好ましい。また、ヤシ油、パーム油、パーム核油、牛脂から誘導されるアルキル組成を有する脂肪酸も好ましい。
【0021】
(c)成分の配合量は透明化のために、0.01〜0.5重量%、好ましくは0.03〜0.25重量%、特に好ましくは0.03〜0.15重量%である。
【0022】
また、(c)成分に対する(a)成分の重量比が、(a)/(c)=96/4〜99.9/0.1、好ましくは96/4〜99.5/0.5であることが透明化のために重要である。
【0023】
本発明の透明液体柔軟剤には、透明化の妨げにならない程度に通常配合される香料、抗菌剤あるいは色素等の成分を配合しても差し支えない。しかしながら、通常、粘度改変剤、抗ゲル化剤として柔軟剤に配合される塩化カルシウムは透明化の妨げとなるため、500ppm以下にとどめるべきであり、好ましくは実質上添加しないことが望ましい。但し、脂肪酸塩類などの界面活性剤にはナトリウム塩やカリウム塩が含まれているが、このような界面活性剤の使用によって組成物に混入する無機塩は上記制限を受けるものではない。
【0024】
また、柔軟性向上剤及び安定性の点から配合されることが多い、(b)成分以外の炭素数8〜20のアルキル基またはアルケニル基を1つ以上有する非イオン性化合物、特にトリグリセライド、ジグリセライド、モノグリセライド、ペンタエリスリトールのモノ、ジ、トリエステル、ソルビタンエステルなどの多価アルコールの脂肪酸エステルの配合量は1重量%以下にすることが良く、実質上配合しないことが透明化の点で好ましい。
【0025】
さらに本発明では通常配合されるエタノールやイソプロパノールなどの溶媒成分を実質上配合しないことが透明化の点から望ましい。但し、4級アンモニウム化合物や3級アミンの酸塩を製造するときには、反応溶媒としてエタノールやイソプロパノールが一般に使用されるため、4級アンモニウム化合物や3級アミンの酸塩中には約1〜30重量%溶媒が混入している。このため、このような柔軟基剤を使用する場合、上記溶媒が本発明の組成物に入ることになるが、このような溶媒は組成物中に5重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは1重量%以下にすることが望ましい。
【0026】
本発明の液体柔軟剤組成物のpHは、安定性の点から1.5〜6.0、好ましくは2.0〜6.0、より好ましくは2.0〜5.0である。このような範囲外では柔軟基剤のエステル結合が貯蔵中に分解するため好ましくない。
【0027】
本発明の透明液体柔軟剤の調製法は特に制限されないが、液体柔軟剤の配合成分のうち少なくとも(a)成分、(b)成分、(c)成分及び水を50〜80℃で混合した後、0〜30℃に冷却し、再度加熱し50〜80℃の状態で1〜60分間置いた後、再度0〜30℃に冷却して調製する方法が最も透明性を与える方法であり、好ましい。(c)成分は(a)成分と混合し、加熱溶融された状態で添加する方が透明性の点でより好ましい。
【0028】
具体的な製法を下記する。
【0029】
工程(A);
攪拌羽を有する混合機を取り付けた攪拌槽に水を入れ、50〜80℃、好ましくは55〜80℃、より好ましくは55〜70℃に水浴により加熱しながら混合する。(a)、(b)および(c)成分、所望により香料、色素、あるいは抗菌剤を逐次添加し、硫酸、塩酸などの酸或いは水酸化ナトリウムなどの塩基でpHを所望の値に調整する。50〜80℃、好ましくは55〜80℃、より好ましくは55〜70℃で十分内容物が均一になるまで混合する。次に、内容物を冷媒などを使用して0〜30℃まで冷却する。冷却速度は1〜20℃/分で冷却することが好ましい。
【0030】
工程(B);
工程(A)に引き続いて混合物を再度50〜80℃、好ましくは55〜70℃に加熱混合する。所望の温度に到達した段階で1〜30分間、好ましくは1〜15分間攪拌混合し、その後30℃以下まで冷却する。この時の冷却速度は3℃/分〜20℃/分、好ましくは5℃/分〜15℃/分が好ましく、冷媒等を使用して冷却する。
【0031】
本発明では上述のように、2回加熱、冷却を繰り返すことにより液体柔軟剤に効率よく透明性を与えることができる。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、配合の自由度の高い透明な液体柔軟剤を提供することができる。
【0033】
【実施例】
実施例1〜3、比較例1〜4
1.柔軟基剤の合成
1−1.柔軟基剤(a−1)の合成
【0034】
【化5】
Figure 0003822413
【0035】
[R; 炭素数17および15が混合した飽和アルキル基(炭素数17:炭素数15=60/40)]
N−メチルエタノールアミンとアクリロニトリルの付加物を用いて公知の方法[ J. Org. Chem.,26, 3409,(1960)]で合成したN−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−1,3−プロピレンジアミン66gとステアリン酸/パルミチン酸混合脂肪酸(モル比60/40)284gをフラスコに仕込み、180℃まで昇温した。その温度で約10時間、生成する水を留去しながら加熱した。反応終了後室温まで冷却し、アミン化合物(a−1' )330gを得た。次に(a−1' )を330gのイソプロパノールに溶解し、アミンに対して当量の塩酸を添加し、得られた溶液を減圧でイソプロパノール留去して(a−1)を得た。(a−1)中にはイソプロパノールが13重量%含まれていた。
1−2.柔軟基剤(a−2)の合成
【0036】
【化6】
Figure 0003822413
【0037】
[R; 炭素数17および15が混合した飽和アルキル基(炭素数17:炭素数15=60/40)]
1−1で合成したアミン化合物(a−1' )300gをイソプロパノール60gに溶解し、オートクレーブに仕込み、メチルクロライド28gを圧入した。100℃で8時間反応した後、減圧でイソプロパノールを留去して化合物(a−2)を得た。(a−2)中にはイソプロパノールが13重量%含まれていた。
1−3.柔軟基剤(a' −1)の合成
【0038】
【化7】
Figure 0003822413
【0039】
[R' ; 炭素数18および16が混合した飽和アルキル基(炭素数18:炭素数16=60/40)]
1−1で合成したアミン化合物(a−1' )をアミンに対して当量の塩酸水溶液に溶解し、得られた水溶液を凍結乾燥して(a' −1)を得た。
1−4.柔軟基剤(a' −2)の合成
【0040】
【化8】
Figure 0003822413
【0041】
[R' ; 炭素数18および16が混合した飽和アルキル基(炭素数18:炭素数16=60/40)]
1−1で合成したアミン化合物(a−1' )300gをイソプロパノール60gに溶解し、オートクレーブに仕込み、メチルクロライド28gを圧入した。100℃で8時間反応した後、減圧でイソプロパノールを留去して化合物(a' −2)を得た。(a' −2)中にはイソプロパノールが1.3重量%含まれていた。
2.透明液体柔軟剤の調製
表1に示す組成の柔軟剤を下記に示す製法で調製した。
2−1.配合成分の詳細
(a)成分;製造例で合成した化合物(a−1)及び(a−2)
(b)成分;
(b−1)炭素数12の飽和アルコールにエチレンオキサイドを平均21モル付加させたもの
(b−2)ラウリルアミンにエチレンオキサイドを平均20モル付加させたもの
(c)成分;
(c−1)ルナックS−50(ステアリン酸、花王(株)製)
(d)成分;
(d−1)塩化カルシウム
(d−2)エキセル150(ステアリン酸モノ、ジ、トリグリセリド混合物(モノ:ジ:トリ=60:35:5)花王(株)製)
(e)成分;
(e−1)色素(アシッドブルー9)
(e−2)抗菌剤(プロキセルBDN)
(e−3)香料
2−2.液体柔軟剤の調製方法
1Lガラス製ビーカーにイオン交換水を入れ、ウォーターバスにより60℃まで加熱した。(a)〜(e)成分を攪拌しながら逐次添加した。但し、(a)成分と(c)成分は予備混合し、加熱溶融した状態で添加した。pHはN/10HCl溶液により3.0に調整した。さらに30分間、60℃に保ったまま混合した後、20℃の水浴により攪拌しながら30℃以下まで冷却した(冷却速度1.5℃/分)。次にウォーターバスにより再度60℃まで加熱し、5分間攪拌後、5℃の水浴により急冷した。30℃以下の温度に達するまで約4分を要した(7.5℃/分)。
【0042】
最終的に20℃の温度にまで冷却後、攪拌を止め、1時間放置した後、柔軟剤組成物の透明性を評価した。透明性は、島津製作所製UV−2500PC型測定機器を用い、測定セルは光路長10mmの石英セルを使用し、対照側セルにイオン交換水を入れた場合の660nmの波長の光透過率により評価した。結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
Figure 0003822413
【0044】
表1に示すように、本発明の液体液体柔軟剤は、好適な透明性を示し、美観的に優れたものであった。なお、柔軟基剤(a−1)の代わりに(a' −1)を、(a−2)の代わりに(a' −2)を用いて、表1の組成を調製した場合も同様に優れた透明性を示した。

Claims (2)

  1. (a)分子中に1つ以上のエステル基及び1つないし2つの炭素数10〜20のアルキル基もしくはアルケニル基を有する、4級アンモニウム化合物又は3級アミン化合物 5〜25重量%
    (b)一般式(I)で示される非イオン界面活性剤 〜10重量%
    1−T−[(R2O)n−H]m (I)
    [式中、R1 は炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基であり、R2 は炭素数2又は3のアルキレン基である。また、nは2〜80の数を示す。さらにTはO、N又は−CON−であり、TがOの場合はmは1であり、TがN又は−CON−の場合はmは2の数である。] 、および
    (c)炭素数8〜20の脂肪酸又はその塩 0.01〜0.3重量%
    を含有し、
    且つ(c)成分に対する(a)成分の重量比が(a)/(c)=96/4〜99.9/0.1である透明液体柔軟剤。
  2. 請求項1記載の液体柔軟剤の配合成分のうち少なくとも(a)成分、(b)成分、(c)成分及び水を50〜80℃で混合した後、0〜30℃に冷却し、再度加熱し50〜80℃の状態で1〜60分間置いた後、再度0〜30℃に冷却する請求項1記載の透明液体柔軟剤の製法。
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