JP3821711B2 - 通信管理装置,通信管理プログラム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,複数の通信装置に対するポーリングにより各通信装置の通信状態を管理する通信管理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来,複数の通信装置に対するポーリングにより各通信装置の通信状態を管理する通信管理装置がある。例えば,通信回線で接続された複数の通信局のうち,1つを主局,その他を従局とし,通信管理装置の一例である主局が従局(前記通信装置に該当)に対するポーリングによって通信状態をチェックするようなものがある。この場合,一般的には,主局が,管理する全ての従局に対して予め定められた順序でポーリングを行い,各従局からの応答によってその通信状態をチェックする。また,特開平10−65714号公報に示されるように,ポーリングによって検知した従局の通信状態に応じて,従局に対するポーリングの順序(優先順位)を動的に変更する(通信状態の悪い従局の優先順位を下げる)ものもある。
このようなポーリングにおいては,所定時間内に従局から応答が返った場合に通信状態は正常と判断し,所定のタイムアウト時間内に応答が返らない場合にタイムアウト(通信状態が異常)と判断する。また,タイムアウトが生じた場合に,その従局から応答が返るまでポーリングを繰り返し,タイムアウトが所定の再ポーリング回数だけ連続して初めて通信状態が異常であると判断する場合もある。また,通信状態が正常と判断される場合であっても,なんらかの原因で従局からの応答に時間がかかっている(応答時間が長い)場合や,タイムアウトが発生している(タイムアウトの回数が1回以上)場合もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,応答時間が長い従局や,タイムアウトが発生する従局の数が増えると,それら従局に対するポーリングに時間を要するために,他の従局に対してポーリングを行う時間間隔も長くなってしまい,予定した時間間隔でポーリングができなくなるという問題点があった。また,前述した公報のように,従局のポーリング順序(優先順位)を変更しても,1つの主局が全ての従局をポーリングすることに変わりがなく,ポーリングに時間を要する従局の数が増えた場合には,全従局を一通りポーリングするのに長時間を要するという問題が生じる。この問題は,従局の通信状態の変化が速く,ポーリングの時間間隔を短くしたい場合に特に顕著となる。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,管理する従局の一部に対するポーリングに長時間を要する(通信状態が悪い)場合であっても,他の従局に対するポーリングに影響を及ぼさない通信状態管理装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は,複数の通信装置と通信可能に構成され,前記通信装置に対するポーリングにより前記通信装置の通信状態を管理する通信管理装置において,それぞれ異なるポーリング条件で前記通信装置に対するポーリングをそれぞれ独立して行う複数のポーリング手段と,前記ポーリング手段それぞれについて,そのポーリング条件に対応する通信状態にある前記通信装置のみがポーリング先となるようにポーリング先の設定変更を行うポーリング先設定変更手段と,を具備してなることを特徴とする通信管理装置である。
これにより,独立して動作する前記ポーリング手段それぞれが,その通信条件に対応する通信状態である前記通信装置をポーリング先として管理する,即ち,通信状態の近似する前記通信装置のみを管理することになるので,全ての前記通信装置を順次ポーリングする場合のように,通信状態の悪い前記通信装置の存在が,通信状態の良い前記通信装置に対するポーリングに影響を及ぼすことを防止できる。
【0005】
また,前記ポーリング先設変更定手段としては,前記ポーリング手段それぞれ,前記通信状態が当該ポーリング手段に対応する状態でなくなった前記通信装置を,該通信装置の前記通信状態に対応する他の前記ポーリング手段のポーリング先として設定変更する手段が設けられることによって構成されたもの,即ち,前記ポーリング手段それぞれに分散させて構成したものや,前記ポーリング手段それぞれから前記通信状態を取得し,その通信状態を有する前記通信装置を,その通信状態に対応する前記ポーリング手段のポーリング先として設定変更するもの,即ち,前記ポーリング手段とは別個に構成したものが考えられる。
【0006】
また,前記ポーリング手段それぞれにおける前記ポーリング条件の相違が,ポーリング間隔又は再ポーリング回数のいずれか一方又は両方の相違であるものが考えられる。
さらに,前記ポーリング先設定変更手段が,ポーリングに対してタイムアウトが生じた回数又はポーリングに対する応答時間のいずれか一方又は両方に関する前記通信状態に基づいて,前記ポーリング先とする前記通信装置を設定変更するものも考えられる。
また,前記通信管理装置を通信管理方法として捉えたものも考えられる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態及び実施例について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態及び実施例は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係る通信管理装置Xを構成要素とする通信システムの構成を表すブロック図,図2は本発明の実施の形態に係る通信管理装置Xにおける通信管理プログラムの構成を表すブロック図,図3は本発明の実施の形態に係る通信管理装置Xの通信管理の処理手順を表すフローチャート,図4は本発明の実施例に係る通信管理装置X1における通信管理プログラムの構成を表すブロック図である。
【0008】
まず,図1を用いて本発明の実施の形態に係る通信管理装置Xを構成要素とする通信システムの構成について説明する。
本通信管理装置Xは,不図示のCPU,ROM,ハードディスク,通信インターフェース等を具備するパソコン等の一般的な情報処理装置であり,IEEE802.3規格の通信ケーブル等の通信回線1を介して複数の従局BとTCP/IP等により通信可能に接続されて通信システムを構成している。前記従局Bも本通信管理装置Xと同様にパソコン等の一般的な情報処理装置であり,実行するプログラムの設定によって,本通信管理装置Xが通信状態を管理する主局,その他が前記主局に対して応答する従局Bとして設定されている。以下,便宜上,本通信管理装置Xのことを主局Xというものとする。前記主局Xから前記従局Bに対するポーリング及びこれに対する前記従局Bの応答は,例えばSNMP等によって行われる。
【0009】
次に,図2を用いて,前記主局Xにおいて実行される通信状態管理プログラムの構成について説明する。
前記主局Xで実行される通信状態管理プログラムは,前記従局Bに対するポーリングを実行する複数のポーリングマネージャ31,32(前記ポーリング手段及び前記ポーリング先設定手段に相当)から構成されており,これら複数のポーリングマネージャ31,32は,例えば,マルチタスクOS上で実行する等によってそれぞれ独立して(並行して)ポーリングを行う。また,前記ポーリングマネージャ31,32には,それぞれ異なるポーリング条件が設定され,さらにポーリング先とする前記従局Bも異なるように設定される。例えば,図2に示す例では,1つの前記ポーリングマネージャ31には,前記ポーリング条件として,ポーリング間隔p1が10秒と設定され,他の前記ポーリングマネージャ32には,前記ポーリング間隔p1が60秒と設定されている。ここで,ポーリング間隔p1とは,ポーリングを開始してから,管理する全ての前記従局Bに対するポーリングを終了した後に再度ポーリングを開始するまでの時間間隔のことである。また,前記ポーリングマネージャ31,32それぞれが有するポーリングリスト41,42には,それぞれがポーリング先とする前記従局Bの識別情報が含まれている。該識別情報は,TCP/IP通信の場合,IPアドレス等とすることが考えられる。ここでは,初期状態において,前記ポーリング間隔p1の短い前記ポーリングマネージャ31の前記ポーリングリスト41に全ての前記従局Bの識別情報が設定され,他の前記ポーリングマネージャ32の前記ポーリングリスト42には,いずれの前記従局Bの識別情報も含まれないように設定されるものとする。このように,本発明では,前記ポーリングリスト41,42にいずれの前記従局Bの識別情報も含まれない(ポーリング先がない)設定も可能である。さらに,前記ポーリングマネージャ41,42には,その前記ポーリング条件(前記ポーリング間隔p1)に対応する通信状態の条件p21,p22が設定されるが,これについては後述する。
図2では,説明の便宜上,前記ポーリングマネージャ31,32を2つとしているが,前記ポーリング条件が異なる3以上の前記ポーリングマネージャ31,32,…で構成し,それぞれに前記ポーリング条件をよりきめ細かく設定することも考えられる。
【0010】
次に,図3を用いて,前記ポーリングマネージャ31,32それぞれが独立して実行する処理の手順について説明する。図3の処理は,前記主局Xで実行される所定の通信プログラムによる起動指令によって実行されるものとする。また,S1,S2,…は,処理手順(ステップ)の番号を表すものとする。
まず,前記ポーリングマネージャ31,32は,前記ポーリングリスト41,42に含まれる前記識別情報に対応する前記従局Bそれぞれに対して,順次ポーリングを行う(S1)。このとき,前記従局Bそれぞれの通信状態を記録する。即ち,前記従局Bそれぞれについて,タイムアウトが発生した場合には,当該従局Bの前記識別情報に対応づけて記録される連続タイムアウト回数(連続非応答回数)をカウントアップするとともに,同様に記録される連続応答回数を0にリセットする。一方,タイムアウトが発生しなかった場合には,前記連続タイムアウト回数を0にリセットするとともに,前記連続応答回数をカウントアップする。
このようにして,前記ポーリングリスト41,42内の全ての前記従局Bに対するポーリングが終了した後,記録された通信状態(前記連続タイムアウト回数及び前記連続応答回数)に基づいて,当該ポーリングマネージャ31,32の有する前記ポーリング条件に対応する通信状態の条件p21,p22に該当しなくなった(条件外となった)前記従局Bが存在するか否かが判別される。即ち,前記ポーリング間隔p1が短い前記ポーリングマネージャ31においては,前記連続タイムアウト回数が所定のしきい値p21以上(前記通信状態の条件の一例)である前記従局Bが前記条件外であるとし,前記ポーリング間隔p1が長いポーリングマネージャ32おいては,前記連続応答回数p22が所定のしきい値以上(前記通信状態の条件の一例)である前記従局Bが前記条件外であるとして,該条件外となる前記従局Bが存在するか否かが判別される。
S2において,前記条件外となる前記従局Bが存在すると判別された場合には,その従局Bの識別情報を自身(前記ポーリングマネージャ31,32)の前記ポーリングリスト41,42から他のポーリングマネージャ31,32の前記ポーリングリスト41,42へ移動させる(設定変更する)(S3)。
これは,前記ポーリング間隔p1が短い前記ポーリングマネージャ31の管理下に前記連続タイムアウト回数が大きい前記従局Bが存在すると,その従局Bに対するポーリングに長時間を要して全体のポーリングの時間間隔に影響が生じ,結果として,前記ポーリング間隔p1(10秒)を守れなくなってしまうからである。このような従局Bについては,前記ポーリング間隔p1の比較的長い他の前記ポーリングマネージャ32で管理した方が,他の従局Bに対するポーリングに影響が及ばず効率的である。一方,前記連続応答回数が所定以上の(即ち,タイムアウトが生じていない)従局Bについては,前記ポーリング間隔p1の短い前記ポーリングマネージャ31で管理した方が,より速い周期で通信状態を把握できる。
最後に,前回のポーリングの開始(S1の開始)から前記ポーリング間隔p1の時間だけ経過するのを待ち(S4のNo側),前記ポーリング間隔p1の時間が経過した時点で,S1へ戻って前述した処理が繰り返される。
【0011】
【実施例】
前記通信管理装置X(主局X)では,前記ポーリングマネージャ31,32は,それぞれ異なる前記ポーリング間隔p1(前記ポーリング条件の一例)を有するものであったが,これに限るものでなく,前記ポーリング間隔に影響を及ぼすような他のポーリング条件について,それぞれ異なるように構成することも考えられる。
例えば,ある従局Bに対するポーリングにおいてタイムアウトが生じた場合に,その従局から応答が返るまでポーリングを繰り返し,タイムアウトが所定の再ポーリング回数だけ連続して初めて通信状態が異常であると判断するような場合,前記ポーリングマネージャ31,32それぞれの前記再ポーリング回数が異なるように構成してもよい。即ち,一方の前記ポーリングマネージャ31には,前記再ポーリング回数を0回,他方の前記ポーリングマネージャ32には,前記ポーリング回数を3回と設定する等である。この場合,一方の前記ポーリングマネージャ31では,タイムアウトが発生した前記従局Bに対して再ポーリングを行わないので,前記ポーリング間隔の短いポーリングが可能となる。これに対し,他方の前記ポーリングマネージャ32では,再ポーリングを行うことによって,前記ポーリング間隔は長くなるが,より確実な通信状態の把握(2〜3回目の再ポーリングで成功する場合もある)が可能となる。
【0012】
また,前記通信管理装置X(主局X)では,通信状態に関する情報として,タイムアウトの回数に関する情報(前記連続タイムアウト回数,前記連続応答回数(=タイムアウトが生じなかった回数))を用いたが,通信状態に関する他の情報を用いてもよい。
例えば,ポーリングに対する応答時間やこれに関する情報(所定の応答時間以上を要した回数等)用いることが考えられる。これにより,タイムアウトが生じていなくても何らかの原因で応答に時間がかかっている前記従局Bを,前記ポーリング間隔p1が長い方の前記ポーリングマネージャ32の管理下へ移動させれば,もう一方の前記ポーリングマネージャ31の前記ポーリング間隔p1をより短く設定できる。
この他にも,例えば,前記従局Bが通信データの誤り検出を行う機能を有している場合は,前記主局が,前記従局Bから誤り発生率等の情報をポーリングによって取得し,該誤り発生率等の情報に基づいて,いずれの前記ポーリングマネージャ31,32のポーリング先とするかを設定してもよい。
【0013】
また,前記通信管理装置X(主局X)では,前記ポーリングマネージャ31,32それぞれにおいて,通信状態(前記連続タイムアウト回数,前記連続応答回数)が自身の前記ポーリング条件に対応する状態でなくなった前記従局Bを,該従局Bの通信状態に対応する他の前記ポーリングマネージャ31,32のポーリング先として設定変更する処理(図3のS2,S3の処理)を行っていたが,図4に示すように,このような処理を行うプログラムである管理エージェント51を個別に設けてもよい。
この場合,前記管理エージェント51は,前記ポーリングマネージャ31,32それぞれから通信状態に関する情報を取得し,その通信状態を有する前記従局Bを,その通信状態に対応する前記前記ポーリングマネージャ31,32の前記ポーリングリスト41,42にポーリング先として設定する。即ち,図3のS2,S3に相当する処理を前記管理エージェント51が行うことになる。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によれば,応答時間が長い従局や,タイムアウトが発生する従局の数が増えるた場合でも,それら従局は,例えば,ポーリングの時間間隔の長い別のポーリングマネージャのポーリング先となるように設定変更されるため,他の従局(応答時間が短い,又はタイムアウトが発生しない従局)に対するポーリングに影響を及ぼさず,予定した時間間隔でポーリングを行うことが可能となる。特に,従局の通信状態の変化が速く,ポーリングの時間間隔を短くしたい場合に有効となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る通信管理装置Xを構成要素とする通信システムの構成を表すブロック図。
【図2】本発明の実施の形態に係る通信管理装置Xにおける通信管理プログラムの構成を表すブロック図。
【図3】本発明の実施の形態に係る通信管理装置Xの通信管理の処理手順を表すフローチャート。
【図4】本発明の実施例に係る通信管理装置X1における通信管理プログラムの構成を表すブロック図。
【符号の説明】
1…通信回線
31,32…ポーリングマネージャ
41,42…ポーリングリスト
51…管理エージェント
B…従局
p1…ポーリング間隔(ポーリング条件)
p21…連続タイムアウト回数のしきい値(通信状態の条件)
p22…連続応答回数のしきい値(通信状態の条件)
S1,S2,,…処理手順(ステップ)

Claims (6)

  1. 複数の通信装置と通信可能に構成され,前記通信装置に対するポーリングにより前記通信装置の通信状態を管理する通信管理装置において,
    それぞれ異なるポーリング条件で前記通信装置に対するポーリングをそれぞれ独立して行う複数のポーリング手段と,
    前記ポーリング手段それぞれについて,そのポーリング条件に対応する通信状態にある前記通信装置のみがポーリング先となるようにポーリング先の設定変更を行うポーリング先設定変更手段と,を具備してなることを特徴とする通信管理装置。
  2. 前記ポーリング先設定変更手段
    前記ポーリング手段それぞれに,前記通信状態が当該ポーリング手段に対応する状態でなくなった前記通信装置,該通信装置の前記通信状態に対応する他の前記ポーリング手段のポーリング先として設定変更する手段が設けられることによって構成されたものである請求項1に記載の通信管理装置。
  3. 前記ポーリング先設定変更手段が,
    前記ポーリング手段それぞれから前記通信状態を取得し,その通信状態を有する前記通信装置を,その通信状態に対応する前記ポーリング手段のポーリング先として設定変更するものである請求項1に記載の通信管理装置。
  4. 前記ポーリング手段それぞれにおける前記ポーリング条件の相違が,ポーリング間隔又は再ポーリング回数のいずれか一方又は両方の相違である請求項1〜3のいずれかに記載の通信管理装置。
  5. 前記ポーリング先設定変更手段が,ポーリングに対してタイムアウトが生じた回数又はポーリングに対する応答時間のいずれか一方又は両方に関する前記通信状態に基づいて,前記ポーリング先とする前記通信装置の設定変更を行うものである請求項1〜4のいずれかに記載の通信管理装置。
  6. 複数の通信装置と通信可能に構成され,前記通信装置に対するポーリングにより前記通信装置の通信状態を管理する通信管理装置のプロセッサに実行させるための通信管理プログラムにおいて,
    それぞれ異なるポーリング条件で前記通信装置に対するポーリングをそれぞれ独立して行う複数のポーリング手順と,
    前記ポーリング手順それぞれについて,そのポーリング条件に対応する通信状態にある前記通信装置のみがポーリング先となるようにポーリング先の設定変更を行うポーリング先設定変更手順と,を前記プロセッサに実行させるための通信管理プログラム。
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