JP3821669B2 - 配線形成方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、配線形成方法及び装置に係り、特に半導体基板の表面に形成した配線用の窪みに銅(Cu)等の金属を埋め込んで配線を形成する配線形成方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体基板上に配線回路を形成するための金属材料として、アルミニウムまたはアルミニウム合金に代えて、電気抵抗率が低くエレクトロマイグレーション耐性が高い銅(Cu)を用いる動きが顕著になっている。この種の銅配線は、基板の表面に設けた微細凹みの内部に銅を埋込むことによって一般に形成される。この銅配線を形成する方法としては、CVD、スパッタリング及びめっきといった手法があるが、いずれにしても、基板のほぼ全表面に銅を成膜し、化学的機械的研磨(CMP)により不要の銅を除去するようにしている。
【0003】
図14は、この種の銅配線基板Wの製造例を工程順に示すもので、図14(a)に示すように、半導体素子を形成した半導体基材1上の導電層1aの上にSiO2からなる酸化膜2を堆積し、リソグラフィ・エッチング技術によりコンタクトホール3と配線用の溝4を形成し、その上にTaN等からなるバリア層5、更にその上に電解めっきの給電層としてシード層7を形成する。
【0004】
そして、図14(b)に示すように、基板Wの表面に銅めっきを施すことで、半導体基材1のコンタクトホール3及び溝4内に銅を充填するとともに、酸化膜2上に銅膜6を堆積する。その後、化学的機械的研磨(CMP)により、酸化膜2上の銅膜6を除去して、コンタクトホール3及び配線用の溝4に充填させた銅膜6の表面と酸化膜2の表面とをほぼ同一平面にする。これにより、図14(c)に示すように銅膜6からなる配線が形成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図15に示すように、例えば、直径d1が0.2μm程度の微細穴8と、直径d2が100μm程度の大穴9とが混在する基板Wの表面に銅めっきを施して銅膜6を形成すると、めっき液や該めっき液に含有される添加剤の働きを最適化したとしても、微細穴8の上ではめっきの成長が促進されて銅膜6が盛り上がる傾向があり、一方、大穴9の内部ではレベリング性を高めためっきの成長を行うことができないため、結果として、基板W上に堆積した銅膜6には、微細穴8上の盛り上がり高さaと、大穴9上の凹み深さbとをプラスした段差a+bが残る。このため、微細穴8及び大穴9の内部に銅を埋込んだ状態で、基板Wの表面を平坦化させるには、銅膜6の膜厚を十分に厚くし、しかもCMPで前記段差a+b分余分に研磨する必要があった。
【0006】
しかし、めっき膜のCMP工程を考えた時、めっき膜厚を厚くして研磨量を多くすればする程、CMPの加工時間が延びてしまい、これをカバーするためにCMPレートを上げれば、CMP加工時に大穴でのディッシングが生じるといった問題があった。
【0007】
つまり、これらを解決するには、めっき膜厚を極力薄くし、基板表面に微細穴と大穴が混在しても、めっき膜の盛り上がりや凹みを無くして、平坦性を上げる必要があるが、例えば電解硫酸銅浴でめっき処理を行った場合、めっき液や添加剤の作用だけで盛り上がりを減らすことと凹みを減らすことを両立することができないのが現状であった。また、積層中のめっき電源を一時逆電解としたり、PR( Periodic Reverse )パルス電源とすることで盛り上がりを少なくすることは可能であるが、凹部の解消にはならず、加えて表面の膜質を劣とすることになっていた。
【0008】
さらに、化学的、機械的、電気的ポリッシングのように、めっきをしながらCMPで削るというプロセスも発表されているが、めっき成長面に機械加工が付加されることで、めっきの異常成長を促すことにもなり、膜質に問題を起こしていた。
【0009】
本発明は上記に鑑みて為されたもので、基板表面に微細穴と大穴が混在しても、めっき膜の平坦性を向上させて、その後のCMP加工をディッシングの発生を防止しつつ短時間で行うことができるようにした配線形成方法及び装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、表面に微細窪みを形成した基板を用意する工程と、前記基板の表面にめっき液中で銅めっきを施す工程と、前記基板の表面に形成した銅めっき膜を、銅の錯体化合物、有機錯体、その誘導体である添加剤、銅の腐蝕電位を卑にする作用のある添加剤のうち少なくとも一つを含有するエッチング液中で電解エッチングする工程とを有することを特徴とする配線形成方法である。
【0011】
これにより、基板の表面に微細穴と大穴が混在する場合に、先ず、レベリング性の優れためっき液中でめっきを施して大穴内でのボトムアップ成長を促進することで、より薄いめっき膜厚で大穴を埋める。すると、微細穴上部のめっき膜の盛り上がりが大きくなるが、この盛り上がった部分を電解エッチングで選択的に除去することで、めっき膜の平坦性を向上させることができる。
また、本発明においては、めっきはめっき専用液にて行ない、エッチッングはエッチング専用液にて行うことでめっき膜質の劣化を防いでいる。
【0012】
錯体化合物としては、ピロリン酸、アミノカルボン酸(例えばグリシン等)等、有機錯体としては、エチレンジアミン、EDTA、DTPA、イミノ二酢酸、TETA、NTA等が挙げられる。銅の腐蝕電位を卑にする添加剤としては、チオ尿素またはその誘導体等が挙げられる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、前記電解エッチングで印加される電流波形がパルス波形またはPRパルス波形であることを特徴とする請求項1記載の配線形成方法である。これにより、エッチング液中に含まれる添加剤の拡散を改善することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、めっき液を保持し、微細窪みを形成した基板の表面にめっき液中で銅めっきを施すめっき処理部と、銅の錯体化合物、有機錯体、その誘導体である添加剤、銅の腐蝕電位を卑にする作用のある添加剤のうち少なくとも一つを含有するエッチング液を保持し、基板の表面に形成した銅めっき膜の電解エッチングを行うエッチング処理部とを備えたことを特徴とする配線形成装置である。これにより、めっき処理と電解エッチング処理を連続して行うことができ、特に、めっき処理と電解エッチング処理を繰り返すことで、めっき膜の平坦度を更に向上させることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、前記エッチング処理部には、基板を下向きで保持する基板保持部と、この基板保持部で保持した基板の下面に対向する位置にエッチング液中に浸漬させて配置した陰極板と、前記基板保持部で保持した基板と前記陰極板とを相対移動させる相対移動機構とが備えられていることを特徴とする請求項3記載の配線形成装置である。このように、基板と陰極板とを相対移動させることで、局部的なエッチングが増幅されて、平坦性が悪くなることを防止することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、前記基板と前記陰極板とを相対移動させる相対移動機構は、前記基板を回転させる基板回転機構と、前記陰極板を回転、往復動、偏心回転またはスクロール運動させる陰極板移動機構とからなることを特徴とする請求項4記載の配線形成装置である。これにより、基板上の各ポイントにおける陰極板との相対速度をより均一にして、基板と陰極板との間の極間を流れるエッチング液の流れの状態をより均一に、すなわちエッチング液の流れに特異点が生じないようにすることができる。この陰極板と基板との間の極間距離は、機構的に可能な限り小さく、例えば1.0mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることが特に好ましい。
【0017】
請求項6に記載の発明は、前記陰極板の表面には、面内を全長に亘って連続して延びる多数の溝が形成され、前記陰極板の内部には、前記溝の内部で開口して該溝の内部にエッチング液を供給する複数のエッチング液供給孔が設けられていることを特徴とする請求項5記載の配線形成装置である。これにより、電解エッチングの際に、エッチング液を陰極板の表面に設けた溝から陰極板と基板との間の極間に供給し、このエッチング液中に浮遊する粒子を遠心力の作用で溝の中を通過させて外方に流出させることで、極間部には常に新たなエッチング液が存在するようにすることができる。この溝の形状は、陰極板の中央部と外周部で電流密度に差が生じてしまうことを防止するとともに、エッチング液を外部にスムーズに流出させるため、格子状または平行であることが好ましい。
【0018】
請求項7に記載の発明は、前記基板保持部は、真空吸着方式または静電チャック吸着方式で基板を保持するように構成されていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の配線形成装置である。これにより、基板をその全面に亘って吸着保持することで、基板に存在するうねりを吸収して、基板をより平坦に保持することができる。
【0019】
請求項8に記載の発明は、前記陰極板は、チタンで構成されていることを特徴とする請求項4乃至7のいずれかに記載の配線形成装置である。これにより、例えば銅めっき膜に電解エッチングを施すと、溶解した銅イオンは陰極板側に析出するが、陰極板をチタンのように表面の酸化膜の影響で銅との密着力が悪い材料で構成することで、銅イオンを析出すると同時に銅粒子としてエッチング液中に浮遊させ、このエッチング液を外部に流出させることで、陰極板表面の平坦度が経時的に劣化することを防止し、しかも、水素ガスの発生を防止して、平坦度に優れたエッチングを行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態の配線形成装置の平面配置図を示す。この配線形成装置は、各一対のロード・アンロード部10、洗浄・乾燥処理部12、仮置き部14、めっき処理部16、水洗部18及びエッチング処理部20を有し、更にロード・アンロード部10、洗浄・乾燥処理部12及び仮置き部14との間で基板の受渡しを行う第1搬送機構22と、仮置き部14、めっき処理部16、水洗部18及びエッチング処理部20との間で基板の受渡しを行う第2搬送機構24が備えられている。
【0021】
前記めっき処理部16は、図2に示すように、上方に開口し内部にめっき液30を保持する円筒状のめっき槽32と、基板Wを着脱自在に下向きに保持して該基板Wを前記めっき槽32の上端開口部を塞ぐ位置に配置する基板保持部34とを有している。めっき槽32の内部には、めっき液30中に浸漬されてアノード電極となる平板状の陽極板36が水平に配置され、基板Wが陰極板となるようになっている。更に、めっき槽32の底部中央には、上方に向けためっき液の噴流を形成するめっき液噴射管38が接続され、めっき槽32の上部外側には、めっき液受け40が配置されている。
【0022】
これにより、めっき槽32の上部に基板Wを基板保持部34で下向きに保持して配置し、陽極板(アノード)36と基板(カソード)Wの間に所定の電圧を印加しつつ、めっき液30をめっき液噴射管38から上方に向けて噴出させて、基板Wの下面(被めっき面)に垂直にめっき液30の噴流を当てることで、陽極板36と基板Wの間にめっき電流を流して、基板Wの下面にめっき膜を形成するようにしている。
【0023】
前記エッチング処理部20は、図3に示すように、上方に開口し内部にエッチング液50を保持する円筒状のエッチング槽52と、基板Wを静電チャック等の保持部54で着脱自在に下向きに保持して該基板Wを前記エッチング槽52の上端開口部を塞ぐ位置に配置する基板保持部56とを有している。エッチング槽52の内部には、エッチング液50中に浸漬されてカソードとなる平板状の陰極板58が水平に配置され、基板Wがアノードとなるようになっている。更に、基板保持部56は、その中央部でモータ60に接続された駆動軸62の下端に連結されて基板Wと一体に回転し、陰極板58は、シリンダ等の往復駆動部64の往復ロッド66の先端に連結されて、この往復駆動部64の駆動に伴って水平方向に沿って往復動するよう構成されている。
【0024】
これにより、基板Wを基板保持部56で下向きに保持して基板Wの下面(エッチング面)をエッチング液50に接触させた状態で、基板Wを基板保持部56と一体に回転させ、同時に陰極板58を往復運動させながら、陰極板(カソード)58と基板(アノード)Wの間に所定の電圧を印加して陰極板58と基板Wの間にめっき電流を流すことで、基板Wに形成されためっき膜を電解エッチングするようにしている。
【0025】
図4は、エッチング処理部20の他の例を示すもので、これは、陰極板58として基板Wより大径のものを使用するとともに、この陰極板58の中央をモータ68を備えた駆動軸70の上端に連結して、このモータ68の駆動に伴って陰極板58が回転するようにしたものである。
【0026】
次に、図5乃至図10を参照して配線形成処理について説明する。
先ず、表面に配線用の微細穴8と大穴9(図7参照)が混在し、表面にシード層7(図14参照)を形成した基板Wをロード・アンロード部10から第1搬送機構22で一枚ずつ取り出し、仮置き部14を経由してめっき処理部16に搬入する(ステップ1)。
【0027】
次に、このめっき処理部16でめっき処理を行って、図6及び図7に示すように、基板Wの表面に銅膜6を形成する(ステップ2)。この時、大穴9の存在に伴う銅膜6の凹み6aの軽減を第一優先に考え、図2に示すめっき液30として、レベリング性の優れたもの、例えば硫酸銅の濃度が高く、硫酸の濃度が低いレベリング性の優れた組成、例えば、硫酸銅100〜300g/l、硫酸10〜100g/lの組成を有し、レベリング性を向上させる添加剤、例えばポリアルキレンイミン、4級アンモニウム塩、カチオン染料などを含有したものを使用する。ここで、レベリング性とは、穴中のボトムアップ成長に優れた性質を意味する。
【0028】
このように、レベリング性の優れためっき液30を使用して基板Wの表面にめっきを施すことで、図6に示すように、大穴9内でのボトムアップ成長が促進され、平坦部における銅膜6の膜厚t1より、大穴部における銅膜6の膜厚t2の方が厚くなる。これによって、薄いめっき膜厚t1で大穴9を埋めることが可能になる。しかし、このような条件で微細穴部をめっきすると、図7に示すように、銅膜6の微細穴8の上部における盛り上り高さaが高くなる。
【0029】
そして、必要に応じて、このめっき処理後の基板Wを水洗部18に搬送して水洗し、しかる後、水洗後の基板Wをエッチング処理部20に搬送する(ステップ3)。
【0030】
次に、このエッチング処理部20で基板Wの表面(被めっき面)に電解エッチング処理を施して、基板Wの表面に形成された銅膜6のエッチングを行う(ステップ4)。この時、図3及び図4に示すエッチング液50として、エッチング促進剤として機能する添加剤、例えばピロリン酸、エチレンジアミン、アミノカルボン酸、EDTA、DTPA、イミノ二酢酸、TETA、NTAなどやエッチング抑制剤として機能する添加剤、例えば4級アンモニウム塩、ポリマーなどの銅の錯体化合物、有機錯体またはその誘導体、或いはチオ尿素またはその誘導体などのような銅腐蝕電位を卑にする添加剤を含有したものを使用する。なお、ベース浴としては、硫酸、塩酸、硫酸過水、フッ酸過水などの酸や、アンモニア過水などのアルカリを使用してもよいが、それらに限定されるものではない。
【0031】
このように、エッチング液50として、電流密度の高い箇所に多く吸着して電位を卑にする作用のある添加剤又は銅の錯体化合物、有機錯体となる添加剤を使用し、図3及び図4に示すように、基板Wを陽極にし、対向位置に陰極板(陰極)58を配して電場を与えると、図8(a)に示すように、電流密度の高い盛り上がり部に添加剤Aが選択的に吸着し、この添加剤Aが吸着した部位の電位を卑にするため、銅膜6の図8(b)に仮想線で示すエッチング部Bが除去され、これによって、銅膜6の盛り上がり部のエッチングが選択的に行われる。一方、電流密度の低い箇所に多く吸着してエッチングを抑制させる添加剤が含まれているものを使用して、同様に電場を与えると、図9(a)のように、谷間に添加剤Aが選択的に吸着し、この添加剤Aが抑制剤となって、銅膜6の図9(b)に仮想線で示すエッチング部Bが除去され、これによって、盛り上がり部のエッチングが選択的に行われる。
【0032】
このように、銅膜6の盛り上がり部を選択的にエッチングすることで、図10に示すように、銅膜6の盛り上がり頂部から凹み底部までの段差Lを少なくして銅膜6の平坦性を向上させることができる。これによって、その後のCMP加工において、CMPレートを上げることなく、従って、ディッシングの発生を防止しつつ短時間で行うことができる。
【0033】
この時、電解エッチングで印加される電流波形パルスとして、パルス波形またはPRパルス波形を使用することで、エッチング液中に含まれる添加剤の拡散を改善することができる。エッチング液はベース浴のみからなり添加剤を含まない場合もある。
【0034】
ここで、図3に示すエッチング処理部20にあっては、エッチング処理中に基板Wを回転させ、同時に陰極板58を往復動させ、図4に示すエッチング処理部20にあっては、基板Wと陰極板58を共に同方向に回転させる。これによって、基板Wと陰極板58とを相対移動させ、しかも基板上の各ポイントにおける陰極板58との相対速度をより均一にして、基板Wと陰極板58との間の極間を流れるエッチング液の流れの状態をより均一に、すなわちエッチング液の流れに特異点が生じなくすることで、基板Wの局部的なエッチングが増幅されて平坦性が悪くなることを防止する。
【0035】
次に、必要に応じて、このエッチング処理後の基板Wを水洗部18に搬送して水洗し、しかる後、水洗後の基板Wを洗浄・乾燥処理部12に搬送する(ステップ5)。そして、この洗浄・乾燥処理部12で基板Wの洗浄・乾燥処理を行い(ステップ6)、しかる後、この基板を第1搬送機構22でロード・アンロード部10のカセットに戻す(ステップ7)。
【0036】
なお、図5に仮想線で示すように、めっき処理とエッチング処理を数回繰返して、1回のめっき処理毎に銅膜の盛り上がり部の選択的なエッチングを行うことで、銅膜の平坦度を更に向上させることができる。また、この例では、めっき処理とエッチング処理を1つの装置内で連続的に行うようにしているが、それぞれ独立した装置で個別に行うようにしても良い。
【0037】
ここで、電解エッチングにより、基板の被めっき面を平坦化させるには、基板を限りなく平らに保持するとともに、陰極板(カソード)を限りなく平らに加工して、両者を限りなく近接させた状態で相対運動を行わせ、同時に基板面内にエッチング液の流れと電場の特異点を生じさせないことが重要である。
【0038】
図11及び図12は、この要請に応えたエッチング処理部20の更に他の例を示す。これは、上方に開口して内部にエッチング液50を保持する円筒状のエッチング槽52と、基板Wを着脱自在に下向きに保持して該基板Wを前記エッチング槽52の上端開口部を塞ぐ位置に配置する基板保持部56とを有している。
【0039】
エッチング槽52は、略円板状の底板部72と、この底板部72の外周端部に固着した円筒状の溢流堰部74と、この溢流堰部74の外周を囲繞して該溢流堰部74との間にエッチング液排出部76を形成する外殻部78とを有しており、このエッチング槽52の底板部72の上面に、エッチング液50中に浸漬されてカソードとなる平板状の陰極板58が水平に配置されている。
【0040】
エッチング槽52の底板部72の下面中央には、円筒状のボス部72aが一体に連接され、このボス部72aは、軸受80を介して回転軸82の上端のクランク部82aに回転自在に連接されている。つまり、このクランク部82aの軸心O1は、回転軸82の軸心O2から偏心量eだけ偏心した位置に位置し、このクランク部82aの軸心O1とボス部72aの軸心が一致するようになっている。また、回転軸82は、軸受85a,85bを介して外殻部78に回転自在に支承され、更に、図示していないが、底板部72と外殻部78との間に、底板部72の自転を防止する自転防止機構が備えられている。
【0041】
これによって、回転軸82の回転に伴って、クランク部82aが偏心量eを半径とした公転運動を行い、このクランク部82aの公転運動に伴って、底板部72も陰極板58と一体に偏心量eを半径としたスクロール運動(並進回転運動)、即ち、自転運動を阻止された偏心量eを半径とした公転運動を行うようになっている。
【0042】
ここで、図12に示すように、陰極板58の直径d3は、直径d4の基板Wがスクロール運動を行っても、この陰極板58の表面から基板Wが食み出すことがない大きさに設定され、また下記のエッチング液供給孔58bを内包するエッチング液噴射領域の直径d5は、直径d4の基板Wがスクロール運動を行っても、この基板Wからエッチング液噴射領域が食み出すことがない大きさにそれぞれ設定されている。
【0043】
底板部72の内部には、循環槽84から延び、途中に圧送ポンプ86を有するエッチング液供給配管88に連通するエッチング液室72bと、このエッチング液室72bから上方に貫通して延びる複数のエッチング液吐出孔72cが設けられている。循環槽84は、戻り配管90を介してエッチング槽52のエッチング液排出部76に連通している。
【0044】
一方、陰極板58は、例えば銅めっき膜を電解エッチングする時に使用する場合には、表面の酸化膜の影響で銅との密着力が悪い材料、例えばチタンで構成されている。これにより、例えば銅めっき膜に電解エッチングを施すと、溶解した銅イオンは陰極板(カソード)58側に析出するが、陰極板58をチタンのような表面の酸化膜の影響で銅との密着力が悪い材料で構成することで、銅イオンを析出すると同時に銅粒子としてエッチング液中に浮遊させ、しかも、水素ガスの発生を防止して、平坦度に優れたエッチングを行うことができる。
【0045】
更に、陰極板58の表面には、面内を縦及び横方向に全長に亘って直線状に延びる格子状に溝58aが設けられ、内部の各エッチング液吐出孔72cに対応する位置には、この溝58aの内部に開口する複数のエッチング液供給孔58bが設けられている。
【0046】
これによって、電解エッチングの際に、エッチング液を陰極板58の表面に設けた溝58aから陰極板58と基板Wとの間の極間に供給し、このエッチング液中に浮遊する粒子を遠心力の作用で溝58aの中を通過させて外方にスムーズに流出させることで、極間部には常に新たなエッチング液が存在するようにすることができる。しかも、銅めっきを電解エッチングする時に、陰極板58として、チタンのような表面の酸化膜の影響で銅との密着力が悪い材料を選択することで、溶解して陰極板側に析出する銅イオンを、析出すると同時に銅粒子としてエッチング液中に浮遊させ、このエッチング液を溝58aを通過させてスムーズに外部に流出させることで、陰極板58の表面の平坦度が経時的に劣化することを防止して、陰極板58の平坦度を確保することができる。
【0047】
なお、この溝58aの形状は、陰極板58の中央部と外周部とで電流密度に差が生じてしまうことを防止するとともに、エッチング液が溝58aに沿ってスムーズに流れるようにするため、基板Wがスクロール運動を行う場合には、格子状であることが好ましく、また基板Wが往復動を行う場合には、この移動方向に沿った平行であることが好ましい。
【0048】
基板保持部56は、下方に開口したハウジング92の内部に、昇降ロッド94を介して昇降自在で、かつモータ60を介してハウジング92と一体に回転するように収容されており、この基板保持部56の内部には、真空源に連通する真空室56aと、該真空室56aから下方に貫通する多数の真空吸着穴56bが設けられている。これによって、基板保持部56は、真空吸着方式で基板Wを保持するようになっている。
【0049】
基板Wには、通常小さなうねりが有り、基板の保持の仕方によっては更に変形し、この変形した状態で電界エッチングによる平坦化処理をしても、0.1μm以下の平坦化は不可能となるが、このように、真空吸着方式を採用して、基板Wをその全面に亘って吸着保持することで、基板に存在するうねりを吸収して、基板をより平坦に保持し、これによって、電界エッチングによる平坦化処理によって、0.1μm以下の平坦化が可能となる。
なお、この真空吸着方式の代わりに、静電チャック方式を採用して基板を保持するようにしても良い。
【0050】
ここで、基板Wを基板保持部56で吸着保持して、基板Wをエッチング処理を行う処理位置まで下降させた時、この基板Wの下面と陰極板58の上面との極間距離Sが、機構的に可能な限り小さく、好ましくは、1.0mm以下、更に好ましくは、0.5mm以下となるようになっている。このように、極間距離Sを、機構的に可能な限り小さく、好ましくは、1.0mm以下、更に好ましくは、0.5mm以下とすることで、基板Wの表面のエッチングされるべき凸部への電流の集中を促進し、しかも、基板Wと陰極板58との間に面に垂直な電界を形成して、基板Wの表面(被めっき面)全面にわたって均一な平坦性を得ることができる。
【0051】
ハウジング92には、基板保持部56で基板Wを吸着保持した時、この基板Wのベベル部または周縁部と接触して、基板Wを陽極(アノード)にする電気接点96が設けられ、更に基板保持部56の下面には、基板Wを保持した時に該基板Wの上面と圧接してここをシールするパッキン98が設けられている。
【0052】
次に、エッチング処理部20で電解エッチング処理を行う時の動作について説明する。
先ず、エッチング槽52内にエッチング液50を供給し、このエッチング液50を溢流堰部74からオーバフローさせた状態で、底板部72を陰極板58と共にスクロール運動させる。この状態で、前述のようにして、銅めっき等のめっき処理を施した基板Wを下向きで吸着保持した基板保持部56を基板Wを回転させつつ、電解エッチング処理を行う処理位置まで下降させる。
【0053】
これにより、基板W上の各ポイントにおける陰極板58との相対速度をより均一にして、基板Wと陰極板58との間の極間を流れるエッチング液50の流れの状態をより均一に、すなわちエッチング液の流れに特異点が生じないようにする。
【0054】
この状態で、例えば図13に示すように、印加時間t1が、1mSec〜10mSec、好ましくは10mSecで、印加電流密度が5〜50A/dm2のパルス電流を、例えば印加時間の約5〜20倍の停止時間t2をおいて、複数回に亘って印加する。すると、エッチング電源投入時は、酸化溶出はまず基板上の凸部より起こり、平坦部へ降りてくる。従って、投入後、瞬時に電源をOFFにし、これを繰り返せば凸部のみの選択エッチングが可能となる。
【0055】
この時、陰極板58の表面に設けた溝58aから陰極板58と基板Wとの間の極間にエッチング液を供給し、このエッチング液中に浮遊する粒子を遠心力の作用で溝58aの中を通過させて外方にスムーズに流出させることで、極間部には常に新たなエッチング液が存在するようにする。しかも、銅めっきを電解エッチングする時に、陰極板58として、チタンのような表面の酸化膜の影響で銅との密着力が悪い材料を選択することで、溶解して陰極板側に析出する銅イオンを析出すると同時に銅粒子としてエッチング液中に浮遊させ、このエッチング液を溝58aを通過させてスムーズに外部に流出させることで、陰極板58の表面の平坦度が経時的に劣化することを防止して、陰極板58の平坦度を確保することができる。これにより、極間距離Sが変化せず、しかも水素ガスが発生することはないので、平坦性に優れたエッチングが可能となる。
【0056】
次に、前述のように、必要に応じて、このエッチング処理後の基板Wを水洗部18(図1参照)に搬送して水洗し、しかる後、前述と同様な処理を順次行う。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、基板の表面に微細穴と大穴が混在する場合に、先ず、レベリング性の優れためっき液中でめっきを施して大穴のボトムアップ成長を促進し、しかる後、めっき膜の盛り上った部分を電解エッチングで選択的に除去することで、めっき膜の平坦性を向上させることができ、これによって、その後のCMP加工をディッシングの発生を防止しつつ短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の配線形成装置の平面配置図である。
【図2】図1に使用されているめっき処理部の概要図である。
【図3】図1に使用されているエッチング処理部の概要図である。
【図4】エッチング処理部の他の例を示す概要図である。
【図5】図1に示す配線形成装置における処理工程の流れを示す図である。
【図6】基板にめっき処理を施す際の過程を概念的に示す断面図である。
【図7】基板にめっき処理を施した後の状態を示す断面図である。
【図8】エッチング処理部における選択的エッチングの一例を概念的に示す断面図である。
【図9】エッチング処理部における選択的エッチングの他の例を概念的に示す断面図である。
【図10】基板にエッチング処理を施した後の状態を示す断面図である。
【図11】エッチング処理部の更に他の例を示す断面図である。
【図12】図11のエッチング処理部に使用されている陰極板の平面図である。
【図13】図11に示すエッチング処理部に印加する電流パルスの例を示す図である。
【図14】めっき処理によって金属配線を形成する例を工程順に示す断面図である。
【図15】従来の基板にめっき処理を施した時の問題点の説明に付する断面図である。
【符号の説明】
6 銅膜
7 シード層
8 微細穴
9 大穴
16 めっき処理部
20 エッチング処理部
30 めっき液
32 めっき槽
34 基板保持部
36 陽極板
38 めっき液噴射管
50 エッチング液
52 エッチング槽
56 基板保持部
58 陰極板
58a 溝
58b エッチング液供給孔
72 底板部
72a ボス部
74 溢流堰部
82 回転軸
82a クランク部
A 添加剤
B エッチング部
Claims (8)
- 表面に微細窪みを形成した基板を用意する工程と、
前記基板の表面にめっき液中で銅めっきを施す工程と、
前記基板の表面に形成した銅めっき膜を、銅の錯体化合物、有機錯体、その誘導体である添加剤、銅の腐蝕電位を卑にする作用のある添加剤のうち少なくとも一つを含有するエッチング液中で電解エッチングする工程とを有することを特徴とする配線形成方法。 - 前記電解エッチングで印加される電流波形がパルス波形またはPRパルス波形であることを特徴とする請求項1記載の配線形成方法。
- めっき液を保持し、微細窪みを形成した基板の表面にめっき液中で銅めっきを施すめっき処理部と、
銅の錯体化合物、有機錯体、その誘導体である添加剤、銅の腐蝕電位を卑にする作用のある添加剤のうち少なくとも一つを含有するエッチング液を保持し、基板の表面に形成した銅めっき膜の電解エッチングを行うエッチング処理部とを備えたことを特徴とする配線形成装置。 - 前記エッチング処理部には、基板を下向きで保持する基板保持部と、
この基板保持部で保持した基板の下面に対向する位置にエッチング液中に浸漬させて配置した陰極板と、
前記基板保持部で保持した基板と前記陰極板とを相対移動させる相対移動機構とが備えられていることを特徴とする請求項3記載の配線形成装置。 - 前記基板と前記陰極板とを相対移動させる相対移動機構は、前記基板を回転させる基板回転機構と、前記陰極板を回転、往復動、偏心回転またはスクロール運動させる陰極板移動機構とからなることを特徴とする請求項4記載の配線形成装置。
- 前記陰極板の表面には、面内を全長に亘って連続して延びる多数の溝が形成され、前記陰極板の内部には、前記溝の内部で開口して該溝の内部にエッチング液を供給する複数のエッチング液供給孔が設けられていることを特徴とする請求項5記載の配線形成装置。
- 前記基板保持部は、真空吸着方式または静電チャック吸着方式で基板を保持するように構成されていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の配線形成装置。
- 前記陰極板は、チタンで構成されていることを特徴とする請求項4乃至7のいずれかに記載の配線形成装置。
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