JP3821337B2 - エアクリーナの空気加温装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の吸入空気をエアクリーナ内で温める空気加温装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両における内燃機関の吸気系において、エアクリーナから供給される空気の温度が低過ぎると、空気密度が大きく燃料の霧化が困難となりHCが多量に排出されて機関出力の低下を招く。
【0003】
そこで吸入空気をエアクリーナ内で温める加温装置付きのエアクリーナが、実開平1−173449号公報に提案されている。
同公報記載のエアクリーナは、クリーナエレメントにより内部が空気取入口を有するダスト室と空気出口を有するクリーン室とに仕切られ、エアクリーナ内部に一体に組み込まれた放熱器が空気通路に配設されている。
【0004】
同放熱器にエンジン冷却水またはエンジンオイルを循環させるようにしており、ダスト室の取入口から導入された空気は、クリーナエレメントにより清浄化されクリーン室に入るが途中で放熱器により温められ出口より内燃機関側に吸気される。
したがって外気温が低い場合でも機関出力の低下を防止することができる。
【0005】
そして冷却水等の循環通路には手動で開閉する開閉バルブが設けられており、必要に応じて開閉バルブを閉じて吸入空気の加温を停止し、必要以上の吸気温の上昇による機関出力の低下やノッキングおよび燃費の悪化を防止するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし放熱器を働かせるか否かを制御する循環通路の開閉バルブは手動で切換えるものであるので、作動タイミングを適正に見極めることが難しい。
すなわち吸入空気の温度を十分に上昇させない状態で開閉バルブを閉じたり、閉じる時期が遅れて必要以上に温度を上昇させてしまったりすることがある。
【0007】
さらには放熱器の冷却水等の循環通路の開閉で加温の制御しているので、実際に吸入空気の温度に影響が出るまでにタイムラグが相当程度あり、このタイムラグを見越して作動タイミングを決め制御することは極めて難しい。
【0008】
吸入空気がエアクリーナで清浄化されるためにクリーナエレメントを通過するとき、常に放熱器も通過することになり、吸入空気を加温する必要のない場合でも放熱器を通過しなければならず、その場合には空気の流通の抵抗となるだけである。
【0009】
なお放熱器はエアクリーナに一体に組み込まれて着脱は困難である。
すなわち空気加温装置付きの専用のエアクリーナとして製造されており、空気加温装置のない通常のエアクリーナを利用して空気加温装置を付加することはできない。
【0010】
本発明はかかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、最適なタイミングで自動的に吸入空気の加温を効果的に制御し機関出力の低下を確実に抑制することができるエアクリーナの空気加温装置を供する点にある。
【0011】
【課題を解決するための手段および作用効果】
上記目的を達成するために、本発明は、エアクリーナケースの内部が空気清浄用のエレメントにより空気入口を備えた上流側ダスト室と空気出口を備えた下流側クリーン室に仕切られたエアクリーナにおいて、前記ダスト室の開口部にコンデンサカバーが吸気通路を形成して取り付けられ、前記コンデンサカバーの吸気通路に内燃機関の冷却水を循環させて吸入空気と熱交換させるコンデンサが前記ダスト室の開口部の一部に対向して配設され、前記ダスト室に通じるコンデンサを経過する通路と他の通路とを空気温度に応じて選択的に開閉する切換弁が前記エアクリーナケースに設けられ、前記切換弁を駆動する感温部を一体形成した感温駆動手段が前記エアクリーナケースの外側面に設けられ、前記コンデンサに冷却水を循環させる循環通路中に冷却水温度に応じて流通を開放・閉鎖する冷却水開閉弁が介装されたエアクリーナの空気加温装置とした。
【0012】
エアクリーナ周りの吸入空気に略同じ空気の温度を感温部が感知して感温駆動手段が作動し、空気温度に応じてエアクリーナ内の切換弁が駆動してダスト室に通じるコンデンサを経過する通路と他の通路とを選択的に開閉し、また別にコンデンサに冷却水を循環させる循環通路中の冷却水温度に応じて冷却水開閉弁が駆動して流通を開放・閉鎖する。
【0013】
空気温度が低温時に切換弁がコンデンサを経過する通路を開き、冷却水開閉弁がコンデンサを循環する冷却水の流通を開放してエアクリーナ内で吸入空気の加温がなされて機関出力の低下を防止することができる。
【0014】
そして空気温度が所定温度以上に上昇すると感温駆動手段が作動して切換弁がコンデンサを経過する通路を閉じ他の通路を開いて吸入空気は温められず、また別に冷却水温度が所定温度以上になると冷却水開閉弁が閉鎖してコンデンサへの冷却水の循環を停止してコンデンサの温度上昇を抑え吸入空気の加温を停止することができる。
【0015】
すなわち空気温度に基づく切換弁による加温停止と、冷却水温度に基づく冷却水開閉弁による加温停止とを互いに独立して自動的に制御できるので、吸入空気の加温が適切なタイミングで確実に停止されるようにすることができ、吸気温度の上げ過ぎによる機関出力の低下やノッキングおよび燃費の悪化等を確実に防止することができる。
【0016】
また吸入空気を加温する必要のない場合には、切換弁により吸入空気はコンデンサを通過せず他の通路を通ってクリーナエレメントにより清浄化されるので、空気の流通の抵抗となることはない。
【0017】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のエアクリーナの空気加温装置において、前記切換弁が、前記コンデンサと対向する前記ダスト室の開口部の一部と同開口部の他の部分とを前記ダスト室内で揺動して選択的に開閉するバタフライ式弁であることを特徴とする。
【0018】
切換弁が、コンデンサと対向するダスト室の開口部の一部を開閉するので、吸気温が高く同開口部の一部を閉じると、コンデンサに対向する開口が閉鎖されダスト室との間を遮断され、別の通路を通る加温されない空気のみを清浄化して内燃機関に送ることができ、極力吸気温度の上昇を抑え、機関出力の低下やノッキング等を抑制することができる。
【0019】
請求項3記載の発明は、請求項1記載のエアクリーナの空気加温装置において、前記切換弁が、コンデンサカバーの吸気通路の入口に配設されてコンデンサ側通路と他の通路とを選択的に開閉するバタフライ式弁であることを特徴とする。
【0020】
切換弁は、コンデンサより上流側に配置され外気温の高温時にコンデンサへの空気の流れを遮断して他の加温されない通路を通る空気のみを清浄化して内燃機関に送ることができ、吸気温度を必要以上に上昇するのを抑え、機関出力の低下やノッキング等を抑制することができる。
【0021】
切換弁は、コンデンサカバーの吸気通路の入口に設けられるので、比較的小型のバタフライ式弁でよく、したがって感温駆動手段の駆動力も小さくて済むことから、加温装置全体の小型化が可能で、より一層のコンパクト化が図れる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下本発明に係る一実施の形態について図1ないし図8に図示し説明する。
エアクリーナ1は、エアクリーナケースが上下2分割され、下側ケース2の上に上側ケース3が重なり合体して構成され、同エアクリーナケース2,3の下側ケース2の前側にコンデンサカバー4が取り付けられる。
【0023】
下側ケース2は、上側ケース3との水平な合わせ面の上端開口が矩形に形成され、同矩形開口の前後左右4辺から鉛直下方へ前壁2a,後壁2b,左右側壁2c,2dが延出し、側面視で三角形状をした左右対称な側壁2c,2dおよび後壁2bの下端縁を前方下向きに傾斜した底壁2eが連結して箱体を形成するとともに、下部に中心軸が鉛直方向に指向して上下が開口した円筒状の空気導入管2fが前方へ突出して形成されている。
【0024】
図2を参照して空気導入管2fは、前壁2aよりも前方へ半分程突出しており、その上端開口の前半部は前壁2aの外側に開口し、後半部は前壁2aより内側に開口している。
そして前壁2aには大きく矩形の開口2gが形成されている。
【0025】
左右側壁2c,2dにおける上記矩形開口2gの下縁近傍部分に軸孔2h,2hが左右対称位置に形成されていて、軸孔2h,2hに回転軸7が回転自在に架設され、同回転軸7にバタフライ式の矩形の切換弁8が固着されている。
回転軸7は矩形開口2gの下縁に沿って架設され、回転軸7に基端部を固着された切換弁8は、矩形開口2gを内側から閉塞する鉛直に立った姿勢と底壁2eに接した傾斜した姿勢との間を揺動することができる(図7参照)。
【0026】
左側壁2cの軸孔2hを貫通した回転軸7の端部に回転作動板9が嵌着される。
左側壁2cの外表面の回転作動板9の上方部分に縦長矩形の嵌合凹部2iが形成されて感温駆動装置11が嵌合支持されるようになっている。
【0027】
感温駆動装置11は、一方の端部にワックスが納められた感温部11aを有し、同感温部11aから長尺の作動部11bが延出した構造のものであり、ホルダー12に保持される。
【0028】
ホルダー12は、長尺矩形板の両端部を同方向に屈曲したものであり、図3において一方の屈曲上端部に感温部11aを嵌合し、作動部11bを屈曲下端部に摺動自在に貫通させ、作動部11bの途中に設けられたフランジ11cと屈曲下端部との間にスプリング13が介装されている。
【0029】
この感温駆動装置11をホルダー12とともに嵌合凹部2iに収納しホルダー12を所定位置に固定し、作動部11bの下端部を前記回転軸7に嵌着された回転作動板9の周縁部に枢着する。
そして感温駆動装置11を収納した嵌合凹部2iをカバー10が、一部上方の感温部11aが対応する部分を除いて覆う。
【0030】
他方上側ケース3は、下側ケース2の上端開口に対応して矩形の下端開口合わせ面が形成され、その前後左右4辺から鉛直上方へ前壁3a,後壁3b,左右側壁3c,3dが延出している。
【0031】
上方へ短尺に延出した前壁3aと長尺の後壁3bとを、側面視で三角形状をした側壁3c,3dが連結し、左右側壁3c,3dの斜めに傾斜した下端縁および前後壁3a,3bを互いに連結して上壁3eが形成され箱体をなす。 そして右側壁3dの後方寄りから右側方へ空気導出管3fが突出している。
【0032】
以上のようなエアクリーナケース2,3において、上側ケース3の下端の矩形開口を塞ぐように上面視矩形のクリーナエレメント6が周縁のフランジ6aを支持されて水平に架設され、同クリーナエレメント6の下方の下側ケ−ス2内がダスト室D、上方の上側ケース3内がクリーン室Cを構成する(図7参照)。
【0033】
かかるエアクリーナケース2,3の下側ケース2の前壁2aの前方で空気導入管2fの上方にコンデンサカバー4がボルト締めされて取り付けられる。
コンデンサカバー4は、前壁4a,左右側壁4b,4cおよび上壁4dにより後壁がなく下壁が一部欠けた偏平な箱体をなし、前壁2aの矩形開口2gおよび空気導入管2fの上端前半部の開口を覆って取り付けられ、内部に両開口を連通する吸気通路4eが構成されるようになっている。
【0034】
このコンデンサカバー4の欠損された後壁部分に正面視矩形のコンデンサ5が前壁4aとの間に吸気通路4eを構成して嵌合支持されるので、下側ケース2にコンデンサカバー4が取り付けられると、コンデンサ5の前面が吸気通路4eに面し、コンデンサ5の後面が矩形開口2gに対向する。
【0035】
コンデンサ5は、内燃機関の冷却水を循環させて吸入空気と熱交換させるもので、ラジエータと同一の構造をしている。
上下の相対向した水タンク5a,5b間を複数の断面偏平な水管5cが互いに平行に配列して連結しており、水管5c,5c間にはコルゲートフィン5dが介装されている(図2参照)。
【0036】
上下の水タンク5a,5bの前面左寄り(図2において右寄り)に、それぞれ吸水連結管5f,排水連結管5gが前方へ向け突設され、各吸水連結管5f,排水連結管5gに冷却水導入管21と冷却水導出管22が連結され、コンデンサカバー4にコンデンサ5を嵌合するときにコンデンサカバー4の前壁4aの対応する部分に穿設された円孔4f,4gをグロメットを介して冷却水導入管21と冷却水導出管22がそれぞれ貫通し外方へ延出する。
【0037】
冷却水導入管21(冷却水導出管22でもよい)には冷却水開閉弁23が介装され、冷却水導出管22とともに、後記するように内燃機関20の冷却水がコンデンサ5を循環するようになっている。 冷却水開閉弁23は、ワックス式の開閉弁で、冷却水の温度を感知して冷却水の流通の開放・閉鎖を行う。
【0038】
以上のようなコンデンサ5を覆いながら支持するコンデンサカバー4が、エアクリーナケースの下側ケース2の前壁2aの前方で空気導入管2fの上方に合わされてボルト締めされて取り付けられる。
【0039】
前記したように切換弁8は図7においてコンデンサ5の下流側の矩形開口2gをダスト室D内側から閉塞する2点鎖線で示す鉛直姿勢の位置と、傾斜した底壁2eに接する実線で示す傾いた姿勢の位置との間を揺動し、切換弁8が、実線で示す状態の場合は吸気通路4eからコンデンサ5を経過する通路(実線矢印参照)を開き、他のダスト室Dに直接入る通路を閉じ、逆に2点鎖線で示す状態の場合はコンデンサ5を経過する通路を閉じ、ダスト室Dに直接入る通路(破線矢印参照)を開く。
【0040】
そしてエアクリーナ内で吸入空気を温めるコンデンサ5へは、図8に示すように内燃機関20の冷却水が循環するようになっている。
図8は、内燃機関の主要冷却水循環経路を示す図である。
【0041】
ウォータポンプ25により冷却水を内燃機関20に循環させる循環通路26の途中にサーモスタット27が設けられ、同サーモスタット27は冷却水温度に基づき前記循環通路26からラジエータ28を循環するラジエータ通路29への流通を開放・閉鎖する。
【0042】
内燃機関20の始動直後の暖機中は、ラジエータ28への流通は閉鎖して冷却水は専ら内燃機関20を循環し、冷却水が所定温度に達して暖機を終了するとラジエータ28への流通を開放したラジエータ28で冷やされた冷却水が内燃機関20を冷却するようにしている。
【0043】
そして内燃機関20より下流側の循環通路26からバイパス通路31が延出して前記冷却水導入管21に連結されており、冷却水導出管22に連結されたバイパス通路32がサーモスタット27の下流側に連通しており、サーモスタット27の開放・閉鎖の作動にかかわらず内燃機関20の稼働時において常時冷却水がバイパス通路31,32を流通してアイシングを防止するようになっている。
【0044】
バイパス通路31,32は、スロットルバルブ35および2次空気の供給を制御するエアコントロールバルブ36の氷結等を防止する従来からあるアイシング防止用のバイパス通路であり、同バイパス通路31,32を利用して冷却水導入管21,冷却水導出管22を連結してコンデンサ5に冷却水を循環させるようにしている。
【0045】
バイパス通路31は、循環通路26のうち内燃機関20から流出した直後の温度の高い冷却水をコンデンサ5に供給するので、内燃機関20が始動するとすぐに内燃機関20で温められた冷却水がコンデンサ5に流れ、エアクリーナ1内で吸入空気を温めることができる。
【0046】
また冷却水温度が所定温度以上になると、冷却水導入管21に介装された冷却水開閉弁23が冷却水温度を感知して作動しコンデンサ5への冷却水の循環を停止するようにしており、その際にコンデンサ5をバイパスする連結通路34を別途アイシング防止用バイパス通路31,32に設けてエアコントロールバルブ36へは常時冷却水が循環するようにしている。
【0047】
なお冷却水温度が所定温度以上となった場合でも、冷却水開閉弁23が完全に冷却水の流通を閉鎖せずに僅かな流通を許すようにして連結通路34なしでアイシング防止機能を保持することもできる。
【0048】
本空気加温装置は、以上のような構成をなす。
感温駆動装置11は、コンデンサカバー4の側壁外表面に固定されており、感温部11aは、内燃機関に吸入される空気温度に略等しい吸気ダクト周りの空気温度を感知することができ、適正なタイミングで切換弁8を切換え必要に応じた適当な熱量の吸入空気を内燃機関に供給することができる。
【0049】
したがって外気温が低温度で内燃機関20の始動直後は、切換弁8が図7に実線で示すようにコンデンサ5を経過する通路を開き、ダスト室Dに直接向かう通路を閉じているので、空気導入管2fの下方に向いた開口から導入された空気は、実線矢印で示すようにコンデンサカバー4内の吸気通路4eに流れ、コンデンサ5のコルゲートフィン5dを通過して温められ(このとき冷却水開閉弁23は開放していてコンデンサ5に内燃機関20で温められた冷却水が循環している)、ダスト室Dに入り上昇してクリーンエレメント6を通って清浄化され、クリーン室Cに入り、温められ清浄化された空気は空気導出管3fから吸気ダクトを介してスロットルバルブ35さらに内燃機関20に供給される。
【0050】
外気温が極めて低い場合は、空気密度が大きくそのまま吸気すると前記したように機関出力が低下するので、始動直後からすぐに温度上昇する冷却水が循環するコンデンサ5によりエアクリーナ1内で導入空気を温めることで、空気密度を大きくすることなく適正に保持して燃料の霧化を促進して機関出力の低下を抑制し、燃費の向上を図ることができる。
【0051】
そして吸気温が必要以上に上昇するとノッキングを起こしたりすることになるので、内燃機関20の稼働により冷却水温度が上昇してコンデンサ5で温められる空気の温度も高くなり吸気ダクト14周りの温度も上昇して所定温度(例えば8°C)以上になると、感温駆動装置11が作動して回転作動板9を介して切換弁8を駆動し、切換弁8は、図7の2点鎖線に示す位置に揺動してコンデンサ5の出口を閉じてダスト室Dに直接向かう通路を開き、したがって空気導入管2fから導入された空気は、破線矢印で示すように直接ダスト室Dに入り、コンデンサ5で温められることなくクリーナエレメント6に流れ、清浄化されて内燃機関20へ供給されることになる。
【0052】
一方で内燃機関20からコンデンサ5へ循環する冷却水の温度が上昇して所定温度(例えば80°C)以上になると冷却水開閉弁23が駆動してコンデンサ5を循環する冷却水の流通を閉鎖する。
【0053】
コンデンサ5を循環する冷却水の通路も冷却水開閉弁23により閉鎖されるので、エアクリーナ1内のコンデンサ5自体の温度上昇が抑えられ、吸入空気への影響を極力抑制することができ、確実な加温制御を可能とする。
【0054】
このように空気温度に基づく切換弁による加温停止と、冷却水温度に基づく冷却水開閉弁による加温停止とを互いに独立して自動的に制御できるので、応答性良く適切なタイミングで確実に吸入空気の加温を停止でき、吸気温度の上げ過ぎによる機関出力の低下やノッキングおよび燃費の悪化等を防止することができる。
【0055】
前記実施の形態では、切換弁8がエアクリーナ1のダスト室D内を揺動するように設けられていたが、図9に示す実施の形態では下側ケース40の空気導入管40f内を切換弁43が揺動するように構成されている(前記実施の形態と同じ部材は同じ符号を用いる)。
【0056】
エアクリーナの下側ケース40は、前記実施の形態の下側ケース2と同じ形状をしているが、切換弁43の基端部が固着された回転軸42を軸支する左右側壁の軸孔が、前記実施の形態の軸孔2hより若干前方で斜め下方位置に形成されており、該軸孔に回転自在に回転軸42が架設される。
回転軸42に固着された切換弁43は、先端が円弧状に形成されたバタフライ式の弁で、下方空気導入管40f内に挿入されて揺動自在に吊設される。
【0057】
回転軸42の一端には回転作動板44が嵌着されており、前記実施の形態と同じく下側ケース40の左側壁に設けられた感温駆動装置11の作動部下端11cが回転作動板44の周縁部に枢着される。
【0058】
したがって外気温が低温度で内燃機関の始動直後は、切換弁43が図9に実線で示すようにコンデンサ5を経過する通路を開き、ダスト室Dに直接向かう通路を閉じているので、空気導入管40fの下方に向いた開口から導入された空気は、実線矢印で示すようにコンデンサ5を通過して温められ(このときコンデンサ5には冷却水開閉弁が開放していて内燃機関で温められた冷却水が循環している)、内燃機関に供給され、外気温が極めて低い場合でも、エアクリーナ内で導入空気を温め、燃料の霧化を促進して機関出力の低下を抑制し、燃費の向上を図ることができる。
【0059】
そして吸気温度に略近い吸気ダクト周りの空気が所定温度以上になると、感温駆動装置11が作動して切換弁43を駆動し、切換弁43は図9の2点鎖線に示す位置に揺動してコンデンサ5の出口を閉じてダスト室Dに直接向かう通路を開き、導入された空気は、破線矢印で示すように直接ダスト室Dに入り、温められることなくクリーナエレメント6に流れ、清浄化されて内燃機関20へ供給されることになる。
【0060】
一方で内燃機関からコンデンサ5へ循環する冷却水の温度が上昇して所定温度以上になると冷却水開閉弁が駆動してコンデンサ5を循環する冷却水の流通を閉鎖する。
【0061】
コンデンサ5を循環する冷却水の通路も冷却水開閉弁により閉鎖されるので、エアクリーナ1内のコンデンサ5自体の温度上昇が抑えられ、吸入空気への影響を極力抑制することができ、確実な加温制御の下で吸入空気の加温を停止して、吸気温度の上げ過ぎによる機関出力の低下やノッキングおよび燃費の悪化等を防止することができる。
【0062】
以上の実施の形態では、感温駆動装置11は感温部11aが温度によって膨張収縮するワックスを使用したものであったが、別に形状記憶合金を使用したものも考えられ、図10および図11にその感温駆動装置60の例を示す。
【0063】
円柱状支軸61の上下2か所にフランジ62,63が形成され、フランジ62,63に上下挟まれて形状記憶合金からなるコイルスプリング64が円柱状支軸61に巻回されている。
【0064】
そのコイルスプリング62の一部に掛止部材65が掛止され、同掛止部材65に上端を固着された作動ロッド66が円柱状支軸61に沿って下方に延びており、円柱状支軸61よりさらに下方へ延びた下端部66aが屈曲している。
【0065】
コイルスプリング62が低温度にあると、図10に示す状態にあって、作動ロッド66は上方位置にあるが、高温度になると、図11に示すように形状記憶合金のコイルスプリング62が変形して作動ロッド66が下降する。
【0066】
したがって前記ワックスを使用した感温駆動装置11と同様に本感温駆動装置60をコンデンサカバー4に取り付けて作動ロッド66の下端部66aを切換弁と一体の回転作動板の周縁部に枢着させることで、同じように吸気ダクト中の吸気温度によって切換弁を揺動して通路を切り換えることができる。
【0067】
形状記憶合金を用いた本感温駆動装置60は、構造が簡単で小型であり、空気加温装置をよりコンパクト化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るエアクリーナの全体側面図である。
【図2】同エアクリーナの空気加温装置の分解斜視図である。
【図3】エアクリーナケースの下側ケースの側面図である。
【図4】図3においてIV−IV線に沿って切断した断面図である。
【図5】コンデンサカバーの正面図である。
【図6】図5においてVI−VI線に沿って切断した断面図である。
【図7】同エアクリーナの断面図である。
【図8】主要な冷却水循環路を示す図である。
【図9】別の実施の形態に係るエアクリーナの断面図である。
【図10】形状記憶合金を用いた感温駆動装置の側面図である。
【図11】同感温駆動装置の別の状態を示す側面図である。
【符号の説明】
1…エアクリーナ、2…下側ケース、3…上側ケース、4…コンデンサカバー、 5…コンデンサ、6…クリーナエレメント、7…回転軸、8…切換弁、9…回転作動板、10…カバー、11…感温駆動装置、12…ホルダー、13…スプリング、 20…内燃機関、21…冷却水導入管、22…冷却水導出管、25…ウォータポンプ、26…循環通路、27…サーモスタット、28…ラジエータ、29…ラジエータ通路、31,32…バイパス通路、34…連結通路、35…スロットルバルブ、36…エアコントロールバルブ、 40…下側ケース、42…回転軸、43…切換弁、44…回転作動板、 60…感温駆動装置、61…円柱状支軸、62,63…フランジ、64…コイルスプリング、65…掛止部材、66…作動ロッド。
Claims (3)
- エアクリーナケースの内部が空気清浄用のエレメントにより空気入口を備えた上流側ダスト室と空気出口を備えた下流側クリーン室に仕切られたエアクリーナにおいて、
前記ダスト室の開口部にコンデンサカバーが吸気通路を形成して取り付けられ、
前記コンデンサカバーの吸気通路に内燃機関の冷却水を循環させて吸入空気と熱交換させるコンデンサが前記ダスト室の開口部の一部に対向して配設され、
前記ダスト室に通じるコンデンサを経過する通路と他の通路とを空気温度に応じて選択的に開閉する切換弁が前記エアクリーナケースに設けられ、
前記切換弁を駆動する感温部を一体形成した感温駆動手段が前記エアクリーナケースの外側面に設けられ、
前記コンデンサに冷却水を循環させる循環通路中に冷却水温度に応じて流通を開放・閉鎖する冷却水開閉弁が介装されたことを特徴とするエアクリーナの空気加温装置。 - 前記切換弁が、前記コンデンサと対向する前記ダスト室の開口部の一部と同開口部の他の部分とを前記ダスト室内で揺動して選択的に開閉するバタフライ式弁であることを特徴とする請求項1記載のエアクリーナの空気加温装置。
- 前記切換弁が、コンデンサカバーの吸気通路の入口に配設されてコンデンサ側通路と他の通路とを選択的に開閉するバタフライ式弁であることを特徴とする請求項1記載のエアクリーナの空気加温装置。
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JP11937998A JP3821337B2 (ja) | 1998-04-28 | 1998-04-28 | エアクリーナの空気加温装置 |
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