JP3821093B2 - 連続溶融金属めっき方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スナウト内で発生する金属蒸気に起因する品質欠陥の発生を防止するための連続溶融金属めっき方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鋼帯の連続溶融亜鉛ラインでは、通常、表面を洗浄した鋼帯を連続熱処理炉で連続的に焼鈍し、所定温度に冷却後、図8に示す連続溶融金属めっき装置に導入し、亜鉛を溶融しためっき槽3内を通板させて溶融亜鉛めっきを行う。通常、連続熱処理炉での焼鈍・冷却工程は還元雰囲気になっており、鋼帯Sが連続熱処理炉を出てめっき槽3に達するまでの間の鋼帯通板路を大気から遮断し、鋼帯Sが還元雰囲気中を通板できるようにするため、連続熱処理炉とめっき槽3の間にスナウト2と呼ばれる矩形断面の通路が設けられている。
【0003】
めっき槽3内にはシンクロール5が設置されており、鋼帯Sはシンクロール5で走行方向を転換されて鉛直方向に上昇する。めっき槽3から引き上げられた鋼帯Sはガスワイピングノズル7で所定のめっき厚みに調整された後に、冷却されて後工程に導かれる。
【0004】
この連続溶融金属めっき装置では、スナウト2内は還元雰囲気であるために、スナウト2内の溶融亜鉛浴面には酸化膜が形成されにくく、薄い酸化膜が形成されているだけである。このようにスナウト2内の溶融亜鉛浴面に形成される酸化膜は強固なものではないため、鋼帯Sがめっき浴3に進入する際、振動等により溶融亜鉛が浴面に露出し、そこからスナウト2内に亜鉛が蒸発する。この場合、溶融亜鉛は、その飽和蒸気圧まで還元雰囲気ガス内に蒸発する。
【0005】
蒸発した溶融亜鉛の蒸気は、還元雰囲気ガス内に微少量存在する酸素と反応して酸化物(通常固体)を形成する。また、蒸発した溶融亜鉛が酸化されない場合でも溶融亜鉛の蒸気圧が飽和蒸気圧以上になると、蒸発した溶融亜鉛の一部は、液相あるいは固相の亜鉛に相変化する。特に、スナウト2は薄い耐熱材料で構成されているだけなので、スナウト2内面の温度は外気の影響を受けて蒸発した溶融亜鉛の蒸気圧における飽和温度以下の温度になりやすく、その温度以下になった部位で蒸気が亜鉛粉になり、スナウト2内面に付着する。
【0006】
以上のような酸化物や付着物(いわゆるアッシュ)が、清浄化された鋼帯Sに直接付着した場合、めっきが不均一になったり、不めっき部を生じさせる等の品質欠陥が発生する。
【0007】
また、酸化物がスナウト2内の溶融亜鉛浴面に落下した場合、酸化物の溶融温度は溶融亜鉛浴の温度よりも高いために溶融亜鉛浴に再溶解しない。さらに付着物がスナウト2内の溶融亜鉛浴面に落下した場合、付着物が溶融亜鉛と同じ亜鉛の場合には再溶解するが、多くの場合、付着物には不純物が混入しているため、付着物も溶融亜鉛浴に再溶解しないことが多い。
【0008】
落下しても再溶解しない前記酸化物や付着物は、スナウト2内の浴面を浮遊し、スナウト2内を走行してめっき浴3に進入する鋼帯Sに随伴する溶融亜鉛浴の流れにのり、鋼帯S側に移動して鋼帯S表面に付着する。この場合にも、鋼帯Sのめっきを阻害する要因として作用するため、めっき厚が薄くなったり、不めっきになったりして、品質欠陥が発生する。
【0009】
溶融亜鉛めっきにおける前記のようなスナウト2内の亜鉛蒸気に起因して生成するアッシュによる品質欠陥の発生を解決する方法が従来から多数提案されている。
【0010】
たとえば、スナウト浴面にセラミックボールを浮遊させて亜鉛蒸気を低減させる方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0011】
また、スナウト内壁をヒータで加熱し、さらに該ヒータ外側を断熱材で断熱し、浴温とスナウト部の温度差を150℃以下とすることで内壁へのアッシュ付着を防止する方法が提案されている(例えば、特許文献2)。
【0012】
また、めっき浴中に吸引ブロアを設置し、この吸引ブロアの吸引側にスナウト内の浴面より高い位置に吸引口を有する吸引管を連結してスナウト内の亜鉛蒸気を系外に排出する方法が開示されている(例えば、特許文献3)。
【0013】
また、スナウト内壁面に固着された内鍔状の隔壁と、該隔壁の内縁間に位置し、ストリップの通過をガイドする一対のシールロールを設けて、スナウト内を上流空間と下流空間とに区画し、下流空間内雰囲気の強制流動を、めっき浴槽の溶融金属の液面に近い、前記スナウト内壁面箇所に、吸引口とを吐出口とを開設したダクトの途中に設けたファンの駆動により行うことで、スナウト内のアッシュ発生を防止する方法が開示されている(例えば、特許文献4)。
【0014】
また、スナウト内に鋼帯が通板する間隔が狭くなるシールを設けるとともに、該シールの下方から亜鉛蒸気を含む炉内ガスをスナウト外に排出することで、アッシュの生成を防止する方法が提案されている(例えば、特許文献5、特許文献6等)。
【0015】
以下に、先行技術文献情報について記載する。
【0016】
【特許文献1】
特開平7−62512号公報(第1頁、図2)
【0017】
【特許文献2】
特開平8−176773号公報(第1頁)
【0018】
【特許文献3】
特開平8−302453号公報(第1頁、図1)
【0019】
【特許文献4】
特開平6−330272号公報(第3頁、図2)
【0020】
【特許文献5】
特開平11−100649号公報(第1頁、図1)
【0021】
【特許文献6】
特開平11−343549号公報(第1頁、図1)
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1のスナウト浴面にセラミックボールを浮遊させる方法では、スナウト壁に付着したアッシュが直接鋼帯表面に落下することにより発生する品質欠陥を防止することが全く考慮されておらず、またセラミックボールが浴内に混入することによる欠陥発生の問題が懸念される。
【0023】
特許文献2の方法では、十分な効果を奏するには、大規模なヒータと断熱材が必要であり、また、熱応力による設備破損の危険性も高いため、現実的ではない。
【0024】
特許文献3の方法は、スナウト内の亜鉛蒸気を確実に排出できないため、排出されなかった亜鉛蒸気がスナウト壁に付着し、スナウト内の亜鉛蒸気に起因する品質欠陥を防止する効果が不十分である。
【0025】
特許文献4の方法では、シールロール回転によって下流空間の雰囲気が上部空間に流れ込むという問題があるので、上流空間のスナウト壁におけるアッシュ生成の問題が懸念される。また下流領域では、ファンで雰囲気を循環する際にダクト部分で温度低下するため金属蒸気が固化することでアッシュ生成量が増加し、浴面に多量のアッシュが浮遊して金属帯に巻き込まれることで欠陥が発生しやすくなる。またシールロールへの異物付着の問題があるため、ロール保守が煩雑になると言う問題もある。
【0026】
特許文献5及び6の方法では、めっき浴面から生成されるアッシュを排気口から排出するので一定の効果は認められるが、金属ヒュームがシール部上方に流れるのを防止するには、シールの鋼帯通板部分の間隔を小さくする必要があるため、幅広・厚物鋼帯でC反り(鋼帯幅方向反り)が大きい場合にシールと鋼帯が接触してスリキズが発生しやすいという問題がある。また、依然としてシール下方のスナウト壁面へのアッシュ付着の問題が残っている。シールの鋼帯通板部分の間隔を大きくするとスリキズ発生の問題は解消されるが、金属ヒュームがシール部上方に流れるのを防止する効果が不十分になり、シール部上方部分におけるスナウト内、炉内でアッシュ生成の問題がある。
【0027】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決し、スナウト内で発生する溶融金属蒸気に起因する品質欠陥(めっき欠陥)の発生を低コストで防止できる連続溶融金属めっき方法および装置を提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の手段は以下の通りである。
(1)金属帯を連続熱処理炉で連続的に熱処理した後、溶融金属を保持しためっき槽に導入して溶融金属めっきを行う連続溶融金属めっき方法において、連続熱処理炉とめっき槽の間に設けられたスナウト内の金属帯上下面の各々に対向するスナウト壁部に、金属帯通板方向に向けて金属帯との距離が一旦徐々に狭まり次いで広がる断面形状を有するシール部を設け、該シール部を金属帯を非接触で通板するともに、前記シール部よりも下方位置においてスナウト内の気体を排出することを特徴とする連続溶融金属めっき方法。
【0029】
(2)前記シール部と金属帯との間隔D、前記シール部のスナウト壁面からの高さHは、D:40mm以上100mm以下かつH/(H+D)≧1/3を満足するとともに、スナウト内の気体の排出量は300Nm3/h以上とすることを特徴とする(1)に記載の連続溶融金属めっき方法。
【0030】
(3)スナウトからの気体の排出は、スナウト内圧力と大気圧との圧力差による自然排気により行われることを特徴とする(1)または(2)に記載の連続溶融金属めっき方法。
【0031】
(4)金属帯を連続熱処理炉で連続的に熱処理した後、溶融金属を保持しためっき槽に導入して溶融金属めっきを行う連続溶融金属めっき装置において、連続熱処理炉とめっき槽の間に設けられたスナウト内の金属帯上下面の各々に対向するスナウト壁部に、金属帯通板方向に向けて金属帯との距離が一旦徐々に狭まり次いで広がる断面形状を有し、金属帯が非接触で通板可能なシール装置を設けるともに、前記シール装置よりも下方位置に、スナウト内の気体を排出する排気口を備えることを特徴とする連続溶融金属めっき装置。
【0032】
(5)前記シール装置と金属帯との間隔D、前記シール装置のスナウト壁面からの高さHは、D:40mm以上100mm以下かつH/(H+D)≧1/3を満足することを特徴とする(4)に記載に連続溶融金属めっき装置。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明者等は、鋼帯に溶融亜鉛めっきしたときのスナウト内での気体の流動とアッシュ生成について精査した結果、以下のことを見出した。
▲1▼アッシュの原因となる亜鉛蒸気の移動は、鋼帯移動により発生する流れ、いわゆる“随伴流”およびスナウト内温度差に伴う熱対流、およびスナウト内の圧力差による流れ、いわゆる“圧力流”によってほぼ決定される。
▲2▼前記随伴流は、鋼帯近くでは下降流であり、それが浴面に到達し、さらにスナウト壁面に到達した後、一部上昇流となる。
▲3▼前記熱対流は、スナウト内部の温度差に起因する。通常、スナウトは鋼帯幅方向に長く、鋼帯面の垂直方向には短いため、この熱対流は主にスナウト幅方向で発生し、スナウト側壁部近傍では下降流、スナウト幅方向中央部では上昇流となる。なお、スナウト幅方向は、鋼帯幅方向と同じ方向である。
▲4▼前記圧力流は、スナウト内の圧力差はあまり大きくないため、随伴流、熱対流に比較して通常は無視できるレベルである。
▲5▼前記▲2▼〜▲4▼より、スナウト幅方向中央側付近では、総じて上昇流が大きく、この上昇流に乗って亜鉛蒸気はスナウト上流部に到達する。
【0034】
図1は、図8に示す従来の連続溶融金属めっき装置のスナウト部の気流を測定した結果を示したもので、(a)は鋼帯幅方向中央部断面における鋼帯長手方向の雰囲気ガス流れ、(b)は鋼帯面に対向するスナウト壁面に沿った雰囲気ガス流れをそれぞれ示す。図中、矢印は雰囲気ガス流れの方向を示す。図1に示されるような流れによって、亜鉛蒸気を含む雰囲気ガスがスナウト上方に上昇し、冷却されあるいは酸化されて、特に温度の低いスナウト壁面でアッシュが生成されやすい。
【0035】
アッシュ生成を防ぐ観点からは、めっき浴から生成する亜鉛蒸気を速やかに系外へ排出することが最も重要であり、またスナウト幅方向中央部付近の上昇流を防止することも重要である。本発明はこの知見にさらに検討を加えることでなされた。
【0036】
本発明におけるシール装置と排気口の作用について説明する。
【0037】
図2は、従来技術のシール装置で、スナウト途中の鋼帯面に対向するスナウト上下壁部に板状のシール部材21aおよび21bを設置したシール装置21が設けられ、シール装置21下方のスナウト側壁部分に排気口22を設けられている。鋼帯随伴流は浴面に到達後排気口22からスナウト外に排出可能である。
【0038】
図2のシール装置21では、鋼帯通板部分におけるシール間隔を狭くしてシール性を向上させ、シール装置21下方のスナウト部分の亜鉛蒸気を含む雰囲気がシール装置21上方のスナウト部分に流れ込まないようにさせている。板状のシール部材を設けたことで、シール装置21上方部分の鋼帯随伴流がシール装置21下方部分に流れにくくなる。そのため、シール装置21下方部分では、鋼帯随伴流は、シール装置21下方のスナウト壁側からの雰囲気を巻き込むことで形成されるため、図2に示されるように鋼帯面に対向するスナウト壁面に沿った上昇流が依然として形成される。前記上昇流に含まれる亜鉛蒸気は温度の低いシール装置21下方のスナウト壁面にアッシュを生成させる。
【0039】
前記のような理由から、図2の装置では、亜鉛蒸気を含む雰囲気が排気口22からスナウト2外に排出されることで、スナウト2内におけるアッシュの生成を低減する効果があるものの、スナウト壁面へのアッシュ生成を防止する点については、必ずしも十分といえない。またシール装置21下方部分から上方部分への雰囲気の流れ込み防止効果を上げるには、シール間隔を狭くする必要があるため、厚物・広幅鋼帯がシール装置21に接触してスリキズを発生し易いという問題がある。
【0040】
図3では、スナウト途中の鋼帯面に対向するスナウト壁部に、鋼帯通板方向に向けて鋼帯との距離が一旦徐々に狭まり次いで広がる曲線状の断面形状を有するシール部材23aおよび23bが配置されたシール装置23が設けられ、シール装置23下方のスナウト側壁部分に排気口24を設けられている。
【0041】
本シール装置では、亜鉛蒸気を含む雰囲気が排気口24からスナウト2外に排出されるので、スナウト内におけるアッシュの生成量は低減される。シール装置23上方部分の鋼帯随伴流は、シール装置23を通過してシール装置23下方部分に流れるため、シール装置23下方部分では、図2で発生したようなスナウト壁面に沿った上昇流の発生が抑制され、従ってシール装置23下方部分のスナウト壁面へのアッシュの生成を防止できる。また、図2のシール装置21のようにシール間隔を狭くしなくても、シール装置23下方部分の亜鉛蒸気を含む雰囲気が、シール装置23上方部分へ流れることが防止されるので、シール装置23上方部分のスナウト壁面におけるアッシュの生成も防止され、また、厚物・広幅鋼帯がシール装置23に接触してスリキズを発生するという問題も解消される。
【0042】
以下、本発明の実施の形態について詳しく説明する。なお、以下の実施の形態では、溶融金属めっきは溶融亜鉛めっき、金属帯は鋼帯を念頭において説明する。
【0043】
図4は、本発明の実施形態の説明に参照する連続溶融金属めっき装置の要部を示す概略側面図、図5は図4のA−A矢視図、図6は図5のA−A断面図、図7は図5のB−B矢視図である。
【0044】
図4〜図7において、1は焼鈍炉(連続熱処理炉)、3はめっき槽、4はその内部に保持される溶融亜鉛浴、5はめっき槽内に配置されるシンクロール、2は焼鈍炉1とめっき槽3間に設けられるスナウト、6はサポートロール、7はめっき付着量を調整するガスワイピングノズルである。
【0045】
鋼帯S上下面に対向するスナウト2上下壁面の高さ方向の途中に、シール装置11を構成するシール部材11aと11bが鋼帯Sを挟んで対向して取り付けられている。前記シール部材11a、11bは、金属帯通板方向に向けて金属帯との距離が一旦徐々に狭まり次いで広がる断面形状を有する。前記断面形状は、例えば円弧状等の曲線状であることが好ましい。本装置では、シール部材11aおよび11bは、いずれも断面形状が略円弧状であり、鋼帯面側が凸状になるようにスナウト壁部に取り付けられている。
【0046】
鋼帯随伴流を、シール装置11上方部分から下方部分に容易に流入させて、シール装置11下方部分でスナウト壁面に沿った上昇流の生成を防止し、またシール装置11下方部分の雰囲気がシール装置11上方部分に流れ込むことを防止するとともに、シール装置11と鋼帯Sが接触することを防止する観点から、鋼帯通板部分のシール装置11と鋼帯Sとの間隔Dは40mm以上100mm以下が好ましい。間隔Dが100mm超になるとシール装置11下方部分の雰囲気がシール装置11上方部分に流れ込み易くなる。間隔Dが40mm未満になると、シール装置11下方部分でスナウト壁面に沿った上昇流が生成しやすくなるだけでなく、シール装置11と鋼帯Sが接触しやすくなる。
【0047】
また、シール装置11のスナウト壁面からの高さHとシール装置11と鋼帯Sの間隔D(シール装置11のシール部の間隔は2D)は、H/(H+D)≧1/3を満足することが好ましい。H/(H+D)が1/3未満になるとシール装置11下方部分の雰囲気がシール装置11上方部分に流れ込み易くなる。
【0048】
前記シール装置11下方に排気口12が設けられている。排気口12は、浴面近傍に設けられることが好ましく、またスナウト側壁(鋼帯幅方向にあるスナウト壁)および/または鋼帯面に対向するスナウト壁面のスナウト側壁寄りの壁部を含む部分に設けることが好ましい。鋼帯随伴流には、浴面に到達後、鋼帯面に対向するスナウト壁面側に流れるものもあるが、スナウト側壁方向に流れるものもある。排気口12を前記部分に設けることで、スナウト壁面における上昇流の生成を防止し、前記両方の流れ(亜鉛蒸気を含む雰囲気)を効果的にスナウト外に排出できる。
【0049】
図4の装置では、排気口12は、図7に示すように、スナウト両側壁(鋼帯S端部側のスナウト壁)下方の浴面を含む部分に、浴面部分のスナウト寸法と略同じ幅で設けられている。
【0050】
排気口12からの気体の排出は、例えば、ブロア、ポンプ等による強制吸引により行ってもよいが、気体排出をスナウト2内と外気の圧力差を利用した自然排気で行えば、排出用ポンプ等を用いる必要がないため、非常に有利である。スナウト内圧力は通常、大気圧より数十mmAq高いので圧力差を利用した自然排気でも問題はない。
【0051】
本装置では、排気口12には排気室13が接続され、該排気室13には鉛直方向に立設して設けられた配管部分を有する配管14が接続され、該配管14には流量調整弁15が付帯している。排出流量は、配管14の流量調整弁15により調整可能である。
【0052】
シール装置11下方部分においてスナウト壁面に沿った上昇流の生成を防止し、またシール装置11下方部分の亜鉛蒸気を含む雰囲気がシール装置11上方部分に流れ込むことを防止するとともに、めっき浴から発生した亜鉛蒸気を含む雰囲気を速やかにスナウト外に排出するには、排気口から排出するガス流量は300Nm3/h以上とすることが好ましい。
【0053】
以上の連続溶融金属めっき装置を用いて鋼帯Sのめっきを行う場合、焼鈍炉で所定の熱処理(焼鈍−冷却)された鋼帯Sは、スナウト2を通過してめっき槽3内に導かれ、シンクロール5で方向転換された後、サポートロール6で案内されてめっき槽3の上方に導かれる、ここでガスワイピングノズル7によってめっき付着量が調整された後、次工程へと導かれる。このようなめっき操業中、排気口12からスナウト2内の亜鉛蒸気を含むガスがスナウト外に排出される。
【0054】
図4〜図7に示した装置では、シール装置11および排気口12のシール作用及び気体排出作用により、めっき浴から発生した亜鉛蒸気を含む上昇流の発生が防止されて、亜鉛蒸気が効率よくスナウト外に排出され、またシール装置11下方部分からシール装置11上方部分への亜鉛蒸気の流れ込みを防止できることで、シール装置11上方のスナウト部分だけでなくシール装置11下方のスナウト部分におけるアッシュ付着の問題が大幅に改善されることで、アッシュ性品質欠陥の発生が防止される。また、本発明によれば、広幅・厚物鋼帯においても、シール装置と鋼帯の接触によるスリキズ発生の問題を解消できる。
【0055】
【実施例】
図8に示した装置を用いて、種々の鋼帯に溶融亜鉛めっきを2週間行った後、スナウト壁面に付着したアッシュ量を調査したところ、アッシュ付着量は12.6mg/m2であった。なお、アッシュ付着量は、鋼帯上面に対抗するスナウト壁面の浴面から100mm(スナウト壁面に沿った長さ)の位置で鋼帯幅方向3箇所(鋼帯幅方向中央、操業側、駆動側)の測定値の平均値である(従来例)。
【0056】
一方、本発明例については、図4〜図7に示した装置を用いて、種々の鋼帯に溶融亜鉛めっきを2週間行った後、シール装置下方のスナウト壁面に付着したアッシュ量を調査したところ、アッシュ付着量は0.3mg/m2であった。シール装置と鋼帯が接触することに起因するスリキズ発生もなかった。なお、アッシュ測定は、シール装置下方のスナウト壁部で、従来例でアッシュ付着量を測定したスナウト壁部に対応する場所について行われ、従来例と同様、3箇所のの平均値である。
【0057】
なお、シール装置11のシール部の間隔は160mm(シール部と鋼帯との間隔は80mm)、シール装置11のスナウト壁面からの高さは70mm、シール装置の鋼帯通板方向寸法は200mm、シール装置下端と浴面との距離(スナウト壁面に沿った寸法)は500mm程度であり、スナウトからのガス排出流量は350Nm3/hrであった。
【0058】
本発明例は従来例に比べてスナウト壁面に付着するアッシュの量が格段に低減されている。本発明によればアッシュ付着に起因する品質欠陥の発生を低減できる。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、シール装置下方部分におけるスナウト壁面に沿った上昇流の発生を防止して、めっき浴から発生した金属蒸気を含む雰囲気ガスをスナウト外に速やかに排出できる。またシール装置下方部分からシール装置上方部分への金属蒸気の流れ込みを防止できる。その結果、スナウト内でのアッシュの生成を防止し、もってアッシュに起因する品質欠陥の発生を低減できる。
【0060】
また、本発明によれば、広幅・厚物金属帯においても、シール装置と金属帯の接触によるスリキズ発生の問題を解消できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図8に示す装置のスナウト部の気流を測定した結果およびアッシュ付着状況を観察した結果を示したもので、(a)は鋼帯幅方向中央部断面における鋼帯長手方向の雰囲気ガス流れ、(b)は鋼帯に対向するスナウト壁部に沿った雰囲気ガス流れをそれぞれ示す。
【図2】従来装置のシール装置と開口部の作用を説明する図である。
【図3】本発明の連続溶融金属めっき方法および装置のシール装置と開口部の作用を説明する図である。
【図4】本発明の連続溶融金属めっき方法および装置の実施形態を示す連続溶融金属めっき装置の側面図である。
【図5】連続溶融金属めっき装置の正面を示す部分図で、図4のA−A矢視図である。
【図6】図5の連続溶融金属めっき装置のA−A断面図である。
【図7】スナウト側壁に設けられた排気口を説明する図である。
【図8】従来の連続溶融金属めっき装置を示す説明図である。
【符号の説明】
1 焼鈍炉(連続熱処理炉)
2 スナウト
3 めっき槽
4 溶融亜鉛浴
5 シンクロール
6 サポートロール
7 ガスワイピングノズル
11 シール
11a、11b シール部材
12 排気口
13 排気室
14 配管
15 流量調整弁
21a、21b、23a、22b シール部材
22、24 開口部
S 鋼帯
Claims (5)
- 金属帯を連続熱処理炉で連続的に熱処理した後、溶融金属を保持しためっき槽に導入して溶融金属めっきを行う連続溶融金属めっき方法において、連続熱処理炉とめっき槽の間に設けられたスナウト内の金属帯上下面の各々に対向するスナウト壁部に、金属帯通板方向に向けて金属帯との距離が一旦徐々に狭まり次いで広がる断面形状を有するシール部を設け、該シール部を金属帯を非接触で通板するともに、前記シール部よりも下方位置においてスナウト内の気体を排出することを特徴とする連続溶融金属めっき方法。
- 前記シール部と金属帯との間隔D、前記シール部のスナウト壁面からの高さHは、D:40mm以上100mm以下かつH/(H+D)≧1/3を満足するとともに、スナウト内の気体の排出量は300Nm3/h以上とすることを特徴とする請求項1に記載の連続溶融金属めっき方法。
- スナウトからの気体の排出は、スナウト内圧力と大気圧との圧力差による自然排気により行われることを特徴とする請求項1または2に記載の連続溶融金属めっき方法。
- 金属帯を連続熱処理炉で連続的に熱処理した後、溶融金属を保持しためっき槽に導入して溶融金属めっきを行う連続溶融金属めっき装置において、連続熱処理炉とめっき槽の間に設けられたスナウト内の金属帯上下面の各々に対向するスナウト壁部に、金属帯通板方向に向けて金属帯との距離が一旦徐々に狭まり次いで広がる断面形状を有し、金属帯が非接触で通板可能なシール装置を設けるともに、前記シール装置よりも下方位置に、スナウト内の気体を排出する排気口を備えることを特徴とする連続溶融金属めっき装置。
- 前記シール装置と金属帯との間隔D、前記シール装置のスナウト壁面からの高さHは、D:40mm以上100mm以下かつH/(H+D)≧1/3を満足することを特徴とする請求項4に記載に連続溶融金属めっき装置。
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