JP3820493B2 - 鋼構造物の溶接工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、鋼構造物の溶接構造及びその溶接工法の技術分野に属し、更に言えば、鋼構造の柱梁接合部を溶接により接合する場合の溶接構造及びその溶接工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄骨造建築において、その柱梁接合部を溶接により接合する場合には、柱梁接合部の梁端フランジの溶接部及び溶接部近傍あるいはスカラップに起因する脆性的な破断が問題となっている。その対策として、次に挙げるような公知技術が提案されている。
▲1▼ 梁端をリブで補強する方法。
▲2▼ 柱梁接合部の脆性的な破断の原因の一つとされるスカラップを設けないで溶接を行う溶接工法。
【0003】
その他にも、下記に挙げるような公知技術が提案されている。
▲3▼ 特開平8−281486号公報には、鋼製柱梁接合部を溶接する方法において、溶接する柱及び梁の降伏応力及び引張強度未満の降伏応力及び引張強度を有する鋼製裏当金を使用し、また、溶接材料には溶接により生成される溶接金属の降伏応力及び引張強度が鋼製裏当金の降伏応力及び引張強度以上となるものを用いて溶接する鋼製柱梁接合部の溶接方法が開示されている。
▲4▼ 特開平8−281487号公報には、鋼製柱梁接合部を溶接する方法において、溶接する柱及び梁の降伏応力及び引張強度以上の降伏応力及び引張強度を有する鋼製裏当金を使用し、また、溶接材料には溶接により生成される溶接金属の降伏応力及び引張強度が鋼製裏当金の降伏応力及び引張強度未満となるものを用いて溶接する鋼製柱梁接合部の溶接方法が開示されている。
▲5▼ 昭和47年10月の日本造船学会秋季講演会において発表された「軟質溶接継手の静的引張強度に関する研究」の論文中に、母材より低強度の溶接金属を、K形開先の溶接継手の中央部を初層として、該初層の形成に適用した鋼構造物の構造及び溶接工法が開示されている。
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術▲1▼は、溶接作業を終えた後にリブの取付け作業を行わなければならないから、手間がかかり、作業能率が低下してコスト的にも高くつく。
上記従来技術▲2▼のスカラップを設けない溶接工法は、その品質管理上、柱にブラケットを予め工場等で溶接して接合するブラケット工法を採用しなければならず、近年、コストダウン手法として定着している、梁を柱に直接接合するノンブラケット工法を採用できない。その結果としてコスト的に高くつく。
【0005】
更に、上記の従来技術▲1▼、▲2▼及びその他多くの従来技術、並びに一般的な公知技術では、溶接継手の応力集中部(例えばレ形開先の溶接継手におけるルート側の初層のような応力集中部)に高降伏点の溶接材料を使用している(高降伏点の溶接金属が形成されている。)。この場合、一般に破断の起点となる部分に蓄えられ、破断時に開放される弾性歪エネルギーが、亀裂進展速度や破壊形態に大きく影響することが指摘されており、レ形開先の溶接継手におけるルート側の初層のような応力集中部での高降伏点の溶接材料の使用は問題が多い。つまり、溶接金属の降伏点を柱及び梁等の母材の降伏点より高くすると、亀裂進展時に開放されるエネルギーも大きくなり、脆性的な破壊になり易い。
【0006】
上記従来技術▲3▼は、裏当金の降伏応力及び引張強度を柱及び梁等の母材及び溶接金属の降伏応力及び引張強度より小さくして、梁端フランジの溶接部及び溶接部近傍の応力集中を緩和する構成であり、上記従来技術▲4▼では、裏当金の降伏応力及び引張強度を柱及び梁等の母材及び溶接金属の降伏応力及び引張強度より大きくして、梁端フランジの溶接部及び溶接部近傍の応力集中を緩和する構成であり、それぞれ通常の鋼材を裏当金として用いないので、コスト的に高くつく。
【0007】
ところで従来、母材よりも低強度で高延性の溶接材料(溶接金属)を用いた溶接法が、高張力鋼に対し、予熱温度低減や溶接割れ等の防止に有効であることは知られており、それらの効果と母材による3軸拘束効果による耐力向上に主眼が置かれている。しかし、溶接部の全層に母材よりも低強度の溶接金属を適用した溶接部の耐力は、母材の耐力よりも大きくはならず、柱及び梁等の母材破断を原則とする建築分野では適用が困難である。
【0008】
上記の従来技術▲5▼は、K形開先の溶接継手の中央部に位置する初層のみを母材よりも低強度の溶接金属で形成し、その他の層は、通常の溶接金属により溶接し、予熱温度低減や溶接割れ等の防止の効果を持たせると共に、K形開先の3軸拘束効果により溶接部の耐力を十分なものとした構成である。しかし、現場作業を主とする建築分野において、K形開先はあまり用いられない。
【0009】
次に、600N/mm2 級の高張力鋼以上の強度を有する鋼材(600 N/mm2から780N/mm2 までの鋼材)に対しては、その強度よりも低い溶接金属を形成する溶接材料は存在するものの、600N/mm2 級の高張力鋼未満の強度を有する鋼材(400N/mm2 から490N/mm2 までの鋼材)に対しては、その母材よりも低強度の溶接金属を形成する溶接材料は存在しない。溶接構造用鋼材の降伏耐力は一般的な板厚で245N/mm2 以上であり、それ以下の耐力を有する溶接金属は、溶加材として245N/mm2 以下の降伏耐力の純鉄材料を用いても、アーク溶接に伴う脱酸(Mn、Siの添加)を行うプロセスにおいて耐力上昇を避けられないからである。
【0010】
従って、本発明の目的は、予熱管理なしでレ形開先の溶接継手におけるルート側の初層又は複数層での溶接割れ等を防止できる溶接を行え、該レ形開先の溶接継手におけるルート側の初層又は複数層などの応力集中部の応力集中を緩和でき、地震等の外力が作用する場合に生じる柱梁接合部の梁端フランジの溶接部及び溶接部近傍の脆性的な破断を防止できると共に、溶接作業を能率良く行え、コストが安い、鋼構造物の溶接構造及び鋼構造物の溶接工法を提供することにある。
【0011】
本発明の更なる目的は、600N/mm2 級の高張力鋼未満の強度を有する鋼材よりも低強度で高延性の溶接金属を形成することにより、母材に600 N/mm2級の高張力鋼未満の強度を有する鋼材を使用しても実施できる、鋼構造物の溶接工法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る鋼構造物の溶接工法は、
鋼構造物のレ形開先の溶接継手におけるルート側の初層を、MAG溶接法又はMIG溶接法により、母材より低強度で高延性の溶接材料で溶接し、その余の層は前記MAG溶接法又はMIG溶接法、或いはTIG溶接法により、母材と同等又はそれ以上の強度を有する溶接材料で溶接することを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した鋼構造物の溶接工法において、
母材に600N/mm 2 級の高張力鋼未満の強度を有する鋼材を用い、該鋼材を炭酸ガス又はアルゴンガスと炭酸ガスの混合ガス等の活性ガス雰囲気中、或いはアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で、炭素含有量が0.01%以下、珪素含有量が0.02%以下、マンガン含有量が0.2%以下、リン含有量が0.01%以下、硫黄含有量が0.01%以下の工業用純鉄を溶加材として用い、該工業用純鉄をアーク熱により溶融し凝固させることにより、母材より低強度で高延性の溶接金属を鋼構造物のレ形開先の溶接継手におけるルート側の初層又は複数層に形成することを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載した発明に係る鋼構造物の溶接工法は、
鋼構造物のレ形開先の溶接継手におけるルート側の初層又は複数層を、TIG溶接法により母材より低強度で高延性の溶接材料で溶接し、その余の層は前記TIG溶接法、或いはMAG溶接法又はMIG溶接法により、母材と同等又はそれ以上の強度を有する溶接材料で溶接すること、及び
前記母材に600N/mm 2 級の高張力鋼未満の強度を有する鋼材を用い、該鋼材を炭酸ガス又はアルゴンガスと炭酸ガスの混合ガス等の活性ガス雰囲気中、或いはアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で、炭素含有量が0.01%以下、珪素含有量が0.02%以下、マンガン含有量が0.2%以下、リン含有量が0.01%以下、硫黄含有量が0.01%以下の工業用純鉄を溶加材として用い、該工業用純鉄をアーク熱により溶融し凝固させることにより、母材より低強度で高延性の溶接金属を鋼構造物のレ形開先の溶接継手におけるルート側の初層又は複数層に形成することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施形態及び実施例】
鋼構造物の溶接構造は、図1〜図6に示したように、鉄骨柱2に鉄骨梁3を溶接により接合する場合に、鉄骨梁3のフランジ部3aの一端部に形成されたレ形開先1の溶接継手におけるルート側の初層又は複数層1aが、鉄骨柱2及び鉄骨梁3等の母材よりも低強度で高延性の溶接金属が形成され、その余の層1bが全て鉄骨柱2及び鉄骨梁3等の母材と同等又はそれ以上の強度を有する溶接金属で形成されている。図中の符号4は裏当金、符号5はスカラップである。
【0017】
図1〜図3に示した実施例は、鉄骨柱2の側面に鉄骨梁3のフランジ部3aの一端部を本発明の溶接工法で直接溶接して接合するノンブラケット工法のタイプを示している。図2の実施例では、通常の裏当金4を使用している。図3の実施例では、レ形開先1の溶接継手におけるルート側の初層又は複数層1aを形成するために予め切欠部4aを設けた裏当金4を使用している。
【0018】
図4〜図6に示した実施例は、予め工場等において鉄骨柱2へブラケット3’のフランジ部3’aを溶接しておいて、現場で前記ブラケット3’を利用して鉄骨柱2と鉄骨梁3とを本発明の溶接工法で接合するブラケット工法のタイプを示している。図5の実施例では、通常の裏当金4を使用している。図6の実施例では、レ形開先1の溶接継手におけるルート側の初層又は複数層1aを形成するために予め切欠部4aを設けた裏当金4を使用している。
【0019】
上記の溶接構造を実現する溶接工法は、大きく、以下の2種の溶接工法に分けて実施される。
第1の溶接工法は、請求項1記載の発明に係るもので、鋼構造物のレ形開先1の溶接継手におけるルート側の初層1aのみを、MAG溶接法又はMIG溶接法により、鉄骨柱2及び鉄骨梁3等の母材より低強度で高延性の溶接材料で溶接し、その余の層1bは全て、前記同様のMAG溶接法又はMIG溶接法、或いはTIG溶接法のいずれかにより、鉄骨柱2及び鉄骨梁3等の母材と同等又はそれ以上の強度を有する溶接材料で溶接するのである。
【0020】
第2の溶接工法は、請求項3記載の発明に係るもので、鋼構造物のレ形開先1の溶接継手におけるルート側の初層又は複数層1aを、TIG溶接法により鉄骨柱2及び鉄骨梁3等の母材より低強度で高延性の溶接材料で溶接し、その余の層1bはすべて、前記同様のTIG溶接法、或いはMAG溶接法又はMIG溶接法のいずれかにより鉄骨柱2及び鉄骨梁3等の母材と同等又はそれ以上の強度を有する溶接材料で溶接するのである。
【0021】
上記2種の溶接工法を比較すると、第2の溶接工法よりも第1の溶接工法の方が施工能率は良い。しかし、母材より低強度で高延性の溶接材料をレ形開先1の溶接継手における初層のみに溶接する第1の溶接工法よりも、同材料を初層のみならず複数層まで溶接する第2の溶接工法の方が、設計どおり精巧に溶接することに関しては優れている。しかし、その他に関しては前記両者の奏する効果に差異はない。
【0022】
上記2種の溶接工法で鉄骨柱2及び鉄骨梁3等の母材に600N/mm2 級の高張力鋼以上の強度を有する鋼材を用いる場合、例えば、母材に600N/mm2 級の鋼材を用い、前記溶接材料として、降伏耐力が245N/mm2 の工業用純鉄を用いて、レ形開先1の溶接継手におけるルート側の初層又は複数層1aの溶接金属を厚さにして梁3のフランジ部の厚さの1/3まで形成する。
【0023】
上記2種の溶接工法で鉄骨柱2及び鉄骨梁3等の母材に600N/mm2 級の高張力鋼未満の強度を有する鋼材を用いる場合、該鋼材を炭酸ガス又はアルゴンガスと炭酸ガスの混合ガス等の活性ガス雰囲気中、或いはアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で、炭素含有量が0.01%以下、珪素含有量が0.02%以下、マンガン含有量が0.2%以下、リン含有量が0.01%以下、硫黄含有量が0.01%以下の工業用純鉄を溶加材として用い、該工業用純鉄をアーク熱により溶融させ凝固させることにより、柱2及び梁3等の母材よりも低強度で高延性の溶接金属を、鋼構造物のレ形開先1の溶接継手におけるルート側の初層又は複数層1aに形成することができる。前記溶接金属は、降伏耐力が245N/mm2 以下で、引張強さが400N/mm2 以下である。
【0024】
以下に、本発明に係る溶接工法を実施した鋼構造物の溶接構造の実験結果を示す。
実験データ1:母材劣化防止効果及び溶接部の変形能力向上について
脆性破壊の一つの指標であるCTOD試験(−50〜−30゜Cで実施)では、上記した低強度で高延性の溶接材料を用いた試験体(溶接構造)の亀裂開口変位は、通常の溶接工法の試験体に比べて、熱影響部で1.5倍、溶接部で約3倍となり、母材劣化効果及び溶接部の変形能力向上の効果を確認できた。
【0025】
実験データ2:母材劣化防止効果について
脆性破壊の一つの指標である硬さ試験において、上記した低強度で高延性の溶接材料を用いた試験体の硬さは、通常の溶接工法の試験体のそれに比べて10〜20%低下し、母材劣化を防止していることを確認できた。
実験データ3:母材破断保証について
母材破断を確認するためにルート側の初層又は複数層に母材よりも低強度で高延性の溶接金属を有するレ形開先の溶接継手(本発明の溶接継手)の引張実験を行った。母材には490N/mm2 級の鋼材を用いた。この場合、板厚(鉄骨梁3のフランジ厚)tのt/6だけ低強度で高延性の溶接材料を適用した試験体では、母材破断が確認された。また、板厚(鉄骨梁3のフランジ厚)tのt/3だけ低強度で高延性の溶接材料を適用した試験体では、引張強さは母材の引張強さのJIS規格値を超えているが、溶接部破断となり、母材破断と溶接部破断の分岐点であることを確認できた。以上より、母材に490N/mm2 級の鋼材を用いた場合、板厚(鉄骨梁3のフランジ厚)tのt/3未満の範囲まで本発明に係る溶接工法(レ形開先1の溶接継手におけるルート側の初層又は複数層1aを母材より低強度で高延性の溶接金属で形成)を実施すれば、母材破断することが確認された。t/3未満であれば本発明の効果を発揮し、母材が破断する。通常、1層の厚さは5mm程度の溶接で構成されることが多いため、板厚(鉄骨梁3のフランジ厚)が20mm以上あれば、本発明の溶接工法を適用できる。
【0026】
裏当金4の形態が対応する図3又は図6の実施例では、レ形開先1の溶接継手のルート側の初層又は複数層1aを、図示したように鉄骨梁3と裏当金4との境界までしか溶接していないが、この限りではない。母材の強度、板厚(鉄骨梁3のフランジ厚)や裏当金4の切欠部の大きさなどに応じて、それぞれに適した範囲で実施される。
【0027】
【本発明の奏する効果】
本発明に係る鋼構造物の溶接構造及び鋼構造物の溶接工法によれば、予熱管理なしでレ形開先の溶接継手におけるルート側の初層又は複数層での溶接割れ等を防止する溶接が行え、該レ形開先の溶接継手におけるルート側の初層又は複数層などの応力集中部における応力集中を緩和して、地震等の外力が作用する場合に生じる柱梁接合部の梁端フランジの溶接部及び溶接部近傍の脆性的な破断を防止できる。また、溶接作業を能率良く行え、安いコストで実施できる。
【0028】
更に、本発明に係る鋼構造物の溶接工法の内、母材に600N/mm2 級の高張力鋼未満の強度を有する鋼材を用いる場合の溶接工法によれば、従来存在しなかった600N/mm2 級の高張力鋼未満の強度を有する鋼材よりも低強度の溶接金属を形成できるので、柱や梁等の母材に600N/mm2 級の高張力鋼未満の強度を有する鋼材を用いても本発明に係る鋼構造物の溶接構造を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ノンブラケット工法タイプに本発明を実施した鋼構造物の溶接構造を示した正面図である。
【図2】図1のX部の拡大図である。
【図3】図1のX部の異なる実施例の拡大図である。
【図4】ブラケット工法タイプに本発明を実施した鋼構造物の溶接構造を示した正面図である。
【図5】図4のX’部の拡大図である。
【図6】図4のX’部の異なる実施例の拡大図である。
【符号の説明】
1 レ形開先
1a ルート側の初層又は複数層
1b 余の層
Claims (3)
- 鋼構造物のレ形開先の溶接継手におけるルート側の初層を、MAG溶接法又はMIG溶接法により、母材より低強度で高延性の溶接材料で溶接し、その余の層は前記MAG溶接法又はMIG溶接法、或いはTIG溶接法により、母材と同等又はそれ以上の強度を有する溶接材料で溶接することを特徴とする、鋼構造物の溶接工法。
- 母材に600N/mm2 級の高張力鋼未満の強度を有する鋼材を用い、該鋼材を炭酸ガス又はアルゴンガスと炭酸ガスの混合ガス等の活性ガス雰囲気中、或いはアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で、炭素含有量が0.01%以下、珪素含有量が0.02%以下、マンガン含有量が0.2%以下、リン含有量が0.01%以下、硫黄含有量が0.01%以下の工業用純鉄を溶加材として用い、該工業用純鉄をアーク熱により溶融し凝固させることにより、母材より低強度で高延性の溶接金属を鋼構造物のレ形開先の溶接継手におけるルート側の初層又は複数層に形成することを特徴とする、請求項1に記載した鋼構造物の溶接工法。
- 鋼構造物のレ形開先の溶接継手におけるルート側の初層又は複数層を、TIG溶接法により母材より低強度で高延性の溶接材料で溶接し、その余の層は前記TIG溶接法、或いはMAG溶接法又はMIG溶接法により、母材と同等又はそれ以上の強度を有する溶接材料で溶接すること、及び
前記母材に600N/mm 2 級の高張力鋼未満の強度を有する鋼材を用い、該鋼材を炭酸ガス又はアルゴンガスと炭酸ガスの混合ガス等の活性ガス雰囲気中、或いはアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で、炭素含有量が0.01%以下、珪素含有量が0.02%以下、マンガン含有量が0.2%以下、リン含有量が0.01%以下、硫黄含有量が0.01%以下の工業用純鉄を溶加材として用い、該工業用純鉄をアーク熱により溶融し凝固させることにより、母材より低強度で高延性の溶接金属を鋼構造物のレ形開先の溶接継手におけるルート側の初層又は複数層に形成することを特徴とする、鋼構造物の溶接工法。
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