JP3820434B2 - 竪型破砕機 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、金属材、合成樹脂などを素材とする産業廃棄物や粗大ゴミ等の生活廃棄物を破砕処理する竪型の衝撃式破砕機(「竪型破砕機」と呼ぶ)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上部に被破砕物の投入口が設けられたケーシングの内部に、複数の打撃子(ハンマー)を取り付けたロータを設けるとともに、ケーシングの内周部には反撥板(ライナ)を設けて、前記ロータに設けた打撃子と前記反撥板とで被破砕物を衝撃破砕する竪型破砕機が広く使用されている。
【0003】
図1は、この竪型破砕機を例示するもので、この破砕機1は、ベース3の上に、ケーシング2を構成する円筒状のアッパフレーム2aと、該アッパフレームの下側に結合された円筒状のメインフレーム2bとが設けられている。アッパフレーム2a及びメインフレーム2bの中心部には竪向きの回転軸である主軸4が設けられており、該主軸4にはアッパロータ5、センタロータ6、ロアロータ7が設けられている。アッパロータ5には固定ハンマ10を構成する直径方向のアーム部10a,10bが上下段違いに設けられ、該アーム部10a,10bの左右両側にはそれぞれハンマブレード11,…が取り付けられている。
【0004】
一方、センタロータ6とロアロータ7との間にはハンマピン14が取り付けられて、中央部に該ハンマピン14の外径よりも大きい穴15aが設けられた複数(図では32個)のリングハンマ15,…が遊嵌されている。
【0005】
また、前記アッパフレーム2aの内周面には、アッパライナ16とロアライナ17が設けられ、これらライナ16,17と前記ハンマーブレード11、リングハンマ15の間が破砕用空間となっている。
【0006】
前記メインフレーム2bの上下中間部には、テーブル20が設けられ、該テーブル20の上面にはライナ21が設けられている。テーブル20の上面側には破砕物を掻き集めて所定方向に排出するスクレーパ23が設けられている。スクレーパ23は、スクレーパピン24によって前記ロアロータ7に取り付けられていて、該ロアロータ7とともに高速回転する。また、メインフレーム2bと、その下側に設けられている前記ベース3の中央部には、ベアリングケーシング27が設けられ、このベアリングケーシング内に設けたベアリング28によって前記主軸4が支承されている。主軸4の下端部にはプーリ29が取り付けられており、このプーリに巻き掛けたベルトによりモータの回転力が該主軸4に伝達されるようになっている。
【0007】
この破砕機1を用いて産業廃棄物等の被破砕物を破砕するには、主軸4を回転させつつ、アッパフレーム2aの上端開口部(投入口)2cから被破砕物を投入する。この被破砕物は、前記ハンマブレード11、ハンマーリング15とアッパーライナ16、ロアライナ17との間で破砕され、ロアロータ7とケーシング内面のライナとの間隔部を通って、テーブル20上に設けられているテーブルライナ21上に落下する。落下した被破砕物は、スクレーパ23によって掻き集められ、排出口30から排出される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この種の破砕機では、テーブル20が平面視円板状となっており、その円周部の一部に側方へ張出する水平の排出部が形成され、その先端部に排出シュートが下向きに傾斜した状態で設けられているものが一般的である。上記ハンマ、ライナ等の間で破砕された破砕物は、このテーブル20上に落下してスクレーパ23で掻き集められ、前記排出部から放出される。
【0009】
上記スクレーパ23は高速回転しているので、破砕物は水平な排出部上を排出シュート側へ放出され、排出部上に滞留することはないが、破砕物が水分を含んでいたり、粘着性を有するようなものである場合は、排出部の上面に付着して次第に蓄積され、固化して、破砕物の排出の障害となるという問題点があった。この問題を解決する方法として、テーブル面自体を傾斜させて水平部をなくすことも考えられるが、下部の排出部に高さが必要であるから、装置全体の高さが高くなってコンパクト化を図るうえで問題となる。また、ロータを取り付ける主軸の長さが長くなることにより、バランス上の問題が生じるおそれも生じる。
【0010】
さらに、上記テーブルに設けられているライナとスクレーパを取り付けたロータとの間には該ロータの円周に沿う僅かな隙間があるので、細かい破砕物がこの隙間に入り込み、そのまま排出されずに滞留する結果、この破砕物によってロータが摩耗するという問題点もあった。そこで本発明は、上記従来の竪型破砕機における破砕物排出上の問題点を解決し、簡単な構造で、確実に破砕物を排出できるようにすることを課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用した。すなわち、本発明にかかる竪型破砕機は、ケーシングの中央部に設けた縦方向の回転軸にロータを取り付け、該ロータに設けたハンマとケーシング内周部に設けたライナとで被破砕物を破砕し、該破砕した破砕物をケーシング内の中段位置に設けたテーブルに受けるとともに、前記ロータに取り付けられ前記テーブル上を回転するスクレーパで所定方向に排出するように構成された竪型破砕機において、前記ケーシング内の中段に設けたテーブルの円周端部に環状のテーブルライナを設けて、該テーブルライナの内側に前記ロータを回転自在に嵌合し、前記テーブルとテーブルライナを、その円周端部から中心側に向かって一部切り欠いて前記スクレーパで運ばれた破砕物が落下排出される排出口を形成するとともに、前記テーブルライナとロータの隙間を上記排出口の位置で外に向かって開口させたことを特徴としている。
【0012】
この竪型破砕機は、破砕物をが落下するテーブルの一部が円周端部から中心側へ向かって切り欠かかれて、排出口が形成されているので、スクレーパで掻き集められた破砕物は、該スクレーパの回転中に円周方向に遠心力で排出されるとともに、重力で垂直方向に落下して排出される。このため、水分を含んでいる破砕物や粘着性のある破砕物も滞留することなく確実に排出される。
【0013】
また、スクレーパが取り付けられているロータとテーブル上のライナとの間の隙間に入り込んだ細かい破砕物は、テーブルの一部が切り欠かれていてその部分ではライナも切り欠かれているため、この切り欠き部分から落下し、その滞留が防止される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面にあらわされた本発明の実施形態に基づいて、本発明をより具体的に説明する。
【0015】
この竪型破砕機1の基本的構造は、図1に基づいてすでに説明したとおりであり、上部に投入口を有するケーシング2として、円筒状のアッパフレーム2aと、該アッパフレームの下側に結合された円筒状のメインフレーム2bとが設けられている。アッパフレーム2a及びメインフレーム2bの中心部には竪向きの回転主軸4が設けられており、該主軸4にアッパロータ5、センタロータ6、ロアロータ7が設けられている。アッパロータ5には、固定ハンマ10が取り付けられ、センタロータ6とロアロータ7との間にはハンマピン14が取り付けられて、中央部に該ハンマピン14の外径よりも大きい穴15aが設けられた複数(図では32個)のリングハンマ15,…が遊嵌されている。
【0016】
前記メインフレーム2bの上下中間部にテーブル20が設けられ、該テーブル20の上面にテーブル面保護用のライナ21が設けられているとともに、該ライナの上面側には破砕物を掻き集めて所定方向に排出するスクレーパ23が設けられている。スクレーパ23は、スクレーパピン24によって前記ロアロータ7に取り付けられていて、該ロアロータ7とともに高速回転する。
【0017】
この竪型破砕機1は、上記のとおり、ケーシング2の中段に設けたテーブル20の一部が、その円周側端部から中心部に向かって半月状に切り欠かれている。このため、ロータ7の外縁部が部分的に当該切り欠き部に張り出す状態となっている。なお、ロータ7の外周部には上記ライナ21が環状に取り付けられているが、テーブル20が切り欠かれているため、このライナも同様に切り欠かれた形状となっていて、該ライナとロータ7との間のわずかな隙間tが上記切り欠き部分で外に向かって開口している。
【0018】
上記切り欠き部は、スクレーパ23によって掻き集められた破砕物が落下して排出される排出口30となっていて、その下側には傾斜板からなる排出シュート35が設けられている。この排出シュート35の上端部は、切り欠かれたテーブル20の端縁部から垂下する支持板36によって支持されている。なお、図4におけるSはスクレーパ23の移動軌跡を表す。
【0019】
この竪型破砕機1において、アッパフレーム2aの上端部に設けられている投入口2cから被破砕物を投入すると、この被破砕物は、前記固定ハンマ10のハンマブレード11、ハンマーリング15とアッパーライナ16、ロアライナ17との間で破砕され、ロアロータ7とケーシング内面のライナとの間隔部を通って、テーブル20上に設けられているテーブルライナ21上に落下する。落下した被破砕物は、スクレーパ23の水平回転によって掻き集められ、前記排出口30の位置まで運ばれるが、この部分ではテーブル20が切り欠かれているため、スクレーパ23で集められた破砕物がこの排出口30から自由落下するとともに、遠心力で排出され、排出シュート上を滑って所定位置まで移動する。
【0020】
一方、上記ロアロータ7とテーブル20の環状のライナ21との間には、僅かながらロータの全周に沿って溝状の隙間があり、この隙間部分に細かい破砕物が侵入して蓄積される。このため、高速回転するロータ7が摩耗するという問題があったが、この破砕機1では、その溝状隙間が完全な環状とならず、テーブル20の切り欠き部(排出口)30の位置で外向きに開口しているので、この隙間部分に嵌り込んだ破砕物がロータ7の回転とともに当該開口部から外向きに放出される。このため、ロータ7の摩耗も抑制することができる。
【0021】
この竪型破砕機1は、上記の通り、破砕物を受けるテーブルの一部が切り欠かれていて、スクレーパ23で集められた破砕物が当該切り欠かれた位置でそのまま落下することにより排出されるので、水分を含んでいたり、付着しやすい破砕物でもテーブル上に滞留することがない。このため、連続運転を行っても、破砕物の排出状況が悪化するようなおそれはない。
【0022】
【発明の効果】
以上に説明した如く、本発明にかかる竪型破砕機は、破砕された後の破砕物を受けるテーブルの一部が切り欠かれて排出口を形成しているので、該テーブル上を回転して破砕物を掻き集めるスクレーパがその排出口の位置に達したときに、該掻き集められた破砕物が遠心力や自由落下によって排出されることになり、テーブル面等に付着しやすい破砕物であっても滞留することがなくなった。また、ロータとテーブルライナとの間の溝状の隙間、又はロータとテーブル本体との隙間に侵入した破砕物は、ロータの回転によって上記排出口の位置で当該溝状の隙間の開口部から放出される。以上により、本願発明の破砕機は、簡単な構造ながら、排出口付近に付着して固化した破砕物等による問題を解決することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】竪型破砕機の平面図である。
【図2】その正面図である。
【図3】その要部の縦断面図である。
【図4】テーブルの平面図(a)、断面図(b)、X矢視図(c)である。
【符号の説明】
1 竪型破砕機
2 ケーシング
3 ベース
5 アッパロータ
6 センタロータ
7 ロアロータ
10 固定ハンマ
20 テーブル
21 テーブルライナ
23 スクレーパ
30 排出口
Claims (1)
- ケーシングの中央部に設けた縦方向の回転軸にロータを取り付け、該ロータに設けたハンマとケーシング内周部に設けたライナとで被破砕物を破砕し、該破砕した破砕物をケーシング内の中段位置に設けたテーブルに受けるとともに、前記ロータに取り付けられ前記テーブル上を回転するスクレーパで所定方向に排出するように構成された竪型破砕機において、前記ケーシング内の中段に設けたテーブルの円周端部に環状のテーブルライナを設けて、該テーブルライナの内側に前記ロータを回転自在に嵌合し、前記テーブルとテーブルライナを、その円周端部から中心側に向かって一部切り欠いて前記スクレーパで運ばれた破砕物が落下排出される排出口を形成するとともに、前記テーブルライナとロータの隙間を上記排出口の位置で外に向かって開口させたことを特徴とする竪型破砕機。
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