JP3569209B2 - 破砕装置の排出部構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、円筒状シエル内部で被破砕物を破砕する縦型破砕装置の排出部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種廃棄物などの被破砕物を円筒状シエル内部に投入して、シエル内側のシエルライナとシエル中心の回転軸の外側に設けたブレーカハンマ又はブレーカライナ、グラインダとの間で破砕するように構成された縦型破砕装置が公知である。このような破砕装置の一例が実開昭62−156348号公報に示されている。
【0003】
この公報に記載されている破砕装置は、排出筒の上に筒状シエルを設け、シエルの内側にシエルライナを固定し、シエルの中心に設けた回転軸にブレーカハンマやブレーカライナ、あるいはグラインダなどの破砕部材を取付け、シエルと排出筒の間には被破砕物の粒度を調整するためのチョークリングを設け、排出筒とシエルはそれぞれの上端又は下端のフランジをボルトで一体に締結し、図4に示すように、排出筒内には破砕部材で破砕された被破砕物を回転するアームで掻き集めるスイーパ9が設けられ、一定方向に送られた被破砕物をスクレーパによる案内で排出口42へと送り出すように構成されている。
【0004】
上記スイーパ9は、シエル内のグラインダを取付けるためのロータ板と排出筒を固定する底板との間のリング状の中空ペース内で回転軸と共に高速回転し、被破砕物を一定方向に送るように設けられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した縦型破砕装置は各種の被破砕物を対象とするが、特に冷蔵庫などフロン断熱材を用いた廃棄物を破砕するのに用いる際、フロン断熱材を破砕すると断熱材の素材内に閉じ込められたフロンガスが流出し、断熱材全体では無視できない程となり、これをそのまま大気中に放出すると大気圏上空のオゾン層を破壊するためこれらのフロンを回収する必要がある。このため、排出口にはフロン回収装置が接続される。
【0006】
上記フロン回収装置は、排気中のフロンガスを高効率に回収するため小型化が図られており、例えば吸引風量30〜50m3 /min程度の大きさのものが一般に用いられている。ところが、上記破砕装置はスイーパが回転軸に直接取付けられているため回転軸と同じ速度で回転する。破砕装置は被破砕物を大量に処理することが要求されるため、回転軸は高速度で回転し、例えば300、390rpm、のような回転速度で運転される。
【0007】
このような高速度で回転軸が回転すると、スイーパも同じ回転速度であるためスイーパ自体が排出筒内で一種の扇風機のような役目をし、排出口に対して相当の風量の風を送り、その風量は200m3 /min〜150m3 /minという大量の風となる。このため、フロン回収装置との間に風量のミスマッチングが生じ、フロン回収装置で十分なフロン回収ができない場合がある。
【0008】
この発明は、上記従来の縦型破砕装置の排出筒による問題点に留意し、排出筒内で被破砕物を排出口へ送る際に強い排気流が生じないように回転移動させて次工程での作用を阻害しないような排出筒構造を有する縦形破砕装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の課題を解決する手段として、被破砕物を排出する排出筒の上に円筒状シエルを設けてそれぞれの上端と下端のフランジを一体に固定し、円筒状シエルの内側にはシエルライナを固定し、円筒状シエル内に設けた回転軸にブレーカハンマやブレーカライナ、グラインダを含む破砕部材を取付け、円筒状シエルと排出筒の間には被破砕物の粒度を調整するためのチョークリングを設け、排出筒内には破砕された被破砕物を載置して一定方向へ回転移動させる回転テーブルを回転自在に支持して設け、この回転テーブルを中心側に傾斜部と外周側に水平鍔部を有する断面視形状とし、回転軸と一体に回転するように設けて成る破砕装置の排出部構造としたのである。
【0010】
かかる構成の破砕装置排出部構造において、破砕装置としての被破砕物に対する破砕作用は従来と同様であり、円筒状シエル内に投入された被破砕物をブレーカハンマやブレーカライナ、グラインダを含む破砕部材によりシエルライナとの間で打撃、衝突させて破砕させる。破砕された被破砕物はチョークリングで設定される粒度以下になると隙間から排出筒内へ落下し、回転テーブル上に載置される。
【0011】
上記被破砕物として特に断熱材を多く含んでいる場合、素材の組織内の各部分にフロンガスを微量に含んでいるため、破砕処理をすると全体として大気中に放出することを容認できない程のフロンガスが発生する。これらのフロンガスなどの浮遊粒子が発生してもこの破砕装置では残存する30〜50m3 /min程度の排気風量によって円筒状シエル内の雰囲気をゆるやかにロータとチョークリングの隙間から吸引するため、破砕部材で破砕した際に生じるフロンガスなどの浮遊粒子を含む雰囲気は円筒状シエルの上端から大気中に放出されることなく、吸引される空気の流れと共に排出筒内へ移動する。
【0012】
一方、排出筒内の雰囲気の気流には、水平な回転テーブルが回転することにより生じる流れは殆どなく、残存する排気風量が主な要因である。回転テーブルは高速で回転する回転軸の回転と同じ速度であるため、被破砕物が回転テーブルの同一位置でその断面スペース全部を占める程載置されることなく排出口へ排出され、被破砕物の回転で高速の気流を生じることはなく、従って排出される気流が次工程の作用を阻害しない程度に抑制されている。
【0013】
このため、例えばフロン処理装置が次工程に接続されるような場合、フロン処理装置でのフロン分解作用を阻害することなくその処理速度にマッチングした速度でフロンを含む雰囲気の気流を排出口から排出することとなる。
【0014】
回転テーブルは傾斜部を設けているため、傾斜部に落下した被破砕物は傾斜面を滑り、かつ遠心力により外周側へと振り出されて水平鍔部上へ移動する。このため、被破砕物は回転テーブルの外周側に載置されて回転し、移動する。排出口の位置では排出筒の壁がなくなるため、遠心力でさらに外方へと振られて排出口へと向かう。このため、強い排気流を生じることなく、スムーズに排出口へ被破砕物は排出される。
【0015】
【実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は実施形態の縦型破砕機の主要縦断面図である。1は円筒状シエル、2は排出筒(ディスチャージリング)であり、円筒状シエル1は上部が広くなった浅いテーパ状となり、上端が投入口として開口し、下端を排出筒2に支持され、固定されている。円筒状シエル1の内側には多数のシエルライナ3が所定の間隔で配置されている。
【0016】
円筒状シエル1の中央に設けた垂直の回転軸4の上部寄りにはブレーカライナ5、5が設けられ、中間位置から下部寄りには円板状のロータ板6、6、6が取り付けられ、各ロータ板6、6と6、6間にそれぞれグラインダピン7を介して複数のグラインダ8、8が回転自在に取付けられている。なお、ブレーカライナ5、5に代えてブレーカハンマを取付ける場合もあり、回転軸4に取り付ける破砕部材の構造は自由である。
【0017】
円筒状シエル1の下端フランジ11と排出筒2の上端フランジ12との間には肉厚部材14が円周方向に一定間隔で複数箇所設けられ、この肉厚部材14で下端フランジ11と上端フランジ12の間を一定距離に保持し、これによって保持された隙間の間で半径方向に進退動できる可動チョークリング13が肉厚部材14に隣接して設けられている。20はチョークリング13を進退動させるためのシリンダを含む駆動手段である。
【0018】
排出筒2の下端は、底板10に固定して設けられ、回転軸4を支持する軸受部の外周カバーと排出筒2との間で、かつ上、下をロータ板6、チョークリング13と底板10により囲まれるスペース内の底板10より少し上方に、ロータ板6とチョークリング13との間の隙間Tから落下する破砕された被破砕物を載置して排出口42へと回転移動させるリング状の回転テーブル31が回転軸4の軸受外周の軸受カバー30と一体に設けられている。
【0019】
回転テーブル31は、図2の外観斜視図に示すように、鍔付きの帽子状に形成され、回転軸4の軸受部外周の軸受カバー30より断面ではさらに大きい径の垂直部31aと傾斜部31bと水平鍔部31cとを略ヘ字状に連ねた形となっている。垂直部31aは、軸受カバー30と排出筒2の間の幅の略1/3程の位置に設けられ、落下する被破砕物が軸受カバー30寄りに滞留しないように張り出して設けられている。
【0020】
傾斜部31bの外周には縁材が設けられ、この縁材に水平鍔部31cの内周を重ねてボルトにより固定して水平鍔部31cが着脱自在に取り付けられている。この水平鍔部31cは、図示の例では、円周方向に複数箇所で切断された複数枚の部材を全周に取付けたものである。従って、部分的に曲損が生じたりするとその部材のみを交換して修復するのを容易としている。又、水平鍔部31cの下面には適宜位置で掻板31dが複数箇所(図示の例では2箇所)設けられている。この掻板31dは、回転テーブル外周と排出筒2の内側ライナとの隙間からテーブル下面を通り内側へ侵入する被破砕物を掻き回して排出口42へと排出する役目をする。
【0021】
なお、回転テーブル31は回転軸4の軸受カバー30と一体に形成され、軸受カバーは回転軸4と同速で回転するから、当然回転テーブル31も同速で回転する。又、回転テーブル31の水平鍔部31cは、複数組に分割して傾斜部に着脱自在に取付けるとしたが、水平鍔部31cを一体に形成してもよいことは勿論である。軸受カバー30の下端には台板10の上面との間に少し隙間が設けられ、この隙間からごみが軸受部へ入るのを防止するためその下端外周にシール材30aが取付けられている。
【0022】
上記構成の破砕機での破砕作用は、基本的に従来の破砕機と同じであるが、破砕された被破砕物を排出筒2内から排出口42へ回転テーブル31により回転移動する点が従来と大きく異なる。ブレーカライナ5やグラインダ8により破砕された被破砕物はロータ6とチョークリング13との隙間以下のサイズに破砕されたものが隙間から落下し、回転テーブル31上に載置されて回転テーブル31により排出口42へと回転移動される。
【0023】
上記被破砕物の移動速度は、回転テーブル31が回転軸4と同速度で回転するため回転軸と同じ速度である。回転テーブル31は被破砕物の載置面がフラットな水平面として形成されているため、回転テーブル31を回転させても、その上方の空間スペース内に回転テーブル31の回転による空気の流れが風となって生じることは殆んどない。しかし、円筒状シエル内での破砕時に生じるフロンガスなどの浮遊粒子はチョークリング13との隙間から例えば30〜50m3 /min程度の残存する排気風量又は次工程のフロン回収設備の吸引風量により吸引される。これに対し、従来であればスイーパのアーム先端が上記空間スペース内の空気を、回転軸4と同じ高速回転により高速度の気流として遠心ファンで押圧するように移動させていたため排出口42では高速度の気流が被破砕物と共に排出されていた。
【0024】
一方、上記実施形態では被破砕物を同速度で移動させる際に、残存する排気風量が排出口42へ排出されるだけであるから、排出口42の次に接続される、例えばフロン回収装置(図示省略)に対し、その作用を阻害する程の風を排出口42から排出することはない。従って、フロン回収装置の処理動作とのミスマッチングが解消され、有効なフロン回収作用が確保される。
【0025】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、この発明の破砕装置は円筒状シエルを支持する排出筒内に回転自在に設けた回転テーブルを回転軸と同速度の高速度で回転させ、テーブルに傾斜部を設けて被破砕物を外周側へ移動、載置するようにしたから、従来のようにスイーパ手段で排気筒内の被破砕物を排出口へ排出する際に生じるような大きな風量の排気が生じることがなく、回転テーブル上に被破砕物が載置される際に残存する排気風量という小さな風量で排出しながら回転テーブルにより被破砕物を排出口へ回転移動でき、次工程の装置の作用を阻害しないようにすることができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の縦型破砕機の主要縦断面図
【図2】図1の矢視II−IIからの断面図
【図3】同上の回転テーブルの斜視図
【図4】従来例の縦型破砕機の部分斜視図
【符号の説明】
1 円筒状シエル
2 排出筒
3 シエルライナ
4 回転軸
5 ブレーカライナ
6 ロータ板
7 グラインダピン
8 グラインダ
10 底板
30 軸受カバー
31 回転テーブル
31a 垂直部
31b 傾斜部
31c 水平鍔部
31d 掻板
40 排出口
Claims (3)
- 被破砕物を排出する排出筒の上に円筒状シエルを設けてそれぞれの上端と下端のフランジを一体に固定し、円筒状シエルの内側にはシエルライナを固定し、円筒状シエル内に設けた回転軸にブレーカハンマやブレーカライナ、グラインダを含む破砕部材を取付け、円筒状シエルと排出筒の間には被破砕物の粒度を調整するためのチョークリングを設け、排出筒内には破砕された被破砕物を載置して一定方向へ回転移動させる回転テーブルを回転自在に支持して設け、この回転テーブルを中心側に傾斜部と外周側に水平鍔部を有する断面視形状とし、回転軸と一体に回転するように設けて成る破砕装置の排出部構造。
- 前記回転テーブルの水平鍔部の下面に適宜円周方向位置で掻板を取付けたことを特徴とする請求項1に記載の破砕装置の排出部構造。
- 前記回転テーブルの水平鍔部を傾斜部外周に着脱自在に取付けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の破砕装置の排出部構造。
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