JP3819989B2 - 電磁モータの巻線絶縁構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固定子もしくは回転子の一方またはその両方に、放射状に配設された複数個の突極を有する電磁モータの巻線絶縁構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の電磁モータのうち、小形モータとしては、例えば直流モータ、ブラシレス直流モータ、PM型ステッピングモータおよびハイブリッド型ステッピングモータなどがある。図3は、該ハイブリド型ステッピングモータmの概略構成を示す縦断面図である。
【0003】
図3において、前記モータmは、固定子1と回転子2とからなり、該固定子1は、鋼板を積層して形成された固定子鉄心3に巻線4が巻回されており、該固定子1の内周面に、空隙を介して前記回転子2を、ケースに固定された軸受5により回動自在に配設、支持するとともに、該回転子2は、その軸方向に着磁された円筒状の永久磁石6と、該永久磁石6の軸方向の両側に、鋼板を積層して形成され、該永久磁石6を挟持するように固着された2個の回転子鉄心7,7と、それらを貫通した軸8とにより構成されている。
そして、該回転子鉄心7,7の外周面には、4〜200程度の小歯7aと呼ばれる凹凸が形成されるとともに、前記固定子鉄心3で、放射状に配設された複数個の突極9の内周面にも複数個の同様の小歯9aが形成されている。
【0004】
前記ハイブリド型ステッピングモータmは、前記巻線4の励磁切換えのための図示しない駆動回路と、該モータmに加減速制御や位置決め制御を指示する図示しない制御回路とにより動作するようになっている。
【0005】
ところで、図4は、前記固定子1の横断面図、図5は、図4のA部拡大図を示す。図4および図5において、前記固定子1の前記突極にそれぞれ巻回された、例えばポリエステルまたはポリウレタン被覆導線からなる巻線4は、隣接する前記突極9,9間に形成されたスロット10内に、例えばワニスクロス、合成樹脂フィルムなどからなるシート状の絶縁カバー11を介して、該巻線4,4と前記固定子鉄心3間を電気的に絶縁されながら、収容されている。
そして、該巻線4,4は、それぞれの前記突極9に巻回され、前記絶縁カバー11を介して前記スロット10内に収容された後、溶剤形ワニスまたは無溶剤形ワニスにて含浸処理されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、前記モータmの固定子1の巻線4,4は、前記スロット10内にシート状の絶縁カバー11を介して、該巻線4,4と前記固定子鉄心3間を電気的に絶縁されながら、収容されている。
【0007】
しかしながら、前記のような巻線絶縁構造のままででは、前記スロット10の開口部に絶縁ウェッジの挿設が困難であり、前記スロット10の開口部10aが開いたままの状態となっていたため、該開口部の前記巻線4,4と前記固定子鉄心3間の空間上の沿面距離は、図5に示すa+bように短く、規格値が確保できず、海外規格、例えばUL(Underwriters' Laboratories)規格、CSA(Con ー federate States of America)規格などに適合しないという問題点があった。
このため、前記モータは、絶縁耐力および絶縁抵抗の値が低いという問題点があった。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みなされたもので、その目的は前記問題点を解決し、固定子または回転子のスロット内における、巻線とそれぞれ鉄心との間の空間上の沿面距離が長く形成された電磁モータの巻線絶縁構造を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、固定子または回転子のスロット内における、巻線とそれぞれ鉄心との間の絶縁耐力および絶縁抵抗の各値が高い電磁モータの巻線絶縁構造を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための本発明の構成は、固定子部と回転子部とからなり、該固定子部もしくは回転子部の一方またはその両方に、放射状に配設された複数個の突極を有する電磁モータであって、前記突極にそれぞれ巻回された巻線を、前記突極間に形成されたスロットに絶縁部材を介して、該巻線と前記突極鉄心間を電気的に絶縁しながら、前記巻線を収容する巻線絶縁構造において、次のとおりである。
【0011】
(1) 前記絶縁部材として厚手の絶縁部材を使用し、該絶縁部材の前記スロット開口部側の両端部に、回転子軸方向に沿い、かつ該スロット開口部に平行な段付き肉薄部を形成するとともに、該段付き肉薄部にまたがるように該段付き肉薄部の外周面または内周面に短冊形状の絶縁ウェッジを挿設して、前記スロット開口部を閉成することを特徴とする。
【0012】
(2) 前記電磁モータが、ステッピングモータであることを特徴とする。
【0013】
本発明は、以上のように構成されているので、前記絶縁部材と前記短冊形状の絶縁ウェッジにより、固定子または回転子のスロット内における、巻線とそれぞれ鉄心との間の空間・沿面距離を長く形成することができる。
このため、前記電磁モータは、固定子または回転子のスロット内における、巻線とそれぞれ鉄心との間の絶縁耐力および絶縁抵抗の実力値を十分高くすることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の好適な発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1は、本発明の電磁モータの巻線絶縁構造の一実施の形態を示すハイブリッド型ステッピングモータの固定子の巻線が収容されたスロットの拡大断面図で、図3と同一部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0015】
図1において、固定子鉄心3の磁極9,9にそれぞれ巻回された巻線4,4を、該磁極9,9間に形成されたスロット10内に、該スロット10の内面に接するように配設された絶縁部材21を介して、該巻線4,4と前記固定子鉄心3との間を電気的に絶縁しながら、前記巻線4,4を収容している。
【0016】
前記絶縁部材21としては、従来のシート状の絶縁カバー11より、厚さの厚い、例えば約1mmの合成樹脂、例えば商標名ナイロン(特に66ナイロン)からなるものを使用し、該絶縁部材21の前記スロット開口部10a側に位置する両側端部に、前記軸8の軸方向に沿って、かつ前記スロット開口部10aにほぼ平行な段部を外周側に付け、段付き肉薄部21a,21aを形成する(段部は外周側に形成)。該段付き肉薄部21aの段部は、例えばその深さ約0.5mm、端までの長さ約3mm、肉厚約0.5mmである。
【0017】
前記絶縁部材21の両端側の外周面に形成された前記段付き肉薄部21aにまたがって、前記スロット開口部10aを閉成するように、短冊形状の絶縁ウェッジ22を、前記絶縁部材21の外周面と、これに接する前記突極9の凸部9bとの間に挿入して配設する。この短冊形状の絶縁ウェッジ22としては、厚さが約0.5mmの合成樹脂、例えばポリエチレンテレフタレートからなるものが使用されている。
なお、前記絶縁部材21および前記絶縁ウェッジ22の軸方向の長さは、前記固定子鉄心の軸方向の長さより若干長くすればよい。
【0018】
このようにすると、前記スロット10における巻線4と前記固定子鉄心3との沿面距離は、図1に示すように、前記絶縁部材21の端部側の前記肉薄部21aの厚さ(c)と、該肉薄部21aと前記絶縁ウェッジ22との重なり合う部分の長さ(d)と、前記絶縁ウェッジ22の厚さ(e)との和となり、前記従来のものの空間上の沿面距離より、格段に長くすることができる。
そして、前記巻線4,4は、それぞれの前記磁極9に巻回され、前記絶縁部材21および前記絶縁ウェッジ22を介して前記スロット10内に収容された後、溶剤形ワニスまたは無溶剤形ワニスにて含浸処理されている。
【0019】
図2は、本発明の電磁モータの巻線絶縁構造の前記実施の形態の他の例を示す固定子の巻線が収容されたスロットの拡大断面図で、図1と同一部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0020】
図2において、前記絶縁部材21の両端側の外周面に形成された前記段付き肉薄部21aにまたがって、前記スロット開口部10aを閉成するように、短冊形状の絶縁ウェッジ22を、前記絶縁部材21の内周面と、これに接する前記巻線4との間に挿入して配設する。
【0021】
この場合、前記スロット10における巻線4と前記固定子鉄心3との空間上の沿面距離は、図2に示すように、前記絶縁部材21の端部側の前記肉薄部21aと前記絶縁ウェッジ22との重なり合う部分の長さ(f)と、該肉薄部21aの厚さ(g)との和となり、前記絶縁ウェッジ22自身の厚さに関係なく、前記従来のものの沿面距離より長くすることができる。
【0022】
なお、本発明の技術は前記実施例における技術に限定されるものではなく、同様な機能を果たす他の態様の手段によってもよく、また本発明の技術は前記構成の範囲内において種々の変更、付加が可能である。
【0023】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の電磁モータの巻線絶縁構造によれば、絶縁部材として厚手の絶縁部材を使用し、該絶縁部材の前記スロット開口部側の両端部に、回転子軸方向に沿い、かつ該スロット開口部に平行な段付き肉薄部を形成するとともに、該段付き肉薄部にまたがるように該段付き肉薄部の外周面または内周面に短冊形状の絶縁ウェッジを挿設して、前記スロット開口部を閉成するので、固定子または回転子のスロット内における、巻線と鉄心との間の空間上の沿面距離を長く形成することができ、該電磁モータを、海外規格の、例えばUL規格、CSA規格、VDE規格などに適応させることができる。
【0024】
このため、前記電磁モータは、固定子または回転子のスロット内における、巻線と鉄心との間の絶縁耐力および絶縁抵抗の各値を十分高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の電磁モータの巻線絶縁構造の一実施の形態を示す図で、ハイブリッド型ステッピングモータの固定子の巻線が収容されたスロットの拡大断面図である。
【図2】本発明の電磁モータの巻線絶縁構造の図1の他の例を示すハイブリッド型ステッピングモータの固定子の巻線が収容されたスロットの拡大断面図である。
【図3】従来のハイブリド型ステッピングモータの概略構成を示す縦断面図である。
【図4】図3の固定子の横断面図図である。
【図5】図4のA部拡大図である。
【符号の説明】
M,m ハイブリッド型ステッピングモータ
1 固定子
2 回転子
3 固定子鉄心
4 巻線
5 軸受
6 永久磁石
7 回転子鉄心
7a 小歯
8 軸
9 突極
9a 小歯
9b 凸部
10 スロット
10a 開口部
11 絶縁カバー
21 絶縁シート部材
21a 段付き肉薄部
22 絶縁ウェッジ
Claims (2)
- 固定子部と回転子部とからなり、該固定子部もしくは回転子部の一方またはその両方に、放射状に配設された複数個の突極を有する電磁モータであって、前記突極にそれぞれ巻回された巻線を、前記突極間に形成されたスロットに絶縁部材を介して、該巻線と前記突極鉄心間を電気的に絶縁しながら、前記巻線を収容する巻線絶縁構造において、
前記絶縁部材として厚手の絶縁部材を使用し、該絶縁部材の前記スロット開口部側の両端部に、回転子軸方向に沿い、かつ該スロット開口部に平行な段付き肉薄部を形成するとともに、該段付き肉薄部にまたがるように該段付き肉薄部の外周面または内周面に短冊形状の絶縁ウェッジを挿設して、前記スロット開口部を閉成することを特徴とする電磁モータの巻線絶縁構造。 - 前記電磁モータが、ステッピングモータであることを特徴とする請求項1に記載の電磁モータの巻線絶縁構造。
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JP06983997A Expired - Lifetime JP3819989B2 (ja) | 1997-03-24 | 1997-03-24 | 電磁モータの巻線絶縁構造 |
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- 1997-03-24 JP JP06983997A patent/JP3819989B2/ja not_active Expired - Lifetime
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