JP2002223540A - 電動機およびそれを用いた応用機器 - Google Patents

電動機およびそれを用いた応用機器

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JP2002223540A
JP2002223540A JP2001018181A JP2001018181A JP2002223540A JP 2002223540 A JP2002223540 A JP 2002223540A JP 2001018181 A JP2001018181 A JP 2001018181A JP 2001018181 A JP2001018181 A JP 2001018181A JP 2002223540 A JP2002223540 A JP 2002223540A
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electric motor
winding
motor according
coil
cylindrical portion
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JP2001018181A
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English (en)
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Hisakazu Kataoka
久和 片岡
Hirofumi Mizukami
裕文 水上
Kimitoshi Nishikawa
公敏 西川
Takaharu Naito
敬治 内藤
Yoshinari Asano
能成 浅野
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 導電性巻線の断面積が大きくなっても巻線を
容易に行い、コイルエンド寸法を小さく仕上げることが
できる高出力、高効率な電動機を提供することを目的と
する。 【解決手段】 回転子と、固定子鉄心17のティース部
12に絶縁物14を介して、平角線15を、その先端が
前記固定子鉄心の天面側および底面側のスロット端を複
数回通過し、スロット13の径方向深さ方向に対して1
層巻回されたコイルを形成し、各コイルを、その端部に
形成した円筒部あるいは導電性板を用いて接続した固定
子により電動機を構成したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低電圧バッテリー
駆動の電動機のように巻数の少ない電動機において、電
動機のコイルを形成する平角線とコイル端部の接続処理
方法に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】従来の電動機において、ティースに巻線
を施す方法としては、コイルを形成する導電性巻線とし
て丸い銅線をティースに直接巻く方法や、第1工程で巻
枠に銅線を巻いた後、第2工程でスロットオープンから
スロット内部に銅線を挿入する方法が知られている。
【0003】この時、コイルエンド寸法をできるだけ小
さく仕上げるために銅線を整列して巻く必要があった。
【0004】また、平角線を用いた電動機として、特開
平9−247882号公報が知られており、平角導体の
一端部(本願明細書における「コイル巻始め端部」に対
応)と各界磁極(本願明細書における「ティース」に対
応)を電気的に接続した構成の電動機が開示されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】導電性巻線の断面積が
2mm2程度以下であれば、リード線と導電性巻線の先
端部を互いによじり、半田付け等で接続することが可能
であり、一般的に実施されている。ところが、50V以
下の電源で駆動され、巻線に50A以上の電流を流して
トルクを発生させる電動機では最大出力を考慮するとリ
ード線と導電性巻線の断面積が各々10mm2程度にな
るのでそれらを合わせると最低でも20mm2の接続部
となる。特に中性点の接続部は3相のスター結線の場
合、最低でも30mm2となってしまう。大電流型電動
機のリード線と導電性巻線および中性点の接続部は太く
て硬いので、よじって半田付けをする工法で接続部の電
気的・機械的信頼性を確保するのは非常に難しい。
【0006】また、大電流を流すような電動機の場合、
導電性巻線の断面積を太くするため、規定のスロットオ
ープンの中では導電性巻線がノズルを通らないとか、銅
線を多本持ちにするためリード線との結線処理や、中性
点接続処理時に絶縁皮膜を剥離するために工数が必要に
なるとか、スロット内部へ挿入した後にコイルエンドが
大きくなり成形工程が必要になる等の課題があった。特
にステータ内径精度を確保し、またはステータコア分割
による損失増加を防止するため、ステータティースごと
に非分割とする場合、巻線が困難であった。
【0007】さらに、銅と比較して電気抵抗の高い電磁
鋼板を介して各コイルの電気的接続を行うなら、電動機
の効率低下原因となり、そして、本発明のごとく、コイ
ルの端子間にかかる電圧が50V以下のように、低電圧
の場合、その影響は増大する。
【0008】本発明は、このような課題に鑑み発明され
たものであり、導電性巻線の断面積が大きくなっても巻
線を容易に行い、コイルエンド寸法を小さく仕上げるこ
とができる高出力、高効率な電動機を提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明は、回転子と、固定子鉄心のティース部に絶縁
物を介して、平角線を、その先端が前記固定子鉄心の天
面側および底面側のスロット端を複数回通過し、スロッ
トの径方向深さ方向に対して1層巻回されたコイルを形
成し、各コイルを、その端部に形成した円筒部あるいは
導電性板を用いて接続した固定子により電動機を構成し
たものである。
【0010】上記手段により、コイルエンドを小さくし
た小型で高出力、高効率な電動機を提供することができ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1記載の発明は、
回転子と、固定子鉄心のティース部に絶縁物を介して、
平角線を、その先端が前記固定子鉄心の天面側および底
面側のスロット端を複数回通過し、スロットの径方向深
さ方向に対して1層巻回されたコイルを形成した固定子
により構成されていることを特徴とする電動機であり、
巻線をする際スロット内部での位置安定性をよくするこ
とができるという作用を有する。
【0012】請求項2記載の発明は、平角線の断面の長
辺の長さは、スロットの径方向深さ未満、径方向深さの
半分以上である、請求項1記載の電動機であり、平角線
の巻きくずれを抑制することができるという作用を有す
る。
【0013】請求項3記載の発明は、平角線の断面の短
辺が長辺の1/5以下の長さである、請求項1または請
求項2記載の電動機であり、特にキャリア周波数が20
kHzまで高くなっても、表皮効果による実質的な巻線
抵抗の増加を抑制することができるという作用を有す
る。
【0014】請求項4記載の発明は、平角線の断面の長
辺の長さが、巻始めほど小さく、巻終わりに近づくにし
たがって次第に大きくなる、請求項1から請求項3のい
ずれか1項に記載の電動機であり、スロット形状に合わ
せた平角線を巻くため、スロット断面積を有効に使うこ
とができるという作用を有する。
【0015】請求項5記載の発明は、平角線の断面がス
ロットの径方向深さ方向に向かって次第に幅広となる略
台形である請求項1記載の電動機であり、スロット断面
積を有効に使うことができるという作用を有する。
【0016】請求項6記載の発明は、コイルを形成する
平角線の巻始め端部に円筒部を形成し、リード線端また
は中性点同士を接続する線を前記円筒部にかしめたこと
を特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記
載の電動機であり、リード線または中性点接続を専用の
接続部品を用いることなく容易に接続することができる
という作用を有する。
【0017】請求項7記載の発明は、コイルを形成する
平角線の巻始め端部に形成された円筒部(かしめ後)と
固定子鉄心の間に絶縁物を設けたことを特徴とする請求
項6記載の電動機であり、円筒部と固定子鉄心との絶縁
を確実に行うことができるという作用を有する。
【0018】請求項8記載の発明は、コイルを形成する
平角線の巻始め端部に形成された円筒部(かしめ後)を
含めたコイルエンドと固定子鉄心の絶縁をインシュレー
タとし、前記インシュレータに前記円筒部を収納する凹
部を設けたことを特徴とする請求項1から請求項7のい
ずれか1項に記載の電動機であり、コイルエンド寸法を
大きくすることなく、円筒部と固定子鉄心との絶縁を確
実に行うことができるという作用を有する。
【0019】請求項9記載の発明は、コイルを形成する
平角線の巻始め端部に形成された円筒部(かしめ後)、
あるいは前記円筒部を収納したインシュレータを収納す
る段差を固定子鉄心に設けたことを特徴とする請求項7
あるいは請求項8記載の電動機であり、円筒部を固定子
鉄心天面部より低い位置に納めることができるので、コ
イルエンド寸法をより小さくすることができるという作
用を有する。
【0020】請求項10記載の発明は、コイルを形成す
る平角線の巻終わり端部に円筒部を形成し、中性点同士
またはリード線端を接続する線を前記円筒部にかしめた
ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項
に記載の電動機であり、中性点またはリード線接続を特
別な部品を用いることなく容易に接続することができる
という作用を有する。
【0021】請求項11記載の発明は、コイルを形成す
る平角線の巻始め、あるいは巻始めおよび巻終わり端部
の円筒部は巻回前に形成されていることを特徴とする請
求項6から請求項10記載の電動機の製造方法であり、
狭スペースにおいて円筒部を形成する必要がなく、巻線
前の(スロット内外を問わず)広いスペースで円筒部を
容易に形成することができるという作用を有する。
【0022】請求項12記載の発明は、中性点接続にお
いて、コイルを形成する平角線の巻終わり端部に形成さ
れた円筒部と絶縁チューブを1本の中性点接続用電線に
挿入し、かしめ部を除く中性点接続用電線を被覆したこ
とを特徴とする請求項6から請求項10のいずれか1項
に記載の電動機であり、中性点接続を狭スペースで行う
ことができるという作用を有する。
【0023】請求項13記載の発明は、コイルは3相接
続されており、前記コイルの巻始めあるいは巻終わりの
個数を3n個とした時、同相のコイルn個(nは2以上
の整数)ずつの巻始め部あるいは巻終わり部を導電性板
で接続した請求項1から請求項5のいずれか1項に記載
の電動機であり、リード線または中性点接続を専用の接
続部品を用いることなく容易に接続することができると
いう作用を有する。
【0024】請求項14記載の発明は、コイルの巻始め
あるいは巻終わりの個数をn個とした時、n個の巻始め
あるいは巻終わりを導電性板で接続した請求項1から請
求項5のいずれか1項に記載の電動機であり、中性点接
続を少ない部品点数で行うことができるという作用を有
する。
【0025】請求項15記載の発明は、導電性板を銅お
よび銅合金(以下、単に「銅」と示す)としたことを特
徴とする請求項13あるいは請求項14記載の電動機で
あり、ジュール損を抑制することができるという作用を
有する。
【0026】請求項16記載の発明は、導電性板相互間
の電気的絶縁を前記導電性板表面に設けた絶縁手段によ
り確保したことを特徴とする請求項13から請求項15
のいずれか1項に記載の電動機であり、コイルの電源供
給部および中性点間の絶縁を容易に確保することができ
るという作用を有する。
【0027】請求項17記載の発明は、絶縁手段として
絶縁シートまたは絶縁板または樹脂成形品または絶縁皮
膜処理を設けた請求項16記載の電動機であり、導電性
巻線の電源供給部および中性点間の絶縁を確実に確保す
ることができるという作用を有する。
【0028】請求項18記載の発明は、電源受給手段と
して前記導電性板を用いたことを特徴とする請求項13
から請求項17のいずれか1項に記載の電動機であり、
リード線が不要になるため部品点数および加工工数を削
減でき、コイルエンドを小さくすることができるという
作用を有する。
【0029】請求項19記載の発明は、固定子鉄心が少
なくとも一つのティースとヨークにより形成されている
固定子鉄心片に分割されていることを特徴とする請求項
1から請求項10および請求項12から請求項18のい
ずれか1項に記載の電動機であり、巻線性を向上させる
ことができるという作用を有する。
【0030】請求項20記載の発明は、平角線の断面積
は5mm2以上である請求項1から請求項10および請
求項12から請求項19のいずれか1項に記載の電動機
であり、特に表皮効果による実質的な巻線抵抗の増加を
抑制することができるという作用を有する。
【0031】請求項21記載の発明は、共に移動するバ
ッテリーを電源として駆動される請求項1から請求項1
0および請求項12から請求項20のいずれか1項に記
載の電動機であり、低電圧用の電動機として小型で消費
電力を小さくすることができるという作用を有する。
【0032】請求項22記載の発明は、電動機のコイル
に流れる電流が50A以上、または、コイルの端子間に
かかる電圧が50V以下である請求項1から請求項10
および請求項12から請求項21のいずれか1項に記載
の電動機であり、高出力を得ることができるという作用
を有する。
【0033】請求項23記載の発明は、請求項1から請
求項10および請求項12から請求項22のいずれか1
項に記載の電動機を搭載した圧縮機であり、小型でエネ
ルギー消費効率の高い圧縮機を得ることができるという
作用を有する。
【0034】請求項24記載の発明は、請求項23に記
載の圧縮機を搭載したカーエアコンであり、小型で消費
電力の小さいカーエアコンを得ることができるという作
用を有する。
【0035】請求項25記載の発明は、請求項1から請
求項10および請求項12から請求項22のいずれか1
項に記載の電動機を搭載したカーアクチュエータであ
り、小型で効率の高いカーアクチュエータを得ることが
できるという作用を有する。
【0036】
【実施例】以下、本発明の具体例について図面を参照し
て説明する。
【0037】(実施例1)図1は、本発明の一実施例に
おける電動機の平面図である。
【0038】図1に示すように、固定子11は6個のテ
ィース12と軸方向に開口する同数のスロット13を有
し、絶縁物14を介して平角線15が直接巻回されてい
る。また、これらの平角線15は3相スター結線をされ
ている。ここで平角線15は断面がスロットの径方向深
さ方向に長い長方形であって、スロットの径方向深さ方
向に対して1層巻回しており、平角線15の先端は固定
子11の天面側および底面側のスロット端を複数回通過
して、ティース12に平角線15を巻回しコイルを形成
したので、巻線をする際スロット内部での位置安定性が
よく作業性のよい電動機を提供することができる。ここ
で平角線15の断面は正確な長方形ではなく、角部にフ
ィレットを設けてもよく、巻線作業中、導電性巻線の角
部により他の導電性巻線の皮膜が傷つくことを防止でき
る。
【0039】なお、この固定子鉄心17は電磁鋼板を打
ち抜いてなるステータコアシート(図示せず)を積層し
てなるが、ステータコアシートは非分割である。特にカ
ーエアコン等の高速回転が求められる用途では、高いキ
ャリア周波数となるため、ステータコアシートをティー
スごとに分割すると、損失が増加する。また、エアギャ
ップを小さくする場合、非分割の方がギャップ精度がよ
く騒音も小さくなる。この時、ノズル巻線方式では巻線
が困難であるが、前述の縫い込み方式を採用することに
より、良好な生産性と整列巻線が実現できる。
【0040】平角線15の断面の長辺の長さは、スロッ
ト13の径方向深さ方向の長さ未満であればよく、望ま
しくはスロット13の径方向深さ方向の長さの半分以上
あれば、巻きくずれがなく、巻回後のコイルエンド寸法
を小さくすることができ、小型で軽量な電動機を提供で
きる。なお、コイルエンドとは固定子鉄心両端面側に形
成されるコイルの一部分である。
【0041】平角線15の断面の短辺の長さは長辺の1
/5以下の長さに設定されている。これは特にキャリア
周波数が20kHz程度にまで高くなっても、表皮効果
による実質的な巻線抵抗の増加はなくジュール損失を低
減することができる。例えばキャリア周波数が10kH
zで素線の導体が銅である場合には、周波数f=10×
103(Hz)、透磁率μ=μ0=4π×10-7(H/
m)、導電率k=5.8×107(S/m)となり、表
皮効果を考慮した電流の侵入長は{1/√(πfμ
k)}となるので、{1/√(πfμk)}×2=1.
32mm以下の厚さの導電性巻線が必要である。例え
ば、5.7mm2の断面積が必要ならば、短辺の長さを
0.95mm、長辺の長さを6mm程度にするとよい。
【0042】(実施例2)図2は、本発明の一実施例に
おける電動機の平面図である。
【0043】図2に示すように、回転子(図示せず)と
複数のティース22と前記回転子に対向して開口する複
数のスロット23とを有した固定子鉄心27の前記ティ
ース部22に絶縁物24を介して直接平角線25を施し
た固定子21であって、前記平角線25は、断面が略台
形であり、スロットの径方向深さ方向に向かって次第に
幅広となることを特徴としており、平角線25の先端は
固定子鉄心27の天面側および底面側のスロット端を複
数回通過して、ティース22に平角線25を巻回しコイ
ルを形成している。通常スロット形状は径方向深さ方向
に向かって幅広となる。したがって固定子鉄心27に設
けたスロット23の径方向外周に沿った幅に設定されて
おり、ティースに巻回した時にスロット断面積を有効に
使うことができ、スロット占積率を向上させることがで
きる。なお、縫い込み方式の作用と効果については実施
例1と同様である。
【0044】(実施例3)図3は、本発明の一実施例に
おける電動機の平面図である。
【0045】図3に示すように、回転子(図示せず)と
複数のティース32と前記回転子に対向して開口する複
数のスロット33とを有した固定子鉄心37の前記ティ
ース部32に絶縁物34を介して直接平角線35を施し
た固定子31であって、平角線35の断面の長辺の長さ
が、巻始めほど小さく、巻終わりに近づくにしたがっ
て、次第に大きくなることを特徴としており、平角線3
5の先端は固定子鉄心37の天面側および底面側のスロ
ット端を複数回通過して、ティース32に平角線35を
巻回しコイルを形成している。通常スロット形状は径方
向深さが同方向端部ほど小さく、中央部ほど大きくなっ
ている。したがって固定子鉄心37に設けたスロット3
3の形状に沿った幅で均一な断面積に設定されており、
ティースに巻回した時にスロット断面積を有効に使うこ
とができ、スロット占積率を向上させることができる。
なお、この時1つのティースに巻回される平角線35の
長さをあらかじめ所定の断面積となるように整形してお
き巻回するとよい。なお、縫い込み方式の作用と効果に
ついては実施例1と同様である。
【0046】(実施例4)図4は、本発明の一実施例に
おけるコイルを形成する平角線の端部とリード線接続部
の斜視図である。図4に示すように、平角線15の巻始
めの円筒部16はあらかじめ、少なくとも内側のみ絶縁
剥離して円筒形状に加工されており、リード線41の端
部を円筒部16にかしめることによって機械的、電気的
に安定した接続を可能にすることができる。平角線15
の巻終わりの円筒部(図示せず)も同様にあらかじめ、
少なくとも内側のみ絶縁剥離して円筒部を形成してい
る。
【0047】リード線41との接続部や、中性点接続部
(図6にて説明する)の部品点数および加工工数を削減
することができる。ここで、巻始めおよび巻終わり端部
は円筒状に加工しなくても折り返して、リード線端部を
はさみこむようにかしめてもよい。
【0048】なお、説明するまでもなく、巻始めをリー
ド線と接続した場合、巻終わりは中性点の接続である。
【0049】図5は、本発明の一実施例における、コイ
ルを形成する平角線の巻始め端部に形成された円筒部と
インシュレータおよび固定子鉄心の軸方向端部の斜視図
である。図5に示すように、固定子鉄心51の軸方向天
面部に平角線15の巻始め端部に形成された円筒部16
と固定子鉄心51を絶縁するインシュレータ53を設
け、インシュレータ53に、円筒部16を収納する凹部
を設けたことを特徴とする。インシュレータ53を設け
ることで、円筒部16の絶縁信頼性を高めることができ
る。
【0050】そして、固定子鉄心51のティース部54
の軸方向天面部に、円筒部16を収納したインシュレー
タ53を収納する段差52を設けたことを特徴とする。
固定子鉄心51の軸方向天面部にあらかじめインシュレ
ータ53を設置しておき、円筒部16を固定子鉄心51
の上面部より低い位置に納めることができるので、コイ
ルエンド寸法を小さくした小型の電動機を提供すること
ができる。
【0051】また、平角線15の巻終わりの円筒部(図
示せず)または、巻始め端部に形成された円筒部16の
加工を、巻回前に行うことを特徴としており、コイルを
形成した後に狭いスペースで接続処理を行う必要がない
ため、巻線工数を削減することができる。
【0052】図6は、本発明の一実施例における平角線
の巻終わり端部に形成された円筒部と中性点同士の接続
用電線の斜視図である。図6に示すように、中性点同士
の接続は、平角線62の巻終わり端部に円筒部63を形
成し、接続用の中性点接続用電線61に円筒部63を挿
入し、かしめることにより行う。中性点接続用電線61
は1本であって、円筒部63とのかしめ部分を除いて絶
縁チューブにより被覆されている。中性点接続用電線6
1は中性点の数と同数だけ、部分的に絶縁被膜がはずさ
れている。円筒部63と中性点接続用電線61との接続
処理をする時に広いスペースを必要としないため、コイ
ルエンド寸法を小さくした小型の電動機を提供すること
ができる。
【0053】また、占積率向上等、巻線性を優先させる
特段の理由がある場合、分割された複数のティース54
にあらかじめ平角線15を巻いた後、円筒状に接合して
固定子を形成してもよい。この場合、狭いスロット55
内部に平角線15を通過させながら巻線作業を行う必要
がないため、巻線工数を削減することができる。
【0054】(実施例5)図7は、本発明の一実施例に
おけるコイルの端部接続処理斜視図である。
【0055】図7(a)は導電性板73および76を示
す図、(b)は導電性板73および76を重ね合せて、
一体的にした図である。(c)はコイル71を巻回した
固定子に(b)に示す重ね合せ一体的にした導電性板7
3および76を装着させた図である。なお、(a)に示
す導電性板73には各層コイル71の巻始め部72を貫
通させるために必要な孔のみ、および導電性板76には
巻終わり部75を貫通するために必要な孔のみを示して
いる(実際は、(b)に示すように、その他巻始め部7
2および巻終わり部75を貫通させる孔が設けられてお
り、それら孔と他巻始め部72および巻終わり部75
は、電気的に絶縁されている)。
【0056】図7に示すように、コイル71は3相接続
されており、コイル71の巻始め部72または巻終わり
部75の個数を3n個(nは2以上の整数)とした時、
同相のコイル71n個(nは2以上の整数)ずつの巻始
め部72または巻終わり部75を導電性板73で接続し
たことを特徴とする。前述のようにティースに平角線を
巻回した後、絶縁手段74を形成した導電性板73で各
々のコイル71の巻始め部72を電気的、機械的に接続
する。こうするとリード線を接続する必要がないために
部品点数および接続加工工数が削減でき、安価で小型の
電動機を提供することができる。
【0057】コイル71の巻終わり部75または巻始め
部72の個数をn個とした時、n個の巻終わり部75ま
たは巻始め部72を導電性板76で接続したことを特徴
としており、少ない部品点数で中性点接続を行うことが
できる。この結果、接続加工工数が削減でき、安価で小
型の電動機を提供することができる。
【0058】導電性板73および76には銅材を使用す
ると、小型でジュール損の少ない電動機を提供すること
ができる。導電性板73および76の表面には絶縁手段
を施し、複数の導電性板73相互間および導電性板73
と76の絶縁性を確保している。絶縁手段74として
は、例えば、絶縁シートまたは絶縁板または樹脂成形品
または絶縁皮膜処理を設けていればよく、コイル71の
巻始め部72および巻終わり部75間の絶縁信頼性を高
め、低コストで安全性の高い電動機を提供することがで
きる。
【0059】電動機への電源受給手段として前記導電性
板73および導電性巻線の巻始め部72を用いることに
より、リード線が不要になるため部品点数および加工工
数を削減でき、コイルエンドを小さくした小型で安価な
電動機を提供することができる。また、前記コイル71
の断面積は5mm2以上の平角線であって、断面の短辺
の長さは長辺の1/5以下の長さに設定されているた
め、特に表皮効果による実質的な巻線抵抗の増加を抑制
することができる。
【0060】この電動機は、共に移動するバッテリーを
電源として駆動され、コイル71に流れる電流が50A
以上、または、コイル71の端子間にかかる電圧が50
V以下で、最大出力が2500w以上あり、小型で少な
い消費電力で大型の車室内の空調を可能にすることがで
きる。この電動機を搭載した圧縮機であって、小型でエ
ネルギー消費効率の高い圧縮機を提供することができ
る。また、この電動機を搭載したカーエアコンであっ
て、小型で消費電力の小さいカーエアコンを提供でき
る。さらにこの電動機を搭載したカーアクチュエータで
あって、小型で効率の高いカーアクチュエータを安価で
供給することができる。なお、本実施例においては、3
相スター結線を用い、ロータとしては永久磁石を用いた
ものを想定しているが、単相または3相以外の多相であ
っても同様である。
【0061】
【発明の効果】以上のように、本発明の請求項1記載の
発明によれば、断面積が大きな平角線においても巻回を
容易に行い、コイルエンド寸法を小さく仕上げることが
できる高出力、高効率な電動機を提供することができ
る。
【0062】請求項2記載の発明によれば、巻きくずれ
がなく、巻回後のコイルエンド寸法を小さくすることが
できる小型で軽量な電動機を提供できる。
【0063】請求項3記載の発明によれば、特にキャリ
ア周波数が20kHzまで高くなっても、表皮効果によ
る実質的な巻線抵抗の増加を抑制することができ、高出
力、高効率な電動機を提供することができる。
【0064】請求項4記載の発明によれば、スロット形
状に合わせた平角線を巻くため、スロット断面積を有効
に使うことができ、占積率の高い、高出力、高効率な電
動機を提供することができる。
【0065】請求項5記載の発明によれば、スロット断
面積を有効に使うことができ、占積率の高い、高出力、
高効率な電動機を提供することができる。
【0066】請求項6および請求項10記載の発明によ
れば、少ない部品点数で、リード線接続または中性点を
特別な部品を用いることなく容易に接続することが可能
な電動機を提供することができる。
【0067】請求項7記載の発明によれば、絶縁信頼性
の高い電動機を提供することができる。
【0068】請求項8および請求項9記載の発明によれ
ば、コイルエンド寸法を小さくした電動機を提供するこ
とができる。
【0069】請求項11および請求項12記載の発明に
よれば、巻線工数を削減できる製造方法および電動機を
提供することができる。
【0070】請求項13および請求項14記載の発明に
よれば、少ない部品点数で、リード線接続または中性点
を特別な部品を用いることなく容易に接続することが可
能な電動機を提供することができる。
【0071】請求項15記載の発明によれば、導電性板
でのジュール損を抑制することができる小型の電動機を
提供することができる。
【0072】請求項16および請求項17記載の発明に
よれば、絶縁信頼性の高い電動機を提供することができ
る。
【0073】請求項18記載の発明によれば、部品点数
および加工工数を削減できる、小型の電動機を提供する
ことができる。
【0074】請求項19記載の発明によれば、コイル占
積率を向上させた電動機を得ることができる。
【0075】請求項20記載の発明によれば、表皮効果
による損失の少ない、高出力、高効率の電動機を提供す
ることができる。
【0076】請求項21および請求項22記載の発明に
よれば、小型で消費電力の小さい、高出力な低電圧用の
電動機を得ることができる。
【0077】請求項23記載の発明によれば、小型でエ
ネルギー消費効率の高い圧縮機を提供することができ
る。
【0078】請求項24記載の発明によれば、安価に小
型で消費電力の小さいカーエアコンを提供することがで
きる。
【0079】請求項25記載の発明によれば、安価に小
型で効率の高いカーアクチュエータを提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における電動機の平面図
【図2】本発明の一実施例における電動機の平面図
【図3】本発明の一実施例における電動機の平面図
【図4】本発明の一実施例におけるコイルを形成する平
角線の端部とリード線接続部の斜視図
【図5】本発明の一実施例におけるコイルを形成する平
角線の巻始め端部に形成された円筒部とインシュレータ
および固定子鉄心の軸方向端部の斜視図
【図6】本発明の一実施例における平角線の巻終わり端
部に形成された円筒部と中性点同士の接続用電線の斜視
【図7】(a)(b)(c)は、本発明の一実施例にお
けるコイルの端部接続処理斜視図
【図8】従来の電動機のリード線と導電性巻線の斜視図
【符号の説明】
11、21、31 固定子 12、22、32、54 ティース 13、23、33、55 スロット 14、24、34 絶縁物 15、25、35、62 平角線 16、63 円筒部 17、27、37、51 固定子鉄心 41 リード線 52 段差 53 インシュレータ 61 中性点接続用電線 71 コイル 72 巻始め部 73、76 導電性板 74 絶縁手段 75 巻終わり部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H02K 3/34 H02K 3/34 B 3/38 3/38 A 3/52 3/52 E 15/04 15/04 F (72)発明者 西川 公敏 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 内藤 敬治 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 浅野 能成 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 3H003 AC03 CF06 5H002 AA09 AE00 5H603 AA09 BB01 BB07 BB12 CA01 CA05 CB02 CB03 CB04 CB12 CB22 CC11 CC17 CD21 CE02 CE09 CE13 EE04 FA01 5H604 AA08 BB01 BB14 CC01 CC05 CC16 PB01 PB03 PC05 QB03 5H615 AA01 BB01 BB14 PP01 PP07 PP08 PP10 PP13 PP15 QQ02 QQ19 RR01 SS15 TT14

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転子と、固定子鉄心のティース部に絶
    縁物を介して、断面がスロットの径方向深さ方向に長い
    四角形である導電性巻線(以下、「平角線」と示す)
    を、その先端が前記固定子鉄心の天面側および底面側の
    スロット端を複数回通過し、スロットの径方向深さ方向
    に対して1層巻回されたコイルを形成した固定子により
    構成されていることを特徴とする電動機。
  2. 【請求項2】 平角線の断面の長辺の長さは、スロット
    の径方向深さ未満、径方向深さの半分以上である、請求
    項1記載の電動機。
  3. 【請求項3】 平角線の断面の短辺が長辺の1/5以下
    の長さである、請求項1または請求項2記載の電動機。
  4. 【請求項4】 平角線の断面の長辺の長さが、巻始めほ
    ど小さく、巻終わりに近づくにしたがって次第に大きく
    なる、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電
    動機。
  5. 【請求項5】 平角線の断面がスロットの径方向深さ方
    向に向かって次第に幅広となる略台形である請求項1記
    載の電動機。
  6. 【請求項6】 コイルを形成する平角線の巻始め端部に
    円筒部を形成し、リード線端または中性点同士を接続す
    る線を前記円筒部にかしめたことを特徴とする請求項1
    から請求項5のいずれか1項に記載の電動機。
  7. 【請求項7】 コイルを形成する平角線の巻始め端部に
    形成された円筒部(かしめ後)と固定子鉄心の間に絶縁
    物を設けたことを特徴とする請求項6記載の電動機。
  8. 【請求項8】 コイルを形成する平角線の巻始め端部に
    形成された円筒部(かしめ後)を含めたコイルエンドと
    固定子鉄心の絶縁をインシュレータとし、前記インシュ
    レータに前記円筒部を収納する凹部を設けたことを特徴
    とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の電
    動機。
  9. 【請求項9】 コイルを形成する平角線の巻始め端部に
    形成された円筒部(かしめ後)、あるいは前記円筒部を
    収納したインシュレータを収納する溝または段差(以
    下、単に「段差」と示す)を固定子鉄心に設けたことを
    特徴とする請求項7あるいは請求項8記載の電動機。
  10. 【請求項10】 コイルを形成する平角線の巻終わり端
    部に円筒部を形成し、中性点同士またはリード線端を接
    続する線を前記円筒部にかしめたことを特徴とする請求
    項1から請求項9のいずれか1項に記載の電動機。
  11. 【請求項11】 コイルを形成する平角線の巻始め、あ
    るいは巻始めおよび巻終わり端部の円筒部は巻回前に形
    成されていることを特徴とする請求項6から請求項10
    記載の電動機の製造方法。
  12. 【請求項12】 中性点接続において、コイルを形成す
    る平角線の巻終わり端部に形成された円筒部と絶縁チュ
    ーブを1本の中性点接続用電線に挿入し、かしめ部を除
    く中性点接続用電線を被覆したことを特徴とする請求項
    6から請求項10のいずれか1項に記載の電動機。
  13. 【請求項13】 コイルは3相接続されており、前記コ
    イルの巻始めあるいは巻終わりの個数を3n個とした
    時、同相のコイルn個(nは2以上の整数)ずつの巻始
    め部あるいは巻終わり部を導電性板で接続した請求項1
    から請求項5のいずれか1項に記載の電動機。
  14. 【請求項14】 コイルの巻始めあるいは巻終わりの個
    数をn個とした時、n個の巻始めあるいは巻終わりを導
    電性板で接続した請求項1から請求項5のいずれか1項
    に記載の電動機。
  15. 【請求項15】 導電性板を銅および銅合金(以下、単
    に「銅」と示す)としたことを特徴とする請求項13あ
    るいは請求項14記載の電動機。
  16. 【請求項16】 導電性板相互間の電気的絶縁を前記導
    電性板表面に設けた絶縁手段により確保したことを特徴
    とする請求項13から請求項15のいずれか1項に記載
    の電動機。
  17. 【請求項17】 絶縁手段として絶縁シートまたは絶縁
    板または樹脂成形品または絶縁皮膜処理を設けた請求項
    16記載の電動機。
  18. 【請求項18】 電源受給手段として前記導電性板を用
    いたことを特徴とする請求項13から請求項17のいず
    れか1項に記載の電動機。
  19. 【請求項19】 固定子鉄心が少なくとも一つのティー
    スとヨークにより形成されている固定子鉄心片に分割さ
    れていることを特徴とする請求項1から請求項10およ
    び請求項12から請求項18のいずれか1項に記載の電
    動機。
  20. 【請求項20】 平角線の断面積は5mm2以上である
    請求項1から請求項10および請求項12から請求項1
    9のいずれか1項に記載の電動機。
  21. 【請求項21】 共に移動するバッテリーを電源として
    駆動される請求項1から請求項10および請求項12か
    ら請求項20のいずれか1項に記載の電動機。
  22. 【請求項22】 電動機のコイルに流れる電流が50A
    以上、または、コイルの端子間にかかる電圧が50V以
    下である請求項1から請求項10および請求項12から
    請求項21のいずれか1項に記載の電動機。
  23. 【請求項23】 請求項1から請求項10および請求項
    12から請求項22のいずれか1項に記載の電動機を搭
    載した圧縮機。
  24. 【請求項24】 請求項23に記載の圧縮機を搭載した
    カーエアコン。
  25. 【請求項25】 請求項1から請求項10および請求項
    12から請求項22のいずれか1項に記載の電動機を搭
    載したカーアクチュエータ。
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