JP3819977B2 - 芳香剤を備えた吐水具 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばシャワーヘッドや手洗い用水栓の吐水具(以下の説明では吐水具から吐水される水と称しているが、例えば給湯器や湯水混合栓からの湯や混合湯水を含めるものである)の付加機能に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、部屋の中やトイレや玄関に据え置き型の芳香剤を配置し、各部の不快な匂いを解消して、くつろいだ気分を醸しだすことがある。また、浴室では湯船の湯に芳香剤を混ぜることにより、浴室内に香りを拡散させて楽しむことがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記据え置き型の芳香剤はこれを配置する場所が必要となり目立つだけでなく、例えば入浴中などの僅かな時間だけ入室する室内に常時香りを拡散させることは芳香剤の寿命を短くするものとなる。さらに、上記芳香剤は水が多量にかかることが予期される浴室などに配置するには不適当であった。また、湯船の湯に芳香剤を混ぜる場合には、毎日変えられる湯に芳香剤を添加する必要があり面倒であるとともに、コスト高になるという問題があった。加えて、最近では湯船の水を循環させ浄化する装置を設けた浴槽が多く、このような装置を設けた浴槽には、一般的に芳香剤を使用することができない。
【0004】
本発明はこのような実情を考慮に入れてなされたものであって、必要な時に香りを拡散すると共に、芳香剤の寿命を可及的に延ばすことができる芳香剤を備えた吐水具を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。
すなわち、本発明の吐水具は、吐水口と、拡散室と、前記吐水口の底部に設けられ拡散室に連通する軸受け孔と、この軸受け孔に回動自在に枢支された軸芯と、この軸芯に連結され前記吐水口から吐水される水流によって回動する回動羽根と、前記軸芯に連結され前記回動羽根に連動し前記拡散室内の空気を循環させる拡散羽根と、前記拡散室に設けられ芳香剤を保持する芳香剤挿脱用の蓋と、前記拡散室に設けられ外気と連通する二つ以上の 通気孔と、各通気孔に埋設され気体を通過させ液体は通過させないフィルタとを備えている(請求項1)。さらに、この吐水具は、上記構成に加えて、前記拡散室の上方に外気を拡散室内に流入するための通気孔が形成されていると共に、下方に拡散室内から外に排気するための通気孔が形成されており、前記拡散羽根の回動により、拡散室の上方の前記通気孔から外気が拡散室内に流入し、拡散室の下方の前記通気孔から外気が放出されるように構成されており、拡散室の下方の前記通気孔が前記吐水口の開放端周縁に設けられているものとしてもよい(請求項2)
【0006】
したがって、本発明の吐水具は、これを使用しているときには香りが拡散されるので、使用者は快い香りを楽しむことができると共に、吐水具を使用してないときには香りの拡散が停止するので、芳香剤の寿命を長くすることができる。
【0007】
さらに、前記通気孔を少なくとも二つ以上設けると共に、各通気孔に気体を通過させ液体は通過させないフィルタを埋設しているので、通気性を良くすると共に芳香剤を水から守ることができ、香りの発散機能の向上と芳香剤の寿命の向上を図ることができる。
【0008】
加えて、前記拡散室に芳香剤挿脱用の蓋を設けているので、芳香剤を容易に定期的に交換できると共に、好みに合わせて香りの種類を変えることができる。
【0009】
なお、上記特徴を有する吐水具をシャワーヘッドとした場合(請求項3)には、シャワーを使用したときに快い香りを放つことができ、入浴時間をより優雅に楽しむことができ、本発明の目的を達成するのに最適であるが、本発明はこれにかぎられるものではなく、洗面所の吐水具やトイレの給水タンクの吐水具に用いられてもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1〜2は本発明の好ましい実施形態の一例を示すものであり、これらの図において、1は吐水具の一例であるシャワーヘッドである。このシャワーヘッド1には、図外の湯水混合栓や蛇口などに接続する給水路1aが形成されている。2はシャワーヘッド1の下流側に形成された吐水口であり、有底の略円筒状に形成されると共に、給水路1aから供給される水を矢印Aに示すように渦を巻くように導入する開口2aを形成している。吐水口2の開放端には合成樹脂製の吐水キャップ3が螺合されており、吐水口2に導入された水がシャワーとして散水されるように構成されている。
【0011】
また、吐水口2の裏面側には芳香剤4を入れた拡散室5が形成されており、吐水口2の底部の中心部には拡散室5と連通する軸受け孔2aが開設されている。そして、軸受け孔2bを中心に吐水口2側に回転羽根6が、拡散室5内に拡散羽根7がそれぞれ回動自在に枢支され、両羽根6,7は軸芯8において連結されている。
【0012】
軸芯8は前記軸受け孔2aに係合する外径を有すると共に、その一端側にフランジ8aを形成している。一方、拡散室5側の軸受け孔2aの周囲には周突起5aが形成されており、この周突起5aとフランジ8aによって環状のUリング8bを保持できるようにしている。従って、吐水口2に流入する水が拡散室5に漏れることなく、回転羽根6の回転力を拡散羽根7に伝達できる。
【0013】
すなわち、吐水口から吐水される水流によって、拡散羽根7を矢印Bに示す方向に回動させることができる。拡散羽根7の形状は、拡散室5内の空気を矢印Bに示す方向に対流させることにより、拡散室5の一部に設けられた芳香剤4から放出される香りの成分4aを拡散室5内で拡散させると共に、全体的に上から下へと導くように形成されている。
【0014】
また、拡散室5の上方には外気を拡散室5内に流入するための通気孔5bを形成すると共に、下方には拡散室5内から外に排気するための通気孔5cを形成している。そして、各通気孔5b,5cには気体を通過させ液体は通過させないフィルタ9を埋設している。したがって、前記拡散羽根7が回動することにより、矢印Cに示すように通気孔5bから幾らかの外気が流入し、香りの成分4aと混ざり合った状態で、矢印Dに示すように通気孔5cから放出される。なお、拡散羽根7の形状を変更することにより、通気孔5cから外気が流入し、通気孔5bから排出するようにしてもよく、少し大きめの通気孔を一つ設けるようにしてもよい。
【0015】
上記のように構成しているので、吐水口から水を吐水することにより、通気孔5cから快い香りが放出され、水の吐出を止めて拡散室5内の空気の対流を止めることにより、拡散室5をいわば飽和状態として芳香剤4の寿命を長くすることができる。
【0016】
なお、上記回転羽根6と拡散羽根7による拡散室5内の空気の拡散は実施可能な一つの例を示しているが、吐水口に流れる水流により香りを拡散させるものであればどのような形状のものを用いてもよい。たとえば、木の葉車などの流量計を用いて拡散羽根7を駆動するようにしてもよい。
【0017】
また、前記芳香剤4はゼリー状であり、拡散室5に形成された開口部5dに螺合される蓋部材10内に保持されている。したがって、この蓋部材10を取り外すことにより芳香剤4の交換を極めて容易に行える。つまり、劣化した芳香剤4を新しいものに交換したり、別の香りの芳香剤4に取り替えて気分を新たにすることも容易に行える。なお、芳香剤4の種類はゼリー状だけでなく、ビーズ状など固形のものを用いてもよいことは言うまでもない。
【0018】
次に、図3を用いて、上記例において各通気孔5b,5cに埋設されたフィルタ9の動作を説明する。図3に示すフィルタ9は例えばフッ素樹脂を用いた多孔質材料からなり、複数の孔9aが形成されていると共に、その表面9bは疎水性を有している。
【0019】
図の左側に示すように、フィルタ9に水滴11が滴下した場合には、水11はフィルタ9の表面9bによって弾かれ、その表面張力によって分裂して小さく纏まると共に、大多数の孔9aの位置には水11が存在しなくなる。したがって、空気だけが矢印eに示すように、孔9aを介してフィルタ9を通過するようにして、水11を通さないようにできる。
【0020】
したがって、このフィルタ9を前記各通気孔5b,5cに埋設することにより、拡散室5に水が進入しないようにできる。つまり、拡散室5に挿入された芳香剤4の劣化や、衛生上の問題が生じることを抑えられる。なお、このフィルタ9は一例に過ぎず、空気だけを通すように構成されたフィルタであればどのような構成のものであっても本発明に用いることができ、たとえばテフロンPTFEフィルター、デュラポアメンブレンフィルター、HT Tuffrynメンブレンディスクフィルター(いずれも商品名)などを用いることができる。
【0021】
また、上記各実施例は、湯水混合栓のシャワーヘッド1を例に挙げて説明しているが、本発明はこれに限られるものではなく、洗面所の吐水具や、トイレのロータンクの上に設けた吐水具に本発明を用いてもよいことは言うまでもない。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の吐水具は、吐水口の近傍に芳香剤を設けて、水流により香りを拡散させるように構成しているので、吐水具を使用しているときには香りが拡散されるので、使用者は快い香りを楽しむことができると共に、吐水具を使用してないときには香りの拡散が停止するので、芳香剤の寿命の低下を可及的に抑えることができる。
【0023】
また、前記通気孔を少なくとも二つ以上設け、各通気孔に気体を通過させ液体は通過させないフィルタを埋設してあるので、通気性を良くすると共に芳香剤を水から守ることができ、香りの発散機能の向上と芳香剤の寿命の向上を図ることができる。加えて、前記拡散室に芳香剤挿脱用の蓋を設けてあるので、芳香剤を容易に交換できると共に、香りの種類を変えることも可能である。なお、上記特徴および効果を最も良く発揮する吐水具は浴室のシャワーヘッドである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の吐水具の一例を示す縦断面図である。
【図2】 同吐水具の分解斜視図である。
【図3】 同吐水具に用いるフィルタの動作を示す説明図である。
【符号の説明】
1…吐水具、2…吐水口、4…芳香剤、5…拡散室、5b,5c…通気孔、6…回転羽根、7…拡散羽根、9…フィルタ、10…蓋。

Claims (3)

  1. 吐水口と、拡散室と、前記吐水口の底部に設けられ拡散室に連通する軸受け孔と、この軸受け孔に回動自在に枢支された軸芯と、この軸芯に連結され前記吐水口から吐水される水流によって回動する回動羽根と、前記軸芯に連結され前記回動羽根に連動し前記拡散室内の空気を循環させる拡散羽根と、前記拡散室に設けられ芳香剤を保持する芳香剤挿脱用の蓋と、前記拡散室に設けられ外気と連通する二つ以上の通気孔と、各通気孔に埋設され気体を通過させ液体は通過させないフィルタとを備えていることを特徴とする芳香剤を備えた吐水具。
  2. 前記拡散室の上方に外気を拡散室内に流入するための通気孔が形成されていると共に、下方に拡散室内から外に排気するための通気孔が形成されており、前記拡散羽根の回動により、拡散室の上方の前記通気孔から外気が拡散室内に流入し、拡散室の下方の前記通気孔から外気が放出されるように構成されており、拡散室の下方の前記通気孔が前記吐水口の開放端周縁に設けられている請求項1に記載の芳香剤を備えた吐水具。
  3. 前記吐水具がシャワーヘッドである請求項1または2に記載の芳香剤を備えた吐水具。
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