以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
本発明のキッチン用流し台1は、シンク3と、シンク3にシンク用水を供給するシンク用水経路4と、シンク用水経路4内を流れるシンク用水に気体を混入する気体混入部15と、気体混入部15にてシンク用水内に混入された気体を微細化して微細気泡を発生させる微細気泡発生部14とを備えて構成されている。
図1乃至図3に本発明の実施形態の例を示す。キッチン用流し台1は、図1のように、キャビネット6の上面カウンター6aに上方に開口せるシンク3が配設されており、建物に配管されたシンク用水経路4がキャビネット6内に引き込まれ、シンク3の周縁部にカラン2が吐水口2aをシンク3内に向けるようにして配置され、シンク用水経路4の出口となる上記カラン2の吐水口2aからシンク3内にシンク用水が供給可能にされている。詳しくは、カラン2にはシンク用水の吐水水量や吐水温度を操作する吐水操作部2bが備えられている。また、キャビネット6のシンク3の下方には収納スペースや配管スペースとして利用可能なシンク下空間7が設けられている。このシンク下空間7には建物からシンク用水経路4が引き込まれている。そして、このシンク用水経路4に、上記気体混入部15や微細気泡発生部14を有してなる微細気泡発生装置5が配設されている。図2のように、カラン2に至るシンク用水経路4は、湯沸かし機のような湯供給部から至る湯供給管8と水道管のような水道水供給部から至る水供給管9とが湯水混合弁10で接続された後にカラン2に至るようにされている。ここで、湯水混合弁10は上記吐水操作部2bの操作によって水供給管9を流れる水と湯供給管8を流れる温水との混合比を制御して所望の吐水温度を得るようにした弁である。またシンク用水経路4には吐水操作部2bの操作によって所望の吐水水量を得るようにした給水流量弁(図示せず)も備えられている。なお、本例のカラン2の吐水口2aは、シンク用水の吐水形態が単一の棒状の流れとなる棒状流吐水口で構成されているが、吐水形態が多数の線状の流れとなるシャワー流吐水口や、上記シャワー流と上記棒状流とが切換可能な切替式吐水口で構成されてもよい。
本例の微細気泡発生装置5は、図2のように、上記シンク用水経路4に上流側から、シンク用水経路4を流れる水に気体を混入させて気体混合水を得る気体混入部15、シンク用水経路4に水を圧送するポンプ16、気体混合水内の気泡を高圧環境下で水に溶解させて気体溶解水を得る溶解部17を構成する溶解タンク17a、上記気体溶解水内の気体を析出させて微細気泡を発生させて微細気泡含有水を得る析出部18を構成する微細気泡発生ノズル18aを順に設けて構成されている。すなわち、本例の微細気泡発生部14としては、ポンプ16や溶解部17や析出部18にて構成されている。
気体混入部15にはエアポンプにより気体を水に圧送する強制混入機構を採用することもできるが、本例では、特に動力を必要としないために構成の簡略化を図り得る、シンク用水経路4を流れる水に気体をエゼクター効果にて自然に引き込ませるエゼクター機構が採用されている。詳しくは、シンク用水経路4に絞り部を設ける等して形成した負圧発生部に室内に開口せる気体供給流路19を接続することで構成され、室内の空気を水に混入可能にしている。ここで、上記気体供給流路19には水の逆流を防ぐ逆止弁(図示せず)が設けられると共に、気体混入量調整手段11を構成する気体混入量調整弁12が設けられている。気体混入量調整弁12は、図3(a)のように、気体供給流路19に内部流路を連通させた筒状の本体部12aと、本体部12aの内部流路の内周壁にその外周部を螺合させて本体部12a内に配置された可動弁体12bとを有し、可動弁体12bを本体部12aの内部流路に螺進させることで本体部12aと可動弁体12bとの隙間を大小変化させることが可能にされたものであり、気体混入部15による気体のシンク用水への混入量が調整可能にされている。なお図中12a1は本体部12aに設けた雌ネジ部、12b1は可動弁体12bに設けた雄ネジ部である。たとえば、気体混入量調整手段11にて気体のシンク用水への混入量を少量にすると、溶解タンク17a中でのボイド率(空間を占める気体の割合)を抑えることができて気体を効率よく液中に溶解できたり、微細気泡発生部14で発生した微細気泡の密度を低減できて微細気泡の泡径を小さく維持することができたりなど、微細気泡発生部14での微細化効率、ひいては発生させる微細気泡の泡径の調整を行わせることができる。特に、気体混入部15による取込空気量の上記シンク用水経路4に流れる水に対する体積比を0.1〜10%にすると、気体混合水が通過するポンプ16にかかる負担の抑制を図ることもできて好ましい。
また、溶解タンク17aは図3(b)のようにその内部は区画壁22で一次側槽20(バブリング槽)と二次側槽21(水位検知槽)に区分され一次側槽20と二次側槽21は区画壁22の上部の気体環流部23及び区画壁22の下部の水通過部24でそれぞれ連通する構造になっている。一次側槽20上部には上流側のシンク用水経路4が接続されて噴霧ノズル25が配置され、二次側槽21の底部には下流側のシンク用水経路4が接続されてタンク排出口26が配置され、また二次側槽21の側壁には空気抜弁27が設けられている。一次側槽20は、ポンプ16にて圧送された気体混合水が噴霧ノズル25によって高速噴射されて槽内でバブリング状態にされ、上記ポンプ16の圧送による高圧環境下で水に気体を溶解させて気体溶解水を得るための槽であり、二次側槽21は、タンク排出口26までに解けきれなかった気泡を気体環流部23に上昇させると共に、余剰気体を空気抜弁27によって除いて溶解タンク17a内の水位を安定させて溶解タンク17aの安定稼動を図るための槽である。
また、微細気泡発生ノズル18aは図3(c)のようにシンク用水経路4の上流側からノズル入口28、ノズル入口28から放射状に連通する小径経路29、この小径経路29に連通する渦流部30、この渦流部30に連通するノズル出口31を順に設けて構成されている。ここで、小径経路29では、流れる水の圧力が急激に低下されて気体溶解水の溶解気体に減圧沸騰が始まり、気体溶解水から気体を泡径0.1〜1000μmの微細気泡として析出する機能を有する。つまり、実質的に析出部18は小径経路29にて構成されている。また、渦流部30では、内部で水の渦流を発生させて比較的泡径の小さく均質な微細気泡のみをノズル出口31に流す機能を有する。詳しくは、渦流部30では矢印Aのような渦が発生する。渦の中心部は渦の外周部よりも流速が低いので圧力が低くなりこの渦の中心部には小径経路29で発生した微細気泡同士が衝突する等でできた径の大きい気泡がたまる。なお、渦には、渦の半径方向に発生する速度勾配によりせん断力が作用するので、渦の中心部の大きな気泡が渦の外周部に遠心力で移動する際に、渦のせん断力によって分割されて小さい気泡に変化する。ノズル出口31には矢印Bのように渦の回転による遠心力により渦の外周部が優先的に吐出されるが、上記のように渦の外周部には径の大きい気泡が除かれた所定径以下の微細気泡が存在しているので、所定径以下の微細気泡が水と共に渦の外周部から連続して吐出されるようになっている。つまり、この渦流部30によると、微細気泡発生後に何らかの原因によって泡径が大きくなった気泡を排除することができ、少なくとも泡径0.1〜1000μmの微細気泡のみで構成される均質な微細気泡含有水を安定して得ることが可能にされている。
ここで、本例では上記微細気泡発生ノズル18aはカラン2の吐水口2aに設けてある。したがって、析出直後の微細気泡が含有したシンク用水をカラン2の吐水口2aからシンク3に吐水できるようにされている。つまり、発生した多数の微細気泡が合一して泡径が大きくなる前の極力泡径が小さく且つ均一な微細気泡を、カラン2の吐水口2aからシンク3内に吐水されたシンク用水に含有させることが可能にされているのである。なお、渦流部30を経て吐出される微細気泡の大きさは渦流部30の渦の角速度によって決定され、角速度が大きい程小さい気泡を吐出することができ、この渦の角速度は渦流部30に流入させる流速によって可変であるため、渦流部30への流入流速を変えることで所望の泡径の微細気泡を発生させることができる。
本例の微細気泡発生装置5によると、気体混入部15にてシンク用水経路4内を流れるシンク用水に混入した多量の気体を微細気泡発生部14にて微細化できるから、多量の微細気泡を発生させたシンク用水をシンク3に供給できるのであり、洗浄対象物(シンク3の内表面や食器や使用者の手や食材など)に微細気泡による汚れ除去効果等の洗浄効果を充分に発揮させることができる。詳しくは、多量の微細気泡がシンク用水内に隈なく広がって洗浄対象物へ効率よく衝突して破裂することにより汚れを剥離させたり、多量の微細気泡の崩壊時に生じる多量の超音波により汚れを剥離させたり、微細気泡界面が有する吸着特性(マランゴニ効果など)により汚れへ吸着して剥離させたり、更に懸濁物質に吸着して浮上分離させたり、微細気泡表面が負に帯電することによって懸濁物質に静電吸着して懸濁物質を微細気泡で包むことができるといったことで、洗浄対象物に有効な洗浄効果を付与できる。殊に、洗浄対象物が食材であった場合に、食材には付着している残留農薬や雑菌をシンク用水に含有する微細気泡の吸着特性によって効果的に食材から除去することができるものである。また、植物性の食材にシンク用水に含有する微細気泡を当てると食材に水を浸透させることができ、食材の鮮度賦活が行えるといった効果もある。また、微細気泡の含有により摩擦抵抗が減少することで水跳ね防止効果や洗浄音の静音化効果も得られる。また、微細気泡を含むシンク用水を傷み易い洗浄対象物(たとえば葉菜などの食材)に当てても、上記のように洗浄対象物への摩擦抵抗が抑制されるので、洗浄対象物の傷みを助長することも回避できる。また、シンク用水に微細気泡が含有されたことにより、シンク用水の見かけの嵩比重が低減するので節水効果も得られるのである。
また、本例の微細気泡発生装置5によると、シンク用水に一旦気体を溶解させた後に析出させて微細気泡を発生させているので、泡径0.1〜1000μmの微細気泡のみが含まれるシンク用水を安定的に得ることができる。この泡径0.1〜1000μmの微細気泡のみを含むシンク用水は、微細気泡がシンク用水に隈なく拡散して均一な白濁した外観となり、使用者には上記洗浄効果をその吐水外観からも実感させることができるのである。また、気体混入量調整手段11を調整したり等して、微細気泡発生装置5にてシンク用水に泡径0.1〜200μmの微細気泡のみを含ませるようにしても好ましく、この場合には上記洗浄効果を効果的に得ることができる。また、微細気泡発生装置5にてシンク用水に泡径0.1〜150μmの微細気泡のみを含ませるようにしても好ましく、この場合には、およそ80〜150μm程度の大きさの使用者の皮膚表面の汗孔や毛口内にまで微細気泡を行き渡らせることができ、汗孔や毛口内の汚れまでを効果的に除去することができる。更に言うと、泡径0.1〜1μmの微細気泡のみを含ませるようにすると、上記0.1〜1.0μmの微細気泡は極めてシンク用水中への滞留時間が長いことからシンク3の表面のみならずシンク3の排水経路等において上記微細気泡の洗浄効果を持続的に得ることができる。
また、気体混入量調整手段11の操作によると、気体のシンク用水への混入を止めることもできるのであって、つまりシンク用水として微細気泡含有水と微細気泡が含まれない水とを切り替えることもでき、しかして気体混入量調整手段11は微細気泡含有水と微細気泡が含まれない水とを切り替える気泡有無切替手段としても機能する。微細気泡が含まれない水でシンク用水を構成したことによると、微細気泡が含まれない水の洗浄対象物への衝撃は微細気泡含有水よりも大きくて洗浄対象物に付着した洗剤の洗い落しを効率よく行えるという利点があり、本例のキッチン用流し台1にはこの利点をも備えることができたものである。
図4には実施の形態の他例を示す。なお先例と同様部位には同符合を付して説明を省く。本例は溶解部17として図2や図3(b)の溶解タンク17aの代わりに溶解管17bにて構成したものである。この溶解管17bは、たとえば内面に圧力及び流速を急変させるための連続した抵抗体33を設けてなる蛇腹管で構成することができる。蛇腹管は断面弧状をした環状凹部33aを溶解管17bの軸方向に連続して形成したもので、隣合う環状凹部33a同士の連結部分が溶解管17b内に突出した環状凸部33bとなっている。つまり、溶解管17bは環状凸部33b部分において最も径が小さく、環状凹部33aの底部分において最も径が大きく、その間は次第に径が変化していっている。ポンプ16で加圧された気体混合水が内面に連続して抵抗体33を設けた管体に流入すると、気液混合水は連続した抵抗体33によって次々と局所的に大きく撹乱され、ポンプ16通過後の加圧状態で攪拌混合される。この場合、蛇腹管で構成される溶解管17bでは図4(b)の矢印Cに示すように溶解管17bの内面の連続する環状凸部33bに当たって環状凹部33a内面に沿って旋回流となって撹乱され、この撹乱が溶解管17bの全内周にわたって次々と行われる。更に、図4(c)に示すように、溶解管17b内は環状凸部33b部分が最も径が小さいので、この環状凸部33b部分を含む部分が流速が速く且つ圧力が小となり、また、環状凹部33aの底部分が最も径が大きいので、この環状凹部33aの底部分を含む部分が流速が遅く且つ圧力が大となり、これにより溶解管17b内を通過する気液混合水は流速、圧力の急変を連続的に繰り返す。これらの作用により気体混合水が溶解管17bを通過する際に連続して攪拌混合され、気体混合水中の気体の水への溶解が大きく促進されることになる。また、溶解管17bの環状凹部33aを気体混合水が旋回して撹乱する際に上記のように気体の水への溶解が促進されるのであるが、この場合、溶解されなかった未溶解の気体34が環状凹部33aの底に溜まることになる。つまり、環状凹部33aの底が未溶解の気体34が溜まる微小な気体溜まりとなる。そして、加圧状態で形成された気体溜まりに環状凹部33aを旋回しながら流れる水とが接触しその界面において未溶解の気体34が水に効果的に溶解する。これは、先の溶解タンク17aの持つ機能と同様のものであり、管体で溶解管17bを構成したにもかかわらず、効果的に気体を水に溶解した気体溶解水を得ることができるのであって、微細気泡発生装置5の小型化を図ることができたものである。上記溶解管7bはフレキシブルホースにて構成することもできるのであり、カラン2の本体部分にカラン2の吐水口2a部分が着脱可能なハンドタイプのカラン2の構成に有用である。なお、図1乃至図4のような気体を加圧溶解した後に減圧することで微細気泡を得る微細気泡発生装置5にあっては、極めて微細かつ均一性の高い微細気泡が生成可能であるという利点を有している。
図5には実施の形態の更に他例を示す。本例は、微細気泡発生装置5の微細気泡発生部14を、シンク用水経路4に設けた圧力急変部36によって、気体混入部15にてシンク用水経路4内の水に混入された気泡に対して圧力変動に伴うせん断力を作用させることで微細化させて微細気泡を発生させる装置で構成した例である。本例では、カラン2に圧力急変部36を構成する減圧・加圧手段37を設けている。この減圧・加圧手段37にはたとえばベンチュリ管38を採用でき、この減圧・加圧手段37では、気泡がスロート部を通る際に流速が速くなるとともに減圧されて膨張し、その後は断面積が増加するに従って加圧されて収縮するが、この時に生じるせん断力によって気泡が圧壊されるようにして微細化されて泡径0.1〜1000μmの微細気泡が得られるようにされている。なお、減圧・加圧手段37より下流のシンク用水経路4にメッシュを配設してこのメッシュに微細気泡含有水を通すと、この微細気泡の泡径を更に細分化することができて好ましい。また、減圧・加圧手段37の下流に渦流部30を設けてもよく、渦流部30にて所定径以下の微細気泡を含む比較的均質な微細気泡含有水を得ることができる。
図6には実施の形態の更に他例を示す。本例は、上記圧力急変部36をシンク用水経路4の多段箇所に設けて微細気泡発生部14を構成し、気泡の微細化工程を多段に構成してより効率的で高度な微細気泡化を図った例である。具体的に本例では、圧力急変部36としての減圧・加圧手段37a,37bをシンク用水経路4の上流側と下流側とに2段に形成してあり、圧力変動に伴うせん断力気泡に対して2段に作用させてより微細化させてより泡径の小さい微細気泡の発生が図られている。詳しくは、上流側の減圧・加圧手段37aは一つのベンチュリ管38をシンク用水経路4(基幹流路4a)の一部として設けてある。下流側の減圧・加圧手段37bは、シンク用水経路4の前記上流側の減圧・加圧手段37aを設けた部分より下流側を複数の分岐流路4bに分岐し、各分岐流路4bにそれぞれベンチュリ管38を設けて構成されている。更に言うと、下流側のベンチュリ管38は、上流側のベンチュリ管38の径の1/2、断面積は1/4となるように発生させる微細気泡の径に応じて形成すると共に、分岐流路4bを四つ形成して各分岐流路4bにそれぞれベンチュリ管38を設けてあり、下流側のベンチュリ管38の断面積の合計は上流側のベンチュリ管38の断面積に等しくされている。なお、発生した微細気泡が一箇所に集中すると連結してより大きな気泡となってしまうため、本例においては複数の分岐流路4bに分岐して各分岐流路4bに下流側のベンチュリ管38を設けたことで、微細気泡が一箇所に集中して多数衝突することにより大きな気泡が発生するのを抑制して所定径の微細気泡を安定して得ることを可能にさせるといった工夫も施されている。
ところで、図5や図6の例のように、微細気泡発生装置5の微細気泡発生部14が気体混入水中の気泡に対してせん断力を作用させることで微細化させて微細気泡を発生させる装置の場合には、図1乃至4のように気体混入水を一旦気体溶解水にしてその後析出により微細気泡を発生させて微細気泡含有水を得る微細気泡発生部14に比べて、装置が簡略化できて小型化が図れるという利点があり、更には多大な動力源を必要としないため、図7の例のようにポンプ16を無くして水道圧を利用する微細気泡発生装置5として該装置の簡略化、小型化を促進させることもできる。また、図8のように気体混入部15をポンプ16よりも下流のシンク用水経路4に設けることもできる。
図9には実施の形態の更に他例を示す。この例は、先例のような気体混入水中の気泡に対してせん断力を作用させることで微細化させて微細気泡を発生させる微細気泡発生装置5の他例であり、微細気泡発生部14が気体混合水中に気液せん断層を形成させる気液せん断層発生手段35で構成された例である。本例の気液せん断層発生手段35は、シンク用水経路4を絞る等して気体混合水に流速が著しく速いジェット憤流を生じさせる手段で構成されており、ジェット憤流中の気体混合水内の気液境界面にはせん断力が発生し(いわゆる気液境界面が気液せん断層となる)、このせん断力によって気泡が微細化されて微細気泡を得るようにしている。詳しくは、本例では気体混合部15の気体導入部分でシンク用水経路4を流れる水がジェット憤流となっており、混合された気泡と水との速度の違いによって気泡と水との気液境界面がいわゆる気液せん断層となり、気泡に対してせん断力が作用されて微細化され、微細気泡を得るようにしている。
図10には実施の形態の更に他例を示す。この例は、先例同様に微細気泡発生部14が気体混合水に気液せん断層を形成させる気液せん断層発生手段35で構成された例である。本例の気液せん断層発生手段35は、上述の微細気泡発生ノズル18aと同構成物を用いており、つまり気体混合水が流れるシンク用水経路4の流路幅を極端に絞った小径経路29と、この小径経路29に連続して内部に旋回流を生じさせる渦流部30とで構成されている。すなわち、小径経路29を通る気体混合水にはその断面方向の速度勾配によって気泡と水との境界面にせん断力が発生し(いわゆる気液境界面が気液せん断層となる)、このせん断力によって気泡が微細化されており、また続けて、渦流部30で生じる渦流によっても渦流の内外での速度勾配によって気泡と水との境界面にはせん断力が発生し(いわゆる気液境界面が気液せん断層となる)、このせん断力によって気泡が微細化されて、微細気泡を得るようにしている。なお、気液せん断層発生手段35としては小径経路29または渦流部30の少なくとも1つでも構成できる。
ここで、上記図10の例の変形例として図11に実施の形態の更に他例を示す。この例は、図10の小径経路29の流路幅を可変にすることで発生させる微細気泡の泡径を調整可能にした例である。具体的に、本例の微細気泡発生装置5にあっては、シンク用水経路4の流れ方向を軸方向とする中空筒状の固定部材52の内面部位に軸中心方向に向けて突部53が突設されると共に、突部53よりもシンク用水経路4の下流側の固定部材52の内面部位に周方向に所定間隔に脚部54が軸中心方向に向けて突設されており、シンク用水経路4の流れ方向を軸方向とする円柱状の可動部材55が周面に刻設したネジ部55bを脚部54の突出先端に刻設したネジ部54aに螺合させて軸方向に螺進自在にして固定部材52の内部における突部53の下流側の部位に配設されており、小径経路29を形成する突部53の下流側端面53aと可動部材55の上流側端面55aとの対向距離が可動部材55の軸方向への螺進によって可変にされており、すなわち小径経路29の流路幅が可変にされている。小径経路29の流路幅を小さくすると、小径経路29を流れる気体混合水の断面方向の速度勾配がより大きくなって気体混合水の気泡に作用するせん断力が強まることから、気泡の細分化が促進されて比較的泡径の小さな微細気泡を発生させることができる。逆に、小径経路29の流路幅が大きくなると、上記と逆の理由で比較的泡径の大きな微細気泡を発生させることができるのである。なお、このような泡径調整手段13によって泡径が均一に整えられた微細気泡が含有される微細気泡含有水は、微細気泡が合一して大型化したり不均一な状態になる前に、そのまま吐水として使用されるのが好ましいのであり、そして本例の泡径調整手段13はシンク3に吐水されるカラン2に設けられているから、シンク用水の吐水に泡径が均一に整えられた微細気泡を含有させることが可能にされている。これら図9乃至図11の微細気泡発生装置5によると、たとえば先例の圧力急変部36にて微細気泡を得る微細気泡発生部14を有した微細気泡発生装置5に比べても、装置5内での圧力損失を小さくできるため、より低圧環境への適用が可能となる利点を有している。
図12には実施の形態の更に他例を示す。この例は、微細気泡発生装置5を、シンク用水経路4を流れる水に気体を混入させて気体混合水を得る気体混入部15と、気体混合水が流れるシンク用水経路4に配設した微細気泡発生部14を構成する超音波振動子39とによって構成させたものであり、この超音波振動子39によって気体混合水に超音波振動を作用させ、その定常波領域で気泡をせん断させて微細化して微細気泡を得るようにしている。この微細気泡発生装置5によると、装置5内での圧力損失の発生がほとんど無いという利点を有し、さらには超音波振動子39で発生させる超音波の周波数を変えることで微細気泡の泡径の制御が可能になるといった利点も有している(つまり、超音波振動子39で発生させる超音波周波数の制御手段が微細気泡の泡径調整手段13を構成する)。
図13には実施の形態の更に他例を示す。本例は、シンク用水経路4に気体有用成分混入手段43を設けた例である。具体的に、本例では、気体混入部15の気体供給流路19の途中にオゾンを発生させる高電圧放電部40を設けている。すなわち、水に混入される気体をオゾンにて構成できたことから、微細気泡発生装置5を経てオゾンの微細気泡を発生させてオゾンを含む微細気泡含有水を得て、このオゾンを含む微細気泡含有水でなるシンク用水をシンク3に供給可能にしてある。ここで、オゾンは強力な酸化力を有しているから高い殺菌効果や有機物分解効果を備えるものである。そして、微細気泡発生装置5で発生させた微細気泡は、上述のように比表面積や内部圧力が高くて水からすぐに出てしまうことがなくて分散することが可能であって、洗浄対象物と気泡界面との接触効率も高い。しかして、両者の相乗効果によって洗浄対象物に対する汚れ除去効果を飛躍的に高めることができるのである。シンク3の表面の殺菌に有効であるのはもとより、雑菌が発生し易い排水経路のトラップ部にはオゾンを含む微細気泡含有水が貯留水として貯留するので、貯留水自身や排水経路の内面の殺菌・制菌効果を有効に得ることができ、汚物や尿石、ぬめりの除去効果、及び汚物の付着防止効果を有効に高めることができる。また、本例のように高電圧放電部40にて発生させるオゾンは気体供給流路を通る気体を原料とするので永久に行えるのであり、つまり取替作業などのメンテが不要であって良好な使用性を備えている。
また、気体有用成分混入手段43としては、図14のように、シンク用水に混入させる気体の酸素濃度を増加させる酸素供給部42を気体混入部15の気体供給流路19の途中に配設しても、シンク用水に混入させる気体に芳香成分を含ませる芳香成分供給部46を気体混入部15の気体供給流路19の途中に配設しても、シンク用水に混入させる気体に水素ガスを含ませる水素ガス供給部47を気体混入部15の気体供給流路19の途中に配設しても、シンク用水に混入させる気体に炭酸ガスを含ませる炭酸ガス供給部48を気体混入部15の気体供給流路19の途中に配設しても好ましい。なお、上記酸素供給部42としては、気体供給流路19を流れる気体の酸素濃度を25〜40%に高めることができる酸素富化膜42aを採用することができる。酸素供給部42によると酸素を微細気泡に閉じ込めることができて、微細気泡に伴って酸素を使用者の手などの皮膚に浸透させて皮膚に対して保湿効果や活性効果を有効に発揮させることができる。芳香成分供給部46によると微細気泡に芳香成分を閉じ込めることができて、この微細気泡を悪臭元の洗浄対象物に付着した汚物に当てて破裂させることで悪臭元に有効に芳香効果を発揮させることができる。水素ガス供給部47によると微細気泡に水素ガスを閉じ込めることができて、微細気泡に伴って水素ガスを使用者の手などの皮膚に浸透させて皮膚内の活性酸素を除去させることができる。炭酸ガス供給部48によると微細気泡に炭酸ガスを閉じ込めることができて、微細気泡に伴って炭酸ガスを使用者の手などの皮膚に浸透させて血行を促進させたりできる。なお、たとえば酸素供給部42で得た酸素富化空気(たとえば酸素富化膜42aで気体中の酸素濃度が25〜40%にされたもの)中に芳香成分を混入させたりと、異なる気体有用成分を組み合わせることも好ましい。
また、図15のように、気体供給流路19における高電圧放電部40よりも上流部位に、上流側から順に、気体の除湿をするシリカゲル等が装填された吸湿部41、先の酸素供給部42を設けても好ましい。これによると、高電圧放電部40に吸湿部41により除湿した気体を導入することができて、高電圧放電部40でのオゾンの発生効率を向上できる。また、酸素富化膜42aによって気体の酸素濃度を高めることができて高電圧放電部40でのオゾンの発生効率を向上できる。このように高電圧放電部40でのオゾンの発生効率を高めたことによって、微細気泡含有水のオゾン濃度を高めてオゾンの殺菌効果を更に高めることができ、上記汚れ除去効果やシンク3の表面への汚物の付着防止効果を更に高めることができる。
また、図16には実施の形態の更に他例を示す。本例は、シンク用水経路4に、液体有用成分混入手段44を設けた例である。液体有用成分混入手段44は、有用成分を充填した有用成分貯留タンク44aと有用成分貯留タンク44aからシンク用水経路4に至る有用成分供給通路44bとを有して構成される。ここで、有用成分貯留タンク44aはカートリッジ式のように有用成分供給通路44bに着脱自在にして取替可能にしてもよく、また、有用成分供給通路44bにはシンク用水が有用成分貯留タンク44a内に逆流しないように逆止弁を設けてもよく、また、有用成分供給通路44bに有用成分貯留タンク44a内の有用成分をシンク用水経路4に強制注入させるポンプを備えても好ましい。液体有用成分としては、界面活性剤、芳香成分等が好ましい。微細気泡の気液界面には液体有用成分が集まり易いものであり、たとえば液体有用成分が界面活性剤の場合には、微細気泡の気液界面に集まって濃縮された界面活性剤にて食器等の油汚れや皮膚の皮脂を有効に除去させたりできる。また、界面活性剤によると微細気泡が水面に浮上しても破裂して消滅し難くなるため、容器状の食器内に溜めた溜水やシンク3の排水経路のトラップ部の溜水の水面部分に微細気泡層を形成させることができて、臭気防止効果や水跳ね防止効果の向上を図ることができる。更に言うと、シンク用水の表面張力を低下できてせん断力等による気泡の微細化を促進することができる。また、液体有用成分が芳香成分の場合には、微細気泡の気液界面に集まって濃縮された芳香成分にて微細気泡を悪臭元の洗浄対象物に付着した汚物に当てて破裂させることで悪臭元に有効に芳香効果を発揮させたりできる。特に、悪臭の発生源となり易い排水経路においてトラップ部の溜水から芳香成分を揮発させることができ、台所に効果的な芳香効果を付与することができる。
また、図17には実施の形態の更に他例を示す。本例は、シンク用水経路4に、固体有用成分混入手段45を設けた例である。固体有用成分混入手段45によると、固体有用成分をシンク用水に溶かし込ませることができる。シンク用水に溶かし込まれた固体有用成分は液体有用成分と同様に微細気泡の気液界面に集まる性質を有する。固体有用成分としては、芳香成分、ビタミン等が好ましい。固体有用成分が芳香成分の場合には、微細気泡の気液界面に集まって濃縮された芳香成分にて微細気泡を悪臭元の洗浄対象物に付着した汚物に当てて破裂させることで悪臭元に有効に芳香効果を発揮させることができる。また、固体有用成分がビタミンの場合には、シンク用水を飲用した際に微細気泡の体内への浸透に伴って微細気泡の気液界面に集まって濃縮されたビタミンを体内に有効に採り込ませることができる。
なお、各有用成分混入手段43,44,45は各種有用成分を組み合わせてシンク用水に供給させたり、上記有用成分混入手段43,44,45同士を併用しても好ましい。また、各有用成分混入手段43,44,45にて槽用水に供給する有用成分として上記例では、殺菌・制菌効果を付与する有用成分としてオゾンを、油分等の特定物質の洗浄効果を付与する有用成分として界面活性剤を、悪臭を打ち消す効果を付与する有用成分として芳香成分(芳香剤)を、身体や肌を活性化させる等の上記効果に含まれない他の機能を付与する有用成分として酸素、炭酸ガス、水素ガス、ビタミンをそれぞれ例示したが、各種有用成分として他の有用成分を用いることもできる。
図18には実施の形態の更に他例を示す。本例は、カラン2の吐水口2aがシンク用水のシンク3への吐水形態がシャワー流となるようなシャワー流吐水口とされており、カラン2内のシンク用水経路4に図5や図6の例のような微細気泡発生部14が内装されている。そして、シャワー吐水口2aに、先に微細気泡発生部14にて発生された微細気泡の泡径を調整して吐水に含有させる泡径調整手段13が設けられている。詳しくは、多数のシャワー吐出孔57aを穿設した散水板56が配置されたカラン2の吐水口2aに、散水板56と同様に多数のシャワー吐出孔57bを穿設した開口面積調整カバー58が散水板56に重ねて回転自在に取り付けられており、この開口面積調整カバー58を回転操作することで、散水板56のシャワー吐出孔57aと開口面積調整カバー58のシャワー吐出孔57bとの重なり面積(つまり、シャワー吐出孔57個々の開口面積)の大小を変化できるようにしている。たとえば、シャワー吐出孔57の開口面積を小さくすると、圧力変動の幅を大きくできて微細気泡の微細化を促進でき、微細気泡の泡径を小さく整えることができるのである。このように泡径調整手段13によると、使用者の目的、用途、好みに合わせた微細気泡含有水をシンク用水として利用できるようになり、キッチン用流し台1の使用性を高めることができるのである。
なお、泡径調整手段13としては図19のものも適用できる。本例の泡径調整手段13は、散水板56のシャワー吐出孔57を閉塞自在にする開口孔数調整カバー59を周方向にスライド自在にカラン2の吐水口2aに取り付けており、開口孔数調整カバー59を周方向にスライドさせることで散水板56の多数のシャワー吐出孔57を周方向に徐々に閉塞させ、シャワー吐出孔57全体の開口面積の大小を変化できるようにしている。たとえば、シャワー吐出孔57全体の開口面積を小さくすると、圧力変動の幅を大きくできて微細気泡の微細化を促進でき、微細気泡の泡径を小さく整えることができるのである。
また、泡径調整手段13としては図20のものも適用できる。本例の泡径調整手段13は、重ねた状態でカラン2の吐水口2aに適宜取り付け可能な複数枚の散水板56で成る泡径調整ユニット60である。各散水板56にはシャワー吐出孔57が穿設されているが、このシャワー吐出孔57自身が図5や図6の例ような圧力変動部を備えたベンチュリー形状に形成されている。図6の例で述べたように圧力変動部を多段に備えることで段階的に徐々に泡径を小さくできる。本例の泡径調整ユニット60では、複数枚の散水板56の重ねる枚数を多くすればするほど、微細気泡に多段に圧力変動によるせん断力を作用できて微細化を促進できて微細気泡の泡径を小さく整えることができる。つまり、散水板56の重ねる枚数(カラン2の吐水口2aに取り付ける散水板56の枚数)を適宜選択することで、使用者は所望の泡径の微細気泡を得ることができるのである。なお、本例では図示はしないが散水板56同士及びカラン2の吐水口2aへの取付構造は互いの部材同士をネジ込みで着脱できる構造が採用されているが、係止等他の取付構造を採用してもよい。
図21には実施の形態の更に他例を示す。本例は、先に実施の形態のシンク用経路4に備えた湯供給管8と水供給管9との代わりに、温冷水供給管49と水供給管9とを設けた例である。詳しくは、微細気泡発生装置5よりも上流のシンク用経路4の部位において、水供給管9から分岐された温冷水供給管49に温冷切替可能な熱交換部50が配設され、その下流側で温冷水供給管49と水供給管9とが三方弁51に合流するようにされている。熱交換部50及び三方弁51には温冷切替操作部(図示せず)に接続された制御部32が接続されている。この制御部32によると温冷切替操作部の操作で熱交換部50を作動させる場合には温冷水供給管49を開状態に水供給管9を閉状態にする制御が行われる。ここで、気泡は温度の低い液体にほど良く溶解するという性質がある。しかして、温冷切替操作部を操作して熱交換部50にてシンク用水を冷却すれば、気体の液体への溶解度を増加でき、微細気泡発生部14での微細化効率を向上できるのである。これは水温が高くなりがちな夏季などの微細気泡の発生効率が悪い場合にかぎらす、酸素等の気体有用成分で微細気泡を構成させるなど、微細気泡と有用成分との相乗効果を期してシンク用水を機能水として用いる場合にも有用である。
なお、上記実施形態では、図1乃至図4には気体混合水中の気泡を一旦溶解させた後に析出させて微細気泡を得るタイプの微細気泡発生装置5を、図5乃至図12には気体混合水中の気泡をせん断させて細分化して微細気泡を得るタイプの微細気泡発生装置5を例示したが、図13以後の例は、上記例示したいずれのタイプの微細気泡発生装置5にもそれぞれ適用できるのはいうまでもない。