JP3819697B2 - 床支持具の緩衝装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、床支持具の緩衝装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、集合住宅や体育館などの床下地構造では、ゴム製の弾性体を支持具の下端に取り付けて、床の衝撃等を緩和するものがある。例えば、特許第2761541号公報に記載の「床下地構造」は、図6に示すように、弾性体31の内部に空間部32を形成し、この空間部32と外部とを連通させる空気逃げ穴33を弾性体に設け、また、弾性体の高さ方向の一部の肉厚を薄く形成した構成である。
【0003】
この床下地構造によれば、床を通常時の軽量な圧力で使用する場合においては、弾性体31の変形は微小であり、居住環境を損なうことがなく、また弾性体31の一部を座屈し易く構成してあるので、緩衝時にのみ弾性体或いは弾性体の一部が大きく変形し、遮音性能が良いというものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記床支持装置は、重量の床圧に対しては弾性効果が十分得られるが、弾性体の変形による床の沈み込みが大きくなり、このため、床上に載置する家具、備品等の重量を制限する必要があるという問題がある。また、弾性体として、ゴム材等を円柱状に形成し、その下面部に複数の凸部を設けたものがあるが、凸部を高くすれば弾性効果が得られるものの、逆に安定性に欠けるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、衝撃緩和に優れるとともに対荷重特性にも優れた床支持具の緩衝装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以上の技術的課題を解決するため、本発明に係る床支持具の緩衝装置は、図1に示すように、床材を支持する床支持具9とスラブ面との間に介在させ、全体が弾性材で形成された床支持具の緩衝装置において、上部に上記床支持具9の下端部を支持する受圧部6と、上記受圧部6の側部からスラブ面に向けて末広がり状に、かつ受圧部6より外方へ延出して形成されるとともに、スラブ面に接する接面部11が弧状形をなす複数の舌片部2と、を有する構成である。
【0007】
また、本発明に係る床支持具の緩衝装置は、上記舌片部2同士の間を繋ぐとともに、下端部が受圧部6の下面部7より下方でかつ上記舌片部2の接面部11の上方に形成される連結部3を有する構成である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
この実施の形態に係る床支持具の緩衝装置1は、図1に示すように、全体がゴム、合成樹脂等の弾性材からなり、形状は中央部から下方に向けて拡開した末広がりの形状からなり、4片の舌片部2を有している。
【0009】
上記緩衝装置1は、中央の上面部4に、床支持具としての支持ボルト9を固定する開口部が縮径した円柱状の凹部5が設けられ、この凹部5の下部には、弾性材が満たされた受圧部6が形成されている。この受圧部6の外側には、スラブ面10に向けて舌片部2が、等角度で4方向かつ末広がり状に形成されている。この実施の形態では、上記舌片部2は4片としたが、他に3片、5片或いはそれ以上とすることができ、また舌片部の横幅を十分大きくとれば2片とすることも可能である。上記受圧部6の周囲には、舌片部2間をつなぐように連結部3が設けられ、受圧部6の下面部7の下方には、中空部8が形成されている。
【0010】
さらに詳しくは、図2(a)(b)に示すように、上記各舌片部2の接面部11は受圧部(6)より外方へ延出し、かつ弾性作用により、荷重の大きさに従ってスラブ面10への接触面積が漸増する弧状に形成される一方、上記連結部3は下方に向けて拡開形成されている。連結部3は舌片部2の接面部11から上方の位置に、隣接する舌片部2同士を環状に連結してスカート状に形成され、その端縁は舌片部2の先端から少し内側に位置している。この連結部3の下端部12は、受圧部6の下面部7より下方に位置し、また舌片部2の接面部11よりも上方に位置している。
【0011】
上記連結部3の下端部12を、舌片部2の接面部11より高い位置に設けたのは、床上から大きな衝撃を受けたとき、舌片部2のみの極端な沈み込みを連結部3の弾性耐圧力を加えて防止するためであり、さらには、床上から衝撃を受けたときに、上記中空部8内の空気を連結部3の下方に形成された空気逃げ部13から逃がすためである。
【0012】
図3は、上記緩衝装置1に圧力が加わった場合の、沈み込みの様子を示すものである。同図(a),(b)は、通常の床圧時(圧力1)における緩衝装置1を示すもので、舌片部2のみがスラブ面10に接して、舌片部2のみの弾性力によって緩衝装置1が支持されている。同図(c)は、床圧が増した場合(圧力2)を示すものであり、さらに舌片部2が外向きに弾性変形して連結部3がスラブ面10に接するので、舌片部2に加えて連結部3の耐圧力が作用し、以降の沈み込みを緩和する。
【0013】
この連結部3は、重量衝撃による過大な沈み込みを防止するために設けられたものであり、床スラブより約3mm程度上方に位置している。このため、重量衝撃が大きい場合には連結部3が沈み込みを防止し、また連結部3は先端方向にゆくに従い肉薄となるスカート状であるため衝撃を緩やかに抑えて緩衝効果を発揮する。
【0014】
同図(d)は、さらに床圧が増した場合(圧力3)を示すものであり、受圧部6の下面部7が直接スラブ面10に接して、これ以降は受圧部6の弾性材自体の耐圧力が作用する。つまり、受圧部6は、緩衝装置1に圧力が加わった場合の沈み込みのストッパ的な役割を果たす。
【0015】
図4は上記緩衝装置1を用いた床構造を示すもので、緩衝装置1に支持ボルト9の下端部15を圧入し弾性嵌合する一方、支持ボルト9の上部に受け板21を螺合して高さ調節可能な床支持脚20を組立てる。受け板21の上面中央部には、隣接して敷設される床パネル25を一定間隔で敷設する間隔保持突起22が形成されている。工具を用いて床パネル25の高さ調整する場合には、支持ボルト9の上端部に設けられている工具係合溝(図示せず)を回転操作することで、支持ボルト9が回転し高さ調整が行える。床パネル25は矩形形状の板材であり、床パネル25のコーナ近傍の4箇所を床支持脚20で支持する。その際、上記間隔保持突起22を床パネル25のコーナ近くの4箇所に設けた孔部26に突入して固定する。
【0016】
床の壁際に設けられる床支持脚23についても、緩衝装置1に支持ボルト9を立設して、この支持ボルト9に受け板24を高さ調節自在に取付ける。この受け板24の上面部は平坦で突起はなく、また面積も比較的狭く重量に耐える構造となっている。床パネル25の上部には、フローリング材27を敷設する。
【0017】
図5は、上記床支持脚20を用いた一般的な床の施工例を示したものである。この床構造は、スラブ面10の所定位置に床支持脚20を立設し、床パネル25の孔部26に各床支持脚20の間隔保持突起22を嵌めて、床パネル25を床支持脚20に載置固定したものである。上記床パネル25の上部に捨て板28を張り、さらにフローリング材27を敷設して仕上げる。
【0018】
社内で行った衝撃試験によれば、従来の当社製品である、周囲が少し下方に突出した円柱状のゴム製の緩衝装置と比べて、振動周波数の低い(250Hz以下)衝撃に対して衝撃音が減衰する等の改善が見られた。
【0019】
上記実施の形態に係る床支持具の緩衝装置1によれば、舌片部2の接面部11はスラブ面に接触する面が弧状をなしているため、接触面積が小さくて初期バネが柔らかくなるように構成されている。これにより、軽量衝撃音が発生したときには、舌片部2でこの衝撃エネルギーを減衰し吸収する。
【0020】
また舌片部2の接面部11は、受圧部6より放射状に延びた形状としたので、重量衝撃音が発生した場合には、舌片部2が屈曲して衝撃が吸収され、階下等への遮音性能を発揮する。さらに、舌片部2は末広がり状に延びているので、その接面部11は受圧部6の真下より外方に位置し、このため床からの衝撃音の伝搬距離は、受圧部6自体がスラブ面と接触している構成と比べて長くなり、振動エネルギーの減衰効果が高い。
【0021】
重量衝撃が大きい場合には、連結部3が沈み込みを防止し、衝撃を2段階に緩やか減衰させるので、階下への遮音にも寄与し、また連結部の下方の空気逃げ部により、弾性体に重量衝撃による荷重が加わった場合、弾性体の真下部に生ずる振動空気は、ここから放出されるので遮音性能を損なうことがない。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る床支持具の緩衝装置によれば、上部に床支持具を支持する受圧部と、末広がり状にかつ受圧部より延出して形成されるとともに、接面部が弧状形をなす複数の舌片部と、を有する構成を採用したから、軽量衝撃音が発生したときには舌片部でこの衝撃エネルギーを減衰し吸収して遮音性能に優れ、また舌片部の接面部は受圧部より外方に位置するため、床からの衝撃音の伝搬距離が確保され振動エネルギーの減衰効果が高いという効果がある。
【0023】
また、この緩衝装置は、舌片部同士の間を繋ぎ、下端部が受圧部の下面部より下方でかつ舌片部の接面部の上方に形成される連結部を有する構成を採用したから、重量衝撃が大きい場合には、連結部が沈み込みを防止して2段階に衝撃を減衰させて階下への遮音に寄与し、また、連結部の下方に形成された空気逃げ部により、受圧部の真下部に生ずる振動空気が逃げるので遮音性能を損なうことがないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る床支持具の緩衝装置を示す図である。
【図2】実施の形態に係る緩衝装置の(a)は平面図を、(b)は(a)のABC断面図を示す。
【図3】実施の形態に係る緩衝装置の沈み込みの様子を示すもので、(a),(b)は通常の床圧時(圧力1)、(c)は床圧が増した場合(圧力2)、(d)はさらに床圧が増した場合(圧力3)の各状態を示す図である。
【図4】実施の形態に係る緩衝装置を用いた床構造を示す図である。
【図5】実施の形態に係る床の施工例を示す図である。
【図6】従来例に係る床支持構造に用いられる弾性体を示す図である。
【符号の説明】
2 舌片部
3 連結部
5 凹部
6 受圧部
9 床支持具(支持ボルト)

Claims (1)

  1. 床材を支持する床支持具(9)とスラブ面との間に介在させ、全体が弾性材で形成された床支持具の緩衝装置において、
    上部に上記床支持具(9)の下端部を支持する受圧部(6)と、
    上記受圧部(6)の側部からスラブ面に向けて末広がり状に、かつ受圧部(6)より外方へ延出して形成させるとともに、スラブ面に接する接面部(11)が下方向に凸の弧状形をなす複数の舌片部(2)と、
    上記舌片部(2)の接面部(11)より上方に形成されるとともに、下端部が上記受圧部(6)の下面部(7)より下方に形成され、上記舌片部(2)同士の間を繋ぐ形状に形成された連結部(3)と、を有することを特徴とする床支持具の緩衝装置。
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