JP3819549B2 - 車両用距離測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用距離測定装置に関し、特に、一対の光学系によりイメージセンサ上に結像した一対の画像のうちウインド内の画像信号を比較して両画像の光軸からのずれ量を電気的に検出し、三角測量の原理に基づく演算を前記ずれ量を用いて実行して対象物までの距離を測定する車両用距離測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、かかる距離測定装置は、たとえば特開平4−113211号公報で既に知られており、このものでは、ウインドの大きさまたは相関の程度に応じて画素信号を間引いて相関演算を行なうことにより、安価でかつ高速の距離演算を実行するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、相互に複数に延びるCCDラインセンサから成る一次元のイメージセンサを用いれば、コスト低減を図ることが可能となるのであるが、上記従来のように画素信号を間引いて相関演算を行なう場合、両イメージセンサ間の基線長方向で画素信号を間引くことは可能であるが、距離分解能が低下してしまう。また二次元のイメージセンサを用いた場合でも、ウインドを広く設定したときには遠距離の対象物に対しては、対象物以外の物体や背景がウインド内に入ってしまい、対象物までの測定距離に誤差が生じることになり、またウインドを小さく設定したときには、近距離の対象物に対しては、対象物の一部だけしかウインド内に入らず、特に対象物が車両の場合にはコントラストが低い部分がウインドに入る可能性もあり、この場合にも測定距離に誤差が生じることになる。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、安価でかつ高速の距離演算を行なうことを可能とした上で、演算精度を向上し得る車両用距離測定装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、一対の光学系によりイメージセンサ上に結像した一対の画像のうち複数のウインド内の画像信号を比較して両画像の光軸からのずれ量を電気的に検出し、三角測量の原理に基づく演算を前記ずれ量を用いて実行して対象物までの距離を測定する車両用距離測定装置において、
前回までの対象物までの距離に基づいて画面上の対象物の大きさを定めるとともに該画面上の対象物の周縁部が前記複数のウインド内に入るように前記画面上での上下の間隔を変更しつつ複数のウインドを定めるウインド決定手段を備えることを特徴とする。
【0006】
また請求項2記載の発明は、一対の光学系によりイメージセンサ上に結像した一対の画像のうち複数のウインド内の画像信号を比較して両画像の光軸からのずれ量を電気的に検出し、三角測量の原理に基づく演算を前記ずれ量を用いて実行して対象物までの距離を測定する車両用距離測定装置において、
前回までの対象物までの距離に基づいて画面上の対象物の大きさを定めるとともに該画面上の対象物の周縁部が前記複数のウインド内に入るように前記画面上での左右の間隔を変更しつつ複数のウインドを定めるウインド決定手段を備えることを特徴とする。
【0007】
このような請求項1または2記載の発明の構成によれば、イメージセンサで定まる画面上で複数のウインドが定められることにより、画像全体について演算処理をすることがなく、しかも画素を間引くことがないので、距離分解能の低下が生じることがなく、高速の演算処理を行なうことが可能である。しかも複数のウインドの上下または左右の間隔が、前回までの対象物までの距離に基づいて定めた画面上の対象物の大きさに基づいて変更されるので、前記画面上での対象物の大きさの変化に対応して各ウインドの位置が定められることになり、遠距離の対象物以外の物体や背景がウインド内に入ってしまうことや、対象物が近距離に存在する場合にコントラストの低い部分がウインドに入ってしまうことを防止して、精度よく対象物までの距離を測定することができる。
【0008】
また請求項3記載の発明によれば、上記請求項1または2記載の発明の構成に加えて、前記イメージセンサは、相互に平行に延びる複数のラインイメージセンサが配置されて成り、前記ウインド決定手段は、複数のラインイメージセンサのうち選択されたラインイメージセンサの長手方向に沿う複数のウインドの間隔を変更すべく構成されることにより、選択された複数ラインにおいて定められた長さを有する複数のウインドに関連して演算処理を行なえばよいので、演算処理を回路で実現する場合には繰返し制御部の簡素化が可能となり、より低コストの距離測定装置を実現することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
図1ないし図5は本発明の第1実施例を示すものであり、図1は距離測定装置の構成を示すブロック図、図2はイメージセンサの画面上での対象物およびウインドの配置を示す図、図3は距離測定原理を説明するための図、図4は相関演算を説明するための図、図5は対象物が近距離にあるときのウインドの配置を示す図である。
【0010】
先ず図1において、この車両用距離測定装置は、車両の車室内でたとえばフロントガラスの後方側に配置される上下一対の撮像手段1A,1Bと、これらの撮像手段1A,1Bで得られた先行車両等の対象物4の画像信号をデジタル信号にそれぞれ変換するA/D変換器5A,5Bと、デジタル信号化された画像情報をそれぞれ記憶する画像記憶手段6A,6Bと、画像記憶手段6A,6Bにストアされた画像信号に基づいて対象物4までの距離を演算するマイクロコンピュータ8と、距離等を記憶すべくマイクロコンピュータ8に付設されるメモリ9とを備える。
【0011】
両撮像手段1A,1Bは、レンズを含む光学系2A,2Bと、それらの光学系2A,2Bの焦点距離fだけ後方に配置されるイメージセンサ3A,3Bとでそれぞれ構成されるものであり、両光学系2A,2Bは、基線長BLだけ上下に間隔をあけて配置される。
【0012】
このような撮像手段1A,1Bによれば、自車の前方に存在する先行車両等の対象物4が光学系2A,2Bによりイメージセンサ3A,3B上に結像されることになるが、イメージセンサ3A,3Bは、たとえば図2で示すように、たとえば相互に平行に延びる複数の上下に延びるラインイメージセンサたとえばラインCCD7,7…が横方向に間隔をあけて配置されて成る一次元のイメージセンサである。
【0013】
マイクロコンピュータ8は、前記イメージセンサ3A,3Bで定まる画面上で複数のウインドW,W…(図2の斜線で示す部分)を定めるウインド決定手段、両イメージセンサ3A,3Bで定まる画面上で相互に対応するウインドW,W…の組み合わせ毎の相関演算を実行する相関演算手段、ならびに該相関演算手段の演算結果に基づいて対象物4までの距離を演算する距離演算手段の機能を果すものである。
【0014】
ウインドWの決定にあたっては、前回までの対象物4までの測定距離と、前記イメージセンサ3A,3Bで定まる画面上の対象物4の位置および大きさとが参照され、各ウインドW,W…の前記画面上での上下または左右の間隔が前記測定距離に基づく対象物4の大きさによって変更される。すなわち、左右方向および上下方向のウインドW,W…の個数を設定しておき、対象物4までの測定距離に応じて予め定めたマップを準備しておき、該マップにより前記画面上の対象物4の大きさを定め、画面上の対象物4の周縁部がウインドW内に入るように、各ウインドW,W…の上下または左右の間隔が設定される。この際、対象物4の一部が前記画面からはみ出るほど対象物4が自車に近接したときには、前記画面全体に分散されるようにウインドW,W…の間隔が設定される。
【0015】
而してイメージセンサ3A,3Bが、相互に平行に延びる複数のラインイCCD7,7…が配置されて成るものであることにより、複数のラインCCD7,7…のうち選択されたラインCCD7,7…の長手方向に沿う複数のウインドW,W…の間隔が変更されることになる。
【0016】
画像記憶手段6A,6Bからは、各ウインドW,W…に対応した画像信号が切り出され、マイクロコンピュータ8では、相互に対応するウインドW,Wの組み合わせ毎の画像信号の相関演算が実行されることになる。
【0017】
この相関演算は、図3で示すように、両イメージセンサ3A,3Bから得られた輝度データの相関が最も一致する点でのシフト量nを得るためのものであり、たとえば相互に対応するウインドW,Wの輝度データの一方を固定しておき他方を1つずつシフトしながら引き算を行なうようにして実行される。すなわち図4(A)で示すように、イメージセンサ3B側の輝度データを固定しておき、イメージセンサ3A側の輝度データを上下に1つずつシフトしながらイメージセンサ3B側の輝度データから引き算することにより、図4(B)で示すように相関値に対応したシフト量が得られることになり、相関値が最も小さいときのシフト量nが画像信号の光軸からのずれ量に対応した値として求められる。而して、該シフト量nは、下方のイメージセンサ3Aから得られた画像信号の光学系2Aの光軸からのずれ量nAと、上方のイメージセンサ3Bから得られた画像信号の光学系2Bの光軸からのずれ量nBとの和として得られることになる。
【0018】
相互に対応した各ウインドW,Wの組み合わせ毎に得られたずれ量nに基づいて、各ウインドW,Wの組み合わせ毎に三角測量法の原理に基づく距離演算がそれぞれ実行される。すなわち、対象物4までの距離DW が
DW =(BL×f)/n
として得られることになる。
【0019】
このように各ウインドW,Wの組み合わせ毎に得られた距離DW のうち、上述の相関演算で相関度が高かったウインドW,Wの組み合わせのうち、前回得られた対象物4までの距離から一定距離以上離れた距離のものが除かれ、最後に残った組み合わせの距離DW が平均化され、その平均化された距離が対象物4までの距離としてマイクロコンピュータ8から出力されるとともに、ウインドW,W…の間隔決定のための1つの要素として用いられる。
【0020】
この第1実施例によれば、イメージセンサ3A,3Bで定まる画面上で複数のウインドW,W…が定められることにより、画像全体について演算処理をする必要がなく、しかも画素を間引くことがないので、距離分解能の低下が生じることを防止しつつ、高速の演算処理を行なうことができる。
【0021】
しかも複数のウインドW,W…の上下または左右の間隔が、前回までの対象物4までの測定距離に基づいて定めた画面上の対象物4の大きさに基づいて変更されるので、前記画面上での対象物4の大きさの変化に対応して各ウインドW,W…の位置が定められることになる。したがって、自車から比較的離れた位置に対象物4がある場合、すなわち図2で示す場合に、対象物4以外の物体や背景がウインドW内に入ってしまうことを防止して、距離測定精度を向上することができ、また図5で示すように、先行車等の対象物4が自車に比較的近接した位置に在る場合に、コントラストの低い部分がウインドWに入ってしまうことを防止して、精度よく対象物4までの距離を測定することができる。
【0022】
しかもイメージセンサ3A,3Bとして、上下に延びる複数のラインCCD7,7…が配置されて成る比較的安価な一次元のイメージセンサを用いていることにより、ウインドW,W…の間隔の変更にあたっては、複数のラインCCD7,7…のうち選択されたラインCCD7,7…の長手方向に沿う複数のウインドW,Wの間隔を変更すればよく、選択された各ラインで定められた幅を有する複数のウインドW,Wに関連して演算処理を行なえばよいので、演算処理が容易となり、その演算処理を回路で実現する場合には繰返し制御部の簡素化が可能となってコスト低減が可能となる。
【0023】
上記第1実施例では、イメージセンサ3A,3Bとして上下に延びる複数のラインCCD7,7…から成る一次元のイメージセンサが用いられたが、多数の画素が二次元平面に分散された二次元のイメージセンサを用いるようにしてもよく、その場合、図6で示すように、各ウインドW,W…をそれらの一部が上下方向に重なるように定めてもよい。また対象物4が遠距離となったときに、図7で示すように、全てのウインドW,W…の左右方向位置を最大限縮めても対象物4の周縁部からはみ出す位置にいくつかのウインドW…(白抜きで示すウインド)が存在する場合には、はみ出したウインドWを演算に用いないようにすれば、対象物4の背景などによる悪影響を排除することができる。
【0024】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
【0025】
【発明の効果】
以上のように請求項1または2記載の発明によれば、画像全体について演算処理をする必要がなく、しかも画素を間引くことがないので、距離分解能の低下を防止して高速の演算処理を行なうことが可能となり、また画面上での対象物の大きさの変化に対応して各ウインドの位置が定められることによって精度よく対象物までの距離を測定することができる。
【0026】
また請求項3記載の発明によれば、選択された複数ラインで定められた幅を有する複数のウインドに関連して演算処理を行なえばよく、演算処理を回路で実現する場合には繰返し制御部の簡素化が可能となり、より低コストの距離測定装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例の距離測定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 イメージセンサの画面上での対象物およびウインドの配置を示す図である。
【図3】 距離測定原理を説明するための図である。
【図4】 相関演算を説明するための図である。
【図5】 対象物が近距離にあるときのウインドの配置を示す図である。
【図6】 第2実施例の画面上での対象物およびウインドの配置を示す図である。
【図7】 遠距離に対象物がある状態での図6に対応した図である。
【符号の説明】
2A,2B・・・光学系
3A,3B・・・イメージセンサ
4・・・対象物
7・・・ラインイメージセンサとしてのラインCCD
8・・・ウインド決定手段としての機能を備えるマイクロコンピュータ
W・・・ウインド
Claims (3)
- 一対の光学系(2A,2B)によりイメージセンサ(3A,3B)上に結像した一対の画像のうち複数のウインド(W)内の画像信号を比較して両画像の光軸からのずれ量を電気的に検出し、三角測量の原理に基づく演算を前記ずれ量を用いて実行して対象物(4)までの距離を測定する車両用距離測定装置において、
前回までの対象物(4)までの距離に基づいて画面上の対象物(4)の大きさを定めるとともに該画面上の対象物(4)の周縁部が前記複数のウインド(W)内に入るように前記画面上での上下の間隔を変更しつつ複数のウインド(W)を定めるウインド決定手段(8)を備えることを特徴とする車両用距離測定装置。 - 一対の光学系(2A,2B)によりイメージセンサ(3A,3B)上に結像した一対の画像のうち複数のウインド(W)内の画像信号を比較して両画像の光軸からのずれ量を電気的に検出し、三角測量の原理に基づく演算を前記ずれ量を用いて実行して対象物(4)までの距離を測定する車両用距離測定装置において、
前回までの対象物(4)までの距離に基づいて画面上の対象物(4)の大きさを定めるとともに該画面上の対象物(4)の周縁部が前記複数のウインド(W)内に入るように前記画面上での左右の間隔を変更しつつ複数のウインド(W)を定めるウインド決定手段(8)を備えることを特徴とする車両用距離測定装置。 - 前記イメージセンサ(3A,3B)は、相互に平行に延びる複数のラインイメージセンサ(7)が配置されて成り、前記ウインド決定手段(8)は、複数のラインイメージセンサ(7)のうち選択されたラインイメージセンサ(7)の長手方向に沿う複数のウインド(W)の間隔を変更すべく構成されることを特徴とする請求項1または2記載の車両用距離測定装置。
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JP21075497A JP3819549B2 (ja) | 1997-08-05 | 1997-08-05 | 車両用距離測定装置 |
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