JP3819555B2 - 車両用距離測定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、対象物をそれぞれ撮像すべく相互に間隔をあけて配置される一対の撮像手段と、両撮像手段でそれぞれ得られる画像の相関に基づいて対象物までの距離を三角測量の原理で演算する距離演算手段と、両撮像手段の露光量を調節する露光量調節手段とを備える車両用距離測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、かかる距離測定装置は、たとえば特開平4−336514号公報等で既に知られており、このものでは、両撮像手段で得られる画像の明るさによって両撮像手段の露光量が定められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、逆光時には距離測定の対象である対象物以外の部分が明るいので、対象物が暗く撮像されてしまうのであるが、上記従来のもののように明るさの検知により露光量を定めるものでは、露光量を大とする必要があるのにもかかわらず露光量が小さく制御さることになり、対象物と背景とのコントラストが低下して、対象物までの演算距離のばらつきが大きくなり、距離測定精度が低下することになる。
【0004】
本発明、逆光時でも適正露光量が得られるようにし、対象物までの距離をより正確に測定し得るようにした車両用距離測定装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、対象物をそれぞれ撮像すべく相互に間隔をあけて配置される一対の撮像手段と、両撮像手段でそれぞれ得られる画像の相関に基づいて対象物までの距離を三角測量の原理で演算する距離演算手段と、両撮像手段の露光量を調節する露光量調節手段とを備える車両用距離測定装置において、演算処理サイクル毎の前記距離演算手段の出力のばらつきを演算するばらつき量演算手段と、該ばらつき量演算手段で得られたばらつき量が大きくなるのに応じて露光量を大とし、ばらつき量が小さくなるのに応じて露光量を小とするように前記露光量調節手段の作動を制御する制御手段とを含むことを特徴とする。
【0006】
このような構成によれば、距離演算手段で得られる距離演算値のばらつきに応じて両撮像手段での露光量が調節されることになるが、両撮像手段の露光量が変化することにより対象物および背景間のコントラストが変化するものであり、コントラストの低下に応じて前記距離演算値がばらつくものであるので、明確なコントラストが得られるように露光量が調節されることにより、夕暮れ時や逆光時にも適正な露光量が得られるようにして対象物までの距離測定精度を向上することが可能となる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0008】
図1ないし図7は本発明の一実施例を示すものであり、図1は距離測定装置の構成を示すブロック図、図2は撮像手段の構成および距離測定原理を説明するための図、図3は画像領域に対するウインドの配置を示す図、図4は相関演算手段での微分波形成形を説明するための図、図5は相関演算手段での相関演算を説明するための図、図6は相関演算手段での相関評価を説明するための図、図7は相関演算手段での補間演算を説明するための図である。
【0009】
先ず図1および図2において、上下一対の撮像手段1A,1Bが、車両の車室内でたとえばフロントガラスの後方側に配置されており、これらの撮像手段1A,1Bは、レンズを含む光学系2A,2Bと、それらの光学系2A,2Bの焦点距離fだけ後方に配置されるイメージセンサ3A,3Bと、光学系2A,2Bからの光量を絞るべく光学系2A,2Bおよびイメージセンサ3A,3B間にそれぞれ配置される露光量調節手段としての絞り4A,4Bとでそれぞれ構成されるものであり、両光学系2A,2Bは、基線長BLだけ上下に間隔をあけて配置される。
【0010】
このような撮像手段1A,1Bによれば、自車の前方に存在する先行車両等の対象物Tが光学系2A,2Bによりイメージセンサ3A,3B上に結像されることになるが、イメージセンサ3A,3Bは、図3で示すように、複数のたとえばラインCCD5,5…が横方向に等間隔をあけて配置されて成る一次元のイメージセンサであり、各ラインCCD5,5…の間隔を適宜定めることにより横方向の視野角、分解能を最適に定めることが可能である。
【0011】
両イメージセンサ3A,3Bで得られた画像信号は、個別のA/D変換器6A,6Bでデジタル信号に変換され、さらに個別の画像記憶手段7A,7Bにそれぞれストアされる。
【0012】
画像記憶手段7A,7Bには各ラインCCD5,5…で得られた画像信号が一旦ストアされることになるが、それらの画像信号のうちウインド決定手段8で選択された画像信号だけが画像記憶手段7A,7Bから切出されることになる。而してウインド決定手段8では、図3において斜線を施して示すように、横方向に間隔をあけた複数たとえば5つのウインドW,W…が設定されるものであり、イメージセンサ3A,3Bが横方向に等間隔をあけた複数のラインCCD5,5…から成るものであることに基づいて、各ラインCCD5,5…のうち選択された複数のラインCCD5,5…の画像信号が各ウインドW,W…の画像信号として選択されることになる。
【0013】
ウインド決定手段8で設定されたウインドW,W…の画像信号は相関演算手段9に入力され、該相関演算手段9において、相互に対応する各ウインドW,Wの組み合わせ毎の画像信号の相関演算が実行される。
【0014】
相関演算を行なうにあたって、夕暮れ時や日影等で画像のコントラストが劣ることに起因して相関一致度が低下し、ひいては距離測定精度が低下することを回避するために、相関演算手段9では、図4で示すように、ウインドWからの画像信号の輝度を読み込んで輝度波形を成形し、次いで、上下に複数画素たとえば9画素おきの輝度を引き算して微分波形を成形する。
【0015】
相関演算手段9での相関演算は、両イメージセンサ3A,3Bでの相互に対応するウインドWの微分された輝度データの一方を固定しておき他方を1つずつシフトしながら引き算を行なうようにして実行される。たとえば図5(A)で示すように、上方すなわちイメージセンサ3B側の輝度データを固定しておき、下方すなわちイメージセンサ3A側の輝度データを上下に1つずつシフトしながらイメージセンサ3B側の輝度データから引き算することにより、図5(B)で示すように相関値に対応したシフト量が得られることになり、相関値が最も小さいときのシフト量が画像信号の光軸からのずれ量に対応した値として求められる。
【0016】
このような相関値に対応したシフト量を得るための相関演算は、両イメージセンサ3A,3Bに結像した画像の光軸からのずれ量を求めるためのものであり、図2において、下方のイメージセンサ3Aから得られた輝度データと、上方の イメージセンサ3Bから得られた輝度データとの相関が最も一致するまで両輝度データをシフトさせることにより、最も相関が一致する点でのシフト量nを得ることができるのであるが、このシフト量nは、下方のイメージセンサ3Aから得られた画像信号の光学系2Aの光軸からのずれ量nAと、上方のイメージセンサ3Bから得られた画像信号の光学系2Bの光軸からのずれ量nBとの和として得られることになる。
【0017】
ところで、上記相関演算により相関値に対応したシフト量が得られるのであるが、その相関値の信頼度を評価するために、相関演算手段9では、次のような相関評価が実行される。すなわち図6で示すように、最も小さな相関値から所定値だけ大きなしきい値が設定され、相関値の極小値が1つであり、しかも最小相関値のシフト量から所定シフト量ΔSだけずれた位置で相関値がしきい値よりも大きいとき、すなわち図6(A)で示す状態のときが信頼度が高いと評価される。それに対し、相関値の極小値が1つであっても最小相関値のシフト量から所定シフト量ΔSだけずれた位置で相関値がしきい値よりも小さいとき、すなわち図6(B)で示す状態のときには信頼度が低いと評価され、また相関値の極小値が複数あるとき、すなわち図6(C)で示す状態のときには信頼度が低いと評価される。而して図6(B)で示す状態は、両イメージセンサ3A,3Bの画像信号の輝度ずれやノイズ等に基づいて最小相関値付近で相関値の傾きがシャープでなくなることにより生じるものであり、相関一致度が低下して距離測定精度が低下するので相関評価を低くするものであり、また図6(C)で示す状態は、遠近混在や縞模様に代表されるパターン画像により生じるものであり、場合によっては対象物T以外の距離を測定してしまう可能性があるので相関評価値を低くするものである。
【0018】
さらに相関演算手段9では、各イメージセンサ3A,3BでのCCD5,5…の画素が或る大きさを有するものであることにより、画素相互間の補間を行なってイメージセンサ3A,3Bでの分解能力を向上するための補間演算が実行される。この補間演算にあたっては、図7で示すように、最小相関値である第1点P1と、最小相関値に近い相関値である第2および第3点P2,P3との3点が用いられ、第1点P1と第2および第3点P2,P3の一方P3とを通る直線L1と、該直線L1と同一の傾きで第2および第3点P2,P3の他方P2を通る直線L2との交点が補間値として得られることになり、この補間値がシフト量n′として用いられる。尚、鎖線で示すように、第1点P1および第2点P2を通る直線と、第3点P3を通る直線との交点も得られるが、この交点は最小相関値よりも大きな相関値となるので補間値としては採用されない。
【0019】
このようにして、相関演算手段9で得られた各ウインドW,Wの組み合わせ毎のシフト量n′は、距離演算手段10に入力され、該距離演算手段10では、三角測量法の原理に基づいて、各ウインドW,Wの組み合わせ毎の距離演算が実行される。すなわち、対象物Tまでの距離DW が、
W =(BL×f)/n′
として得られることになる。なお、イメージセンサ3A,3Bの近傍に設けられた感温素子で得られる温度情報に基づいて前記距離値DW が補正されるようにしてもよい。
【0020】
距離演算手段10では、上述のように演算された各ウインドW,Wの組み合わせ毎の距離値DW に基づいて、対象物Tまでの距離Dが定められる。すなわち各ウインドW,Wの組み合わせのうち相関演算手段9において相関評価が低かったものが除かれ、残ったウインドW,Wの組み合わせの距離値DW のうち最小値DWMが先ず選択される。次いで該最小値DWMから設定値αの範囲内に設定数β以上の複数の距離値DW が存在するか否かが判定され、前記設定値α内に設定数β以上の複数の距離値DW が存在する状態が設定時間(たとえば設定した演算サイクル回数が経過する時間)以上連続したときに、前記最小値DWMが対象物Tまでの距離Dとして選択され、この距離Dが、たとえば先行車に追従した走行制御を実行するための車両走行制御装置(図示せず)への信号として出力される。
【0021】
一方、距離演算手段10で得られた距離Dは、ばらつき量演算手段11に入力される。このばらつき量演算手段11は、演算処理サイクル毎の前記距離演算手段10の出力のばらつきを演算するものであり、n回の演算処理サイクルでの演算距離の平均値DA、ならびにその平均値DAからの演算処理サイクル毎の距離演算値のばらつき量ΔD(平均値)が、次の演算式でそれぞれ演算される。
【0022】
【数1】
Figure 0003819555
【0023】
ばらつき量演算手段11で得られたばらつき量ΔDは、制御手段12に入力され、該制御手段12は、ばらつき量ΔDが大きくなるのに応じて絞り4A,4Bを開けるように(露光量を大とするように)、またばらつき量ΔDが小さくなるのに応じて絞り4A,4Bを絞るように(露光量を小とするように)して絞り4A,4Bを制御する。
【0024】
次にこの実施例の作用について説明すると、距離演算手段10で得られる距離演算値のばらつき量ΔDがばらつき量演算手段11で演算され、そのばらつき量ΔDに応じて、制御手段12により絞り4A,4Bが制御される。これにより、ばらつき量ΔDが大きいときには撮像手段1A,1Bの露光量が大となり、ばらつき量ΔDが小さいときには撮像手段1A,1Bの露光量が小となる。
【0025】
ところで、両撮像手段1A,1Bの露光量が変化することにより対象物Tおよび背景間のコントラストが変化し、コントラストの低下に応じて距離演算手段10での距離演算値がばらつくものであるので、ばらつき量ΔDが大きいとき、すなわち低コントラストのときには明確なコントラストが得られるように露光量が大となるように調節されることになる。したがって夕暮れ時や逆光時にも適正な露光量が得られるようにして対象物Tまでの距離測定精度を向上することが可能となる。
【0026】
また本実施例では、イメージセンサ3A,3Bとして、ラインCCD5,5…が横方向に等間隔をあけて配置されて成る比較的安価な一次元のイメージセンサを用いたことにより、コスト低減を図ることが可能となる。
【0027】
本発明の他の実施例として、撮像手段1A,1Bの露光量をシャッタースピートで調節するようにしてもよく、このシャッタースピードによる露光量の調節時には、距離演算手段10での距離演算値がばらつくときにはシャッタースピードが遅くなるように制御される。また絞りおよびシャッタースピードをともに制御するようにしてもよい。
【0028】
本発明のさらに他の実施例として、多数の画素が二次元平面に分散されたイメージセンサを用いることも可能である。
【0029】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、距離演算手段で得られる距離演算値のばらつきに応じて両撮像手段での露光量が調節されることにより、明確なコントラストが得られるように露光量が調節されることになり、夕暮れ時や逆光時にも適正な露光量が得られるようにして対象物までの距離測定精度を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】距離測定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】撮像手段の構成および距離測定原理を説明するための図である。
【図3】画像領域に対するウインドの配置を示す図である。
【図4】相関演算手段での微分波形成形を説明するための図である。
【図5】相関演算手段での相関演算を説明するための図である。
【図6】相関演算手段での相関評価を説明するための図である。
【図7】相関演算手段での補間演算を説明するための図である。
【符号の説明】
1A,1B・・・撮像手段
4A,4B・・・露光量調節手段としての絞り
10・・・距離演算手段
11・・・ばらつき量演算手段
12・・・制御手段
T・・・対象物

Claims (1)

  1. 対象物(T)をそれぞれ撮像すべく相互に間隔をあけて配置される一対の撮像手段(1A,1B)と、両撮像手段(1A,1B)でそれぞれ得られる画像の相関に基づいて対象物(T)までの距離を三角測量の原理で演算する距離演算手段(10)と、両撮像手段(1A,1B)の露光量を調節する露光量調節手段(4A,4B)とを備える車両用距離測定装置において、
    演算処理サイクル毎の前記距離演算手段(10)の出力のばらつきを演算するばらつき量演算手段(11)と、該ばらつき量演算手段(11)で得られたばらつき量が大きくなるのに応じて露光量を大とし、ばらつき量が小さくなるのに応じて露光量を小とするように前記露光量調節手段(4A,4B)の作動を制御する制御手段(12)とを含むことを特徴とする車両用距離測定装置。
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