JP3818876B2 - 乾燥装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水又は炭化水素系等の洗浄液によって洗浄された電子、機械、成形関連等の部品を真空状態で乾燥させる乾燥装置にする。
【0002】
【従来の技術】
従来より、部品を洗浄する洗浄液としては、フロン等のフッ素系や、1,1,1-トリクロロエタン等の塩素系の溶液が多く用いられてきた。しかしながら、気化したこれらの溶液はオゾン層を破壊する性質を有しているとされ、1987年に、「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」が、「オゾン層保護に関するウィーン条約」に基づき採択されて、特定フロン等を対象に生産量の段階的な削減や規制等が規定された。その後も何度か見直しがなされており、規制物質の追加や規制スケジュールの前倒し等の改正が行われている。
【0003】
日本においては、1998年9月30日に、上記したウィーン条約及びモントリオール議定書が批准された。この議定書では、CFC(塩素・フッ素・炭素化合物)に代わるフッ素系であるHCFC(水素・塩素・フッ素・炭素化合物)についても、2020年までに全廃することが決められており、その全廃時期については、今後更に、前倒しが予想される。また、これらに関連して、塩素系に対しても、水質や大気汚染に関する規制の見直しが図られており、年毎にその規制が強化されつつある。
【0004】
一方、地球温暖化防止に関する活動も活発になってきており、1997年12月の「地球温暖化防止京都会議」では、日本に対して、温暖化ガスの6%削減が義務づけられた。この温暖化ガスの対象としては、代替フロンであるHFC(水素・フッ素・炭素化合物)やパーフルオロカーボンも含まれており、更に代替フロンにおいても排出規制が強化されることになった訳である。従って、今後、規制動向に対して十二分なウオッチが必要であるとともに、早急に対処策を講じていくことが強く要求される。
【0005】
このような背景のもと、近年、オゾン層破壊のおそれが少ないとされる水又は非塩素系の溶液を用いて部品を洗浄することが注目されているが、以下の点に留意する必要がある。
【0006】
先ず、水を用いる場合であるが、第1に、水自体は安価である反面、水の取り扱いに関連する多くの付帯設備を必要とし、その付帯設備の据え付けに多大な費用が生じることである。付帯設備としては、洗浄装置本体の他に、例えば、貯水設備、沈澱・浄化・汚泥処理設備、排水設備、或いは、純度の低い水を用いた場合の前処理用設備が挙げられ、しかも、これらの設置スペースや、メンテナンスのための補助スペースも必要となる。また、これら付帯設備の運転、保守、或いは、排水管理等には、初期投資とともに、維持に係わる経費も必然的に発生することはいうまでもない。特に、排水管理においては、使用後の水を排水する際に水質基準値を満足し得るような配慮が必要である。
【0007】
第2に、水の有する濡れ性により、期待される程の洗浄効果が得られない可能性があることである。水の表面張力は、45℃において68.74±0.05dyn/cm、20℃において72.75±0.05dyn/cmとベース値がかなり高い。一方、従来多用されてきたフッ素系や塩素系の溶液では、例えば、フロンCFC113が20℃において17dyn/cm、1,1,1-トリクロロエタンが25dyn/cmと水に対して1/3〜1/4に過ぎない。つまり、水は、従来多用されてきた溶液と比較して濡れ性が悪いということがいえる。従って、水を用いて従来と同様の手法で洗浄が行われた場合、部品同士の重なり部分や密着部分、或いは、部品に形成されている小さな穴や隅部等には、水は容易に浸透、進入できなくなり、これらの部分に付着し存在している汚れ等を洗浄できず、洗浄効果が劣ってしまうことになる。
【0008】
第3に、空気が混在する雰囲気や、加温された常圧等の環境下で洗浄が行われた場合、洗浄される部品が金属部分を有すると、水の有する酸化力により錆が誘発され易くなるため、防錆対策が不可欠となる。特に、そのような環境下では乾燥時間が長くなるため、水シミ等も発生し易く、折角洗浄しても外観が損なわれてしまう。
【0009】
一方、非塩素系であるシリコン系、炭化水素系、或いは、アルコール系等の溶液を用いる場合であるが、第1に、その沸点が高いもので200℃程度もあるため、常圧下でその溶液を蒸気化して蒸気による部品洗浄が行われる場合、蒸気温度が極めて高くなり、洗浄される部品の熱変形や変質等の問題が発生する。しかも、従来多用されてきたフッ素系や塩素系の溶液と比較して、乾燥性が劣るという問題もある。第2に、炭化水素系の溶液は引火点が50〜80℃と低いため、火災、爆発等に対して安全性の確保が強く要求される。
【0010】
このように、水又は非塩素系の溶液を用いる場合の留意点は種々あるが、特に、乾燥性の向上、及び、炭化水素系に対する安全性の確保という点に対しては、減圧環境下で洗浄や乾燥が行える装置が望ましい。何故ならば、減圧環境を形成する装置は、真空容器を含む配管系が密閉構造となった、いわゆる、クローズドシステムとなるので、配管系内部を負圧に保つことによって、その内部の酸素濃度が極めて低くなり引火を抑止できるし、万一配管系に欠損箇所があったとしても、その負圧により内部の溶液や蒸気が外部に漏れ出ることはなく、安全性の確保につながるからである。しかも、減圧下では飽和蒸気圧が下がるので、溶液の沸点が実質下がり、常圧雰囲気下と比較して溶液は容易に蒸発でき、乾燥性の向上に対して有利となるからである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
減圧環境下で乾燥が行える装置として、真空乾燥装置がある。この真空乾燥装置では、洗浄液が付着している被乾燥物を真空容器内に置き、真空状態にすることによって、被乾燥物に付着している洗浄液が、気化するために必要な熱(蒸発潜熱)を被乾燥物から奪いながら沸騰、蒸発し、真空乾燥が進行する。一方、乾燥が進行するに伴い被乾燥物の品温は徐々に低下し、この品温が飽和蒸気圧温度を下回ると、真空容器内の真空度が同一状態であるならば、その時点で洗浄液の沸騰、蒸発は停止してしまうので、この事態を回避するために、一般には、更に真空能力を上げ到達真空度を高めたり、真空引き開始時点の被乾燥物の品温を高めたり、真空引き中の被乾燥物に熱を供給したりする工夫が必要とされる。
【0012】
例えば、真空引き開始時点の被乾燥物の品温を高める簡便な手法として、真空容器内に温風を吹き込む温風加熱方式がある。しかし、限られた時間の加熱では、真空容器の側壁の温度が十分上昇しないままで乾燥状態に入ることになるため、蒸発した洗浄液のガスはその側壁に接して冷却、凝縮し、その凝縮状態のまま真空容器内に残留して、乾燥を阻害するという問題があった。更に、細管や入り組んだ形状を有する複雑な形状の被乾燥物を乾燥させる場合は、特に部位毎に品温差が生じ易く、この品温差により、部位毎の乾燥状態が不均一となって輪ジミや発錆の要因となり、洗浄、乾燥させた被乾燥物の外観を著しく損ねるという問題もあった。また、別の手法として、蒸気を被乾燥物に向けて強制的に噴射させる蒸気噴射加熱方式もあるが、蒸気化に伴う設備や噴射用のポンプを設ける必要があり、コストアップが生じてしまう。
【0013】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、水又は炭化水素系等の洗浄液によって洗浄された部品を真空状態で乾燥させる乾燥装置であって、被乾燥物である部品に熱を与えることにより、効率よくかつ安全に乾燥が行え、しかも、低コストで得ることができる乾燥装置を提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明による乾燥装置は、被乾燥物を収容し真空状態を取り得る真空容器と、加熱された溶液を収容する加熱容器と、真空容器と加熱容器を連通する配管と、を備え、配管の一端は被乾燥物に向けて開口し、配管の他端は溶液に浸漬しており、真空容器が真空状態のときに配管が開放されて、溶液が沸騰状態で配管の前記一端から被乾燥物に向けて噴射されるようになっている。
【0015】
被乾燥物に向けて噴射される溶液は、被乾燥物の品温がそれほど高くなくても蒸発できる蒸発潜熱の低いものであることが望ましく、例えば、その溶液は炭化水素系の溶液である。
【0016】
また、溶液を加熱する際、ヒータ等の熱源が直接溶液に触れると、火災や爆発のおそれがあるため、これを回避する目的から、加熱容器は隔壁で2室に分割されていて、一方に溶液を収容し、他方に熱源を設けており、熱源からの熱が隔壁を通じて溶液に与えられ、溶液が加熱されるようになっている。
【0017】
被乾燥物に向けて噴射された沸騰状態の溶液の状態、及び、被乾燥物の品温状態を安定化させる観点から、配管の経路に駆動弁が設けられており、真空容器内の圧力と、溶液が収容されている加熱容器内の圧力と、溶液の温度とに基づき、駆動弁の開閉度合いが調節されるようになっている。
【0018】
更に、被乾燥物に熱を与えて凝縮した溶液が再度蒸気化して被乾燥物に熱を与えたり、真空容器内の温度をより急速に高めるたりすることができれば、より効率が上がるので、真空容器の内側面と底面とのうち、少なくとも1つに加熱手段を設けている。
【0019】
そして、被乾燥物に向けて噴射される溶液のランニングコストを抑える観点から、溶液の性質を損なわず再利用することを考慮して、被乾燥物に向けて噴射されて真空容器内に存する蒸気化した溶液を回収し凝縮させる溶液凝縮手段と、溶液凝縮手段により凝縮した溶液を加熱容器に供給する供給手段とを備えている。
【0020】
また、被乾燥物に向けて噴射される溶液は常に浄化された新液状態であることが望ましく、更に、被乾燥物に向けて噴射されて真空容器の底面に溜まった溶液を回収して排出する溶液排出手段を備えている。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。先ず、本発明の第1実施形態について説明する。図1は乾燥装置全体の構成図が、図2は図1における乾燥部の要部構成図がそれぞれ示されている。乾燥装置は、図1に示されるように、概略、乾燥部と蒸留部とに大別される。なお、蒸留部は、蒸留器、再熱器、凝縮器、冷熱源、温熱源、水分除去ユニット等で構成されるが、本発明と直接関係しないので、詳細の説明は省略する。
【0022】
図1、2に基づき、乾燥部の構成を以下に説明する。1は真空容器、2は真空容器1の蓋、3は洗浄液で洗浄された電子、機械、成形関連部品等の被乾燥物、4は被乾燥物3を入れるバスケット、5は加熱容器、6は炭化水素系の溶液、7はコイル状のヒータ、8は加熱媒体、9は真空容器1と加熱容器5を連通する連通配管、10は連通配管9の開閉を司るエアー駆動弁である。
【0023】
真空容器1は、乾燥部の上方を形成し、上部が開放した円筒状に形成されており、その開放した上部には、基軸2aを中心に回動する蓋2を備えている。つまり、蓋2を回動させて開いた状態で、被乾燥物3の入った網状のバスケット4が真空容器1の内外へ出し入れされ、一方、閉じた状態で真空容器1が密閉されるようになっている。なお、真空容器1の側面には真空排気口1aや吸気口1bが形成され、真空容器1の底面、内側面には各々ヒータ21、22が設けられており、また、圧力センサ31、温度センサ32、及び、液位センサ33も設けられている。
【0024】
加熱容器5は、乾燥部の下方を形成し、熱伝導性の優れた金属製の隔壁5aで上下2室に分割されていて、上室5bには、溶液6が収容され、圧力センサ41、温度センサ42、及び、液位センサ43が設けられている。一方、下室5cにはヒータ7、圧力センサ44、温度センサ45、及び、過昇温防止スイッチ46が設けられ、加熱媒体8が収容されている。つまり、ヒータ7の作動によって加熱媒体8が加熱され、その加熱された加熱媒体8の熱が隔壁5aを通じて、間接的に溶液6が加熱されるようになっており、しかも、溶液6の加熱温度が、直接的には温度センサ42で、間接的には温度センサ45で検知され、仮にその温度が異常上昇した場合には過昇温防止スイッチ46により、ヒータ7を停止させるようになっていることから、火災や爆発の危険性が極めて少ない構造といえる。なお、上室5bには、排気口5d、供液口5e、及び、排出口5fが形成されている。
【0025】
また、連通配管9は真空容器1と加熱容器5を連通しており、上端9aが真空容器1の底面に開口し、下端9bが溶液6に浸漬していて、その経路にエアー駆動弁10が設けられている。
【0026】
真空容器1の真空排気口1a、及び、加熱容器5の上室5aの排気口5dは、真空排気配管50から分岐した2つの端各々に連結され、その分岐した真空排気配管50の経路には各々エアー駆動弁51、52が設けられていて、一方、真空排気配管50の他端は真空ポンプ53に連結されている。更に、真空ポンプ53の下流側にはセパレータ54が設けられている。つまり、エアー駆動弁51又は52の開閉によって、真空容器1又は加熱容器5の上室5aが減圧されるようになっている。
【0027】
真空容器1の吸気口1bは、詳細は後述する乾燥が完了した後の真空容器1の真空状態を常圧に戻す(ベント)ときに活用され、ベント用ガス配管61の一端に接続されている。このベント用ガス配管61の他端は、2本に分岐しており、一方は、エアー駆動弁62やレギュレータ63等を介して、窒素ガス等の不活性ガスを封したガスボンベ64に接続され、他方は、逆止弁65及びエアー駆動弁66を介して、圧縮空気や開放した大気等の空気67に接続されている。つまり、本実施形態は、ベント用ガスとしてガスボンベ64中のガスと空気67との2者を選択できるようにした形態であるが、もちろん、一方のみ備えていれば足りる。なお、予防安全面の観点から、ベント用ガスとしては不活性ガスを用いる方が好ましい。
【0028】
このような構成の乾燥装置の動作、及び、その動作中の様子について、以下に説明する。図1に示されるように、被乾燥物3を入れたバスケット4を真空容器1内に収容して蓋2を閉じ、真空ポンプ53を作動させるとともにエアー駆動弁51、52を開く。すると、真空容器1内の空気が、真空排気口1aから真空排気配管50を経て真空ポンプ53へ吸引されて真空引きが開始され、加熱容器5の上室5b内の空気が、排気口5dから真空排気配管50を経て真空ポンプ53へ吸引されて減圧が開始される。また、加熱容器5の下室5cのヒータ7を作動させて、上室5bに収容している溶液6を加熱する。
【0029】
その後、真空容器1内の圧力、加熱容器5の上室5b内の圧力、及び、溶液6の温度が所定値になった時点で、連通配管9のエアー駆動弁10を開く。すると、図2に示されるように、溶液6は、連通配管9の下端9bから上端9aに急激に吸い上げられ、沸騰状態で上方に噴射され、真空容器1内の温度を急上昇させるとともに、バスケット4内にある被乾燥物3に熱を与え、被乾燥物3を急速に加熱する。ここで、被乾燥物3に熱を与えた溶液6は、エンタルピを失って落下し、真空容器1の底面に溜まっていくが、連通配管9の上端9aから噴射される溶液6にとって、アクティブなバブリング効果も有する噴射が維持され、実質的な障害とはならない。ただし、ある程度の量を超えると、悪影響が生じるため、液位センサ33によりこの量を検知するようになっている。
【0030】
次いで、被乾燥物3の品温が80〜100℃程度になるような所定時間が経過した後、被乾燥物3の加熱が完了し乾燥に移行する。ここで、真空容器1の底面に溜まっている溶液6は乾燥にとって悪影響を及ぼすので、乾燥に移行する際に、真空容器1から排出しておく必要がある。そこで、本実施形態では、真空排気配管50に設けられたエアー駆動弁52を更に開き、加熱容器5の上室5b内を減圧していく。すると、連通配管9の上端9aからの溶液6の噴射は徐々に低下していき、加熱容器5の上室5b内の圧力が真空容器1内の圧力と同等になると、真空容器1の底面に溜まっている溶液6は、自重で加熱容器5の上室5b内に引き戻され、真空容器1からの排出がなされる。なお、この排出時間を短縮するためには、真空容器1の真空引きを停止させることが有効であり、エアー駆動弁51を一時的に閉じてもよい。
【0031】
そして、真空容器1の底面に溜まっている溶液6の排出がなされた後、連通配管9のエアー駆動弁10を閉じ、真空容器1の真空引きを継続すると、加温された被乾燥物3に付着している洗浄液や溶液6は、被乾燥物3から蒸発潜熱を奪いながら蒸発し、乾燥が行われる。なお、加熱容器5の上室5bは常に負圧環境におかれていることはいうまでもない。
【0032】
乾燥が完了すると、真空排気配管50のエアー駆動弁51を閉じる。次いで、ベント用ガス配管61のエアー駆動弁62又は66を開き、ガスボンベ64中のガス又は空気67を真空容器1の吸気口1bから導入し、真空容器1内の圧力を常圧に戻す。そして、蓋2を開き、乾燥した被乾燥物3を入れたバスケット4を真空容器1から取り出して、終了する。
【0033】
なお、被乾燥物3の加熱や乾燥中、真空容器1内に存する気化した洗浄液や溶液6は、真空排気口1aから真空排気配管50を経て真空ポンプ53へ吸引され、セパレータ54や蒸留部を経由して浄化された後、フィルタ56やエアー駆動弁57が経路に設けられた給液配管55を介して、供液口5eから加熱容器5の上室5bに投入される。この投入は、真空ポンプ53による負圧力を利用するので専用のポンプを設けなくともエアー駆動弁57の開閉動作のみで行え、また、このエアー駆動弁57は、液位センサ43からの出力により作動するようになっている。
【0034】
ここで、真空ポンプ53としては、往復式、液封式、回転式等の真空ポンプが挙げられるが、本実施形態では、以下の理由から、液封式の真空ポンプを採用している。真空容器1内で気化した洗浄液や溶液6が吸入されても、液体を隔ててポンプ回転部と接触するようになっているので、通常のシール方式の真空ポンプとは異なり金属摺動面摩擦による火花や熱の発生が少なく安全性に富み、支障もないからである。
【0035】
また、真空容器1の底面に溜まっている溶液6を再度被乾燥物3の加熱に利用する目的で、本実施形態では、真空容器1の底面にヒータ21を設けている。真空容器1の底面に溜まっている溶液6は、ヒータ21によって加熱、蒸気化され、真空容器1内に向かって拡散し、被乾燥物3に再度熱を与える。発明者らの実験においては、20〜25%の乾燥時間の短縮が図れ、この効果は極めて有効である。更に、真空容器1内の温度をより急速に高めるために、真空容器1の内側面にヒータ22が設けられている。一般に、真空容器1の側面は熱容量が大きいため昇温し難く、真空容器1内に存する蒸気化した溶液6がこの側面に接触、凝縮して残存すると、乾燥を阻害してしまうおそれがあるが、このヒータ22の設置により改善が見込まれ、発明者らの実験においては、5%程度の乾燥時間の短縮が図れた。
【0036】
また、連通配管9に設けられているエアー駆動弁10は、真空容器1の圧力センサ31と、加熱容器5の圧力センサ41と温度センサ42から出力される値に基づき、開閉度合いが自動的に調節されるようになっている。従って、被乾燥物3に向けて噴射された沸騰状態の溶液6の状態、及び、被乾燥物3の品温状態を常に適正状態に安定化させることができる。もちろん、このような開閉度合いの調節機構を備えずに、エアー駆動弁10を開いた状態に維持させて溶液6を常時噴射しても構わないが、特に、複雑な形状の被乾燥物3の場合、例えば、溶液6を間欠噴射させるような調節機構を備えると、噴射が急激に立ち上がったり立ち下がったりする作用によって、溶液6が噴射される有効な領域が拡大し、常時噴射では到達が困難な部位にも容易に到達できるので、この調節機構は極めて有効といえる。
【0037】
次に、本発明の第2実施形態について、図3を参照しながら説明する。図3は第2実施形態の乾燥部の要部構成図が示されている。なお、図中で第1実施形態と同じ名称で同じ機能を果たす部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略し、相違する点について述べる。
【0038】
先ず、本実施形態の目的について触れておく。一般的に、洗浄が行われた被乾燥物は、汚れや付着物である異物が完全に除去されている訳ではない。被乾燥物である部品の形状や大きさ、或いは、汚染の程度にもよるが、仮に、汚れや異物の付着重量を100とした指標で表すと、洗浄によって70〜80程度の汚れや異物を除去できればよいとされ、残りの20〜30程度の汚れや異物は、被乾燥物に残存して乾燥装置に持ち込まれてしまうことになる。つまり、この持ち込まれる汚れや異物は、1つの被乾燥物に対しては微量であっても、幾つもの被乾燥物に対しては決して無視できず、繰り返し乾燥が行われるにつれ、特に、被乾燥物を加熱する溶液に混入して蓄積され、最終的に乾燥後の被乾燥物の表面に残存し外観品位の低下につながることになる。そこで、本実施形態では、このような問題の解決を図っている。
【0039】
本実施形態では、真空容器1の内側面に凝縮コイル71が設けられ、その凝縮コイル71の内側に円筒状の隔壁72が備えられている。隔壁72の下部は樋状部分72aが形成され、その樋状部分72aの近傍に真空排気口1aが形成されている。また、加熱容器5は、隔壁5gで右室5hと左室5iに分割されており、右室5hには、ヒータ7が設けられ、このヒータ7によって直接的加熱される溶液6が収容されている。もちろん、加熱媒体を介して間接的に加熱するようにしても構わない。なお、右室5hには排気口5d、供液口5e、及び、排出口5fが形成され、温度センサ42、過昇温防止スイッチ46、及び、液位センサ43が設けられている。真空容器1と加熱容器5の右室5hを連通する連通配管9は、上端9aが真空容器1の底面を貫通して真空容器1の内部に開口し、下端9bが溶液6に浸漬している。
【0040】
一方、左室5iは、後述する真空容器1の底面に溜まった溶液6が回収される回収タンクの役割を果たし、回収配管11で真空容器1と連通しており、その回収配管11の上端11aは真空容器1の底面に開口し、下端11bは左室5iの上面に開口している。なお、左室5iには排気口5j及び排出口5kが形成され、液位センサ47が設けられている。
【0041】
このような構成における乾燥装置の特筆すべき動作について以下に述べる。第1に、被乾燥物3の加熱や乾燥中、真空容器1内に存する気化した洗浄液や溶液6は、真空排気口1aからの吸引力により、真空容器1の側壁と隔壁72との隙間を上方から通過し、凝縮コイル71によって冷却されて液化する。その液化した溶液6は、樋状部分72aに集まり、真空排気口1aから真空排気配管50を経てエジェクタ57等を介し真空ポンプ53へ吸引され、セパレータ54を経由して浄化された後、フィルタ56やエアー駆動弁57が経路に設けられた給液配管55を介して、供液口5eから加熱容器5の右室5hに投入される。
【0042】
第2に、真空容器1の底面に溜まった溶液6は、第1実施形態のように、連通配管9を通じて引き戻されるのではなく、回収配管11を通じて回収タンクである左室5iに回収される。これは、排気口5jから真空ポンプ53へ通じる真空排気配管50に設けられたエアー駆動弁56、58を開き、左室5i内を減圧していくことにより達成できる。従って、真空容器1の底面に溜まった溶液6は、洗浄後に被乾燥物3に残存している汚れ、異物、油脂等が混入しているが、個別の回収タンク(左室5i)に回収されることにより、右室5hにある溶液6は常に汚染されていない浄化された新液状態に維持され、例え繰り返し乾燥が行われたとしても、乾燥後の被乾燥物の外観品位を損なうことは全くない。
【0043】
なお、本発明は上記第1、2実施形態に限定される訳ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。例えば、溶液6として、炭化水素系の溶液の代わりに非燃性の水を適用しても構わないが、乾燥性を考慮すると蒸発潜熱が水に対して1/10程度と格段に低い炭化水素系の溶液を適用するのが好ましい。また、乾燥装置には洗浄工程を含んでいても構わず、この際、乾燥前の洗浄に用いる洗浄液と乾燥工程にもちいる溶液6とは、同種であることが望ましい。更に、真空容器1の底面に設けられるヒータ21は、その真空容器1の底面に溜まっている溶液6を加熱、蒸気化することができる限り、真空容器の底面を覆うジャケットタイプのヒータであってもよい。
【0044】
【発明の効果】
以上説明した通り本発明の乾燥装置によれば、被乾燥物を収容し真空状態を取り得る真空容器と、加熱された溶液を収容する加熱容器と、真空容器と加熱容器を連通する配管と、を備え、配管の一端は被乾燥物に向けて開口し、配管の他端は溶液に浸漬しており、真空容器が真空状態のときに配管が開放されて、溶液が沸騰状態で配管の前記一端から被乾燥物に向けて噴射されるようになっているので、被乾燥物である部品に効率よく熱を与えることができ、乾燥時間を短くすることが可能となる。しかも、溶液を噴射するための噴射用のポンプ等を設ける必要がなく、構造がシンプルになるので、低コストで得ることができる。
【0045】
例えば、その溶液が炭化水素系の溶液であると、その蒸発潜熱が低いことから、被乾燥物の品温がそれほど高くなくても蒸発でき、乾燥時間に悪影響を及ぼさない。
【0046】
また、加熱容器が隔壁で2室に分割されていて、一方に溶液を収容し、他方に熱源を設けており、熱源からの熱が隔壁を通じて溶液に与えられ、溶液が加熱されるようになっていると、溶液を加熱する際、ヒータ等の熱源が直接溶液に触れることがないので、火災や爆発のおそれが極めて少ない。
【0047】
また、配管の経路に駆動弁が設けられており、真空容器内の圧力と、溶液が収容されている加熱容器内の圧力と、溶液の温度とに基づき、駆動弁の開閉度合いが調節されるようになっていると、被乾燥物に向けて噴射された沸騰状態の溶液の状態、及び、被乾燥物の品温状態を安定化させることができるので、乾燥時間の効率が増し、乾燥後の被乾燥物の外観品位も優れたものとなる。
【0048】
更に、真空容器の内側面と底面とのうち、少なくとも1つに加熱手段を設けていると、被乾燥物に熱を与えて凝縮した溶液が再度蒸気化して被乾燥物に熱を与えたり、真空容器内の温度をより急速に高めるたりすることができるので、より効率が上がる。
【0049】
そして、被乾燥物に向けて噴射され真空容器内に存する蒸気化した溶液を回収し凝縮させる溶液凝縮手段と、溶液凝縮手段により凝縮した溶液を加熱容器に供給する供給手段とを備えていると、溶液の性質を損なわず再利用することが可能となり、ランニングコストを抑えることができる。
【0050】
更に、被乾燥物に向けて噴射され真空容器の底面に溜まった溶液を回収して排出する溶液排出手段を備えているので、被乾燥物に向けて噴射される溶液は常に浄化された新液状態に維持され、例え繰り返し乾燥が行われたとしても、乾燥後の被乾燥物の外観品位を損なうことはなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態の乾燥装置全体の構成を表す構成図である。
【図2】 第1実施形態の乾燥部の構成を表す構成図である。
【図3】 第2実施形態の乾燥部の構成を表す構成図である。
【符号の説明】
1 真空容器
2 蓋
3 被乾燥物
4 バスケット
5 加熱容器
6 溶液
7 ヒータ
8 加熱媒体
9 連通配管
10 エアー駆動弁
50 真空排気配管
53 真空ポンプ
Claims (7)
- 被乾燥物を収容し真空状態を取り得る真空容器と、加熱された溶液を収容する加熱容器と、前記真空容器と前記加熱容器を連通する配管と、を備え、
前記配管の一端は前記被乾燥物に向けて開口し、前記配管の他端は前記溶液に浸漬しており、
前記真空容器が真空状態のときに前記配管が開放されて、前記溶液が沸騰状態で前記配管の前記一端から前記被乾燥物に向けて噴射されることを特徴とする乾燥装置。 - 前記溶液は炭化水素系の溶液であることを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
- 前記加熱容器は隔壁で2室に分割されていて、一方に前記溶液を収容し、他方に熱源を設けており、
前記熱源からの熱が前記隔壁を通じて前記溶液に与えられ、前記溶液が加熱されることを特徴とする請求項1又は2に記載の乾燥装置。 - 前記配管の経路に駆動弁が設けられており、
前記真空容器内の圧力と、前記溶液が収容されている前記加熱容器内の圧力と、前記溶液の温度とに基づき、前記駆動弁の開閉度合いが調節されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の乾燥装置。 - 前記真空容器の内側面と底面とのうち、少なくとも1つに加熱手段を設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の乾燥装置。
- 前記被乾燥物に向けて噴射されて前記真空容器内に存する蒸気化した前記溶液を回収し凝縮させる溶液凝縮手段と、前記溶液凝縮手段により凝縮した前記溶液を前記加熱容器に供給する供給手段とを備えたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の乾燥装置。
- 更に、前記被乾燥物に向けて噴射されて前記真空容器の底面に溜まった前記溶液を回収して排出する溶液排出手段を備えたことを特徴とする請求項6に記載の乾燥装置。
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